2015 年総合生活改善の取り組みにおける基本課題 Ⅱ 2015年総合生活改善の取り組みにおける基本課題 第1号議案 2015年総合生活改善の取り組み方針︵案︶ ∼マクロ経済∼ ・世界経済は、先進国を中心に全体として緩やかに回復しているが、その度合いは地域・国によってバラ つきがあり、先行きは減速懸念も伴う不透明な状況である。 ・先進国・地域においては米国の成長率が高く推移し、雇用の強い伸びとともに、設備投資も回復してき ている。 ・一方で、ユーロ圏で金融緩和が継続しているにも関わらず、輸出や設備投資の伸び悩み、失業率の高止 まりなど経済回復のペースが鈍化するとともに、物価の見通しが低下するなど、デフレ懸念も台頭して きている。 ・新興国・地域においては、国ごとに状況は異なるものの、成長率が鈍化してきている国もあり、従来の ような高成長は期待できなくなっている。 ・また、ウクライナ・中東等の地政学的リスクや、アフリカ地域を中心に発症している感染症による人の 往来の停滞が及ぼす経済への悪影響にも留意が必要である。 ・日本経済は、緩やかながらも回復する見込みであるが、2014年4月の消費税増税前の駆け込みからの反動 減が想定よりも長引いていることなどの影響を受け、2014年7-9月期の実質GDP成長率が年率1.9%減と なっており、回復に向けた今後の動向を注視する必要がある。消費者物価は、足もとでは明確に上昇し ており、家計への影響が出ている。2014年度の消費者物価指数(除く生鮮食品)は前年比3.2%増と予測 されている。 ・為替は日銀の追加金融緩和をきっかけとして、足もとでは円安傾向に振れているが、未だ不安定な状況 が続いている。 ・消費税の引き上げについては2015年10月に10%への引き上げがなされる予定であったが、7-9月GDP速報 値がマイナスとなったことなどの景気動向を理由として2017年4月への先送りが発表された。引き上げの 時期のみならず、その使途についても注視が必要である。 ・また、2014年12月に行われた第47回衆議院議員選挙の結果、安倍政権の下で策定された成長戦略は維持 される見込みであり、消費税の10%への引き上げも2017年4月へ延期されることとなった。いかにしてデ フレからの脱却を果たし、日本経済の好循環を実現していくか、これからの2年強の取り組みが大変重要 となっている。 ∼社会情勢∼ ・雇用動向は改善基調にあり、2014年10月の完全失業率は3.5%。 また、有効求人倍率は1.10と過去20年で最高となっている。一方で、非正規労働者の人数・割合は過去最 高の1,980万人、37.5%となるなど、雇用動向の改善基調が正規雇用の増加につながっておらず、不安定 雇用の固定傾向がみられる。 ・勤労者の家計は、長期に渡って収入が伸び悩み、所得税や社会保障料の負担増など可処分所得の減少が 続く中、消費に対して防衛的なスタンスとなっている。 ・2014年9月からは、経済の好循環実現に向けた政労使会議が再開され、同年12月の第4回会議において、 昨年取りまとめた取り組みの継続とともに、賃金上昇等による継続的な好循環の確立(仕入れ価格上昇 等を踏まえた価格転嫁や支援・協力を含む) 、サービス業等の生産性向上などに取り組んでいくことが確 認された。 9 ・2015年の通常国会での法案提出に向けて議論されている労働時間法制の見直しや、臨時国会に再提出さ れ廃案になった労働者派遣法の改正案等、働く者の生活に大きな影響を及ぼしかねない議論が行われて 第1号議案 2015年総合生活改善の取り組み方針︵案︶ おり、労働者保護ルールの改悪阻止に向けた取り組みを継続していくことが必要である。 ・労働組合の組織率は、17.5%と年々低下傾向にあり、過去最低の状況となっている。 ∼自動車産業の状況∼ ・2014年の国内需要の見通しは、四輪車475万台、二輪車47万台であり、二輪車は増加がみられるものの、 四輪車においては、前年比12%減と大幅な落ち込みが予想されている。 ・2014年1-10月までの国内生産は、四輪車は826万台で前年同月比3.3%増、二輪車は49.2万台、同8.8%増と なった。しかしながら、足もとの受注は厳しい状況が続いており、前年を下回る生産となっている。 ・2014年1-10月までの国内販売(登録車)は、245万台で前年同月比2.1%増となった。一方で、足もとの受 注は厳しい状況が続いており、在庫台数が増えてきている。 ・企業収益については、円安傾向の進展やグローバル販売の拡大により、全体としてはメーカーを中心に 収益の改善傾向が見られる。しかしながら、国内市場が中心である中小の部品企業などは、輸入原材料 価格の高騰、更には海外部品企業とのグローバル競争激化等により、依然として厳しい状況に置かれて いる。 ・自動車産業における非正規労働者は19万8千人、全体の19.4%となり年々増加傾向にある。雇用形態別に 見るとパート・アルバイトが12.0%、再雇用が14.9%、有期契約雇用が36.3%、派遣が23.3%、請負が 10.2%、その他3.3%といった比率となっている。一方で、非正規労働者の組織化は約7%に留まっている。 ∼組合員の状況∼ ・需要変動に対応すべく懸命に取り組む組合員の日々の努力は、会社を支える原動力となっており、企業 基盤の一層の強化に大きな貢献を果たしている。 ・自動車産業全体の総労働時間は、総じて増加傾向にあり、車体部品を含む生産現場の労働時間は、2010 年度レベルにまで戻りつつあるが、一方で、期間従業員や派遣社員は集まりにくい状況となっており、 組合員の負荷が高まっている。 ・輸送部門においては、ドライバーの高齢化が進む一方で、若い世代の人員確保が困難な状況であり、高 負荷な状況に改善は見られていない。 ∼自動車産業の賃金実態∼ ・熾烈なグローバル競争の中、日本の自動車産業は高い付加価値生産性を着実に維持・向上させているが、 その労働の対価たる賃金水準は、産業全体で見れば未だその価値に見合ったものとなっていない。 ・また、賃金や一時金、労働時間といった基本的な労働条件における産業内の業種間・企業間などに存在す る格差は未だに大きい。 ∼政策・制度課題への取り組み∼ ・自動車総連は「明日への提言2014年版」において、従来の自動車関係諸税、国内事業基盤強化策に加え、 雇用・労働政策、福祉・社会保障政策を最重点政策として取り組むこととした。 ・自動車関係諸税は、 「簡素化・負担の軽減」に沿って抜本改革を実現する事が急務であるが、現在の政府 は、既得権益維持のスタンスであり、省庁の縦割りのもと財源確保を最優先した論議が行われている。 10 2015 年総合生活改善の取り組みにおける基本課題 ・労働法制に関しては、 「多様で柔軟な働き方」の下に労働者保護ルールの改悪が進められようとしている。 第189通常国会においては、第186通常国会および第187臨時国会において廃案となった労働者派遣法の改 第1号議案 2015年総合生活改善の取り組み方針︵案︶ 正をはじめ労働法制に関する法案の提出が予想されており、我々働く者にとっては予断を許さない状況 が続いている。 ・一方、社会保障制度改革は依然として進んでおらず、 「働くことを軸とする安心社会」の構築と「全世代 支援型」社会保障制度の確立を実現するため、雇用政策、教育政策、財政政策、税制等関連施策との連 携を図り、 「社会保障と税の一体改革」を推進していく必要がある。 11 Ⅲ 2015年総合生活改善の取り組みの意義について 第1号議案 2015年総合生活改善の取り組み方針︵案︶ ・日本の自動車産業を維持・強化していくためには、 「国内生産の維持による雇用の確保」とグローバル競争に 勝ち残るための競争力の向上」の両面の活動が必要である。 ・働く者が求められる力を十分に発揮するために、基盤となる生活の安心・安定が不可欠であり、競争力の源 である「新たな付加価値」を創出するためには、より強固な職場の構築・育成が必要である。 ・長期のデフレから真に脱却できるか否か、我々の生活基盤である日本経済は、重要な転換点を迎えている。 2014年の取り組みにおいて、全体で産み出した「意義ある基点」をより価値のあるものにしていかなければ ならない。 ・以上を踏まえ、2015年の取り組みでは、自動車産業を支える中小企業、非正規労働者の更なる底上げを図る 事などを通じて、日本経済・自動車産業全体を持ち上げ、健全で持続的な成長へとつなげるべく、自動車総 連全体で力を合わせ、前進させる取り組みを進めていく。 12 取り組みの考え方 ・ 要求基準について Ⅳ 取り組みの考え方・要求基準について 1)基本的な考え方 (1) 取り巻く経 済 情 勢や企 業の基 盤 強 化に資 する成 果 配 分などの観 点、す べての組 合 員の生 活 を守る観 点から、賃 金カーブ維 持 分を確 保 するとともに、賃 金 改 善 分を設 定 する。 (2) 企 業 規 模、 雇 用 形 態に関わらず、す べての労 働 者が一 体 感をもって生 産 性 向 上に取り組ん だ成 果の適 正 配 分を求める。 (3) 物 価 上 昇による家 計 への影 響を補う観 点を重 視 するとともに、 経 済 成 長と所 得 向 上を日本の 経 済 基 盤に根 付 か せるべく、 労 働 組 合としての社 会 的 役 割や賃 金の社 会 性を意 識した取り 組みを行う。 (4) 賃 金 水 準の格 差 是 正を念 頭に、賃 金の根 元からの高さでもある「 絶 対 額 」を重 視し「 個 別 賃金」による要求構築に積極的に取り組む。さらに、下支えの観点から「企業内最低賃金協 定」 の締結の前進を図る。特に、企業内最低賃金協定については、「特定(産業別)最低 賃金」 の金額改正も意識し、全体底上げに資する取り組みとするためにも着実な前進を図る。 (5) 産 業 情 勢とともに連 合・金 属 労 協の方 針も踏まえる。 2)具体的要求基準 ○平均賃金要求とともに、業種間、規模間の格差是正を図るべく、 「個別ポイント絶対水準要求」も積極的に 行っていく。 【平均賃金要求】(案) 【個別ポイント絶対水準要求】(案) すべての単組は、目指すべき経済の実現、物価動 技能職中堅労働者(中堅技能職)*1の現行水準を 向、生産性向上の成果配分、産業実態、賃金実態を 維持し、水準向上や格差・体系是正に向け、各組合 踏まえた格差・体系の是正など様々な観点を総合勘 の判断により賃金改善分を設定する。 案し、6,000円以上の賃金改善分を設定する。 なお、直接雇用の非正規労働者の賃金について も、原則として、賃金改善分を設定する。 技能職中堅労働者(中堅技能職)*1銘柄の目指すべ き水準*2 賃金センサスプレミア 370,000円 自動車産業プレミア 292,000円 自動車産業目標 272,000円 自動車産業スタンダード 248,000円 自動車産業ミニマム 240,000円 *1「技能職中堅労働者(中堅技能職)」とは、生産現場において、習熟期間をほぼ終了し、基幹的作業に対して一人 前の技能を有し、後輩への適切なアドバイスとチームワークの醸成ができ、近い将来、熟練作業者或いは優秀な監督者と なり得る資質・能力を備えた者。なお、メーカー部門、車体・部品部門以外は、個別ポイント絶対水準要求の銘柄を、35歳・ 高卒・勤続17年・技能職に準じた職種(*3) ・4人世帯とする。 (注)①賃金センサスプレミア:牽引役の上位単組が目指す水準。製造業1,000人以上・標準労働者の第9十分位の水準 ②自動車産業プレミア:自動車総連加盟単組上位10%への目標基準。J-WIDE第9十分位の水準 ③自動車産業目標:自動車総連加盟単組上位25%への目標基準。J-WIDE第3四分位の水準 ④自動車産業スタンダード:自動車総連加盟単組中位への目標基準。J-WIDE中位の水準 ⑤自動車産業ミニマム:全ての単組がクリアする基準 第1号議案 2015年総合生活改善の取り組み方針︵案︶ 1.