所長だより 第14号

第 1 4 号 (H27.10. 19)
文 責 菊 池 篤 志 (所 長 )
写真:増水で倒れても生きている草
SSH生徒中間発表会でのこと
先日、磐城高等学校で行われたSSH(文部科学省から指定を受け
ている「スーパーサイエンスハイスクール」のこと)生徒中間発表会
に参加しました。生徒の研究テーマは多種多様であり、今までの研究
の成果をポスターセッションで、堂々と発表していました。どれも興
味 を そ そ る 発 表 で し た が、い く つ か に 絞 っ て 聞 か せ て い た だ き ま し た 。
その中で、ロケットの発射実験と形状記憶合金を用いたモーターの実
験の2つを紹介します。
ロケット発射実験については、推進剤(いわゆる燃料)と導火線を
つ く り ロ ケ ッ ト に 装 着 し て 飛 ば す も の で す が、7 機 製 作 し て 3 機 成 功 、
4機は失敗し、その後、失敗した機体を修正したが失敗に終わったと
いうもの。課題解決に向け、次に意欲を燃やしていました。
形状記憶合金のモーターについては、変態点以下で変形したものが
加熱されると元の形状にもどる力を利用し、モーターを回
すというものです。実験は失敗に終わったのですが、今後
の課題が明らかになったというものです。
どちらの実験も失敗が大きかったのですが、発表はしっ
かり堂々とされていて感心しました。兎角、教職員論文な
どは、一寸の成果を大きな成果として取り上げ、さも研究
は大成功であったかのようにまとめることが多いのですが、
科学の実験は、失敗の連続が後々の成功を生むということ
を 感 じ 、 失 敗 の 大 切 さ を 感 じ ま し た 。 転 じ れ ば 、「 で き な い
ということがわかる」という点では、失敗も新たな発見で
あり成功への第一歩なのかもしれませんが…。
S S H は 、 今 時 の ア ル フ ァ ベ ッ ト 表 現 で 言 う と 、「 失 敗 ・
し て も ・ へ こ た れ な い ( ま た は 平 気)」 で す か ね 。
「考査」と「試験」の違い
中学校や高等学校では、中間テストが終わったばかりの
学 校 が 多 い と 思 い ま す が 、 学 校 に よ っ て は 、「 中 間 試 験 」
「 中 間 考 査 」な ど と 違 っ た 表 現 を し ま す。「 考 査 」と「 試 験 」
はどう違うのでしょうか。
明 治 3 3 年「 小 学 校 令 施 行 規 則」に は、次 の よ う な 条 文 が あ り ま す。
第二三条
小学校に於て各学年の課程の修了もしくは全教科の卒業を認むるに
は、別に試験を用うることなく、児童平素の成績を考査してこれを定
むべし。
明治時代の文部省では、詰め込んだ知識を検査する「試験」ではな
く、日頃の子どもの取組状況とその成果を評価するべきであるとして
います。この意味では、日頃の授業で培った力をみる「全国学力・学
習状況調査」は、まさしく「考査」と呼んで良いものだと思います。