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日賑グローバル・ニュースレター国内版(第 106 号)
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サイバーアタックを通じアメリカ人政府関係者のデータベース化を図る中国
ネット化の主戦場を家電に移すアップル、グーグルと迎え撃つ既存プレーヤー
東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 6 月 6 日付けレポートを弊社にてダイジェスト版化
編集後記― ドローンの今後
---------------------------------------------------------------------------------------------1.
サイバーアタックを通じアメリカ人政府関係者のデータベース化を図る中国
ワシントンポスト紙の報道によると、中国はハッキングを通じ、米国政府関係組織と医療関係組織から膨大な量の個人情報を入手し、データベース化を図っているとい
う。 「敵を知らずんば・・」の情報収集に加え、スパイ候補をその中から探す狙いもあるという。 中国政府に雇われたハッカーのグループは例えば米政府人事管理局
のネットワークに侵入し、約 4 百万人分の現役並びに過去の政府職員のデータを入手している。同様に健康保険最大手の Anthem 社のネットワークへの侵入にも成功
している模様。ハッキングの技術は高度化し、今やビッグデータとして大量のデータの塊を取得することに成功している。取得したデータの中には米国政府幹部職員の
居住地の変遷から、外国人との接触の来歴まで含まれ、そこにはどのアメリカ人政府関係者がどの中国人と面談したかも含まれていることから対敵情報活動
(counterintelligence)にも役立つ情報となる。また、ソーシャルセキュリティ番号や勤務評定の情報も含まれているという。「幹部職員」には長官クラスの人物も含まれて
いる可能性もある。家族に関する情報も含まれるため、スパイ候補とするターゲットへのアプローチもその家族を狙うという手も出てくる。今回の米国の個人情報大量流
出事件に関し、中国政府は公式に自らの関与を否定すると共に、そのような米側の主張を“無責任で非科学的”と批判した。サイバーセキュリティ専門会社の
ThreatConnect(在ノーザンバージニア)によると、サイバー空間上の諜報活動の多くは人民解放軍の“仕業”であるが、今回の一連の米国のビッグデータ収集活動は国
家安全保障省という海外でのスパイ活動と国内での対敵情報活動を一義的に行う組織の活動であるという。その筋の専門家によればハッキングに使われるツールの
中で、デルスビーと呼ばれる悪用ソフトを使っているのは中国のハッカーだけという。また、これまでホームデポやターゲットといった大型小売チェーンから盗まれた個人
情報がブラックマーケットで売り抜かれてきたのに対し、今回の人事管理局や Anthem 社などから盗まれた個人情報はその手の市場には出ておらず、その点からもハッ
キングの狙いが金儲けでは必ずしもないことを物語っている。 今回中国が見せた「ビッグデータごと取り出すテクニック」は米国の国家安全保障長(NSA)が海外で用
いている技術と同じ類といえる。即ち、中国の電子諜報技術レベルは米国並みのところまで成熟化し、さらにはそのビッグデータを有効活用する能力も兼ね備えている
と見られる。日本でもサイバーセキュリティ新戦略案公表直後に、日本年金機構の個人情報流出が発覚している。目に見えない世界での攻防も重要な問題となりつつ
あるといえよう。
2. ネット化の主戦場を家電に移すアップル、グーグルと迎え撃つ既存プレーヤー
IT 調査専門会社 International Data Corporation の最新レポートによれば既存の電子制御機器をインターネットにつなぐインタフェースの市場規模は 2020 年までに 1.7
兆ドル(約 213 兆円)に及ぶという。 ネットを通じ遠隔地から自宅のエアコンの温度をコントロールするサーモスタットが 200 ドルとか、いかなるコンセントでもネット対応に
するセンサーパッケージが 60 ドルで売られたり、自宅の“スマート化”を月 20 ドル程度で代行するサービスを AT&T やコムキャストといったネットプロバイダーが提供しつ
つある。そのような中で、世帯主がこの“家電のネット接続化(スマート化)”を考えた場合に、最初に導入するスマートホーム家電が次のブランドを決めてしまういわゆる
ハロー効果が出てくる可能性があるという。グーグルとアップルはこの“最初のスマート化機器”を押さえることでその後のスマート化市場の席巻を狙っている。グーグル
は自社のスマートフォンのアンドロイドからネットを介して遠隔操作の可能なサーモスタットの Nest や屋外からコントロールできる警備システムの Dropcam などを企業買
収を通じスピーディに市場投入している。そして、他の家電がこれらのグーグルのスマート機器と連携して動けるような Brillo というスマートホーム用プラットフォームを家
電メーカーに売り込んでいる。同様にアップルも iPhone を通じた遠隔操作可能な“Home Kit”と呼ぶスマートホーム化機器を市場に投入している。具体的には電機メーカ
ーの iHome、電球メーカーの Lutron、温度・湿度・その他空気の質や水道、電力消費をモニターするセンサーメーカーの Elgato と提携し、彼らの製品をとりまとめてキッ
ト化して販売する。これらの機器はアップルの音声認識装置 Siri と連動するので音声での遠隔操作も可能となる。一方、マイクロソフトやソニーはゲームのコントロール
機器の切り口からこの市場に参入しつつあり、上述の AT&T や Comcast はネットプロバイダーの立場から、ハニウェルや GE は既存の家電、サーモスタットメーカーとし
ての切り口から参入する。ネットショッピング最大手のアマゾンも Echo という円柱型の音声認識応答装置で、そこにスイッチ機能やネット接続機能を設け、スマートホー
ムのプラットフォームやネットショッピング促進を狙っている。プレーヤーが多いのでアップルとグーグルの二社独占になることは無いと専門家は見ているようだが、日本
の画期的な”スマート機器“の登場も期待したい。
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 6 月 6 日付けレポートを弊社にてダイジェスト版化
(1) 中国
 SEC を通じた中国要人調査
米国の証券取引委員会(SEC)は、金融機関の大手であるJPモルガンチェースに対して、中国共産党最高指導部の一人である王岐山・党中央規律検査委員会書記と
の関係を示す資料を提出するよう求めたと米紙が報じた。王氏は、習国家主席とも近く指導部の重鎮の一人と見られている人物である。
 南沙諸島問題に対する米越の連携
中国の南シナ海に於ける岩礁埋め立てが進む中、同地域に隣接し主権を主張するベトナムと、太平洋での制海権、制空権を意識する米国は、ベトナム戦争で戦いあっ
た中でありながらも、現在は中国本土に対する危機意識の共有を強めている。米国のカーター国防長官とベトナムのフン・クアン・タイン国防相は、ハノイで会談し、両者
は軍事関係の強化に向けた「共同ビジョン声明」に署名し、中国に対する対抗姿勢をより鮮明にしている。
(2)韓国
 中国との連携を軸にした航空機産業発展のビジョン
韓国の経済団体である全国経済人連合会(全経連)の李承哲副会長は、ソウル市内の全経連会館で開かれた「第4回韓中CEO円卓会議」に於いて、「アジア各国が航
空機製造分野で協力システムを構築すれば、欧州のエアバス、米ボーイングが独占している航空機製造業で『アジアの時代』を切り開くことができる。」と述べ、中国本
土との連携を軸とした航空機開発に意欲を示している。
 新型弾道ミサイル発射試験成功
韓国軍は、射程500キロ以上の新型弾道ミサイルの試験発射を朴大統領が見守る中で実施し、「成功した。」と発表している。これは、北朝鮮のほぼ全域を射程に収め
るミサイルであるとされているが、ミサイルが反対側に発射されれば、日本も射程域内に入る。こうした動きが韓国単独ではなく、米国、そして中国本土とも連携して実施
されているものと見ておきたいが、日本としても一応、注視していくべきではないか。
 2000 隻目を引き渡した現代重工業
韓国の造船大手である現代重工業が、船舶の引き渡し隻数が世界で初めて2,000隻に達したと発表した。韓国南東部の同社の蔚山本社で、2,000隻目となるドリ
ルシップ(掘削船)を米国企業に引き渡したことによるもの。造船の歴史が長いと言われている欧州や日本の企業ですら、まだ2,000隻を達成していないことからすれ
ば、素晴らしい実績である。
 中韓FTAについて
韓国政府は、朴大統領が開いた閣議で韓国と中国が今年2月に仮署名した自由貿易協定(FTA)案を閣議決定している。協定案は韓国と北朝鮮が経済協力事業を行
う開城工業団地の製品を含む計310品目を韓国製とし、協定が発効されると同時に特別関税の優遇を受けると言った内容を含めている。また、中国は品目数ベースで
91%(7,428品)、輸入額ベースで85%(1,417億米ドル)に相当する品目の関税を20年以内に撤廃するとしている。今後は、中国が「米国が主導するTPP」に対抗
する形で、水面下で進めようとしていると見られる「中国が主導したいとする新たな自由貿易協定連携、経済協力連携」に関する動きに韓国も積極的に参加していく可能
性もあると見ておきたい。
[主要経済指標]
1.
対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/
1,110.90(前週対比-32.30)
台湾:1米ドル/30.86ニュー台湾ドル(前週対比-0.16)
日本:1米ドル/
124.76(前週対比-0.95)
中国本土:1米ドル/6.2022人民元(前週対比-0.0037)
2. 株式動向
韓国(ソウル総合指数):2,068.10(前週対比-46.70)
台湾(台北加権指数):9,340.13(前週対比-360.94)
日本(日経平均指数):20,460.90(前週対比-102.25)
中国本土(上海B):5,023.096(前週対比+411.352)
4. 編集後記― ドローンの今後
先週 GRIPS(政策研究大学院大学)とマンスフィールド財団が共催したドローン(小型無人機)のセミナーに参加しました。同財団から日本にフェローとして来られている
ハワード・ストーン氏のプレゼンに対する質疑応答の形式で進行されました。ストーン氏は司法省所属で、ドローンを警察の法執行業務に活用する切り口から説明され
ましたが、国内治安維持業務に関する歴史と日米比較の観点の披露もあり大変興味深い内容でした。日米の違いでは、日本の警察官の殉職者数が 5 年乃至 10 年で 1
人なのに対し、米国では昨年だけで 50 人が勤務中に亡くなられているそうです。ドローンを使った監視や不審者(車)の追尾、ナンバープレートのスキャンなどはすでに
やっているようですが、犯人と銃で応戦中にドローンで相手の位置を見定める使い方なども検討されているようです。ただ、アーカンソーなど州によってそういった使い道
にネガティブな州もあるようです。当日の参加者は在日アメリカ人が圧倒的に多く、米国エアロスペースメーカーの代表や千葉のドローンメーカー(代表が欧米人)から
FAA の代表の方までおられ、多くの質問や情報交換で盛り上がっていました。 日本も今年ドローンの使用に関する航空法の改正があり使用制限や登録制度などが登
場するようですが、ロボット化の風潮と合わせますますその利用度も高まると感じました。
日賑グローバル・ニュースレター国内版(第 105 号)
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3.
4.
