株主・投資家の皆さまへ 桃太郎源社便り 桃太郎源社便り Vol.8( 2012 Summer ) 暑中お見舞い申し上げます。昨年スタートした岡山大学における世界初となる「前立 腺がんに対する REIC 遺伝子治療臨床研究」も順調に症例数を重ね、高い安全性と臨床 効果が認められています。7月からは当初の研究計画よりも、さらに高い投与量での 追加試験も開始されています。また、現在 米国で製剤化を進めている第二世代の製剤 (Ad-SGE-REIC)を上市する第一号の製剤と明確に位置づけ、米国での臨床試験を円滑に 進めるために事業体制の強化を図っています。 2012 年 2 月 3月 5月 6月 7月 東アジア遺伝子治療推進懇話会(蘇州)開催 第 18 回 第三者割当増資(資本金 211,600 千円) 岡山大学病院遺伝子治療臨床研究審査委員会(安全性・有用性の確認、追加試験の実施承認) BIO 2012 in BOSTON 出展(JETRO パビリオンにパネル出展、メガファーマ等5社と協議) 岩佐 進氏、Richard Lowenthal 氏 取締役就任 本社を「おかやまメディカルイノベーションセンター(鹿田キャンパス)」に移転 REIC 遺伝子治療臨床研究について(岡山大学・前立腺がん) 昨年 1 月 25 日に岡山大学においてスタートした前立腺がんを対象とする臨床 研究(右下図)は、A 群(ホルモン療法再燃進行性前立腺がん)と B 群(再発 ハイリスク初発前立腺がんの術前治療)の 2 群で研究が行われています。その うちB群の 12 例は本年 6 月に投与が完了し、岡山大学病院遺伝子治療臨床研 究審査委員会において、その高い安全性と治療効果が確認されました。副作用 に関しては、レベル 3 の高投与群において一過性、かつ軽度の発熱を認めたの みでした。治療効果については、PSA(前立腺がんの進行度を鋭敏に反映する 前立腺がん腫瘍マーカー)の低下や、手術にて摘 出された前立腺の病理組織所見により確認されま した。B 群レベル 3 において PSA は 6 例全てで低 下(右グラフ:8.7 ∼ 22.7%)し、一部の症例で は MRI 検査でも腫瘍の縮小が認められました。組 織検査では、腫瘍細胞の死滅(アポトーシス)に よるがん組織の崩壊、免疫細胞の腫瘍組織内への 浸潤などの所見が認められました(右上写真)。 また、治療後に末梢血液中の免疫担当細胞(活性 化細胞傷害性T細胞やナチュラルキラー細胞)が 増加することも確認されました。以上の成績から Ad-REIC 製剤のヒトに対する有効性の科学的根拠 (Proof of concept)が着実に確立されつつありま す。一方、今回の研究で計画していた高投与群で の投与量においても、問題となる副作用が認めら れなかったことより、最大耐用投与量に達してい ないと判断し、レベル4として、さらに高い用量 での試験(臨床研究)の継続が委員会にて承認さ れました。これを受けて 7 月 17 日より投与量を レベル 3 の 3 倍に増量した B 群レベル 4(13 例 目)の研究がスタートしています。また、治療精 度を高めるため、前立腺がんの小線源治療に使用 している座標付きプレート(右図)を用いて腫瘍 の位置を確認して、Ad-REIC 製剤の注入が実施で きるように、手技の改善にも取り組んでいます。 取締役就任のお知らせ 6 月 26 日( 火)、岡山商工会議所 101 会議室において 第 5 回定期株主総会を開催し、新たに 2 名の取締役を 選任いただきました。役員体制の充実により、第二世 代の Ad-SGE-REIC 製剤や関連技術の開発をさらに加速 させ、また米国における Ad-SGE-REIC 製剤の臨床試験 や、大手ベンチャーキャピタルやメガファーマとの交 渉がより円滑に進むと考えています。 【取締役】岩佐 進(いわさ・すすむ) 京都大学理学部卒。薬学博士。武田薬品工業株式会社入社。研究本部において主にバイオ医薬、特に抗体 医薬の創製に従事。その後、本社事業評価室長、医薬研究本部 研究推進部長を歴任。