古代銅コインのケイ光 x線分析 (第 4報 )

古代 銅 コインの ケイ光 x線 分析 (第
4報
)
一 古 銭 の 真 空 再 溶 解一
三 辻 利 一
*・
円 尾 好 グ ・松 下 録 治
**
*
奈 良教育大 物 理化学研究室
**京 都 大 学 原 子 炉 実 験 所
■ 「菫
に じるとい うのが著 者 ら
の
古銭 の材質研究 は ,そ の まま ,古 代 の青銅鏡 ,銅 鏃 ,銅 鐸等 材質研究 通
々の 方法
の考 えである。何故 な ら ,材 質 が 同 じ青銅 だか らである。 そ う考 えるが故 に ,著 者 らは ,種
によっ
が
に よる古銭 の材質研究 を始 めたのである。古 銭 の材質 についての研究 の第 一歩 は ,材 質 年代
1'2)。
の
を得 た
て変遷す るの か ,ど うか とい う点 であった。 この ことにつ いては ,既 に ,一 応 解答
を完全 に除去 す るこ
第 2の 問題点 は ,古 代 の精錬技術 では ,主 成分 の Cu,Sn,Pbか ら ,類 縁不純物
の 成分元素 とともに混
が
とが出来 ず ,微 量成分 が残存 していることである。 これ らの微 量成分 ,ど 主
に
けす る上に役立 つで
入 して来 たかを知 るこ とは ,将 来 ,他 の青銅 器 中の微 量元素 を考古学的 意味付
コ イ ン中に含 ま
の
の
あろ う。 不純 物 の由来 を知 る一 つの方法 は ,金 貨 ,銀 貨 ,銅 貨 な ど ,古 代 純 金属
ニ
ンコイ ンについて ,こ の点 を検討
れる微 量元素 を整理す るこ とである。著者 らは ,古 代 ア フガ ス タ
3)。
こ とで
つの結論 を得 た
次 に考 えられ る古銭 の材質研 究 の方法 は ,古 銭 を再溶 解 してみる
し
,一
の
か ら ,青 銅中 における
ある。金属の蒸気圧 曲線 か ら予想 され る蒸発1贋 序 と ,再 溶解実験結 果 と 相異
の
造技術 の一
の
か
金属 の状態 や ,不 純物 が どの 主成分 か ら由来 したか が判 り ,そ 結 果 ら ,古 代 青銅鋳
の
に比 べ て ,錫 の合有
端 を推定す るこ とが出来 る。 さ らに ,日 本の弥生時 代 の青銅 が ,古 墳時 代 青銅
の
解 に よる とい う考
量 が少 な く ,銅 の純度 が高 いこ とは ,こ れまで ,大 陸 か ら移入 された青銅器 再溶
は ,こ の間
の
い
え方 で説 明 されて来た が ,こ の問題 に対す る十 分 な実験的証明はな 。古銭 再溶解実験
に立 つ て ,代 表的古銭 を真空中 で再溶解 し
題 に対す る一 つの問題提起 にな り得 る。以上の よ うな観点
の
るの か を検討 した。
溶解前後 のケイ光 X線 スペ ク トルの 変化 か ら ,ど の元素 が溶解 際 ,蒸 発す
,
2実
験 方 法
),開 元通宝 (唐 ),元 豊通宝 (北 宋 ),嘉 慶通宝 (清 )が 選択 さ
れに対 し
れた。選択 の理 由は ,六 銭 と開元通宝 は古代型銅 コイ ンで ,Snが 十分含有 されてお り,こ
は Znを 主成分 と して含有 して
元豊 通宝 は Snが 少 な く ,Sbが 比 較 的多 く含 まれてお り ,嘉 慶通宝
古銭試料 と しては ,六 鉄 銭 (漢
,
が
の
いるこ とか ら判 る ように ,材 質 と して ,各 々 ,組 成 が異 なるか らである。 これ ら古銭 両面 を地金
ペ
ル
した。次 いで ,こ の古銭 を半分 に割 り
出て来 るまで研 磨 しての ち ,そ の ケイ光X線 ス ク ト を測 定
い う厳 しい
その一片 を ,真 空中 で 1時 間 ,1000℃ に加熱 し ,再 溶解 した。真空 で ,1000℃ と
に 別 しよ うと したた めであ も
い の
溶解条件 を選 んだ理 由 は ,蒸 発 し易 い もの と ,蒸 発 し難 も を明確 識
,
-41-
現実 の再溶解 は ,空 気中 で ,も う少 し低温 で行 われたであろ うと思 われ る。再溶解 し た
試料 は冷固 し
ての ち ,再 度 ,ケ イ光 X線 スペ ク トル を測定 した。x線 管の操作条件は ,66KV, 10mA
であ り
,
Gdを 2次 ターゲ ッ トとして使 用 した。得 られたデ ータか ら ,計 算機 に よって ピーク面積 を計算 して
/Cu,Sn/Cu,Sb/cu,Aグ /Sbの ケ イ X線
の ち ,Fo/Cu,Zn/cu,Pb/cu,Aν
が め
光
因子
求
られ た 。
3結
図
果 と考 察
1,2に 金属の蒸気圧曲線が示 されている。横軸 は温度 であり,縦 軸は金属の蒸気圧 を Torr.