50 年目のサブウェイに求められる変革
貧富の格差に関する新たな発見
東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 6 月 1 日付けレポートを弊社にてダイジェスト版化
編集後記― 「地域創生と環境経営」のイベントに行ってきました
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50 年目のサブウェイに求められる変革
世界 110 か国に 43,945 店舗(マクドナルドとスターバックスの店舗を合わせた数より多い)を展開する米国のサンドイッチチェーンのサブウェイは今年創業 50 周年を迎
える。ところが、昨年は売り上げを 3%落とし、ファストフードチェーンでトップの座から 3 位に落ち変革を迫られている。“フレッシュでヘルシーなサンドイッチ”が“売り”であ
り、ファーストレディのミシェルオバマも賞賛したブランドであったものが、消費者の“フレッシュ”に対するニーズの変化についていけず、マンネリ気味で新鮮味に欠け、
Chipotle Mexican Grill や Firehouse Subs といったチョイスの豊富なライバルに顧客を奪われていることが原因のようである。サブウェイの新たなフランチャイズ店を開店
する場合の費用は 11 万 6 千ドルでマクドナルドの約 10 分の 1 の安さが、フランチャイズ急拡大を推し進めてきた。フランチャイズ店オーナーは、フランチャイズ費用とし
て 1 万 5 千ドルを支払い、毎週の売り上げの 12%をロイヤルティとして本部に吸い上げられる。一方で販売単価は安く抑える必要があり、結局従業員の人件費も抑え気
味とならざるを得ないところが社員満足度、ひいては顧客満足度に影響してきているかもしれない。 トッピングやソースの変化に関してもライバルに比べ規模が小さく、
遅れ気味と言われる。 日本では鳥取と島根以外の 45 都道府県で 454 店舗展開するサブウェイだが、創業から半世紀で消費者の“フレッシュでヘルシー”というニーズ
を改めて捉えなおし、大胆な変革を遂げることが求められているようである。
2. 貧富の格差に関する新たな発見
アメリカのエグゼクティブの報酬がうなぎのぼりに増加してきたことは良く知られている。実際 1978 年においては大企業のトップの報酬はその社員の平均賃金の 30 倍で
あったものが今日では 295 倍になっている。ただ、この差が、トップ 1%と残り 99%の米国の貧富の格差拡大を押しなべて説明するものであるとする従来の観点に異論を
はさむ調査結果が発表された。社会保障局とミネソタ大学及びスタンフォード大学によるチームが 1978 年から 2012 年までの間の米国の全企業の収支データを調べた
結果、個別企業単位でのエグゼクティブと社員の間の差はこの 30 数年間特に変わっていないこと、大きく変わったのは社員からエグゼクティブに至る全報酬が高額で
ある一握りの企業とそれ以外の企業との報酬差であること、が判明した。換言すれば、収益でトップ 1%の企業とそれ以外の企業の収益格差並びに報酬格差が役職に
拠らずこの期間中に大きく開いたということになる。これは全米どの地域、どの産業においても同じようにみられる現象という。情報化が進んだことなどから各分野のトッ
プ企業にヒトモノカネが集まりやすくなったという推測も考えられる。もちろんウォールストリートに象徴される金融機関の報酬と、そのトップの報酬の上昇率は他の業種
をかなり上回る。実際、過去 30 年間のトップ 1%の報酬の増分の 6 割はウォールストリートの報酬増とコーポレートエグゼクティブの報酬増による。ただ、言い換えれば、
残り 4 割の説明は、それ以外の業種のトップ 1%企業の全社員の報酬増ということになる。
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 6 月 1 日付けレポートを弊社にてダイジェスト版化
(1) 中国
 中国のリムパック参加を認めない米上院
米国の上院軍事委員会のマケイン委員長(共和党)とリード議員(民主党)は2016年の環太平洋合同演習(リムパック)に中国を招待しないようカータ
ー国防長官に求める書簡を送ったと発表した。この書簡は、中国による南シナ海の南沙諸島での岩礁埋め立てを「現状変更が目的」と指摘したうえで、「中
国の破壊的な活動に代償を科す政策を検討すべきである。中国は、この訓練に定期的に参加している日本やフィリピンを含む国々を威圧している。」として、
既に米軍が決定したという中国に対する招待を撤回するよう求めたとされている。
 AIIB創設 57 か国の協定合意
注目されているAIIBの設立に向けた具体策を議論する会議がシンガポールで開かれた。その「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」の第5回首席交渉官会合では、創設メ
ンバー57か国が設立協定案に合意し、3日間の協議を終えた。実際の融資をするかどうかの判断を行う理事は本部の北京に常駐しないほか、中国が出資比率20%
台後半で最大の出資国となることが決まった模様である。6月末に北京で調印式が行われ、年内の発足を目指す。
複数の出席者によると、設立時の資本金を当初予定の500億米ドルから1,000億米ドルに引き上げることも決まった。中国の出資比率は「26~29%で調整」(東ア
ジアの出席者)しており、6月末までに詳細を詰めることになっているようである。インドと、「域内国」となったロシアが主な出資国として続き、12人構成の理事会では、
欧州など「域外国」に3枠を割り当て、一定の発言権を認める模様である。しかし、中国の意向が様々な意味で反映され易い組織となっていることは明らかでガバナンス、
そして透明性の問題も残りそうな合意であり、各国が力の中国に譲歩している感が否めない。
 海洋戦略重視に改める中国国防姿勢 -国防白書発表
中国政府は、2年ごとに纏めている国防白書を先日、発表した。この中で、アジア回帰を目指す米国の「リバランス」政策や、日本の安倍政権が掲げる「戦後レジームか
らの脱却」に対する警戒感を明記した上で、「中国の国防姿勢は、従来の陸軍重視の伝統的な思考を改める。」ともコメントし、海洋戦略をさらに強化する姿勢を鮮明に
している。
 「南シナ海平和イニシアチブ」を提唱する台湾
改善に向けた動きを示している中台関係ではあるが、国際社会が注目、また米中間の懸案としても浮上してきている「南沙諸島問題」に関しては、台湾は中国本土の動
きに懸念を示している。台湾の馬英九総統は、実は台湾も領有権を主張してきている南シナ海問題について、主権争いを棚上げし、平和的解決を目指す「南シナ海平
和イニシアチブ」を提唱している。
(2)韓国
 現代自動車グループ、中国市場で GM を抜き販売台数 2 位
現代自動車とその傘下の起亜自動車は、先月、中国市場でゼネラル・モーターズ(GM)を抜いて販売台数第2位に浮上した。中国の自動車業界によると、現代・起亜自
動車は4月に中国市場で前年同月比2.5%増の14万6,294台を販売したと報告されると共にGMを抜いたと言うものである。
 三星電子がインテルを抜き世界一の半導体メーカーとなる観測
三星電子は、世界の半導体市場で23年間にわたり1位をキープしてきたインテルとの間で、シェア競争を展開してきているが、そのシェア格差が縮まっており、半導体
業界では、この1~2年のうちに三星電子がインテルを追い抜きトップに立つとの見方が広がっている。スマートフォンの普及で状況が変わった、また、インテルが対応
が遅れているといったことが、こうした見方の背景にある。
 2000 隻目を引き渡した現代重工業
韓国の造船大手である現代重工業が、船舶の引き渡し隻数が世界で初めて2,000隻に達したと発表した。韓国南東部の同社の蔚山本社で、2,000隻目となるドリ
ルシップ(掘削船)を米国企業に引き渡したことによるもの。造船の歴史が長いと言われている欧州や日本の企業ですら、まだ2,000隻を達成していないことからすれ
ば、素晴らしい実績である。
 中韓FTAについて
韓国政府は、朴大統領が開いた閣議で韓国と中国が今年2月に仮署名した自由貿易協定(FTA)案を閣議決定している。協定案は韓国と北朝鮮が経済協力事業を行
う開城工業団地の製品を含む計310品目を韓国製とし、協定が発効されると同時に特別関税の優遇を受けると言った内容を含めている。また、中国は品目数ベースで
91%(7,428品)、輸入額ベースで85%(1,417億米ドル)に相当する品目の関税を20年以内に撤廃するとしている。今後は、中国が「米国が主導するTPP」に対抗
する形で、水面下で進めようとしていると見られる「中国が主導したいとする新たな自由貿易協定連携、経済協力連携」に関する動きに韓国も積極的に参加していく可能
性もあると見ておきたい。
[主要経済指標]
1.
対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/
1,107.67(前週対比-13.81)
台湾:1米ドル/30.70ニュー台湾ドル(前週対比-0.37)
日本:1米ドル/
123.81(前週対比-2.38)
中国本土:1米ドル/6.1985人民元(前週対比10.0013)
2. 株式動向
韓国(ソウル総合指数):2,114.80(前週対比-31.30)
台湾(台北加権指数):9,701.07(前週対比+62.27)
日本(日経平均指数):20,563.15(前週対比+298.74)
中国本土(上海B):4,611.744(前週対比-45.852)
4. 編集後記― 「地域創生と環境経営」のイベントに行ってきました
先週都内で開催された「政策分析ネットワーク(注)」主催の掲題のイベント(パネルセッション)に参加しました。 環境省、経産省、シンクタンク、日本商工会議所、日本
政策投資銀行、環境新聞、そして開催場所を提供されたイトーキのだ票の方々が夫々の立場から地方活性化における環境の位置づけの事例について語られました。
環境省: 水俣市の復興を“環境で再生”をテーマに実現。再生可能エネルギー、環境ファンド、食堂観光列車などユニークなアイデアの組み合わせで実行中。
経産省: 家電リサイクルを秋田県の地元業者とのコラボを契機に同県をモデル地域として全国に展開、法制化。エコタウン制度も北九州市をモデルとして全国 27 か所
に展開。
日本総研: 地域の魅力にカネを呼び込むインバウンドの発想が必要。エネルギーの域外依存を減らし自前供給を目指すべき。
日本商工会: 地域の多様性重視。
日本政策投資銀行: 2004 年から環境格付け融資実施中。
イトーキ: 輸入材でなく国産木材製品を優先して仕入れることでカネを山に戻し環境を維持していくこと重要。特に水源林を守ること。
他にも女性や若者のネットワーク力を生かした地方活性化、地域おこし協力隊の活用、リサイクルの規制緩和、林業製材とその間伐材を使ったバイオマス発電による市
民還元などの事例紹介もあった。
本日 6 月 5 日には環境白書がリリースされるがその中でこの手の事例も多く紹介される模様。 加えて早ければ 8 月にも日本全国 1,800 自治体の環境データベースが
完成するとのこと。
注:立法・行政(中央省庁/地方自治体)・民間企業・大学・シンクタンク・マスコミ・NPO/NGO・有識者」などの制作関係者による、様々な社会課題(地域課題)について、
「政策議論(建設的な官民政策対話)」と「官民人的交流」の促進を図るための、「官民連携型:政策プラットフォーム」 1999 年 4 月設立。代表:東京大学大学院 伊藤元
重 教授
日賑グローバル・ニュースレター国内版(第 104 号)
1. 月面の区画を早い者勝ちで取りに行く米国
2. 英国の内向き傾向に警鐘を鳴らす米国メディア
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 5 月 25 日付けレポートを弊社にてダイジェスト版化
4. 編集後記― 中東情勢分析(中東フリーランサー東京報告7)by 三井物産戦略研究所大橋研究員
5. 中小機構虎ノ門セミナー
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月面の区画を早い者勝ちで取りに行く米国
米国は惑星資源など宇宙にあるモノへの所有権を主張しようとしている。現在、月面上には 6 つの星条旗が立てられているが、最近米議会下院を通過した「宇宙法」
(Space Act)では民間企業が小惑星探査で発見・獲得したものの所有権は、それが既存の連邦法と矛盾を来さない限りそれを実際に専有した者に帰属することをうた
っている。すなわち「早い者勝ち」となるが、そうなると争いも生じやすく、それらを取り締まる政府の役割も重要になる。民間の宇宙空間での活動を誰が規制し、どのよ
うなルールが適用されるのかが問われる。今のところその規制・監督官庁としては連邦航空局(FAA)が最右翼となっている。既に FAA は NASA や国防省のロケット打ち
上げ以外の民間打ち上げの許可を司っている。上述の「宇宙法」でも民間の財産権の定義はまだあいまいだが、FAA が宇宙での民間活動の規制・監督官庁となること
を妨げるものは一切含まれていない。現段階での FAA の所管は打ち上げと大気圏再突入以降帰還するまでだが、そこから宇宙空間内の行為にも及ぶ可能性は高いと
見られる。アメリカのホテル事業者で宇宙での居住空間を事業化しようとしている Robert Bigelow 氏は FAA から打ち上げ許可を入手の上、月面において彼の進める宇
宙住居の実験を行おうとしている。1967 年に世界の主な国々が締結した「宇宙条約(正式名称は「月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動
を律する原則に関する条約」で、国際的な宇宙法の基礎となった条約。宇宙空間における探査と利用の自由、領有の禁止、宇宙平和利用の原則、国家への責任集中
原則などを定めている。以上ウィキペディア)」では、有人惑星探査車には半径 125 マイル(200km)もの独占的スペース(他の車に邪魔されず自由運用できる区域)を認
めている。目的は車を操縦する宇宙飛行士の安全確保であるが、もしこのルールが民間宇宙活動に適用される場合、最初に降り立った民間会社の有人車両に認めら
れる専有面積はとてつもなく広いものとなる。そのルールも含め、FAA が宇宙空間の安全性を担保するために与えられる規制・監督権限と各国との間の調整が今後注
目されることになろう。
2. 英国の内向き傾向に警鐘を鳴らす米国メディア
国際問題評論家でジャーナリストのファリード・ザカリアが英国指導層の国内内向き志向を懸念する記事をワシントンポストに寄稿している。ギリシャ問題から移民問題、
ウクライナ、ロシア、イスラム国、そして中東情勢など欧州が直面する多くの問題を前に、今般再選されたキャメロン英国首相の議会演説の中心は英国内の病院の週
末のスタッフ不足の解消についてであり、国際関係に関するものは限定的であったという。また、英国陸軍の規模は 8 万人にまで減り、これがさらには 5 万人にまで削
減されるという(日本の陸上自衛隊は 14 万人規模)。そうなれば 1770 年代以降で同国での最小の規模になるという。過去 5 年間の年 8~9%規模の国防費削減により、
英国の通常戦闘力は 20%~30%低下したという。その結果、同盟国によるイスラム国空爆でも英国はマイナーな役割しか果たさなかった。NATO 北大西洋条約機構の加
盟国は GDP の 2%以上を国防費に割り当てることが求められ、英国もこれまでかろうじてそのレベルを維持してきたが、今後はそれを維持することを拒絶している。キャメ
ロン首相の一期目の期間中、国務省予算は 4 分のカットされ、イギリスの強力な対外広報メディアである BBC ワールドサービスは外国語放送の中の 5 か国語分の放
送を閉鎖している。英国の世論の対ロ制裁の強化や対中貿易交渉での強硬な姿勢、中東での軍事作戦或いは他の欧州諸国との関係強化など対外関係への関心が
下がっている。ザカリア氏にとってそういった内向きな英国の姿勢がなぜ問題かというと、過去 300 年を通じ世界秩序を形作ることにおいてそのアイデアや構想力、実行
力、指導力を発揮してきたのが英国であり、世界のほぼすべての問題に首を突っ込み、解決に尽力してきたからであるという。 今後、国際政治的にも軍事的にも台頭
してくる中国に対し、英国がこの有様では心もとないという一部米国の有識者層の本音といったところであろう。
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 5 月 25 日付けレポートを弊社にてダイジェスト版化
(1) インド モディ首相韓国訪問
モディ首相が韓国を国賓として訪問した。韓国の朴大統領と共にモディ首相は、ソウル市内で開催された韓国・インドCEO(最高経営責任者)フォーラムに出席している。
同フォーラムは昨年1月に朴大統領がインドを訪問した際、首脳間合意で設置が決まったもので、この日初会合を迎えた。韓国政府・産業通商資源部とインド政府・商
工省が共催し、両国の企業関係者約300人が出席している。
(2)韓国
 北朝鮮による潜水艦発射弾道ミサイル実験
北朝鮮政府は「戦略潜水艦の弾道ミサイル水中発射実験に成功した。」と発表した。実際には、水中に沈めた発射台を使って「ミサイル排出機構」の実験を行ったので
はないかという見方も米国の専門家からは出ている。
 ペルー向け武器輸出商談
朴大統領が最近、中南米4カ国を歴訪した際、2番目に訪れたペルーで同国のオジャンタ・ウマラ大統領と首脳会談を行い、その直後、韓国では、韓国・ペルー間の超
大型武器輸出契約をめぐる期待が一挙に膨れ上がっている。両首脳がいずれも、今後ペルーの軽攻撃機事業に於ける韓国の成功を望むという、強い意向を示した為
である。ペルーが推進しようとしているFA50は、韓国製の高等練習機T50を攻撃機に改造したモデルであり、ペルーは、今年下半期に軽攻撃機の機種選定を控えて
いる。また、その事業規模は、24機分の機体を含め総額約20億米ドルが見込まれている。韓国の防衛産業界は、「現在の両国関係はいつになく良好であり、可能性
はかなり高い」と見ている模様である。
 新首相指名
朴大統領は、金銭授受疑惑により辞任した李完九前首相の後任候補に黄教安法相を指名した。検察出身の黄氏起用で不正・腐敗に断固とした対応を取る姿勢を国民
や野党に対して示し、政権を立て直したい考えを朴大統領が持っていると見られる。
[主要経済指標]
1.
