今月のインカムくまもと - 熊本県聴覚障害者情報提供センター

“インカム”くまもと
Information&Communication
∼情報提供センターだより∼ 第262号
発行 熊本県聴覚障害者情報提供センター 2016.3
〒861-8039
熊本市東区長嶺南2丁目3番2号 FAX 096-385-7821 TEL 096-383-5595
URL http://kumajou.jp E-mail [email protected]
障がいを触媒として
聴覚障害者福祉を生業としている筆者ですが、昔も今も福祉から遠い人間だと自覚しています。誤解恐れずに
言えば、聴覚障害について好奇心で関わっており、その世界にいろいろな発見を楽しむ ということを大切にしな
がら仕事を続けてきました。
もちろん、その一方、これでいいのかと自問自答もしてきましたが、最近、ある本を読み、我が意を得たりと思
うことがありました。その本のタイトルは「目の見えない人は世界をどう見ているのか」(光文社新書)です。
ところで、私は手話との出会いでこの世界に足を踏み入れたのですが、手話を少しずつ学ぶ中で、その頃の聾
学校では手話を否定した教育が行われていることを知りました。これは、大げさに言えば、ちょうど戦前の大日
本帝国による日韓併合の後、「同種同文」というイデオロギーの下に、朝鮮語をなくし日本語にしてしまえとい
う乱暴な文化的統一化とほぼ重なって見え、そのことに憤りを感じながらも、抑圧された言語として手話を学習
し、特にその底流にある文化に関心を寄せ続けていました。
1995年、木村・市田両氏による「ろう文化宣言」が出され、障害者福祉の文脈でろう者を捉えるのではなく
手話という言語的少数者としてろう者を捉えよう、その中で ろう者は聴者と異なる文化を持つ人だという主張
が展開されました。これらの考え方に頷かされることが多かったのですが、その後 「聴文化」と「ろう文化」の
異なりの部分が焦点化され過ぎ、「聴者」と「ろう者」の分断を招く作用として働いたところがありました。
さて、「目の見えない人は…」の本も 同じような考えで語られているのではないかと思って読み始めました。
もちろん「盲文化」的な所はあります。「視野を持たないゆえに視野が広がる」や「『見る』を目から切り離す
」、「回転寿司はロシアンルーレット」などは、晴眼の私たちに新しい世界を教えてくれます。
さらに、「ソーシャル・ビュー」と呼ばれている「他人の目で見る」セッションとしての美術鑑賞方法の紹介
は、「盲文化」を超えて「障害を触媒」とする障害者・非障害者の関係創造の可能性が提示されています。
障害を福祉の面で考えることは、社会参加という面では欠かせません。しかし同時にそこに潜む文化をしっかり
と見つめることをしなければ、その行為は、いわゆるパターナリズムに陥るでしょう。
ぜひ、一読されることをおすすめします。
「みるっく」は、聴覚障害関係のニュース・話題をお届けする聴覚障害者のためのビデオマガジン。
毎月センターで制作し、皆さまにお届けしています。
ビデオマガジン
どぎゃんしとりますか?
厚生労働大臣賞表彰
八代わかぎ…
‘16 3月号
1
障害
聴覚
映
熊
ト
熊本の手話を「あ行」の手話
「か行」の手話と、行ごとに収録
その手話の成り立ちも解説されていて
ますます手話が面白くなるかも?
あ行∼やらわ行までのすべてを
収めたBOX版もあります。
聴覚障害者を理解するために
きこえについて
聴覚障害者の支援システムや
支援団体などの社会資源について解説
研修や啓発活動など多方面で活用できます。
懐かしい!!と声を上げる方もいるのでは?
聴覚障害者の方に わかりにくいことばの
用い方について、劇中の例文を中心にして
手話でわかりやすく解説したもの。
ろう協、わかぎ会員の若かりし頃の姿に(;_;)
センターの看板番組!
