公益財団法人 仁泉会 平成27年度 事業計画書

公益財団法人 仁泉会
平成27年度 事業計画書
1 環境認識と基本方針
日本が超高齢社会(人口の21%以上が65歳以上)に突入してから8年が過
ぎる。2015年には26.8%、2050年には38.8%になると推計されてい
る。
2015年3月2日現在、当法人が運営するそれぞれの施設の65歳以上の患
者年齢構成をみると、入院患者は、
・北福島医療センター 72.7%(うち男性39.4%、女性60.6%)
・梁川病院 100%(うち男性28.6%、女性71.4%)
*梁川病院は介護療養型施設であるため、通常病院との単純比較はできない。
外来患者は、
・保原中央クリニック 53.5%(うち男性31.0%、女性69.0%)
・梁川病院 94.1%(うち男性25%、女性75%)
以上であり、医療と介護を提供する側にとっても、限りなく高齢者向けにそして
女性向けに対応の在り方を変えていく必要に迫られている。
診療報酬に目を向けると、今年度及び来年度に関しても、社会保障と税の一体
改革という題目のもと、地域包括ケアシステムの構築に向けて、急加速で動き出
していることが読み取れる。そして、その動きに乗らなければ、どうにも立ち行
かなくなることが予想される現実がある。
この地域が必要としている医療と介護に対し、北福島医療センターの南面に造
成中の約38,000㎡の土地で展開する新規事業も含めた、我々が持つ医療資
源・介護資源を最大限に活用させ、仁泉会の立ち位置を確立し維持していくこと
が、経営上最重要課題となってくる。
医療・介護に関わる社会の急激な環境変化に対して柔軟に対応しながら、各部
門の意識改革・行動変革を推し進めていく予定である。
2 各部門の重点目標
(1)地域が必要とする医療の提供
開設する医療機関の運営を通して、救急医療、周産期医療、放射線治療等によ
る癌治療等の高度医療を提供するとともに、地域の他医療機関との連携を図りな
がらリハビリテーション及び在宅医療等を提供し、地域の保健・福祉の維持向上
に寄与する事業を行う。
1
①「北福島医療センター」の運営
診療科目14科(内科・神経内科・消化器科・循環器科・外科・整形外科
心臓血管外科・皮膚科・婦人科・眼科・リハビリテーション科・放射線科
麻酔科・歯科口腔外科)許可病床数226床。
職員数約371名(平成27年4月1日現在、常勤換算人数)
経営改善を通して早期の高収益体質への転換を目指すとともに、超少子高齢
化が加速する中で、医療ニーズの変化へ対応し、医療を通して安心して暮らせ
る地域の基盤づくりに貢献するため、全職員一丸となって変革へ取り組んでい
く。
ア 開放型病院として、伊達医師会・福島市医師会・福島歯科医師会と連携
し、病床を開放し、共同診療を行う。
イ 医療連携を図り、MRI・CT等の検査設備等を他医療機関に開放する。
ウ 地域医療支援病院としての設備・機能を維持し、地域の医療機関を支援
する。
エ 救急指定病院として、伊達地方病院群輪番制を担い、福島県立医科大学
附属病院をはじめとする他医療機関との連携を図りつつ、24時間救急体
制を維持する。
オ 医療従事者の人材育成に貢献するため、医師、コメディカル等の研修・
実習を積極的に受け入れる。
カ 放射線療法、手術療法、化学療法等の集学的癌治療体制の充実を図る。
キ 地域住民の健康増進に貢献するため、地域自治体住民検診の受託をはじ
め各種予防健診活動を行う。
ク 診療情報の電子化を推進する。
ケ 地域包括ケアシステムの構築に向けて、他の医療機関、介護サービス事
業者、行政、地域住民との関係強化に努める。
コ チーム医療を積極的に取り入れ、経営改善と診療の質向上を図る。
②「保原中央クリニック」の運営
診療科目13科(内科・神経内科・消化器科・循環器科・外科・整形外科・
心臓血管外科・皮膚科・婦人科・眼科・耳鼻咽喉科・リハビリテーション
科・麻酔科)。
職員数約64名。(平成27年4月1日現在、常勤換算人数)