退職後は、株式会社 島津製作所ライフサイエンス研究所 事業統括部 企画担当部長として新規事業の確立に貢献、現在も技術 顧問として企画戦略を助言。2009 年より岡山大学客員教授として岡山大学ナノバイオ標的医療イノベー ションセンター事業にも参画。 【取締役】Richard Lowenthal(リチャード・ローウェンサル) フロリダ州立大学有機化学修士、サンディエゴ大学ビジネスサイエンス修士。アメリカ食品医薬品局(FDA) の新薬審査官を経て、Janssen Research Foundation(ジョンソンエンドジョンソンの一部)で、グローバル プロジェクト リーダーとグローバル薬事ディレクターを経験。アンジェス MG、Maxim Pharmaceuticals、 Cadence Pharmaceuticals で薬事と品質保証のヘッドとして製薬・バイオロジクスの開発に従事し、この間 多くの IND、承認申請を担当。当社が 2010 年 3 月に米国 FDA より受理された IND 申請においても、薬事 コンサルタントとして中心的役割を担う。米カリフォルニア(サンディエゴ)在住。 研究開発の進捗について(対象疾患別) 岡山大学における悪性中皮腫の臨床研究は、新しい GMP 製剤 (Ad-CMV-REIC) が実際に岡山大学に届いており、 2012 年度後半の研究開始に向けて準備が最終段階を迎えています。また、中国においても悪性中皮腫の臨床 試験認可申請に向けた試験用製剤の製造が、株式会社イーピーエスの中国法人により 7 月からスタートしてい ます。腎臓がんについては、岡山大学での 2014 年度中の臨床研究実施に向けて、臨床研究計画(プロトコル) 作成の委員会を立ち上げ、7 月に第 1 回プロトコル検討委員会を開催しました。また、REIC は動物への効果も 十分に期待できることから、欧米のアニマルヘルス企業からのアプローチを受けて、人への製剤化より垣根が 低い犬・猫等のコンパニオン・アニマルへの適用についても検討を開始しています。 桃太郎源株式会社は、多くの地元有力企業さまより ご投資を頂き、人に投与可能な世界基準(GMP)を満たす製剤を製造し、 国から認可を受けた研究計画手順に基づき岡山大学において臨床研究を行って参りました。これにより、Ad-REIC 製剤の POC が確立されつつあり、現在 ご関心をお寄せいただいています国内外の製薬企業様 10 社との折衝を進めています。一方、第二 世代の「Ad-SGE-REIC」を実際に上市する製剤として明確に位置づけていますが、2014 年度末までに実施予定の「Ad-SGE-RE IC の臨床フェーズⅠ試験」に必要な研究開発費用は、昨年採択されました独立行政法人 科学技術振興機構の研究成果最適展開 プログラム(A-STEP)によりカバーされることが確定しています。したがって、弊社の当面の資金需要としては、2014 年度末 までのランニングコストに充当する 8,000 万円が挙げられ、2012 年度中に実施いたします増資での調達を目指しております。 また、2013 年度に製薬企業とのオプション契約が決まりました後に、株式上場に向けた資金調達を実施する予定です。 岡山から日本を元気にする遺伝子治療 創薬ベンチャー企業である弊社に対し、今後とも あたたかいご理解を頂戴し、新規 または追加のご投資について ご検討を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。詳しくはお気軽に弊社までお問い 合わせください。 研究員採用 角南 麗美 理学部生物科学専攻 研究開発部開発課配属(プロトコル・知財管理) 4 月 1 日 常勤採用 〒700-0858 岡山市北区鹿田町 2-5-1 OMIC インキュベーション施設 23 号 E-mail [email protected] URL http://www.mt-gene.com/ (Momotaro-Gene News 2012.8)
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