エネルギー資源(pdf)

エネルギー資源
1
エネルギー資源の利用
①近代以前・・・薪や炭,水車,風車,畜力など
[ 自然エネルギー
]が利用
②近代・・・蒸気機関の燃料源として化石燃料の一つ[ 石炭
の本格利用が始まる
産業革命
③1960年代・・・・・工業,産業の基礎的なエネルギーとして
[ 石油 ]が利用されるようになる
エネルギー革命
]
④1973年以降
・・・・石油危機から原子力エネルギーなど[代替エネルギー]
の開発が進む
⑤現代
・石油の利用増にともなう
二酸化炭素
排出量の増大
・原子力発電所の事故などからの放射能汚染への不安から
→
再生可能エネルギー
の開発が進む
2 主なエネルギー資源
(1)石油
①分布・・・・[新期 ]造山帯で褶曲構造が発達している場所(とく
に[ 背斜]部に多く生成)
→ 約60%が[ 西 ]アジアに偏在(1960年代から本格的
な利用開始)
②主な産油国
■西アジアでは
・サウジアラビア アラブ首長国連邦 イラン クウェートなど
→ 主な油田 ガワール 油田(サウジ)
:世界最大の産油量・埋蔵量
■中南米では
・ベネズエラ メキシコなど
→ 主な油田
マラカイボ
油田(ベネズエラ)
■東南アジアでは
2008年にはついに、1962年以来加盟
していたOPEC(石油輸出国機構)を脱退
■東南アジアでは
・ インドネシア
マレーシア ブルネイなど
工業化により2003年~輸入超過へ
輸出
輸入
■ヨーロッパ(含むロシア)では
・ロシア イギリス ノルウェーなど
→ 主な油田 チュメニ 油田(ロシア), 北海 油田(イギリス・
ノルウェーなど)
ロシアは原油の約6割、天然
ガスの約8割を産出
■北米では
・アメリカ合衆国 カナダ
→ 主な油田 メキシコ湾岸 油田(米),
油田(米[ アラスカ ]州)
プルドーベイ
1977年に作られた約1280kmのアラスカパイプライン(人工
物では万里の長城に次ぐ)
■東アジアでは
・中国
→ 主な油田
ターチン
油田(大慶):中国最大の油田
油田が建国10周年の節目で発見されたことに因む。
100km四方に広がる中国屈指の大油田であるが,
近年資源が枯渇してきている。
■アフリカでは
OPEC 最大のガス産出国,アフリカ2位の産油国
・サハラ砂漠以北 アルジェリア
リビア
など
石油が豊富でありながら
も人口が少ないために、
一人当たりのGDPはアフ
リカでは最上位レベルで
12000ドルを超えるしかし
,政情が安定していない
・サハラ砂漠以南 ナイジェリア
ニジェールのデルタ地帯
世界第6位の石油輸出量を誇るアフリカのナイジェリア。
だがオイルマネーの恩恵にあずかれない庶民は不満を募
らせ、政情不安が高まっている。
■日本では・・・・[ 新潟 ]県や秋田県に油田がある
③統計
産出量(2010)
輸出(2010)
輸入(2010)
1位 ロシア
サ
ウジアラビア
サウジアラビア
ア
メリカ
アメリカ
2位 サウジアラビア
サウジアラビア
ロシア
ロシア
中
国
中国
3位 アメリカ合衆国
ナイジェリア
ナイジェリア
日本
日
本
4位 中 国
イラン
イラン
インド
イ
ンド
5位 イラン
アラブ首長国
韓国
6位 ベネズエラ
イラク
ドイツ
7位 カナダ
カナダ
イタリア
8位 メ キ シ コ
ベネズエラ
フランス
9位 ナ
イジェリア
ナイジェリア
アンゴラ
スペイン
10位 ク ウ ェ ー ト
ノルウェー
オランダ
④日本の原油の輸入先(2012)・・・輸入依存度が高い〔99.6 %]
→ [ サウジアラビア(33)][ アラブ首長国連邦 (21.8)]
[ カタール
(10.7)]
⑤近年の利用動向
・可採年数が
50
年で,枯渇の心配
・燃焼時に 二酸化炭素 を排出(カーボンニュートラル ではない)
脱石油,民間と政府による 石油備蓄
,
代替エネルギー 開発など様々な対応が行われる,
(シェールガス・シェールガスなど)
頁岩からのガス・オイルの採取
国家石油備蓄基地
90日分の石油が備蓄されている
(3)石炭
①分布・・・・[ 古期
]造山帯に多い
■原油に比べ分布の範囲が[ 広い ]
→ 化石燃料の中では埋蔵量が 多く ,可採年数が長い
→ 多くが アメリカ
ユーラシア (中・印・露)に集中
,
無煙炭
瀝青炭
褐炭
亜炭
②特徴
■採掘方法・・・[
坑内 ]堀りと[ 露天 ]掘りのいずれか
③主な炭田 (炭田の場所は地図帳などで確認すること)
■ヨーロッパ(含むロシア)
・ ルール (ドイツ):資源の枯渇が問題
・ シロンスク (ポーランド)
・ ドネツ (ウクライナ)
・ クズネツク
(ロシア)
■北米
・ アパラチア
(アメリカ)
■中国
・ フーシュン
:戦前の[ 日本 ]が開発
■日本(原油に比べれば埋蔵量多い)
・かつては,北九州(福岡,長崎)や北海道[ 夕張炭田など]
に多くの炭田があった
ルール炭田 シロンスク炭田
フーシュン
アパラチア炭田