対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/
1,093.86(前週対比-4.88)
台湾:1米ドル/30.43ニュー台湾ドル(前週対比+0.12)
日本:1米ドル/
121.43(前週対比-1.54)
中国本土:1米ドル/6.1972人民元(前週対比+0.0079)
2. 株式動向
韓国(ソウル総合指数):2,146.10(前週対比+39.60)
台湾(台北加権指数):9,638.80(前週対比+59.32)
日本(日経平均指数):20,264.41(前週対比+531.49)
中国本土(上海B):4,657.596(前週対比+348.905)
4. 編集後記― 中東情勢分析(中東フリーランサー東京報告7)by 三井物産戦略研究所大橋研究員
継続的にご紹介している三井物産戦略研究所大橋研究員の中東フリーランサー報告第 7 号をお送りします。大橋さんから「4 月下旬にはドバイ、カタールに出張しました
が、その後イラク、シリア情勢も動きましたが、一番大きな変化はサウジでした。今回はブルッキングズドーハセンター訪問、アラブの若者の意識調査などと共に、イラ
ク・シリア、サウジ情勢を俯瞰してみました。」というメッセージ付きで添付報告を頂戴しております。
5. 中小機構虎ノ門セミナー
中小機構殿とのご縁で今月 11 日に虎ノ門セミナーにてお話させていただきました。その模様を中小機構にてわざわざ YouTube 化していただきました。お時間がございま
したらご笑覧ください。
http://www.smrj.go.jp/jinzai/tokutei/092401.html
日賑グローバル・ニュースレター国内版(第 103 号)
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クリントン夫妻の高額講演料と喜んで支払う米企業
米国の農業の生産性と対環境性の向上に期待がかかるドローン
東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 5 月 18 日付けレポートを弊社にてダイジェスト版化
編集後記― 普天間基地移転問題、沖縄現場の視点
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クリントン夫妻の高額講演料と喜んで支払う米企業
米国の大統領候補は立候補表明後 30 日以内に連邦選挙委員会に対し財務情報を申告する義務を負う。先月 12 日に立候補表明したヒラリー・クリントン前国務長官は
このルールに従いクリントン家の財務情報を申告した。 それによれば、クリントン夫妻は 2014 年の初めから申告日までに 104 回講演を行い 2500 万ドル(約 30 億円)
以上稼いだ。加えて、ヒラリーは昨年 6 月に出版された”Hard Choices”で 5 百万ドル以上の印税を得た。驚くのは夫のビル・クリントン元大統領の精力的な講演回数で、
ヒラリーが上院議員であった 7 年間と、国務長官であった 4 年間の計 11 年間に 540 以上ものスピーチを行い、1 億 500 万ドル(126 億円)も稼いでいる。平均すると 1
回当り 23 百万円強だが、その単価は年々上昇し、2012 年には 72 回で 1,630 万ドル(19 億 6 千万円)で 27 百万円強となっている。ヒラリーは昨年から今年第一四半期
までで 51 回講演し 11,000 万ドル(13 億 2 千万円)以上を得ている(平均単価 26 百万円)。 ただ、今年 3 月にサンノゼの eBay で行ったスピーチでは 32 万 5 千ドル(38
百万円)、昨年 8 月にラスベガスの Cisco で行ったスピーチは 32 万 5 千ドル(39 百万円)を得ている。同じ期間に夫のビル・クリントンは 53 回で約 13,000 万ドル(15 億
6 千万円、平均単価 29 百万円)を稼いだ。相手先には Univision や Apollo Management Holdings といった企業が含まれる。 ヒラリーは公立大学でのスピーチでも 30 万
ドル前後を請求していたことに批判が起こったが、彼女は全額を“Bill, Hillary and Chelsea Clinton Foundation”(世界的慈善団体)に寄付している。
ビル・クリントンの大統領二期目の際のモニカ・ルウィンスキーのスキャンダルに伴う弁護士費用や 2007 年のヒラリーの前回の大統領選キャンペーン費用など何かと巨
額の経費を支払ってきた夫婦だが、上記の通りの稼ぎの良さであっという間に借金を完済し、余力を慈善団体基金に積み立てている。大統領候補となってからはヒラリ
ーは有料講演を止めているが、ビル・クリントンは「まだまだ用立てる必要があるので妻がキャンペーン中でも有料講演を行う」としている。それにしても 15 か月で 104 回
の講演とすれば平均で月 7 回行っているわけで、夫婦が毎週全米どこかでスピーチを行ってきたことになる。これだけの高額講演料に見合う企業にとってのリターンが
話の中にあるということなのであろう。
2. 米国の農業の生産性と対環境性の向上に期待がかかるドローン
全米農業連盟(American Farm Bureau Federation)は小型無人航空機のドローンを散水と農薬散布に積極的に活用するべく、その運用ルールについて FAA 連邦航空
局と調整中であるという。 FAA ではすでに”Operation and Certification of Small Unmanned Aircraft Systems”という小型無人機のジャンルを設けており、その操縦、監
視・管理体制、整備、耐空証明手続きなどについてユーザーごとの声を聴き安全性と有用性のバランスを取りながらルールを定めているところ。農業連盟は、ドローンに
より空中から農地と作物の成長度合いを確認し、的確に散水や農薬散布をコントロールすることで、より少ない水と農薬でより高い産出を可能とすることが可能になると
期待している。それは収益性向上はもとより、環境負荷を抑え対環境性を高めることにもつながるという。一方、FAA が管轄する航空安全を重視するあまり、操縦、監
視・管理体制、整備・耐空証明手続きなどに多大な人員や時間を要することになればドローンの潜在的有用性が減殺される。その安全性と有用性の間のバランスを通
常の有人航空機のような部品一品一品に至る証明手続きに基づくのではなく、性能基準に基づく標準ルールで取るように農業連盟は FAA に要求しているという。
日本では首相官邸に突如侵入した出来事で一躍有名になったドローンだが、米国では軍事以外に EC 最大手のアマゾンが宅配用にドローンを商業利用すべく試験飛行
中の状況にある。ただ、耐空証明取得に半年もかかったことに同社は FAA を厳しく批判しているという。
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 5 月 18 日付けレポートを弊社にてダイジェスト版化
(1) 中国
 再生可能エネルギーのシェア、2030 年までに 50%超
中国政府筋は、「中国本土の総発電量に占める再生可能エネルギーの割合を2030年に53%、2050年に86%まで拡大可能とするとの内容を結論とする報告書が
纏められた。」と発表している。
 輸出入高 2 か月連続減少
中国税関総署は、4月の貿易統計を発表、「中国本土の本年4月の輸出は前年同月対比6・4%減の1,763億米ドルとなり、また輸入は同16・2%減の1,421億米ド
ルとなった。」と報告している。
輸出、輸入がそろってマイナスとなるのは、2カ月連続であり、これによって、中国経済に関しては、内外需ともに振るわないことが鮮明となったとの見方も強まっている。
 半年で 3 度目の金融緩和
中国の中央銀行である中国人民銀行は、金融機関の貸し出しと預金の基準金利について、1年物でそれぞれ0・25%引き下げると発表した。中国の基準金利の利下
げは今年3月以来であり、また、金融緩和に転じた昨年11月以降半年で3回目となる。中国経済は不動産市場の悪化などに伴う景気減速が続いており、今回も利下げ
は、景気刺激を目的とされていると見られている。
(2)韓国
 LGディスプレイ、スマートウォッチ世界シェア 90.9%
LGディスプレイが世界のスマートウォッチ用パネル市場で圧倒的シェアを占めていることが判明した。米調査会社ディスプレイサーチによると、LGディスプレイは世界の
スマートウォッチ用パネル市場で1~3月期に売上高1億8,600万米ドルを記録し、シェアが90.9%に達していることを報告したからである。2位の三星ディスプレイが
630万米ドル(3.1%)、3位のジャパンディスプレイが480万米ドル(2.4%)、4位の双葉電子工業が370万米ドル(1.8%)で、LGディスプレイが単独の大幅トップ
となっている。
 ブラジルで着実にシェアを伸ばす現代自動車グループ
現代自動車グループ(現代自動車及び起亜自動車)は、本年4月のブラジル自動車販売で、1992年の進出後、最高のシェアを記録したと発表している。ブラジル全国
自動車製造業者協会は、本年4月の現代自動車グループのシェアを8.7%と集計し、また、本年1~4月のシェアは8.3%となったと発表し、更にまた、本年は初めて、
通年のシェアが8%台を記録すると見込まれるとの見通しを示したことを受けての現代自動車グループのコメントである。現在、現地で生産する主力モデルとなっている
現代自動車の小型ハッチバック「HB20」の販売が好調であり、また、ブラジル市場全体の需要が減少する中、競合他社の販売台数が大きく落ち込んだことも、同グル
ープのシェア押し上げにつながったと見られている。
[主要経済指標]
1.
