甘木櫨蝋復活事業

甘木櫨蝋復活事業
R平
成 24年 度文化庁
文化遺産 を活 か した観光振興 ・地域活性化 事業
第一部
櫨のル ーツと品種改良
平岡 裕一郎
木蝋 を採 るために西日本 で盛んに栽培 さヤlてきました。そのルーッは中国、
櫨 は江戸時代中期以降、
琉球 あ
「
るいは在来種 と諸説ありますが、│ま
っきりしたことは不明でした。
櫨 に限 らず、品種改良に取 り組 む上で 起源
DNAマ ーカーを利用 してその謎 を解明することにしま
が どこなのか」といった知見は非 常 に重要です。そこで、
した。その結果、
本州 。四国 。九州の感は、アジア大陸由来 の系統 と南西諸島由来 の系統か混在 することが
明らかになりました。同時に大 陸や南西諸島とは大 きく異なる系統 も見つか り、これは日本本土に固有の系統
の可能性も出てきました。さらに、
櫨 には古くか ら存在 する数多 くの品種 にも様 々な系統力 ることが明 らか と
'あ
なり、
品種成 立時に既 に複 数の系統があつたと考 えられました。また、品種 ごとにどれだけ大量 に安定的に木
蝋 が採れるかの研 究も進めており、主要な品種 と比較 しても優れ た新品種 の開発 も行いましたので、その紹介
も致 します。
朝倉地域 の櫨 の歴 史概要
お話
朝倉地域 における櫨 の歴史概要
後藤 正明
‐朝倉に残つている史料を中心にして‐
はじめに 1、 九州木蝋業の研究史 2、 筑前甘木町市場の形成
3、福岡藩、
秋月藩の主な櫨蝋政策 錮 倉地功 4、甘木町蝋油屋の記録
5、佐野屋、
上野家等の事例 6、 福岡県地理全誌等に見る木蝋業の状況
熊谷家 (松屋)、
史料紹介
おわりに
‐福岡藩、
秋月藩の本蝋政策の原点となった櫨技術書の成立 ―
史料紹介
高橋善蔵著 延享 4(1747)年
「
窮民夜光之珠」
江戸時 代、
灯火用光エネルギーとしての役割を担つた櫨樹は、
本蝋の原料 となる櫨実が採取
できるところから、
西日本地域の代表的特産物の一つになった。さて、
享保 17年 (1732)年
の西国大飢饉は、
北部九州の諸藩に大打撃をもたらした。
城下南東の地域で庄屋を務めた高橋善蔵 (貞享元年 1684生 まれ∼宝暦 11年 1761没 、
大飢饉により2年 前の享保 15年 に櫨を植えることを思い立ち、
那珂郡山田村)は、
村で同じ考
二_人と相談 し、
えの者一人、
肥前国 (佐賀)まで櫨の調査に出かけたのである。
肥前では、
櫨 が利
他と比べ様 のない宝の本であることを確認 し帰国した。
`益であるかを尋ね、
延享 4(1747)年 、
善蔵 は、
狭 い土地で莫大な利益をあげるのが櫨樹であること、
財産 という
「
形 ではなく息子常次に、窮民夜光之珠」なる技術書として書き残した。
福岡藩も実植奉行所を
設置、
櫨樹裁培の奨励を進め、
善蔵 の本を領内40人 の大庄屋に書き写させ、
櫨樹の増産を計
り、
藩の特産物にしようと試みた。
貧 しい民が暗やみに光を見つけるとの意味から命名した。
別名は「
書名は、
櫨植遺言」といわ
ヤし
る。または、
韓非子の下和涙壁の故事 に因んでつけられたともいう。
憶の収量と価格、
書物内容は、
値グ)利用価値と将来性、
接ぎ木の採 り方、
苗の
種子の選び方、
仕立て方、櫨実の値段 について、
実を採 る時期と取り方などであり、
巻末に米や銭は現在だけ
の財産であって、
櫨樹を植 えておくと永久に利 益を生じるものと締め括 つている。