賃金 参考水準 30歳・高卒・勤続12年 第1号議案 2015年総合生活改善の取り組み方針︵案︶ ・技能職(*3)・3人世帯 ・自動車産業プレミア 254,000円 ・自動車産業目標 239,000円 ・自動車産業スタンダード 220,000円 ・自動車産業ミニマム 215,000円 25歳・高卒・勤続7年 ・技能職(*3) ・独身 206,000円 198,000円 188,000円 180,000円 *2:車体・部品部門の目指すべき水準は部会で設定した「車体・部品プレミア」を加え6段階とする。 *3:販売部会は部会で設定した職種を適用する。 3)企業内最低賃金協定の締結 ・企業内最低賃金協定は、同じ会社で働く者の最低限の生活を守ることに加え、各地域での『特定(産業別) 最低賃金』の金額改正に波及することも踏まえ、広く社会全体で働く者の賃金を下支えしていくという社会 的な意義を強く意識して、全単組での締結に向けた取り組みを強力に進める。また、併せて、協定締結額の 水準引上げや締結対象者の拡大の取り組みも進める。 〔1〕各労連の計画的な運動の推進を基として、全ての未締結単組は新規締結に取り組む。 〔2〕既に締結している単組は、更なる取り組みの前進を図る。 ①要求基準に未達の場合は、締結額の引上げを図る。 ②正規従業員のみを対象とした協定を締結している単組は、非正規労働者への締結対象の拡大を目指 し、組織化した非正規労働者への拡大など、各単組の実態を踏まえて取り組む。 〔3〕①、②を同時並行的に進めることとするが、締結額については特定(産業別)最低賃金の金額改正へ波 及すること(影響度)も踏まえ、各単組の実態に応じて何れを優先するか決定する。 要求基準 18歳の最低賃金要求は、156,000円以上とする。 ・基準未達成の組合は、基準額以上での協定化を目指す。 ・基準達成の組合は、「特定(産業別)最低賃金」の金額改正も念頭に上積みを図り、高卒初任給に 準拠した水準での協定化を目指す。 企業内最低賃金 締結状況の推移 取り組みの考え方 ・ 要求基準について 参考 JCM企業内最低賃金方針(案) ○すべての組合が企業内最低賃金協定を締結します。 ○月額156,000円以上の水準、もしくは月額3,000円以上の引き上げに取り組みます。 ○非正規労働者への適用や特定(産業別)最低賃金への波及のため、時間額を併記します。時間額 で協定する場合は、上記月額を所定労働時間で除した水準とし、時間額987円以上の水準、もしく は時間額19円以上の引き上げに取り組みます。 ○社会全体への波及効果を高めるため、非正規労働者(直接雇用)を含めた協定の締結をめざします。 4)特定(産業別)最低賃金の金額改正に向けた取り組み ・特定(産業別)最低賃金については、その継承・発展を目指した取り組みを推進し、2015年度においてもこれ までの特定(産業別)最低賃金の枠組みの下で、産業にふさわしい水準の実現に取り組んでいく。特に、地 域別最低賃金が大幅に引き上がる中、特定(産業別)最低賃金の相対的優位性が失われつつある実態及び、 自動車総連台で取り組む影響の大きさに鑑みつつ、自動車産業で働くことの位置付けを守り、高めるべく取 り組む。 ・金額改正審議に与える“影響力の大きさ” (=労使が確認した数字であるという裏付け)を踏まえ、各組合は 企業内最低賃金協定の締結を最優先に取り組むとともに、締結額の水準の引き上げを図っていく。 ・最大限の努力をもってしても協定締結ができない単組は、特定(産業別)最低賃金の「改正の必要性に関す る決議」 (=労働組合側が改正の必要性を確認)を行う。 5)年齢別最低保障賃金の締結 ・年齢別最低保障賃金は、より成果を重視した賃金制度導入の動きが広がりつつある中、年齢に応じた組合員 の最低限の生活を守る観点から重要性は増しており、各単組は、下記基準を踏まえ協定化に取り組む。 