対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/
1,088.98(前週対比-1.16)
台湾:1米ドル/30.55ニュー台湾ドル(前週対比+0.14)
日本:1米ドル/
119.89(前週対比+0.11)
中国本土:1米ドル/6.2051人民元(前週対比+0.0026)
2. 株式動向
韓国(ソウル総合指数):2,106.50(前週対比+20.98)
台湾(台北加権指数):9,579.48(前週対比-112.52)
日本(日経平均指数):19,732.92(前週対比+353.73)
中国本土(上海B):4,308.691(前週対比+102.774)
4. 編集後記― 普天間基地移転問題、沖縄現場の視点
私がワシントン DC 駐在時に謦咳に接する機会を得たジョンズホプキンス大学高等国際問題研究大学院付属エドウィン・ライシャワー東アジア研究センター長のケント・
カルダー教授の右腕として同教授の執筆やイベントを支援されていた吉川由紀枝さんは帰国後 2012 年から 14 年まで沖縄県知事公室地域安全政策課に所属されてい
ました。今般、日経 BP オンラインで吉川さんのその間の経験に基づく「「沖縄の声」をワシントンに届ける」というタイトルの連載が始まりました。ご本人の承諾を得て URL
を下記の通りご紹介いたします。日米関係の知見に沖縄の現場での経験が加わった貴重な視点が得られるものと信じます。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20150515/281164/
尚、吉川さんのご経歴を下記いたします。
慶応義塾大学商学部卒業。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)東京事務所にて通信・放送業界の顧客管理、請求管理等に関するコンサルティングに従
事。2005 年米国コロンビア大学国際関係・公共政策大学院にて修士号取得後、上級研究員をへて 2011 年 1 月より現職。また、2012 年-2014 年は沖縄県知事公室地域
安全政策課にて主任研究員。
日賑グローバル・ニュースレター国内版(第 102 号)
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イスラエル・中東政策で兄をアドバイザーと呼ぶジェフ・ブッシュ
米国でのワークライフバランスの行方
東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 5 月 11 日付けレポートを弊社にてダイジェスト版化
編集後記― ハノーファー展示会に行ってきました
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イスラエル・中東政策で兄をアドバイザーと呼ぶジェフ・ブッシュ
ニューヨークのマンハッタンのメトロポリタンクラブで行われた大口選挙資金提供者向け説明会においてジェフ・ブッシュ元フロリダ州知事は兄で第 43 代大統領のジョー
ジ・W・ブッシュがイスラエルと中東との外交関係に関する相談相手であると語った。この発言は、ジェフの父の第 41 代大統領ジョージ・H・ブッシュ時代の国務長官であ
ったジェームズ・ベーカーが特に外交面でどのような役割を果たすかという質問に対するもの。今年 85 歳のベーカーは去る 3 月にイスラエル左派支援グループ向けに
行ったスピーチにおいてネタニヤフ首相がパレスチナとの 2 国家共存体制を支持していないことを批判、それが共和党保守派を驚かせた。 ジェフが 2 月に公表した彼
が政策面でアドバイスを求める知人の中にベーカーの名前がうたわれていたことからジェフの中東外交政策に対する心配が生じたもの。その懸念を払しょくする意味で
ジェフは同党保守派の特にイスラエル現体制支持の保守派に人気の高い兄の名を出したものと見られる。ベーカーはイスラエルや中東以外の分野でのアドバイスを担
う模様。ただ、W・ブッシュの名を出すことが近い将来の立候補表明後のジェフの選挙戦にリスクであることも事実。ワシントンポストとABCニュースによる共同世論調
査では、有権者の過半数がいまだに彼の大統領としての職務を支持していない。一方、共和党有権者に絞ればその支持率は 87%となる。ただ、共和党保守派の中にも
W・ブッシュが財政赤字を増大させた事実を以て強く反発している筋もある。兄の W・ブッシュもその状況をわきまえ、2016 年の大統領選で目立った選挙応援活動はしな
いと度々語り、唯一、何があっても行うのは「家族として、’Hey man, I love you.’と弟に語ること。」と告げている。
2. 米国でのワークライフバランスの行方
ロンドンを拠点として世界で会計、税務などのプロフェッショナルサービスを展開するアーンスト&ヤングが米、英、インド、日本、中国、ドイツ、メキシコ及びブラジルの計
約 1 万人の被雇用者を対象に行った調査によると、 過去 5 年間で多くが長時間労働を経験し、ワークライフバランスは悪化、子供を持つことを遅らせたり諦めたり、或
いは自らの教育投資を諦めたり、子供の教育費捻出に苦労しているという。1つの理由は 2008 年の世界同時不況の影響が残り、企業がより少ない人員で多くのアウト
プットを求める状況がまだ続いていること。もう1つは世代間ギャップ。アメリカの場合、現在の 20 代の殆どとなるミレニアル世代の 80%近くが夫婦ともにフルタイムで働く
共稼ぎ。 それが、今 30 代から 40 代となるジェネレーション X の場合だと 73%、その上のベビーブーマー世代だと 47%にまで下がる。ベビーブーマー世代の約 4 分の 1
は妻が家のことに専念できる専業主婦かパート従事の状況。従い、多くの場合上司となるベビーブーマー世代には若い世代の共稼ぎと子育ての苦労が共感できておら
ず、若い世代が求める在宅勤務やフレックスタイムなどの働き方の柔軟性の必要性を深くは理解できていないという。 特にオフィスで物理的に顔を見ながら仕事をす
ることこそ「仕事」と信じている古い世代の上司は、在宅勤務ではオフィス並に真剣に仕事をしないのではとの懸念を持っているという。 一方、若い世代はワークライフ
バランスの確保のためには多少の賃金カットや昇進の遅れや異動も甘んじて受けるとまで回答しており、それでも確保できない場合は転職するという。特にアメリカの
若い世代の 40%は出産や子育てに関する有給休暇がないことに強い不満を感じている。アメリカは先進国で唯一この出産・子育てに関する有給休暇政策のない国(ワ
シントンポスト記事)で、自発的に出産有給休暇を認めている企業の割合はリーマンショック前の 16%から今は 9%に減少している。キャリアアップのための頻繁な転職や
自己実現のための起業というイメージが強い米国就労市場だが、ワークライフバランスの改善が転職や起業(特に在宅・IT ベース)の原動力の一端を担っている様子が
感じられた。
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 5 月 11 日付けレポートを弊社にてダイジェスト版化
(1) 中国
 対豪投資、米を抜いて世界一
オーストラリア政府・外国投資審査委員会は、2013会計年度(2013年7月~2014年6月)のオーストラリアへの直接投資額(認可ベース)で、中国が米国を上回り初
めて首位になったと発表している。
即ち、中国本土はオーストラリアに対して同期間中に277億豪ドルを投資しており、10年以上首位だった米国の175億豪ドルを大きく上回っている。
中国の投資の4割超の124億豪ドルが不動産向けとなっている。
 地中海での中露合同軍事演習
ロシア国防省は、地中海で中国軍との合同軍事演習を今月11~21日に行うとしている。この演習には両国の艦艇計9隻が参加する見通しとなっている。中露両国は
演習を防衛的なものと表明している。
中国の習近平国家主席はモスクワでの対独戦勝70周年の軍事パレードに出席、欧米の首脳がこのパレードに欠席する中、中国はロシアと連携し、欧州、米国との狭
間でバランスを取る姿勢を示している。
(2)ミャンマーでの少数民族関連報道への統制
ミャンマーは少数民族も含めた多くの民族が存在する多民族国家である。最大勢力であるビルマ族は、その対応に腐心、しかし、その間隙を縫って、外国勢力が少数民
族を支援したりし、ミャンマーと言う国家に揺さぶりを掛けることもある。こうした中、ミャンマー国軍は、国内メディアや同国に支局を持つ外国メディアに対して、軍と戦闘
状態にある少数民族コーカン族の武装勢力の声明などを報じないよう警告した。「もしも、これを報道した場合は法的措置を取る。」ともしている。内外メディアからは批
判が出ており、再び、ミャンマーの民主化について、内外の批判を受ける危険性もある。
(3)マレーシア、シンガポール高速鉄道計画先送りへ
シンガポールのリー・シェンロン首相とマレーシアのナジブ首相は、シンガポールで会談をし、両国を結ぶ高速鉄道計画(全長約330キロの予定)の開業時期を、当初目
標の2020年から先送りすることで合意した。これによって、年内と見られていた同プロジェクトの国際競争入札も来年以降にずれ込む見通しである。両首相は会談で、
同計画を両国の最重要プロジェクトと確認しているが、日本円にすると1兆円以上とされる建設費用の調達方法などで協議が続いており、更に、国際情勢の不安からく
るマレー半島全体の社会情勢を見極める必要性なども出てきているものと見られていることから開業時期が延期されたものと推測されている。
(4)韓国
 北朝鮮の粛清の急増
韓国の国家情報院は韓国の国会で、「北朝鮮の金正恩第1書記が今年に入って幹部ら15人を処刑した。」と報告している。 金第一書記が北朝鮮の最高指導者になっ
て以降、処刑された幹部は2012年が17人、2013年は10人、昨年は41人に上っていると国家情報院よりは報告されており、命令に異議を唱えたことなどを理由に、
見せしめに処刑する、「恐怖政治」を金第一書記が続けているとの見方を示している。
 目立つ対中配慮
韓国はAIIBに参加を表明し、中国との金融連携を深める意向を示唆したと言える。一方で、米国が主導する貿易や投資の経済連携とも言えるTPPには加盟の意思を
正式には示してはいない。そのTPPに関連して、韓国政府は、「TPPへの協議を急ぐ必要はない。国家的に最低の負担、最大の効果を狙える参加時期を探っている。」
との姿勢を示している。韓国国内では、米国と中国の間に挟まれている韓国にとってTPPは難題であるとの認識があり、最大の貿易相手国である中国を無視し、米国
が主導するアジア・太平洋地域の貿易秩序に積極的に参加するのは難しいと考えられている。また、米国がTPP交渉を加速化させていた2013年当時には、韓国政府
は中国との自由貿易協定(FTA)推進を協力に進め、日本との比較競争優位を狙っているところであった。しかし、韓国国内では、最近になって、国益のための果敢な決
断を先送りし、中国の顔色を窺い過ぎたとの声も出てきている。
 ベトナムとのFTA署名
韓国政府は、今般、ベトナムとの自由貿易協定(FTA)に正式署名した。韓国政府は近く国会の批准手続きを終える方針で、年内に発効する見通しとなっている。
[主要経済指標]
1.
対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/ 1,087.82(前週対比-14.44)
台湾:1米ドル/30.69ニュー台湾ドル(前週対比-0.10)
日本:1米ドル/ 120.00円(前週対比-1.12)
中国本土:1米ドル/6.2077人民元(前週対比-0.0059)
2.