地域の患者のニーズに合わせて、以下の項目に取り組んで行く。
ア
総合外来診療所として、近隣の診療所からの紹介患者を積極的に受け入
れ、予防接種、各種健診体制の充実も図る。
2
イ
公立大学法人福島県立医科大学家庭医療学研修センターの研修プログラ
ムを支援するのと同時に、家庭医療科としての診療活動並びに、疾病の予
防から在宅診療までを行う。
ウ 患者の併科受診のニーズに対応できるよう、各診療科の連携を図り、診
療体制等を整える。
エ 機能強化型の在宅療養支援診療所として、地域との連携を強化する。
オ 物忘れ外来を強化し、他の医療機関と連携し、認知症患者を積極的に受
け入れる。また「物忘れ教室」を開催し、多職種の専門性を生かして相互
連携しながら認知症患者の家族を支援する。
カ 受診の利便性を向上させるために、患者送迎車やシャトルバス運行につ
いて積極的に活動する。
キ 地域包括ケアシステムの構築に向かい、相談員や看護師等が地域ケア会
議等に積極的に参加し、他の機関や当該専門職員との連携を図り、相談し
やすい関係を築き、当院の果たす役割を再認識し体制を整える。
③「セイントクリニック」の運営
診療科目2科(産科・小児科)。病床数19床。
職員数約40名。(平成27年4月1日現在、常勤換算人数)
ア 伊達市・伊達郡エリアで唯一の産科医療機関として、夜間救急体制、ハ
イリスク出産の予防等、地域の出産環境を維持する。
イ 母子保健行政並びに総合周産期母子医療センター(公立大学法人福島県
立医科大学附属病院)と連携し、地域周産期医療の確保に当たる。
ウ 助産師を各学校へ派遣し、「命の大切さ」と題して講演活動を行う。
④「梁川病院」の運営
診療科目4科(内科・外科・整形外科・リハビリテーション科)。
許可病床数50床。
職員数53名。(平成27年4月1日現在、常勤換算人数)
ア
今後の方向性について検討を進めながら、介護報酬改定に伴う看取りや
ターミナルケアを充実させ、介護療養型病院が求められる医療を実施し、
「療養機能強化型」を取得していく。
イ 地域の高齢化に向け、他医療機関との連携を図りながら、外来部門にお
ける責務を果たす。
ウ 地域医療の要望に応えるため、医療保険での訪問リハビリテーションの
検討を行い、現在のリハビリテーションを含め、医療、介護の発展に貢献
する。
エ
伊達市からの受託事業である内部被ばく検査については、要望により近
3
隣小学校の受検者も受けていく。
(2)地域が必要とする介護の提供並びに在宅看護及び介護支援活動
開設する介護老人保健施設をはじめとする施設の運営を通して、介護の提供
及び介護予防活動を展開し、併せて訪問看護活動を行い、高齢者及び障害者の
在宅看護・介護サービスの機会を確保維持すると共に、指定居宅介護支援事業
所の運営により在宅看護・在宅介護の支援活動を行い、それぞれが連携しつつ
事業を行う。
①「プライムケア桃花林」の運営
入所定員150名(うち認知症専門50名)・通所定員65名。
職員数約155名。(平成27年4月1日現在、常勤換算人数)
ア
将来の地域包括ケアシステムに向けて核となる「専門的リハビリテーショ
ン」や看取りの技術も含めた「医療的サービス」の体制を整備し、様々なニ
ーズに対応可能な事業所を目指す。
イ R4システム(全老健版アセスメントシステム)を中心とした利用者評価
の体系を整備し、より効果的なサービス内容につなげていける体制をつく
る。
②ほばら訪問看護ステーション・ほばらヘルパーステーション・ほばら訪看指
定居宅介護支援事業所の運営
職員数3事業所計約13名。(平成27年4月1日現在、常勤換算人数)
ア
訪問看護ステーション、ヘルパーステーション、訪看指定居宅介護支援
事業所と相互に補完し、一体となって質の高い看護、リハビリ、介護、居
宅支援のサービスを提供する。
イ
ウ
エ
緊急時に対応し24時間体制を敷いた運営をする。
「サテライトやながわ」の運営を継続して行う。
あぶくま訪問看護ステーションと合併して、地域のニーズに対応した機
能強化型訪問看護ステーションを設立する。