要求基準 20歳159,000円 25歳178,500円 30歳212,000円 35歳235,000円 40歳253,500円 45歳262,500円 【参考】JCミニマム 金属労協で働く35歳の勤労者の賃金水準を明確に下支えし、その水準以下で働くことをなくしていく 運動として「JCミニマム(35歳)」に取り組む。 *JCミニマム(35歳)は、210,000円とする。 *この水準を下回る組合員については、その要因を確認の上、改善に取り組む。 第1号議案 2015年総合生活改善の取り組み方針︵案︶ ○企業内最低賃金協定の水準は、高卒初任給準拠とし、着実に引き上げます。 2.年間一時金 第1号議案 2015年総合生活改善の取り組み方針︵案︶ 1)基本的な考え方 (1)年間賃金の重要な一部であり、実質生活の維持・向上のため、長期安定的向上を図る。 (2)特に、生活給としての一時金の役割を重視し、低下した水準の底上げに引き続き取り組む。 (3) 「企業業績に過度に左右されない安定向上」と「組合員の努力した結果の成果配分」の双方の 視点を考慮する。 (4)取り組みを進めるにあたり、年収格差の観点も十分に踏まえる。 (5)季別回答や、業績を意識した付帯事項は望ましくないとのスタンスのもと、年間での協定に取 り組む。 (6)賃金との同時決定と、夏冬型・年間月数方式を堅持する。 (7)休職や長期療養を余儀なくされた組合員の生活を守り、安心して働くことができる職場をつく るとの観点から、最低保障制度の確立と水準向上を推進する。 2)具体的要求基準 ①年間5ヵ月を基準とし、最低でも昨年獲得実績以上とする。 ②要求の基礎は、賃金引上げ後の基準内賃金とする。 ③最低保障制度を確立することとし、水準については40%以上とする。 3.総実労働時間の短縮 1)基本的な考え方 (1) 「全部門で総実労働時間1,800時間台の達成」を目指すべき姿と認識した上で、START12の3ヵ 年計画に基づき、労連・単組の判断のもと総労働時間の短縮に取り組む。 (2)労働時間管理の適正化、36協定特別条項への対応は、コンプライアンスの観点からも、産業全 体の問題として取り組む。 (3)また、これらの取り組みには適切な労働時間管理が不可欠であり、労働時間に関する労使協議 の場の設置・運営等に関する取り組みを推進する。 取り組みの考え方 ・ 要求基準について 2)具体的な取り組み ・所定労働時間1,952時間未達組合は、引き続きその達成に向けて全力で取り組む。 ・所定外労働時間の削減に向けて、全単組が年間540時間以下となるよう36協定の年間特別延長時間 の引き下げに計画的に取り組む。 ・改正労働基準法において、中小企業に対して適用猶予とされている月間60時間超の割増率引き上 げ等についても取り組みを進める。 ・労働時間に関する労使協議の場の設置など、取り組みの基盤整備を推進する。 4.非正規労働者に関する取り組み 1)基本的な考え方 (1)すべての労働者が安心して働き、暮らせる、安定した日本社会の創造が、広く産業・企業の更 なる発展に向けた基盤となることを認識した上で、労働組合の社会的な役割を果たしていく。 (2)自動車総連は、職場の一体感醸成、一人ひとりのモチベーション向上が必要との認識の下、同 じ職場で働く仲間である非正規労働者に対する関与・対応力の充実や、労働環境の整備・改善 に取り組んできた。一方で、非正規労働者の組織化については、今後一層の前進が必要な状況 にある。 (3)ついては、直接雇用の非正規労働者に対しては、職場全体のチームワークで生み出した成果は 職場全員で共有することが基本との考え方の下、処遇改善と組織化の取り組みの関係性を整理 しつつ、労働諸条件の維持・向上を進めていく。 (4)なお、現下の労働者派遣法改正には、反対姿勢を堅持し取り組みを進めてきているが、今後の 国会動向を注視しつつ、間接雇用の非正規労働者に対しては、一層の関与・対応力を高める取 り組みを進める。 (5)非正規労働者の組織化については、2015 年を自動車総連全体で運動を加速していく基点と位 置付け、第5次組織拡大中期計画を進めていく。 2)具体的な取り組み ○賃金、一時金の取り組み ・職場全体のチームワークで生み出した成果は職場全員で共有化することが基本との考え方を踏ま え、成果の適正配分を求めていく。 直接雇用の非正規労働者 ・直接雇用の非正規労働者については、原則として、賃金改善分を設定する。また、一時金が設定 されている場合については、正規従業員に準じた取り組みを行う。 第1号議案 2015年総合生活改善の取り組み方針︵案︶ ・年次有給休暇の完全取得に向けた取り組みを推進する。 間接雇用の非正規労働者 ・自動車総連・各労連は、各種産業団体等に対して、間接雇用の非正規労働者の処遇改善について 第1号議案 2015年総合生活改善の取り組み方針︵案︶ 要請するなど、労働組合としての社会的役割を果たしていく。 ・各単組は、労働者派遣法改正の動向なども踏まえ、より一層の関与・対応力を高める取り組みを 進める。 ○企業内最低賃金協定の取り組み (1)各労連の計画的な運動の推進を基として、全ての未締結単組は新規締結に取り組む。 (2)既に締結している単組は、更なる取り組みの前進を図る。 ①要求基準に未達の場合は、締結額の引上げを図る。 ②正規従業員のみを対象とした協定を締結している単組は、非正規労働者への締結対象の拡大 を目指し、組織化した非正規労働者への拡大など、各単組の実態を踏まえて取り組む。 (3)①、②を同時並行的に進めることとするが、締結額については特定(産業別)最低賃金の金額 改正へ波及すること(影響度)も踏まえ、各単組の実態に応じて何れを優先するか決定する。 ○その他の労働諸条件改善について ・2014年労働諸条件改善の取り組み方針を踏まえ、引き続き推進していく。 (1)社員登用制度の促進 ・直接、間接非正規労働者に限らず、人材確保という観点からも正社員登用制度のより積極的 な促進を労使協議の場で求めていく。 ・また、正社員登用人数の実績確認を定期的に行っていく。 (2)能力開発・スキルアップ制度の充実 ・直接、間接非正規労働者に限らず、能力向上やスキルアップなど生産性向上につながる施策 を労使協議で求めていく。併せて実施の把握とフォローを行っていく。 (3)労組への定期的な報告体制の構築 ・経営に対し、非正規労働者の動向・採用(活用)計画を正確に把握させ、人員計画や在籍状 況を定期的に組合へ報告する体制を構築することを求める。 ・非正規労働者の個々の就労状況に対する取り組みとしては、①誰が、②どこに③いつまで、 ④どのような処遇で働いているのか現状を把握できるよう仕組みを構築する。 (4)非正規労働者の過度な拡大につながらない取り組み ・非正規労働者比率については、職種や職場の状況などによって異なり、一概には判断できな いが、職場の実態を踏まえた労使協議を重ねることにより、個別労使または事業場労使でそ の上限比率について一定のガイドライン作りに向けた取り組みを行う。 ・また、派遣労働者については「臨時的・一時的な雇用である」という原則を労使で確認する とともに、必要以上の拡大は認めないというスタンスを堅持する。 3)非正規労働者の組織化に向けた取り組みの推進 60歳以降の再雇用者、直接雇用のパートや有期契約従業員(期間従業員など)の組織化に向けて、 今次取り組みを契機に第5次組織拡大中期計画を積極的に推進していく。 取り組みの考え方 ・ 要求基準について 5.解決日程の早期化 要求日・回答指定日の設定」や「回答指定日の位置付けを高めるための組織内外への働きかけや効果的な交渉 日程の配置」 、 「要求書への回答指定日の記載と遵守の申し入れ」など、実態に沿った実効ある取り組みを推 進する。 具体的な推進にあたっては業種ごとに課題を整理した上で取り組む。 6.