ボラティリティの上昇:分散で備える - JPモルガン・アセット・マネジメント

MARKET INSIGHTS
Market Bulletin
2015年10月30日
ボラティリティの上昇:分散で備える
要旨
• ボラティリティ(変動性)を示すVIX指数とMOVE指数はいずれも8月半ばの
相場下落時に急上昇した。しかし、ここで一歩下がって、2つの指数が最近
数年間にどのような動きを示してきたかを理解することが重要と考える
• ボラティリティが高まるきっかけとして、多くの要因が考えられる。その中で
も特に、金融政策をめぐる不確実性や中国経済の動向は、今後、投資家
心理を大きく悪化させる恐れがある
• 今後、これらの要因によって、ボラティリティが上昇する局面、もしくは高止
まりが予想される。加えて、中東の地政学リスクや欧州の国内政治も潜在
的な上昇要因と見られる。日本の個人投資家は広く分散されたポートフォリ
オ(バランス型)で、ボラティリティの上昇に備えるべきと考える
ボラティリティの高止まりは続くか
8月半ばの急激な相場下落は、市場の本質を改めて思い知らされる重要なイ
ベントとなりました。ボラティリティ(変動性)は突発的に高まる可能性があり、
投資家はそうした不測の事態に備えてポートフォリオの分散を進める必要が
Tai Hui
Global Market Strategist
Market Insights
あります。
ボラティリティの尺度としてよく用いられる指数に、VIX指数とMOVE指数の2
つがあります。VIX指数は、米国株(S&P500)のボラティリティを示しています。
Akira Kunikyo
Global Market Strategist
Market Insights
MOVE指数は米国債のボラティリティを示す指数です。図1(次頁)に示す通り、
VIX指数とMOVE指数はいずれも8月半ばの相場下落時に急上昇しました。し
かし、ここで一歩下がって、2つの指数が最近数年間にどのような動きを示し
てきたかを理解することが重要です。
Guide to the Markets Japan
のダウンロードはこちらから
www.J.P.morganasset.co.J.P./guide
MARKET BULLETIN | OCTOBER 30, 2015
ボラティリティの推移を確認する
FRB(米連邦準備制度理事会)が2014年10月に量的緩和政策を終了して
から、VIX指数は2015年8月まで比較的低い水準(20未満)に留まっていま
したが、2015年8月24日に28まで上昇しました。また、過去にVIX指数は、
住宅ローンを発端とした金融危機や、欧州ソブリン債務危機などのイベント
で急上昇しています。
MOVE指数は、FRBによる量的緩和政策が終了した2014年10月以降、上
昇し、70~100のレンジで推移しています(量的緩和実施中は50~70のレ
ンジ)。急激な上昇はほとんど見られませんでしたが、足元のレンジ水準は
量的緩和実施中よりも高いという点に注意が必要です。
何がきっかけでボラティリティは高まるのか
ボラティリティが高まるきっかけとして、多くの要因が考えられます。
第1に、金融政策をめぐる不確実性は重要です。例えば、FRBが9月に利
上げを見送ったことで、利上げ開始のタイミングに関する不確実性が高ま
りましたが、一方で、欧州や日本を含む主要中央銀行は、なお金融緩和を
継続する構えです。こうした政策が債券市場と為替市場に影響を及ぼす結
果、さらにボラティリティが上昇する可能性があります。
図1: VIX指数とMOVE指数
(2004年1月から2015年9月30日まで)
300
網掛け部分:
140
利上げ時期
275
120
250
225
200
MOVE指数
(米国債)
175
100
80
150
60
125
100
40
75
50
20
25
VIX指数(S&P500)
0
0
'04 '05 '06 '07 '08 '09 '10 '11 '12 '13 '14 '15
出所: Guide to the Market Japan 4Q P70、Merrill Lynch、S&P Dow
Jones Indices、J.P. Morgan Asset Management
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V O L A TI L I TY : D I V E R S I F I E D P O R TF O L I O I S A KE Y
