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日賑グローバル・ニュースレター国内版(第 76 号)
1. ロムニーのカムバックはあり得るか?
2. テレビ志向の中年、高年者、ネット志向の若者
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 9 月 8 日付けレポートを弊社にてダイ
ジェスト版化
4. 編集後記 ―タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナムは中進国の罠を脱することができるか?
1.ロムニーのカムバックはあり得るか?
最近の USA トゥデイの世論調査では大統領予備選の火ぶたが切られるアイオワ州の人気投票において
2016 年大統領選の共和党の潜在的候補の 14 名を差し置き、ミット・ロムニー前共和党大統領候補が圧
倒的リードを示した。当のロムニー氏自身もこれまでは出馬の可能性を一切否定していたものが、最近あ
るラジオ番組で「状況次第では・・」という発言も出た。最近の別の世論調査でも、もし 2012 年の大統領選
が今行われたならオバマ大統領に勝利していたであろうと答えた割合が 53%に上ったという(逆は 44%)。
ワシントンポストの論説では、ロムニーが前回の 2012 年の共和党大統領候補となった理由は共和党自
身が様々な政策分野で弱い立場にあり、候補者の中で最も“害が少ない”と見られていたため。ただ、今
回の場合は 2010 年の中間選挙での共和党の大勝利の結果、共和党が強い州議会で成功を積み上げて
きた共和党知事が大勢いる。 例えば、マイク・ペンス(インディアナ州知事), ボビー・ジンダル(ルイジア
ナ州知事)、ジェフ・ブッシュ(元フロリダ州知事) , ジョン・ケーシック(オハイオ州知事) , クリス・クリステ
ィ(ニュージャージー州知事)、スコット・ウォーカー(ウィスコンシン州知事)。 確かに、ロムニーは 2012 年
の大統領選討論会でロシアの危険性を先読みし、また、オバマケアの問題を指摘、結果としては彼の指
摘通りとなっているところも今の人気の背景にあろう。ただ、彼の決定的な問題はビジョンの欠落であると
ワシントンポストの論説は語る。 自らのクリアな“絵”を持っていない白紙状態であるため、対抗馬やメデ
ィアに良いようにイメージを描かれるだけでなく、自らも不用意・無神経な発言で有権者側に特有のイメー
ジを提供し続けてきた。自動車工場の労働者に対し「家内がキャデラックを数台持っている」とか、「自分
は厳しく保守的」という本当の保守派が使わない表現を用いたり、「企業はヒトであり、私の友人」、「(テキ
サス州知事のリック・ペリーに)1 万ドル賭ける」と語ったり、「私はヒトを解雇するできる能力を好む」とか
「(自分の移民政策は)自主送還だ」とか、「私は最貧困層のことは気にしていない」、「国民の 47%は政府
に依存し、自分たちは犠牲者で政府が面倒を見るべきと信じている」と語り、結果として 38%の人々をして
ロムニーは「自分のような人間を好きではない」と疎外感を感じさせたことが決定的敗因という。これは
2016 年であっても改善の余地は無いというのがこの論説の趣旨となっている。 「三つ子の魂百まで」な
のか、「人は何歳になっても気づきさえすれば成長できる」なのか、ロムニー氏への注目とは別に、上述
の知事を含めた共和党候補本命と目される人々は中間選挙の動向を見守りつつ長いマラソンに例えら
れるキャンペーンの準備をしているといった状況であろう。
2.テレビ志向の中・高年者、ネット志向の若者
モフェット・ナーサンソン・リサーチによる最新のメディア分析調査によればテレビ視聴者の高齢化とインタ
ーネット利用者の若年層拡大の二極化が見られるという。2013 年から 2014 年にかけてのテレビシーズン
通期調査での視聴者年齢の中位値は 44.4 歳と前期に比べ 6%高齢化が進んだ。 メジャーなテレビ局に
絞った場合、この年齢中位値は 53.9 歳で前期比 7%の高齢化となっている。因みに米国民全体の中位値
は 37.2 歳で、前回(10 年前)の国勢調査に比べ 1.9%しか加齢していない。 若年層の視聴者にとって、視
聴するタイミングと場所の裁量権の有無が大切でそれが彼らをしてテレビからインターネットに向かわせ
ているという。 録画せずテレビ局側のスケジュールに基づき視聴する人の割合は中年、若年を問わず
13%も減少している。但し、55 歳以上の視聴者は録画せずスケジュール通り視聴する割合が高い。 ケー
ブルチャンネルでは数多くの番組があり、幼児を含めた子供向け番組のお蔭で比較的若い家族の視聴
者も多いが、それでも過去 4 年間でその年齢の中位値は 8%も上昇している。その中で ESPN は、ケーブ
ルテレビ上のコンテンツを少しずつネット上に小出しにし、ミレニアル世代の若者にそのコンテンツの魅力
を訴求しながらいずれ彼らが有料ケーブル番組の顧客になることを期待しているという。日本では、若手
視聴者もまだお笑いなどバラエティを中心にテレビ画面で視聴している割合も高いようだが、PC 画面の
高画質化とともにネット配信でそういったコンテンツも見ていくとなるとテレビ広告のあり方もまた変わって
いくのかもしれない。
3.東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 9 月 8 日付けレポートを弊社にてダイ
ジェスト版化
(1)中国
 陸海空と宇宙空間に対応する「中央合同作戦指揮部」創設
中国の習近平国家主席は、軍に対する影響力を強めつつ、陸・海・空軍と第二砲兵(戦略ミサイル部隊)
の4軍を指揮する「中央合同作戦指揮部」を新設し、軍の統合運用能力の向上を柱とした機構改革を本
格化させる中、米露とは独立する形での宇宙開発に注力する姿勢を強化しようとしている。
 不良債権の増大
国有四大銀行が発表した本年1~6月期決算によると、6月末時点の不良債権残高は合計で3,847億
人民元と半年前に比べて13.2%増加した水準である。
 マカオ行政長官現職再任
マカオ特別行政区政府の事実上のトップとなる行政長官の選挙が実施されたが、対立候補もなく、現職
で親中派のツォイ長官が再選された。 但し、この選挙に関しては、マカオの民主派勢力が行政長官選挙
を住民投票に変えようとの動きを示したものの、その民主派リーダーたちが警察に拘束されたと香港では
報道されている。
(2)韓国
 起亜自動車、メキシコに年産 30 万台規模工場新設
韓国主要自動車メーカーの一つである起亜自動車は、メキシコに10億米ドルを投じ、年産30万台規模
の自動車工場を建設すると発表した。
 オイルサンド精製プラント受注
韓国有数企業の一つであるSK建設は、カナダ西部アルバータ州のポートヒルズ鉱区でオイルサンドから
油分を精製するプラントの建設を受注したと発表している。契約額は25億5,000万米ドルで、同社によ
る海外での受注工事としては最大規模となるもので、2017年末までに完成予定となっている。
 7 月の観光収入前年同月比 34%増
中央銀行である韓国銀行と韓国文化観光研究院は、「7月に韓国を訪れた外国人観光客による観光収
入は16億1,590万米ドルになった。」と集計結果を発表している。これは、前年同月対比34.0%増加
した水準である。また、単月の観光収入が16億米ドル台を記録するのは初めてとなる。これまでは、韓
国人観光客が海外に出国するこの夏の時期に観光収支は悪化するが、中国人観光客の韓国訪問が増
加していると見られている。実際に筆者がこの夏、韓国を経由して欧州を往復したが、中国人観光客の多
さは目を引く水準にあった。
 中韓FTAの早期締結を求める中韓財界人
日中韓FTAを意識しつつ、韓国は中国本土とも積極的な二国間交渉の姿勢を示している。このような動
きは、先日開催された韓国の全国経済人連合会(全経連)と中国企業連合会との間で中国本土・重慶で
開催された「第9回韓中財界会議」でも見られ、中韓
FTAの早期妥結を促している。この会議には両国の財界人およそ50人が出席し、産業界の主導により
中間FTAの民間協力体制を構築し、両国政府による中韓FTA交渉と履行を積極的に支援する方針を決
めたと報じられている。そして、韓国・全経連の許会長は、「中国本土の韓国への投資は、韓国の中国本
土への投資に比べ7分の1の水準にしかない。中国本土が中韓FTA発効を機に、KOREA(韓国)ブラン
ドと、FTAのハブとして浮上する韓国の長所を積極的に活用するならば、中韓双方にとって利益になる協
力が可能となる。」と発言したことも紹介されている。
[主要経済指標]
1.
対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/ 1,024.25(前週対比-10.40)
台湾:1米ドル/29.93ニュー台湾ドル(前週対比-0.07)
日本:1米ドル/105.18円(前週対比-1.15)
中国本土:1米ドル/6.1400人民元(前週対比+0.0030)
2.
株式動向
韓国(ソウル総合指数):2,049.41(前週対比+31.79)
台湾(台北加権指数):9,407.94(前週対比-28.33)
日本(日経平均指数):15,668.08(前週対比+243.49)
中国本土(上海B):2,326.432(前週対比+108.812)
4.編集後記―
タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナムは中進国の罠を脱することができるか?
「中進国の罠」とは、天然資源が豊富な国や、低賃金労働力という人的資源が豊富な国が、 それらを生
かした輸出により中所得国へは移行できたとしても、賃金上昇などに伴う輸出競争力の衰退や貧富差の
拡大、汚職、都市のスラム化など難題に直面して、長期停滞に陥り、先進国にはなれないという構造的な
問題を指しています。2011 年にアジア開発銀行(ADB)が発表した報告書「Asia 2050」において、アジアが
中所得国の罠に陥った時と、それを脱した時とで、 将来のアジア経済が大きく違うことを強調し、罠に陥ら
ないような政策(技術開発、人材育成、インフラ整備等)の重要性を説いたことで注目が集まるようになりま
した。今般、ワシントン DC にあるヘリテージ財団のアジア研究センターの上級研究員ウィリアム・T・ウィル
ソン博士が、アジアの中でもタイ、インドネシア、フィリピン、ベトナムの 4 か国を取り上げて、これらの国々
が中進国の罠に陥るか脱出できるかの分析をその主な要因別に行い、レポートにまとめ上げました。(主
な要因とは(1) マクロ経済を支えるファンダメンタルズ, (2) 人口動態, (3) 組織, (4) 貿易構造, (5) インフラ,
(6) 戦争や騒乱) 本項ではこのレポートの抜粋・要点のみをシリーズでご紹介します。
はじめに
世銀の定義では「貧困の罠」が一人当たりGDPで 1 千ドルを超えられない状況に対し、中進国とはそれ
が 3 千ドルを超えている国々となる。問題はその後の伸びが止まってしまい、1 万ドルを大きく超えていけ
ない「中進国の罠」に陥りやすいこと。 本レポートで見ていく 4 か国の現在の一人当たり GDP は$9,280
(タイ)、4,730(インドネシア)、4,380(フィリピン)、3,620(ベトナム)となっている。
1960 年以降では 13 の途上国が中心国の罠を脱し、先進国入りした。そのうちの 5 か国は東アジアである。
日本以外では NIES と呼ばれた香港、シンガポール、台湾、韓国の 4 か国で、彼らがこの“罠”にかからな
かった理由は、国内の生産性の低い産業から高い産業への労働力のシフトがスムースになされたためと
見られている。 一方、今回取り上げる 4 か国では大まかに言って、インドネシアのインフラ未整備と市場
商品過剰依存の問題、フィリピンの国内投資不足の問題、タイの政治不安定と伝統的信用バブルの問題、
ベトナムの銀行問題、インフレ、不正常態化の問題があり、NIESの発展とは軌跡を異にする可能性はあ
る。(以下次号)
日賑グローバル・ニュースレター国内版(第 75 号)
1. デトロイト復活への刺激となるかーJ.P.モルガン銀行の挑戦
2. 米国送電企業の巨大化―エクセロン社の Pepco 買収
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 8 月 18 日付けレポートを弊社にてダイ
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4. 編集後記 ―中東情勢分析(中東フリーランサー東京報告2)by 三井物産戦略研究所大橋研究員
1.デトロイト復活への刺激となるかーJ.P.モルガン銀行の挑戦
自動車産業で活況を呈した米国ミシガン州デトロイト市は昨年 7 月に連邦破産法第 9 条を申請し破綻し
た。GM の連邦政府救済に象徴される米国自動車産業の衰退や工場の市外移転といった産業側の原因
と共に、市民富裕層を中心に居住地をダウンタウンから郊外に移す人々が多く 2000 年対比で 2010 年の
同市人口は 4 分の 1 も減っていることが原因と言われる。そのデトロイトに米国のトップクラスの投資銀行
の J.P.モルガンが 1 億ドルを投資するという。内訳は半分の 5 千万ドルを地元の地域再開発融資団 2 社
への長期低利融資(同融資団による荒廃地の再開発と地価上昇を通じた人の呼び戻し事業)に、25 百
万ドルを放棄された住宅のリノベーションに、残りの 25 百万ドルを市内の公的でないインフラ整備と中小
企業支援並びに住民がより高給な職に就くための職業訓練に充てるという。J.P.モルガンの同市への投
資が呼び水となって不動産投資家やデイベロッパーが同市の潜在的価値と不動産の相対的値ごろ感に
気づき、再開発の波が発生し、住民が戻り、それがまた地価を上げて開発を促すという好循環を起こそう
というもの。 市内の Broderick Tower という高層マンションの再開発が J.P.モルガンの融資を受け成功し
たことが自信になっているという。J.P.モルガンは J.P.モルガン・チェース(商業銀行)の投資部門で、リー
マンショック後、ゴールドマンサックスやモルガンスタンレーを抜いて全米一の業績を誇る投資銀行となっ
ており、社長のジェミー・ダイモンの発言はメディアはもとより政治家も注目、民主党支持を鮮明にしてい
る彼にはオバマ大統領からもいろいろな打診がある。その彼が連邦政府主導の衰退都市部復活計画で
なく、民間主導の再開発に注力するようになったきっかけは、アフリカで人道支援活動を行う娘と共にガ
ーナに行った際に、同国内で放置されている道路や橋、建物などを見た経験という。インフラや建造物を
作るところまでは銀行も投資家も血道を上げて取り組むが結局そこに地元住民の血が通わなければ荒
廃していくということ。銀行家として“つくる”ところだけでなく、“地域のサステーナブルな発展”にカネを生
かすべく地元リーダーと連携する、ということに事業性を見出そうということのようである。 日本の地方都
市活性化においてもひとつ参考になる試みといえるかもしれない。
2.米国送電企業の巨大化―エクセロン社の Pepco 買収
シカゴに本社を置くエクセロン社は去る 4 月に地域電力会社の Pepco を 68 億ドルで買収すること
を発表していたが、今週正式にメリーランド州公共サービス委員会にその買収の許可申請を行った。
Pepco 社は首都ワシントン DC を中心にその周辺のメリーランド州郊外の 53 万 7 千世帯に電力とガ
スを供給しているのみならず、越境して東はデラウェア州から北はニュージャージー州まで約 2
百万世帯に顧客層を広げていた地域電力会社の雄であった。エクセロン社はシカゴからその版図を
米国東海岸に拡大中で、すでに BGE、ComEd と Peco という地域電力会社を傘下に収めており、今回
の Pepco に加え、Atlantic City Electric と Delmarva Power も買収する。BGE(Baltimore Gas and
Electric)の親会社は Constellation Energy Group で、同社を 3 年前に買収することでエクセロ
ンは全米 38 州とカナダの 2 つの州へのアクセスを入手している。
エクセロンは原子力発電所を 23 か所保有しており、自ら発電も行っているが今回買収する Pepco
はその発電事業は数年前に売却しており、自らの顧客へは他社から購入した電力を配電している。
エクセロンの買収はさながら戦国時代に版図を広げる戦国大名のようだが、日本でも 2018 年以降
を目途に発送電分離がスタートすると顧客とのネットワークを重視した囲い込みが開始されるの
であろうか。
3.東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 8 月 18 日付けレポートを弊社にてダイ
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(1)韓国
 7 月の造船受注実績、5 か月ぶりに中国を抜き世界トップ返り咲き
海運・造船市況分析機関である英国・クラークソン社の発表によると、7月の国別船舶受注実績は韓国が
33隻・139万9000CGT(標準貨物船換算トン数)となり、中国本土の57隻・122万3000CGTを抜き2
月以来5カ月ぶりに世界トップとなっている。月ベースの市場シェアも韓国は42.8%となり、中国本土の
37.5%、日本の3.5%を上回っている。
 アシアナ航空 4 月―6 月増収増益
大韓航空と並び韓国航空会社大手のアシアナ航空は、連結決算基準の本年4~6月期の営業利益が3
0億ウォン、売上高は1兆4,103億ウォンとなり、前年同期対比増収増益を記録している。また、本年上
半期(1~6月)の営業利益は9億ウォンと黒字に転換し、売上高は前年同期対比1.1%増の2兆8,25
1億ウォンとなっている。同社はエアバスの大型旅客機であるA380を導入したことで中国本土や欧州、
東南アジア路線の需要が好調で売り上げ増加に繋がり、増益も達成したと分析している。
[主要経済指標]
1.
