2015年1月記事 - 全造船機械労働組合

企業・産業動向レポート
= 2015年1月1日~31日の報道内容 =
Ⅰ.各分会所属企業、関連企業・関連地域の状況
◎函館ドック労連
◆34型バルク50隻超を連続建造 《名村造船と函館どつくの2工場で同時に》名村造船所と子会社の函館どつくで、3
万4,000重量㌧型バルカーの同時連続建造が始まった。名村の伊万里事業所では月2隻ピッチで最大年20隻超を建造
する体制をとり、函館どつくも年6隻で建造する。今後の建造隻数は2社台わせて50隻超に達する見通しだ。名村造船
/函館どつくの34型バルカー「HIGH BULK 34E」は、従来の函館の主力船種3万2,000重量㌧型バルカー「Super Hand
y32」の浅喫水などの特徴を引き継ぎながら、省燃費性能と積み高の向上を図った船型で、名村と函館が共同で開発し
た。リーマン・ショック後に名村造船の伊万里が得意としていた大型船の需要が一気に冷え込んだこともあり、伊万里と
函館の両工場で建造することを前提に受注活動を進めて、計60隻規模を受注していた。伊万里では、同船型を通算40
隻以上建造する予定となっている。昨年のうちにまず5隻を引き渡しており、その後にいったん他船種を建造する時期
を挟み、このほど34型バルカーの連続建造を本格的に開始した。連続建造のピッチは2週間に1隻で、年間26隻規模と
いう、工場としても過去に例のない大量生産体制となる。今週20日には、通算6隻目、連続建造体制では1番船となる“A
frican Piper”を竣工した。もともと伊万里はプロダクトミックスを掲げて幅広い船種を建造する工場だが、ハンディサイ
ズ・バルカーは工場としては小ぶりで、小型船ならではの狭隘部など、慣れない面もある。また、近年は大型船が中心
だったため工場は船殻工事がメーンだったが、小型船の多数隻建造になるため、艤装比率が上がる。ギア付きバルカ
ーの建造も15年ぶりとなる。従来と異なる建造体制に転換するうえで、対応準備も進めた。連続建造の開始に先行して
昨年5隻を建造し、その後8カ月の期間をあけたのは、この間に建造結果を検証して反省点などをフィードバックするた
めだった。また、殻艤バランスが変わることに備えて多能工化などを進めたり、内業工場の治具などを最適なものに改
めるなどの準備も進めた。現在、ドック内では1.5隻を同時に建造するセミタンデム工法で連続建造を開始している。ドッ
ク全長が450mである点を考えれば、2隻同時のタンデム建造も可能だが、建造の効率化を検討した結果、1.5隻建造と
した。函館どつくでも昨年から34型バルカーの建造が始まっており、昨年9月に1番船“Global Sym-phony”を竣工。先週
16日に2番船“Global Hero”を引き渡した。今後は年6隻体制で建造する予定で、2018年春まで20隻以上の受注残があ
る。もともと函館はハンディサイズを得意としており、前シリーズの32型バルカーは通算85隻を建造した。だが、34型バ
ルカーは船型が大きくなるだけでなく、船殻構造も大きく変わっていることから、効率化に向けて改めて生産体制の見
直しなどを行っている。また、函館どつくと名村造船が同一船型の建造を通じてお互いに情報交換などを行い、生産性
の改善などを図るほか、同一船型の建造で調達の効率化なども期待する。
◎住友重機械工業関連
◆住重、愛媛に研究所 《材料・表面処理の技術、産業機械など競争力強化》住友重機械工業は、愛嬢製造所・新居浜
工場(愛媛県新居浜市)内に技術研究所を新設した。投資額は約5億円。材料や表面処理などの研究、実験を通して、産
業機械や環境・エネルギープラント機器の競争力強化につなげる。14人体制で始動し、将来は30人規模まで増員する体
制を整えた。約250人を配置する主力の横須賀技術研究所(神奈川県横須賀市)に次ぐ、第二の試験研究施設となり、
グループ会社を含めた国内のモノづくり力向上につなげる。子会社の住重試験検査(愛媛県西条市)から住重の技術
研究所に一部機能を編入する形で新居浜研究所を始動した。従来、住重試験検査が新居浜工場内の試験・実験棟を活
用していたが、老朽化が進んでおり、組織改正に合わせて、工場の一部を新研究所用に改装・建て増した。設備は基本
的に従来棟から移転したが、最新機器も追加。大型機械、化学分野の両製品群に対応できる。15の研究室を設け、引っ張
り強度を測定する能力200㌧規模の試験装置から電子顕微鏡まで幅広い機器をそろえる。床強度を高め、他の研究室
に振動が伝わりにくい構造とした。近年はバイオマス発電などで需要が高まる循環流動層ポイラ(CFBボイラ)の研究
が多く、さまざまな燃料がボイラ材料にどのような影響を与えるかなどを評価する。造船重機系メーカーは多彩な製
品を手がけ、国内工場が多い。新興国メーカーの追い上げが激しさを増す中、国内のマザー拠点としての役割を維持・
強化する上で、研究開発部門の役割が増している。住重は14-16年度の3年間で研究開発に合計450億円(前3カ年は3
90億円)を投じる計画。事業部門との連携を強化する一方、米国やドイツなど国内外での産官学連携を推進する。製品、
生産技術の両面で「10年先をイメージした新コンセプトの創出」(冨田良幸取締役常務執行役員技術本部長)を急ぐ。
◆住重、価値工学活動、他社との連携/コスト低減手法を多様化 2014年度から3カ年の中期経営計画を始動した住友
重機械工業。16年度に売上高7,000億円(13年度6,153億円)、営業利益率7.5%(同5.6%)を目指す。グローバリレ化や
グループ内連携などのキーワードを掲げる。高石祐次代表取締役専務執行役員に調達戦略を聞いた。一 円安の影響
は。「海外売上高と海外調達の比率にひずみはなく、購買面のインパクトは少ない。全調達量の3分の1が海外、残りが
国内。造船事業を除けばバランスは良い。為替は変動する。円安になったからといってすぐに国内調達に戻すことはな
い。地産地消のサプライチェーンをつくることが大事」- コスト低減に向けた課題は。「事業が多岐にわたるので、目標
は各ビジネスユニットで決める。従来は円高を背景に、海外調達や有利購買に頼っていたが、開発・設計部門と連携した
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VE(価値工学)活動、サプライヤーや他社との連携などコスト低減手法を多様化しなければならない」一 主な取り組み
は。「各事業の調達品目を整理し、本社資材室と一体で検討している。また、自社で手がけない鋳造品や油圧製品など
は知見を持つ専業メーカーのOBと契約し、品質を含めてコントロールできるようにした」一 人材育成について。「昨秋、
初めてグループ会社を含めた全世界の調達部門長約70人を日本に集めて議論したが、人材のレベル向上は共通課
題。毎年この会議を実施し、成果を水平展開していく。本社資材室では3年前から新規採用をすべて外国人にしている」
- グループ内連携は。「鋼材やベアリング、電線などを集中購買しているが、調達部門が分散している非効率な面も
ある。取引口座数は約7,000社に及ぶので、削減していく。買収した射出成形機の独デマーグ、変減速機のベルギー・ハ
ンセンとは製品共通化を含めて議論している」
◎運輸局情報
◆14年度上期、新造船受注量が大幅増/中国地区の造船・舶用業 中国運輸局がまとめた中国地区の新造船建造量
・舶用工業製品生産高の統計によると、同局管内(山口県西部を除く中国地方5県)の造船業の2014年度上半期の新造
船受注量は303万総㌧となり、前年同期の約3.7倍に跳ね上がった。新造船建造量は前年同期比24%増の180万8,000
総㌧、14年9月末時点の手持ち工事量は76%増の894万8,000総㌧。同局では「円安傾向の継続による受注環境の改
善、今年7月から適用される環境規制による駆け込み発注によって増加したと考えられる」としている。また、14年度上
半期の舶用工業製品の生産高は18%増の746億円。09年度から減少が続いていたが、13年度下半期から増加。14年度
上半期は前期に比べ減少したが、前年同期からは増加している。
◆中国運輸局管内/新造船受注3.7倍、303万総㌧に急増 中国運輸局がまとめた2014年度上半期(4-9月)の中国地
区造船建造量・舶用工業製品の生産動向によると、新造船の受注量(契約ベース)は総トンベースで前年同期の3.7倍の
302万9,604総㌧と急増した。隻数ベースでも53%増の72隻と高い伸びを示した。このうち、輸出船は3.5増の277万9,5
00総㌧、73%増の52隻。国内船が11倍の25万104総㌧、18%増の20隻だった。同局は受注量の大幅増について、同年7
月1日から適用された国際条約に規定される環境規制による駆け込み発注などが要因と見ている。新造船の建造量(竣
工ベース)は24%増の180万7,861総㌧、22%増の61隻で、輸出船が16%増の1,158万9,303総㌧、9%増の37隻、国内船
は2.4倍の21万8,558総㌧、50%増の24隻だった。手持ち工事量(契約ベース14年9月末時点)は76%増の894万7,878
総㌧、45%増の229隻。輸出船が72%増の826万2,705総㌧、53%増の181隻となり、国内船が2.4倍の68万5,173総㌧、2
0%増の48隻だった。修繕実績は3%減の163億円、11%減の1,399隻にとどまった。一方、舶用工業製品の生産高は18%
増の746億円。「09年度から減少が続いていたが、13年度下半期から増加。14年上半期は前期より減少したものの、前年
同期では増加した」(中国運輸局海事振興部)としている。
◆四国運輸局管内/建造許可トン数、19%増と好調 四国運輸局がまとめた2014年度上半期(4-9月)の四国管内造
船事情によると、新造船の建造許可実績はトン数ベースで前年同期比19%増の244万7,000総㌧だった。隻数ベースで
は17%増の76隻と好調に推移。共に全国の約35%を占めた。このうち、輸出船は14%増の228万総㌧20%増の71隻。国
内船は2.4倍の16万7,000総㌧、17%減の5隻となった。県別では、愛媛が24%増の168万7,000総㌧、29%増の58隻と大
幅増。香川は10%増の72万6,000総㌧、前年と同じ15隻だった。四国運輸局は受注の好調ぶりについて「IMO(国際海事
機関)の騒音規制前の駆け込み需要が受注を押し上げた」(海事振興部)とし、7月以降は落ち着きを見せているとい
う。竣工実績は5%増の196万8,000総㌧、9%増の64隻。輸出船が0.3%増の183万9,000総㌧、前年と同じ57隻で、国内
船が3.6倍の12万8,000総㌧、3.5倍の7隻となった。愛媛県が0.1%減の115万9,000総㌧、5%減の41隻だったが、香川県
が16%増の77万8,000総㌧、38%増の18隻と好調だった。手持ち工事量は22%増の354万9,000総㌧、18%増の114隻。
輸出船が19%増の338万1,000総㌧、21%増の109隻、国内船が2.3倍の16万7,000総㌧、29%減の5隻だった。愛媛県が3
7%増の239万7,000総㌧、34%増の86隻、香川県が1%減の109万7,000総㌧、11%減の24隻。
◎今治造船関連
◆大型ドック建設計画/超大型コンテナ船、丸亀事業所で建造、今治造船 造船国内最大手の今治造船(本社・愛媛県
今治市、檜垣幸人社長)は、同社丸亀事業本部(香川県丸亀市)に大型ドックを建設する計画だ。昨年の相次ぐ超大型コ
ンテナ船(ULCS)受注を踏まえ、すでに用地を確保している丸亀にドックを建設する。受注したULCSのデリバリー時期か
らみて、建設するドックが稼働するのは2017年または18年とみられる。日本国内で大型ドックが建設されるのは、同社が
西条工場(愛媛県西条市)に00年に完成させて以来、17-18年ぶりとなる。檜垣社長が5日、年頭あいさつの中で「丸亀
工場では大型設備建設の計画も進めている」ことを明らかにした。関係筋や海運・造船業界関係者などへの本紙取材
では昨年の早い時期に、今治造船が丸亀事業本部の用地に大型ドック建設を検討していることが判明。その決断時期
が注目されていた。今治造船は13年、国内最大船型となるコンテナ積載個数1万4,000TEUのULCS5隻を川崎汽船から
受注。14年にはこれに続き、川汽の追加5隻を含む同型船10隻を受注したのに加え、商船三井から世界最大級となる2
万TEU型ULCS最大6隻発注を獲得した。丸亀事業本部は敷地面積39万平方㍍。1号ドック(長さ270㍍×幅45㍍)、2号ドッ
ク(370㍍×57㍍)を擁し、これまでにアフラマックスタンカー、ポストパナマックスバルカー、パナマックスバルカー、自動
車船、チップ船などを建造した実績がある。内業工場南側に、大型ドック建設を計画する用地がある。今治造船は昨年、
子会社の幸陽船渠を統合し、広島工場とした。広島工場を含む新造船建造量は13年ベースで約300万総㌧建造量国内2
位のジャパンマリンユナイテッド(JMU)とは約40万総㌧の差があり、大型ドック建設によりさらに引き離すことになる。今
治は00年、西条工場に大型ドックを完成させた。当時としては国内で四半世紀ぶりの新ドック完成となった。
◆今治造船、昨年竣工は94隻に増/今年は多度津グループ化で拡大へ 今治造船グループの昨年の新造船竣工量
は、94隻・433万総㌧だった。操業を戻し始めたことで、前年に比べて隻数では1隻増。㌧数では10%前後増えたとみら
れる。今年は常石造船から買収した多度津造船がグループ入りしたことで、建造量はさらに高まる見通し。檜垣幸人社
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長が新年あいさつで実績を明らかにした。昨年は各船型のバルカーを中心に、自動車船やコンテナ船などを引き渡し
た。今年は初の1万4,000TEU型コンテナ船5隻の竣工を予定しているほか、LNG船の建造も本格的に始まる予定。設備投