MARKET BULLETIN | OCTOBER 30, 2015
第2に、中国経済は依然として減速を続けています。コモディティと資本財
に対する中国の需要は、中期的に低位に留まると予想され、このためコモ
ディティ輸出国および中国向け輸出依存度が高い新興国に、減速圧力が
かかるとみられます。新興国の問題が要因となって先進国が景気後退に
陥ることはないとみているものの、こうした懸念が投資家心理を悪化させる
恐れがあります。
投資への示唆:「バランス型」で備えを
それ以外にも潜在的なきっかけとして、中東の地政学リスクや欧州の国内
政治などが挙げられるでしょう。しかし、ボラティリティの潜在的な要因の一
部を列挙できても、最も大きな影響を及ぼす要因については、誰にも予想
できません。いうなれば「予想外」のことは予想できないのが常です。
従って、ポートフォリオに安定性をもたらす上では、十分に分散されたポー
トフォリオ(バランス型)が有効と考えています。図2に示す通り、分散ポート
フォリオ(バランス型)は、過去市場がどのような局面になろうとも、相対的
に安定したリターンを獲得してきました。今後、各国の金融政策の動向や
中国経済の行方を巡り、ボラティリティが上昇する局面、もしくは高止まり
が予想されます。日本の個人投資家は広く分散されたポートフォリオで、ボ
ラティリティの上昇に備えるべきと考えます。
図2: 資産クラス別リターン
赤字は先進国国債のリターンがマイナスの期間
2003年
2004年
2005年
新興国株式
J-REIT
新興国株式
56.3%
欧州ハイ・
イールド
53.8%
37.8%
34.5%
2009年
欧州ハイ・
米国REIT 新興国株式 先進国国債
イールド
35.1%
39.8%
10.9%
79.3%
米国REIT
日本株式
新興国株式 先進国国債 新興国国債 新興国株式
31.6%
26.6%
日本株式
新興国株式
38.7%
37.1%
26.0%
欧州ハイ・
イールド
23.2%
先進国株式
日本株式
米国REIT
33.8%
16.3%
J-REIT
バランス型
32.8%
15.7%
バランス型 先進国株式
29.0%
15.2%
米国ハイ・
新興国国債
イールド
28.0%
11.6%
米国ハイ・
新興国国債
イールド
22.2%
10.9%
先進国国債 先進国国債
14.9%
10.3%
2006年
32.6%
2007年
10.9%
2008年
-12.0%
2010年
2011年
J-REIT
米国REIT
53.7%
8.3%
米国REIT 新興国国債
2012年
2013年
欧州ハイ・
先進国株式
イールド
29.5%
27.4%
J-REIT
日本株式
2014年
2015年
年初来
米国REIT
日本株式
28.0%
1.4%
J-REIT
新興国国債
79.0%
27.9%
7.3%
25.0%
27.2%
14.1%
米国ハイ・
J-REIT
米国REIT
J-REIT
新興国株式 先進国国債 米国REIT
新興国国債
先進国株式 バランス型
イールド
12.2%
27.4%
9.6%
-21.7%
58.1%
19.2%
6.4%
19.7%
16.2%
7.4%
欧州ハイ・
米国ハイ・
米国ハイ・
欧州ハイ・
新興国国債
バランス型
先進国株式 日本株式
新興国株式
先進国株式
イールド
イールド
イールド
イールド
10.2%
23.4%
9.4%
-26.1%
30.8%
15.7%
4.4%
18.6%
14.7%
5.5%
欧州ハイ・
米国ハイ・
米国ハイ・
先進国株式 先進国株式
日本株式 新興国国債
バランス型 新興国国債
バランス型
イールド
イールド
イールド
10.0%
20.7%
8.0%
-26.8%
29.8%
15.1%
0.6%
17.4%
7.4%
5.1%
米国ハイ・
J-REIT
バランス型 バランス型 新興国国債
バランス型 バランス型 先進国株式 先進国株式 バランス型
イールド
6.9%
16.9%
6.2%
-36.7%
29.5%
12.7%
-5.0%
16.5%
7.3%
2.5%
米国ハイ・ 米国ハイ・
欧州ハイ・
欧州ハイ・ 米国ハイ・
J-REIT
米国REIT 先進国株式
米国REIT 先進国国債
イールド
イールド
イールド
イールド
イールド
2.8%
10.8%
3.3%
-37.0%
28.0%
12.3%
-5.6%
15.5%
2.9%
-0.5%
米国ハイ・
J-REIT
米国REIT 日本株式 新興国国債 日本株式 バランス型 新興国株式 新興国株式