対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/ 1,020.95(前週対比+15.45)
台湾:1米ドル/29.95ニュー台湾ドル(前週対比+0.05)
日本:1米ドル/102.31円(前週対比-0.60)
中国本土:1米ドル/6.1470人民元(前週対比+0.0087)
2.
株式動向
韓国(ソウル総合指数):2,063.22(前週対比+32.12)
台湾(台北加権指数):9,206.81(前週対比+120.85)
日本(日経平均指数):15,318.34(前週対比+539.97)
中国本土(上海B):2,226.734(前週対比+32.309)
4.編集後記― 中東情勢分析(中東フリーランサー東京報告2)by 三井物産戦略研究所大橋研究員
長らく中東に駐在勤務されていた中東三井物産の大橋副社長が東京に戻られ三井物産戦略研究所で引
き続き中東情勢分析をされています。「イラクを始め、中東情勢は極めて流動的ですが、今回もそれら事
象を時事報告するのではなく、原因、起源、周辺情報にフォーカスして、皆様のご理解に供したいと思い
ます。」とのご本人の問題意識に基づくレポートを頂戴しましたのでご本人のご了解と転送許可を得て添
付させて頂きます。 中東でのビジネスを検討されている方々のご参考になれば幸いです。
日賑グローバル・ニュースレター国内版(第 74 号)
1. 米国の銃保持支持者にとってのガン設計のカリスマの裏切り?
2. リタイヤ年齢間近のアメリカ人の 5 人にひとりは老後資金なし
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 8 月 8 日付けレポートを弊社にてダイ
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4. 編集後記 ―ミラサポのご紹介
1.米国の銃保持支持者にとってのガン設計のカリスマの裏切り?
公共の場や学校での銃の乱射で一般市民が殺害される事件が生じるたびに銃規制の声が湧き上がる米
国で、それでも大きな規制には至らない背景に合衆国憲法修正第二条の人民の武装権(規律ある民兵
は、自由な国家の安全にとって必要であるから、人民が武器を保有し、また携帯する権利は、これを侵し
てはならない。)の存在と、最強のロビーング団体の1つである全米ライフル協会など既得権益の存在が
ある。その既得権益を支えるガンメーカーのドイツ Heckler & Koch 社の銃設計者の Ernst Mauch 氏は“業
界”では「ロックスター」と称されるほどに人気の高い高性能な銃を設計、製造してきた。パキスタンの隠
れ家でアルカイダの首領オサマ・ビン・ラディンを殺害した銃も Mauch 氏の設計したものと言われている。
その彼が iP1 という“賢い銃(スマートガン)”を開発し、米国ではメリーランド州やカリフォルニア州で販売
を開始した。この銃はその本来の持ち主であることを称する特別な腕時計を本人が着けていないと機能
しない安全メカニズムが装着されている。この時計と銃がワイヤレスでつながっており、銃に電子制御が
入っている。彼の設計したハンドガンを持って遊んでいた少年が誤って友人を射殺してしまった事件を契
機に Mauch 氏はスマートガンの開発に勤しみ、最終的に Heckler & Koch 社を辞め、自分の会社を作って
この開発を成功させた。 米国ニュージャージー州ではスマートガンが市場に登場してから 3 年以内にす
べての銃火器はスマートガンとすることを命ずる州法がある。かかる状況下、既得権組織団体の iP1 販
売に対する激しい反対運動が始まっている。Mauch 氏の活動を、ガンの自由な売買を阻害するものと認
識しているようだが、憲法の武装権を損なうものとは言えないであろう。 Mauch 氏を「ロックスター」と崇
めていた銃業界は一転、彼を「裏切り者」呼ばわりしているとのことだが米国の警察当局はこのスマート
ガンの導入を視野に安全性など詳細を確認すべく Mauch 氏との面談を希望しているという。
2.リタイヤ年齢間近のアメリカ人の 5 人にひとりは老後資金なし
米国連邦準備委員会が昨年 9 月から 10 月にかけて 4,100 人以上もの人々を対象に行った世論調査
によれば、31%の回答者が退職後の年金を持たず、取り崩すべき蓄えもない状況にあるという。回
答者の中で退職が現実的な 55 歳から 64 歳の層に限ってもその割合は 19%もある。逆に 18 歳から
29 歳の層の 41%は退職・老後のプランニングを考えたことすらないという。今回の調査で顕著な
ことは正規雇用者と非正規雇用者の老後準備の差である。民間企業従事者で正規雇用者の 4 分の 3
は何らかの老後資金(リタイアメントプラン)へのアクセスを有するが、非正規雇用者ではその
割合が 37%にまで下がる。もちろん米国人が 65 歳以降で収入がない場合の資金源として最も充て
にするのが国の社会保障であるソーシャルセキュリティだが、これもきちんと掛け金を納めてこそ
のリターンであり、今回の調査ではソーシャルセキュリティを老後の最大の収入源と回答した割
合は 45%しかいなかった。老後の生活レベルを維持するために、雇用があれば 65 歳以上も働き続
けるという回答の割合が 2008 年の金融危機以降増大し、45 歳以上の回答者の 41%にも上った。特
定の年齢以降一切働くことを止め悠々自適の生活をエンジョイするという従来のアメリカの典型
的ハッピーリタイアメントを想定している割合は全体の 18%のみであった。4 分の 1 の人は可能な
限り働き続けると答え、18%はパートで働き続けると回答。
最後にアメリカで最も多く用いられている 401(k)や 403(b)の積立型の個人年金については 44%も
の回答者が加入、一方、大企業のような企業年金を得られる権利を持っている人の割合は 18%であ
った。 日本でも非正規雇用者の割合が 3 分の 1 に及んでいる状況では、制度年金や個人積立型年
金へのアクセスを増す方策が望まれよう。
3.東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 8 月 8 日付けレポートを弊社にてダイ
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(1)
中国
 西沙諸島に灯台等建設
中国政府は今般、南シナ海の西沙諸島の5つの島や環礁で灯台など構造物の建設を始めるとしている。
表向きは、中国本土漁民の操業の支援のほか、周辺海域の海流などの観測拠点とするとしているが、ベ
トナムの反発は必至である。
(2) ベトナム 2015 年の最低賃金 15%アップへ
ベトナムでは今般、ベトナム政府と労使からなる「ベトナム国家賃金評議会」が開催され、「2015年の最
低賃金を現行より平均 15%引き上げる案を決定した。」と報告されている。これを首相が承認すれば、来
年1月から適用される見通しとなっている。
(3)韓国
 男女賃金格差の悪化、日本はワースト2
朝鮮日報は、8月4日付けの記事の中で、「韓国の男女の賃金格差は、経済協力開発機構(OECD)が
統計を取り始めた2000年以降、加盟国で最も大きい。しかも、OECD平均との開きは徐々に広がってい
る。OECDの最新統計で、2012年に韓国の男性労働者の賃金を100とした場合の女性労働者の賃金
は62.6に留まることが分かった。女性が男性より37.4%低く、格差は2012年の数値が明らかになっ
たOECD11カ国では最大である。日本が26.5%と2番目に賃金格差が大きく、米国(19.1%)、カナ
ダ(18.8%)、英国(17.8%)、スロバキア(16.0%)、チェコ(15.1%)と続く。 2000年に韓国の女
性の賃金は男性より40.4%低かった。次第に開きを縮めたとはいえ、2012年までの13年間で3.0ポ
イント改善したにすぎない。一方、日本は2000年の33.9%から2012年には7.4ポイント、英国も8.
5ポイント、それぞれ格差が縮小した。また、韓国はOECD平均との開きも広がっている。OECDが200
0年の19.2%から2011年に14.8%と4.4ポイント縮小したのに対し、韓国は40.4%から37.5%
へ2.9ポイントの縮小に留まった。」と報道している。尚、韓国政府・雇用労働部の調査によると、昨年、
韓国の男性の月給は平均266万4,000ウォン、女性はその64%にあたる170万5,000ウォンとなっ
ている。
 主要自動車メーカーの 7 月の販売台数、前年同期比 10.9%増
国内市場規模からすると、5社は多いとも言え、各社は輸出にも注力している。こうした中、速報基準で見
ると、その主要5社である現代自動車、起亜自動車、韓国GM、双龍自動車、ルノー三星自動車の韓国
完成車メーカー5社による今年7月の国内・海外販売台数は71万4,974台となり、前年同月対比10.
9%増加したと報告されている。国内工場の生産が順調だったことに加え、昨年7月に比べ夏休みシーズ
ンが遅く始まり勤務日数に余裕があったことも、生産と販売に良い影響を与えたと国内では分析されてい
る。
全般的な国内消費の冷え込みの中、新車効果で何とかプラス成長を維持した格好となっている。5社の
国内販売台数は12万7,319台で、前年同月対比1.9%の増加に留まっている。一方、5社の輸出は5
8万7,655台で前年同月対比13.1%増となっており、輸出は国内販売に比べて総じて堅調となってい
る。
 7 月の情報通信業界輸出前年同期比 1.7%増
韓国経済を支える産業の一つには情報通信分野が上げられ、その輸出動向は韓国経済を眺める一つの
バロメーターともなる。
こうした中、韓国政府・未来創造科学部と産業通商資源部は、「7月の韓国の情報通信技術分野の輸出
額は142億8,000万米ドルとなり前年同月対比1.7%増加した。」と発表している。 また、本年1~7
月累計の輸出額は前年同期対比3.0%増の981億米ドルとなり、過去最高を更新したとも発表している。
一方、7月の情報通信技術分野の輸入は5.8%増の71億5,000万米をドルとなり、これにより、情報
通信技術分野の輸出から輸入を差し引いた貿易収支は71億3,000万米ドルの黒字となり、貿易収支
黒字全体を支える一つの要因となっている。
[主要経済指標]
1.
対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/ 1,036.40(前週対比+0.35)
台湾:1米ドル/30.00ニュー台湾ドル(前週対比+0.01)
日本:1米ドル/101.71円(前週対比+1.22)
中国本土:1米ドル/6.1557人民元(前週対比+0.0222)
2.
株式動向
韓国(ソウル総合指数):2,031.10(前週対比-42.00)
台湾(台北加権指数):9,085.96(前週対比-180.55)
日本(日経平均指数):14,778.37(前週対比-744.74)
中国本土(上海B):2,194.425(前週対比+9.122)
4.編集後記― ミラサポのご紹介
今週参加した中小企業診断士資格更新講義の中で、ミラサポという中小企業庁による中小企業向け支
援策(助成金、補助金、低利融資、専門家紹介など)のワンストップポータルサイトの存在を知りました。
おそらくは多くの皆様がご存知なのかと思いますが、念のためその URL を下記いたします。
https://www.mirasapo.jp/?result_code=0
会員登録(無料)されますと様々な情報サービスが得られますが、なんといっても自分の事業に関して申
請可能な助成金・補助金の存在とタイミングなどの情報アクセスが非常に便利なサイトになっています。
まだご存じなかった方は是非会員登録されて、いろいろとお試し頂ければと思います。
日賑グローバル・ニュースレター国内版(第 73 号)
1.
北極海へのアクセス競争での遅れを意識し始めた米国
2.
GE がリードする製造業復活のひとつの方向性
3.
東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 8 月 2 日付けレポートを弊社にてダ
イジェスト版化
4.