資については、今治工場をはじめグループ各工場で大規模な設備更新を行っており、丸亀工場では大型設備建設の計
画も進めているという。
◆破竹今造首位固めへ/トップ交代の大島も注目 今治造船が大型ドックの建設を計画しているのに加え、大島造船
所で社長が交代するなど、造船業界には大きな話題が浮上した。この1カ月の造船・内航・行政などを振り返る。〈デス
ク〉今治造船の大型ドック建設計画が表面化した。これからいこう。〈A〉丸亀事業本部(香川県丸亀市)への建設が計画
されています。近年の相次ぐ超大型コンテナ船受注が背景にあります。〈B〉うわさは2013年末ごろから聞こえていまし
た。今治造船ホームページで丸亀の写真を見ると、内業工場横に確保済みの用地を確認することができます。〈C〉今
治造船は1万4,000TEU型コンテナ船15隻を受注済みであるのに加え、2万TEU型コンテナ船でも受注が有力視される国
内外船社の案件を抱えています。〈デスク〉常石造船から買収した多度津も今治造船の傘下に入る。海運・造船業界関
係者は、破竹の勢いに驚いているね。〈A〉大型ドック建設計画が進めば、建造量国内2位のジャパンマリンユナイテッド(J
MU)との差を広げ、首位の座を固めることになると思われます。〈B〉国内の大型コンテナ船建造ヤードが限られるなか、
ロットで発注されるコンテナ船に対応し、なおかつ多品種を手掛ける“新造船の総合デパート”今治造船としては、西条
工場、広島工場に加え、大型ドックがもう1本ほしいところです。〈C〉商船事業の分社を検討している三菱重工との提携
がLNG(液化天然ガス)船の設計・営業以外でも深まるのか注目されるところです。〈デスク〉さて、話題を大島造船所の
社長交代に移そう。〈A〉南浩史社長が昨年12月19日付で一身上の都合により辞任し、南宣之取締役(49、ダイゾ一社
長)を選任する予定だと先週発表されました。新社長の選任は、28日開催の取締役会で決議する予定です。浩史前社
長は、非常勤取締役に就きます。〈B〉宣之氏は1990年慶大院理工学研究科卒、91年大阪造船所(現ダイゾー)入社で
す。09年にダイゾ一代表取締役社長兼大島造船所取締役となっています。〈C〉浩史氏の突然の辞任に、造船業界内に
は驚きの声もあります。〈デスク〉新造船営業で特にバルカーで難しさが増すなか、“バルクの大島”の出方が注目され
るところだ。新体制の大島造船所に注目していこう。
◆国内ドック16年ぶり/今治造船、円安で競争力、400億円投資 国内の造船最大手、今治造船は大型の建造設備(ドッ
ク)を香川県丸亀市に設ける。約400億円を投じて2016年10月に稼働する。国内の大型ドック新設は16年ぶり。日本メー
カーは2000年代に入って韓国や中国の企業に受注を奪われてきたが、円安が進んで価格競争力が回復してきたこと
で投資に踏み切る。円安を背景に製造業が国内生産を増やす動きが広がりつつある。新ドックは生産拠点の一つであ
る丸亀事業本部に設ける。全長600㍍、幅80㍍で、クレーンを3基備える。総運搬能力は3,600㌦と国内最大規模となる。
台湾の海運大手、エバーグリーンから受注したコンテナ船11隻を造る。船は全長400㍍で、1隻で約2万個のコンテナ(20
フィート換算)と世界最大級の積載能力を持つ。受注額は計2,100億円程度とみられ、18年初めに1隻目の引き渡しを予
定している。今治造船は現在、西条工場(愛媛県西条市)や広島工場(広島県三原市)で大型船を建造している。丸亀に
は設計・開発拠点があり、新興国の経済成長で伸びが見込める大型船の建造需要に柔軟に応えられるようにする。国
内の大型ドックは同社が00年に西条工場に設けて以降、新設がなかった。日本メーカーの総建造量は同年、現代重工業
などコスト競争力に勝る韓国メーカーに抜かれ、09年には中国にも追い越された。13年の建造量は中国と韓国のメーカ
ーが1-5位を占め、今治造舶はグループで384万総㌧と6位だった。
◆大型船建造ドック新設/今治造船が16年ぶり 今治造船(愛媛県今治市、檜垣幸人社長、は29日、丸亀事業本部(香
川県丸亀市)に大型船向け建造ドックを新設すると発表した。投資額は約400億円で、2016年10月の完成予定。新ドック
は長さ600×幅80㍍で、1,200㌧クレーンを3基設置する。同社の新設ドックは00年に西条工場(愛嬢県西条市)に設けて
以来、16年ぶりとなる。新ドック建設は、りんかい日産建設、大林組、東洋建設の共同事業体が2月に着工する。完成後は
丸紅の協力を得て受注した世界最大級の2万個積みコンテナ船11隻を建造する。同コンテナ船は全長約400×幅約59
㍍で、18年始めにl隻目を竣工する予定。同社の広島工場(広島県三原市)では、15年3月竣工予定で日本最大級の1万4,
000個積みコンテナ船を建造中。新ドックの建設で、超大型船の建造に対応することが可能になり、国際競争力を高め、
世界中の多様なニーズに柔軟対応できる生産体制を構築する。
◆丸亀に大型ドック建設/正式発表 《今治造船2万TEU型船11隻受注》今治造船(檜垣幸人社長)は29日、丸亀事業
本部(香川県丸亀市)に大型ドックを建設すると正式発表した。1,200㌧吊りゴライアスクレーン3基、ブロック工場などの
建設を含め、約400億円の設備投資となる。2016年10月に完成する予定。同社はまた、丸紅の協力により、世界最大級
となる2万TEU型コンテナ船11隻を受注したことも明らかにした。用船者は明らかにしていないが、海外メディアは28日
(ロンドン現地時間)、台湾エバーグリーンが11隻を今治造船に発注したことを認めたと報じた。丸亀に建設する大型ドッ
クは、長さ600㍍、幅80㍍。丸亀市土地開発公社から払い下げを受けた丸亀市昭和町の丸亀事業本部に隣接する埋め
立て地約10万平方㍍に建設する。国土交通省の建設許可をすでに取得。りんかい日産建設、大林組、東洋建設の共同企
業体が来月着工する。日本国内でドックが建設されるのは、今治造船が00年に西条工場に完成させて以来となる。2万
TEU型コンテナ船11隻は、第1船を18年初めに竣工させる予定。このコンテナ船は全長約400㍍、幅約59㍍で、スエズ運
河を通航可能な最大船型。
◆「瀬戸内の盟主」反攻/船主・部品地場の力結集 国内造船最大手、今治造船が反転攻勢をかける。29日、400億円
を投じ丸亀事業本部(香川県丸亀市)に大型建造設備(ドック)を新設すると正式発表した。国内で建造する船がなくな
る「2014年問題」が危惧される状況まで追い込まれていた日本勢。今治造船が16年ぶりの巨額投資に踏み切れるの
は、円安という為替の潮目が変わったことだけが理由ではない。《「船のデパート」中韓勢を追う》今治造船で最大規模と
なる新ドックは16年10月の稼働を予定している。1901年に創業した今治造船。現会長の檜垣俊幸氏のリーダーシップで
現在の基盤をつくった。長男の檜垣幸人氏が2005年、40代で社長に就任し、現在52歳。建造量はこの15年で3倍になっ
た。オーナー企業特有のスピードカを生かし、非上場ながら13年度の連結売上高は4,033億円に上る。今回の大型投資
からは、「瀬戸内の盟主」として中国、韓国勢を追い今治造船、国内大型ドック発表上げたいとの決意が感じとれる。日
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本はかつて建造量ベースでシェア5割を超えたが、2000年代に入って規模やコスト競争力で勝る中韓勢に抜かれ、13年
は2割にとどまる。ただ11-12年に1㌦=70円台だった円相場は14年末には120円前後まで下落、日本勢の受注は回復傾
向にある。檜垣社長は「日本の存在感を示すためにシェア3割の回復が必要だ」と常々語っており、好機に素早く動いた
格好だが、為替だけがよりどころではないひ《銀行が専門部署》海事クラスター―。今治造船の強さの秘密は、ひとつ
は瀬戸内に集積していることにある。瀬戸内の造船会社を傘下に収めて発展し、瀬戸内地域にグループで9つの造船
所を持つ。今月1日付で傘下に収めた多度津造船(香川県多度津町)は、ツネイシホールディングス(広島県福山市)の拠
点だった。今治市を中心に「愛媛船主」と呼ばれる船主が集まり、国内の外航船の3割強(約1,000隻)を保有する規模に
達している。愛媛船主を支える存在も重要だ。地元金融機関が地場産業育成へ積極的に融資を実行する。伊予銀行も
愛媛銀行も建造資金用の「シップファイナンス」を担当する専門部署を設けている。今治市では09年から、国際海事展
「バリシップ」が隔年で開かれている。今年も5月に国内外の270社が出展を予定するが、中心的な役割を果たすのが
今治造船。情報発信や商談だけでなく、工場を子どもたちに開放するなど、地域との関係に気を配っている。愛媛船主
は雷同の局面でも仕事を発注し造船所を支え、円安の局面では優先して建造してもらう関係を築く。今治造船も経営
理念に「船主と共に伸びる」を掲げる。船舶用の電装品から溶接業まで様々な産業の集積も低コスト建造の礎だ。《大量
発注に対応》船のデパート-。檜垣社長が自社を表現する言葉に2つ目の強さが隠されている。鉄鉱石や石炭などを運
ぶばら積み船を中心に、13年のグループ建造量は384万総㌧で国内トップ。三菱重工業(46万総㌧)の8倍もの実績を
誇る。「一般商船なら何でも対応できる」(檜垣社長)。建造する船の種類が多いため、仮にコンテナ船の市況がこの先
悪化しても、カバーできる体制であることが投資基盤となる。今回、新ド、ックでは積載能力がコンテナ約2万個と、世界
最大級の船11隻(受注額2,100億円)を造る。海運ビジネスの競争が世界的に激しくなるなか、コンテナ船は大型化が進
み、従来は現代重工業など韓国勢が先行してきた。「船のデパート」を標榜する以上、韓国に流れていた受注を奪還す
ることは重要戦略だ。大型投資によって、大量発注に対応できる体制を整備し、韓国勢と同じ土俵に立つ。大規模な生
産設備を抱えることにはもちろん懸念もある。為替や海運市況の変動により受注が再び落ち込めば、仕事量を確保で
きない事態も起こりうるからだ。ただ、リスクも覚悟しなければ中韓勢の背中はさらに遠のく。強固な海事クラスターを
強みに、激しい受注競争を勝ち抜くため挑戦に打って出る。
◎佐伯重工分会
◆尾道造船、最長2020年納期に突入/先物受注を継続、市況下落に備え 尾道造船が最長で2020年納期にまで線表
を伸ばしている。6万重量㌧型バルカーやプロダクト船などの受注を進めて、尾道造船所では2019年半ばまで、グルー
プの佐伯重工では2020年初頭までの仕事量を固めつつある。市況下落のリスクや新規制の動向などを考慮し、先物ま
で受注を進める営業戦略を取っているが、2020年の「オリンピック船台」に線表が突入した形だ。尾道造船所と佐伯重
工では、6万重量㌧型バルカーを中心に、5万重量㌧型プロダクト船や7万重量㌧級プロダクト船、フェリー、RORO船など
で受注を進めた。手前の納期では一定の建造余力も持たせているようだが、ベースとなる仕事量として先物まで商談
を進めており、内定案件も含めると4年半-5年先まで線表を固めつつある。尾道造船は近年、友好顧客からの受注で、
先物まで仕事量確保を進める戦略をとっており、国内の造船他社より1-3年先まで仕事確保が先行している。先々の仕
事量を確定しておくことで、今後マーケットが崩れた際などの対応に余力を持たせるのがねらい。ただ、先物受注には
コストアップなどのリスクも伴う。特に、東京オリンピックが開催される2020年までは、建設需要に伴う人手不足の問題
などが継続するとみられている。だが、「市況リスクやルール対応への時間を稼ぐことなどを考慮したうえで、仕事量
確保が優先という覚悟で2020年まで線表を伸ばしている」(中部隆社長)。尾道造船の新造船の建造能力はグループ
の佐伯重工と合わせて年間約18隻程度。佐伯重工では2016年までに船台拡張などを行う予定。
◆三菱日立PS、労働条件統一/来年4月、事業統合総仕上げ 三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は、従業員の給与
体系を含めた人事制度や労働条件を2016年4月1日付で統一する方針を固めた。親会社である三菱重工業、日立製作
所からの転籍者で大多数が構成されており、人事異動や組織改正を円滑に進めるのが狙い。検討に3-4年かかるとみ
られていたが、米ゼネラル・エレクトリック(GE)による仏アルストムのエネルギー事業買収など競争環境が一変。対抗す
るMHPSは15年4月から順次、海外の地域統括拠点を設立・始動するなど一体運営を加速し、相乗効果を最大化する。グ
ループ約60社、総従業員約2万3,000人を抱える事業統合が仕上げの段階に入る。経営側から労働組合に対して労働条
件を統一する方針を申し入れ、ワーキンググループが具体的な内容策定作業に着手した。現在、出張などの社内規定
は主に三菱重工から引き継いでいるという。これらを統一するとともに、独自の職制を整備、女性管理職の登用目標な
ども設定する方針。人材の流動性を高め、組織の硬直化を防ぐのが狙い。MHPSは三菱重工が65%、日立製作所が35%
を出資する火力発電システム事業の統合会社。2月に設立1年を迎える。ガスタービンや蒸気タービン、ボイラなど主要
機器の開発、製造、営業では連携が深まり、受注は堅調。情報システムの統合も進む。親会社とは別にMHPS単独の新卒・
中途採用も増える中、労働条件の統一が課題として残されていた。また、親会社から引き継いだグループ会社や工場、
営業・サービス拠点が多く、指揮系統を整える。本社(横浜市西区)の経営方針に基づき、権限を委譲された世界4カ所
の統括拠点が地域事業戦略を策定。生産品目の整理や子会社再編、M&A(合併・員収)などを検討する。4月から米州、
中国、シンガポールで統指体制を始動、1年内に欧州も同体制に移行する。組織の末端まで齟齬のない全員参加の事業
運営を目指す。
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Ⅱ.国内造船・造機関係の動向