新興国国債
イールド
-2.3%
9.9%
2.5%
-37.7%
4.9%
12.2%
-12.4%
12.6%
-2.3%
-1.8%
欧州ハイ・
J-REIT
J-REIT
先進国国債 先進国国債 日本株式 先進国株式
日本株式 先進国国債 日本株式
イールド
-6.9%
6.1%
-5.3%
-40.3%
3.6%
6.8%
-17.9%
7.1%
-4.0%
-3.0%
欧州ハイ・
欧州ハイ・
米国REIT 新興国株式 先進国国債 先進国国債 新興国株式 先進国国債 新興国国債
日本株式
イールド
イールド
-7.0%
1.9%
-15.7%
-53.2%
2.6%
5.2%
-18.2%
1.6%
-5.3%
-7.1%
-0.1%
先進国国債
-2.4%
米国ハイ・
イールド
-2.5%
米国REIT
-4.5%
バランス型
-4.6%
先進国株式
-5.6%
欧州ハイ・
イールド
-8.2%
J-REIT
-10.0%
新興国株式
-15.2%
出所:Guide to the Market Japan 4Q P75、MSCI、Citigroup、BofA Merrill Lynch、FTSE、東京証券取引所、Bloomberg、J.P. Morgan
Asset Management 注:米ドル・ベース。トータルリターン。使用した指数は次のとおり;先進国株式:MSCI World Index、新興国株式:
MSCI Emerging Markets Index、先進国国債:Citi World Government Bond Index、米国ハイ・イールド:BofA Merrill Lynch US High
Yield Index、欧州ハイ・イールド:BofA Merrill Lynch Euro High Yield Index、新興国国債:J.P. Morgan EMBI Global Index、米国
REIT:FTSE NAREIT All Equity REITs Index、日本株式:TOPIX、J-REIT:東証REIT指数、「バランス型」の資産配分は次のとおり;先
進国株式:30%、新興国株式:10%、先進国国債:30%、米国ハイ・イールド:10%、新興国国債:10%、米国REIT:10%。データは2015年
9月30日時点で取得可能な最新のものを掲載。
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V O L A TI L I TY : D I V E R S I F I E D P O R TF O L I O I S A KE Y
MARKET INSIGHTS
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性を保証するものではありません。本資料はいかなる金融商品の売買も推奨するものではありません。見通しや投資戦略は
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ネジメント・インディア・プライベート・リミテッド、シンガポール:金融管理局の監督下にあるJ.P.モルガン・アセット・マネジメント(シ
ンガポール)リミテッド、J.P.モルガン・アセット・マネジメント・リアル・アセット(シンガポール)プライベート・リミテッド、台湾:金融監
督管理委員会の監督下にあるJ.P.モルガン・アセット・マネジメント(タイワン)リミテッド、J.P.モルガン・ファンズ(タイワン)リミテッド、
日本:金融庁の監督下にあるJ.P.モルガン・アセット・マネジメント株式会社(金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第
330号 加入協会:日本証券業協会、一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法
人第二種金融商品取引業協会)、韓国:金融委員会の監督下にあるJ.P.モルガン・アセット・マネジメント(コリア)カンパニー・
リミテッド(韓国預金保険公社による保護はありません)、オーストラリア:証券投資委員会の監督下にあるJ.P.モルガン・アセッ
ト・マネジメント(オーストラリア)リミテッド(ABN55143832080)(AFSL376919)(Corporation Act 2001(Cth)第761A条および第
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