上部団体との連携 ・方針策定の段階から連合や金属労協の議論に積極的に参画するとともに、それぞれが果たすべき役割に立っ た議論となるように意見具申していく。また、上部団体での議論状況について、自動車総連内にタイムリー に情報を発信していく。 ・連合の「共闘連絡会議」や金属労協共闘、あるいは金属労協が推進する「中堅・中小登録組合による共闘」等 については、加盟組合の交渉結果の公表等を通じ、取り組み成果を広く波及させていくことで、自動車総連 に期待される社会的な役割を引き続き果たしていく。 7.政策・制度課題の取り組み 1)基本的な考え方 ・組合員の生活を総合的に改善するためには、労働諸条件の取り組みと併せて、政策・制度課題へ の取り組みが不可欠であり、これらを「車の両輪」として機能させていかなければならない。 ・ 「総合生活改善における政策・制度課題の取り組み」は通常国会が開かれる時期にあたり、自動車 総連が求める政策が審議を経て可決・実現するまでの取り組みを機動的に進める必要がある。 ・第189国会では、自動車ユーザーや産業に影響のある法案のみならず、社会保障や労働者保護ルー ルに関する法案など、我々の生活や働き方に影響のある法案・制度の審議が予定されている。今 次取り組みにおける政策・制度課題の取り組みにあたっては、自動車産業はもとより、国民生活 や働く者にとって影響の大きい課題について、組織内議員と連携しつつ、取り組みを推進してい くとともに、組織内の情報共有化を図るため、国会審議の動向等をタイムリーに展開する必要が ある。 第1号議案 2015年総合生活改善の取り組み方針︵案︶ ・ 「次年度の労働条件は年度内に決定する」という基本スタンスを踏まえ、要求の前段階から「共闘を意識した 2)具体的な取り組み (1)自動車総連独自の取り組み 第1号議案 2015年総合生活改善の取り組み方針︵案︶ ・重点推進項目の実現に向けて、民主党や関係省庁、連合に対し、機動的な働きかけを行う。 ・国会審議等の動向は、重点政策推進項目のみならず、組合員の生活や雇用に影響のある政策 課題についても、中央生活闘争委員会、政策委員会、各種労使会議等で報告し、共有を図る。 重点政策推進項目 【自動車関係政策】 ○自動車関係諸税 ○道路・交通政策 【産業政策】 ○国内事業環境整備策 ○業種別・中小企業政策 【働く者の政策】 ○雇用・労働政策 【生活者の政策】 ○福祉・社会保障政策 ○税制改革(一般税制) ・政策実現に向けた自動車総連の諸活動、税制大綱および予算案への反映状況、関連法案・予 算案の審議状況についてはFAXニュース等でタイムリーに情報発信を行う。 (2)労連・単組・地協の取り組み ・自動車総連および連合/地方連合会等、上部団体の活動に積極的に参画する。 ・組織内議員および「車と社会を考える政策フォーラム」議員との連携の重要性と活動内容の 理解・周知に努める。 ・連合、自動車総連の政策・制度課題の取り組みについて、教育研修プログラムや自動車総連 が発行する政策・制度課題理解促進ツール「ここがポイント!」などを活用し、組合員の理 解促進を図る。 ・連合、自動車総連の政策・制度課題への取り組みについて、組織内のみならず他産別や組織 外議員に対してもその理解者の拡大を図る。 ・連合、自動車総連の政策・制度課題への取り組みに対する経営者への理解促進を図る。 (3)連合との連携 ・勤労者全体の雇用と国民生活の課題解決に向けて政策・制度課題の取り組みを推進する連合 との連携を強化する。特に、自動車総連の重点政策については、連合が主催する各種集会に 参加する等、連合とも連携し実現に取り組む。 連合が春季生活闘争と関連して実現を目指し取り組む政策 (参考) ①経済の好循環に向けた産業政策と雇用政策の一体的推進 ②雇用の安定と公正労働条件の確保 ③「全世代支援型」社会保障制度のさらなる推進 ④「公平・連帯・納得」の財政改革の実現 ⑤公務における臨時職員・非常勤職員の処遇改善と公契約適正化の推進
© Copyright 2024 ExpyDoc