◆11月の造船続計/竣工20隻 国土交通省がまとめた2014年11月の造船主要53工場の鋼船受注・建造実績は、起工
29隻・107万7,000総㌧、竣工20隻・78万1,000総㌧、竣工船価862億円だった。竣工船のうち国内船の実績はLNG船1隻、
その他船舶2隻の計3隻・13万8,000総㌧だった。輸出船は計17隻・64万3,000総㌧で、内訳は貨物船が13隻(一般貨物
船3隻、ばら積み船3隻、自動車専用船1隻、鉱石兼ばら積み船6隻)、油送船が4隻(一般油送船、LPG船、化学薬品船、プ
ログクト船各1隻)だった。パナマやマーシャル、香港、シンガポール向けに竣工した。鋼船修繕実績は101隻で、工事金額
は121億円だった。
◆11月の造船統計速報/生産指数11・8%減 国交省まとめ 国土交通省がまとめた2014年11月分の造船統計速報に
よると、生産指数が前年同月比11・8%減の50・0となった。同統計の生産指数は10年の竣工船価を100とする。鋼船の受
注は2隻(総重量7万2,000㌧)、起工は29隻(同107万7,000㌧)、竣工は20隻(同78万1,000㌧)で、竣工船価は862億円
だった。国内の造船会社の主要53工場が調査対象。国内船の竣工実績は3隻(同13万8,000㌧)で、内訳は液化天然ガス
(LNG)船が1隻、その他船舶が2隻。生産指数は262.・7。輸出船の竣工実績は17隻(同64万3,000㌧)で、内訳は一般貨物
船3隻、バラ積み船3隻、自動車専用船1隻、鉱石兼バラ積み船6隻、一般油送船1隻、液化石油ガス(LPG)船1隻、化学薬
品船1隻、プロダクトキャリア1隻だった。輸出先としてはパナマ、シンガポールが目立った。生産指数は39・4。修繕実績は
101隻、工事金額は121億円。
◆日本の受注量/危機後最高を更新 《14年の輸組統計1,484万㌧、騒音規制影響》昨年の日本造船業の新造船受注
量は2年連続で1,500万総㌧に迫る水準となり、リーマン・ショック後最高を更新した。日本船舶輸出組合(輸組)が15日発
表した2014年1-12月の輸出船契約実績は計336隻・1,484万総㌧で、総㌧ベースで前年を2%上回った。新規制「改正騒
音コード」(騒音規制)適用前の駆け込みが受注量を押し上げた。船種別ではバルカーが隻数ベースで8割を占めたが、
ケミカル船やガス船が大幅に増加し、バルクを主力としない造船所も受注を積み上げたことが統計にも表れた。《駆け
込みラッシュ》昨年は7月から適用された騒音規制前の駆け込みが新造船受注量を押し上げた。規制適用直前の6月には
91隻・339万総㌧という6年半ぶりの高水準を記録。1-6月の上半期で受注量は10,00万総㌧を超えた。半年で1,000万総
㌧を超えるのは、リーマン・ショック前の造船ブーム期以来だった。世界全体の建造量が以前よりも増えているため単純
比較はできないが、年間の受注量も2003-08年の造船ブーム期を除くと、1973年のオイル・ショック以降で最も多かっ
た。ただ、規制が適用された7月以降は新造商談が停滞し、受注ペースは急減速した。7月以降は前半の受注量の半分に
も満たなかった。《バルク比率8割》昨年の受注の船種船型別内訳は別表のとおり。チップ船などを含めたバルカーが前
年比47隻減の計265隻だったが、隻数ベースで全体の8割近くを占めた。パナマックスが28隻、ポストパナマックスが2
隻増加したものの、そのほかの船型は前年を下回った。発注者側にも積み上がる発注残に対して警戒感が拡がり、発注
は鈍化しているようだ。油送船は前年比23隻増の計44隻だった。特にガス船とケミカル船が増えたのが大きな特徴
で、ケミカル船は前年比13隻増と大幅に増加した。ただ、VLCCは成約がなかった。また、自動車船やコンテナ船は前年
と比べて数隻増加した。《純輸出船が4割》船主別では引き続き海外船主向けの案件が多かった。純輸出船の受注隻数
は127隻で、隻数ベースで全体の38%だった。ただ、純輸出船が過半以上を占めていた前年と比べると、比率は下がっ
ており、邦船系向けが徐々に増えている。4-12月の船主系列別内訳(総㌧ベース)は邦船系が69.3%、欧米系が10.9
%、ギリシャ系が6.0%、香港系が3.4%、その他10.5%だった。前年同期と比べて、邦船系の比率が2割近く増えた一
方、欧米やギリシャ系の比率は半減している。また、受注船の契約態様として外貨建てが昨年同様に8割以上を占めた。
造船ブーム期には円建て契約が大半だったが、2011年に外貨建てが総㌧ベースで5割、12年には6割強となっていた。
◆12月の受注量、24隻・122万総㌧ 《竣工量は4割減》日本船舶輸出組合(輸組)がまとめた昨年12月の輸出船契約
実績は24隻・122万総㌧だった。昨年12月の実績がリーマン・ショック後2番目の高水準だったため、総㌧ベースで前年同
月比37%減となったものの、100万総㌧超の高水準となった。11月の契約船の内訳は一般貨物船1隻、バルカー18隻(ハ
ンディ7隻、ハンディマックス6隻、パナマックス3隻、ケープサイズ1隻、チップ船1隻)、タンカーが5隻(LNG船4隻、プロダ
クト船1隻)となっている。純輸出船は8隻だった。12月の受注船の契約態様は、㌧数ベースで円建て契約19.1%、円・外貨
ミックス11.3%、外貨建て69.6%だった。現金払い契約は100%、商社契約は3.9%。納期別では2015年度もの20%、16
年度もの17%、17年度もの42%、18年度もの21%だった。竣工量に相当する通関実績では、12月は前年同月比41%減の
7隻・33万総㌧となり、大幅に減少した。
◆輸出船契約/昨年1・6%増1,484万3,131総㌧ 《JSEAまとめ、12月単月は37・2%減》日本船舶輸出組合(JSEA)がま
とめた2014年1-12月の輸出船(一般鋼船)契約実績は前年同期比1・6%増の1,484万3,131総㌦となり、2年連続増如し
た。円安による受注環境好転や船内騒音規制前の駆け込み需要などにより、上期の受注が積み上がったことが大き
い。ただ、12月単月の喫約実績は前年同月比37・2%減の121万5,100総㌧で6カ月連続で減少しており様子見の状況が
続いている。14年1-12月の契約隻数は336隻(13年1-12月362隻)。内訳は貨物船26隻・235万7,460総㌧、バラ積み運搬
船265隻・1,060万1,701総㌧、油送船44隻・188万2,700総㌧、その他1隻・1,270総㌧。8割弱がバラ積み船だった。08年のリ
ーマン・ショック以降の暦年で過去最高となった13年を上回る水準だが、足元の受注は低調。昨年来の大量受注で造船
所は2年分以上の工事量を抱えており、様子見の姿勢になっていることも一因だ。14年12月末時点の手持ち工事量は6
74隻・2,827万2,730総㌧と増加傾向。12月単月の約期別契約実績をみても、18年度ものが21%、17年度ものが41・8%な
ど先物が目立つ。15年7月以降の契約船に新たな国際ルールが適用されるため、6月頃に一定の駆け込み需要が見込
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まれるものの、それまでは前年同月割れが続く可能性がある。発注増が期待されるのは、シェールガス輸送などに使わ
れる液化天然ガス(LNG)運搬船。14年12月単月の船種別契約実績は一般貨物船1隻、ハンディ型バラ積み船7隻、ハンデ
ィマックス型バラ積み船6隻、パナマックス型バラ積み船3隻、ケープサイズ型バラ積み船1隻、チップ船1隻、LNG船4隻、
プロダクト船1隻。LNG船が多く含まれた。
◆船舶輸組、14%受注2%増の1,484万総㌧/円高是正、騒音規制回避で 日本船舶輸出組合(船舶輸組)が15日発表
した2014年1-12月期の輸出船契約(受注)実績は、1,484万総㌧(724万CGT=標準貨物船換算㌧)で、前年比2%増(CGT
ベースで6%増)だった。円高是正の動きのほか、船内騒音規制前の駆け込み発注などが実績に反映した。リーマン・ショ
ック以降の暦年実績で、昨年に続き過去最高となった。14年1-12月の輸出船契約隻数は、26隻減の336隻。このうちバ
ルカーは47隻減の265隻で、パナマックス、ポストパナマックスなどは隻数を伸ばしたものの、ハンディサイズ、ハンディ
マックス、ケープサイズなどは落ち込んだ。貨物船は増減なしの26隻。タンカーはケミカル船、LPG(液化石油ガス)船、L
NG(液化天然ガス)船などが増え、23隻増の44隻に膨らんだ。その他は、2隻減の1隻(貨客船)にとどまった。新造船竣工
量を示す輸出船通関の14年実績は1,156万総㌧(532万CGT)で9%減(CGTベースで5%減)。通関隻数は16隻減の270隻
だった。14年12月末時点の輸出船手持ち工事量は674隻、2,827万総㌧(1,373万CGT)で、前年末の625隻、2,643万総㌧
(1,235万CGT)を上回った。14年12月単月の輸出船契約実績は、122万総㌧(72万CGT)で前年同月比37%減(CGTベース
で15%減)に落ち込んだ。契約隻数は20隻減の24隻。このうち、海外船主向けの純輸出船は8隻だった。24隻の船種別
内訳は、一般貨物船1隻▽ハンディサイズバルカー7隻▽ハンディマックスバルカー6隻▽パナマックスバルカー3隻▽ケ
ープサイズバルカー1隻▽チップ船1隻▽LNG船4隻▽プロダクト船1隻。契約は全て現金払いで、トン数ベースの契約形
態の内訳(シェア)は円建て19%、円・外貨ミックス建て11%、外貨建て70%。商社契約は4%。納期別内訳は15年度20%
▽16年度17%▽17年度42%▽18年度21%。
◆昨年の竣工量/過去20年で最低 《重工系造船5社、操業ボトムで348万㌧》重工系造船5社の2014年新造船竣工実
績は計71隻・348万総㌧で、前年に比べて16隻減、総㌧ベースでは24%減少した。400万総㌧を割り込むのは過去20年
で初めて。不況に伴う操業ダウンで建造量が大きく減り、高操業が続いていた05-11年に比べると半分にまで縮小し
た。ただ、今年からは大型船の建造開始や、操業が徐々に戻ることで、建造量は再び増加に転じる可能性が高い。各社
の発表を基に本紙が集計した造船5社の2014年1-12月の新造船竣工量は表のとおり。5社のうち三菱重工を除く4社の
建造量が減った。このうち最も落ち込みが大きかったのが川崎重工で、竣工量がわずか3隻・11万総㌧だった。これまで
操業をスローダウンしてきたが昨年が操業のボトムとなり、神戸工場の竣工がバルカー1隻にとどまったほか、坂出工場
がガス船にシフトする端境期だったため2隻だけとなり、竣工量が過去最低の水準にまで落ち込んだ。住友重機械も操
業ダウンで、竣工がアフラマックス・タンカー2隻にとどまり、計11万㌧に半減した。ジャパンマリンユナイテッド(JMU)は37
隻で、前年比20%減の210万総㌧。やはり操業を落とした影響で、主力の有明事業所や津事業所の建造量が大きく減っ
た。三井造船は25%減の50万総㌧。隻数は前年から1隻増えたが、巡視船や練習船などの官公庁船が増えたため、㌧数
は大きく減った。三菱重工は前年に比べて2隻減の10隻だったが、㌧数は43%増。前年は㌧数の少ない小型船などが中
心だったが、LNG船などが増えたことで㌧数が増えた。一方、造船所の実際の工事量を反映している進水実績は5社合
計で5%増の402万総㌧で、増加に転じた。このため竣工量は2014年を底にして、今年からは増加に転じる可能性があ
る。「造船大手」と呼ばれた重工系造船所の竣工量は、2000年代には造船ブームを追い風に各社が増産基調に入った
ことに加えて、1隻当たりの総㌧数が大きいバルカーなどの建造に軸足を移したことで、年600-700万総㌧にまで拡大
していた。ただリーマン・ショック後の需要低迷で操業ダウンに転換し、2012年からは急速に建造量が低下している。
◆14年の竣工量/1割減の1,156万総㌧ 2014年1-12月の竣工量は270隻・1,156万総㌧で、前年に比べて総㌧ベース
で9%減少した。竣工量に相当する通関実績は、過去最高を記録した2010年から4年連続で減少した。多くの造船所が
操業の回復を図っていたが、人手不足などの顕在化により操業量が思うように戻らず、竣工量は減少した。
◆手持ち工事量/2.4年分の2,827万総㌧ 2014年12月末時点の手持ち工事量は674隻・2,827万総㌧(1,373万CGT)
で、造船ブームが始まる前の2002年ごろの水準となっている。1年前と比較すると、総㌧ベ-スで7%増加した。2014年
の竣工量を基準にすると、手持ち工事量はおよそ2.4年分に相当する。納期別の内訳は、2014年度引渡分が97隻・404
万総㌧、15年度が289隻・1,119万総㌧、16年度が176隻・762万総㌧、17年度が104隻・493万総㌧、18年度が8隻・49万総㌧
だった。日本の造船所の手持ち工事量は、2008年9月の7,094万総㌧をピークに、リーマン・ショック以降減少していた。
◆新造船マーケット、タンカーに引き合いシフト 《VLCC発注 水面下で進む》新造船マーケットで、新造引き合いがタン
カーにシフトしてきた。ドライ市況低迷・タンカー市況好調という海運市況の傾向を反映し、海運サイドがVLCC(大型原油
タンカー)のリプレース(代替)発注を水面下で進めているのに加え、造船サイドのマーケティングの重心もタンカーに
移っている。日本国内のVLCCの新造発注(船台予約含む)は、昨年の2隻から最大5隻に拡大した。年明けのタンカー市
況は、VLCCのスポット運賃が中東積み-日本揚げでWS(ワールドスケール、タンカー運賃料率決定指標)60でスタート。急
騰した昨年末に比べ小安い水準となったが、日建て用船料換算で6万㌦台をキープし、「まずまずの滑り出し」(邦船タ
ンカー関係者)。他方、昨年末に急落したドライ市況は全船型で底ばいに近い状況が続いている。こうした海運市況を
反映し、新造船マーケットではタンカーに焦点が当たっている。日本のオイル・ロードの中心船型であるVLCCに加え、大