ドネツ炭田
クズネツク炭田
無煙炭
瀝青炭
褐炭
亜炭
釧路
④統計
埋蔵量(2012)
産出量(2012)
輸出(2010)
輸入(2010)
1位 アメリカ
アメリカ
中中国
国
オーストラリア
オーストラリア 日本
日本
2位 中国
中 国
インド
インド
インドネシア
インドネシア
中国
中国
3位 インド
インド
アメリカ
アメリカ
ロシア
ロシア
韓国
韓国
4位 ロシア
インドネシア
コロンビア
インド
5位 オーストラリア
オーストラリア
アメリカ
ドイツ
6位 南アフリカ
南アフリカ
7位 カザフスタン
ロシア
8位 ウクライナ
カザフスタン
9位 コロンビア
ポーランド
ポーランド
10位 ポーランド
ポーランド
コロンビア
⑤日本の石炭輸入先(2012)・・・輸入依存度が高い〔
99.3
%]
→ [オーストラリア](62%)・インドネシア(19.5)・ロシア(6.7)
⑥近年の動向
・石油危機後, 代替エネルギー として消費が増加
・液化,ガス化,汚染物除去などで石炭の欠点を補うクリーンコ
ールテクノロジー( CCT
)の研究が進められている。
(4)天然ガス
・埋蔵量…[ ロシア],イラン,カタールなどが多い
・生産量…[ ロシア ],アメリカ合衆国などが多い
*日本の液化天然ガス(LNG)の生産 新潟県,[千葉
]県など
②日本の天然ガス輸入先・・・輸入依存度が高い〔 94.6 %]
オーストラリア ・ カタール
・ マレーシア ・ロシア・インドネシアなど
中東
にあまり依存していない
■エネルギーの 安定確保
■ 輸送コスト
のため輸入先を分散
が高いため近隣地域から輸入
(産地で冷却(-162℃)[液 ]化,専用の[LNG ]タンカーで輸送)
③近年の動向
・[クリーン ]エネルギーとして重要,利用が伸びている
・熱や複数のエネルギーを発生させる( コージェネレーション)
への利用が注目
システム
【 メタンハイドレート
の開発】
3 電気エネルギーの生産と利用
(1)電力生産につかわれる天然素材( 一次エネルギー)の利用の推移
■かつて・・・ 水力
発電に依存
■1960年代~石油・石炭による 火力 発電が中心
■1973年石油危機~ 原子力
発電が導入
(2)主要国電力構成比…一次エネルギーの供給条件やエネル
ギー政策に反映
■水力発電が主…[
ブラジル ]・[ カナダ
]・ノルウェー
■火力発電が主
…(石油火力中心) サウジアラビア
(石炭火力中心)[ 中国 ]・[ インド ]・[ ドイツ ]
[ 韓国 ]・南アフリカ
(天然ガス中心) [ 日本 ]
■原子力発電が主…[ フランス ]
※ドイツ・スイスは脱原発の方針,イタリアは原発廃止
■日本の発電量
アメリカ,
・・・発電量は 中国
,
いで世界第5位(2011年)
ロシア, インド につ
■日本の電力構成比(2012)
・・・2011年の 東日本大震災で[ 原子 ]力が激減し,
[ 火]力約88%:[ 水 ]力約8%:[ 原子]力約2%
火力発電所
原子力発電所
水力発電所
(5)発電から生じる課題
①水力発電・・・ダム建設による 環境問題 , 住民立ち退き の社
会問題
②火力発電・・・化石燃料の将来的な 枯渇
窒素酸化物・ 硫黄酸化物
よる環境問題
の問題
などの排出物に
③原子力発電・・事故による 放射能汚染 , 放射性廃棄物の処分
,
施設の耐震性の問題
高速増殖炉による核燃料リサイクル が確立で
きなければいずれは枯渇するウランに依存し
ている問題
4 持続可能な新しいエネルギー
(1) 再生可能エネルギー
.
・・・一度利用しても比較的短期間に再生が可能で,環境への
負荷が少ないエネルギー
■風力発電
■太陽光発電
■地熱発電
■バイオマスエネルギー
(2)風力発電
■特徴・・・再生可能エネルギーの中で 最大規模
中国 ・ アメリカ ・
■累積発電量の上位国・・・
陸上発電で大規模化
ドイツ
■風力発電への依存度が高い国
デンマークなどヨーロッパの国
偏西風を利用した洋上発電
(3)太陽光発電
■累積発電量の上位国・・・
ドイツ ・
中国
・イタリア
.
■2012年度から日本では再生可能エネルギー 固定価格買取制度.
が導入され、太陽光発電の新規導入が進む
(4)地熱発電
■活火山の多い国で地熱資源量が多い
・・・ アメリカ
・ インドネシア ・ 日本
■地熱発電が盛んな国
・・・ アメリカ
・
(ワイラケイ)
フィリピン
・
インドネシア
(5)潮汐発電・・・潮位差を利用した発電
ブルターニュ半島付け根の[ ランス]潮汐発電所(フランス)
この付近は潮位差が大きく最大潮位差が13.5m、平
均潮位差8.5mにもおよぶ。
(6)バイオマスエネルギー
■ カーボンニュートラル の考えから注目
→これらのエネルギーは生成される過程でCO2を
吸収しており(光合成などで)、使用する段階で
同量のCO2を出す。したがって全体のCO2の量
は変わらないという考え。