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第15回全国障害者スポーツ大会(紀の国わかやま大会)
初出場選手にウェイトをおいた三重県選手団
10 月 24 日~26 日の 3 日間にわたり開催された『第 15 回全国障害者スポーツ大会(紀の国わかやま大会)』
には、三重県は初出場選手に大きなウェイトを置いた選手団を送り込みました。
三重県選手団の出場選手28名(個人競技)のうち、初出場選手は23名でした。筆者の知る限りにおいて、
ここまで初出場選手が占める割合が高くなった例は初めてです。在学中の少年選手も多く、初々しさが感じら
れる選手団となっていました。
初出場選手はもちろんのこと、選手全員が頑張りましたが、今大会におけるメダル獲得数(全ての個人競技)
は、20個(金8個・銀7個・銅5個)となり、全国での順位は53位に大きく後退してしまいました(昨年
39位)
。メダル獲得数の順位も後退して58位でした(昨年33位)
。
※参加67団体(47都道府県と20政令市)の中での順位
6年後に三重県が開催地となる事を考えると、少し寂しい結果となってしまいました。しかし、まだ6年も
残っていると考える事もできますので、今のうちに新人選手たちに大会出場経験を積ませ、選手層を拡充して
いく方針であったと解釈すべきかもしれません。
回を重ねるに従い、全体の競技水準が上がっていく事をひしひしと感じた大会でした。向上への努力を緩め
ようものなら、実力派ベテラン選手であってもメダル獲得は難しくなっていきます。
青年男子の部(ボウリング競技)で初の銀メダル!:原選手
原
健一郎選手が2位入賞して、
銀メダルを獲得しました。
これまで、三重の青年男子部門
のボウリング選手たちが獲得して
いたのは銅メダルまででしたから、
初の銀メダルを三重にもたらした
事になります。
4ゲームスコア合計でも700点
を超えました。本大会まで、三重
の歴代出場選手の中で600点を
超えた者は皆無でしたので、県内のスコア記録も大幅に更新した事になります。
原選手は、少年時代に2回の出場経験があり、金メダル獲得実績もあります。それだけに、メダルを獲得し
て当たり前とみなされ、相当なプレッシャーを感じていたようです。
ましてや、例年激しいメダル争奪戦が繰り広げられる青年男子の部
には初めての出場でしたので、不安があったと思います。
実際、大会前には競技力も低迷して周囲を心配させていました。
幸い大会までに克服できたようです。その力強い投球で全国的に
名が知られており、今回金メダルを獲得した山本 猛選手(大阪市)
には惜しくも負けたものの、接戦を繰り広げる事ができました。競技が終わった時、原選手自身が『
(試合を)
楽しめた。
』と言えたのは、心身ともに更に強くなった証と言えるでしょう。
メンタル的な強さ(落ち着き)を発揮:山口選手
山口 郁夫選手(青年男子)は、入賞こそ逃したものの、これ
からが期待できる4位となりました。
競技初日終了時点では最下位となってしまい、監督やコーチを
慌てさせました。二日目は、競技前や競技の合間に素振りをして、
ステップと腕のスイングとのタイミング合わせを心がけるよう
にしていました。これが功を奏して、普段のペースを取り戻し、
順位を二つ上げて競技を終える事ができま
した。
初出場選手にはしばしば見られる傾向で
すが、初日は焦ってしまったのでしょう。
でも二日目は、皆さんが見ているところで
も恥ずかしがらずに素振り練習ができた事
と、これまで鍛錬を重ねてきた事柄を思い
出す事ができた素直さ・冷静さ=メンタル
的な強さを評価したいと思います。
山口選手は知的障がい者ボウリング大会や各種交流試合などの出場経験は重ねていましたが、三重県代表と
して大舞台に立つのは初めてでした。この事情を勘案すれば、上出来であったと思います。今後も更に精進し