西洋を中心にスポット運賃が回復してきたプロダクト(石油製品)タンカーもフォーカスされている。VLCCでは、邦船社が
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昨年、2隻を発注内定したのに加え、さらに1隻を追加で発注内定。また、別の邦船筋も1隻の発注を内定し、さらに1隻発
注がほぼ確実とされる。昨年、3年ぶりに国内で新造発注されたVLCCの新造発注はこれで、最大5隻に拡大した。海外
勢では昨年末、ジョン・フレドリクセン氏率いるフロントライン2012がVLCC2隻をジャパンマリンユナイテッド(JMU)に発注
内定した。造船サイドでは、大手のVLCC建造ヤードに加え、中手もVLCCの新造営業を活発化させている。プロダクトタン
カーでは、尾道造船がMR(ミディアムレンジ)型、LR(ロングレンジ)1型で受注内定を重ね、尾道造船所の船台は2019年
半ばまで確定した。グループ会社で3万7,000重量㌧型ハンディサイズバルカーを連続建造中の佐伯重工は20年半ば
まで船台を埋めた。15年7月1日以降の契約船には、鋼材重量の増加を伴う新ルールが適用される。そのため、適用回避
を狙う新造船駆け込み発注が今年前半、タンカーを中心に活発化する可能性が出てきた。
◎日本造船工業会
◆先端技術の革新続ける/日本造船工業会会長、佃和夫 さて、昨年を顧みますと、国内経済においては、アベノミク
スの効果によって円高是正が進み、企業収益の改善、賃金の上昇などデフレからの脱却に向けた動きが広がってまいり
ました。しかし、消費税引き上げの影響などにより、経済成長は一時的に足踏み状態にありますが、経済の好循環を維持
し、持続的な成長のためにも、今後もアべノミクスによる諸政策の推進に期待したいと思います。一方、世界経済におい
ては、米国の今後の金融政策、欧州および中国の経済の先行き、地政学的リスクなどの不安要素はあるものの、今後も
米国経済を中心に緩やかな景気回復が続くものと見込まれます。海運におきましては、依然として存在する大量の過
剰船腹によって市況の低迷が続きました。減速航行の実施、スクラップの前倒しなどの措置が続けられておりますが、需
給ギャップの解消には今しばらく時間がかかるものと思われます。中長期的には、世界経済の回復に伴って海上荷動き
量は増加に転じ、海運市況も徐々に好転していくものと見込まれます。日本造船業は、円高是正が進んだことにより、
受注環境が改善、昨年は上半期だけで1,000万総㌧の受注があり、当面の工事量を確保することができました。しかし、
これはIMO(国際海事機関)の船内騒音規制回避のための駆け込み需要などによるもので、需要の本格的な回復とみる
には時期尚早であると考えております。長期的な視点に立って、慎重かつ合理的な経営を続け、需要の本格的な回復
を待つことが重要であると思います。日本造船工業会の会長に就任した際、日本造船業が取り組む重要課題として、
「経営基盤の強化」「技術基盤の強化」「国際協調の推進」の3つのテーマを掲げて、業界としての施策を展開してまい
りました。これらは全て不変のテーマであり、今後とも重要施策として推進してまいりたいと考えております。具体的に
は、海洋資源・海洋再生エネルギーなど新分野への進出、環境負荷が少なく経済的でエネルギー効率の高い船舶の開
発など、日本造船業が誇る先端技術の革新に弛まぬ努力を続けてまいります。また、IMOなどの国際的な規制などに対
する戦略的な対応、JECKU造船首脳会議などを通じた国際協調の推進などにも、一層取り組んでまいります。これまで
日本造船業は、良質な船舶の安定供給と高度な艦艇などの建造によって、日本の経済を支え、安全保障に貢献してま
いりました。アベノミクスの成長戦略において、産業競争力の強化は重要なテーマの一つとなっております。政府に対
しましては、経済・安全保障・海洋開発などに関わりの深い造船業を、国の重要な産業と位置付け、魅力ある造船業の
構築に向けたご支援をお願いしてまいります。
◎中小造工
◆技術開発と人材に注力/日本中小型造船工業会会長、檜垣清隆 昨年前半の好調な受注に支えられ手持ち工事量
も回復し、先を見据えた事業展開を考える環境が整ってきました。一方、最近の原油価格低下、円安進行という事業環
境の好転はありながらも、海運市況と船舶受注環境の低迷、相次ぐ国際規制の強化などの直面する諸課題に取り組む
ため、当工業会は、昨年9月に中小型造船経営課題に関する懇談会を立ち上げ、私ども中小型造船業界を取り巻くさま
ざまな課題について検討を開始したところです。私ども業界が長年培ってきた省エネ性能・品質性能などの技術力と、
生産性の高さは世界に誇れるものですが、今日、地球環境の保全、船員の健康保持という観点から、目まぐるしく改正・
強化されている国際環境・安全規制への対応とともに新たな価値をつくり上げる技術の開発が当面喫緊の課題となっ
ています。これらについては、昨秋、欧州に調査団を派遣して造船所をはじめ各種造船関連工業を視察した成果をもと
に、今後、対応策の検討を加速させていきたいと考えています。これに関連して、この数年、日本財団からは、船内騒音
対策事業、設計者育成事業などにご助成いただき、日本海事協会(NK)からは、EEDI(エネルギー効率設計指標)改善研
究開発事業などにご支援いただき、中小型造船業が技術力を磨くことができましたことについて、ここであらためて
感謝いたすとともにさらに飛躍を目指す決意でございます。もう一つの課題が人材の確保・育成です。中小型造船所
や外注設計会社では、設計技術者の高齢化と人手不足がますます深刻化してきています。しかし、各社において設計技
術者を育成する余裕がないため、当工業会が中心となって、専門的な集合教育を実施することが必要と考えていま
す。また、未熟練者や造船を学んだことのない人材を設計戦力にするために3次元CADの導入を促進するには、中小型
造船所で導入可能で使いこなせる仕組みをつくることが必要と考えています。一方、技能労働者につきましては、国
土交通省、日本財団、地方公共団体などのご支援を受け開設された全国6カ所の造船技能研修センターで新人研修な
どを開講しており、この研修を通じて、技能の向上はもちろんのこと、仕事に対する自信を得ることができ、その後の定
着率も高く、地域経済と雇用にも効果が表れています。少子高齢化、人材確保難の今、本事業の重要性が増しており、
その維持発展が工業会の課題となっています。これまでも、日本財団のご支援を受け、地方公共団体や関係団体など
と協力して進水式見学会やものづくり体験講座を実施しており、実体験に基づいた理解を深め、将来の進路選択の判
断材料の一つとなっていますが、この取り組みをさらに発展させ、地域の主要産業である造船業の人材確保につなげ
ていきたいと考えています。さらに、経営の最重要課題として取り組んでいるのが安全な職場づくりです。各造船所に
おける労働災害防止対策の強化、安全衛生教育の徹底をさらに推進していくとともに、6カ所の造船技能研修センター
における研修では安全教育にも力を入れ、そのうち2つのセンターに設置している安全体感研修施設のさらなる活用
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を図るなど労働安全衛生管理水準の向上に全力で取り組んでいるところです。私ども業界は、地方の小さな市町村に
所在し、円高といわれる中でも海外に展開することなく、生真面目に国内での操業を続け、将来も地域に根を張って生
きる産業です。地場産業として地域の経済と雇用の安定に大きな役割を果たしてきている中小型造船業は、政府にお
いて取り組まれている地方創生を担う重要な産業と言えますので政府ならびに日本財団をはじめ関係各位のご指
導、ご支援をお願い申し上げます。
◎新造船
◆新造船価、バルカー・タンカー横ばい 年明けの新造船価相場は、バルカー、タンカーとも横ばいで推移している。た
だ、足元の海運市況がタンカー好調、ドライ低迷という状況を反映し、タンカーは基調が底堅くなっている半面、バルカ
ーは弱含みが続いている。マーケット筋によると、足元のバルカーの新造船価レベルは、ケープサイズ5,400万㌦(18万
重量㌧型)、パナマックス2,900万㌦(7万6,000重量㌧型)、ハンディマックス2,700万㌦(6万2,000重量㌧型)、ハンディサ
イズ2,300万㌦(3万5,000重量㌧型)で推移。ドライ市況低迷を受け、新造船価レベルは横ばいながら、下押し圧力がか
かっている。タンカーの新造船価レベルは、VLCCが9,700万㌦(32万重量㌧型)、スエズマックス6,500万㌦(15万7,000重
量㌧型)、アブラマックス5,400万㌦(11万5,000重量㌧型)、MR(ミディアムレンジ)型プロダクト(石油製品)タンカーは3,
680万㌦(5万1,000重量㌧型)となっている。
◆大・中型バルカ―小幅続落/新造船価 タンカーも反落 新造船マーケットで、大・中型バルカーの新造船価レベルが
小幅続落した。大型バルカーのケープサイズが直近のレベルと比べ50万㌦安、中型バルカーのパナマックス、ハンディ
マックスはそれぞれ20万㌦安となった。足元の好調なスポット運賃市況を背景に底堅かったタンカーの新造船価レベル
もほぼ全船型で反落した。ガス船や一部の超大型コンテナ船(ULCS)商談を除き、新造発注が全般的に低調であること
が新造船価相場全体に影響しているものとみられる。マーケット筋によると、バルカーの新造船価レベルは、ケープサ
イズが50万㌦安の5,350万㌦(18万重量㌧型)、パナマックスは20万㌦安の2,880万㌦、ハンディマックスは20万㌦安の
2,680万㌦(6万2,000重量㌧型)、ハンディサイズは弱含み横ばいの2,300万㌦(3万5,000重量㌧型)となっている。201
3-14年前半の新造船発注ブームを受け、主要造船国の船台が一定程度埋まったものの、昨年後半からバルカーの新造
発注が姿を消したに等しい状況となっているのを受け、バルカーの新造船価相場はじり安基調が続いている。加えて、
昨年末からのドライ市況底ばい、15-16年の新造船供給圧力が新造船価の下落材料となっている。タンカーの新造船価
レベルは、VLCC(大型原油タンカー)が50万㌦安の9,650万㌦(32万重量㌧型)、スエズマックスは横ばいの6,500万㌦(1
5万7,000重量㌧型)、アフラマックスは50万㌦安の5,350万㌦、MR(ミディアムレンジ)型プロダクト(石油製品)タンカー
は30万㌦安の3,650万㌦で推移している。タンカー市況は、船腹需給の改善を主因に昨年末から堅調に推移しており、
新造発注も散見されるようになってきた。しかし、ガス船、ULCSなどの新造発注を加えても、世界的には隻数が限られ
る。そのため、バルカーの新造発注が止まっている影響が新造船価相場全体に及んでいるものとみられる。
◆新造船価/バルカ―・タンカー弱含み横ばい 《ケープ5,350万㌦・V19,650万㌦》新造船価相場は、バルカー、タンカ
ーともに全般的に弱含み横ばいで推移している。世界的な設備過剰というファンダメンタルが変わっていないことに
加え、昨年半ば以降の新造発注反動減、足元のドライ市況の極度の低迷により、バルカーの発注がほぼ姿を消している
ことが主因。ケープサイズバルカーは5,350万㌦、VLCC(大型原油タンカー)は9,650万㌦。足元は横ばいを維持してい
るものの、下落圧力により、じり安傾向が続く可能性が高い。マーケット筋によると、足元の新造船価レベルで横ばい基
調となっているのは、アフラマックスタンカー、LNG(液化天然ガス)船、コンテナ船で、新造引き合いが一定程度進行中
の船種のみとなっている。バルカーの新造船価レベルは全船型で弱含み横ばい。ケープサイズは5,350万㌦(18万重量
㌧型)、パナマックスは2,880万㌦(7万6,000重量㌧型)、ハンディマックスは2,680万㌦(6万2,000重量㌧型)、ハンディ
サイズは2,300万㌦(3万5,000重量㌧型)。タンカーの新造船価レベルは、VLCCが弱含み横ばいの9,650万㌦(32万重量
㌧型)、スエズマックスは弱含み横ばいの6,500万㌦、アフラマックスは横ばいの5,350万㌦、MR(ミディアムレンジ)型プ
ロダクト(石油製品)タンカーは弱含み横ばいの3,650万㌦(5万1,000重量㌧型)で推移している。ガス船は、VLGC(大型
LPGハ液化石油ガス)船)が弱含み横ばいの7,850万㌦(8万2,000立方㍍型)、LNG船は横ばいの2億㌦(16万立方㍍型)。
コンテナ船は、1万3,000TEU型が横ばいの1億1,600万㌦。自動車船(PCTC)は、6,000台積みが直近と比べ50万㌦安の6,
350万㌦となっている。
◎中古船
◆中古船価、タンカー全舶型で上昇/バルカーは弱含み横ばい 中古船マーケットで原油タンカーの中古船価が上昇し
た。好調なタンカー市況を反映し、VLCC(大型原油タンカー)、スエズマックス、アフラマックスの全船型で反騰。他方、バ
ルカーの中古船価は、ドライ市況の低迷を受け、横ばいながらも弱含み基調で推移している。マーケット筋によると、足
元のタンカーの中古船価レベルは、直近と比べVLCCが新造リセールは横ばいの1億500万㌦、船齢5年物は30万㌦高の
8,000万㌦、船齢10年物は50万㌦高の5,250万㌦、船齢15年物は100万㌦高の3,000万㌦を付けている。スエズマックス
は新造リセールが横ばいの7,200万㌦、船齢5年物は300万㌦高の6,000万㌦、船齢10年物は400万㌦高の4,100万㌦。
アフラマックスは新造リセールが横ばいの5,700万㌦、船齢5年物は400万㌦高の4,600万㌦、船齢10年物は100万㌦高
の3,000万㌦。バルカーの中古船価レベルは、全船型で弱含み横ばい。ケープサイズは新造リセール5,400万㌦、船齢5
年物3,900万㌦、船齢10年物2,750万㌦、船齢15年物1,600万㌦。パナマックスは新造リセール3,100万㌦、船齢5年物2,00