櫨i樹載培は、
(臨
の
農家 副業 時収入)として定着したのである。
「
すでに小野武夫氏『日本農民史料衆粋』
窮民夜光之珠」は、
第 11巻 に収められている。さら
に、
明治 19年 11月に高原謙次郎が 「
故高橋善蔵履歴書」を表しているっこの書物が生まれた
農業全書の基礎がある。
背景 に、
書物 は、ナL州に流布した。
蒻
第一蓄F 13120∼
お話 櫨 のルーツと品種改良
お話 朝倉地域の櫨 の歴史概要
平岡 裕 一郎
正明
後藤
パ ネルデ ィスカ ッシ ヨン
続 議 が繋ぐ櫨 と朝 倉地域 への提言
パ ネリス ト
平 岡裕 一郎 (独 )森林総合研究所林木育租 セ ンター
福 岡大学
後藤 正 明
大西 l l J l 弘 和 ろ うそ く職人「大典」
荒木
原田
兵治
一彦
高橋 滝夫
熊 谷 鉄夫
コーデイネーター
矢野具山美
荒木製蛾t 合資会社
( 有 ) 原田緑 地建設
福 岡県農林 水 産 部農 山漁村振 興 課
朝倉市農林 商I 部 農業振 興課
ち くご松 山櫨復活委 員会
蛉 第 二部 l S i 0 9 ∼
櫨 と秋 の音楽 日本 の うた
〃弾き
)
語り
ち い さ い 秋 み つ け た 他 松口ようこ( ピ
魏
⑮
会場 尭 1 0 : ○ ◇∼ 1 了: 参
ろうそく、
石鹸等)展 ボ販売
櫨 の関連商品 (和
毎 年 秋 を彩 る櫨 紅 葉 。幕 末 か ら明 治大 正 時 代 、盛 ん に奨 励 栽 培 され 、多 く
の 櫨 の 実 の 生 産 量 を誇 った 福 岡 県 朝 倉 地 方 で す が 、甘木 の 蒙 商 と呼 ばれ た
36件 の蝋屋 (製蝋業)も、今では一軒 もなくなってしまいました。
・
櫨 は産 業 を生 み 出す特 異 な樹 木 であ り、日本 の 伝 統 文化 を受 け継 いで い る
樹 木 で もあ ります。櫨 につ い て 語 り合 う こ とで 櫨 の魅 力 を再確認 し、将 来 ヘ
の 視 野 を含 めた朝 倉 地域 の櫨 復 興 の 道 を探 りませんか 。第 一 [J日となる今 回は
朝倉 地域 にお ける櫨 の歴 史 と植栽 について 話 し合 います。
`
IJl倉
市 日本 7 6 4 - 2 1
絲
場所 難∫
:ぶ
ン
す
セ
瞳餞 タ TEL 0946(22)2117
2‐
まξ
訂
劉料 無料 定員100名
お 問合 せ
朝 倉 市 観 光 協 会
TEL 0946(24)6758
主催 [ 「木 地 区 コ ミュ ニ テ ィ協 議 会
人 朝 倉 の 会 ち く ご 松 山櫨 復 活 委 員 会
共催 N P O 法
後援 福岡県 朝倉市 福岡県樹芸組合連合会 朝倉森林組合
日本 特 用 林 産振 興 会 I I 本 本 蝋 商 ■1 業 協 同 湘J 合
パネル★ スカッション
植栽 が繋 ぐ櫨 と朝倉 地域へ の提言
朝倉地域を彩 った櫨 と人々の思い
植栽 ・収穫 `製 品 ・販売 のスム,ズ な循環 とは
櫨 の植栽 プランと今後へ の展望
パネリスト紹介
平 岡 裕 一 日F (独
)森 林総合研究所 林木育種センター
愛知県出身。名古屋大学大学院生命農学研究科 修了。森林総合研究所林木育種センター九州
、
ゼノキの研究を担当し、その業績で博士号取得 (九州大学)。最近はウルシ (ハ
育種場在籍時にン
ゼノキと同じウルシ属)の 研究にも手を広fザ
つつある。
後藤 正 明
福 岡大学 研究 推進部