単位 で表示 してある。物理化学では ,物 質の蒸気圧 が 1気 圧に達 した時 の温度を沸点 と定義す るか ら
,
7 6 0 Torr.に 引 いた水平線 と蒸気圧曲線 とが交差す る ときの温度が ,そ の金属の沸点 とい うこと
Pb
︵﹂﹂0卜 ︶正 ・
●●> 0
︵﹄﹂o卜 ︶ 正 d ● >
Sb
AgSn Cu
Se
Zn
10
Sb
Pb
!σ
l♂
│♂
lぴ
一
〇
‐
4
l。
¨
0
800
図
!Ooo
1
1500 2000
Temp. (。 c)
金 属 の蒸 気 圧 曲線
150
η0
3∞
40o5∞
Temp. (ec)
図2
(1)
-42-
金属 の蒸気圧曲線 (2)
に 示 して
の
に な る。 この 図 で は ,沸 点 は 読 み とり難 いの で ,表 1に ,関 係 す る 金属 沸点 を融点 ととも
わ る温 度 を低 いI贋 に 並
お く。 図 1,2の 使 い方 と して ,l TOrr.に 水 平 線 を引 き ,蒸 気 圧 曲線 と交
Sn<Cu<Foと な る。 この 1贋 序 は ,溶 解 して ,温 度 を上昇
べ る と ,Se<Zn<Sb<Pb<Agく
順 に 蒸 発 して来 るこ とを示 して い る。 この
させ て い くと ,Se,Zn,Sb,Pb,Ag,Sn,Cu,Feの
の
が
され た。
よ うな金属 の 蒸気圧 曲線 か ら予 想 され る蒸発順序 と比較 して ,溶 解実験 結果 解釈
表
1
属
金
関係 金 属 の 融 点 ・ 沸点 表
融
点 (℃
)
スペ ク トル
ス し
-43-
べ て
溶解 前後 の六鉄 銭 の ケ イ光 X線
ヵ
,
ア﹂
Lα
攀潮
図3
,Pbの
688
613
908
2687
1751
1637
3000
2212
2595
後 b
一
訓 P
解 ,
ク トルの顕著 な相異 は ,溶 解 の結果
)
溶2
は じめに ,溶 解前後 の六鉄 銭 の ケイ光 X線 スペ ク トル を図
点 (℃
に。
。
2
る
ぁ
て
¨
し
枠
示
雌
こ
︲
肛
︲
220
817
420
232
327
630
539
960
088
So
As
Zn
Sn
Pb
Sb
Fo
Ag
Cu
沸
溶解 前 後 の 六 鉄 銭 の ケ イ光
表 2
膨
X線 因 子 の 変 化
e/cu
Yn/ca
溶解 前
0.0058
0.033
0.012
0.64
0.052
溶解後
0.0057
0.oo
0.011
0.44
0.049
v
A&/Cu
Sn/Cu
Sa/cu
Ag/Sb
しまつた こ とである。銅 に対す る相対的 な蒸発挙動 をみるため ,溶 解前後 に おける ケイ光 x線 因子 の
変化 を表 2に 示 してあ る。 Pbが 完全 に蒸発 し ,Snが 若干 ,減 少 している以外は ,Fo,Ag,sb
は殆 ん ど変化 して いな いこ とが判 る。図 4に は ,溶 解前後 の開元通宝 の ケイ光x線 スペ ク トルの変化
を示 して ある。 また ,ケ イ光 X線 因子の変化 は表 3に まとめ られ てぃる。 ここで も ,Pbは 完全 に蒸
発 し ,snも 若千 ,減 少 してい る他 に ,少 量含有 されて いた se力 `
完全 に 蒸発 していることが判 る。
Somple
図4
3
表
炉
v
NO. tS6
溶解前後 の開元通宝 の ケイ光 X線 ス ペ ク トル
溶 解 前 後 の 開元 通 宝 の ヶ ィ光 X線 因子 の 変 化
e/ca
Pn/c a
A&/Cu
溶解前
0.0021
0.17
0.015
溶解後
0.0019
0.00
0.012
-44二
s
n/cu
Sn/cu
0.14
0.66
0.13
Aレ イSb
に対 して
これ′
は殆 ん ど変化 しない。図 5に は ,溶 解前後 の元豊 通宝 の ケイ光 X線 ス
,Fo,Ag,Sb
ペ ク トル を示 してある。 また ,表 4に は
,X線 因子 が整理 されている。 ここでは ,Pb,Seが 完全に