0万㌦、船齢10年物1,450万㌦、船齢15年物1,000万㌦。ハンディマックスは、新造リセール3,000万㌦、船齢5年物2,050万
㌦、船齢10年物1,350万㌦、船齢15年物900万㌦。ハンディサイズは、新造リセール2,400万㌦、船齢5年物1,700万㌦、船
齢10年物1,250万㌦、船齢15年物は100万㌦安の800万㌦。
◆バルカ―/中古船価続落 《全船型で下げ脚早める》中古船市場でバルカーの中古船価相場が続落している。大型
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のケープサイズから小型のハンディサイズまで全船型で下落。昨年末以降のドライ市況の低迷を反映し、それまでのじ
り安基調から下げ脚を若干早めている。マーケット筋によると、足元のバルカーの中古船価は直近のレベルと比べ、ケ
ープサイズが新造リセールは200万㌦安の5,200万㌦、船齢5年物は300万㌦安の3,600万㌦、船齢10年物は150万㌦安
の2,600万㌦、船齢15年物は弱含み横ばいの1,600万㌦となっている。パナマックスは、新造リセールが横ばいの3,100
万㌦、船齢5年物は100万㌦安の1,900万㌦、船齢10年物は50万㌦安の1,400万㌦、船齢15年物は弱含み横ばいの1,000
万㌦。ハンディマックスは、新造リセールが横ばいの3,000万㌦、船齢5年物は150万㌦安の1,900万㌦、船齢10年物は100
万㌦安の1,250万㌦で推移している。ハンディサイズは、新造リセールが150万㌦安の2,350万㌦、船齢5年物は150万㌦
安の1,550万㌦、船齢10年物は250万㌦安の1,000万㌦。タンカーの中古船価レベルは、年末からの堅調なタンカー市況
を反映し、横ばいながら強含み基調。VLCC(大型原油タンカー)は新造リセール1億500万㌦、船齢5年物8,000万㌦、船
齢10年物5,250万㌦、船齢15年物3,000万㌦。スエズマックスは新造リセール7,200万㌦、船齢5年物6,000万㌦、船齢10
年物4,100万㌦。アフラマックスは新造リセール5,700万㌦、船齢5年物4,600万㌦、船齢10年物3,000万㌦。
◆中古船価/タンカーじり高基調続く 《バルカーは弱含み横ばい》中古船マーケットで、タンカーの中古船価がじり高基
調を続けている。足元の堅調な運賃市況を反映し、VLCC(大型原油タンカー)、スエズマックス、アフラマックスの一部で、
直近と比べ50万-100万㌦高となっている。他方、バルカーの中古船価レベルは横ばいながら、ドライ市況底ばいを映
し、弱含み基調が続いている。マーケット筋によると、タンカーの中古船価レベルは、VLCCが新造リセールは横ばいの1
億500万㌦、船齢5年物は横ばいの8,000万㌦、船齢10年物は50万㌦高の5,300万㌦、船齢15年物は100万㌦高の3,100
万㌦となっている。スエズマックスは、新造リセールが横ばいの7,200万㌦、船齢5年物は強含み横ばいの6,000万㌦、船
齢10年物は100万㌦高の4,200万㌦で推移している。アフラマックスは、新造リセールが横ばいの5,700万㌦、船齢5年物
は横ばいの4,600万㌦、船齢10年物は100万㌦高の3,100万㌦を付けている。タンカーとは対照的に、バルカーの中古船
価レベルは、足元は横ばいながら、ドライ市況低迷を受け下押し圧力が強い。船齢が高いものほど下落圧力が高まって
いる。ケープサイズは、新造リセール5,200万㌦、船齢5年物3,600万㌦、船齢10年物2,600万㌦、船齢15年物1,600万㌦。
パナマックスは、新造リセール3,100万㌦、船齢5年物1,900万㌦、船齢10年物1,400万㌦、船齢15年物1,000万㌦。ハンディ
マックスは、新造リセール3,000万㌦、船齢5年物1,900万㌦、船齢10年物1,250万㌦、船齢15年物850万㌦。ハンディサイ
ズは、新造リセール2,350万㌦、船齢5年物1,550万㌦、船齢10年物1,000万㌦、船齢15年物700万㌦で推移している。ドラ
イ市況は2016年にかけて新造船供給圧力が強く、厳しい市況が予想されている。そのため、バルカーの中古船価相場
も下落基調が続く可能性が高い。
◆造船技能実習制度/OB外国人の即戦力起用、4月にも受け入れ開始 造船業の労働力不足に対する緊急的時限措
置として整備された、既存の外国人技能実習制度のOBによる最長3年の就労を認める措置の申請受け付けが年初から
開始された。所管の国土交通省によると、すでに複数の事業者組合などが手続きを進めており、同省では4月にも同措
置に基づく受け入れを実現させたい方針。同措置は、2014年6月に閣議決定された「日本再興戦略」に基づくもの。作
業に習熟した外国人技能実習OBを即戦力として起用することを認めるのが骨子で、20年までの時限措置。既存の外国
人技能実習制度は最長3年が期限。しかし受け入れ事業者が事業者組合などを特定管理団体に位置付けて申請するこ
とで、「特定活動」の位置付けで技能実習OBをあらためて就労させることが認められる。特定活動が認められる期間
は、技能実習を終えて帰国後1年以上経過している場合で3年間。技能実習修了後に帰国せず引き続いて特定活動に
移行する場合や、帰国後1年未満の場合には2年間となる。制度を利用するには、事業者が、加盟する事業者団体を特定
管理団体に位置付け、国土交通省に申請を行う。特定管理団体は過去5年間に不正行為を行っていないなど、優良団
体であることが条件として求められる。特定活動による就労受け入れ後は、特定管理団体が加盟の受け入れ企業に対
して訪問指導・監査を行い制度の適正運用を担保する仕組み。外国人技能実習生は、溶接、塗装などの職種を中心に
造船業全体で年間1,000人強を受け入れており、日本人作業員の確保が難航する中で、事実上の貴重な労働力。国交
省による造船事業者への聞き取り調査では、現時点で4,000~5,000人が国内造船所で実習に従事しているという。政
府は、15年度中に技能実習制度の期間延長を行う計画。ただ、建設業ではオリンピック特需や震災復興で人手不足が顕
著なため、緊急的時限措置の導入を決定。建設業と人材ソースが共通する造船業でも、同様の措置の導入が認められ
た。
◆造船の外国人材受け入れ始動へ/国交省、実習修了者を活用 現行の外国人技能実習制度とは別に、造船業に技
能実習を修了した外国人材を追加で受け入れる緊急措置が昨年6月に閣議決定されたことを受け、国土交通省が関係
省庁と連携した制度設計が進んでいる。「特定活動」として時限的に人材を受け入れるための準備を進めており、国交
省は監理団体や受け入れ企業の審査・認定や、報告などに関する制度を新たに構築。2014年12月26日に「外国人造船
就労者受入事業」に関する告示を行うとともに、造船所がの外国人を受け入れる際、構内協力会社で構成される組合
の運用を想定したスキームなどを定めたガイドラインを公表した。造船所は技能実習を受けた外国人就労者を、原則と
して自社の常勤職員数を上回らない人数まで受け入れ可能。国土交通省は優良な受け入れ企業や監理団体を認定す
る制度を4月1日から導入し、不当な受け入れが実施されないよう監督する。造船所では従来から技能実習生の配置で
構内協力中小企業の組合などが実質的に実務を担ってきており、外国人材の受け入れもこれらの組合や企業が単独
で実施する。「特定活動」として受け入れるため、組合は監理団体として定款も変更し、その後に認可を国交省に申請、
認定を受ける。国交省は地方の造船関連事業者に対する説明を昨年から始めており、今月から受付を開始。既に申請に
向けた動きも複数出てきている。地域経済に貢献している造船業が急速に回復してきた生産機会を逃がさないよう、
即戦力となる外国人材を活用する措置を緊急的に講じることが、「日本再興戦略一改定2014」で昨年閣議決定された。
措置は国内人材の確保に最大限務めることを基本にしている。また、造船業と人材の相互流動が大きい建設分野で同
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様の措置が実施される。2020年までの時限措置となる。技能実習を修了した外国人が実習後に在留する場合は最大2
年、いったん帰国して1年以上が経つ場合は最大3年間、特定活動として在留が可能。21年3月末で制度は終了する。監
理団体や受入企業は過去に不正行為などを行っていない事業者に限定される。国交省は年度内に監理団体や受け入
れ企業が連絡調整を行う協議会を設置する予定。造船協力会社が加盟する業界団体の日本造船協力事業者団体連合
会が加わることなども想定している。即戦力となる外国人材を活用する制度以外にも、政府は従来から外国人技能実
習制度の見直しも進めている。従来は最大3年だった実習期間を最大5年に延長する見直しで、15年度中に実施予定。1
0年に生産量がピークとなった造船業は同年以降、技能者数が減少傾向にあり、少子高齢化で増員も難しい状況。だ
が、国土交通省は日本人の技能者確保も大きな課題に挙げており、業界関係者で構成する検討会を昨年立ち上げた。
◆造船工場支えるフィリピン人/常石、20年越しで技能伝承 日本企業が人手不足に悩んでいる。特に深刻なのが3K
職場の造船業。常石造船(広島県福山市)の現場を支えるのは今や外国人の実習生たちだ。瀬戸内海に面した常石造
船の工場。船体のブロックが所狭しと並び、溶接の火花が散る。日本人に交じって働くフィリピン人実習生のアンセルモ・
ダイテさん(31)は「日本人は一人で何役もこなす。効率的な働き方や技術を国に持ち帰って役立てたい」と笑う。技能
実習制度で来日しているフィリピン人実習生は約170人。従業員の1割を占める。1日に常石造船社長に就いた河野健二
氏(60)は「もはや彼らの働きなくして立ちゆかない」と話す。常石は1994年、フィリピン・セブ島に工場を設立。本社工
場の3倍近い敷地を持つ。技能実習制度に加え、現地の拠点の有望な若手を日本に送り、20年がかりで日本の技術を伝
えてきた。1日には現地に持つ関連子会社3社のトップにフィリピン人を抜てきした。「頑張れば出世できることを現地社
員に見せたかった」と河野氏。幹部候補生として現地子会社から来日した研修生のエンゲルベルト・カストロ・コンプラさ
ん(32)は「いずれ経営層になってツネイシの成長を支えたい」と夢見る。建設や介護など過酷な労働現場では日本人
従業員だけでは回らなくなっている。技能実習制度について政府は「国際貢献」の立場だが、実際は安価な労働力確
保の面もあり批判も根強い。海外に拠点を持ち、日本で働いた後、現地で処遇する常石のような腰を据えた向き合い
方が問われる。
◆内海造船/子会社など3社合併 《人材・経常資源集約》内海造船は、連結子会社の内海エンジニアリング(広島県
尾道市)、同エヌ・エスコーポレーション(同)、孫会社のナティーク城山(同)を4月1日付で合併する。グループの組織再
編成の一環として実施する。3社を統合することにより、人材・経営資源を集約し、業務の効率化につなげる狙い。第一
合併としてエヌ・エスコーポレーションを存続会社とする吸収合併により、ナティーク城山は解散。その後、第二合併とし
て内海エンジニアリングを存続会社に、エヌ・エスコーポレーションを吸収合併する。合併後も3社の従業員は継続雇用
する方針。合併により、3社の互いの顧客に製品やサービスを提案するクロスセリングなど、営業・販売面でのシナジー
創出も狙う。
Ⅳ.各国造船業の動向
◆新造船受注、今年は減少か? 《業界予測、日韓中5,400㌧、駆け込み想定》「今年も規制前の駆け込み受注は見込ま
れるが、受注量は昨年並みか減少する」一。今年の新造船マーケットについて、国内の関係者の多くがこのような認識
を持っていることが本紙アンケートで分かった。日・韓・中の3カ国の受注量は平均5,400万総㌧との予想だった。円安の
定着などを背景に日本は一定量の受注を確保するものの、韓国や中国の受注は伸びないというのが市場の予測だ。
船腹過剰感や用船市況の低迷、需給ギャップなどにより発注の大幅な増加は見込めないが、規制回避を背景とした駆
け込み発注があるという見方はほぼ一致している。日本の造船所の経営・営業トップや総合商社の船舶部門トップ計18
社に2015年の日本・韓国・中国の受注量を予想してもらった。造船主要3カ国の受注量の予想平均は日本が1,156万総
㌧、韓国が1,933万総㌧、中国が2,322万総㌧で、計5,411万総㌧だった。昨年の3カ国の受注量は6,500万-8,000万総㌧
に達する見通しで、大半の関係者が昨年の実績をやや下回る展開を想定する結果となった。受注量が伸び悩む背景と
して、「日本は先物納期まで埋まっており、受注量は増やさない。船腹供給量の過剰感から海運市況の上値は重く、韓
国・中国への大量発注も考えにくい」(三菱商事・石井基樹船舶部長)、「2013年、2014年の受注量は予想以上で、船腹過
剰感は払拭されていない」(名村造船所・茅切文男取締役)といった過去の大量発注に伴う船腹過剰感や海運市況の
低迷を挙げた関係者が非常に多かった。「実需に基づく発注は限定的、当面我慢せざるを得ないだろう。邦船社の発注
に期待」(今治造船・檜垣清志常務取締役)と国内案件に期待する声もあった。需給ギャップの解消が見込めない一方
で、新規制を回避する駆け込み受注は見込まれている。昨年は新規制「改正騒音コード」(騒音規制)の適用を受けて、
規制回避の駆け込みが相次いだ。今年も7月以降の契約船から国際船級協会連合(IACS)の新共通構造規則(調和化船
体構造規則、H-CSR)、2016年1月以降の起工船からIMOの窒素酸化物(NOx)3次規制が適用され、「共に建造コストの増
加要因であり、船主経済に与える影響が大きく、規制導入前の発注も見込まれるため、14年と同等プラスアルファの受
注規模になる」(ジャパンマリンユナイテッド・三島愼次郎社長)と関係者の期待も大きい。また、「環境対策船・省エネ船
や、シェールガス輸送用のLNG船中心に、2014年と同等の発注が見込まれる」(三菱重工業・柳澤順三執行役員)とエコ