株式動向
韓国(ソウル総合指数):2,085.52(前週対比-41.65)
台湾(台北加権指数):9,692.00(前週対比-128.05)
日本(日経平均指数):19,379.19(前週対比-140.820)
中国本土(上海B):4,205.917(前週対比-235.738)
4. 編集後記― ハノーファー展示会に行ってきました
先月ドイツのハノーファーで行われたハノーファー・メッセ 国際産業技術展示会に行ってきました。ハノーファーは自然が豊かで、街中には古くからの建造物等文化財
が残るドイツ北部の地方都市でしたが、メッセ会場は世界一の広さを誇り、東京ビッグサイトの約7倍の広さとのこと。 因みに会場の広さランキングでドイツはトップ 10
に 4 つ(他はフランクフルト、ケルン、デュッセルドルフ)もランクインするメッセ大国です(東京ビッグサイトは 70 番目)。そもそもメッセとは教会のミサのドイツ語とのことで、
彼らのご先祖が中世時代にミサで多くの礼拝者による市場が成り立ったことを展示会ビジネスにいち早くつなげたようです。今回のハノーファー展示場はあまりの広さで
すべてを見ることは到底不可能で、油圧機器の分野のみ見学しました。油圧機器の展示は、日本での地味なイメージと異なり、ここでは部品、完成品、センサー、サービ
スなど様々な国籍の企業が 2 年に一度の油圧特化展示として集合していました。ドイツ、イギリス、イタリア、北欧に加え、旧東欧のチェコ、ポーランド、ブルガリアやリト
アニアなども頑張っていました。機能、性能と共に機械やツールのデザインと色も訴求していたことが印象的です。驚くのは中国のプレゼンスの大きさ。次いで台湾、韓
国も目立ってました。 ロボットや制御系では日本プレーヤーを多く見かけましたが、油圧の場での日本のプレゼンスの低さは意外でした。ハノーファーでは日本人が少
ないのか、はたまた中国のプレゼンスが目立つのか、「二―ハオ」と声をかけられることが多かったです。
日賑グローバル・ニュースレター国内版(第 101 号)
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家庭用と電力会社向けにバッテリー新製品を発表したテスラ
ウォレンバフェット後のバークシャーハサウェイ社の行方
東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 5 月 1 日付けレポートを弊社にてダイジェスト版化
編集後記― 久しぶりにワシントン DC に行ってきました
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家庭用と電力会社向けにバッテリー新製品を発表したテスラ
電気自動車で有名なテスラは 10kwh の電力を蓄えるリチウムイオンバッテリーを 3,500 ドルで、7kwh 版を 3,000 ドルで今夏後半から発売すると発表した。商品名はテス
ラ・ホームウォールという。この手のホームバッテリーの価格は 1 万 3 千ドル程度であったので大幅なプライスダウンと言える。但し、価格には据え付け費用やインバータ
ーの費用は含まれない。日本と異なり冬の大雪や強力な雷雨、ハリケーンなどで停電が良くあるアメリカではバックアップ電源として高価なディーゼル発電機を常備する
家庭もある。今回のバッテリーの販売価格は給電規模で同規模のディーゼル発電機に比べかなり安い。米国の平均的家庭は月に 909kwh の電力を消費しているという。
一日では約 30kwh となるのでテスラ・ホームウォールは停電中に、この所要電力の約 3 分の 1 を供給できることになる。発電量が日照量に左右され安定しない太陽光
パネルとペアで購入することも大きなメリットと考えられている。アメリカの家庭での電力消費パターンは朝と夕の消費が多く、特に晩の消費が顕著。一方太陽光発電は
その消費がほとんどない日中が中心。従い、日中太陽光で作られた電力をこのバッテリーに蓄え、晩から翌朝にかけて増大する消費に充てるという発想。これにより電
力会社から購入する電力分が大幅に節約できるというもの。テスラはさらに電力会社と組んで、大規模なバッテリーの提供も進める。テキサス州の Oncor and Southern
California Edison と組み同電力会社のニーズに応えるバッテリーを提供するという。高価なリチウムイオンバッテリーを電力会社の規模で作り上げることの経済性には
疑問をさしはさむ声も多い。ただ、当の電力会社はバッテリーの能力が額面通りであるならば数千億円規模の投資も厭わずと語っている。再生可能エネルギー浸透の
ひとつのネックがこのバッテリーといわれているが、リチウムイオンバッテリーで世界をリードする日本を超えてどこまでのものが米国で登場してくるのか注目される。
2. ウォレンバフェット後のバークシャーハサウェイ社の行方
世界最大の投資持ち株会社のバークシャーハサウェイ社の株主総会は例年ウォレンバフェット自身の演奏など含め、ショーパフォーマンスが中心のお祝いイベントの性
格が強い。ところが創立 50 年を迎えた今年は株主からの質問・疑問に答える時間に数時間を費やした。世界中から 4 万人以上もの株主が会場に訪れた。その中で投
資会社 3G キャピタルとの提携関係に疑問をさしはさむ意見が出た。2 年前にバークシャーハサウェイは 3G キャピタルのブラジル人投資家グループと組み、ケチャップ
で有名なハインツを 230 億ドルで買収したが、そののち、数千人もの雇用をカットしている。このリストラ手法は従来のバークシャーハサウェイ社の投資のパターン(良質
の企業を買収し、組織は基本的にいじらない)と異なるのではとの株主の疑問に対し「企業が必要以上の人員を雇用すべきと言った覚えはない」とバフェットは回答。現
在、両社は共同で食品メーカーで有名なクラフトフーズも買収しようとしている。また、バークシャーハサウェイ社の子会社のクレイトン・ホームズ社による住宅資金貸付
が顧客の誤解を招く内容で想定より高い金利を払わされているとの顧客の不満をメディアに指摘されている問題では「その他のオプションでは経済的に住宅保有が難
しい世帯に住宅取得を現実的なものとする信用リスクを持ったサービスを提供しており、模範的な関連会社である。」とバフェットは強気に弁護した。 “オマハの賢人”
ウォレンバフェットは現在 84 歳で、バークシャーハサウェイ社の No.2 のチャーリー・マンガー副会長は 91 歳であるが、いずれも当面引退は考えていないという。今回株
主総会に集まった株主の面々は両者のパフォーマンスに満足を表明しているだけにその継承は気になるところ。バフェットは「バークシャーハサウェイ社の社風は確立
されており、それに基づき約 80 もの関係会社が独立経営されている点において継承は問題ない」と語る。また、少人数で運営されている本社の経営については、現在
そのポートフォリオを分散管理している数人の投資マネージャーの一人がいずれ CEO に任命されるという。
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 5 月 1 日付けレポートを弊社にてダイジェスト版化
(1) 中国
 南沙諸島海域でのフィリピン軍哨戒機への照明光照射
フィリピン国軍は、「南沙諸島を飛行中の軍哨戒機が、中国船に照明光を照射された。」と発表している。これは、4月19日昼頃、同諸島のスービ礁(渚碧礁)上空を飛
行中の哨戒機が、中国船からの強い光を受け、無線で、「ここは、中国本土の領土なので、出て行け!!」と告げられたと報告されている。
 ベトナムとフィリピンの南沙諸島問題に対する共同姿勢
東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議に出席中のフィリピンのアキノ大統領と、ベトナムのグエン・タン・ズン首相は、クアラルンプール市内で首脳会談を開催し、南
シナ海での中国本土の岩礁埋め立て問題について懸念を共有したとしている。南シナ海での中国の示威行為に対し、両首脳は、2002年にASEANと結んだ「行動宣
言」の明白な違反であり、これが明らかに地域の緊張を高めているとの認識で一致したと報告されている。
(2)韓国
 第一四半期 GDP 前年同期比 2.4%増
中央銀行である韓国銀行は、本年第1四半期(1~3月)の韓国の国内総生産(GDP)は実質ベースで前期対比0.8%増、前年同期対比2.4%増の361兆9,710億
ウォンとなったと発表している。前期対比では昨年第2四半期から4四半期連続で0%台の成長に留まり、低成長が固定化したのではないかとの懸念すら最近では聞か
れるようになっている。
 防衛主力輸出商品となる無人垂直離着陸航空機の試験飛行
韓国の朴政権は防衛産業を有望成長産業として捉え、その中では、宇宙航空産業関連分野にも注力している。
こうした中、全羅南道高興郡の韓国航空宇宙研究院(航宇研)テスト場では、展示飛行を行う無人飛行機が、ヘリコプターのようにその場で空中に浮き上がり、すぐさま
前方に飛び始める姿が見られる。このように、ヘリのように滑走路がなくても離陸が可能で、飛行機のように高速で飛べる、こうした複合無人機が今後、韓国の主力商
品となり、これをベースに、世界の無人機市場を攻略する計画も持っていることも韓国政府筋は示唆している。
[主要経済指標]
1.
対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/
1,073.38(前週対比+9.63)
台湾:1米ドル/30.59ニュー台湾ドル(前週対比+0.49)
日本:1米ドル/
118.88円(前週対比+1.00)
中国本土:1米ドル/6.2018人民元(前週対比-0.0040)
2. 株式動向
韓国(ソウル総合指数):2,127.17(前週対比-46.24)
台湾(台北加権指数):9,820.05(前週対比+22.56)
日本(日経平均指数):19,520.01(前週対比-667.64)
中国本土(上海B):4,441.655(前週対比+27.147)
4. 編集後記― 久しぶりにワシントン DC に行ってきました
先月前半に 1 年ぶりにワシントン DC とその近郊を訪問しました。日本語や日本文化を学んでいる優秀な学生を如何に一人でも多く日本に来てもらって日本語と日本で
のインターンなど就労経験を積んでもらうか、その可能性についてワシントン DC を中心に有名大学 7 校(プリンストン、ラトガー、ジョージタウン、ジョージワシントン、ジョ
ージメイソン、メリーランド州立、アメリカン大学)の日本語教育担当教授・講師と面談し、非常に多くの情報を得ることができました。 その中の共通項をまとめると下記
のようになります。
多少の違いはあるが、基本的にはフラットか微減。特に日本語を専攻する学生数は伸び悩んでいる。
験できるのか、+αの部分をクリアにしたいという希望あり。
ということで、今回の取材を通じ、日本語学習を通じ日本で何が体験できるのかをクリアに見せることの必要性が明らかになるとともに、日本訪問においてホームステイ
が大きな重要性を占めることや、ビジネスよりもサブカルチャー主導の日本語学習動機となっていることを理解したソフトなアプローチが必要であることが理解できました。
上記の+αの機会には企業、NGO などでのインターンからメディア、政党などの現場支援など色々なものが考えられます。ホームステイと共に検討していきたいと思い
ます。また、日本語学習学生の卒業後の就職先等進路のトレースが大学で意外となされていない、統計不足な状況も垣間見えました。 それにしてもアメリカの大学の
キャンパスは広く圧倒されました!
日賑グローバル・ニュースレター国内版(第 100 号)
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BRIC での収益を軒並み落としている欧米の多国籍企業
今年のアースデイで気候変動問題と理工系教育を強調したオバマ大統領
東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 4 月 25 日付けレポートを弊社にてダイジェスト版化
編集後記― 東京野田会セミナーに参加しました(4 月 23 日 陳承)
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BRIC での収益を軒並み落としている欧米の多国籍企業
欧米の多国籍企業の海外での収益率が国内での収益率を下回っているという。BRIC と、それを追走するタイ、マレーシア、フィリピン、ナイジェリアを中心に新興国の経
済発展と、それに伴うミドルクラスの増大がインフラや消費市場を拡大し、そこに進出する多国籍企業に多くのリターンをもたらすということが当初の期待値であった。と
ころが現状はさにあらず、そのリターンの低さから海外戦略の転換を考えているところもあるという。例えば GM の Dan Ammann 社長は「中国の自動車市場が急速に成
熟化し、成長率は年々降下する一方である。」と投資家に説明したところである。GM は中国において 200 億ドル以上の投資を行い地元パートナーとの間で GM 車の現
地生産を行い、生産台数ベースで中国最大の自動車メーカーとなっている。ところが中国で得られる利幅は北米に比べ非常に低くなっている。理由は、北米と異なり、
売れ筋商品が安価で利幅の小さいミニバン中心に留まり、利幅の大きいキャデラックなどが売れない為。 コンピュータ・ネットワーク機器メーカーのシスコでは 2013 年
から新興国での収益が下降線を辿り、IBM では今年の第一四半期の BRIC での収入が一年前に比べ 3%減少した。同様に建機メーカーのキャタピラーは今年第一四半
期のアジアと南米での収入が夫々13%と 18%減少した。また食品多国籍企業のユニリーバは昨年の収入が 2.4%減少、その専らの原因は新興国での消費の急激な落ち
込みにあるという。BRIC を中心に消費市場が期待通りの成長を示していない理由として、中国では一人っ子政策の結果、高齢化する両親を支える方にカネが流れ、南
東アジアやアフリカでは地方のインフラが未整備なため、大規模な小売り展開を制約している。そしてそれ以上に問題なのは消費を支えるべき中間層が当初予想のペ
ースでは増えていないこと。これらに加え、欧米多国籍企業をターゲットとした中国政府による規制・罰則の強化や、ウクライナ問題に端を発したロシアと欧米間の制裁
合戦の影響、サイバーアタックの急増、国有会社の経済合理性に反する過当競争などが多国籍企業の海外での業績に悪影響を与えている。2008 年のリーマンショック
後、G20 が形成され、安易な保護貿易に陥らないよう意思統一がなされたものの、実際には世界同時不況以降 1200 もの貿易制限が加えられた結果、1986 年から 2005
年の間は GDP の成長率の 2 倍乃至 3 倍のスピードで貿易量が増大していたものが、今は、GDP と同じ程度にしか増加していない。同様に、対外直接投資の流れも停
滞。以前は GDP の 4%程度が海外に投資されていたものが現在は 2%にまで落ち込んでいる。逆に自国の人件費やエネルギーコストの相対的優位性の高まりから、製造
ラインを海外から米国に戻している企業も出てきている。ということで新興国市場に大いなる成長期待を持っていた欧米多国籍企業は様々な制約や障害を経験し、戦略
の見直しを強いられているが、彼らの参考となる戦略として紹介されているのがホンダのローカライゼーション戦略。これは海外には生産ラインだけ設け、日本の本社
がグローバルにコントロールするというのではなく、生産以外に技術、研究開発、下請網、ロジ体制まで一貫した独立運営体制を主な海外市場ごとに設け、地元のニー
ズに応えていくもの。日本でグローカライゼーションと呼ぶアプローチが功を奏しているということであろうが、そうなると多国籍企業の本社の役割が改めて問われること
になろう。
2. 今年のアースデイで気候変動問題と理工系教育を強調したオバマ大統領
ウィキペディア情報では、地球の環境問題を考える日である「アースデイ」の始まりは、元々は 1969 年に開催された国連のユネスコでの環境関連会議でのことで、国連
のアースデイは 3 月 21 日として続いている。一方、アメリカのアースデイは 1970 年の 4 月 22 日に環境を考える討論会の形で始まり、以後毎年 4 月 22 日前後にイベン
トが行われている。オバマ大統領は今年のアースデイを記念する形で Bill Nye という全米で著名な科学者兼科学教育テレビタレントを政府専用機に乗せフロリダ州のエ
バーグレード国立公園(同州南部の亜熱帯性大湿地帯で、野生生物で知られる)にまで飛び、気候変動問題と理工系教育(STEM: Science, Technology, Engineering
and Mathematics)について語り合った。気候変動問題についてはオバマ大統領は昨年 12 月の中国との温暖化ガス削減目標合意協定にも拘らず、議会共和党の中に、
気候変動問題自身を信じず、認めない派閥ができていることに触れ、科学者でなくとも科学的に物事を理解し判断する必要性を訴えた。そして、その絡みで Nye 氏に科
学教育の在り方を尋ねた。Nye 氏は、科学教育は遅くとも 10 歳になる前に、子供の科学的好奇心に訴求する教育を施す必要があることを強調した。そして科学の増進
は合衆国憲法の第一条にうたわれており、科学はベンジャミン・フランクリンやトーマス・エジソンを見るまでもなくアメリカの DNA になっており、如何にその遺伝子を早目
に目覚めさせるかがポイントとした。安保・外交問題で政権批判をするジェフ・ブッシュや 2016 年大統領選共和党候補予備選に名乗りを上げたマルコ・ルビオ上院議員
のおひざ元のフロリダにわざわざ赴き(大量の温暖化ガスを政府専用機で吐き出したとの批判もある)、大統領が自らの得点と考えている環境問題や理工系教育を強
調する政治パフォーマンスを行ったと言えなくもないが、それ以上に、お茶の間で人気の科学タレントの力を借りるところに支持率低下の現実もうかがえる。
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 4 月 25 日付けレポートを弊社にてダイジェスト版化
(1) 中国
 上海の経済成長も鈍化
中国最大の経済都市である上海市の統計局は、2015年1~3月期の上海市の実質域内総生産(GDP)について、「前年同期対比6.6%増の5,815億7,900万人
民元となった。」と発表している。この実績は、伸び率では前年同期の7%増から若干の低下、また同期の全国平均である7%増も下回っており、景気鈍化は上海でも顕
在化しているといえる。
 中国人民銀行「預金準備率」1%引下げ
中国の中央銀行である中国人民銀行は、景気刺激を目的として、金融機関から強制的にお金を預かる比率「預金準備率」を、1・0%幅引き下げると発表した。2年9カ
月ぶりに0・5%幅を引き下げた今年2月の利下げよりも更に下げ幅の大きい追加金融緩和策であり、これによってどの程度景気減速の歯止めが可能となるのか注目さ
れる。
 習主席パキスタン訪問
習近平国家主席は、就任後初めてパキスタンを訪問し、中国本土とアラビア海を結ぶ輸送路の整備など日本円換算で5兆円規模のパキスタン国内への投資・融資実
施に合意した。
(2)韓国
 朴大統領コロンビア訪問
朴大統領は、南米4カ国歴訪を実施しているが、これに同行している企業家とコロンビアの企業家らによるビジネスフォーラムがコロンビアの首都ボゴタで、開催された。
朴大統領は、多様な視点からの韓国・コロンビアの関係強化を訴え、財界もこれに呼応する形でコロンビアとの経済関係緊密化を図る姿勢を示している。コロンビアは
昨年から進めている国家開発計画に基づき、約1,000億米ドルをインフラ整備事業に投じるとされており、特に情報通信技術(ICT)や交通システムなど韓国が強い分
野のプロジェクトが多いため、韓国企業の参入が期待されている。
 朴大統領ペルー訪問
韓国貿易協会はペルーの首都リマのホテルで「韓国・ペルービジネスフォーラム」を開催したと発表している。このフォーラムにはコロンビアに続きペルーを訪問、一連の
南米歴訪中の朴大統領やペルーのウマラ大統領、朴大統領に同行している90社の約150人、現地の企業家約150人らが出席している。韓国貿易協会の金仁浩会長
は、「韓国にない資源がペルーにあり、ペルーは資源開発のために韓国のシステムと技術を求めている。経済協力を拡大するため、両国企業家の継続的な努力が必要
である。」とコメントし、ペルーとの経済交流拡大に対する意欲を示している。
[主要経済指標]
1.
