アプリケーションノートダウンロード - Thermo Fisher Scientific

ユーザーズボイス
QuantStudio 5 リアルタイム PCR システム
がん促進型マイクロ RNA の発現 :
次世代リアルタイム PCR システム
による解析
概要
リア ル タイム PCR ベ ー ス の 遺 伝 子 発 現 解 析 を 行うには、
正確で再現性の高い結果が得られる機器を使用することが必
要です。ここではローマ・ラ・サピエンツァ大学の研究者らが、
Applied Biosystems™ TaqMan™ Gene Expression Assays を
用いて、がん促進型マイクロ RNAs(miRNAs)検出の性能
を比較した研究についてご紹介します。 miRNA は、ターゲット
mRNA の翻訳を抑制し、タンパク質合成を妨げます。この研究
では特定の miRNA に対応するターゲット mRNA を、Applied
Biosystems™ QuantStudio™ 5 リアルタイム PCR システムお
よび Applied Biosystems™ StepOnePlus™ リアルタイム PCR
システムの両方でランしました。その結果、ターゲット mRNA
が密度勾配においてより軽いポリソーム分画へ移行しているこ
とが確認されました。ビタミン D3 (VitD) 処理した HL-60 細胞
株を密度勾配で分画後、精製した RNA を遺伝子発現アッセイ
に使用しました。 QuantStudio 5 リアルタイム PCR システム
と StepOnePlus システムでは、同様の感度と再現性が示され
ました。
研究者について
Allesandro Fatica 博士は、ローマ・ラ・サピエンツァ大学 生物・
研究し、その機能や正常および病的状態での発現を解析・
バイオテクノロジー学部の准教授です。 2003 年より、急性骨
理解することです。 特に、 lncRNA が骨髄造血にどのような
髄性白血病の細胞分化におけるマイクロ RNA の研究に注力さ
影響を与え得るかを調べ、ターゲット mRNA を同定すること
れています。
で、細胞増殖と分化を相互に制御する分子機構の解明を目
指しています。
プロジェクトの背景
急性骨髄性白血病は、ヘテロジニアスな造血器悪性腫瘍です。
さまざまな段階で骨髄性前駆細胞の分化が完全にあるいは一部
阻害されることで生じ、主に染色体異常が原因とされています。
Fatica 博士は、骨髄性細胞(顆粒球や単球)の正常および
異常な分化におけるノンコーディング RNA の役割、および遺
伝子制御で重要な役割を果たす長鎖ノンコーディング RNA
(IncRNA) の役割を明らかにすることに焦点を当てて研究さ
れています。 博士の研究室の目標は、 lncRNA の生物学を
QuantStudio 3 / QuantStudio 5
方法
この 研 究 で 研 究 者らは、 単 球 分 化を誘 導 する VitD 処 理した
リアルタイムPCR システム概要
QuantStudio 3
リアルタイムPCR
QuantStudio 5
リアルタイムPCR
システム
システム
ブロック
フォーマット
96ウェル (0.1 or
0.2 mL)
96ウェル (0.1 or 0.2
mL) または384ウェル
温度
3つの独立した温度
ゾーン
6つの独立した温度ゾ
ーン
(VeriFlex Blocks)
(VeriFlex Blocks)
高照度白色 LED / 4
組の励起/蛍光フィル
ターセット
96ウェル: 高照度白色
LED / 6枚の独立した
HL-60 細胞株、および未処理のコントロール細胞(CTR)の
ポリソーム分画をテストしました。 RNA は細胞およびポリソー
ム分 画から分 離しました。 テストでは、6 種 の TaqMan Gene
Expression Assays (miR-125b, U6, IRF4, GAPDH, HPRT,
primiR-223) を、CTR および VitD 処理した HL-60 細胞から抽出
したトータル RNA を用いてランしました。 また、同じターゲットを、
両方の細胞からポリソーム密度勾配(12 分画)によって分離した
RNA を用いて解析しました。すべての実験は、QuantStudio 5
リアルタイム PCR システムと StepOnePlus システムを並行して
使用し、同一条件で行い (Fast TaqMan Assay)、結果を比較しま
励起
光源/フィルター
した。
ソフトウェア
結果
トータル RNA の相対的遺伝子発現
TaqMan Gene Expression Assays を Applied Biosystems™
TaqMan™ Fast Master Mix を用いて、HL-60 CTR および VitD
処理した HL-60 細胞から抽出したトータル RNA に対してテスト