編集後記 ― 政策分析ネットワーク特別シンポジウム「夢ビジョン 2020」の活動内容と今後の取り組
みについて
1.北極海へのアクセス競争での遅れを意識し始めた米国
米議会では北極海ワーキンググループが新たに組成されるという。目的は世界の主要国が既にしのぎを
削っている北極海へのアクセス競争への出遅れを取り戻すべくヒト
モノカネを確保するべく議会と政権の注意を得ることにあるという。
この夏、日本、中国、ロシア、カナダおよびスウェーデンは夫々の砕氷船で北極海の米国領海内を航行し、
航路や野生動物に対する気候変動の影響、そして北極海周
辺の特異な天候パターンや地理に関する情報収集を行う。ところが肝心の米国では自国領海内ですらそ
ういった情報収集活動も限定的であるという。 北極海海域には米
国人住民が居住しているだけでなく、石油・ガスや鉱物資源、新航路、そして国家安全保障面からも大き
な潜在価値を有している。4 年前にはドイツの商業船がロシア
の砕氷船の後をついて初の北極海北西航路通過を果たし、昨年夏には 71 もの船がその航路を通過して
いる。米国は来年の北極会議の議長国となり、北極周辺の科学的研
究から環境保護そして国境問題解決の議論をリードする立場となるが、他の加盟国は皆大使級の代表を
割り当てているのに対し、アメリカでは国務省でフルタイムの担当
官が 2 名いるだけの状況であった。最近になってオバマ政権は沿岸警備隊の元トップを北極の特別代表
として任命したが、北極会議に参加する代表は米議会が承認す
る「大使」であるべきとの主張が冒頭のワーキンググループを組成する議会筋から求められている。また、
装備に関してもロシア政府が 22 隻もの砕氷船を直接保有して
いるのに対し、米国は大型船 1 隻、中型船 1 隻しか保有していない。 北極海への直接のアクセスを持た
ない中国でさえ 2 隻目の砕氷船を建造中であるという。フィンラ
ンドやスウェーデンといった人口の少ない国でもそれぞれ 4 隻もの砕氷船を保有している。北極海権益の
実現にはまず米国自身の国連海洋法条約批准が必要となると考え
られるが、その議論はいまのところまだ聞かれない。
2.GE がリードする製造業復活のひとつの方向性
米国では相対的な人件費低下や豊富なシェールガスによる電気代の低下などで、オバマ政権が進める
製造業の復活に向け国内製造投資が増加している。ハイテク製造業分
野で投資が目立つのが GE である。イメルト社長の“すばらしい工場(brilliant factory)”構想では製造プロ
セスのハイテク化を進めると共に、そ
の製造設備の状況を部品レベルでリアルタイムに把握し、予防整備に生かていく。また、3 次元プリンター
を積極的に用いて部品のカスタマイズをタイムリーに行ってい
く。一例としてサウスカロライナ州グリーンビルにおいて 4 億ドルをかけ、ガスタービン関連の“すばらしい
工場”を建設中である。一方、既存工場の“産業インター
ネット(Industrial Internet)化”にも巨額の設備投資を行っている。具体的には米国内をはじめ世界中の自
社工場に数万単位の微小センサーを装
着し、工場内の温度や湿度、振動といった環境データと製造された部品や製品の重さや厚みから脆さと
いった繊細なデータを収集しそれら“ビッグデータ”の中から相関
関係を模索していく。その解析ソフトのために、GE は自社開発のみならず、Pivotal というビッグデータ分
析ソフトを作るベンチャー企業に 1 億ドル以上を投
資してきている。部品や製品の最終的な結果に影響を与える下請やパートナーなどサプライチェーン全
体をデータ的に把握することがこの Pivotal への投資目的の
ようである。こういった製造業のハイテク化の動きに投資家もようやく気付き始め、従来の油にまみれた
製造業のイメージからスマートで“いけている”投資対象となり
つつあるようである。
3.東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 8 月 2 日付けレポートを弊社にてダイ
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(1)
中国
●トップ 1%が全国の 3 分の 1 の富を保有する貧富の差
北京大中国社会科学調査センターは、調査を行い、「中国本土の上位1%の富裕層家庭が全国の3分の
1以上の財産を保有していることが分かった。一方、最下層2
5%の家庭が保有する財産は全国のたった1%程度となっている。」という結果を示している。
●7 月の PMI 前月比 0.7 ポイント上昇し 51.7。5 か月連続で改善。
中国国家統計局と中国物流購入連合会が発表した7月の製造業購買担当者景気指数(PMI)によると、
「PMIは、前月対比0.7ポイント上昇し、51.7となっ
た。」と報告されている。これにより、5カ月連続でPMIは改善しており、2012年4月以来の高水準となっ
ている。中国政府が4月以降、相次いで景気下
支え策を打ち出していることへの期待が広がり、企業心理が好転していると見られている。
(2) フィリピン人口 1 億人突破
フィリピン政府は、フィリピンの人口が1億人を突破したと見られると発表している。同国保健省は、毎分3
人の赤ん坊が誕生しているとの推計に基づき、27 日午
前0時6分に1億人を超えたとしている。 フィリピンの人口は2010年の国勢調査で9,234万人どあり、
0~14歳が34%、15~64歳の労働力人口が6
2%、65歳以上が4%と若年層の割合が高く、今後の経済成長の可能性も高まるかもしれない。
(3)韓国
●現代自動車 2014 年米国自動車商品魅力度調査でトップ
米国の民間調査会社であるJ.D.パワーは、「2014年米国自動車商品魅力度(APEAL)調査」を発表
したが、これによると、現代自動車が一般部門の20ブラ
ンド中1位、起亜自動車が6位に入っている。現代自動車が1位に選ばれたのは米国進出以来初めてで
ある。現代自動車は今回、1000点満点で804点を獲
得し、2位ラム、3位フォルクスワーゲン、4位ローバーミニなどを上回ったとされている。また、同グループ
の起亜自動車は791点を獲得し、6位に入った。現代自
動車は、更に一般ブランドで初めて品質満足度調査と商品魅力度調査で1位となる2冠を達成したことに
もなる。しかし一方で、現代自動車が発表した2014年6月中
間決算短信によると、同社の売上高は前年同期対比0.3%減の44兆4,017億ウォン、営業利益は5.
8%減の4兆256億ウォン、当期純利
益は5.1%減の4兆3,780億ウォンと減収減益となっている。同社の李副社長(財経本部長)は、「ウォ
ン高が下半期にも続くとみられ、多角的に対処していきた
い。」とコメントしている。
●上半期対中投資額前年同期比 45.6%増(日本は 48.8%減)
韓国貿易協会の北京支部が発表した統計によると、本年上半期(1~6月)の韓国企業の対中国本土投
資金額は、前年同期対比45.6%増の28億米ドルとなってい
る。 これは、韓国企業の対外投資の中では、香港、台湾、シンガポールに次いで多いとなっていると報
告されている。 一方、上半期の日本の対中国本土投資額は前年
同期対比48.8%減の24億米ドルとなっており、中国本土経済に近づく韓国と中国本土経済離れをする
日本の状況も垣間見られる。 韓国経済は外需部門に支えら
れ、その中核となる輸出の最も大きな相手国は中国本土となっているが、対中投資も増加基調にあり、
一層、中国本土依存が高まる可能性はあろう。 そして、中国本
土はこうした状況を意識してか、中韓FTA協議に関して、「年内にも妥結したい。」との意向を示唆してい
ると伝えられている。
●輸出型中小企業の景況感悪化
中小企業中央会は、先月に中小企業310社を対象に下半期の経営リスクを調べた結果を公表した。こ
れによると、輸出企業99社のうち、60.6%はウォン高の影
響で、収益性が「悪化」(52.5%)、または「非常に悪化」(8.1%)すると予測している。また、規模が小
さい企業ほど、収益性悪化に対する懸念が大きかっ
た。一方、収益性が現在の水準を維持するとした回答34.3%、改善するとした回答は5.1%に留まっ
た。韓国の経済状況については、中小企業全体の1
3.5%が「非常に深刻」、52.9%が「深刻」と見ている。特に「内需低迷で経営状況が深刻」だと回答し
た企業が55.5%に達している。更に、下半期の経営リ
スクとしては、「経済政策の不確実性」(43.9%、以下複数回答)、「旅客船沈没事故による消費心理低
迷」(40.0%)、「ウォン高」(33.5%)、「中国
景気鈍化などによる輸出低迷」(29.0%)などが挙げられている。韓国政府に求める政策では「消費心
理の回復に向けた努力」(47.4%、以下複数回
答)が最も多く、「スピード感のある規制緩和推進」(21.9%)、「為替安定化」(20.6%)、「内需活性化
に向けた追加予算編成」(19.4%)などの回
答があった。また、経済活性化のために政策金利の引き下げが必要だとする回答が60.0%に達した。
[主要経済指標]
1.
対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/ 1,036.75(前週対比+3.25)
台湾:1米ドル/30.01ニュー台湾ドル(前週対比-0.04)
日本:1米ドル/102.93円(前週対比-1.02)
中国本土:1米ドル/6.1779人民元(前週対比+0.0130)
2.
株式動向
韓国(ソウル総合指数):2073.10(前週対比+39.25)
台湾(台北加権指数):9,266.51(前週対比-172.78)
日本(日経平均指数):15,523.11(前週対比+65.24)
中国本土(上海B):2,185.303(前週対比+58.689)
4. 編集後記― 政策分析ネットワーク特別シンポジウム「夢ビジョン 2020」の活動内容と今後の取り組
みについて
今週都内で行われた掲題のシンポジウムでは文部科学省大臣官房政策課評価室長の斎藤卓也さんを
ゲストスピーカーとしてお迎えし「夢ビジョン 2020」についての紹
介がありました。(詳細は→http://www.mext.go.jp/a_menu/yumevision/)
このビジョンは、下村文部科学大臣が 2020 東京オリンピック・パラリンピック担当大臣として任命され、そ
の担当大臣としての指示で、オリンピック・パラリンピッ
クの開催を契機に日本社会の将来に向けた変化の大きなうねりを起こすことを狙ったものだそうです。そ
こでのキーワードは“オリンピック・レガシー”で、オリンピッ
ク・パラリンピック自身の開催を通じ、それを間接的に支える開催国の教育・人材、科学技術、まちづくり、
シニア、健康、そして文化によい遺産を残し、ひいては将
来の日本社会のあるべき姿に生かしていくというもの。この点で 2012 年のロンドン・オリンピックでのレガ
シー・アクションプランが地方と若者を包含し、文化の成
熟度を世界に訴求することに成功したことが一つのモデルになっているとのことです。 産・官・学・地方自
治、老若男女、体の不自由な方がこのビジョン 2020 の議
論に積極的に参加しつつあるそうで、これから作られる東京オリンピック・パラリンピックのレガシー・アク
ションプランが期待されます。議論のプロセスに外国人の視
点も加えていくといいと感じました。
日賑グローバル・ニュースレター国内版(第 72 号)
1. 大統領の支持率と中間選挙の勝敗の相関関係
2. 認知症患者の事故予防とプライバシーのバランス
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 7 月 28 日付けレポートを弊社にてダイ
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4. 編集後記 ―インドネシア投資セミナーに行ってきました。
1.大統領の支持率と中間選挙の勝敗の相関関係
政治世論調査を行うギャロップの最新の調査ではオバマ大統領の支持率は 43%となっている。そのギャロ
ップによれば、1944 年から 2006 年までの大統領で、支持率が 50%を切る大統領が迎える中間選挙では
大統領が所属する党は下院議席数を平均 36 議席失ってきているという。その数値はオバマ大統領に関
しては 2010 年の中間選挙で 63 もの下院議席を失ったことからして低すぎるかもしれない。社会問題の世
論調査を行うピュー・リサーチ・センターによれば、今年 11 月の中間選挙に投票する意思のある有権者
の約 3 割が選挙区の候補者の優劣以上にオバマ大統領に対する不支持のメッセージとして共和党に投
票すると答え、大統領を支持すべく民主党に投票すると答えた 19%を大きく上回る。この割合は 2006 年の
ジョージ・W・ブッシュ大統領の際の中間選挙において、38%が反ブッシュで 15%が親ブッシュの投票意思で
あったのに比べればまだましだが、前回のオバマ大統領自身の 2010 年の中間選挙時の反オバマ投票
28%、親オバマ投票 23%に比べれば悪化している。共和党支持層でみると、55%は反大統領の意図で投票
するという。これが保守層となると 61%に上昇する。一方、民主党支持層では大統領支持の意図で民主党
候補に投票する割合は 38%となる。中間層では 27%が候補者によらず、反大統領の意図で共和党に投票
し、大統領支持の意図で民主党候補に投票する予定者はわずか 10%という。ということで中間選挙は大
統領選とは関係ないといいながらも、その勝敗に大統領支持率が密接に絡んでくるようである。
2.認知症患者の事故予防とプライバシーのバランス
米国では Wi-Fi 環境の充実と、身に着けられるウェアラブルデバイスの発達、そして iPod Touch と iPod
アプリのようなハード・ソフトの低価格化から介護施設において認知症、アルツハイマー症と診断された要
介護者が徘徊や転倒で危険に晒される事態を予防する新しいシステムが試行されている。 コネチカット
州シェルトンのベンチマーク老人介護施設ではペンダント型ウェアラブルデバイスと iPod Touch、iPod ア
プリをベースに Stanley Black & Decker が開発した入居者のリアルタイムモニタリングシステムが試行さ
れている。
試行期間中に 40 人もの入居者の行動パターンを蓄積し、平時の状況から有事の状況をタイムリーに選
別する能力をシステムに蓄える。従来は何か有事があると全館でアラームが鳴り、他の入居者にも影響
が出たが、このシステムが所期の目的通り稼働すれば入居者別に担当介護者にアラームが行くことにな
り、他の入居者への影響は出ない。また、入居者の家族には入居者の行動パターンや有事の記録を知り
たがる人も多く、その場合にはシステムが行動パターンの記録をダウンロードして見せることが可能にな
る。
一方で入居者のプライバシーの問題も残る。 「プライバシーとは単に情報管理(入居者の家族から情報
使用許可を得る)ということ以上に、人間をどのように扱うか、その尊厳をどう保つかどうかということであ
る。」と主張するプライバシー保護団体もある。
3.東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 7 月 28 日付けレポートを弊社にてダイ
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(1)
中国
 不動産価格主要都市の 8 割で下落
中国国家統計局は、「中国の6月の主要70都市の新築住宅価格動向を見ると、55都市で前月より価格
が下落した。」
と発表している。下落した都市数は、5月は全体の半数の35都市となっていたが、6月は約8割の都市に
広がっている点が特徴である。また、最大の値下がり幅も浙江省杭州で1.8%と、5月の1.4%から拡
大したとも報告されている。
 人民元決済割合の増大
中国本土はもとより、中国本土の影響力が強い香港と他の国・地域との資金決済額に占める人民元のシ
ェアは5月時点で12%と米ドルに次ぐ2位に上昇したとも見られている。特に、中国本土が大量の資源・
エネルギーを輸入している中南米や中東との間では6割前後に上り、米ドル一極集中の見直しを掲げる
中国本土は、最近では、その影響力拡大を背景にして、力ずくで欧州やアジアで決済銀行を指定するな
ど、人民元の国際化を進展させようとしている。BRICS銀行設立の動きを見せるなど、中国本土はいよ
いよ本格的に、「米ドル基軸を中心とするブレトンウッズ体制」に対して挑戦してくる姿勢を示しているので
はないか。
 1 年半ぶりに高い景況感
英国の金融大手HSBCは、「中国本土の7月の製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は52となり、
6月確報値である50.7より1.3ポイント改善している。」と伝えている。2013年1月以来、1年半ぶりの
高水準となっている。中国政府の景気下支え策が奏功し、景況感改善が続いているとみられており、実
際に、好不況の節目となる50を2カ月連続で上回っている。 中国本土政府は、不動産価格の下落など
を要因とした景況感の悪化に対応するため、4月からインフラ整備の加速や基準金利の一部引き下げな
ど景気刺激策を打ち出している。そして、HSBCは、「中国本土政府の緩和的な政策が安定的な成長に
繋がっている。」と分析している。
(2)韓国
 アジアの空港効率トップ 5 のうち 3 か所は韓国
韓国の空港の運営効率が国際的にも評価されていると韓国マスコミでは報じられている。韓国マスコミ各
紙は、航空交通調査学会(ATRS)が発表した「アジア空港運営効率性ランキング」を引用し、「5位までに
韓国の空港3カ所が選ばれ、中国本土や日本の空港を圧倒した。」とも報道している。 同ランキングはア
ジアの主要39空港の収益性、効率性を総合した競争力を評価したもので、1位に釜山の金海空港、2位
に済州空港、3位にソウルの金浦空港がそれぞれ選ばれ、また仁川空港も6位となっている。
 三星重工業、造船ビジネスについて
三星重工業は、8万8,000トン級の超大型エタン運搬船(VLEC)を6隻受注したと発表している。 小型
のエタン運搬船は中国本土などで建造されているが、8万立方メートルを超える大型運搬船の建造は世
界でも例がないと韓国国内では伝えられている。発注元はインドのリライアンス・インダストリーズで、受
注額は7億2,000万米ドルとなっている。リライアンス・インダストリーズは、インド有数の企業グループ
の一つであるリライアンス・グループの製油・化学子会社で、米国産エタンを輸入するため、VLECを発注
したものである。尚、韓国の造船業界関係者は、「韓国企業はガスタンカーで既に豊富な経験と技術力を
蓄積しており、エタン運搬船の受注でも今後、世界をリードする可能性が高い。」と指摘している。
[主要経済指標]
1.