対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/
1,083.01(前週対比-2.78)
台湾:1米ドル/31.08ニュー台湾ドル(前週対比-0.06)
日本:1米ドル/
119.88円(前週対比-1.06)
中国本土:1米ドル/6.1978人民元(前週対比-0.0043)
2. 株式動向
韓国(ソウル総合指数):2,173.41(前週対比+29.91)
台湾(台北加権指数):9,797.49(前週対比+226.56)
日本(日経平均指数):20,187.65(前週対比+534.77)
中国本土(上海B):4,414.508(前週対比+127.212)
4. 編集後記― 東京野田会セミナーに参加しました(4 月 23 日 陳承)
第一ホテル東京で行われた掲題セミナーでは駐日中国大使の程 永華氏が「互恵協力を促進し 中日関係を改善しよう」という演題で講演しました。ちょうど前日にインド
ネシアのジャカルタで日中首脳会談が行われたタイミングでした。程大使によれば、4 月 26 日の安倍首相の訪米を前に行われたこの首脳会談では中国側に日中関係
の改善を国内外に印象付ける必要がありましたが、一方、軍を含む反腐敗運動で権力基盤を固めた習主席は両国間の課題について率直に意見を交わせる関係を模
索しているようです。まず、程大使からは中国の現状が次のように紹介されました。 3 月に開催された中国人民政治協商会議で「四つの全面」が強調され、一つは小康
社会の全面的達成、二つ目は改革の全面的深化、三つ目は法による国家統治の全面的推進で、四つ目は党管理の全面的厳格化です。次に程大使は日中関係につい
て、次のように述べました。「中国は日本との関係を重視しています。良い日中関係は双方の利益に合致し、地域の平和に繋がるからです。日中間の貿易総額が 2011
年の 3,428 億米ドルから昨年の 3,124 億米ドルに減少したことは、良い政治関係の必要性を物語っています。昨年 11 月 10 に北京で開催された APEC 首脳会議で行わ
れた日中首脳会談が日中関係改善に向けた第一歩となりました。」今回の日中首脳会談もメディアから好意的、積極的に報道されているとのことでした。最後に、程大
使は最近メディアで報道されている中国が主導する AIIB(アジアインフラ投資銀行)について、次のように述べました。「AIIB はアジアのインフラ開発のニーズに応じて創
設され、WB(世界銀行)・ADB(アジア開発銀行)とは補完・協力的関係を目指すもので、決して現在の秩序に挑戦する国際金融機関ではありません。57 カ国が創設メン
バー国になり、日本は創設メンバー国とはなりませんでしたが、中国は日本の参加をいつでも歓迎します。」 実質的な関係改善に向けての双方の次の一手が注目され
ます。
日賑グローバル・ニュースレター国内版(第 99 号)
1.
2.
3.
4.
ブッシュ家の復讐(?) 父と兄の外交安保政策を踏襲、オバマ政権批判を激化するジェフ・ブッシュ
中高生の電気タバコ“喫煙”急増
東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 4 月 18 日付けレポートを弊社にてダイジェスト版化
編集後記― 新潟柏崎市にあるドナルド・キーン・センターに行ってきました
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ブッシュ家の復讐(?) 父と兄の外交安保政策を踏襲、オバマ政権批判を激化するジェフ・ブッシュ
ワシントンポストによれば、ジェフ・ブッシュ元フロリダ州知事はまだ 2016 年大統領選挙への正式な出馬表明を行っていないものの、各所でスピーチを行い自らの政策
案を披露しているという。 その中で、外交安保方針についてはイラク戦争突入で結果的に大きく支持率を落とした兄のジョージ・W・ブッシュそっくりの姿勢を見せてい
る。 兄の政策を徹底して責め、批判し続けて大統領の地位を得たオバマ大統領に対し、兄の姿勢を貫くことをむしろプラスの差別化としてオバマ政権を厳しく非難して
いる。例えば、オバマ政権のイラクやアフガンからの早期撤収の姿勢は「米国の軍事プレゼンスを否定的に表現した戦後初の大統領」とまで非難した。特にイラクから
の早期撤収がイラク弱体化とシリアの問題をもたらし、結果としてイスラム国の発生を許したとオバマ政権を批判。そして、「米国は世界の警察官になるべきではないが、
世界の問題にエンゲージす(積極的に関わる)べきである。」という父 H. Bush のフレーズや、「野蛮人と Evildoer(悪人)を一掃すべき」という兄のフレーズをスピーチで
用いているという。 また、「イラクに大量破壊兵器が無かったことは W. Bush 政権の諜報部門の問題で、その後 2007 年のイラク増派の決断は、これまでの大統領の中
でも最も勇気のある決断」と持ち上げた。そして、自分が大統領ならば、キューバとは対話せず、イスラエルと仲良くし、プーチンとイランへの制裁をさらに強化していくと
いう。 一方、メディアの観点からは、現時点でブッシュブランドを前面に出すのはリスクがあるという。米国民の多くは、いまだ W. Bush の 2 つの戦争による傷が癒えて
おらず、国民の 6 割はいまだイラク戦争に批判的であるという。 実際、W. Bush 自身は公的な場でのスピーチでも、「弟を大切に思えばこそ、自分が目立たない方が良
いと考えている」と語っている。一方、肝心のジェフのほうは父や兄の姿勢と異なる姿勢を示すことの必要性は感じていない模様。外交安保問題に関する相談相手もベ
ーカー元国務長官(父の政権時)やウォルフォビッツ国防副長官(兄の政権時)が含まれているという。ジェフは国際結婚であることとは別に、自らの海外生活経験や訪
問経験を聴衆にアピールしている。居住経験ではベネズエラのカラカスに住み、アジアとの関わりではフロリダ州知事引退後 14 回アジアを訪れ、中国を中心に日本、韓
国にも訪問したと語っている。
私の記憶では、オバマ大統領の 2008 年のキャンペーンは執拗にW.ブッシュ大統領批判を繰り返し、当選後もその批判が続いていた。日本人の感覚的(リーダーの節
度や斟酌・温情・品格の理想)に違和感を感じたことを覚えている。それが巡り巡って自らに戻ってきた、というのは言い過ぎかもしれぬが、オバマ人気低落にポイントを
合わせてのブッシュ家の意趣返しという下世話な感情論より、ジェフ・ブッシュ自身の政治的嗅覚から民主党との差別化で極めて分かりやすいブッシュブランドに賭けて
いると見た方が正しいのであろう。
2. 中高生の電気タバコ“喫煙”急増
中高生の電気タバコ喫煙者数が 2013 年から 2014 年で 3 倍に膨れ上がったと政府は公表した。一方、普通のタバコの人気はその分、食われ、過去最低レベルとなって
いる。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は中高生の電気タバコ喫煙の急騰はショッキングであり、10 代でニコチンを摂取することの脳の発育に与える悪影響はもと
より、その中毒性は結局通常のタバコ常用にいたる懸念が強いと述べている。通常のタバコの喫煙による死亡者数は年間 50 万人にのぼる。電気タバコはその通常タ
バコ常用への道をそらすというプラスの効果を語る有識者もいる。ただ、やはりマイナスと捉えるほうが主流であり、ある郡では電子タバコ所持は麻薬関連品一式(drug
paraphernalia)の所持と同等に位置づけ高い罰則を科すことで学生の使用を抑制しようとしている。現在、電気タバコは連邦政府の規制対象ではないことからテレビや
ラジオでの広告宣伝が自由となっている。市や州政府で年少者への販売禁止や公の場での利用禁止など独自に規制しているところもある。大手タバコ会社のロリラー
ド社やアルトリア社は電子タバコ会社を買収し始めているが、現在の電子タバコのマーケティングは専ら数百もの小規模事業者が行っている。その売込の矛先は有毒
性の少ないタバコのオプションを求めている大人の喫煙者向けになされている。本当に電子タバコが通常のタバコよりも有害性が少ないのか、喫煙に伴う疾病を減らせ
るのか、或いは喫煙常用予備軍を増大させ、喫煙者を史上最低のレベルに減らしてきたこれまでの関係者の努力を台無しにしてしまうものとなるかはまだ不明であると
いう。電子タバコに香りをつける化学物質は長期にわたり摂取すると体に有毒との見解を示している組織もあるが、現状は電子タバコの影響に関するデータはまだ不足
している。最新の全米中高生調査では過去 30 日以内に最低 1 回でも通常のタバコの喫煙経験のある高校生は全体の 4 分の 1、中学生で約 8%となっている。電子タバ
コについては 2013 年で高校生の 4.5%が喫煙経験あると答えたものが 2014 年には 13.4%に増大、中学生でも 1.1%が 3.9%に急騰している。但し、黒人学生では葉巻のほ
うが電子タバコより人気が高い。また、hookah と呼ばれる水パイプタバコ経験者も中高生で倍増し、その分、通常のタバコの喫煙を減らしている。一方、過去 1 か月で通
常のタバコを吸った高校生は 9.2%と一年前の調査での 12.7%から減少している。同様に中学生も 2.9%から 2.5%に減っている。
食品医薬品局(FDA)は昨年 4 月、今や数千億円産業となった電子タバコ業界を規制する計画を発表。未成年への販売自粛と健康への悪影響の可能性の警告、そして
成分表示を義務付ける方向で動きつつある。ただ、現状はネット販売や TV 広告、キャンディや果物味の電子タバコの販売禁止の提言も実現されていない。この FDA の
規制の遅れの間にどこまで中高生の電子煙草の“喫煙”者が増え、それが将来どのような悪影響を及ぼすのか懸念されている。
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 4 月 18 日付けレポートを弊社にてダイジェスト版化
(1) 中国
 2014 年軍事費前年比 9.7%増で世界二位
スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が発表した「2014年の世界の軍事費(一部推計)」に関する報告書によると、世界全体の軍事費は1兆7,760
億米ドルとなっている。トップの米国の軍事費削減などが影響し、前年対比0・4%減と3年連続で減少していることが報告された。一方、中国やロシア、サウジアラビア
などは急増していると報告されている。 特に、中国の軍事費は、前年対比9・7%増で、2,160億米ドルとなっており、米国に次いで2位と報告されている。
 貿易総額 2 年連続世界一
WTOによると、2014 年の中国の輸出入総額は4兆3,030億米ドルとなり、2年連続世界一となったとしている。また、2位は米国の4兆320億米ドル、3位はドイツの2
兆7,280億米ドルとなっており、日本は1兆5,060億米ドルの4位(輸出は4%減の6,840億米ドル、輸入は1%減の8,220億米ドル)となっている。尚、世界貿易の
伸び率は、2014年が2.8%で、今後の見通しとして2015年は3.3%、2016年は4.0%と予測されている。
 国産初の「第三世代」原発建設へ
中国政府・国務院は中国国産初の「第3世代」と位置づける原発の建設を許可した。この「第3世代」原発は、安全面での高い要求を課された実用レベルでは最先端の
炉とされている。その真偽のほどは、筆者(真田教授)はまだ検証出来ていないが、中国政府は、今後、中国国内で本格化する予定の原発増設計画の柱とする一方、こ
の第三世代原発を積極的に輸出する戦略も進めたいとしている。
 南沙問題での米・比連携
フィリピンのデルロサリオ外相は、「米軍はフィリピン周辺に展開する海空軍力を強化、その装備の水準を引き上げる計画がある模様である。」
とコメントをしている。こうした米比連携の背景には、中国による南シナ海での活動をけん制、中国の太平洋への展開拡大を抑止する狙いがあると筆者は見ている。火
山活動などを背景に米軍のスービック基地からの撤退から一転、フィリピンは昨年4月、約20年ぶりに米軍に基地の共同使用や戦闘機配備などを認める新軍事協定
に調印しており、米国との軍事協力を再び拡大させる方向にある。
(2)インド仏戦闘機調達
フランスを訪問しているインドのモディ首相は、オーランド仏大統領と会談した後の記者会見で、仏・ダッソー社の戦闘機「ラファール」36機を仏側に発注することで合意
したと発表している。購入額は約40億ユーロとなっており、戦闘機は仏国内で製造する模様である。両国は今後、ラファールのインドでの製造や技術移転について協議
を進めることとなっている。インドのこうした動きは米中への牽制の意図もある可能性もある。
(3)韓国
 ムーディーズ、国債格付け見通しを引き上げ