蒸発 して しま うが ,Sn,Fe,Ag,Sbは 殆 ん ど変化 しな いこ とが半Jる 。さらに
,Pbの
Lα 線 が消
失 したあ とには ,Asの Kα 線 が歴然 として残 っている。 つ ま り ,Asは 蒸発 しな いのである。
Somple NO 162
Cu
│
Sb
l、
Fe lハ
図5
表
ポ
4
│
ペ
溶 解 前後 の元 豊 通 宝 の ケ イ光 X線 ス ク トル
溶 解 前 後 の元 豊 通 宝 の ケ イ 光 X線 因子 の 変 化
I e/cu
Pb/Cu
a
g,/cu
Sn
/Ca
sr/cu
溶 解 前
0.018
0.13
0.0031
0.013
0.044
溶 解 後
0.018
0.00
0.0033
0.014
0.041
g,/sa
,znを 含 んでいる点で前三 者 と相異す る。溶解前後 の ケイ光 X線 スペ ク ト
,ま た ,X線 因子 の変化 を表 5に ま とめてある。 こ こでは ,Pbの みな らず ,Zn
嘉 慶通 宝 は主成分 と して
ルの 変 化 を図 6に
e
-45-
Somple NO 43
J_
ピ
t
図6
表
響
5
溶 解 前 後 の 嘉 慶 通 宝 の ケ イ光
X線 ス ペ ク トル
溶 解 前 後 の 嘉 慶 通宝 の ケ イ 光 X線 因子 の 変 化
Sr/cu
rdsn
ve/cu
Zn/cu
Pr/Cu
Adca
Sn/Cu
溶 解 前
0.016
0.039
0.018
0.0045
0.080
0.15
0.029
溶 解 後
0.025
0.000
0.000
0.0046
0.079
0.15
0.030
も完全 に蒸発 して しま うこ とが判 る。 しか し ,他 の Fo,Ag,Sn,Sbは 全 く変化 しない。 また ,ご
く少量 含 まれて いた Asの Kα 線 が Pbの Lα 線 の位置 に残 ってお り ,ASは 蒸発 し難 いこ とを示 して
いる。以 上の結果 をま とめる と ,与 えられた条件下 では ,Se,Zn,Pbは 完全 に 蒸発 し ,As,Sn
は蒸発 し難 く ,Fe,Ag,Sbは 蒸発 しな い とい うこ とが出来 る。 この結果 を金属の蒸気圧曲線 か ら
予想 され る挙動 と比較 してみ よ う。 Se,Znが 蒸発 し易 く ,Ag,Sn,Cu,Fo力 `
蒸発 し難 いこ とは
予測 されるに して も ,soが 蒸発す るに もかかわ らず ,こ れよ り沸点 の低 い Asが 何故 ブ蒸発 し難 い
の だろ うか。 また ,Pbが 完全 に蒸発す るにもかかわ らず ,そ れよ り ,沸 点 の低 い Sbが ,何 故 ,蒸 発
し難 いので あろ うか。 とい う疑間 が出 て来 る。 これ を説明 し得 る一つの理 由は
態 にはな く ,Cuと 合金 をつ くってい る とい うことである。 Sbは
,AS,Sbが 金属状
Snと 同様 ,Cuと 合金 をつ くる。
74)に 示す。 Sbと 同族元素 であるAsも Cuと 合金 をつ くる。天然に も ,砒 銅
鉱 と して産出す る。 このため ,As,Sb原 子 は ,Cu原 子 か らの 相互作 用 を うけ ,金 属の蒸気圧 曲
その状態 図 を図
線か ら逸脱 した蒸発挙動 をとる と考 えられる。 これ とは逆 に
,Pbは 比較的 多量 に含有 されているに
もかかわ らず ,完 全 に蒸発す るの は ,Pbは Cuと は合金 を作 らず ,青 銅 中 に金 属 の 状態 で存在す る
-46-
Sbの 重 量 パ ー セ
.0
ン ト
WEllHT・ PER CE‖ TA‖ T:“ 0■ V
50
60
70
80
度
0
御 0
5 釉
温
00¨
︺∝ついく∝]∝〓ロト
20
3o
40
50
60
70
00
90
ATOMIC PER CE‖ T A‖ T:‖ 0‖ Y
Fig.356.Cu― Sb。 (ScC also Fig。 357 1Lnd Supplcment.)