対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/
1,025.80(前週対比+3.25)
台湾:1米ドル/29.97ニュー台湾ドル(前週対比+-0.00)
日本:1米ドル/101.91円(前週対比-0.59)
中国本土:1米ドル/6.1913人民元(前週対比+0.0162)
2.
株式動向
韓国(ソウル総合指数):2,033.85(前週対比+14.43)
台湾(台北加権指数):9,439.29(前週対比+38.32)
日本(日経平均指数):15,457.87(前週対比+242.16)
中国本土(上海B):2,126.614(前週対比+67.547)
4.編集後記― インドネシア投資セミナーに行ってきました。
ジェトロ横浜と横浜商工会議所共催の掲題セミナーでジェトロの塚田課長代理の最新インドネシア投資環
境のお話を聴講しました。同国の大統領選挙委員会でジョコ・ウィドド氏の勝利を公式に確定した直後の
お話でした。2020 年には富裕層(世帯年間可処分所得 3.5 万ドル超)約 2 千万人、上位中間層(同 1.5 万
ドル超)6 千万人、下位中間層(同 5 千ドル超 1.5 万ドル以下)1.2 億人という巨大消費市場としての魅力が
感じられました。それもあってか、「日本企業から見た中期的(今後 3 年程度)有望事業展開先国・地域ラ
ンキング(JBIC アンケート調査)」では 2006 年から 2012 年まで中国が常にトップであったものが昨年はイ
ンドネシアがトップになっています。一方でジェトロによる日系企業実態調査では、日系企業が感じる投資
環境上の課題としてアセアンの近隣諸国やインドと比較した場合、①人件費の高騰、②労働争議・訴訟、
③不安定な政治・社会情勢の項目でワーストにあり、インフラの未整備、現地政府の不透明な政策運営、
不安定な為替の項目でも 2 番目に悪い環境と評価されていました。ボトムラインとしてインドネシア進出の
日系企業の今年の営業利益の見通しでは 54.5%の企業が「改善」と回答(昨年は 64.8%)、同国での業容
拡大方針を昨年の時点で決めていた日系企業が 66.4%(2012 年は 77.3%)とのことで、マイナス面・懸念点
への注意を喚起しつつも大きなプラス面に向けて前進していこうとしている日系企業の姿が浮き彫りにな
ったセッションでした。
日賑グローバル・ニュースレター国内版(第 71 号)
1. 景気回復を実感できず支出を控え手元に現金を残すアメリカ人
2. アマゾンの電子書籍の新商法
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 7 月 19 日付けレポートを弊社にてダイ
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4. 編集後記 ―ジャパンボウル優勝者と架け橋プロジェクト対象者歓迎会に行ってきました。
1.景気回復を実感できず支出を控え手元に現金を残すアメリカ人
経済動向調査会社の Moebs Services によれば、昨年末時点で米国人は預金金利が一番低い当座預金
口座に平均 4,436 ドル保持していたという。これは米国の歴史の中でもかつてない高い預入残高とのこと。
過去 25 年間の平均ではその金額が 2,100 ドルであったので倍以上になっている。この調査会社の分析で
は原因は 6 年前の米国住宅バブル崩壊とリーマンショックに伴う世界同時経済危機、不況の影響が残存
し景気回復が実感できていないためという。具体的には雇用の安定性・安全性や賃金上昇の見通しが良
くないことが当座預金残高の歴史的高位に現れているという。 アメリカ人が雇用と賃金に自信を持って
いた最後の時期は 2007 年でその時の当座預金平均残高はわずか 778 ドルであった。この調査会社の分
析では、失業率が低く、インフレが抑制されている経済環境では、米国人の当座預金平均残高は 1,400 ド
ル前後となるという。経済がバブル気味にヒートアップした場合は 1,000 ドルを切ると。 当座預金残高を
積み増す心理はいざというとき最も頼りになるキャッシュという非常食的感覚で、その量がここまで増して
いるということはやはりリーマンショックという有事の悪影響の大きさが残像として残っているためと思わ
れる。
2.アマゾンの電子書籍の新商法
アマゾンが電子書籍の読み放題月極め価格を発表した。“キンドル無制限(Kindle Unlimited)”というサー
ビスで、毎月 9.99 ドル支払えば、キンドルで読める電子書籍のうちの 60 万冊と数千もの音声本が好きな
だけ読めることになる。具体的には購読者はインターネット上にあるアマゾンの書店をチェックし、Kindle
Unlimited というロゴのついている本であれば好きなだけダウンロードできる。 アマゾンと書籍出版会社
は電子書籍においての売り上げのシェアについてまだ係争中だが、このビジネスモデルがより多くの収益
を出版会社にもたらすかどうかは予測がつかないようである。通常、読者が電子書籍のある一定の割合
を読み終えたところで、その出版会社の売り上げが同書籍の小売価格の上記の割合の分計上され、電
子書籍サービス会社から出版会社に支払われる。一般的にこの割合は 20~25%という。今回の読み放題
の対象は新刊本ではなく、既に出回っている本が主体となるが、その場合、ペーパーバックの出版会社
にとっては大いなる脅威となりえる。 今般電子書籍から始める月額無制限利用商法は、アマゾン帝国の
中で他の商品やサービスに横展開されていくと見られており、その試金石ともいえるのかもしれない。
3.東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 7 月 19 日付けレポートを弊社にてダイ
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(1)
中国
 為替安による外需堅調が支えた GDP 成長率 7.5%
中国国家統計局は、本年4~6月期の実質国内総生産(GDP)成長率に関して、「前年同期対比7.5%
になった。」と報告している。中国本土の実質GDP成長率は昨年10~12月期の同7.7%から今年1~
3月期は7.4%と減速していたが、今回は微増であるもの増加に転じたことになる。人民元の対米ドル為
替レートが昨年に比較するとやや低め安定し、外需部門が堅調に推移する中で中国本土政府が打った
景気刺激策が一定の効果を上げていると見ておきたい。
(2)シンガポール本年 4~6 月 GDP2.1%増に鈍化
シンガポール政府・通産部(MTI)は、本年4~6月のシンガポールの実質国内総生産(GDP、速報値)は
前年同期対比2.1%増となったと発表している。伸び率は1~3月期の4.7%より鈍化している。製造業
が前年同期対比0.2%増と前四半期の同9.9%増から減速しており、電子機器の生産鈍化が影響して
いるものと見られている。
(3)韓国
 本年上半期海外プラント受注高過去最高の 337 億ドル
韓国政府・産業通商資源部は、本年上半期(1~6月)の韓国企業の海外プラント受注額が過去最高の3
37億米ドルを記録したと発表している。これはまた、前年同期対比20.2%増となっている。詳細を見る
と、地域別では中東から5割超となる174億米ドル、新興市場のアフリカからは過去最高の56億米ドル
を受注したと報告されている。 また、現代建設、SK建設、GS建設、現代エンジニアリングによるコンソ
ーシアムが受注した60億米ドル規模のイラク・カルバラの製油所建設が最大プロジェクトであったが、こ
うしたことからすると、今後のイラクの混乱は代金回収困難の問題にも繋がる危険性があり、注視したい。
尚、韓国政府は今年のプラント受注目標額700億米ドルの達成に向け、中南米や中央アジアの主要発
注先に受注攻勢をかける方針を示しており、産業通商資源部では、「下半期にも世界景気回復や開発途
上国の産業インフラ拡充などで大型プラントの発注が続く。」と予想している。
 中小企業支援のためのチャイナ・ハイウェー・プログラム
韓国政府・中小企業庁は、技術力が優れた中小企業が韓国の内需市場だけでなく、巨大人口を抱える
中国市場を攻略できるようにするため、「チャイナ・ハイウエー・プログラム」と名付けた資金支援プログラ
ムを実施すると発表している。支援額は最大 1 億ウォンとなる。 支援対象となった中小企業はまず、中
国本土市場でどれだけ競争力があるかについて評価を受け、続いて、世界的なコンサルティング会社、
法律事務所、会計事務所などと共同で現地進出戦略を立て、海外マーケティング、現地化事業を推進す
るという計画となっている。また、韓国政府は独自審査で約60~100社程度を選定すると言う計画も示
されている。
 輸出型中小企業の景況感悪化
中小企業中央会は、先月に中小企業310社を対象に下半期の経営リスクを調べた結果を公表した。こ
れによると、輸出企業99社のうち、60.6%はウォン高の影響で、収益性が「悪化」(52.5%)、または
「非常に悪化」(8.1%)すると予測している。また、規模が小さい企業ほど、収益性悪化に対する懸念が
大きかった。一方、収益性が現在の水準を維持するとした回答34.3%、改善するとした回答は5.1%
に留まった。韓国の経済状況については、中小企業全体の13.5%が「非常に深刻」、52.9%が「深刻」
と見ている。特に「内需低迷で経営状況が深刻」だと回答した企業が55.5%に達している。更に、下半
期の経営リスクとしては、「経済政策の不確実性」(43.9%、以下複数回答)、「旅客船沈没事故による
消費心理低迷」(40.0%)、「ウォン高」(33.5%)、「中国景気鈍化などによる輸出低迷」(29.0%)な
どが挙げられている。韓国政府に求める政策では「消費心理の回復に向けた努力」(47.4%、以下複数
回答)が最も多く、「スピード感のある規制緩和推進」(21.9%)、「為替安定化」(20.6%)、「内需活性
化に向けた追加予算編成」(19.4%)などの回答があった。また、経済活性化のために政策金利の引き
下げが必要だとする回答が60.0%に達した。
[主要経済指標]
1.
対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/ 1,029.05(前週対比-10.35)
台湾:1米ドル/29.97ニュー台湾ドル(前週対比-0.03)
日本:1米ドル/101.32円(前週対比-0.04)
中国本土:1米ドル/6.2075人民元(前週対比-0.0041)
2.