国際的な格付け機関である米国大手のムーディーズ・インベスターズ・サービスは韓国の国債格付け見通しを「安定的(ステイブル)」から「強含み(ポジティブ)」に引き
上げた。格付け自体は「Aa3」に据え置いている。同社は韓国の負債管理が改善されたことや、グローバル市場が急変した場合の脆弱性が和らいだことを見通し引き上
げの理由に挙げている。
 斗山重工業、ベトナム石炭火力発電所建設受注
韓国有数企業の一つである斗山重工業は、ベトナム国営ペトロベトナムと石炭火力発電所建設の受注契約を締結したと発表している。受注額は約1兆ウォン相当とな
る。 サイトはホーチミンから南西に約200キロ離れたハウザン省に1,200メガワット級の「ソンハウ第1石炭火力発電所」を建設するもので、南部の電力不足の解消
に寄与すると期待されているものである。斗山重工業は2010年以降、今回を含めてベトナムで5つの火力発電所工事を受注しており、ベトナムでの総受注額は約6兆
ウォンとなる。
 現代自動車グループ、欧州での月間販売台数過去最高(3 月)
現代自動車とその傘下の起亜自動車である現代自動車グループは、本年3月の欧州市場での販売台数が月間ベースで過去最高を記録したと発表している。現代自動
車は前年同月対比11.9%増の4万8,215台を販売、起亜自動車も前年同月対比9.9%増の4万4,478台を販売している。
また、欧州での販売好調で、そのシェア拡大も見込まれている。尚、両社は2013年の欧州市場で過去最大となる6.2%のシェアを記録したが、昨年は6.0%に低下、
今年1月は5.8%、2月は5.9%と伸び悩んでいた中でこうした実績を上げたことから、今後に期待が持たれている。
[主要経済指標]
1.
対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/
1,080.23(前週対比+12.80)
台湾:1米ドル/31.02ニュー台湾ドル(前週対比+0.20)
日本:1米ドル/
118.82円(前週対比+1.42)
中国本土:1米ドル/6.1935人民元(前週対比+0.0145)
2. 株式動向
韓国(ソウル総合指数):2,143.50(前週対比+55.74)
台湾(台北加権指数):9,570.93(前週対比-46.77)
日本(日経平均指数):19,652.88(前週対比-254.75)
中国本土(上海B):4,287.296(前週対比+252.986)
4. 編集後記― 新潟県柏崎市にあるドナルド・キーン・センターに行ってきました
ドナルド・キーン・センターは信越本線柏崎駅から車で 5 分ほどのところにあります。このセンターは、70 年以上もの長きにわたり日本文学と日本文化を研究され、翻訳
や自著を通じて海外にもその紹介をされてきたドナルド・キーン氏のニューヨークの執務室を再現する形で 2013 年の 9 月に開館されました。これまでのキーン氏の文学・
文化活動の足跡や交友・交流関係を映像、パネル、オーディオなどで紹介すると共に、書籍・書簡・写真などをふんだんに展示しています。キーン氏と柏崎の関係は
2007 年 7 月の中越沖地震に端を発します。被災者を励ます思いを込めキーン氏は古浄瑠璃「越後国柏崎 弘知法印御伝記」の復活上演を提案、それを柏崎市民が受
け入れ、被災からの復興のひとつの象徴となりました。 2011 年 3 月に発生した東日本大震災後、日本に帰化したキーン氏は日本に永住すべく長年日本文学・文化研
究を行ってきたコロンビア大学近くのアパートの執務室を引き払うことになりました。その際、キーン氏が大切にしてきた執務机や絨毯などをどうするか悩んでいたところ、
柏崎古浄瑠璃でお世話になったことから地元柏崎市の有名企業の株式会社ブルボンのブルボン吉田財団が財団の負担でその執務室をカプセル化してセンターとして
再現することになったものです。展示室では親友であった三島由紀夫や安部公房からの書簡を見ることができます。特に三島由紀夫が市ヶ谷の自衛隊で自決する直前
にキーン氏に認めた手紙とその内容には感銘を受けました。他にも谷崎潤一郎、川端康成、吉田健一、石川淳、司馬遼太郎、丸谷才一、篠田一士などとの交友関係が
様々な形で展示されています。 丸一日かけても見きれないほどに魅力のある展示であると感じました。
ドナルド・キーン・センターウェブサイト: http://www.donaldkeenecenter.jp/synopsis01.html
日賑グローバル・ニュースレター国内版(第 98 号)
1. 過去 6 年半の政権の実績喧伝の方に向かうオバマ大統領
2. ヒラリー・クリントンの支持者が嫌う 13 の表現
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 3 月 30 日付けレポートを弊社にてダイジェスト版化
4. 編集後記―インドネシア・ビジネスフォーラムに参加致しました(陳承)
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過去 6 年半の政権の実績喧伝の方に向かうオバマ大統領
残りの任期が 1 年半強となるなかで、オバマ大統領として何か新たに大きな法律やリーダーシップを発揮して問題解決を図るには時間が足りず、また二極化する議会を
リードする共和党の協力を得ることも現実的ではない。そこで、これまでの 6 年強の政権の実績を国民にリマインドし、政権の歴史的意義を強調しだしている。 最大の
ポイントは 2 つで、世界同時不況から過去 12 か月連続で 20 万以上の新規雇用を創出している経済回復と 16 百万人の未保険加入者に健康保険を提供し、医療費の
増大を抑制することに今のところ成功している医療改革法の実績。小ぶりなところでは、大統領権限で行った①不法移民の条件付き強制出国免除、②キューバとの国
交回復、③中国との気候変動に関する合意、④環境保護強化(キーストーンパイプ工事停止、クリーン・エア・アクト等)となる。 失点としては、①イラクにおけるイスラ
ム国の勢力拡大、②イエメンでのテロ対応策の遅れ、③イスラエルのネタニヤフ首相との軋轢、④アフガンからの完全撤兵見通しのずれ(同国内治安悪化から 9,800 人
の兵士駐留凍結を決定)など。残された期間での注目のひとつに議会からの貿易促進権限(TPA)取得と、それに基づく TPP 締結がある。先週、クリーブランドで行わ
れた講演会で中学一年生に「6 年半前の大統領就任時に戻って自分に忠告できるとしたら、どのようなアドバイスを送るか?」と尋ねられ、「あの段階で、経済回復にど
れだけの時間と苦労が必要となるかもっとはっきりと国民に示しておくべきであった。」と反省の弁を述べた。言い換えれば、これだけ大変だった経済回復の実現をもた
らした自分と政権に対する評価が非常に低いことに対する原因を大統領はそのような経緯でとらえているのであろう。
2. ヒラリー・クリントンの支持者が嫌う 13 の表現
ヒラリー・クリントンの政治活動を担うチームとは一切関係のないボランティアの支持者のグループで“ヒラリー・クリントン スーパー・ボランティア”という組織は、コンス
タントにヒラリーに関するメディア記事をモニターし、“性差別用語”の観点から特定の表現を用いないよう警告を送り付けている。 対象となる表現として”polarizing,”
“calculating,” “disingenuous,” “insincere,””ambitious,””inevitable,””entitled,””over-confident,””secretive,””will do anything to win,” ”represents the past,” “out of
touch,”そして”tone deaf”の 13 の表現が挙げられている。このグループの視点として、これらの表現はヒラリーが男性であれば使わなかったであろうと考えられる微妙
な文脈で用いられ、無意識に読者に「女性らしくない」「男勝り」的といった否定的な(好感度を下げる)イメージをもたらすというもの。 実際、ワシントンポストが“ヒラリ
ー・クリントン”と“calculating”という単語でグーグル検索すると最初に登場してくるグループは The Daily Caller, The Blaze, Breitbart, the Daily Telegraph といった保守系
メディアや共和党のスーパーPAC(政治活動委員会)といったアンチヒラリーのグループとなる。アメリカほど人種、年代、性別の違いをプラスに生かすダイバーシティの
価値を追求している社会もほかにないと言われるが、女性にとっての”ガラスの天井“問題が厳然としてあるというのも事実のようであり、無意識のステレオタイプに対し
ても抗議をしてフェアな戦いの場を作り上げようとする支持者の努力にも頭が下がる思いがする。
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 3 月 30 日付けレポートを弊社にてダイジェスト版化
(1) 中国
 トルコへのミサイル防衛システム輸出
人民日報などは、「中国製ミサイル防衛システム“紅旗9”がトルコ政府に売却されることが決まった。」と報じている。 トルコは当初これを2013年に購入する方針を発
表したが、米国や北大西洋条約機構(NATO)の反発を受け、いったん見送っていたものである。トルコやギリシャは、欧米にとって一つの重要な軍事的戦略拠点国であ
るが、そこへの中国本土の軍事的影響力拡大の可能性が出てくると見ておきたい。
 新築住宅価格下落傾向続く
中国本土政府・国家統計局が発表した本年2月の新築住宅価格調査によると、主要70都市中、66都市が前月より価格が下落している。
値下がりした都市の数は前月の調査よりも増えており、市況の低迷が長期化しかねない事態を前に、政府が対応策に踏み切るとの見方も出てきている。
 製造業購買担当者指数(PMI)の3月の速報値 49.2 に悪化
HSBCが発表した中国の製造業購買担当者指数(PMI)の3月の速報値は、前月の確定値より1・5ポイント悪化して49・2だったと発表されている。これはまた、景況
判断の分かれ目となる「50」を下回ったものである。こうしたことから、国際金融市場では、中国政府から財政出動や金融緩和などの対策が打ち出されるとの観測が強
まっている。
(2)インドの今年度 GDP 成長率見通し 7.8%
アジア開発銀行(ADB)は最近発表した2015年の「アジア経済見通し」の中で、「インドの国内総生産(GDP)成長率が2015年度には7.8%に達する。」と発表してお
り、これは中国の経済成長率予測である7.2%を上回る見通しとなっている。ADBはインドの高成長を支える要因として、モディ首相が進める経済改革で投資環境が
整備されてきたことを挙げており、インドの経済成長率は2016年度には更に8.2%に伸びる一方、中国本土は2016年には7.0%に減速すると予測している。また、
日本など一部先進国を除いたアジア域内の経済成長率は、2014年の6.3%から2016年まで継続して堅調な推移を示すであろう予想している。
(3)韓国
 ニュージーランドとのFTA正式署名
韓国とニュージーランドの両国政府は、昨年11月に交渉が妥結した両国の自由貿易協定(FTA)に正式署名した。両国は今後、国会などでの批准手続きを経て早期発
効に入る予定である。これにより、ニュージーランドは輸入額ベースで92%に当たる関税を発効と同時に撤廃し、7年以内に完全撤廃する。これに対して、韓国は輸入
額の48.3%で関税を即時撤廃し、2015年以内に96.4%で撤廃することになる。尚、韓国とニュージーランドの昨年の貿易額は32億6,000万米ドルとなっており、
韓国は主に乗用車や建設機械、貨物自動車など、ニュージーランドは原材料や木材、酪農品、肉類などを輸出している。また、ニュージーランドが韓国とのワーキング
ホリデーの受け入れ人数を年間1,800人から3,000人に増やすことでも合意している。
 LG電子製洗濯機の市場占有率 7 年連続世界一
LG電子は、米国家電製品協会(AHAM)など複数の市場調査機関のデータを総合した結果、自社の洗濯機が世界市場で、7年連続で市場占有率1位を獲得したと発
表している。同社によると、2008年に初めてブランド別売上高基準で世界シェア1位を獲得し、昨年までの7年間にわたり首位をキープしている。世界シェアは2010年
に10%を超え、昨年は12.4%を記録したと推計されている。
 AIIB参加意向表明
中国が主導して設立、運営を目指しているアジア・インフラ投資銀行(AIIB)に、韓国政府が創立メンバー国として参加する意向を固め、中国に伝達したと見られている。
AIIB参加については、韓国は、米国の反対などから、参加に慎重な姿勢を示していたものの、英国が参加表明をしたことから潮目が変わり、最終的には韓国として、そ
の経済的なメリットを優先しての参加表明となったものと思われる。
[主要経済指標]
1.
