平成28年2月定例市議会提出議案説明【 PDFファイル:156.8

佐賀市議会定例会議案説明
(平成28年2月29日)
本日、平成28年2月定例会の開会に当たり、市政運営に取り
組む私の所信の一端を申し述べますとともに、提案いたしました
諸議案について、その概要を御説明申し上げます。
私は、合併して新しく誕生した佐賀市の市長に就任して以来、
「公平・公正」、「市民の融和」、「現場100回」を市政運営の
基本としてまいりました。昨年10月には新市誕生から10年の
節目を迎え、改めて「市民の一体感」の大切さを心に刻み直しま
した。これからも市民の皆様との対話に努め、「住んでよかっ
た。」、「住み続けたい。」と思える佐賀市を創ってまいりたい
と考えております。
さて、日本全体を見てみますと、平成20年から人口減少社会
を迎えており、市場規模の縮小や労働人口の減少などによる経済
の停滞をはじめ、社会全体への影響が懸念されております。
これに対しまして、政府は、「まち」、「ひと」、「しごと」
の創生と好循環の確立を目指し、地方創生を政策の柱にしており
ます。昨年には、経済成長の推進力として、「希望を生み出す強
い経済」、「夢をつむぐ子育て支援」、「安心につながる社会保
障」を「新・三本の矢」として打ち出し、地方創生の更なる後押
しにつながる対策を進めております。
このような中、本市におきましては国の動きに呼応して、人口
減少にどのように向き合い、対応していくのかをまとめた「佐賀
市まち・ひと・しごと創生人口ビジョン」を昨年10月に策定し
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ております。この人口ビジョンでは、現在の出生率等がこのまま
続けば、44年後の2060年には、人口が15万人にまで減少
すると予測しております。人口減少は、地域経済の活力低下にも
直結する重要かつ喫緊な課題であるため、人口維持に向けた今後
5年間の取組をまとめた「佐賀市まち・ひと・しごと創生総合戦
略」を策定し、4つの基本目標を掲げております。
以上のことを踏まえ、平成28年度当初予算をはじめとした諸
議案の御審議をお願いするに当たり、「佐賀市まち・ひと・しご
と創生総合戦略」の4つの基本目標に沿って、主な取組を御説明
させていただきます。
1つ目の目標は、「経済の活力と安定した雇用の創出」でござ
います。人口の減少を抑えるためには、生活の基盤となる働く場
が大変重要となってまいります。多くの雇用を生み出していくこ
ととあわせ、若者が魅力を感じる雇用の創出も大切でございます。
まず、企業の誘致を推進するための基盤づくりに取り組みます。
誘致を進めてまいりました久保泉第2工業団地の最後の区画に企
業の進出が決まり、事実上完売いたしましたので、新たな工業団
地についての調査を開始いたします。また、事務系企業につきま
しても、誘致の受け皿となるオフィススペースの確保に取り組み
ます。
また、バイオマス産業都市の実現に向けた取組として、清掃工
場北側において、国内最大規模の藻類培養拠点の整備に向けた事
業に着手いたします。ここから、藻類の研究・開発、培養・抽出、
そして関連商品の製造、流通に至る藻類関連産業の集積を目指し、
雇用の拡大や経済の活性化につなげていきたいと考えております。
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さらに、観光の振興による経済の活性化につながるものとして、
本年10月には、2016佐賀熱気球世界選手権が控えておりま
す。本市の認知度向上や魅力発信の大きな契機でございますので、
成功に向けてしっかりと取り組んでまいります。
また、この世界選手権にあわせて、中心市街地に佐賀バルーン
ミュージアムを開館いたします。一年を通して熱気球を体験でき
る施設として、中心市街地の活性化にもつなげていきたいと考え
ております。
また、地元の皆様の長年にわたる努力が実り、ラムサール条約
湿地に登録された「東よか干潟」と、世界文化遺産に登録された
「三重津海軍所跡」の2つの貴重な財産を活かし、多くの皆様に
南部地域を訪れていただけるような仕組みづくりと情報発信に取
り組んでまいります。
さらに、農林水産業の振興による経済の活性化についても、集
落営農組織の法人化や新規就業への支援等を通して、経営基盤の
強化を進めてまいります。
2つ目の目標は、「市内への人の流れの創出」でございます。
定住促進のため、転出超過が最も多い世代である若年層、さらに
は主な転出先である福岡都市圏を重要視した対策を講じてまいり
ます。
まず、今年度から実施しております市外への通勤と転入者の住
宅取得に対する経済的な支援を軸として取組を進めます。特に住
宅取得につきましては、子育て支援や福祉の観点を加え、3世代
が同居するための新築やリフォームに対する支援を拡充いたします。
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また、福岡都市圏において、本市出身者に向けた情報発信を行
