制限行為能力・後見人制度

制限行為能力・後見人制度
本試験の出題
正誤Check!
問題
キリトリ
✂
6
A
制限行為能力・後見人制度
民法総則
重要度
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H26-問09
〔ID:1160〕
後見人制度に関する次の記述のうち,民法の規定
によれば,正しいものはどれか。
❶ 成年被後見人が第三者との間で建物の贈与を受ける契約をした
場合には,成年後見人は,当該法律行為を取り消すことができな
い。
❷ 成年後見人が,成年被後見人に代わって,成年被後見人が居
住している建物を売却する場合には,家庭裁判所の許可を要しな
い。
❸ 未成年後見人は,自ら後見する未成年者について,後見開始の
審判を請求することはできない。
❹ 成年後見人は家庭裁判所が選任する者であるが,未成年後見人
は必ずしも家庭裁判所が選任する者とは限らない。
7 11 6 2
21
正 解
4
本試験時の正答率
(第1編・権利関係) 1 制限行為能力者(P11 ~)
60.6%
❶ 誤り。贈与を受ける契約も,成年後見人が取り消すことができる。
成年被後見人の法律行為は,日用品の購入その他日常生活に関する
行為を除き,取り消すことができます。したがって,建物の贈与を
受ける契約も取り消すことができます。そして,行為能力の制限に
よって取り消すことができる行為は,制限行為能力者又はその代理
人,承継人,同意をすることができる者に限り,取り消すことがで
きます。よって,成年被後見人の代理人である成年後見人も,本肢
➡ 民法9条,
120条,859条
の行為の取消しをすることができます。
❷ 誤り。成年被後見人の居住用建物を処分→裁判所の許可必要。
後見開始の審判は,本人,配偶者,4親等内の親族,未成年後見人,
未成年後見監督人,保佐人,保佐監督人,補助人,補助監督人又は
検察官の請求によりすることができます。したがって,未成年後見
人も,自ら後見する未成年者について,後見開始の審判の請求をす
➡ 7条
ることができます。
❹ 正しい。未成年後見人は,まず親権者が遺言で指定する。
22
成年後見人は,家庭裁判所が,後見開始の審判をするときに,職権
で選任します。これに対して,未成年者に対して最後に親権を行う
者は,遺言で,未成年後見人を指定することができます。そして,
この指定による未成年後見人となるべき者がいないときに,家庭裁
判所は,未成年被後見人又はその親族その他の利害関係人の請求に
➡ 843条,
839条,840条
よって,未成年後見人を選任します。
✂
❸ 誤り。未成年後見人も,後見開始の審判の請求可能。
キリトリ
成年後見人は,成年被後見人に代わって,その居住の用に供する建
物又はその敷地について,売却,賃貸,賃貸借の解除又は抵当権の
設定その他これらに準ずる処分をするには,家庭裁判所の許可を得
➡ 859条の3
なければなりません。
賃貸借
債権-2
正誤Check!
重要度
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本試験の出題
A
H26-問07
〔ID:1158〕
問題
80
賃貸人Aから賃借人Bが借りたA所有の甲土地の
上に,Bが乙建物を所有する場合における次の記
述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しい
ものはどれか。なお,Bは,自己名義で乙建物の保存登記をし
ているものとする。
❷ Cが甲土地を不法占拠してBの土地利用を妨害している場合,
Bは,Aの有する甲土地の所有権に基づく妨害排除請求権を代位
行使してCの妨害の排除を求めることができるほか,自己の有す
る甲土地の賃借権に基づいてCの妨害の排除を求めることができ
る。
賃貸借
✂
キリトリ
❶ BがAに無断で乙建物をCに月額10万円の賃料で貸した場合,
Aは,借地の無断転貸を理由に,甲土地の賃貸借契約を解除する
ことができる。
❸ BがAの承諾を得て甲土地を月額15万円の賃料でCに転貸した
場合,AB間の賃貸借契約がBの債務不履行で解除されても,A
はCに解除を対抗することができない。
❹ AB間で賃料の支払時期について特約がない場合,Bは,当月
末日までに,翌月分の賃料を支払わなければならない。
7 11 6 0
175
正 解
2
本試験時の正答率
(第1編・権利関係) 14 賃貸借(P143 ~)
62.1%
キリトリ
❶ 誤り。借地上の建物の「賃貸」には,賃貸人の承諾は不要。
賃借人は,賃貸人の承諾を得なければ,その賃借権を譲り渡し,又