対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/
1,106.05(前週対比+26.24)
台湾:1米ドル/31.24ニュー台湾ドル(前週対比+0.24)
日本:1米ドル/
119.35円(前週対比+1.41)
中国本土:1米ドル/6.2145人民元(前週対比-0.0249)
2. 株式動向
韓国(ソウル総合指数):2,019.80(前週対比-17.44)
台湾(台北加権指数):9,503.72(前週対比-245.97)
日本(日経平均指数):19,285.63(前週対比-274.88)
中国本土(上海B):3,691.096(前週対比+73.778)
4. 編集後記― インドネシア・ビジネスフォーラムに参加致しました(陳承)
ホテルニューオータニ(東京)で先週行われた掲題フォーラムには同国大統領のジョコ・ウィドド氏も来られました。2014 年の IMF レポートによれば、インドネシアの人口と
経済は ASEAN 全体のそれぞれの 40%と 38%を占めています。金融、石油・ガスセクターを除く2010年から2014年までの日本の同国に対する直接投資額は 2013 年を
ピークとして昨年減少に転じ、インド向け投資に注意が向かっていることもあってかジョコ大統領は改めてインドネシアの魅力を訴求しに来た模様です。日本の対インド
ネシア投資の分野別累計額の順位は 1 位-輸送機器(自動車等)、2 位-金属、機械、電気・電子、3 位-化学・医薬、4 位-繊維、5 位-食品でした。インドネシアを構成す
る多くの島の中ではジャワ島への投資額が圧倒的のようです。JBIC(国際協力銀行)による「海外進出先有望国ランキング調査」によりますと、インドネシアは 2013 年に
初めて 1 位となり、2014 年にも 2 位と高い人気です(1 位はインド)。2013 年の同国の携帯電話所有者は 2.97 億人、インターネット利用者は 7,460 万人、Facebook 利用
者は米国、インド、ブラジルに次ぐ世界第 4 位でした。2015 年から 2019 年までの、インドネシア政府が定める投資優先分野は発電、労働集約型産業、輸入代替産業、
輸出志向型産業、天然資源の川下産業、海運、観光です。民間セクターに与えられた発電所への投資機会は 363 億米ドル、インフラ整備のための投資機会は 1,410 億
米ドルです。また、7 箇所の SEZ(経済特区)と 15 箇所の工業団地を新規開発する予定とのことです。ジョコ大統領が BKPM(インドネシア投資調整庁)に指示した 3 つの
優先事項は投資許可手続きの改善、投資実現の障害の解消、投資環境の改善だそうです。
日賑グローバル・ニュースレター国内版(第 97 号)
1.
ジェフ・ブッシュの伴侶コルンバ・ブッシュのホワイトハウスへの道
2. 米国の男女間学歴差がもたらす社会の不安定
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 3 月 21 日付けレポートを弊社にてダイジェスト版化
4. 編集後記―中東情勢分析(中東フリーランサー東京報告 6)by 三井物産戦略研究所大橋研究員
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ジェフ・ブッシュの伴侶コルンバ・ブッシュのホワイトハウスへの道
ニューイングランドの私立高校のプログラムの一環で 1971 年にメキシコを訪れていたジェフ・ブッシュ元フロリダ州知事は同国のレオン市で当時 17 歳のコルンバ夫人と
運命的な出会いをした。 ジェフ・ブッシュ自身、自らの半生をスピーチなどで振り返る際に、紀元前・後の B.C.と A.C.になぞらえ、Before Columba(彼女と出会う前)、
After Columba(出会った後)と表現するほど人生(観)が彼女との出会いを通じて大きく変わったと語る。実際、ジェフの母でありジョージ・H・ブッシュ大統領の妻であり、
ジョージ・W・ブッシュ大統領の母でもあるバーバラ・ブッシュは、ジェフが“コル”と呼ぶ彼女と出会ってから、「自分が単なる金持ちの御曹司でなく、彼女が誇れる人物に
なる」と一念発起したという。それまでのいい加減な大学生活を捨て、猛勉強し、最終的にPhi Beta Kappa という成績優秀卒業生にのみ与えられる終身会員制クラブに
所属できたジェフの変化を驚きの喜びとして思い出すという。出会って 2 年後に結婚し、ジェフは大学卒業後、在ベネズエラのテキサス商業銀行など職業と地域を転々と
しながら、1980 年代初頭に二人はマイアミに落ち着く。 そこでジェフは不動産業を始め、その後、父や兄同様、政治の世界を目指した。1994 年にはフロリダ州知事選
に立候補して敗退するも 1998 年には初当選、2002 年にも再選を果たした。その間、コルンバは選挙活動や知事夫人としての目立った活動がなく、AP通信などは“フロ
リダの見えないファーストレディ”とまで書いたこともある。実際、本人は「自分は社会的に目立つことが好きではなく、静かに読書やウォーキングを楽しむタイプなので
す。」と、メディアにも告げていた。彼女のそういった特徴にはメキシコでの家庭における父親の母親に対するドメスティックバイオレンスの悲しい思い出(最終的に離婚)
の影響もあるのかもしれない。ただ、ジェフが知事となったのち、フロリダでのドメスティックバイオレンスの被害者を救う活動を積極的に行ってきている。またジェフとの
間に生まれた娘の薬中毒の問題を通じた若者のドラッグ問題への取り組みも行っている。
ジェフ・ブッシュが 2016 年の大統領選にターゲットを絞る中、ジョージ・W・ブッシュ大統領夫人のローラ・ブッシュは「私も目立つのが嫌だった。でも慣れていった。彼女
(コルンバ)は英語とスペイン語でスピーチできる。これは非常に大きなメリット。特にヒスパニック社会にメッセージを届けるという点で、共和党にとってとても大きな資産
といえる。」とCNNに語っている。 2008 年の大統領選ではヒスパニック有権者の 67%、女性の 56%が、2012 年ではそれぞれ 68%と 55%が民主党オバマ大統領候補に投
票している。この有権者の投票行動にコルンバ効果がどこまで影響を与えるか注目される。
2. 米国の男女間学歴差がもたらす社会不安定
米国での犬のペット保有率が不気味に増えているという。男女間の学歴差から世帯主の女性が安全とぬくもり確保のために男性パートナーでなく飼い犬を求めている
ためと分析するレポートが出ている。ファイナンシャルサービス会社の最新報告によれば、米国の女性の高学歴化が加速中で、2012 年には大学の女子学生数が男子
学生数を 280 万人上回り、このギャップが 2020 年には 440 万に拡大すると予想されている。また、別の見方では、2000 年には大学卒の成人人男女数はほぼ同数であ
ったものが 2013 年では 25 歳以上の成人において大学卒の女性は男性より 490 万人も多い。これの意味するところとして大学卒の女性にとって知的レベルの見合う伴
侶の候補がそれだけ少ないということになり、それが結婚年齢の高齢化や仕事への傾注と出産率の低下につながっている。一般的に男性は伴侶の教育レベルよりは
若さや容姿にこだわりやすいが、高学歴の女性は伴侶の学歴に対する許容度が低い傾向がある。そうなると高学歴の女性は同じ大学のキャンパス内を含め学歴や知
的レベルの同程度以上の集団との付合いの中でしか伴侶候補と出会えず、そのチャンスを得られなかった場合の未婚率の上昇がみられている。 結果として冒頭のペ
ット保有率の上昇はもとより、結婚できた高学歴カップルとそれ以外のカップルのステータスの差、貧富の差の拡大、ひいては DNA を通じた子供世代の機会不平等の
可能性が高まることが懸念されている。
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 3 月 21 日付けレポートを弊社にてダイジェスト版化
(1) 中国
 2022 年独自宇宙ステーション完成へ
中国政府は、2022年の中国本土独自の宇宙ステーション完成に向けた具体的な計画を全国人民代表大会などで示している。具体的には、宇宙開発を担う国有企業
「中国航天科技集団公司」が、搭載能力が大幅に向上したと言われている新型ロケット「長征5号」を来年発射する計画があることを示唆している。
 南シナ海問題でアセアンをけん制
東南アジア諸国連合のベトナム人であるレ・ルオン・ミン事務局長は、中国が9本の境界線からなる独自の「九段線」によって南シナ海のほぼ全域の領有を主張している
ことに対して、フィリピンの英字紙「マニラ・タイムズ」を通じて、「九段線は国連海洋法条約に沿っていない。南シナ海で領有権を主張する全てのアセアンの国は抗議し
ている。」とコメントした。中国はこれに対して、「アセアンはこの問題の当事者ではない。中立的立場を保つべきである。」として、南シナ海の領有権問題を、アセアンと中
国本土の問題としては扱わず、中国とベトナム、或いは中国本土とフィリピンと言ったものとし、そこから先は国力を背景とした「力技」で対処していこうとしているとしか
思えぬようなスタンスを示していると感じられる。
 2014 年の汚職摘発件数過去 10 年で最大
中国で2014年に収賄や横領などの汚職で摘発された公務員が前年対比7・4%増の5万5,101人だったことが、全国人民代表大会の最高人民検察院(最高検)の
活動報告で報告されている。過去10年間では最も多く、「反腐敗」を掲げる中国共産党の習近平指導部による取り締まり強化を反映したものとも言えるが、習政権の政
敵潰しにも使われているとの皮肉な見方もある。
(2)韓国
 現代自動車、アラバマ工場近郊に第二工場建設
現代自動車は、米南部のアラバマ工場付近に年間生産能力30万台の米国第2工場を建設する方針を決め、年内に着工し、2017年の稼動を目指すことが、韓国国内
では予想されている。また、新工場では主にスポーツタイプ多目的車(SUV)を生産する模様である。米国ではガソリン安や景気回復を背景にSUVなどの大型車の人
気が高まっており、現地工場の生産量が需要に対応すること、他の車種の販売が相対的に不振なことが、こうした投資計画の背景となっているものと見られている。
 韓国内への米国ミサイル防衛網配備と米中間のさや当て
米国のダニエル・ラッセル国務次官補は韓国・ソウルで、米国の最新鋭ミサイル防衛システム「最終段階高高度地域防衛(THAAD)」の韓国配備問題に対して、中国本
土が懸念を示したことについて、「まだ、導入もされていない安全システムの配備問題について、第三国(である中国本土)が口出しをするとは奇妙である。」との主旨の
牽制コメントを示している。そして、米国は、「米韓は北朝鮮の弾道ミサイルという脅威に直面している。ミサイル網の配備については、当事国である韓国が決断すべきこ
とである。」
[主要経済指標]
1.
対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/
1,132.29(前週対比-7.74)
台湾:1米ドル/31.48ニュー台湾ドル(前週対比+0.12)
日本:1米ドル/
120.76円(前週対比+0.51)
中国本土:1米ドル/6.1896人民元(前週対比+0.0718)
2. 株式動向
韓国(ソウル総合指数):2,037.24(前週対比+66.65)
台湾(台北加権指数):9,749.69(前週対比+153.69)
日本(日経平均指数):19,560.51(前週対比+569.40)
中国本土(上海B):3,617.318(前週対比+267.995)
4. 編集後記― 中東情勢分析(中東フリーランサー東京報告 6)by 三井物産戦略研究所大橋研究員
長らく中東に駐在勤務されていた中東三井物産の大橋副社長が東京に戻られ三井物産戦略研究所で引き続き中東情勢分析をされています。今回は米国ワシントン
DC 出張報告を中心に米国から見た中東の捉え方をレポートされています。中東でのビジネスを検討されている方々のご参考になれば幸いです。