毎月、聴覚障害関係の様々な話題を
MC二人が楽しくお届けします。
DVD版とBlu-ray版の2種類。
年間購入がオススメです。
1994年制作。盲ろう者の生活と
それを支援する人々との交流などを
追ったドキュメンタリー。
盲ろう者への理解を深めるために
制作されたものです。
センターではどんな事業を
行っているのか 事業を紹介
日本の民話「ごんぎつね」の手話語り。
小学校国語教科書の副教材として開発されました。
手話と文章が同期して再生され、用語については手話やイラストで
説明をみることもできます。大人も子どもも楽しめます。
共催/熊本大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科
日本耳鼻咽喉科学会熊本県地方部会
熊本県難聴者中途失聴者協会
要約筆記
養成講座
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耳の日の講演会
高度難聴医療の最前線
人工内耳について
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<プログラム>
●人工内耳に関して
●人工内耳装用者の体験発表
●質疑応答
<お問い合わせ先>
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(熊本市東区長嶺南2-3-2)
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ʢ午前10時∼午後3時ʣ
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<お問い合わせ>
熊本県聴覚障害者情報提供センター
(電話 096-383-5595)
日本語字幕つき映画上映
つれづれ
AD日記
AD日記
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旅立ちの島唄
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雪やこんこん
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1月、九州を大寒波が襲い、
熊本市内も大雪が降った。
こんなことは滅多にないと、雪の降る中、外に出て
カメラを回した。
…撮影しながら、ふと思った。
この雪の映像は何に使うだろう。
きっと使うことなんてないな…と。
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★字幕サークルおむすびが字幕送出
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ドラえもん
新・のび太の
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3
ビデオライブラリーの部屋
平成27年度
要約筆記者養成講座
髙山さんを囲んで
東 俊裕 弁護士 講演
日ぉ時 : 3月28日(木)
ぉぉぉぉぉ13:30∼15:30
場ぉ所 : ビデオライブラリー
DVD番号 E-096(01)∼(02)
ろう者の髙山さんは、2年前に東京から水俣市に引っ越
してきました。もともと洋裁の仕事をされていたのでパッ
チワークキルトや布バッグなどは本を見ながら独学でされ
たそうです。
髙山さんの作品を見ながら、おしゃべりしませんか。
※作品は、展示期間を延長し3月28日までとしました。
是非、ゆっくりご鑑賞くださいね。
国連の障害者権利条約の精神を日本に根付かせよ
うと、国内法の整備のために設けられた 障害者制度
推進会議、その要の役を果たされた東弁護士。
その東弁護士が、憲法について、障害者福祉制度
の現状について、わかりやすく語ります。
3月の
時間 14:00∼15:00
場所 ライブラリー
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おしゃべり手話サロン・報告
先月は「革の小物づくり」でした。15人の参加が
あり、部屋も所狭しと賑わいました。石原久子さんの
指導の下、キーホルダーとストラップを作ったのです
が、簡単と思っていたら意外と難しい。ああだこうだ
といいながら、できあがっていくかわいい小物たち。
追加注文も出て、楽しい1日でした。
2015年度
1月までの利用状況
ビデオ貸出数 1211本
貸出以外の来館者数 1122人
聴障センター・天草・ろう学校
ビデオ貸出数 1170本 ※初心者・中途失聴者・難聴者のための手話教室です。
経験の長い方はご遠慮ください。
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● 情報提供センターの利用および受付時間
ライブラリー
10:00∼19:00
新電話リレーサービス 9:00∼18:00
盲ろう通訳・要約筆記派遣 8:30∼19:00
ふれあいシアター・会議室 9:00∼19:00
水曜(祝日の場合は木曜日)・年末年始
休館日 ★日曜・祝日は17:00まで。リレーは土・日・祝日17:00まで。
印が休館日
通勤時が楽しい季節になった。冷気の残る庭先のあちらこちらに
白、紅、薄紅色の梅が咲きほこっている。黒々とした枝の先に際だつ
花の美しさよ…。日本の家屋に梅は似合う。着物に梅、田畑に梅、
山里に梅、ウグイスに梅、茶室に梅、ご飯に梅? 花よし 姿よし 匂いよし、 つまめば酸っぱい梅となりたし この身かな
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