株式動向
韓国(ソウル総合指数):2,019.42(前週対比+30.68)
台湾(台北加権指数):9,400.97(前週対比-94.87)
日本(日経平均指数):15,215.71(前週対比+51.67)
中国本土(上海B):2,059.067(前週対比+12.106)
4.編集後記― ジャパンボウル優勝者と架け橋プロジェクト対象者歓迎会に行ってきました。
ワシントン日米協会の毎年恒例のイベントの1つの「ジャパンボウル」は全米の日本語を学習する高校生
が学校単位でチームを組んで現代日本語能力と日本の文化・歴史・常識・トレンドといった知識を競い合
うチャンピオンシップです。http://www.jaswdc.org/Resources/Documents/JapanBowlJapanese.pdf
4 月に行われたワシントン DC での決勝戦と表彰式の様子をたまたま現地で見させていただきそのレベル
の高さに改めて驚きました。今年は優勝チームに加え、外務省の「架け橋プロジェクト」のお蔭で準優勝
以下のチームも含め総勢 43 名の高校生が日本に派遣されることになり、大阪でのホームステイの後に東
京での今回の歓迎会となりました。歓迎会はワシントン日米協会と駐日米国大使館の共催で虎ノ門のア
メリカンセンタージャパンで盛大に行われました。ワシントン日米協会のマロット会長からは、「ジャパンボ
ウル」の人気が米国内はもとより海外にも飛び火している様子の紹介があり、ロンドンでも新たにジャパン
ボウルが開催されることになったとのことでした。 藤崎一郎前駐米全権大使は擬音語・擬態語の繊細な
感情表現や状況描写に関するクイズを出され高校生たちの挑戦心・好奇心にうまく火をつけられていまし
た。また、ジェイソン・P・ハイランド主席公使は「日本語を選択したこと」は正解であったことを自分のキャ
リアを紹介しながら語られていました。 会場では優勝チームのカリフォルニアの高校の女子生徒 2 名と
歓談でき、一人はオハイオ州立大学で日本語・日本文化のコースに進み、日本に留学するところまで視
野に入っていました。 もう一人も将来日本語を生かしたキャリアを模索したいと語っていました。 頼もし
いと感じた次第です。
日賑グローバル・ニュースレター国内版(第 70 号)
1. 学歴による経済格差とジェントリフィケーション(下層住宅地の高級化)
2. エアバスの新たな座席案
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 7 月 14 日付けレポートを弊社にてダイ
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4. 編集後記―
インバウンドセミナーに行ってきました
1.学歴による経済格差とジェントリフィケーション(下層住宅地の高級化)
米国国勢調査のデータでは、大卒と高卒の所得差は 1980 年頃は 38%であったものが 2000 年には 57%、
2011 年には 73%にまで拡大している。 収入というステータスの違いに加え、居住地域の違いに伴う“生
活の質の差”が目立っているという。
ニューヨークやサンフランシスコといった大都会には利便性と共に、教育、文化、娯楽など高い魅力があ
るため大卒が多く殺到することにより地価が上昇し、下層階級が締め出されている。ある統計では、大都
市の住民構成に占める大卒の率が 1%上昇すると平均家賃が 0.6%上昇するという。1980 年以前では、大
都市で高収入が期待できることから高卒を含めて労働力が殺到し、それがむしろ賃金を押し下げた。とこ
ろが今、大都市圏で高卒に良い収入を出す仕事など最早なく、それらは大卒に集中されている。 そして、
大卒向けの賃金は上昇中である。あるデータでは、一つの都市の雇用に占める大卒の割合が 1%上昇す
ると賃金が 0.3%上昇する。そして、収入とは別に、大都市自身がこの数十年の間にレストランや劇場、博
物館、美術館、ドライクリーニングなどの施設を大幅に拡充し、また公害や土地犯罪を著しく減らしたこと
から、学歴の差は単に所得のギャップを加速させるだけでなく生活の質を大きく異ならせているという。
参考までに、OECD の「国際成人力調査」で、日本人で仕事に必要な学歴より自分の学歴のほうが高い
「オーバークオリフィケーション」と思っている人が 31.1%に達したと、昨年 10 月の朝日新聞が伝えている。
この数字は参加 23 か国・地域の中で最も高く、次いで英国の 30.2%、韓国 21.2%、米国 19.7%となる。
日本では就職後に仕事を覚えるのが一般的で、企業は潜在力を求めるためオーバークオリフィケーショ
ンの人が多くなるということが理由の一つとして紹介されていたが、終身雇用でない米国の大卒のほうが
実力を総動員してクリエィティブに生産性を高める努力を行うプレッシャーが高いことは事実なのであろ
う。
2.エアバスの新たな座席案
中型、大型旅客機の製造販売で米国ボーイング社と鎬を削る欧州エアバス社が最近新型の旅客シート
の特許を申請した。お尻があたるクッションは自転車のサドルのような形で、未使用の場合は両肘掛と共
に 90 度上に折りたたまれてスペースができる。食事やスナック類、飲み物のカップを置くトレイテーブルや
映画・音響を楽しむスクリーンはもとより操作リモコン収納スペースも省かれている。この新型座席の目
的はより多くの旅客を積み込むことにある。この点、特許申請における背景説明では、乗客の体格が
年々大型化する中でこれ以上座席前後間の距離(レッグスペース)を縮めることは困難なため、次善の
策としてこの新型シートを検討するようである。1~2 時間程度のフライトならこの居心地の悪さも耐えられ
るはずとの読みがエアバスにはあるとのこと。LCC の登場でコスト勝負の航空業界となりつつあるが、電
車や乗り合いバスの座席より悪い居心地ともなりかねない
3.東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 7 月 14 日付けレポートを弊社にてダイ
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(1)
中国
 李首相経済状況の改善に強気の発言
国営新華社は、「李克強首相が視察先の湖南省で開いた会合に於いて本年4~6月期の経済状況は1
~3月期に比べて改善したと発言した。」と報道している。景気に対して厳しい見方が出ている中、比較的
楽観的な見解を示したと言える。
 中韓産業協力覚書締結
中国の習国家主席と共に韓国を訪問した苗ウ・工業情報相、高虎城 ・商務相は、韓国のユン産業通称
資源部長官と会談、韓国の朴大統領と習近平国家主席が首脳会談で合意した経済協力事業の追加措
置などについて協議した。その結果、中韓両国は首脳会談で、緊密な産業協力システムを構築する内容
の了解覚書と地方政府間の協力事業を中央政府が支援するとした地域通商協力に関する了解覚書を交
わした。ユン長官は会談で中韓両国の貿易規模は大きいが、政府間の対話の窓口が設けられていない
ディスプレー分野で窓口を設置することを提案、中国側は高水準の自由貿易協定(FTA)締結に向け、積
極的に取り組むよう要請している。
(2)フィリピン 6 月の消費者物価指数 4.4%
フィリピン政府・統計庁は、「フィリピンの6月の消費者物価指数(CPI)上昇率は4.4%となった。」と発表
している。前月の上昇率よりも0.1ポイント僅かに下がったが、年初からは上昇基調が続いており、景気
先行き懸念は払拭されていない。
(3)マレーシア中銀政策金利を 3.25%へ引き上げ
マレーシア中央銀行は、主要政策金利を3.00%から3.25%に0.25%引き上げると発表した。マレー
シア中銀は2011年5月以来、金利を据え置いており、利上げは3年ぶりとなる。そして、マレーシア中銀
は、「経済の底堅い成長が見込まれ、物価上昇率が長期平均を引き続き上回る中、MPC(金融政策委
員会)は金融緩和策の調整を決定した。金融政策の正常化により、マレーシア経済に於ける将来の成長
を阻害する広範な経済リスクや財政的不均衡を解消することも目指す。」と利上げの背景を説明してい
る。
(4)インド政府2014年度予算案 - インフラ整備と産業育成重視
モディ首相に期待されている経済問題に関連して、予算案では、今後の経済成長にも重要となるインフラ
整備や産業育成に支出を重点配分するとしている。一方、インド経済の根源的な課題とされている巨額
の財政赤字については、これを圧縮していく工程表を示し、財政健全化を目指しながら、産業振興を進め
ていくという政策運営姿勢を示唆しており、内外での期待感は高い。また、予算案の中で国防費を前年度
対比12.4%増の2兆2,900億インドルピーにするとしている点も注目されている。 インドの国防費は
南アジアで存在感を強める中国本土を意識し、過去10年間で3倍近く増加していると言われている。こう
したトレンドを受けて。今回の予算案では、具体的には、インド軍が保有している旧式装備の近代化を急
ぐとともに、国境地帯での鉄道開発も進めたいとしている。 また、防衛分野の外資出資規制の上限をこ
れまでの26%から49%に引き上げるとも表明しており、規制緩和で外資を導入し、国内軍需産業の育
成を進める意向も示唆している。
(5)韓国
 本年 1~6 月の造船受注高、受注シェア共に大幅減少、中国にシェアで抜かれる
海運・造船市況分析機関の英クラークソンのデータを引用した韓国国内のマスコミ報道によると、本年1
~6月の全世界の商船受注量は944隻、2,048万CGT(標準貨物船換算トン数)で、前年同期の1,2
36隻、2,473万CGTよりCGT基準で17.2%減少している。 そして、韓国の造船企業は上半期に55
5万CGT(164隻)を受注したものの、前年同期の787万CGT(230隻)より29.5%減となっている。ま
た、受注市場シェアも31.8%から27.1%に減少している。
中国は今年初めに低迷したものの、3月から受注量が急激に増え909万CGT(481隻)の受注を記録し
ている。受注額でも韓国は中国に抜かれ、本年上半期は中国本土が145億米ドルで韓国の132億米ド
ルを抜いている。また、日本は本年上半期に345万CGT(177隻)を受注し、市場シェアは19.0%から
16.8%に減っている。
 人民元建て外貨預金急増中
中央銀行である韓国銀行は、「6月末現在の国内居住者の外貨預金残高のうち、人民元建て預金が11
9億7,000万米ドル相当となり、前月より6億4,000万米ドル相当増となった。」と伝えている。 そして、
全体の外貨預金残高である589億5,000万米ドル相当に占める人民元建ての割合は20.3%で初め
て2割を超えたことになる。 更に、前年同月には2億6,000万米ドル相当に過ぎなかった人民元建て預
金が1年で50倍近く増加したことにもなる。 こうした背景には、国内の機関投資家が高金利の中国本土
系銀行で預金を増やしたためと見られているが、動機はいずれにしても、中韓の金融取引の一側面での
緊密化も進展していると見ておきたい。
[主要経済指標]
1.
対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/ 1,018.70(前週対比-10.15)
台湾:1米ドル/29.94ニュー台湾ドル(前週対比-0.07)
日本:1米ドル/101.28円(前週対比-0.79)
中国本土:1米ドル/6.2034人民元(前週対比+0.0004)
2.
株式動向
韓国(ソウル総合指数):1,988.74(前週対比-20.92)
台湾(台北加権指数):9,495.84(前週対比-14.21)
日本(日経平均指数):15,164.04(前週対比-273.09)
中国本土(上海B):2,046.961(前週対比-12.414)
4.
編集後記― インバウンドセミナーに行ってきました
週末に都内で行われた中小企業診断士協会東京支部中央支会主催のインバウンドセミナーに公益
財団法人東京観光財団(TCVB)総務部企画広報課 片岡恵美子企画係長が講師として最近の訪日観
光客動向を紹介されました。その中の主な特筆事項をご紹介させて頂きます。
 インドネシアとフィリピン、ベトナム旅行者の訪日ビザ発給が今年緩和される。
 日本への観光客のトップ 3 は韓国 23.7%、台湾 21.3%、中国 12%。国別の日本での総消費高では
中国、台湾、韓国の順。 一人当たりの消費額ではトップは豪州、次いでロシア、中国の順。
タイも結構上位。豪州が上位なのは滞在日数が長いため。いずれにせよ中国は大切。
 昨年タイとマレーシアの訪日ビザが緩和され、タイ人が 76%増、マレーシア人が 34%増となった。
 日本への観光客のショッピング上の不満はカードが使えない、外貨を扱う ATM がない、外貨を
扱う銀行もないという決済面。
 日本への旅行客のショッピングを誘発すべく政府は免税制度を拡充する。まず、免税適用最低
購入高を今の 1 万円から 5 千円に引き下げ、税還付手続きを簡素化させる。また、菓子、食料
品、飲料など従来は対象外であった消耗品も対象とする。
 アジアからの旅行客の訪日のニーズはショッピングと温泉。欧米人は美術、文化、歴史、自然
との触れ合い。
 世界の旅行口コミサイト“トリップアドバイザー”において「東京都」が旅行客満足度世界一
を獲得した。人々が親切で、街が清潔、安全、公共輸送機関が便利。
 今、東京を訪れる観光客にとっての人気スポットは、「浜離宮」、「渋谷スクランブル交差点」、
「ロボットレストラン」、イベントとしてはサイクリング、すしメイキング、個人宅で家庭料
理教室など。
 海外における情報発信が大切であり、東京都として海外の旅行会社を招へいしたり、旅行博に
出展したりしている。
最後に、講師の片桐係長はインバウンドのキーワードとして、①自らの良さを見つけて目の前の客
を大切に(口コミ意識)、②「面」で取り組む、すなわちグループ対応が大切、そして③情報収集
が重要であることを強調されていました。
日賑グローバル・ニュースレター国内版(第 69 号)
1. オバマ大統領のダイバーシティにかける強い思い
2. あなたの余命を顔写真から判断します①(編集後記に続く)
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 7 月 5 日付けレポートを弊社にてダイ
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4. 編集後記―
あなたの余命を顔写真から判断します②
1.オバマ大統領のダイバーシティにかける強い思い
下院与党共和党は年内の包括的移民法案の審議を拒絶してきた直後の 7 月 4 日の米国独立記念日の
イベントにおいてオバマ大統領はそのうっ憤を晴らすように米国の移民制度の改善の必要性を国民に熱
っぽく訴えた。「アメリカ人と呼ばれることに誇りをもって頑張ってきた男女がいる限り、そしてそのアメリカ
合衆国の市民権獲得を望む人々に門戸を広げてる努力を続ける限り、我々は国の経済を拡大し続ける
ことができ、国としての前進を続けられ、そして世界に対しなぜアメリカ合衆国が地球上でもっともすぐれ
た国家であり続けるかを示し続けることができるであろう。」と語った。「我が国に来る移民者を歓迎すると
いう基本的な考え方は我々の生き方の中心である。我々の多様性(ダイバーシティ)、互いに異なるとい
うこと、が共通の理想的価値観のもとで力を合わせるとき、我々をより一層強くし、より創造的にし、抜き
んでた存在にする。そういった全ての異なることから我々はこのアメリカ合衆国の地に何か新しいものを
築いていくのである。そして、国外から最も優秀で聡明な人々を我が国に惹きつけたいのなら我々は今機
能していない我々の移民受け入れ態勢を修復し、常識的な移民改革法を整備しなければならない。」とス
ピーチした。協調性を重んじるがゆえに突出して異なることに否定的な我が国と対照的な考え方であると
改めて感じる。
2.あなたの余命を顔写真から判断します①(編集後記に続く)
「顔」画像認識技術は以前は犯罪者の捜索や行方不明になった子供を将来にわたって捜索する場合、成
人した際の顔の予想を作るといった使い道に限定されていた。ところが、シカゴのイリノイ大学の生物人
口動態学者のジェイ・オルシャンスキー氏は老けやすい人とそうでない人の顔の変化の違いに着目し、
その老化のスピードから余命を判断していくコンピュータに基づく顔面認識技術を確立しつつある。生命
保険会社にとっては保険料算定に直結する技術となり、本人にとっては生活習慣の改善のきっかけとな
り得る。具体的には、過去の顔写真をスキャンすると共に、寿命予想に関係すると見られるその他の要
因である人種、性別、教育レベル、喫煙歴といったものも入力したうえで、頬、目、眉毛、口、あごといった
パーツ上の皺やシミ、垂れ下がりといった老化を示す陰影の変化をとらえ、同年代の同じ背景の人と比
較分析していくもの。日本ほどでないにしても米国の高齢化も進んでおり、長寿化と老齢期の健康的生活
が注目のトピック(大きなビジネスネタ)になっている。グーグルは老化とそれに関わる疾病に関するトッ
プクラスの科学者を抱えている Calico という会社の買収を発表している。著名な遺伝子研究者のクレイ
グ・ヴェンター氏がトップを務める Human Longevity Inc.では今春、シーケンス処理をした人間の DNA の
データベースを構築し、老化に関わる疾病に取り組む計画を発表している。さらには米国立衛生研究所
(NIH)は全米で 27 ある専門研究機関中 20 か所と連携して老化と長寿に関する研究を進める空前の規模
の計画を発表している。老化予防・防止がもたらす経済的、社会的プラス効果ははかりしれないという。
特に寿命の最後の 10 年間は従来老化に伴う本人の生活上の苦しみはもとより医療費の社会負担も膨
大なものになりつつある。たとえば米国民の老化を平均2.2年遅らせるだけで来る 50 年で米国の社会
保障費(メディケアと障害に伴うメディケイド)の支出を 7.1 兆ドル(約 720 兆円)削減できるとの試算もある。
長寿研究科学者は健康的な生活で天寿を全うするには老化に伴う個々の病気に取り組むよりも老化そ
のものをを遅らせることに焦点を合わせる方が効果的であるという。(4.編集後記に続く)
3.東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 7 月 5 日付けレポートを弊社にてダイ
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(1)
中国
 OECD 中国の将来の経済成長鈍化予想
経済協力開発機構(OECD)は、今般、その中国の潜在成長率に関して、「中国の潜在成長率は、ここ5
年で平均9%どあったが、今後は5%に鈍化する。」とコメントしている。今後の人口減少予測に伴う労働
力人口の減少が主因であるとの見方をしている。
 注目の次期香港行政長官選挙
香港の民主派団体「和平占中」は、2017年の次期行政長官選挙をめぐる非公式の住民投票を行い、香
港の全人口の1割強にあたる延べ79万人が投票に参加し、「有権者の1%以上の署名があれば誰でも
立候補できる。」とする案を要求する方針を決める見通しとなった。中国政府は、中央の意に沿わない人
物の立候補は認めない姿勢を事実上は示しており、今後は、香港の民主派に対する中国政府の様々な
形での圧力が増えるかもしれない。
(2)韓国
 韓中関係を支持率回復の契機としたい朴政権
朴大統領の国内での支持率の低下が止まらない。セウォル号沈没事件をきっかけとした各種問題、内閣
人事の混乱などが続き、ソウルではとうとう支持率が40%を割るまでに至っている。こうした中、朴政権
は、「中国・習国家主席の訪韓を基にした中韓関係の蜜月化を強調して、外交的な得点を強調すると共
に、日本に対する強硬姿勢を示しつつ、同じく、国民の支持を取り戻そうとしている。」のではないかと見ら
れている。
 現代建設等ペドベサから大型製油所建設受注
現代建設を中心とするコンソーシアムは、ベネズエラ国営石油会社(PDVSA)が発注したプエルトラクル
ズ製油所の拡張・設備改善工事を48億3,674万米ドルで受注したと発表している。今回の大型受注に
より、韓国建設業界の今年上半期の海外受注額は375億米ドルとなった。
 引き続き好調な韓国自動車業界
韓国国内報道によると、現代自動車、起亜自動車、韓国GM、ルノー三星自動車、双龍自動車の韓国完
成車メーカー5社による本年上半期(1~6月)の韓国国内自動車販売台数は70万7,368台となり、前
年同期対比5.1%増加している。旅客船セウォル号沈没事故の影響で消費心理が萎縮したものの、新
車効果などで販売を伸ばしたとの見方がなされている。
 LG 化学の中国での電気自動車バッテリー製造計画
LG化学は、中国南京市に年産10万個規模の電気自動車バッテリー工場を建設し、中国本土市場に向
けて販売するとの事業計画を発表している。中国政府は、政府の計画として、2020年までに電気自動
車を累計で500万台普及させる計画を立てており、これが実現すれば、中国は米国を抜き、世界最大の
電気自動車市場に浮上すると見られており、LG化学は中国本土にターゲットを定め、本格的な生産拡大
を開始しようとしている。
[主要経済指標]
1.
