14 CAR バチルスに学名をつけるぞ ◯池 郁生 1、坂本光央 1、小久保年章 2 (1 理研バイオリソースセンター、2 放医研基盤技術センター) 通称 CAR(カー)バチルスは、齧歯類の気管などの線毛上皮細胞に主に感染し慢性呼吸器疾 患を起こすことから命名された(Cilia-Associated Respiratory)、グラム陰性フィラメント状桿 菌である。我々は哺乳類細胞の培養上清を用いて本菌を効率よく増殖させる方法を開発し、バ イオフィルム形成など本菌の相変異といえる現象を見出した。本菌の完全ゲノム塩基配列を決 定したが、類縁菌情報は非常に少ない。今回は培養性状や生化学検査、菌体脂質成分解析、16S rRNA 遺伝子配列に基づく系統樹の再解析から本菌に学名をつける試みについて発表する。 【材料と方法】CAR バチルスのラット分離 SMR 株を、Vero E6 細胞で作成した conditioned medium を用いて培養した。生化学検査は Rapid ID 32A (bioMérieux Inc.)、脂 質解析は菌体脂肪酸組成分析システム(MIDI Inc.)、系統樹解析は Genetyx-Mac、Clustal W、 MUSCLE、PHYLIP を用い近隣結合法、最大節約法ならびに最尤法による系統樹を描画した。 【 結 果 と 考 察 】 CAR バ チ ル ス SMR 株 は 、 16S rRNA 遺 伝 子 解 析 か ら cytophaga-flavobacteria-bacteroides (CFB)門に属すとされる。今回、生化学検査と脂質成分 解析から本菌は最近縁種である Chitihophaga 属の各菌と著しく異なることが分かり、系統樹 の再解析結果と合わせ、本菌が独立した種・属(あるいはさらに科)を構成することが明らかと なった。
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