シップやLNG船中心に需要を見込む意見もあった。国別の受注動向予想としては、「円安、NOx規制を背景に日本は受注
を伸ばすが、韓国はウォン高、中国は造船所の淘汰が進み全体ではやや減少」(尾道造船・中部隆社長)、「韓国は高付
加価値船案件主体と思われ、総㌧ベースでは若干減り、中国は財務的に厳しい造船所の選別により新造船受注が低下
する」(伊藤忠商事・今村龍男船舶海洋部長)など、多数の関係者が日本の造船所は円安の定着などで、一定量の受注
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が見込まれる一方、韓国や中国の受注は伸びないという意見だった。中国造船所の淘汰は、「2014年の中国造船所の
竣工量は重量㌧ベースで2011年ピーク時の45%に激減している」(大島造船所・南浩史社長)という数値にも表れてい
るようだ。とはいえ、中国造船所の安値受注の懸念も依然として根強く、「船台が空いている中国ヤードが船台を埠め
る」(川崎重工業・山本利和営業本部長)との意見もある。どれだけ中国の淘汰が進むかにも注目が集まる。
◆中国造船、11月受注量4割減/CANSI統計、303万重量㌧ 中国船舶工業行業協会(CANSI)によると、昨年11月の中
国造船業の新造船受注量は前年同月比44%減の303万重量㌧だった。受注量は昨年7月以降低迷している。ただ、昨年
前半の大量受注により、1-11月の累計受注量は前年同期比9%増の5,676万重量㌧だった。1-11月の竣工量は前年同期
比16%減の3,265万重量㌧としている。11月は単月ベースで418万重量㌧となり、前年同月比3%増だった。11月末時点
の手持ち工事量は1億5,233万重量㌧となっており、受注量の減少などで10月末時点から減少した。1年前と比べると28
%増加している。重点観測企業とする54社の1-11月の受注量は前年同期比8%増の5,326万重量㌧、竣工量は5%滅の
3,038万重量㌧、11月末時点の手持ち工事量は38%増の1億4,986万重量㌧としている。船舶関連の重点観測企業とす
る87社の1-11月の完成工業総生産額は3,650億元(約6兆9,970億円)で前年同期に比べて10%増加。そのうち造船が6
%増の1,775億元(約3兆4,030億円)、舶用が15%増の290億元(約5,560億円)、修繕が11%増の119億元(約2,280億円)
としている。また、主要事業収入は14%増の2,720億元(約5兆2,140億円)だったものの、利潤総額は47億元(約900億
円)で8%減少した。
◆足引っ張る海洋事業/韓国大手苦戦、見直し検討も 〈デスク〉韓国造船大手の2014年受注動向はどうだったかな。
〈A〉昨年1年の大宇造船海洋の新造船・海洋プラント受注高は、前年比10%増の149億㌦となりました。各社苦戦する中
で前年比プラスを確保しました。海洋プラントの受注高が27億㌦で、前年の81億㌦と比べ67%減と大きく落ち込んだも
のの、一般商船が2.7倍の121億㌦に拡大し海洋のマイナスをカバーしました。特にLNG(液化天然ガス)船の成約が目立
ちました。〈B〉大宇の一般商船受注隻数は65隻でした。超大型コンテナ船、VLGC(大型LPG(液化石油ガス)船)などの受
注もありましたが、LNG船が37隻と突出しています。〈C〉大宇は、ロシアのヤマルLNGプロジェクト向けの砕氷LNG船を大
量受注しました。14年7月までに、1隻当たり約3億2,000万㌦で10隻を受注。14年12月末には、韓国取引所にLNG船5隻を
受注したことを告示しました。発注者はアジア船主です。受注額は計約15億9,000万㌦、1隻当たり3億1,753万㌦規模で
した。19年3月末までに引き渡します。船主、船型など詳細は不明ですが、船価などからロシアのヤマルLNGプロジェクト
向け砕氷LNG船とみられます。〈デスク〉大宇以外はどうだったかな。〈A〉14年1~11月期の実績ですが、現代重工の造船
(シップビルディング)部門が前年同期比36%減の59億㌦、オフショア・エンジニアリング部門も13%減の56億㌦でし
た。サムスン重工業の新造船・海洋プラント受注高も50%減の66億㌦にとどまっています。〈B〉原油価格高騰などの動
きがあり、海洋資源開発で利用される海洋プラントなどの需要が拡大しました。それに乗る形で各社受注を増やしまし
たが、ここにきてそれが業績の足を引っ張っています。原油価格も軟化しており、海洋への取り組み方の見直しも検討
する必要があります。〈C〉サムスン重工は、引き続き海洋事業を強化しようとしています。その一環でサムスンエンジニ
アリングとの合併を目指しましたが、サムスンエンジ側の合併反対株主による株式買い取り請求が増加したことで、取
りやめになりました。現代重工も海洋関連などで損失の発生により、創業以来の赤字を記録しました。グループの役員
削減など組織、体制の見直しを進めています。事業の見直しのほか、問題の種はまだありそうです。現代重工では労使
交渉が難航し、時限ストにより一時的な生産活動中止なども起きています。
Ⅴ.造船・造機以外の産業動向
◎外航海運
◆鉄鉱石船の用船、2年連続で増加 《スポット、昨年3・2%増》鉄鉱石などを運ぶ大型ばら積み船、ケープサイズの20
14年のスポット(随時契約)用船契約実績は5,510万2千㌧となり、13年に比べて3・2%増えた。2年連続で前年を上回っ
た。世界の鉄鉱石輸入量の7割近くを占める中国向けの需要が堅調だった。海運調査会社のトランプデータサービス
(東京・千代田)が集計した。中国では粗鋼生産が堅調に推移し、14年の鉄鉱石輸入量(1-11月)は前年同期比で13・4%
増えている。
◆鉄鉱石船の用船料、一段安/スポット、2年4ヵ月ぶり安値 鉄鉱石などを運ぶ大型ばら積み船「ケープサイズ」のス
ポット(随時契約)運賃相場が一段と下落している。運賃の算定基準となる用船料(船会社が船主に払うチャーター料)
は主要航路平均で1日3,390㌦と前年同期に比べ9割近く安い。3,300㌦台を付けたのは2年4カ月ぶり。鉄鉱石の荷動き
がやや鈍ったためだ。鉄鉱石の輸送量は中国の製鉄会社が備蓄を増やす秋から冬にかけて高まる。1-3月は中国向け
の荷動きが一服するほか、雨期を迎えるブラジル産の出荷が減少する。また、先物である海上運賃先渡し契約(FFA)が
軟調だ。FFAの1-3月期の用船料は8日時点で1日5,500㌦前後と年初から3割下落した。
◎内航海運
◆内航暫定事業/油送船竣工で減船進まず、実質15.59% 日本内航海運組合総連合会(内航総連)が引き当て資格
台帳に基づきまとめた暫定措置事業の認定状況によると、同事業開始時点(1998年5月)の船腹量と比較した実質減船
率は2014年9月末現在、15.59%となった。半年前の前回集計時(14年3月末時点)の16.28%に比べ0.69ポイント縮小。大
型油送船の竣工が相次いだため、減船量は進んでいない。減船率は03年3月の20.82%をピークに縮小傾向が続いた
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が、リーマン・ショック後の09年3月以降は拡大傾向に転じていた。しかし、13年3月以降は東日本大震災後の黒油輸送用
の船腹量増加で減船率は再度縮小している。暫定事業を始めた98年5月から14年9月までの16年間に、解撤交付金交
付(引き当て資格の買い上げ)や建造納付金免除などに伴い、台帳から抹消された舶腹量は全船種の合計で3,160隻・4
08万3,000対象㌧。台帳登録船腹量は、同事業開始時(98年5月以前の解撤完了船=ペーパー船除く)に比べ61.19%減
少。これまでの増加分も含めた14年9月末現在の現有船腹量は、3,788隻・563万2,500対象㌧だった。14年9月末現在の
船腹量を船種別にみると、一般貨物船は1,406隻・166万6,500重量㌧で14年3月末時点(1,422隻・166万8,400重量㌧)
と比べ16隻減・1,900重量㌧減少。隻数、トン数とも減っているが、従来船より大型船に代替建造するケースもあり、トン
数減少は小幅だった。実質減船率は24.34%で前回集計比0.09%増とほぼ横ばい。油送船は885隻・166万6,200立方
㍍。3月末時点(901隻・164万1,400立方㍍)に比べ16隻減・2万4,800立方㍍増。隻数は減少したが、大型船の竣工で立方
㍍が増加した。実質減船率は18.08%で1.22ポイント縮小した。
◆内航総連、建造申請1月期受け付け/年問100隻超え焦点に 日本内航海運組合総連合会(内航総連)は20日まで、
暫定措置事業規程に基づいて実施する組合員(内航事業者)からの2015年1月期船舶建造(改造、転用含む)募集を実
施する。1月期建造募集は、14年度の最終となる5回目の申請受け付け。その結果次第で、4年連続で年間申請数が100
隻を超えるかが注目される。1月期申請については「貨物船は応募の動きが顕在化しそうだが、油送船は先行きの不透
明感などから動きが鈍いのでは」(関係者)との見方が出ている。内航総連がこれまでに実施した14年度の4回の建造
募集人14年5、7、9、11月期)での申請隻数(11月期以外は建造認定ベース)は79隻で、前年同期に此べ13隻下回ってい
る。14年度の申請は、5月期に41隻とリーマン・ショック以降最高を記録。しかし、7月期以降減速しており、7月期12隻、9月
期13隻、11月期13隻と前年度の1回の受付期の平均申請隻数の20隻を下回る水準で推移している。特に油送船の応募
の減少が目立つ。13年度の申請数は42隻だったが、14年度は11月期までで10隻と大幅な落ち込み。前年度は政府のエ
ネルギー供給構造高度化法への対応から船舶の大型化を図るため建造の動きが活発だったが、今年度はその反動が
出たのに加え、先行きへの不透明感で応募が鈍化している模様だ。一方、14年度の貨物船の申請隻数(11月期を除き認
定ベース)は11月期までに54隻と前年同期を9隻上回っている。5月期に28隻の大量申請があったほか、11月期までほ
ぼ前年度並みの応募状況で推移。1月期について、関係者は「11月期までよりも応募の動きが活発」と説明する。貨物船
の申請がどの程度出てくるかが注目される。1月期建造募集は、14年度に内航総連が実施する第5回申講受け付けで、1
日から応募を開始した。
◆11月期建造船/16日の定例理事会で認定 日本内航海運組合総連合会は16日に開く定例理事会で、2014年11月
期の船舶建造募集に応募した組合員(内航事業者)からの船舶の建造申請について、審査・認定する。11月期の申請船
は13隻。来週開かれる建造認定委員会での審査の結果を受け、理事会審査を行い認定船を決める運び。11月期建造募
集は、暫定措置事業規程に基づき14年度の第5回建造申請受け付けとして、11月1日から20日までを受付期間に実施さ
れた。
◆内航総連/11月期建造申請、13隻を全船認定 日本内航海運組合総連合会(内航総連)は先週の理事会で、暫定
措置事業規程に基づき募集を受け付けた2014年11月期建造申請で組合員(事業者)から応募があった13隻・2万4,100対
象㌧(貨物船・重量㌧、油送船・立方㍍、曳船・馬力)を全船認定した。認定船13隻の船種別内訳は一般袋物船10隻・1万9,0
00重量㌧、炭酸カルシウム専用船1隻・1,900重量㌧、曳船1隻・2,000馬力、油送船1隻・1,200立方㍍。内航船の建造申請
は、年5回受け付ける。14年度は5、7、9、日月15年1月に実施。11月期は14年度の第4回募集で、日月1-20日を受付期間と
して実施した。
◆海外売船4隻/全船499総㌧以下 日本内航海運組合総連合会(内航総連)がまとめた1月の建造認定委員会・海外
売船状況報告によると、傘下組合員(内航事業者)からの申請は合計4隻だった。売船先はインドネシア2隻、フィリピン、
シンガポール各1隻。船種別では一般貨物船2隻、油送船、曳船各1隻平均対象㌧数(貨物船・重量㌧、油送船・立方㍍)は1,
095㌧で、いずれも499総㌧以下の船型。4隻の平均船齢は22・49年だった。
◆内航総連、4年連続100隻に到達 《14年度建造申請 1月期は21隻》日本内航海運組合総連合会(内航総連)が22
日までにまとめた、2015年1月期の船舶建造募集に対する組合員(内航事業者)からの建造申請(改造含む)は、全船種
合わせ21隻・3万6,400対象㌧(貨物船・重量㌧、油送船・立方㍍、曳船・馬力など)となった。隻数・㌧数ともに前年同期(2
4隻・5万700対象㌧)を下回った。1月期の申請数を加えた14年度の建造申請隻数(5、7、9、11月期は認定ベース)は、改
造・転用も含め100隻となった。100隻台への到達は11年度から4年連続。14年度の建造申請隻数は、5月期が41隻とリー
マン・ショック以降で最高となったものの、7月期以降は低調。7月期12隻、9月期13隻、11月期13隻と、前年の各受付期の
平均申請隻数20隻を下回った。1月期は、21隻と5月期以来の20隻を超える水準となった。今年度の貨物船の応募は堅
調で、申請隻数(1月期を除き認定ベース)は11月期までに67隻と前年同期を10隻上回った。5月期に28隻の大量申請が
あり、7月期以降もコンスタントに建造申請が行われた。一方、油送船は低調に推移。14年度の申請数は14隻で、13年度
(42隻の3分の1にとどまった。今後の石油需要の先行き不透明感もあり、応募が大幅に減少した。20日に締め切った1月
期建造申請の船種別内訳をみると、一般貨物船13隻・2万4,500重量㌧、油送船4隻・5,200立方㍍、曳船4隻・6,800馬力
だった。申請事業者が内航総連に納める建造納付金額は、免除額を差し引き概算で9億7,300万円。
◆15年の建築鉄骨の需要展望 《「前年並み・それ以上」で推移、都心で大型高層案件ラッシュ》今年度の鉄骨需要は
「年度後半の伸びによるが、最終的に510万㌧前後に落ち着く」の声が大半を占める。来年度需要も全国的に物流倉