対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/ 1,008.55(前週対比+4.75)
台湾:1米ドル/29.87ニュー台湾ドル(前週対比+-0.00)
日本:1米ドル/102.07円(前週対比-0.69)
中国本土:1米ドル/6.2038人民元(前週対比+0.0142)
2.
株式動向
韓国(ソウル総合指数):2,009.66(前週対比+21.15)
台湾(台北加権指数):9,510.05(前週対比+203.22)
日本(日経平均指数):15,437.13(前週対比+342.13)
中国本土(上海B):2,059.375(前週対比+22.865)
4.編集後記― あなたの余命を顔写真から判断します②
顔の画像認識を通じた老化の研究を始めたオルシャンスキー氏はもともと同世代よりも若く見える人が長
生きしがちであることに気づき、それをきっかけにこの見た目からの老化分析を行おうとしたという。そこ
で重要になってくるのが大量のデータベースとなる。現在ウェブを通じ数万単位の人々から写真データと
個人情報を入手している(過去の写真の比較で老化スピードを判定するサービスを無料で提供することを
対価に)。写真は化粧や飾りがなく、笑顔も不可。 人種でメラニン色素の少ない白人系は色素の多い人
種に比べ太陽光にさらされると老化が進みやすい。また女性は男性に比べ老化が起こりやすい。理由は
脂肪細胞と血液細胞の分配のメカニズムが異なるため。余命を診断するには死亡までに至るサンプリン
グも大量に必要になるが、オルシャンスキー氏は最近その死亡に至るまでのかなり大量な写真データに
アクセスできるめどが立ち、今後 1~2 年でウェブを通じた余命判断ができるようになるという。そうなると
倫理面や余命に伴う差別などの懸念も生じかねない。また、分析は平均的な人々にこそ適用できるが、
中にはそのデータベースの範疇を遥かに超える特殊な人々もいる。たとえば世界 No.1 の長寿者は 100
年以上喫煙し続けてきたたヒトであるという。アメリカ合衆国大統領も統計値の外と言えるかもしれない。
ホワイトハウスにいる間に急速に老化が進むが、結果として平均よりも長寿であることからある特定の時
点の老化を見ただけでは判断しにくい。一方、平均的な人にとってはやはり顔は様々な健康上のリスク要
因を顕在化させている。喫煙者はそうでない人に比べ口の周りの皺が目立ち、アルコール摂取過剰な人
は鼻が肥大化し、紫外線やストレスに過剰にさらされると茶色のシミと皺が早くできやすくなる。オルシャ
ンスキー氏はこの余命分析を人々がより健康的な生活を営むための生活習慣改善に気づく覚醒効果と
したいと語る。長寿大国日本発の長寿・元気高齢化ビジネスの胎動を感じ元気づけられる気がする。
日賑グローバル・ニュースレター国内版(第 68 号)
1. 世論調査に見る米国民の移民受け入れへの態度の変化
2. 故ハワード・ベーカー元共和党院内総務・駐日大使と米国のジェネレーション考
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 6 月 30 日付けレポートを弊社にてダイ
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4. 編集後記―
トリビア(第一次世界大戦がアメリカにもたらした夏時間と「Meatless Monday」)
1.世論調査に見る米国民の移民受け入れへの態度の変化
日本の報道でもフランスなど欧州で移民排斥の動きが報道されているが、米国のメディアによる世論調
査を通じた米国民の移民に対する受け入れ態度の変化が下記のように報道されていた。
① ギャロップ: 移民受け入れを今のレベルよりも減らすべきと考えている人の割合が過去数年は 35%
程度であったものが、直近の調査では 41%にまで増大した。ただ、この割合は過去に 50%近辺と 30%台
前半を周期的に上下してきており特に大きな変化とは言えない。むしろ、移民受け入れのレベルを今
よりも増やすべきと考えている人の割合が 1999 年の 10%から今の 20%台前半にまでコンスタントに増
大している点がトレンドといえそう。
② ニューヨーク・タイムズ: アメリカへの移民を希望する移民はそれを選り好みせず全員歓迎されるべ
きと考えている人の割合はコンスタントに上昇、90 年代半ばの 20%程度から 2007 年に 24%、2010 年
に 33%、そして直近では 46%となった。また、移民は米国に貢献しているか、それとも問題を起こしてい
るかとの問いに、1997 年頃までは問題を生じていると見ている人の割合の方が高かったが、その後
は「貢献している」と感じている人の割合の方が高くなり、直近では 66 対 21 で圧倒的に貢献している
と回答している。
③ CNN: 不法移民を国外退去させるか、合法化させるべきかの問いに 2010 年時点では国外退去 60%、
合法化 38%であったものが直近では合法化 54%、国外退去 41%となっている。
④ NBC とウォールストリート・ジャーナル: 移民が米国を強くしているか弱くしているかとの問いに、
2006 年では 48%対 41%で「弱くしている」と答えた割合が高かったものが昨年の調査では 54%対 36%で
米国を「強くしている」と答えた割合が逆転している。
かかる世論を追い風に、懸案の包括的移民改革法案が年内に議会で可決されるかどうか注目される。
2.故ハワード・ベーカー元共和党院内総務・駐日大使と米国のジェネレーション考
先週 26 日に 88 歳でお亡くなりになったハワード・ベーカー元共和党上院院内総務、元共和党大統領予
備選候補、元大統領首席補佐官、元駐日大使の追悼コラムがワシントンポストに掲載された。 現在の
共和党上院院内総務のミッチ・マッコーネルは同日ベーカー氏が“偉大な調停者”として両党から愛着を
持って覚え続けられると語ったが、現在の米議会は党派対立激化の状況にある。 コラムニストは、今の
政界に偉大な調停者が登場しない理由の1つにジェネレーションの違いを掲げている。ベーカー氏のジェ
ネレーションである GI 世代が第二次世界大戦を通じ自分よりも国を優先した自己犠牲の世代であったの
に対し、前出のマッコーネル氏(71 歳)、ジョン・ベーナー下院議長(64 歳)、ナンシー・ペロシー民主党下院
院内総務(74 歳)はサイレント・ジェネレーション(大恐慌から第二次世界大戦の間に生まれた世代)かベ
ビー・ブーマー世代(1946 年頃~64 年頃の間に生まれた世代)で、オバマ大統領もそこに入る。 ちな
みに、そのあとはジェネレーション X(1965 年頃~74 年頃)、そしてジェネレーション Y(別名ミレニアル世
代:1975 年~89 年頃)と続く。 米国の歴史、経済、人口動態学者で社会的世代の位置づけや世代の役
回りの周期について著してきたニール・ハウ氏いわく、「ベビー・ブーマーは焦土作戦型で価値追求型の
世代である。彼らは「文化間の対立」を生み出し、それを老後に至るまで変わらず続けた結果が今日の政
治の両極化と行き詰まりをもたらしている。もちろんアメリカのこの数十年間の文化を創り出し、人権拡大
という改善をもたらしたのもこの世代である。」ただ、こと政治に関しては偉大な調停者を生み出さなかっ
たようである。
因みに、ハウ氏の考えでは世代の役回りに周期性があり、1852 年に偉大な調停者と呼ばれたクレイ氏
が亡くなった後に今日のベビーブーマー世代と似ている世代が南北戦争を起こし、またその 80 年後に同
様の世代が大恐慌を生じたと語っている。 さすがに今日、米国が内戦に至ることは無いであろうが、ベ
ーナー下院議長がオバマ大統領を大統領権限の乱用で訴えるというニュースがベーカー氏の訃報の直
前に出るような状況では少なくとも国の意思決定が迅速に下せない事態が続く可能性が憂慮される。
3.東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 6 月 30 日付けレポートを弊社にてダイ
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(1)
中国
 人民銀行の不動産バブル懸念
中国人民銀行は、「中国では住宅購入が資産を増やす主要な手段であり、経済発展に多くの問題をもた
らしている。即ち、投資が不動産に偏る歪みを生み、その反動として不動産バブルの崩壊、さらには経済
危機を招く可能性もある。」との認識を示し、必要に応じて、対策を打つ姿勢を示した。但し、現行の中国
本土の短期金利水準を見ると、今年は2%台で推移しており、景気下支えのため中国人民銀行が金融緩
和気味に政策を運営していることが伺われており、今後、中央銀行がバブル抑制と景気刺激をどのよう
なバランスで意識し、政策運営していくのかについては、注目される。
 6 月の製造業景気指数(PME)50.8 に改善
英国の金融大手であるHSBCは、中国の6月の製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値を発表したが、
これによると、PMIは50.8となり、5月の確報値である49.4より1.4ポイント改善している。中国政府
の景気支援策が効果を挙げていると見られている。尚、この中で中国の1~5月期の住宅販売額は前年
同期対比8.5%減となっており、こうした住宅市況の悪化は、固定資産投資の減速に繋がり、景気に悪
影響を与えかねない。しかし一方で、バブル崩壊のリスクも今の中国本土では取りにくい。
 5 月の非製造業 PMI 2 か月連続上昇なるもサービス部門は低下中
中国政府・国家統計局は、本年5月の非製造業購買担当者景気指数(PMI)を発表したが、これによると
PMIは2カ月連続で上昇している。一方、英国・HSBCが発表した5月の中国本土サービス部門購買担
当者景気指数(PMI)は2カ月連続での低下している。即ち、HSBCが発表した5月のサービス業PMIは
50.7に留まり、2014年1月以来の低い水準となったほか、事業見通しサブ指数は58.1となり、2013
年6月以来最低の数字となっている。中国の景気については、まだまだ見方が分かれており、判断が難し
いことを物語っていると思われる。
 習国家主席、韓国訪問時三星電子と現代自動車他訪問
7 月初めに韓国を訪問する習近平国家主席は、韓国の主要企業である三星電子の事業所を訪問し、李
在鎔副会長と面談する見通しであるほか、同じく、韓国有数企業の一つである現代自動車の鄭夢九会長
をはじめとする韓国財界関係者らとの面談も計画されている模様であると伝えられている。
習主席は7月3~4日に韓国を訪れ、朴権恵大統領と首脳会談を行う予定であり、習主席の韓国訪問は
昨年3月の就任以来、初めてとなるものでるが、上記は、これに併せての韓国財界との面談予定となる。
(2) ベトナム経済動向について
ベトナム政府・統計総局は、本年1~6月の実質国内総生産(GDP)伸び率が速報値基準で前年
同期対比5.18%増になる見通しであると発表している。欧米向けの縫製品輸出などが堅調に推
移し、前年同期の成長率を上回ったと見られている。
(3)韓国
 米国に於ける韓国車の評価: 現代自動車品質 No.1
米国の大手調査会社であるJDパワー・アンド・アソシエーツは「2014年米国自動車初期品質調査」を発
表したが、これによると、韓国の現代自動車が全20ブランド中で1位となっている。ポルシェ、ジャガー、
レクサスといった高級ブランドを含む調査でも、現代自動車は昨年の10位から今年は4位に上昇してい
る。また、昨年5位の起亜自動車も、シボレーと並んで3位に入っている。 JDパワーは1968年に設立
された自動車市場調査機関で、米国の消費者が車を購入する際には同社の調査結果を重視しており、
今回の調査は昨年11月から今年2月にかけて、米国で自動車を購入して3カ月すぎた消費者を対象に2
33項目について品質満足度を調査した結果として示されたもの。
[主要経済指標]
1.
対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/ 1,013.30(前週対比+7.51)
台湾:1米ドル/29.87ニュー台湾ドル(前週対比+0.14)
日本:1米ドル/101,38円(前週対比+0.75)
中国本土:1米ドル/6.2180人民元(前週対比+0.0060)
2.
株式動向
韓国(ソウル総合指数):1,988.51(前週対比+20.44)
台湾(台北加権指数):9,306.83(前週対比+33.04)
日本(日経平均指数):15,095.00(前週対比-254.42)
中国本土(上海B):2,036.510(前週対比+9.836)
4.