朝倉市在住。福岡大学で商業史を専攻。江戸 。明治 '大正 。昭和期の福岡県下の商業活動を
`
明らかにするために、商人 (町人)史 料 を収集して分析に力を注 く。現在の目標 は西 日本地域 に
おける木蝋業 の研究をまとめること。
職人 「
大鋤
大西 明弘 和ろうそく
21才 より、ろうそく職人 としての修行を始める。
滋賀県高島市在住。和ろうそく職人 「
大興」の二代目。
下がけから素手で仕上げていく手がけろうそく職人が年々減少していく中、「
櫨蝋」 という品質に
こだわった伝統の和ろうそくを作り続けている。
荒 木 員治
荒木製蛤
資会社
みやま市在住。嘉永三年創業の老舗製蝋業の七代目社長。現在、荒木製蝋 (合)は 福岡県で
唯一 の製蝋所であり、日本の本蝋生産の 9割 を担う。自蝋は海外輸出も。木蝋業衰退の中、
である櫨を残そうと、九州中の櫨農家を回るなど、日々奔走し
日本の伝統文fヒ
ている。
原 田 ず彦
(有
) 原 田緑地建設
朝倉市在住。同社代表取締役。昭和 55年 福岡県現ftの名工、平成3年樹木医 一期生。平成
18年 瑞宝単光章授与。長年造園業を営み、樹木医としての知識 と経験から、活着率三割 という
櫨の厳しい接ぎ本に挑む。茶道表千家講師、本彫りや水彩画など文化芸術 にも造詣がわ 。
高橋 滝 夫
福 岡県農林水産部農 山漁村振興 課
熊 谷 鉄 夫
朝倉 市農林商 工 部農 業振興 課
コーカ ネーター
矢野員由美
ご松山櫨復活委員会
ちく
失 われた 「
松 山櫨 」の景観 と蝋 を復活 させようと平成 19年 よ:)同委員会 を設立。朝 倉市に残 る
スし製造
和ろうそくの芯 作りを受け継ぎ、大西氏 による手が けの 「
員櫨■あ つそくJを プ ロデュー■
販売。廃棄 された櫨 の芯材か ら伝統の草 本染 「
臆染」を復活させるなど商品開発を行つている。
資料 ―辣 岡県
じ漁`し、
原料 「ハ ゼ 実 」の9 害J は県外産
1 1 ︲ォ︲
ヽ︲,
全国 「
木ろう」生産量の96%が 福岡県産
昌
嵐
る地域 特産維持
‐
│
■
││
1 1 そして、
6 次産業化による更なる収入確保
ザ
食
―
ハ
ゼ 植栽 に交付 金 交付 ( 燈デル 的 に3 年 間 で食 5 h a )
⑫
⑮ 低木 ( じ
技 術 の確 立 薇
普 及 ( 低本化仕 立試 験 、研修 会 の 実 施 )
じ支援 機 薗 策 定 支援 、研鰺会 の実 施 )
◎ 「√ヽゼ 』「本ふうJ 警使 つた感次産 業イ
対象地域 】
地域振興4 法 指定地域及び中曲間地域等直接支払文付事業における知事特認地域
歴史的、地勢的にハぜ栽培 の適地として福岡県知事 が認める地域
1 2 3 1 5 6 7 4 0 織 櫛
I 交付対象者】
営農集団 ( 受益農家が3 戸 以上であること)
【
対象行為 ( 交付要件) 】
ア 整地作業 ( 障害物除去、土づくり)
イ 植栽 ( 苗購入、植栽、施肥)
ウ 管理作業 ( 下刈り、施肥)
工 作業 日報 ( 写真含む)
オ 6 次 産業化計画策定、3 年 内の着手
交付単価】
【
植裁役 の
経過年数
10a
結零
3 鋤 6 願 瀬 蘭 輌 鮒 硼 獅 蜘
。
【
対象農地】
IjI作
放棄地となることが懸念される農地
(図)植 載夕1(50本/:Da
8 1 , 0 0 0 円 / 1 0 a ( l r l l 樹吉
i 果 本 の 伐採 が 必要 な場 合 )
361000門 /10a(lJll 落
i集
.