て、平成33年の全国障害者スポーツ大会(三重大会)ボウリング競技への再出場、そして全国障がい者ボウ
リング大会への出場を目指して欲しいと願っています。
全国の選手たちとの交流を深めるのも選手団の役目です
近年、交流が活発になってきている三重県選手団と静岡県選手団
競技中はライバルであっても、試合が終われば、同じように高みを目指す仲間として親交を温めるのも大会
に出場する各都道府県市選手団の楽しみの一つとなっています。
4年前の「おいでませ!山口大会」の際は、
当協会は立ち上げ準備段階でしたが、地元選手
のための強化練習に三重の選手が参加する事を
快諾して下さった山口県選手団の皆さん。
第2回中部地区知的障がい者ボウリング大会
には、何人もの山口県選手が出場参加して下さ
いました。第 23 回全国障がい者ボウリング大会
では、山口と三重の選手で構成されたチームが
団体戦に参加するなど、今でも活発なお付き合いがあります。
非常に強力な横浜市選手団。本大会にも、大会
新記録を樹立した小寺 準選手(壮年男子)はじ
め、各クラスで素晴らしいスコアを記録した選手
が大勢出場していました。
知的障がい者ボウリング大会には、第 2 回大会
以降、毎回大勢の選手が出場してくれました。
来年は横浜が第 5 回大会の開催地となり、今度
は三重がビジターとして赴き、挑戦者となります。
三重県の選手たちにとって、すっかりお馴染みと
なった横浜市選手団ですが、お付き合いのきっかけは山口大会において監督同士で名刺交換できたことでした。
後列左端:浜松市監督(小澤春久氏)
、同じく
左より二人目:岐阜県監督(山田辰巳氏)
、後列
右側二人:静岡県選手2名
3年前の「ぎふ清流大会」では、地元岐阜県
のボウリング選手全員がメダル獲得を果たすと
いう快挙を達成しました。大会に先立って開催
されたリハーサル大会や強化練習会では、菱田
佐惠子監督(当時)と山田辰巳岐阜県連理事長
(現監督)のご尽力により、愛知・岐阜・三重
静岡などの近隣県・政令市の選手たちにも門戸を開いていただき、私たちも参加させてもらえました。
「ぎふ清流大会」終了後、当協会が「中部地区知的障がい者ボウリング大会」を提唱し、実現させていけた
のは近隣県・政令市の関係者の皆さまのご理解があったからです。また、三重として皆さまへの感謝の気持ち
もありました。
和歌山大会では、愛知県選手団役員と交流できる機会がありました。愛知県は、昨年から今年にかけて連続
して、大会新記録を更新した選手を出場させてみえます。当協会としても、お付き合いの輪に愛知県の皆さま
が入っていただけることを嬉しく思っています。
選手団をサポートしてくれた和歌山の皆さん
会期中、私たち三重県ボウリング
選手団付として、甲斐甲斐しく面倒
をみて下さった和歌山県の皆さん
を紹介させていただきます。
和歌山県職員
谷川 富彦さん(写真中央右)
学生ボランティア
長田 竜征さん(写真左端)
村上 晋也さん(写真左奥)
選手団の動きに合わせて、早朝に
家を出発し、夜になるまで私たちに
寄り添っていただきました。写真撮影やその編集作業、ボール運びや昼食場所の確保など、ここまでしていた
だいて良いものかと心配になってしまうような事柄までサポートして下さいました。
和歌山の皆さんのやさしさ、誠実
さに触れられて、とても嬉しかった
です。
閉会式の後、すぐに私たちは和歌
山を発って帰途につきました。お別
れの場で、三重県選手団代表が謝意
を述べる場にあっては目頭が熱く
なるのを抑えられませんでした。
選手たちも、感謝の気持ちを直接
伝える時間が充分になかったのを
残念そうにしていました。
選手の皆さん、随行された役員の皆さん、そして和歌山の皆さん、本当にお疲れ様でした。
平成 27 年 11 月 10 日
三重県知的障がい者ボウリング協会