編集後記― トリビア(第一次世界大戦がアメリカにもたらした夏時間と「Meatless Monday」)
第一次世界大戦のきっかけと見られている 1914 年 6 月 28 日のサラエボでのオーストリア・ハン
ガリー帝国の皇位継承者夫妻の暗殺から満 100 周年を迎え、色々な特集報道がありました。その
中で、アメリカが夏時間を採用したきっかけも第一次世界大戦であったとの紹介がありました。当
時ドイツとその同盟国が 1916 年の 4 月 30 日に夏時間を始めたそうです。その狙いは太陽光を有
効活用することで兵器や軍事物資の工場をできるだけ長く開けておき、国民生活での燃料消費量を
節約、それを軍に回すことにあったそうです。それを知った英国がその夏時間制度をすぐに採り入
れ、その後、米国が導入したそうです。私自身アメリカに比較的長く住んでいましたが、ハワイや
アリゾナが夏時間を採用していないことをついぞ知りませんでした・・。今年の夏時間は 11 月 2
日(日)で終わるようです。
もう1つ第一次世界大戦の際採用された習慣で今日も残るものに「肉を食べない火曜日」がありま
した。のちに第 33 代大統領となるハーバート・フーバー氏が第一次世界大戦中の 1917 年、食料
担当の閣僚であったときに国民に対し、一週間に一日お肉を食べない日を設け、その節約分を前線
で戦う米国の兵士に届けようとの提案を行い、実現したのが「Meatless Tuesday」だそうです。
その後、86 年を経て、マンデー・キャンペーンという健康・ダイエットに関する NPO 法人代表の
シッド・ラーナー氏による「Meatless Monday」のキャンペーンが立ち上がり、今では国民の約
半分が認知している大きな習慣になっているそうです。 心臓病など成人病予防ですね。 多くの
人にとって月曜は新たなスタートを切る日で、マンネリを破るきっかけとなる、との認識から火曜
にしなかったようですが、ごろ合わせとしても M と M の頭韻効果で浸透しているようです。以上、
どうでもいいネタでした。
日賑グローバル・ニュースレター国内版(第 67 号)
1. スノーデン事件と米ロ関係
2. 下院与党共和党リーダー
エリック・カンターの予備選敗退
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 6 月 16 日付けレポートを弊社にてダイ
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4. 編集後記―米空軍の無人機活用に関するマンスフィールド財団のセミナーに参加しました
1.スノーデン事件と米ロ関係
元 CIA 局員のエドワード・スノーデン氏が米国諜報機関の一般市民並びに海外の指導者から様々な諜
報技術で情報収集していた実態を告発してから丸一年が過ぎたが、米政府は同氏の亡命先ロシア国内
での居住場所の特定はもとより今後の彼の動きについて一切情報を得られていないという。スノーデン
の告発から、政府情報機関が“国家安全保障”の名の下に市民の日々のインターネット利用状況をモニタ
ーしたり、オバマ大統領と懇意であったドイツのメルケル首相や南米の雄ブラジルのジルマ大統領の電
話内容を盗聴していたことが明るみに出て、オバマ政権のイメージを損なう面もあった。スノーデン氏を逮
捕し、彼がどこまでコアな米国の国家安全保障上の諜報活動の実態をロシアに漏らしたかを知ること、即
ちダメージの実態を把握することは彼を米国内の裁判にかける以上にオバマ政権にとって重要であり、
本来彼を逮捕する任務を担う FBI はもとより CIA や NSA(国家安全保障局)のネットワークを総動員して
ロシアにおける彼の動向をつかみ身柄確保の機会をうかがってきた。一方、冷戦が終結し最早ソ連では
なくなったロシアとはいえ、米ロ間の諜報活動、いわゆるスパイ活動は続いており、その意味ではロシア
にとっては格好の情報源が舞い込んできたともいえなくもない。FBI はロシア側のカウンターパートの FSB
に協力を求めているが応じる気配はないままに、その後のロシアのウクライナ内政介入やクリミア併合に
より米ロ外交関係は互いの制裁合戦で閉ざされた状況にある。かかる状況下、スノーデンに同情的なメッ
セージを送ってきたボリビア大統領の専用機がロシアから本国に戻る途中のオーストリアのウィーンで米
捜査当局による機内強制捜索を受けるといった事態も生じた。 スノーデンが同機に搭乗しているという
情報があったわけではないがダメもとで当たった模様。スノーデン事件は ICT の利便性と共に潜むリスク
を顕在化させ、新たなビジネスニーズをもたらしたともいえる。加えて、ロシアの孤立化を演出したい欧米
側に対し、むしろ米国の諜報活動を含めた世界に対するアプローチに反感をもつグループにとっての求
心力をロシアに与えているのかもしれない。
2.下院与党共和党リーダーエリック・カンターの予備選敗退
今年 11 月の中間選挙を前に行われた共和党内の各地での予備選において現在の下院与党共和党リ
ーダーのエリック・カンター下院議員(バージニア州)は同党の対抗馬のデーブ・ブラット氏に
まさかの敗退を喫した。カンター氏は超有名人であり、ワシントン DC でのプレゼンスは高く、そ
の結果、米国商工会議所やビジネスラウンドテーブルといったビジネス界からの政治献金だけで
550 万ドルを集め、ブラット氏の 20 万ドルとは比べ物にならないリードを保っていた。ただ、
カンター氏はワシントン DC で目立っていた分、地元に戻る回数が少なく、地元のニーズに応えて
いなかったといわれる。特に地元共和党支持層が反対する移民改革法案に対しカンター氏が首都
ワシントンでは肯定的な発言をしていたこと、いわゆる茶会党的アジェンダに積極的でなかった
ことなどが敗戦の理由と取沙汰されている。 カンター氏は、党派対立が激化する中でオバマ大統
領とベーナー下院議長間のディールをつぶす過激な態度を取ったこともあり、中道層からの支持も
失った可能性はある。日本で言えば地元議員が中央政界で活躍している姿を有権者に見せることは
比較的その再選の安全性を高めると見られるが、米国では首都ワシントン DC が象徴する“政治”
と“議会”に対する米市民の信認度は過去最低にあり、中央で目立つことは米国では必ずしもプラ
スではないということなのかもしれない。 いずれにせよ、下院野党民主党指導層が仇敵の失墜を
声高らかに祝福する様子は政治的に品がなく党派対立をさらに激化させるものとの良心的社説が
ワシントンポストに出ている。
3.東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 6 月 16 日付けレポートを弊社にてダイ
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(1)
中国
 王毅外相のインド訪問の狙い
中国の王毅外相は、インドの首都ニューデリーを訪問し、スワラジ外相と会談している。インドのモディ新
政権にとって、国連安全保障理事会の5常任理事国から初めて迎える外相となり、中印両国は経済関係
の協力強化を確認したほか国境問題や、習近平国家主席の年内の訪印の可能性についても協議したと
伝えられている。
 5 月の CPI、前年同月比 2.5%増、卸売物価指数は 1.4%減(27 ヶ月連続減)
中国政府は「5月の中国本土の消費者物価指数(CPI)は前年同月対比2.5%増となった。」と発表して
いる。肉類を中心に食品価格が上がり、上昇幅は前月に比べ0.7ポイント拡大している。一方、卸売物
価指数は1.4%の下落であり、27カ月連続で前年水準を下回ったが、下落幅は2カ月連続で縮小して
おり、企業間取引に持ち直しの兆しが出ているとの見方が出ている。
 5 月の非製造業 PMI2 ヶ月連続増なるもサービス部門は低下傾向
中国本土政府・国家統計局は、本年5月の非製造業購買担当者景気指数(PMI)を発表したが、これによ
るとPMIは2カ月連続で上昇している。一方、英国・HSBCが発表した5月の中国本土サービス部門購買
担当者景気指数(PMI)は2カ月連続での低下している。即ち、HSBCが発表した5月のサービス業PMI
は50.7に留まり、2014年1月以来の低い水準となったほか、事業見通しサブ指数は58.1となり、20
13年6月以来最低の数字となっている。中国本土景気については、まだまだ見方が分かれており、判断
が難しいことを物語っていると思われる。
(2) インド 5 月の CPI
前年同月比 8.28%増
インド政府は、
「インドの5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月対比8.28%増となった。」
と発表している。CPI上昇幅は4月の上昇率である8.59%を下回り、3カ月ぶりに縮小した
ものの8%台と高い水準となっている。5月は食料品などの値上がり幅が縮んだことなどを背景に
物価上昇率に落ち着きが見えたとの見方が出ており、中央銀行であるインド準備銀行は引き続きC
PI上昇率8%以下を目指す姿勢を示している。
(3)韓国
 三星 SDI、フォードと次世代リチウムイオン電池共同開発
韓国有数企業の一つである三星SDIは、米国の自動車大手メーカーであるフォードと自動車用の次世代
リチウムイオンバッテリーを共同開発すると発表している。両社が開発するバッテリーは、ガソリンやディ
ーゼルを燃料とする一般的な内燃機関自動車に使われるバッテリーに代わるものである。フォード社では、
「三星SDIと共同開発するバッテリーシステムは画期的な燃料節約につながるだけでなく、従来の車両の
ハイブリッド化にも貢献できるだろう。」とその期待感を示している。
 ニュージーランドとのFTA交渉前進
韓国とニュージーランドの自由貿易協定(FTA)交渉の第7回会合が開催された。今回は商品、原産地、
サービス、投資、知的財産権など争点が残る分野について集中的に協議された。韓国としては、国際化
による国家経済のサポート促進の為、積極的二国間FTAを推進、一定の成果を得ており、これを更に拡
大させようとしているが、最近ではまた、TPPに関しては先行されている日本との対抗もあり、二国間FT
Aの充実に向けて積極的な議論がなされているものと見られる。
 日本を引き離しつつ中国に猛追される輸出競争力
韓国の民間 Think-Tank である現代経済研究院が発表した報告書によると、主要品目の輸出競争力で韓
国は日本を上回っているが、中国には猛追されていると分析している。報告書は石油化学や鉄鋼、情報
技術(IT)、自動車、造船など八つの主要輸出品目の輸出競争力を分析した結果、韓国の総合貿易特化
指数は2012年の0.07から2013年は0.09に上昇したとしている。同指数がプラスの場合は輸出に
特化していることを、マイナスの場合は輸入に特化していることを意味する。日本の貿易特化指数は同期
間、0.05から0.01に下落した。2011年に韓国に追い越されてからは差が拡大している。中国は、20
00年はマイナス0.11で輸入に特化されていたが、2006年に輸出特化に転じ、2013年には0.04と
なり、韓国との差を縮めていると報告している。
[主要経済指標]
1.
対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/
1,017.80(前週対比+1.90)
台湾:1米ドル/30.02ニュー台湾ドル(前週対比-0.03)
日本:1米ドル/102.02円(前週対比+0.22)
中国本土:1米ドル/6.2090人民元(前週対比+0.0408)
2.
株式動向
韓国(ソウル総合指数):1,990.85(前週対比-4.60)
台湾(台北加権指数):9,196.39(前週対比+61.93)
日本(日経平均指数):15,097.84(前週対比+20.60)
中国本土(上海B):2,070.715(前週対比+40.759)
4.編集後記― 米空軍の無人機活用に関するマンスフィールド財団のセミナーに参加しました
米政府の若手官僚を日本の産官学で 1 年間研修させるマンスフィールド財団マンスフィールドフェロー制
度の第 18 期生として来日されたメンバーの一人で、米空軍所属の方が今週、都内の政策研究大学院大
学において行った米国での無人機運用のプレゼンテーションに参加しました。彼は外務省、衆議院議員
事務所、参議院議員事務所を経て現在防衛省で研修を受けています。 話の中心は軍用無人機の実態
でしたが、ネットショッピング最大手のアマゾンが無人機での宅配を企画、試作機の実験や米連邦航空局
との折衝に入っている話や、農業分野で無人機が大活躍している様子も紹介されました。無人機といえ
ば米国 CIA がネバダの安全なところからテレビゲームの感覚で中東のテロリストを武器を積んだ無人機
で捜索して殲滅する任務が有名ですが、プレゼンテーションでは、やはりオペレータと無人機の距離が離
れていると画像情報やコマンド(指示)情報の伝達に1~2秒の遅れが出て問題を生じやすいのでオペレ
ーターはできるだけその現場に近い方が良いとの話でした。 わたくしが訳させて頂いた『人口から読み
解く国家の興亡』の中で、日本の章を担当したトシ・ヨシハラ氏は日本の人口動態と防衛計画のアンバラ
ンスを指摘していたものの、日本の無人機の配備を通じた日米安保の偵察・情報共有ネットワークはアジ
ア・太平洋地域の安定化に貢献すると述べられていました。 一方、尖閣列島周辺の海域と空域におけ
る中国の艦艇、航空機の活動は激しさを増している中、無人機での活動なら安心という見方と、無人機で
あればむしろ攻撃しやすくなるという見方もプレゼンテーションの Q&A で出ており、やはり誤算が生じない
ように両国間で非常時のコミュニケーション体制を確立しておくことが求められると感じました。最後に、私
の方から日本の高齢化を前提に、「戦闘機パイロットは過酷な環境での任務のため高齢者には困難であ
ろうが、無人機はむしろ経験の面で高齢者向きなのか、加齢と任務の有効性は如何?」と尋ねたところ、
その可能性はあるもののまだそういった人間工学的データは集まっていないとのことでした。ただ、間違
いなく言えることは空にあこがれた飛行機乗りはいつまでたっても飛行機に乗りたいそうです。
日賑グローバル・ニュースレター国内版(第 66 号)
1. 失業率の改善は就労人口の頭打ちのせい?
2. 気候変動の影響?-海面水位上昇におびえるバージニア州ノーフォーク
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 6 月 9 日付けレポートを弊社にてダイ
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4. 編集後記―
インテリア・ライフスタイル・トーキョー展示会に参加しました
1.失業率の改善は就労人口の頭打ちのせい?