③あぶくま訪問看護ステーション・あぶくまヘルパーステーション・あぶくま訪
看指定居宅介護支援事業所の運営
職員数3事業所計約16名。(平成27年4月1日現在、常勤換算人数)
ア
訪問看護ステーション、ヘルパーステーション、訪看指定居宅介護支援
事業所と相互に補完し、一体となって質の高い看護、リハビリ、介護、居
4
宅支援のサービスを提供する。
イ
ウ
緊急時に対応し24時間体制を敷き運営をする。
ほばら訪問看護ステーションと合併して、地域のニーズに対応した機能強
化型訪問看護ステーションを設立する。
④保原指定居宅介護支援事業所の運営
職員数5名。(平成27年4月1日現在、常勤換算人数)
ア
介護が必要になっても自分らしい生活を実現するため、介護・医療保険以
外のサービスも利用しながら、自立支援型のケアマネジメントを、介護サー
ビス事業所、医療機関、生活支援サービス提供者等とともに目指す。
(3)保健・医療・福祉の質の向上に寄与する事業
保健・医療・福祉に関わる質を維持向上するには、関係専門職の研修支援及
び研究支援活動が欠かせないことから、積極的にこれらの活動を行っていく。
① 保健・医療・福祉に関する臨床研究及び調査活動を行い、積極的に学会等
へ公表する。また、地域住民へ健康増進に関する情報提供を行う。
② 研修会の開催、実習生の受入れ、奨学金の貸与などを通して、保健・医療・
福祉関係者の資質の向上を支援する。
(4)伊達市からの受託事業:伊達市保原地域包括支援センターの運営
職員数3名(平成27年4月1日現在、常勤換算人数)
地域住民の心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うこと
により、その保健医療の向上及び福祉の増進を予防的・包括的・継続的に支援
できる地域包括ケアシステムの推進を目指す。
ア 介護予防ケアマネジメント業務、総合相談支援業務、権利擁護業務、包
括的・継続的ケアマネジメント、その他に伊達市が必要と認める事業等の
支援業務を行う。
イ 指定介護予防支援事業を行うために、予防給付に関するケアマネジメン
ト業務を行う。
ウ 介護保険制度関係機関、他制度関係機関、住民団体を含む多くの関係諸
団体との有機的な連携を効果的にすすめることで、シームレスな生活支援
を可能とし、住民ひとりひとりが主人公となれる地域づくりを目指す。
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(5)この法人の運営に関する活動
① 法人全体の意思決定に関わる会議の開催
ア 評議員会 定例:2回
イ 理事会
定例:2回
臨時:必要に応じて随時
② 法人全体に関わる活動
ア 公益財団法人の特徴を生かした事業を開発し、地域貢献を推進する。
イ
外来棟建設計画の見直しを行う。
③ 寄附金募集及び助成金の申請
ア 当財団に対する寄附金を広く募集する。
イ 福島県へ病院内保育所運営補助金を申請する。
ウ
その他の助成団体へ補助金を要望する。
④ 人事計画
ア 人員配置の効率化を各施設において図り、人件費率の抑制に努める。
イ
ウ
エ
オ
カ
キ
ク
医師・看護師等の採用困難職種の安定確保に努める。
職員のメンタルケアを重視し、カウンセリング体制の充実を図る。
職員のライフステージに柔軟に対応できる多様な雇用形態を開発する。
職員寮、職員食堂等、職員への福利厚生制度の充実を検討する。
保育所「わんぱくらんど」を運営し、子を持ち働く職員を支援する。
中間管理職員の研修を実施し組織の活性化を図る。
表彰制度等、より充実した制度となるよう見直しを行う。
⑤ 財務・経理計画
ア
イ
ウ
今後の業績の変化に対応するため、確実な資金の調達を行う。
中長期構想に対して財務的立場からの検討を行う。
各施設が、損益、収支状況を自主的に把握できるようにするための体制
づくりの推進を行う。
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