しました。反応ごとに、15ng の cDNA を使用しました。 IRF4 お
よび pri-miR-223 の mRNA レベルについては、データを HPRT
mRNA で補正し、miR-125b の mRNA レベルについては、U6
mRNA で補正しました。相対的遺伝子発現は、2- ΔΔ CT 法を用い
て計算しました。ウェスタンブロット解析により(図1)
、IRF4 タ
ンパク質量は、VitD 処理によって増加することが確認されました。
HPRT に量は変化していないので、IRF4 のタンパク質量の実質
。その間 IRF4 (insert 4) mRNA
的な増加が示されました(図 1A)
レベルは増加せず(図 1B)
、IRF4 タンパク質量の増加が転写後
制御によるものであることが示されました。
シンプルなソフトウェア:
経験のないユーザー
でも、あらかじめ最適
化されたプロトコル
テンプレートで迅速・
簡単に実験の設定
が可能
励起フィルターと蛍光
フィルター、最大21種
類の異なる組み合わせ
が可能
384ウェル: 高照度白色
LED / 5組の励起 / 蛍光
フィルターセット
FDA21:
CFR Part 11 ガイドラ
インに対応可能な機能
を持つソフトウェア
(標
準装備)
TaqMan Gene Expression Assays
TaqMan Gene Expression Assaysは、PCRプライマー 1組
末端をApplied Biosystems™ FAM™ または VIC™で標
と 5’
末端にマイナーグルーヴバインダー
( MGB )
および非
識、3 ’
蛍光クエンチャー(NFQ)を付加したTaqMan プローブで構
成されています。 130万を超える設計済みのTaqMan Gene
Expression Assaysは、23の生物種を網羅し、シングルチュー
96ウェルプレート、384ウェルMicrofluidic Card、Applied
ブ、
Biosystems ™ OpenArray ™ の各フォーマットでご提供し
ています。また、あらゆる生物の遺伝子やスプライシングバリ
アントの検出を行うために、用途に合わせたCustom TaqMan
Gene Expression Assaysを設計することも可能です。
アッセイの設計およびご注文に関する情報はこちらをご覧
ください。
www.thermofisher.com/taqman
A
HL-60 細胞
B
StepOnePlus リアルタイムPCR システム
QuantStudio 5 リアルタイムPCR システム
図 1. HL-60 細胞から抽出したトータル RNA における遺伝子発現
(A) ウェスタンブロット解析により、VitD 処理した HL-60 細胞から抽出したタンパク
質中の IRF4 タンパク質の発現を解析。HPRT をリファレンスタンパク質として使用。
(B) StepOnePlus システム(左)および QuantStudio 5 リアルタイム PCR システム
(右)を用いて pri-miR-223、IRF4 および miR-125b の発現を解析。各ターゲット
において、0 時間と 72 時間で発現比率が変化。
ポリソーム密 度 勾 配 の 各々の 分 画から抽 出された RNA を逆
転 写 し、TaqMan Gene Expression Assays お よ び Applied
Biosystems™ TaqMan™ Universal Master Mix を用いて解析しま
した。すべての分画に対する、同一量の単一分画内の各ターゲット
の 2- ΔΔ CT 値の比を用いて、遺伝子発現解析を行いました。図 2
は StepOnePlus システムおよび QuantStudio 5 システムでラン
した、miR-125b の相対的発現解析結果を示しています。両機器
とも、同様の結果と感度・再現性を示しています。
A
TaqMan Advanced miRNA Assays
Applied Biosystems™ TaqMan™ Advanced miRNA Assays
は、
リアルタイムPCRを使用し、
優れた感度と特異性でmature
miRNAの定量を行うことができます。 Applied Biosystems™
TaqMan™ Advanced miRNA cDNA Synthesis Kitと共に使用
することで、単一サンプルや、血清・血漿など微量のRNAサン
プルから、複数のmiRNAターゲットを解析するのに理想的な、
シンプルなワークフローを提供します。
• ユニバーサルな逆転写 ̶ すべてのTaqMan Advanced
miRNA アッセイに対応する1ステップの逆転写
• 高感度 ̶ わずか60コピーのmiRNAを検出
• 高い特異性 ̶ 成熟miRNAのみを検出し、高い配列相同性
を有するターゲットを識別