庫、商業施設が堅調な展開をみせ、とりわけ後半からは都心で大型高層案件の着工が相次ぐことから、「前年並みかそ
れ以上になる」(同)の声も少なくない。今以上の需要上伸も取り沙汰されているが、建設業界全体の対応能力、供給能
力の問題を指摘する見方もあり、今後の動向が注目される。併せて適正価格での受注でも大きな正念場を迎えること
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になる。国土交通省の着工統計をベースにした14年の月ごとの鉄骨需要は1月が48万㌧、2月38万㌧、3月41万㌧、4月4
3万㌧、5月39万㌧、6月47万㌧の上期累計256万㌧(前年同期比0・4%減)で推移。以降、7月44万㌧、8月42万㌧、9月40
万㌧、10月50万㌧で、10月期までの合計は約432万㌧となった。月平均の需要は前年同値の約43万㌧で、このままの状
況で推移すれは約518万㌧となる見通し。また、年度換算では上期需要が約254万㌧(同8・8%減)となり、通期で最終
的に510万㌧前後になるものと予想される。今年も、引き続き物流倉庫や商業施設など低層大型案件が全国的に堅調
な展開をみせ、中小案件もスーパーや学校施設、耐震改修、エネルギー関連などの需要の発注が相次ぐものとみられ
る。さらに大型高層ビル案件は「東京を中心に展開。春から秋口まで若干落ち込むが、秋以降は今以上の盛り上がりを
みせる」(高炉メーカー)の見方が大勢を占める。「大型高層案件は、工程のズレで需要の山谷が埋まる可能性もある。
いずれにせよ、規模にかかわらずきわめて順調な展開をみせる。需要は昨年並みかそれ以上」(大手鋼材商社)とされ
る。なかでも大型高層ビルは今年、都内だけで紀尾井地区(鉄骨量約3万5,000㌧)、六本木3丁目(4万㌧)、新日比谷(4
万3,000㌧)、大手町1-1(3万㌧)、日本橋2丁目(3万2,000㌧)、赤坂1丁目(3万7,000㌧)、銀座6丁目(2万㌧)、大手町2
丁目(7万㌧)、渋谷駅(3万5,000㌧)、同南街区(3万2,000㌧)など著名物件が相次いで本格化または着工する予定だ。
これに東京五輪の関連施設、浜松町地区、八重洲1、2丁目、リニア駅整備などの工事計画が加わり、その具体化で今後
も工事ラッシュが継続するものとみられる。ただ、「建設業界全体の対応能力に限界がある。ゼネコン、設計の管・監理能
力や業務が需要急増に対応できず、現場、専門業者などの人手も不足。しかもファブ業界の供給能力が物理的に限ら
れているため、物件自体の先送りも”川上”ですでに検討されている」(同)という。顕著となった工期ズレの回避の意味
合いから、優先プロジェクトの選定と調整が行われていることになるが、将来的に工事費高騰に懸念を残すため、混乱
は避けられないとみる関係者も少なくない。一方、ファブ業界は生産効率の向上を目的とする設備更新が目立つが、
増産体制に対しては、長期見通しから判断してきわめて慎重な姿勢を崩していない。今年はそうした供給能力の動向、
そして鳶・鍛冶、現場溶接などの業者確保と納期調整など山積した課題への対応が大きな関心事となろう。さらに肝心
の単価も、念願の『値戻し』ができる受注環境を迎え、『適正価格での受注』が最大の出場を迎えることになる。
◆鋼製橋梁業界の展望 《14年度鋼製需要は全体で27万㌧、維持・更新市場が加速化》14年度の鋼橋事業は13年度
補正予算や公共事業の早期発注により、第1四半期から順調に発注されて好調に推移したが、第2四半期では大幅に減
少。第3四半期では堅調に回復傾向となり、民間を含めた鋼橋需要は横ばいの27万㌧と見込む。新設橋では大型工事
が減少するなか、大規模更新事業や点検・維持管理などで脚光を浴びる維持・更新市場は、首都高で羽田線を皮切りに
大規模更新事業が始動、有望な市場として注力するファブが増えつつある。鋼橋業界の15年度を展望する。15年度は、
圏央道関連がほぼ終息するが、三陸沿岸道など震災復興関連が本格化することから、前年度比横ばいの27万㌧と見
込む。昨年、公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律案、改正建設業法、改正公共工事入札契
約適正化法が施行された。これらの法案では受注者が適正な利潤を確保できるようにすることなどを発注者の責務と
規定。事業に応じた詳細設計付工事発注や設計・施工一括発注などの多様な入札契約制度の導入、ダンピング防止な
どが示されている。新入札方式での試行が開始、適正な価格での入札が期待される。高度成長期に集中的に整備され
た橋長15㍍以上の道路橋は約16万橋(橋長2㍍以上は約70万橋)と膨大なストックが存在する。昨年、5年に1度の点検を
義務化する「道路法施行規則の一部を改正する省令」が施行された。なかでも、約50万橋を管理する市町村は、財政、
人員、技術面での課題を抱えている。国交省では財政面の支援をはじめ、人材、技術面での後押しを開始。民間の活用
も視野に入れており、注目度が高くなりつつある。首都高1号羽田線をはじめとする大規模更新事業が始動、維持・保全
市場への予算シフトが加速化するであろう。一方、海外事業は、東南アジアなどでのODA案件を中心に堅実な受注をめ
ざす企業と、国内需要の減少を見据え大型国際入札案件への応札や現地での合弁会社設立などへ向かうファブとに
二極化。なかでも、JFEエンジニアリングがミャンマーに設立した合弁会社は創業2年目で、生産量を倍増する設備投資
を実施するほど受注している。縮小する新設需要、本格化する維持・更新事業や海外事業と多角化する市場では、総合
力の高い企業が存続しやすい。そんななか、宮地エンジニアリンググループが三菱重工鉄構エンジニアリングを子会
社化、横河ブリッジと横河工事の合併が発表された。「選択と集中」による企業の経営資源の効率的活用を図る時代が
到来したといえる。
◆14年度発注量は横ばいの26万㌧ 《高速道路の大規模更新が始動、橋建協は鋼橋の良さを積極的にPR》13年度は2
6万3,000㌧と前年度比で若干の増加となった鋼道路橋。14年度は、第1四半期では13年度補正予算や公共事業の早期
発注により同31・3%増の4万2,000㌧で推移したが、第2四半期では発注減少や下部工の工程遅れなどから同40・2%減
の4万9,000㌧、第3四半期では堅調に回復していることから横ばいの26万㌧と予測する。15年度は震災復興関連が発
注されるが、目立つ大型プロジェクトがないため、横ばいの26万㌧前後と見込む。低迷が続く環境て日本橋梁建設協
会は、重点頂目の一つ「鋼橋の魅力の浸透」として、PRパンフレット「銅橋の魅力」と「平成26年度版鋼道路橋の工事費
実績」を作成。10年ぶりに地方整備局との意見交換会を実施するなど『鋼橋のファン』を掘り起こす活動を積極的に展
開している。海外事業では、政府のODA案件を中心に堅実に、収益よりも長大橋技術の維持・伝承などに重きを置く企業
と、国際入札案件への積極的な応札や合弁会社設立など新基軸構築に向かうファブとの二極化が顕著になってきた。
首都高1号羽田線をはじめとする大規模更新事業の維持・更新市場は、有望な市場として注力するファブが多いが、製
作物が少なく工場稼働率には寄与しない装置産業としての構造的な課題をかかえている。ファブ各社では生産体制の
集約化や、グループ内での効率的な生産体制の再構築を図る動きがみられる。
◆推定鉄骨需要量は約40万㌧ 《再び前年を下回る》国土交通省の11月の建築着工統計調査報告によると、全着工
床面積は前年同月比16・7%減(前月比12・0%減)の1,088万5,000平方㍍となった。構造別(※表1)では、S造が同6・8%
減(同16・5%減)の398万6,000平方㍍、SRC造は同80・6%減(同73・6%減)の9万9,000平方㍍。全床面積中のS造・SRC
造の比率は37・5%、推定される鉄骨需要量は約40万4,000㌧の水準(前年同月は約49・6万㌧、※表2)と再び前年を下
回った。
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◆今年の受注目標、工作機械1兆5,500億円/過去最高額も視野 日本工作機械工業会(日工会)は8日、2015年の受
注目標額を1兆5,500億円に設定したと発表した。14年は約1兆5,000億円に終わったとみられ、目標額が実現すれば14
年を抜いて過去2位の規模になる。花木義麿会長(オークマ社長)は「今年は過去最高もうかがえる」とし、07年の1兆5,
899億円超えを視野に入れる。15年の外需は北米の好況が継続するとみる。内需は14年と横ばいか微増の5,000億円
を超える水準を予想する。円安による国内ユーザーの設備投資意欲の盛り上がりを織り込む。日本ロボット工業会は8
日、15年のロボット生産額目標値を前年比12.9%増の7,000億円と発表した。14年の生産額は13年比25.8%増の6,200億
円前後で3年ぶりに6,000億円台を記録する見通しで15年はそれをさらに大幅に上回る。15年は人手不足、人件費高騰
を背景に自動化ニーズが旺盛な中国、モノづくり回帰が進む北米を中心とした外需の拡大に加え、ロボット導入支援や
設備投資減税など政策効果による国内投資加速も期待する。20年をめどに市場規模倍増を目指す政府の成長戦略を
受け、過去最高に迫る強気の目標を設定した。同日、東京都内で開いたロボット関連3団体の合同賀詞交歓会で津田純
嗣会長(安川電機会長兼社長)が明らかにした。足元で主要ロボットメーカー各社の業績はアジア、北米をはじめとした
外需に牽引され軒並み2ケタ成長を維持している。
◆昨年、工作機械受注/過去2位の高水準 日本工作機械工業会が14月まとめた2014年の工作機械受注実績(速報
値)は、前年比35・1%増の1兆5,093億3,900万円となり、過去2位の高水準となった。外需は同41・4%増の1兆130億100
万円で初めて1兆円を突破した。内需は同23・8%増の4,963億3,800万円となり、08年のリーマン・ショック後の最高額と
なった。一方、12月単月は前年同月比33・8%増の1,441億9,000万円で過去最高だった。14年通年は牧野フライス製作所
が過去3位、DMG森精機が過去2位を記録する盛況さだった。牧野フライスは14年12月単月も過去3位の実績となった。
地域別では内需が2年連続でプラスを確保した。円高是正によってユーザーの収益改善や仕事の確保につながり、設
備需要が増えた。補助金や税制といった政策効果もあり、「ユーザーの業種や事業規模に広がりがある」(オークマ営
業部)と、設備投資に動く層が広がった。補助金ではおおむね10%程度の押し上げにつながったと各社がみている。外
需は米アップルの新型スマートフォンや中国の地場メーカー向けが目立った。外需の約1兆円のうち、約2,000億円がス
マートフォン関連と推測されるりアップル向けの大口案件は夏ごろまでに終了し、11月ごろから中国メーカー向けが活
発化している。15年は円安が進み、ユーザーの経営環境がさらに改善しそう。日工会は15年に1兆5,500億円を目指す。
「明確に落ち込むとサインが出ている業界がない。14年よりさらに増えると誰しも考えるだろう」(業務部広報課)と2年
連続の高水準が予想される。
◆昨年18%増5,476億円、工作機械8社受注 《内外需ともに堅調》日刊工業新聞社が14日にまとめた2014年(歴年)
の工作機械主要8社の受注実績は、前年比18・9%増の5,476億7,100万円となった。3年ぶりに前年実績を上回った。内
需、外需ともに堅調であり、内需は三菱重工業を除いた7社がプラス成長で終えた。また、14年12月単月は、前年同月比
27・5%増の532億5,400万円と大きな伸びになり、15年の好調さを期待させる結びとなった。14年は総じて各社が北米
の好況を取り込みながら、内需の回復で足場を築いた格好だ。牧野フライス製作所は暦年の実績が08年秋のリーマン・
ショック後の最高となる過去3位を記録した。北米の自動車や航空機分野の需要が旺盛であり、これに国内と中国の回
復が重なった。内需では大手ユーザーにとどまらず、中小企業や自動車以外の分野にわたって設備投資の裾野が広が
った1年だった。設備投資を後押しする政府の補助金や税制などの政策効果が表れたようだ。14年12月は8社の受注合
計、内・外需がそろって前年同月比約30%増。外需では特にツガミが大幅増だった。同社は14年の象徴となったスマー
トフォン(スマホ)向けが11月に続き好調だったという。中国の地場スマホメーカー向けが活況だった。
◆昨年の工作機械受注/35%増1兆5,093億円 《日工会 リーマン終結宣言》日本工作機械工業会(日工会)が21日に
発表した2014年の工作機械の受注実績(確報)は、前年比35・1%増の1兆5,093億9,700万円だった。3年ぶりに前年を上
回り、07年に次ぐ過去2番目の高水準となった。14年12月単月は前年同月比33・9%増の1,442億4,800万円で07年9月を
超え単月最高を更新。同日開いた定例会見で花木義麿日工会会長は「真の意味で(08年の)リーマン・ショックが過去の
ものになった」と"リーマン終結"を宣言し、新局面に入ったとの認識を示した。14年は、日工会が同年10月に上方修正し
た1兆4,500億円を約600億円上回った。内需は前年比23・8%増の4,963億9,100万円で2年続けて前年を上回った。リー
マン・ショック後の最高額となり、業種別でも主要4業種のうち一般機械と自動車がリーマン後の最高だった。電気・精密
も同30・8%増に伸びた。為替の円高修正や政府のものづくり補助金、新税制などで老朽設備の更新が進んだ。ただ、
内需の最高額はバブル景気だった90年の1兆387億円、07年でも7,264億円であり、リーマン前に戻っていない。外需は
3年ぶりに前年を上回り、同41・4%増の同1兆130億600万円だった。史上初の1兆円超で過去最高となった。中国はスマ
ートフォン分野の短期的な大量受注が重なり同2倍になり、北米や欧州も2ケタ増だった。アジアと北米が最高額、欧州