先週金曜日に発表された米国の 5 月の雇用統計は新規雇用が 21 万 7 千増となり、その結果、2007 年
の住宅市場崩壊に伴う不況で失った約 9 百万もの雇用を取り戻した格好となった。ただ、その間、米国の
人口も増えているので、革新系シンクタンクの The Economic Policy Institute によれば不況前の雇用水準
に戻すにはあと 7 百万分の雇用創出が必要という。失業率は 6.3%まで下がり、ダウジョーンズや S&P500
の株価も最高値を付けている状況にもかかわらず、圧倒的多数のアメリカ人が景気回復を肌では感じず
不全感を持っているという。その原因は以前も記したペイの良いジョブや賃上げ率の高い雇用が少ない
ということであろう。加えて、労働参加率が 1978 年以来最低の 62.8%に留まり、就労人口そのものが頭打
ちになっている要因である①ベビーブーマーの年金生活者増、②就活を諦め社会保障に依存する人々
の増大と③過去に比べた相対的少子化に伴う新規就労参加者減による停滞感も関係しているようであ
る。一握りの富裕層とは別に圧倒的数の団塊の世代の人々がペイの伸びの悪さから、あくせく働くよりも
年金生活に入っていく場合、失業率は下がり続けても消費拡大による景気活性化には必ずしもつながら
ないということかもしれない。
2.気候変動の影響?-海面水位上昇におびえるバージニア州ノーフォーク
先月、オバマ政権は政権発足後 3 度目となる全米気候変動評価報告書を発表、気候変動は最早単なる
理論ではなく、現象であると主張している。その主張を信じるかどうかはさておき、大統領のいるワシント
ン DC のおひざ元で、世界最大の軍港があるバージニア州ノーフォークでは潮位が過去一世紀で 1.5 フィ
ート上昇し、東海岸の中で最も早く潮位上昇が進んでいるという。このままのペースで進むと世紀末には
なんと 5.5 フィートさらに上昇すると地元の専門家は語っている。 既にノーフォーク市は悪天候に伴う洪
水や床上浸水の頻度が 1980 年以前に比べ 2 倍から 3 倍に増えているという。同市では海面すれすれの
国オランダから専門家を招き、水門や防潮堤を設けたり、新たな建築基準(床の底上げ)を進めたり、ある
いは居住地の内陸への移動を検討したりしている。メキシコ湾から米国大陸の大西洋岸沿いを北上する
潮流の水位が特に急上昇中とのことで全米の中で最も水害の危険の高いニューオーリンズに次ぎ、バー
ジニアは 2 番目にリスクが高いという。 世界の海をコントロールしている米海軍の力により世界の覇権を
維持している米国だが、軍港に停泊する艦艇に人員・物資を送り込む幹線道路が将来水没してしまう可
能性すら懸念されている。
3.東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 6 月 9 日付けレポートを弊社にてダイ
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(1)
中国
 5 月の PMI、前月比 0.4 ポイント上昇
中国国家統計局と中国物流購入連合会は、「5月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は前月対比0.4
ポイント上昇し、50.8となった。」と発表している。景気判断の節目となる50を上回る水準を維持してお
り、景気回復感が出てきていると見られている。背景には、中国本土政府がインフラ整備の加速など景気
を下支えするための施策を相次いで打ち出し、企業心理の好転に繋げているためであるとの見方も出て
きている。尚、輸出に関しては、新規受注指数が49.3と、節目の50を下回っており、相対的な人件費高、
インフラコスト高、人民元高などの影響が続いているものと言えよう。
 IMF、来年の中国 GDP 成長率 7%への低下を予想
国際機関である国際通貨基金(IMF)は、中国本土の2015年の国内総生産(GDP)成長率は、構造改
革を優先することによって、2014年の7.5%から7%に低下するとの見通しを示唆している。但し、構造
改革優先で経済成長率が低下しても持続的な成長を目指すという中国本土の目標に沿ったことであり、
それが中長期的に見ても重要な鍵にもなることからこうした中国本土の動きに対しては肯定的な見方をし
ている。尚、2014年の経済成長率は7.5%になるとの従来の見通しを維持している。
(2) インド昨年度実質 GDP 成長率 4.7%
インド政府は、2013年度(2013年4月~2014年3月)のインドの実質国内総生産(G
DP)成長率は4.7%となったと発表している。2012年度の4.5%に続き、人口の多い新
興国としては低成長となっている。内需は2.2%増に留まりで、その内訳をみると、耐久消費財
の販売が鈍化した個人消費は4.8%増と振るわず、更に企業の投資意欲は後退し、官民の設備投
資は0.1%減と舞いない成長となった。こうした中、中央銀行であるインド準備銀行、モディ政
権発足に合わせて、インドの実質国内総生産(GDP)成長率を数年以内に7~8%に戻したいと
の意欲を示し、国際社会、特に欧米金融筋との協調によるインド経済再生に向けた動きを強めよう
とする姿勢を示唆している。
(3) タイの 5 月の消費者物価指数 2.6%上昇
タイ政府・商業部は、「タイの5月の消費者物価指数(CPI、速報値)は前年同月対比2.6%
増となった。」と発表している。これにより、3カ月連続で2%台の伸びを示し、物価上昇傾向が
出てきている。エネルギー価格の上昇などがその主因と見られている。
(4) インドネシアの 5 月の消費者物価指数 7.3%アップ
インドネシア中央統計局は、「インドネシアの5月の消費者物価指数は前年同月対比7.3%増と
なった。」と発表している。物価上昇幅は1月から4カ月連続で縮小していたが、再び拡大に転じ
ている。こうした背景には、世界最大のイスラム教大国であるインドネシアでは、6月末から始ま
るイスラム教の断食月(ラマダン)を前にして、食品や衣類の価格が上昇していることにあると見
られている。また、今後については、産業用電力料金の引き上げなどを背景に通年のインフレ目標
の上限である5.5%以下となるのは難しいのではないかとの見通しも出てきている。
(5)韓国
 ポスコ昨年度粗鋼生産 6 位に転落
世界鉄鋼協会が発表した2013年の世界のメーカー別粗鋼生産実績によると、アルセロール・ミタルが9,
610万トンで8年連続1位となり、日本の新日鉄住金が2位(5,010万トン)、そして3位から5位は河北
鋼鉄集団(4,580万トン)、宝鋼集団(4,390万トン)、武漢鋼鉄(3,930万トン)となり、韓国のポスコ
(3,840万トン)で6位となっている。世界の鉄鋼各社が規模拡大のために統合・合併を進める中、ポス
コは2002年に3位に転落、昨年は6位に転落している。量より質の経営を重視していればこうした状況
にも大きな懸念を示さないであろうが、技術力を背景とした質の問題で圧倒的優位性を持たぬポスコとし
ては、今後は規模の経済性を問う形での経営戦略を示してくる可能性はある。
 米国で好調の現代・起亜自動車販売
韓国トップ自動車メーカーグループである現代自動車グループは、現代自動車・起亜自動車の5月の米
国市場での販売台数が前年同月対比6.5%増の13万994台となり、月次ベースで過去最高を達成し
たと発表している。現代自動車、起亜自動車のいずれも過去最高の販売台数となっている。 現代自動
車は3.5%増の7万907台で、2012年3月の6万9,728台を上回り過去最高となった。車種別ではサ
ンタフェが49.5%増の 1 万638台と好調で、アバンテ(現地名・エラントラ)は2万1,867台、ソナタは2
万404台となっている。現代自動車グループでは、「最近米国のショールームを訪れる消費者が増えて
いるが、先週から最新型 LF ソナタが発売され、販売はさらに伸びそうである。」との強気のコメントを示し
ている。
[主要経済指標]
1.
対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/ 1,019.70(前週対比+0.60)
台湾:1米ドル/29.99ニュー台湾ドル(前週対比+0.01)
日本:1米ドル/102.24円(前週対比-0.52)
中国本土:1米ドル/6.2498人民元(前週対比-0.0027)
2.
株式動向
韓国(ソウル総合指数):1,995.45(前週対比+0.49)
台湾(台北加権指数):9,134.46(前週対比+58.55)
日本(日経平均指数):15,077.24(前週対比+444.87)
中国本土(上海B):2,029.956(前週対比-9.256)
4.編集後記― インテリア・ライフスタイル・トーキョー展示会に参加しました
先週東京ビッグサイトで開催された掲題のインテリア展示会に参加しました。 家具、雑貨からアロマ、お
香、そして仏具の延長で独特の音色で癒しの空間を提供する鈴のコンパクトで美しい置物など魅力的な
数々の作品に出会うことができました。その鈴の置物の音の音階については、2000 年以上前の中国で編
纂された『史記』の中に記されている干支の 12 種の動物に合った 12 の(仏教)音階に基づいているとのこ
とで、来年の干支の未(ひつじ)の音色を聴いてきました。 また、自動車の硬化ガラスの間に美しい絵柄
の着物を焼き付け半永久的に美しさを保存してインテリアとするものなど伝統墨守のみならず、伝統と革
新を合わせた不易流行の作品の数々もありました。NIPPONSAN という展示ブースでは日本の各地での
様々な伝統的モノつくりを支援し、国内はもとより海外に紹介していく事業の集合体として溌剌とした展示
をされていました。 活気と癒しを頂いた展示会でした。
日賑グローバル・ニュースレター国内版(第 65 号)
1. クリントン前国務長官の新刊本―2016 年大統領選出馬への第一歩
2. 投資魅力を増すインドネシア
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 5 月 31 日付けレポートを弊社にてダイ
ジェスト版化
4. 編集後記―
1.クリントン前国務長官の新刊本―2016 年大統領選出馬への第一歩
ヒラリー・クリントン前国務長官が新刊本“Hard Choices”を 6 月 10 日に出版する。米国の外交の最先端
で困難な判断を迫られた際の経験をつづり、その状況に応じて見事にソフトパワーとハードパワーを使い
分けてきたというもの。そういった厳しい意思決定と手法は大統領に選出された後も活かせるというメッセ
ージがこめられているようである。それ以上に重要な役割として、この新刊本にはいずれ大統領選での
対抗馬から国務長官としての実績について様々な批判がでることの機先を制する意味もあるようである。
リビアのベンガジでの米国大使以下 4 名の殺害事件の責任を問う批判は記憶に新しい。対抗馬が考え得
る批判の種に対し、先にその状況説明をしておくことで防衛体制を図るものといえよう。出版イベントで大
手ブックストアやワシントンのシンクタンク、そして大手テレビ局の朝夕の高視聴率番組に登場することで
彼女の健在ぶりや意欲の強さも国民に訴求できる。問題の書籍自身、その話題性からベストセラー間違
いなしともいわれるが、彼女のファーストレディ時代に出版した”It Takes A Village”が広い読者層に読ま
れてベストセラーとなったのに対し、”Hard Choices”は政治手腕や国政術に関するもので読者層は自ず
と限られるとみられる。
2.投資魅力を増すインドネシア
米国ではオバマ大統領が幼少期を過ごした国として馴染みが増した時期もあったインドネシアだが、今や
経済力の魅力で注目を浴びている。人口で世界第 4 位、経済規模で世界第 17 位のインドネシアは、2000
年から 13 年連続で続く消費と資源輸出に基づく高度経済成長により、国民の富がアジア太平洋地域で
かつて経験したことのないスピードで形成され、成人一人当たりの富は 2000 年時点から倍増、11,839 ド
ルに達している。株式市場も活況を呈し、世界 93 市場の中で 6 番目の高いパフォーマンスを残している。
ただ、2013 年の経済成長率は 5.8%と 2012 年の 6.3%からダウンし、経常収支が赤字となり、外資のキャピ
タルフライトも生じた。これに対し、中銀総裁は直ちに反応し、政策金利を 5 倍の 7.5%に引き上げ、6%のル
ピア高を実現、インフレも抑制することに成功した。同じ資源輸出国のブラジルやロシアよりもその資源ビ
ジネスパフォーマンスが高いとの評価もある。今後のさらなる経済発展にとっての課題としては、人口 25
億人に対し、わずか 5 千万人しか銀行口座を持っていないという金融サービス不足の解消が挙げられて
いる。1 万 7,500 もの島から成り立つインドネシアにおいては ATM を船の上にしつらえてボートでアクセス
しやすいようにするといった工夫も進められているという。7 月 9 日に予定される大統領選挙の結果がどう
あれ上述の経済の勢いや流れ、課題に変わりはなく、民主化も根付いているということで益々投資魅力
の増すインドネシア、という見方米国での主流のようである。
3.東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 5 月 31 日付けレポートを弊社にてダイ
ジェスト版化
(1)
中国
 中国経済成長の省間格差―重慶市、貴州省、天津市、新疆ウィグル自治区、青海省で第一四半期2
ケタの伸び
中国のマスコミは、中国本土の省クラス行政区画(省、中央直轄市、中央直轄市)が発表した2014年第
1四半期(1-3)月の域内総生産(GDP)の内容を報道している。これによると、重慶市や天津市など5
地域で2桁の伸びとなる一方、黒龍江省は4.1%の伸びに留まるなど、格差が見られている。前年同期
対比でGDPの伸び率が2桁台になったのは重慶市(10.9%)、貴州省(10.8%)、天津市(10.6%)、
そしてテロが拡大している新疆ウィグル自治区(10.2%)、青海省(10.1%)などであり、天津市を除い
ては内陸部であり、また、天津市と新疆ウィグル自治区を除くと、経済規模が小さな地域となっている。ま
た、GDP伸びが最も小さかったのは黒龍江省(4.1%)であり、黒龍江省は、大慶油田の不振が長期に
渡り、石油関連産業以外の工業が育っていないことから、GDPの伸びが頭打ち状態になったと見られて
いる。
 4月の中国訪問外国人訪問客 - 韓国微増、ベトナム、モンゴル大幅増、日本2ケタ減
中国本土の中国国家観光局によると、本年4月に中国本土を訪れた旅行者を国別に見ると、韓国人が最
多で、前年同月対比1.5%増の32万4,800人であり、第2位以下は、日本、米国、ロシア、ベトナム、
マレーシア、フィリピン、モンゴル、シンガポール、カナダの順となっている。また、詳細を見ると日本、マレ
ーシア、タイ、インドネシア、フランス、カザフスタンからの旅行者は前年同月から10%以上減少したが、
一方で、ベトナムは14万6,000人(前年同月対比21.6%増)、モンゴルは9万6,600人(同14.8%
増)と大きく増加している。
(2) タイ、4 月の自動車生産前年同月比 26%減、10 か月連続減
タイ工業連盟は、4月のタイ自動車生産は前年同月対比26%減の12万6,730台となったと
発表している。これにより、自動車生産のマイナスは10カ月連続となっている。輸出向けは9%
増となっているが、国内向けは49%減と前月に続き大きく落ち込んでおり、長引く政情混乱で国
内消費が冷え込んでいることを反映していると見られている。
(3) マレーシア第一四半期 GDP 前年同期比 6.2%増
マレーシア中央銀行は、
「本年1~3月期の国内総生産(GDP)は前年同期対比、実質で6.2%増加した。」と発表している。この
経済成長率は市場予測の同5.4%前後を上回っており、咋年10~12月期の5.1%からも上昇してい
る。尚、個人消費は7.1%増と堅調であり、輸出の増加トレンドも続いている。
(4) 韓国
 LG化学、中国に電気自動車用バッテリー生産ライン設置へ
韓国有数企業の一つであるLG化学は、電気自動車用のバッテリー生産ラインを中国本土に設置するこ
とを決めたと発表している。同社の発表によると、電気自動車用バッテリーの主要顧客であるGM、フォル
クスワーゲンなど世界の主要自動車メーカーが中国本土に生産拠点を持っていることを踏まえ、現地工
場の設置が決まったとされている。建設候補地は南京、広州、天津のうち1カ所となる見通しで、年内に
確定するものと見られている。
 現代製鉄仁川工場電気炉として韓国初の生産量 1 億トン突破
韓国有数企業の一つである現代製鉄は、仁川工場の累計製鋼量が電気炉工場としては韓国で初めて1
億トンを突破したと発表している。現代製鉄仁川工場は1956年に初めて118トンの溶鉄を生産し、その
後は累計生産量が1971年に100万トン、1987年に1,000万トン、2001年には5,000万トンと増え
続けてきている。 現代製鉄のキム取締役は、「仁川工場からスタートした現代製鉄は、浦項工場、唐津
製鉄所、順川工場などを相次いで建設し、鉄筋・H形鋼から自動車用鋼板にいたるまで豊富な製品ポート
フォリオを構築できるようになった。」と述べ、今後の発展を約束するとの主旨のコメントを示している。
[主要経済指標]
1.
対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/
1,020.30(前週対比+3.90)
台湾:1米ドル/30.00ニュー台湾ドル(前週対比+0.11)
日本:1米ドル/101.72円(前週対比-0.04)
中国本土:1米ドル/6.2471人民元(前週対比-0.0095)
2. 株式動向
韓国(ソウル総合指数):1,994.96(前週対比-22.21)
台湾(台北加権指数):9,075.91(前週対比+67.69)
日本(日経平均指数):14,632.37(前週対比+170.20)
中国本土(上海B):2,039.212(前週対比+4.643)
4.編集後記― インド経済シンポジウム 2014 に参加致しました(陳承)
日経ホールで一般財団法人 インド経済研究所が主催する掲題シンポジウムに参加致しました。当日は
駐日インド大使ディーパ・ゴパラン・ワドワ氏と同国準備銀行総裁ラグラム・ラジャン氏が来られていました。
シンポジウムの中で日本企業のインドへの進出を躊躇させているいくつかの問題が紹介されました。代
表的なものは①インフラ整備の遅れ、②州ごとに制度が違うため、州を跨るビジネスが困難、③役所が多
いため、手続きが煩雑、といったものです。日本政府は、企業のインド進出促進のためにも円借款供与で
インフラ整備の問題を解決しようとしています。無論、新幹線や原子力発電所などインフラ輸出もできます。
財務省の古澤 財務官によりますと、日本が初めて円借款を供与した国がインドとのことです。現在でもイ
ンドはベトナムに次いで 2 番目の円借款を受領国です。ジェトロの石毛 理事長は、インドのさらなる経済
発展に向けて、構造改革の実行が大事であると指摘。インドが投資を誘致するため、「レッドテープ」から
「レッドカーベット」を備えるべきと。日印企業の連携により、インドの地の利を生かし、Look West(インドか
ら西へ)、Look East(東アジア地域包括的経済連携)を促進すべきとのビジョンが見えてきています。 中
小企業にとっても新たな進出先として、新政権に基づくインドの改革の方向を要ウォッチの段階に来てい
るのかもしれません。