っていくとともに、首都圏において、本市の魅力や定住情報を発
信する機会を増やしてまいります。
3つ目の目標は、「子どもを産み育てやすい環境の創出」でご
ざいます。若年層の結婚希望をかなえるための支援を行うととも
に、その後の妊娠、出産、子育てに対する切れ目のない支援によ
り、安心して子育てができる環境を創ってまいります。
これらの支援のうち主なものといたしまして、
まず、妊娠に対しましては、子どもが欲しいという希望があっ
ても子宝に恵まれない夫婦に対する支援、特に若い世代への支援
を拡充いたします。
また、子育てに対しましては、休日夜間こども診療所を県立病
院好生館跡地へ移転し、拡張するなど、子どもの医療体制を充実
させるとともに、きめ細かな保育体制の強化にも力を入れてまい
ります。
さらに、小中学校のモデル校において、特別支援学級にタブレ
ットパソコンを導入し、児童生徒の学校活動に活かすことにより、
学習効果を高めることにつなげていきたいと考えております。
また、ここ数年来、発達障がいが疑われる子どもたちが増えて
いることを受け、国では、その早期発見に向けた取組が始められ
ております。本市におきましては、早期発見に向けた取組に加え、
保護者や支援者からの相談に対応する体制を強化してまいります。
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4つ目の目標は、「利便性が高く、持続可能な地域社会の創出」
でございます。人口が減少していくことを踏まえつつ、効率的で
利便性が高いまちづくりが求められます。
まず、人口減少、少子・高齢化に対応した効率的な都市機能と
して、中心市街地を核としたコンパクトなまちづくりを進めるた
めに、本市の玄関口であるJR佐賀駅周辺についての整備構想の
検討を進めてまいります。
さらに、都市機能を支える移動手段である公共交通機関の利便
性を高めるため、市内を走るバスに対して、全国主要エリアで相
互利用が可能なICカードシステムを導入する取組を進めてまい
ります。
また、防災、衛生、景観等の地域環境に影響を及ぼしている空
き家等への対策を推進いたします。市内の空き家等の実態を調査
し、あわせて危険な空き家等とならないための利活用について検
討を進めてまいります。
さらに、市民主体のまちづくりを地域で実践していくために進
めております「まちづくり協議会」の設立につきましては、市内
全32校区のうち、28校区で設立される予定でございます。引
き続き全校区での設立を目指し、地域の実情に応じた支援を行っ
てまいります。
また、高齢者の見守りなどの地域福祉活動を担う人材を配置す
るなど、地域における人のつながりを大切にしながら、誰もが住
み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるための環境づ
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くりを進めてまいります。
以上、平成28年度における主な取組について述べさせていた
だきました。このような4つの基本目標に沿った施策を展開し、
2060年の本市の人口を20万人に維持することを目指して取
り組んでまいります。
また、新年度からは、支所再編に伴い、新たな体制で市政を運
営してまいります。行政サービスの低下につながらないよう、市
民の皆様の声に耳を傾けてまいります。
以上、新年度の施政に対する私の所信を申し述べましたが、こ
のほかにも様々な行政課題がございます。これらの課題に正面か
ら向き合い、本市の発展のために全力で取り組んでまいる所存で
ありますので、議員並びに市民の皆様の御支援と御協力をお願い
申し上げます。
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それでは、平成28年度の予算議案について御説明申し上げます。
平成28年度における国の地方財政への基本的な考え方といた
しましては、引き続き地方創生の重点課題等に取り組みつつ、地
方が安定的に財政運営を行うことができるよう、地方一般財源総
額について、実質的に前年度と同水準を確保することとされてお
ります。
また、経済状況につきましては、雇用・所得環境が改善し、緩
やかな景気の回復基調が続いておりますが、地域間における個人
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消費のばらつきや生産活動の弱さが見られ、地方経済においては、
いまだ厳しさがあるのが現状ではないかと考えております。
このようなことから、健全な財政運営に配慮しつつ、限られた
財源を最大限に活用し、人口減少問題の克服や地域経済の好循環
の確立につながる取組を積極的に進めるとともに、市民の皆様が
幸せを実感できるまちづくりに重点を置いた予算編成を講じたと
ころであります。
この結果、当初予算案の規模を、
・一般会計
948億円
・特別会計
約349億円