図
∞”
0“
10
7 Sb一 〇u合 金 の 状 態 図
ため と考 えられる。 この ことか ら ,青 銅 中に Pbを 添 加す ることの意味 は ,Snの よ うに Cuと 共融混
の
合物 を作 って ,融 点 を降下させ る役割 をもって いるので もな く ,出 来上 った青銅 の材質 と して 強 さ
や耐 蝕性 を強化す るために添 加 している とも考 え難 い。 む しろ ,Pbは 金属状態 で ,青 銅全体 に分散
している ところか ら ,青 銅 加工 上に何 らかの利点 をもつ もの と考 え られ る。 この よ うに ,青 銅 中 にお
け る主成分 Pbは ,他 の主 成分
Cuと snは 異 な った性 格 をもつ。 したが って ,こ の Pbの 特異 性 を
の
考慮に 入 れると ,青 銅 の鋳造過 程 を次の よ うに推察す るこ とが出来る。精 錬 された金属銅 と金属錫
一定量 を稀 りとり ,加 熱溶解す る。青銅湯 を冷却 す る直前 に金属鉛 の一定量 を添 加 し ,冷 固す るとい
う工程 である。
さらに ,蒸 発実験 デ ータか ら ,不 純物 の 由来 も推定 す るこ とが出来 る。 Soは Cuと 合金 はつ くら
ず ,金 属 セ レンは最 も容易 に蒸発す る。 それにもかかわ らず ,古 銭 中に含 まれ て いる とい うことは
,
てい
主 成分 Cuと snの 不純物 では あ り得 な い。 も し ,そ うな ら ,溶 解過程 で簡単 に蒸発 して しま っ
-47-
るこ とで あろ う。 したが って ,seは 主成分 Pbの 不純物 と考 えるの が妥 当である。 また ,Foと Ag
は古代 アフガ ニス タ ンコイ ンか ら推察 された 3)ょ ぅに ,主 成分 Cu中 の不純物 と考 えられ よ う。 残
る ASと Sbで あ る。両 者 とも ,蒸 気圧 曲線の 予測 か らはずれた蒸発挙動 をとった。 その原因 は Cuと
合金 をつ くる こ とに よる と考 えられた。 Snも cuと 合金 をつ くる。 この点 で
類似 している。 snの 原鉱石 も入 手 し難 く ,純 錫 コイ ンもないため
,As,Sb,Snは よ く
,sn中 の不純物 を十分 に推察
す
るこ とは出来 な いが ,或 いは ,天 然 の銅鉱 石 に も ,不 純物 として ,Sn,As,Sbが 混在 している こ
ともあるのか も しれ な い。
znは 蒸気圧 曲線か ら予想 され るよ うに ,容 易 に蒸発す る。この故 に ,znは その鉱石 よ り抽出する
こ とが難 しい と考 えられる。閃亜鉛鉱 な どの亜 鉛鉱石 を精錬 す るには高温 を必要 とす るであろ う。鉱
石 が精錬 され て いる時点 で ,既 に ,金 属亜鉛の蒸発 は始 って いる と思 われ る。 この、
znの 冶金 の困難
さの た めに ,古 代 で は使 用出来なか った と思 われ る。既 に述 べた よ うに ,主 成分 として ,銅 コイ ン中
に znが 混 入 して来 るの は ,清 朝 に 入ってか らで ある 3)。 人類の使 用す る金属 として ,亜 鉛 が ,歴
史上 ,遅 れて登場す るのは ,そ の冶金技 術の難 しさのためである。 した が って ,逆 に ,古 代 の 銅製品
と云われ る もの に大量 の znが 混入 して いる と ,そ れは贋物 の可能性 がある。
も う一つ ,再 溶解実験 か ら考察 される こ とは ,日 本 の古代青銅 に つい てである。 日本 の古代青銅 は
従来 か ら云われているよ うに ,弥 生時代 の ものに snが 少 な く ,銅 の純度 が高 いのに対 し ,古 墳時代
の青銅には ,2o%程 度の snが 混入されてお り,硬 い材質 となっている。このことは ,大 正末期か
ら昭和初期にかけて ,初 めて ,古 代青銅が分析された時点で気付かれてお り ,そ の理由として ,青 銅
の再溶解 に よ り ,Snが 除去 され
,cu純 度 が向上す るのである と説 明 されて来た。今回の蒸発実験