がリーマン後の最高額をそれぞれ更新した。日工会は15年の受注目標額を1兆5,500億円とした。ロシア問題や原油価
格の下落が懸念されるが「ロシアは特段の事態がない限り、一定水準の維持を期待できる」(花木会長)との考え。原油
価格の下落については米国のエネルギー政策下では重大なマイナス材料にはならないとみている。
◎産業機械
◆産機受注/11月3%減3,011億円 《産磯受注11月3%減3,011億円》日本産業機械工業会(産機工)が14日に発表し
た2014年11月の産業機械受注額は、前年同月比3・4%減の3,011億4,500万円で2カ月連続のマイナスとなった。このう
ち内需は同11・5%減の1,717億200万円で、外需は同10・0%増の1,294億4,300万円だった。内需のうち製造業向けは同1
5・2%減、非製造業向けは同11・9%減、官公需向けは同9・0%減、代理店向けは同2・3%減となっている。主要約70社の
輸出契約高は、同7・7%増の1,168億6,100万円で、3カ月連続プラス。プラント案件は4件で、122億7,600万円だった。地
域別構成比は、アジア65・5%、北米17・3%、欧州9・6%、南米3・8%、中東1・8%。
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◎環境装置
◆環境装置受注12.9%減/11月、官公需落ち込み 日本産業機械工業会が14日発表した2014年11月の環境装置受注
実績は、前年同月比12・9%減の229億4,100万円で4カ月連続で前年同月を下回った。全体の6割以上を占めた官公需
が、下水汚水処理装置などの落ち込みで同23%減の149億300万円と低迷。非製造業も電力向け排煙脱硫装置などの
減少で同44・9%減の13億7,400円と減少した。民需は同7・4%減の54億3,500万円。非製造は低迷したが、製造業は化
学、機械向けなどの産業排水処理装置が伸びて同20・3%増の40億6,100万円だった。外需は都市ゴミ処理装置が好調
で同2・3倍の26億300万円。装置別では、水質汚濁防止装置が同7・5%減の157億6,200万円。ゴミ処理装置は海外向け
が伸びて同17%増の59億1,900万円。
◆電子部品受注、過去最高に 《大手6社19%増、円安寄与 10-12月》村田製作所やTDKなど国内の電子部品大手が
受注を伸ばしている。日本経済新聞社がまとめた大手6社の2014年10-12月期の受注総額(一部は売上高)は前年同期
比19%増の1兆3,600億円と、3四半期連続で過去最高を更新した。スマートフォン(スマホ)向けが好調なほか、円安も寄
与した。14年度全体でも5兆円を超える見通しだ。京セラ、日本電産、アルプス電気、日東電工を含む6社の受注額を集
計した。伸び率は2四半期連続で2ケタとなった。15年1-3月期も好調が続く見通しで、14年度全体で5兆円を超える勢
い。13年度の4兆4千億円から大幅に伸びる。好調が目立ったのはTDKと村田製作所の2社で、それぞれ前年同期比25%
増、20%超増といずれも四半期で過去最高となったもよう。米アップルが昨年9月に発売した「iPhOne(アイフォーン)6」
向けが引き続き好調で、小米(シャオミ)など急成長する中国スマホメーカーからも旺盛な部品需要があった。2社は自
動車向け部品も堅調だった。電子部品の受注は1-3月期に10-12月期に比べて落ち込みやすいが、「今年はそれほど落
ち込まないのではないか」(TDKの上釜健宏社長)との見方がある。村田製作所は「中国の旧正月に向け増産を迫られ
る可能性がある」(村田恒夫社長)とする。
◆民生用電子機器、国内出荷11%減 12月 電子情報技術産業協会(JEITA)が22日に発表した2014年12月の民生用
電子機器の国内出荷額は前年同月比11・4%減の1,508億円だった。消費増税があった昨年4月以降、9カ月連続で前年
実績を下回った。14年の年間出荷額は3・7%減の1兆3,416億円と、1992年以降過去最低を記録した。
◆白物家電出荷2年ぶり減、国内、昨年0.9%マイナス 《天候不順でエアコン不振》日本電機工業会(JEMA)は26日、冷
蔵庫など白物家電の2014年の国内出荷額が、前年比0・9%減の約2兆2,700億円だったと発表した。前年割れは2年ぶり
だ。3月までは消費増税前の駆け込み需要で盛り上がったが、4月以降は反動減や夏季の天候不順の影響で前年をわ
ずかに下回った。製品別で落ち込みが大きかったのが5・1%減(6,800億円)となったエアコンだ。前年は年末にかけて
の駆け込み需要に加えて夏も猛暑で出荷が伸びたため、反動減が大きく出た。掃除機も4・3%減の1,100億円で、3年ぶ
りのマイナスだった。冷蔵庫は3・1%増の4,500億円で3年連続で前年実績を上回った。洗濯機は4・1%増の3,000億円と
5年連続のプラスだった。全体では前年比減となったものの、14年の総出荷額は過去10年で見ると2番目の高水準だ。J
EMAは「白物家電の需要は底堅い」と説明している。14年12月は10%減の2,180億円だった。
◆新車販売3.5%増、昨年、軽シェア4割超え 日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽
協)が5日発表した2014年の新車販売台数は前年比3.5%増の556万2,887台で、3年連続のプラスとなった。消費増税
前の駆け込み需要が増税後の販売減を補い、登録車、軽自動車ともにプラスを確保。軽自動車の販売台数は2年連続で
過去最高を更新した。新車販売全体に占める軽自動車の比率は同1消費増税後の需要低迷が長期化している。軽自動
車の14年の販売は前年比7.6%増の227万2,789台で、3年連続で前年超え。全軽協担当者は「ダウンサイジングの波が
来て、登録車からの乗り換えが進んだ」と説明する。
◆新車販売、3年連続増 《昨年 増税後は需要低迷》2014年の国内新車販売は消費増税前の駆け込み需要の「貯
金」が効き、3年連続のプラスとなった。ただ、増税後の需要低迷が長引き、足元の販売は苦戦。15年も、特に1-3月期は
前年同期の高水準との比較となり、厳しい状況が続きそうだ。14年12月単月の新車販売台数は、軽自動車の台数が積
み上がった結果、前年同月比2・1%増の43万1,918台と6カ月ぶりにプラスに転じた。ただ、登録車は同8・8%減で5カ月
連続のマイナスだった。「増税後の4-12月期の登録車販売は、リーマン・ショックのあった08年の同時期を少し超える程
度。本当に厳しい」と日本自動車販売協会連合会(自販連)の担当者はこぼす。一方、12月単月が前年同月比18・5%増
だった軽自動車も、ダイハツ工業とスズキ以外は軒並み前年同月を下回る結果となった。軽自動車は15年4月に軽自動
車税の増税を控え、その前の駆け込み需要も期待されるが、「14年4月の消費増税と比べて軽の増税は少額であり、ど
の程度の駆け込み需要が生まれるかは疑問」と、全国軽自動車協会連合会(全軽協)の担当者は慎重に構える。《スズキ
軽首位、最終日に攻防》スズキが2014年暦年の軽自動車販売台数でダイハツ工業を約2,800台の僅差で抜き、06年以
来8年ぶりの首位に返り咲いた。スズキは70万9,083台(前年比13・9%増)、ダイハツは70万6,288台(同7・0%増)で、と
もに暦年で過去最高となった。過去最高での接戦の理由は新車投入効果はもちろん、両社が最後まで意地を張り合っ
たことがある。首位攻防の厳しさは12月単月の販売を見ると明りかだ。単月はダイハツがスズキを約2,500台上回り、最
後まで首位の座を死守しようと奮闘した。しかも、12月単月の全社を合計した販売台数約20台のうち、「2割程度が最終
日の届け出」(関係者)という。両社を除き各社が前年マイナスの中、ダイハツは前年同月比39・6%増の7万4,304台、ス
ズキは同51・8%増の7万1,830台となったことから、最終日の駆け込みの大半がスズキとダイハツと見られる。「『在庫全
部を届け出てしまえ』という数字ではないか」(別の関係者)との声もある。一方、14年度販売台数の首位攻防は12月時
点でスズキが3万台程度上回り、首位となる可能性は高い。ただ、ダイハツは12月に売れ筋の「ムーヴ」を全面改良して
おり、巻き返せるかは在庫にもよりそうだ。
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◆車8社の生産・販売、昨年 《世界生産3年連続プラス》乗用車メーカー8社が28日発表した2014年(1-12月)の生産・
販売・輸出実績によると、8社合計の世界生産は前年比3・3%増の2,640万7,323台と、3年連続で前年実績を上回った。
全社が前年比でプラスを確保。トヨタ自動車、日産自動車、ホンダ、スズキ、ダイハツ工業、富士重工業の6社は過去最高
台数を更新した。北米を中心に海外生産がけん引。消費増税後の需要低迷や、海外への生産移管による国内生産の停
滞を補った。海外生産は7社がプラスとなった。トヨタは北米生産が同6・7%増、欧州生産が同13・3%増、中国生産が同1
2・2%増と伸長。海外生産、世界生産ともに3年連続で過去最高を塗り替えた。日産は米国生産とメキシコ生産がともに
同約20%増え、世界生産は5年連続で過去最高を更新した。一方、国内生産は一部車種の北米への生産移管もあり、同
8・7%減と落ち幅が最も大きかった。ホンダは世界生産が3年連続で過去最高を更新。国内生産は同14・0%増に拡大し
た。ただ、足元は小型車「フィット」やスポーツ多目的車(SUV)「ヴェゼル」などの新型車効果が一巡。12月単月の国内生
産は5カ月連続でマイナスとなった。マツダはメキシコ工場の稼働が寄与し、通年の海外生産が前年比32・2%増と大幅
に拡大。一方、三菱自動車はアジア生産が同3・9%減と伸びず、通年の海外生産が唯一減少した。12月単月の8社合計
の世界生産は、前年同月比3・7%増の210万2,462台と、3カ月ぶりに増加に転じた。海外生産は2カ月ぶりにプラスに回
復。国内生産は6カ月連続のマイナスとなった。
◆昨年の普通トラック販売/7年ぶり8万台超 トラック業界関係者がまとめた2014年の普通トラック(積載量4㌧以上)
販売台数は、前年比20・8%増の8万8,113台だった・。07年以来7年ぶりに8万台を超え、前年実績と比べ5年連続でプラ
スとなった。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」効果により公共事業や荷動きが活性化。、ダンプトラックなど建設
関連需要が伸びた。14年4月の消費増税に伴い1-3月は駆け込み需要が発生したが、反動減は6月までに収束し乗用車
と比べ影響は軽微だった。11月からトラック荷台の架装メーカーの供給能力が向上し、販売台数を押し上げた。4社とも
伸び率が2ケタ増と堅調に推移。車種別では大型トラックが同22・9%増の5万237台、中型トラックが同18・1%増の3万7,8
76台だった。
◆粗鋼生産 昨年 《2年連続で1億1,000万㌧超》日本鉄鋼連盟が22日発表した2014年の粗鋼生産量は前年比0・1%
増の1億1,066万5,000㌧で2年連続のプラスとなった。13年の1億1,059万5,000㌧に続き、2年連続で好調の目安となる1
億1,000万㌧を上回った。年前半にかけて、自動車や公共土木向けがけん引した。だが12月単月は前年同月比3・7%減
の899万9,000㌧。4カ月連続でマイナスとなるなど勢いが鈍化している。14年を上期下期でみると1-6月は前年同期比
0・9%増の5,524万㌧となる一方、7-12月は同0・8%減の5,543万㌧。半期ベースで4期ぶりのマイナスとなった。前半は
自動車向けなど消費増税前の駆け込み需要や予算の前倒し執行に伴い公共土木向けなどが好調だった。造船などの
復調も大きかった。ただ夏場以降、自動車向けが落ち込み、公共土木も予算の効果が剥落した。産業機械や造船向けが
好調なものの全体をけん引するのは力不足で、「前半の貯金で1億1,000万㌧を確保した」(関係者)状況だ。主要品種を
みても需要産業ごとに好不調の濃淡が明らか。製造業向けが多い広幅帯鋼が同0・3%増、厚板も需要産業の造船業の
受注の好転で、同1・0%増となる一方、消費増税の反動減による建築向けの不振により、代表品種である小形棒鋼が同
3・0%減、H形鋼も同3・9%減とマイナスに転じた。経済産業省では1-3月の粗鋼需要見通しを前年同期比1・0%減の2,73
0万㌧で2期連続でマイナスと見ている。輸出は増加するものの、内需は建設、自動車向けが減少するもようだ。
◆昨年の世界粗鋼生産量/5年連続増過去最高 鉄鋼協調べ 世界鉄鋼協会がまとめた2014年の世界粗鋼生産量
は、前年比0・8%増の16億6,152万8,000㌧で5年連続のプラスとなり、過去最高を更新した。中国の高水準な生産が続
き、インドや韓国などでも生産量が過去最高を更新した。ただ、中国は内需を上回る生産量のため、供給過剰で汎用品
などが値崩れしており、生産調整が必要な局面に来ている。中国は同0・1%増の8億2,270万㌧で33年連続プラスして
過去最高を更新した。8億㌧台は2年連続となる。中国経済は減速しているものの高い水準の生産が続いている。世界
シェアは49・5%と過半に迫っている。生産水準が伸びているのはアジアだ。インドは同2・3%増の8,320万8,000㌧で16
年連続プラス、2年連続で8,000万㌧台となった。韓国も同7・5%増の7,103万6,000㌧で2年ぶりのプラス。初の7,000万
㌧台となった。このほか米国が同1・7%増、ロシアが2・6%増、欧州28カ国が1・7%増とそれぞれプラスとなり、主要国は
軒並み増加した。一方ブラジルが同0・7%減、トルコが同1・8%減、ウクライナが同17・1%減とそれぞれマイナスが継続し
ている。
以
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上