・企業会計
約233億円
としております。
第1号議案「一般会計予算」は、昨年度の当初予算と比べ、
24億円、2.6%の増となります。
まず、主な歳出についてでありますが、
義務的経費であります人件費につきましては、退職予定者数の
減少や支所再編に伴う職員数の減少等により、約10億円、7.0%
の減となる約134億円を計上しております。
一方、扶助費につきましては、子ども・子育て支援新制度に伴
う教育・保育給付費や障がい者の介護サービス給付費の伸び等に
より、約19億円、8.5%の増となる約243億円を計上して
おります。
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また、投資的経費につきましては、本庁舎の増築事業や小中学
校の校舎建設事業等の大規模事業が集中していることから、約
131億円を計上しております。
次に、主な歳入についてでありますが、
市税につきましては、景気の緩やかな回復基調や雇用情勢の改
善等により、給与所得の伸びが期待できるため、個人市民税の増
収が見込まれる一方で、税制改正による税率引下げの影響で法人
市民税が減収となり、全体として約3億円、0.9%の増となる
約294億円を計上しております。
そ の 他 の 主 な 財 源 といたしましては、国・県支出金として約
239億円、地方交付税として191億円、市債として約101
億円を計上しております。
なお、一般会計の細部並びに特別会計及び企業会計につきまして
は、予算に関する説明書及び関係資料により御審議をお願いいたし
ます。
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次に、平成27年度補正予算議案について、御説明申し上げます。
第10号議案「一般会計補正予算(第5号)」は、国の「一億
総活躍社会の実現に向けた緊急対策」等に伴う補正予算措置に呼
応した補正及び決算見込みによる補正措置などにより、約5,300
万円の増額を行っており、補正後の予算総額は、約966億
6,600万円となっております。
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以下、補正予算の主な内容を御説明申し上げます。
まず、地方創生加速化交付金事業でありますが、
○
「佐賀市まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づく取組を推
進し、地域経済の好循環の確立につなげていくため、台湾販路開
拓加速化事業など、3事業を実施するものであります。
次に、施設園芸等被害対策事業でありますが、
○
先月の大雪により被災された農業者の早期の営農再開を支援す
るため、倒壊した園芸施設などの撤去や再建に要する費用の一部
を助成するものであります。
これらの財源といたしましては、地方消費税交付金、地方交付税、
国・県支出金、諸収入等で措置し、予備費により収支の調整をいた
しております。
また、繰越明許費として、58事業の追加及び1事業の変更を措
置いたしております。
なお、一般会計の細部並びに特別会計及び企業会計につきまして
は、予算に関する説明書及び関係資料により御審議をお願いいたし
ます。
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最後に、条例等の議案について、御説明申し上げます。
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第21号議案「佐賀市空家等対策協議会条例」は、空家等対策
の推進に関する特別措置法の規定により、同法に基づく「空家等」
の適正管理や利活用を効果的かつ効率的に実施するため、空家等
対策計画の策定等について協議する佐賀市空家等対策協議会を設
置するものであります。
第26号議案「職員の給与に関する条例等の一部を改正する条
例」は、人事院及び佐賀県人事委員会の勧告に鑑み、若年層の
職員に重点を置いて給料表の改定をするほか、勤勉手当の改定な
どを行うものであります。
なお、この議案につきましては、関連する補正予算議案とあわ
せて早期の議決をお願いするものであります。
第37号議案「佐賀市過疎地域自立促進計画の策定について」
は、過疎地域自立促進特別措置法の失効期限が平成33年3月
31日まで延長されたことに伴い、新たに「佐賀市過疎地域自立
促進計画」を策定するものであります。
この計画は、過疎地域とみなされる旧富士町と旧三瀬村の地域
において、住民福祉の向上、雇用の増大、地域格差の是正等を図
るため、平成28年度から平成32年度までの計画として策定す
るものであります。
その他の議案につきましては、それぞれ議案の末尾に提案理由
を略記いたしておりますので、それにより御承知をしていただき
たいと思います。
以上、よろしく御審議をお願い申し上げます。
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