は賃借物を転貸することができません。賃借人がこれに違反して第
三者に賃借物の使用・収益をさせたときは,賃貸人は,契約の解除
をすることができます。ですから,借地上の建物を「譲渡」する場
合は,土地の賃借権の譲渡を伴うので,土地の賃貸人の承諾が必要
です。しかし,本肢のように借地上の建物を「賃貸」する場合は,
土地の賃貸人の承諾は不要です。なぜなら,借地上の建物を第三者
に賃貸して収益することも,土地の賃借人に設定された利用権の範
➡ 民法612条,判例
囲内といえるからです。
賃借人は,賃貸人である所有者の有する所有権に基づく妨害排除請
求権を代位行使して,不法占拠者に対して妨害排除の請求をするこ
とができます。また,賃借人は,自己の有する対抗力を備えた賃借
権に基づいて,直接不法占拠者に対する妨害排除の請求をすること
もできます。不動産の賃借権は,債権ですが,実質的には地上権な
どの物権と同じような実態を備えていますので,同様に直接的な妨
➡ 判例,
202条参照
害排除請求が認められているのです。
❸ 誤り。債務不履行による解除の場合は,転借人に対抗可能。
賃借人の債務不履行に基づいて賃貸借契約が解除された場合,賃貸
人は,転借人に対してその解除を対抗することができます。
➡ 541条,判例
❹ 誤り。民法上は,賃料は後払いが原則。
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賃貸借契約においては,賃料は,動産,建物及び宅地については毎
月末に,その他の土地については毎年末に,支払わなければなりま
➡ 614条
せん。つまり,いわゆる後払いが原則です。
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❷ 正しい。賃借権に基づく妨害排除請求も可能。
不法行為
債権-2
本試験の出題
正誤Check!
問題
キリトリ
B
H26-問08
〔ID:1159〕
不法行為に関する次の記述のうち,民法の規定及
び判例によれば,正しいものはどれか。
❶ 不法行為による損害賠償請求権の期間の制限を定める民法第
724条における,被害者が損害を知った時とは,被害者が損害の
発生を現実に認識した時をいう。
❷ 不法行為による損害賠償債務の不履行に基づく遅延損害金債権
は,当該債権が発生した時から10年間行使しないことにより,時
効によって消滅する。
❸ 不法占拠により日々発生する損害については,加害行為が終
わった時から一括して消滅時効が進行し,日々発生する損害を
知った時から別個に消滅時効が進行することはない。
不法行為
✂
89
重要度
Rank
❹ 不法行為の加害者が海外に在住している間は,民法第724条後
段の20年の時効期間は進行しない。
7 11 6 1
193
正 解
1
本試験時の正答率
(第1編・権利関係) 16 不法行為(P163 ~)
42.0%
❶ 正しい。被害者が損害を知った時→損害発生を現実に認識した時。
不法行為による損害賠償の請求権は,「被害者又はその法定代理人が
損害及び加害者を知った時」から3年間行使しないときは,時効に
よって消滅します。この「被害者が損害を知った時」というのは,「被
害者が損害の発生を現実に認識した時をいう」とされています。
➡ 民法724条,判例
❷ 誤り。遅延損害金債権の時効→元の不法行為損害賠償請求権と同。
不法行為による損害賠償の請求権は,「被害者又はその法定代理人が
損害及び加害者を知った時」から3年間行使しないときは,時効に
よって消滅します。そして,❶で述べたように,この消滅時効の期
間は,被害者が損害(及び加害者)の発生を現実に認識した時から
➡ 724条,判例
進行しますので,個別に進行します。
❹ 誤り。不法行為の時から20年で当然に消滅し,進行は中断しない。
194
不法行為による損害賠償の請求権は,不法行為の時から20年を経過
したときは消滅します。請求権は,この期間の経過によって当然に
消滅し,その進行が中断されることはないと解されています(除斥
➡ 724条,判例
期間)。
✂
❸ 誤り。消滅時効期間は,原則として個別に進行する。
キリトリ
不法行為に基づく損害賠償債務の不履行に基づく遅延損害金債権は,
不法行為に基づく損害賠償債権とは別の債権です。ですから,一般
の債権として10年の消滅時効にかかることになりそうです。しか
し,両者は実質的には同一のものということができますので,被害
者が損害及び加害者を知った時から3年間経過することにより時効
➡ 724条,判例
によって消滅するとされています。