の結果 は ,こ の再溶解説 は簡単 に受 け入れるべ きではな く ,今 一度 ,再 検討す べ きであるこ とを示 し
た。 Pbは 簡 単 に 蒸発す るが ,Snは 蒸発 し難 い。 それに もかかわ らず ,弥 生時代 の青銅 には,鉛 も混
入 されてお り ,錫 も著 し く減少 して いる。鉛 の混入 は ,前 述 した よ うに ,青 銅 加工上の補助剤 として
の役割 を持 つ とす れば ,再 溶解 に際 して再 び添 加 された と考 えるこ とに よ り説 明出来 る。 しか し ,sn
,Snの 蒸発に よっては ,ど うして も説 明出来な い。幾度 も溶解 を くり返せば ,も う少 しSnは
減少す るの か も しれない と思 い ,著 者 らは 2度 ,開 元通宝 を溶解 したが ,snの 減少 は殆 ん どみ られ
減少は
なか った。 したが っ,て ,も し ,再 溶解説 を維持 しよ うとすれば ,蒸 発以外 の こ とに よ り ,青 銅湯か ら
Snが 除去 されるこ とを示 さなければな らな い。 この点 については ,今 後
,さ らに詳 しく検討す る必
要 があろ う。銅 コイ ンの再溶解 に よって推察 される こ とは表 6に ま とめ られて ぃる。
表
6
実 験 デ ー タ か ら推 論 さ れ る こ と
(1)znの
(2)Pbの
冶金 の 困難 さ
特異性
(3)青 銅 の材質 と鋳造
→ Pb(se)添 加→ 仕上げ
ξI(主 成分 揮環雰
(Fe,As,Ag,Sb)
(4)Sn含 有量
弥 生 時 代 の 青銅 <古 墳時 代 の青銅
再 溶 解 説
-48-
?
上述 して来た ように ,古 銭 の再溶解実験 の結果 は ,古 銭 の材質 ,お よび ,古 代 の青銅鋳造技術 につ
い ての情報 を寄与 して くれるので ある。
4結
論
(1)各 々 ,材 質 の異 なる古銭 ,六 鉄銭 ,開 元通宝 ,元 豊通宝 ,嘉 慶通宝 が真空下
,1000℃
で1
時間再溶解 された。実験結果 は金属の 蒸気圧 曲線 か ら予 想 され る挙動 と比較 された。
(2)Se,L,Pb
は完全 に蒸発 し ,As,Sb,Ag,Sn,Feは 蒸発 し難 いこ とが判 った。
(3)金 属 の蒸気圧 曲線 か ら予 想 される挙動 とは異な った挙動 をす るの は ,Asと Sbで あ った。 そ
の原因は ,両 者 とも cuと 合金 をつ くり ,蒸 発 し難 くな る と考 えられた。
に)Znの 蒸発 し易 いこ とは ,逆 に ,亜 鉛鉱石 を処理 (冶 金 )す るこ との難 しさを示す 。古代精錬
技術 に とっては ,亜 鉛 の冶金 は難 しか ったで あろ う。 この こ とは ,銅 コイ ンに亜 鉛 が主成分 と し
て混入 されるの は ,比 較的新 しく ,清 朝 に入 ってか らで あるこ とと関連す る。
(5)Pbは 青銅鋳造工程に おいて ,cu,snと
は異 なった役害1を もつ。恐 らく ,加 工補助剤 とし
て使 用 された と考 え られた。
(6)青 銅 中 に含 まれる seは ,主 成分 Pbの 不純物 として混入 して来た と考 え られた。
(7)日 本の古代青銅 は ,古 い もの程
,snの 含有 量 が少 な く ,銅 の純度 が高 い。 この理 由 をこれ ま
で ,再 溶解説 で説 明 して来たが ,今 回の溶解実験 の 結果 は ,再 度 ,こ の問題 を慎重 に 検討す る必
要の あるこ とを示 した。
5文
献
(1)三 辻利 一 。山 口さ と子 。上村 由美子 ・赤阪賀世子 :古 代銅 コイ ンのケイ光 X線 分析
古文化財報告 ,
(第 1報
47,(1977).
(2)三 辻利 一 。円尾好 宏 。大鎌淳正 :古 代銅 コイ ンの ケイ光 X線 分析 (第 2報
).古 文化財報告
(1978)。
(3)三 辻利 一 。古代銅 コイ ンの ケイ光 X線 分析
(4)″.″ 餡
)。
″ :C tts″ ′
″″
“
).古 文化財報告 。(1978)。
o/3 1iZFJP A〃 り .″ σG γοω ″′″ Cο .(1958).
(第 3報
-49-
.