(社)新 し い 歴 史 教 科 書 を つ く る 会 つくる会 FAX 通信 第 370 号 平成 27 年(2015 年)8 月 10 日(月) TEL 03-6912-0047 FAX 03-6912-0048 送信枚 2 枚 http://www.tsukurukai.com 「戦後 70 年首相談話」に関する要望書を提出 日本非難のための「侵略」の文言使用をやめよ 日本記者クラブで記者会見 8 月 10 日、新しい歴史教科書をつくる会は、東京・日本記者クラブにおいて来る 8 月 14 日に予定されている「戦後 70 年首相談話」に関する記者会見を行いました。 記者会見には、杉原誠四郎会長、岡野俊昭副会長、豊島典雄副会長、藤岡信勝副会 長が出席しました。 会見の冒頭、杉原誠四郎会長は、現在報道されている「侵略」 「謝罪」の談話への文 言使用について強い懸念を表明し、安倍総理への要望書を発表しました。また、説明 資料として「「報告書」の提示する内容の重要な問題点」を配布し、説明を行いました。 なお、要望書及び説明資料は会見終了後、首相官邸に提出しました。 要望書全文については、下記をご覧下さい(説明資料は当会HPに掲載します)。 平成 27 年 8 月 10 日 内閣総理大臣 安倍 晋三 殿 新しい歴史教科書をつくる会 会長 杉原誠四郎 戦後70年談話に「侵略」と「謝罪」を入れないよう要望する (1)来る8月14日、安倍首相が発表する「戦後70年談話」について、かねてより中 韓両国から村山談話の文言を継承するように要求が出され、日本国内でもメディアを中心 に日本の近代の歴史について、アジア諸国に対する「侵略」や「おわび」を談話に盛り込 めと要求する声が大合唱となって起こっている。その声は、野党のみならず与党からも聞 かれ、安倍首相への圧力となっている。 さらに、8月6日に発表された有識者会議「21世紀構想懇談会」の報告書では、満州 事変以後の日本の行動を、「大陸への侵略を拡大」したと位置づけ、この報告書を首相談 話の内容に生かすよう求めている。 歴史教科書の改善を通して、自虐史観の克服とわが国の歴史の正しい理解を促進してき た「新しい歴史教科書をつくる会」は、安倍首相が上記のような圧力に屈し、「侵略」や 1 「おわび」を一方的に日本を断罪する文脈で入れることのないよう、強く要求する。以下、 その理由を説明する。 (2)日本の近代の戦争を「侵略戦争」とする歴史観は、戦争中の米ソ同盟に起源をもち、 敗戦後の東京裁判において日本を断罪する論理として日本国民に押しつけられたもので ある。この一面的な歴史観は、マルクス主義歴史学が隆盛な時期に日本の歴史学界におけ る通説であったことは確かだが、今では実証的事実に基づく検証に耐えられず、歴史の大 きな文脈の解釈においても見直しが急速に進んでいる。少しでも歴史の評価を慎重に行お うとする歴史家は、安易に日本の戦争を「侵略戦争」と片付けるような見方はしていない。 しかるに、上記有識者会議の報告書は、東京裁判史観とも呼ばれる、古い日本悪玉史観 に立ち、古い学説そのままの見解を開陳した杜撰なものになっている。例えば「大陸への 侵略を拡大」したという表現では、満州事変以前に日本が大陸を「侵略」していたことが 前提になるが、日本はいつ大陸に侵略したのか、直ちに説明を求められる。しかし、恐ら くこれに答えることはできない。満州事変は居留日本人へのテロが頻発していた当時の事 情を背景にしたものであり、それゆえに軍部の行動を国民は強く支持した。以上の事情は リットン調査団報告書も理解を示していたものである。このことへの言及が上記報告書に 全くない。 この一事をとってしても、報告書が開陳する歴史認識がバランスを失った一面的なもの であることは見て取ることができる。しかも少数意見の中には「侵略」の定義が確定して いないこと、歴史の事実についても疑問があることなどを理由に反対意見が複数存在して いたことが明らかにされている。総じて、報告書は 70 年談話が基礎にするような内容と はなっていない。 (3)約 20 年前に「つくる会」が発足した当時は全ての歴史教科書に「侵略」という 文字が書かれていた。今では、中学校の歴史教科書 8 社中「侵略」の語を書いているのは 3 社に過ぎず、書いている教科書は少数派に転落している。これは、当会や心ある人々の 努力の成果である。 もし、安倍首相が日本を一方的に断罪する文脈で「侵略」の語を盛り込むならば、20 年間の教科書改善の努力は元のもくあみとなりかねない危険がある。 (4)そもそも、日本がアジアを「侵略」し、「植民地支配」をしたわけではない。ま た、実際にアジアを「植民地支配」した欧米諸国でそれを謝罪した国も、謝罪を求められ ている国も存在しない。日本だけが、ありもしないことについて「謝罪」を繰り返し要求 されているのである。 日本はサンフランシスコ講和条約で旧敵国との和解を果たし、賠償問題を誠実に実行し た。これで戦後処理は完了している。 しかも、日本はすでに何度にもわたって「おわび」を繰り返している。これ以上同様の ことを繰り返すことはかえって日本国民の間に対立を持ち込み、さらに国民の意気を阻喪 させるものとなる。これでは、談話を出すことの意味を失わせるものだといっても過言で はない。 以上のことから、 「侵略」 「謝罪」の文言を日本非難のために使うことがないよう、安倍 首相に賢明なる判断を強く求めるものである。 2
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