- 1 - 別紙 諮問第958号 答 申 1 審査会の結論 「都立 高校教員の出勤

別紙
諮問第958号
答
1
申
審査会の結論
「都立○○高校教員の出勤簿」を一部開示とした決定は、妥当である。
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異議申立ての内容
(1)異議申立ての趣旨
本件異議申立ての趣旨は、東京都情報公開条例(平成11年東京都条例第5号。以下
「条例」という。)に基づき、異議申立人が行った「東京都立○○高校教員○○及び
○○の出勤簿(2015年4月1日~6月5日)」の開示請求に対し、東京都教育委員会
が平成27年6月19日付けで行った一部開示決定について、その取消しを求めるという
ものである。
(2)異議申立ての理由
異議申立書及び意見書における異議申立人の主張を要約すると、以下のとおりであ
る。
ア
都立○○高校定時制では、教員の不在がとても多い印象があり、授業等の生徒へ
の教育行政サービスが不十分な状態を懸念し、サンプルとして○○教員及び○○教
員を選定し、開示請求した。
イ
年次有給休暇取得については、教員に対して保障された権利ではあるが、取得に
当たっては職務遂行に支障を与えないことが前提であり、過度に請求されれば生徒
にとっては不利益なこととなる。
ウ
都立○○高校定時制教員の勤務状況を詳細に把握したく、不在の日のマスキング
された内容(おそらくは年次有給休暇と思われる。)を知るため、異議申立てを行
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うものである。
エ
年次有給休暇等であれば教員が都教委に当該休暇を申請するという教員共通の
職務を行うことが必要であり、有給休暇の実行は当該申請業務の遂行結果と解釈で
きる。
オ
何より教員という職業柄、休暇を取得すれば生徒に少なからずの影響が及ぶこと
であり、有給休暇の過剰取得については、行政サービスを受ける側に不利益が出る
一方、有給休暇については東京都より給料が支払われるのだから、非開示部分を開
示すべきである。
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異議申立てに対する実施機関の説明要旨
理由説明書及び口頭による説明における実施機関の主張を要約すると、以下のとおり
である。
都立○○高校教員○○及び○○の2015年度の出勤簿の日付欄には、出勤、出張や年休
(年次有給休暇)ほか休暇等の情報が表示されている。
本件開示請求に対し非開示とした部分は、休暇等の表示がされている部分と、年休取
得日数(累計)及び年休取得残日数が記載されている部分であるが、これらの情報は、
個人に関する情報で特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合すること
により、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)であり、条例7
条2号本文に該当する。また、休暇等の情報については公務員の職務遂行に係るもので
はないことから、同号ただし書ハに該当せず、同号ただし書イ及びロにも該当しない。
以上より、非開示とした部分は条例7条2号の非開示情報に該当すると判断し、本件
開示請求について一部開示決定を行ったものである。
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審査会の判断
(1)審議の経過
審査会は、本件異議申立てについて、以下のように審議した。
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年
平成27年
月
日
審
9月18日
議
経
過
諮問
平成27年10月27日
新規概要説明(第163回第一部会)
平成27年12月17日
実施機関から理由説明書収受
平成27年12月25日
実施機関から説明聴取(第165回第一部会)
平成28年
1月
異議申立人から意見書収受
平成28年
1月28日
4日
審議(第166回第一部会)
(2)審査会の判断
審査会は、異議申立ての対象となった公文書並びに実施機関及び異議申立人の主張
を具体的に検討した結果、以下のように判断する。
ア
本件対象公文書について
本件異議申立てに係る開示請求は、
「 東京都立○○高校教員○○及び○○の出勤簿
(2015年4月1日~6月5日)」である。
本件開示請求に対し、実施機関は、都立○○高校教員○○及び○○の「出勤簿(年
度単位)
(処理年度:2015年)」
(以下「本件対象公文書」という。)を特定した上で、
休暇等の表示がされている部分及び年休取得日数(累計)と年休取得残日数が記載
されている部分(以下「本件非開示情報」という。)を条例7条2号に該当するとし
て非開示とする一部開示決定を行った。
イ
教職員の出勤簿について
本件開示請求に係る教職員の出勤簿(年度単位)は、勤務時間における職員の勤
務の態様を把握し、服務を管理する上で必要な資料で、年度ごとに一葉の書式となっ
ており、「処理年度」、「所属」及び「氏名」の欄並びに4月から3月までの「日付」
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欄が設けられている。「日付」欄には、出勤の場合は「○」(丸印)が表示され、出
張の場合は「出張」、研修の場合は「研修」、休暇の場合は内容に応じて「年休」あ
るいは「年1」等が記載されるものである。また、
「日付」欄の行間には、年休取得
日数(累計)及び年休取得残日数が記載されている。
ウ
条例の定めについて
条例7条2号本文は、「個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する
情報を除く。)で特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合するこ
とにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定
の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を
害するおそれがあるもの」を非開示情報として規定している。また、同号ただし書
において、「イ
法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすること
が予定されている情報」、「ロ
人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、
公にすることが必要であると認められる情報」、「ハ
当該個人が公務員等…であ
る場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報の
うち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分」のいずれかに該当す
る情報については、同号本文に該当するものであっても開示しなければならない旨
規定している。
エ
本件非開示情報の非開示妥当性について
審査会が本件対象公文書を見分したところ、本件非開示情報は「出勤、出張、週
休日及び休日以外の、休暇(時間単位で取得する休暇を含む。)の表示がされている
部分」及び「年休取得日数(累計)と年休取得残日数が記載されている部分」であ
るが、これらの情報は特定の教員の出勤簿に記載されているものであることから、
個人に関する情報で特定の個人を識別することができるものであり、条例7条2号
本文に該当する。また、その休暇等の取得時期、原因等が当該教員の私生活に関す
る情報であることから、同号ただし書ハに規定する職務の遂行に係る情報に該当せ
ず、その内容及び性質から、同号ただし書イ及びロにも該当しない。
したがって、本件非開示情報は条例7条2号に該当し、非開示が妥当である。
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よって、「1
審査会の結論」のとおり判断する。
(答申に関与した委員の氏名)
秋山
收、浅田
登美子、神橋
一彦、隅田
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憲平