周 りの 畑 )
(6次 産 業 化 の 例 )
‐(木 につき }――………――^^―
―――― ‐
^ ^―
………‐‐
^― ‐^
ろう て
ヽ和義燭だけでなく
クス、
El紅
、
多様な工業用途t,ッ
座楽),化
医薬品嗽螢、
粧品(整
、
髪料、
ベンシル状メ
ィク製品)、
文房具)
'最近において1ま
マ
ロ
ル
、
ト
ナー、
カ
フセ
イ
ク
などの新規用途も開発されている=
・海外:こ
「
JAPANWAX」
として輸出`
「
ハぜ」
派生品の加工 ヽ販売
木ろう」「
■│ :
=■ .:ヽ
■,│
:和
の加工・
氣燭」
販売
^.
ち〈ご松山植復活委員会
資II:荒木製議
アンケー トのお願 い
・
ウ、なんとなく
工 その他 ( 具体的に)
2012奪19,1
N P O 法 人朝 倉の会
該 当する項 目を○で囲んでください ( 複数回答可)
この 度 は第一回櫨フォーラム櫨 色のら、
るさと 朝 倉 の 未来展 望∼櫨を知る 櫨を語
る∼におこしいただきありがとうございました。
3 、この櫨 フォー ラムに参加 して一番 よかつたことは ?
ア 郷 土の歴 史を理解できた
故郷 の櫨 の歴史や、櫨 の 品種 改 良 ・
ルー ツの話など、他では聞くことのできない
イ 櫨 の話を聞 くことができた
貴 重なお話 の 他 、朝倉市 での櫨 植栽をテー マに 、櫨 に関係する様 々な方面の方
ウ 櫨 の 討論 や意見を行くことができた
からご意見を伺うことができて、大変有意 義な試 み でした。
工 櫨 の商品 ( 和ろうそ〈等) を見ることができた
これもひとえに皆さまのご協 力 ・
ご支援 の賜 物 であると、こころより感謝 いたしま
オ その他 ( 具体的に)
す。櫨 の 活動は引き続 き来年に活か したいと思 います ので、率直なご意 見をお聞
かせ下さい。
記入者
女
男・
才代
どこから来られましたか ?朝
倉市 内
4、櫨 の植栽に興味がありますか ?
市外
ア_実 際 に植えてみたい
櫨フォー ラムはどこで知 りましたか ?
1 、知人 ・
友人 2 、広報紙 3 、インターネット 4 、その他 (
イ 植えられないが、興味 はある
)
ウ 植栽 に興 味 はない
工 その他 (具体的に)
該 当する項 目を○で囲んでください ( 複数回答可 )
1 , あ なたは朝 倉市 にかつてた〈さんの櫨 が 植 えられ ていたことを知つています
か?
5、次回のテーマは「
櫨 の 商 品化 」です。あなたは参 加 したいですか ?
ア よく知 っている
イ 聞 いたことは あるが 、見 たことはない
ウ 聞 いたことも、見 たこともない
ア、参加 したい
イ、参加 したくない
イを選んだ方 は理 由を書 いて下さい。
工 そ の他 (具体 的 に )
6 、その他 、櫨 フォーラムに参加 して印象に残つたことや 、感 じたことを自由に書 い
該 当する項 目をO で 囲 んでください ( 複数回答可)
2 、今回 の櫨 フォーラムに参加 した動機 は ?
ア 櫨 に興味があつたから
イ 知 り合 いに勧 められたから
てください。
アンケー ト まとめ
第 一 回櫨 フォーラム
回収総数 2 6 通
* 項 目で未記入があり、総数 は合わない 。
人
年
齢
20代
30代
40+t
性
50+t
3
60代
8
70代
8
男
19
女
住
情
所
報
朝 倉市 内
7
市外
13
1
13
2
3
4
4その 他
1歴
2動
史
機
3良 かつた
4植 える
5次 回参加
ア
16
イ
6
ウ
2
エ
2
ア
18
イ
4
ウ
1
エ
3
ア
18
イ
15
ウ
10
エ
4
オ
1
ア
8
イ
16
ウ
1
エ
1
ア
21
イ
3
イ理 由
6その 他
24.9 15