• 微量サンプルに対応 ̶ わずか1 pg のトータルRNA、ある
いは2 μL の血漿からmature miRNAを検出・定量
• ヒト血清、血漿などの体液、および組織に対応
B
アッセイの設計およびご注文に関する情報はこちらをご覧
ください。
www.thermofisher.com/advancedmirna
図 2. 2 種類のリアルタイム PCR システムで検出した
miR-125b の発現レベルの比較
(A) StepOnePlus システムおよび (B) QuantStudio 5 リアルタイム PCR システ
ムを用 いて、miR-125b の 発現をコントロー ル HL-60 細胞 (CTR) と 250 ng/mL
の VitD で処理した細胞間で比較。
結論
抽出 RNA を用いた遺伝子発現定量では、QuantStudio 5 リア
ルタイム PCR システムと StepOnePlus システムで同等の性能
が示されました。 この 2 つのリアルタイム PCR システムは、同
様の感度と再現性を有するため、QuantStudio 5 リアルタイム
PCR システムは、これまで StepOnePlus リアルタイム PCR シ
ステムを使用してきた研究室でも容易に導入することができます。
QuantStudio 3 / QuantStudio 5 リアルタイム PCR システムは、
簡単に操作できる最先端のタッチスクリーンを搭載し、研究者は
いつでも簡単に自身のデータにアクセスできます。またそのほか
にも、充実したマルチプレックス機能、オンボードメモリ、一時
停止機能、決まったワークフローでの使用、および暗証番号で保
護された Thermo Fisher Cloud のエンドユーザーアカウントなど
の機能をご利用いただけます。経験が多い少ないにかかわらず、
性能や品質を妥協することなく、シンプルでお手頃なリアルタイ
ム PCR システムを必要としている研究者のためにデザインされ
ています。
対話をするような操作性
• インタラクティブなタッチスクリーン
• タッチスクリーンから直接ラン、
および編集
• 簡単で直感的なインターフェース
アクセス*
コラボレーション*
• いつでもどこからでも、
リモートでラン状況をモ
ニタリング
• Wi-Fi 対応(オプション)
• 必要なときに、モバイル機器
を使って迅速にデータを解析
*ウェブ アクセスとThermo Fisher Cloudを使用
• データやプロトコルを
オンラインで素早く共有
• 施設内でも世界中でも大
きなファイルを安全に送信
• 複数のデータセットおよび
データタイプを1つのプロジ
ェクトに統合し、解析
QuantStudio 3 / QuantStudio 5 リアルタイム PCR システムを体験してください
QuantStudio 3 / QuantStudio 5 リアルタイム PCR システムは、高性能の QuantStudio シリーズに加わった最新モデルです。
モバイル機器のような最新の使い易さを提供し、かつてないほど簡単にデータを得ることができます。
より詳しい情報はこちらから www.thermofisher.com/quantstudio3-5
研究用にのみ使用できます。診断目的およびその手続上での使用はできません。
記載の社名および製品名は、弊社または各社の商標または登録商標です。
標準販売条件はこちらをご覧ください。www.thermofisher.com/TC
For Research Use only.Not for use in diagnostic procedures. © 2016 Thermo Fisher Scientific Inc. All rights reserved.
All trademarks are the property of Thermo Fisher Scientific and its subsidiaries unless otherwise specified.
TaqMan is a registered trademark of Roche Molecular Systems, Inc. Used under permission and license.
Printed in Japan. SDS108-A1603OB
サーモフィッシャーサイエンティフィック
ライフテクノロジーズジャパン株式会社
本社:〒108-0023
東京都港区芝浦 4-2-8
0120-477-392
テクニカルサポート
オーダーサポート
営 業 部
TEL:03-6832-6980
TEL:03-6832-9300
facebook.com/ThermoFisherJapan
www.thermofisher.com
[email protected]
FAX:03-6832-9584
FAX:03-6832-9580
@ThermoFisherJP
販売店