メディカル・イメージングにおける汎用ディスプレイ リアルビジョンの

メディカル・イメージングにおける汎用ディスプレイ
リアルビジョンのFVT200を利用した
もう一つのDICOMキャリブレーション・システム
Medical QC Images, LLC
ケン・コンプトン
メディカル・イメージングにおけるFVT200を使用した汎用ディスプレイの利用 2008年10月
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本稿の内容
1.
はじめに
2.
医療における動作基準
3.
汎用ディスプレイのキャリブレーション結果
4.
AAPM及びACR-NEMAに対応するための最低の水準
5.
主ディスプレイとサブディスプレイ(診断と臨床)の参照基準
6.
結論
参照:
AAPM OR_3 & Test Patterns
DICOM Part 3.14 GSDF
ACR-NEMA
メディカル・イメージングにおけるFVT200を使用した汎用ディスプレイの利用 2008年10月
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1. はじめに
医療用ディスプレイの品質と、民生品(COTS)ディスプレイの品質の違いは、医療用ディスプ
レイメーカーにより加えられる特性である、バックライトの安定化と、DICOM Part 3.14で定義
されるグレースケール標準表示関数(GSDF)に準拠するために用いられる、内蔵ルックアップ
テーブル(LUT)の2点だけである。放射線科の上位標準では、モノクロ及びカラーのアクティ
ブマトリックスLCDの双方において、デュアルIPS(DIPS)方式が使用されてきた。重要な特
性として、輝度ムラに影響を及ぼす視野角特性や、コントラストの安定性、赤色波長の最小クリ
ッピングがある。民生品ディスプレイで使用されているもう一つのコア技術として、より高速な
スイッチング速度を提供するが、赤色の減色や輝度ムラの影響があるVA方式がある。
註)GSDF : Grayscale Standard Display Function
最新のアクティブマトリックスLCDコアは、IPS方式を使用しているが、VA方式ではより高速
で、ほとんど同等の視野角性能を持っている。これらの方式は、1.3 及び 2.0メガピクセルの解
像度で、民生品及び医療用ディスプレイの双方に使用されている。3及び5メガピクセルのディス
プレイは、非医療分野での民生アプリケーションでの使用は限られている。そのため、医療用と
民生用ディスプレイの比較は、2メガピクセル(あるいはそれ以下の解像度の)医療用ディスプ
レイと、ピクセル・サイズ250ミクロン(0.25mm)の2メガピクセル民生用ディスプレイの比較
になる。ほとんどの2メガピクセル・ディスプレイでは、250ミクロン(10ミクロン程度の差が
ある)のピクセル・サイズであるのに対して、1.3メガピクセル・ディスプレイでは、19インチ
のサブストレート上で、294ミクロン以上となる。表示解像度が上がった場合、液晶パネルのメ
カニカルなロー/コラム構造が、通常の視野距離すなわち読影室の環境からのノイズとして、よ
り検出され易くなる。
2. 医療の動作基準
医療用ディスプレイは、どこでGSDFへのキャリブレーションが行われるかに関して、2つのカ
テゴリーに分類される。旧タイプで且つ精度の低いディスプレイでは、ルックアップテーブルの
情報を保持するために、グラフィックス・カードのメモリ・レジスタを使用している。GSDFに
キャリブレーションされた全てのディスプレイは、それらの元々の輝度応答を測定することで、
キャラクタライズされなければならない。GSDFテーブルの輝度カーブ(DICOM Part 3.14)と
の比較により生成される補正値が、ルックアップテーブルの値となる。 PACSイメージ値の精度
は、PACSシステムがDICOMに準拠するために必要な、8ビットの表示値(P値)に制限されて
いる。 さらに、ほとんどのグラフィックス・カードでは、8ビットの転送チャネルを使用してお
り、グラフィック・カード上でのキャリブレーションを行った場合で、GSDFと比較して、おお
よそ4%の偏差が生じる。
最新のそして高精度のディスプレイでは、グラフィックス・カード上では変更されないP値を渡
し、それらをディスプレイ内の10あるいは12ビットのルックアップテーブルに書き込むのが一般
的である。DICOM参照情報及の使用及び、12ビット精度のディスプレイにおける表示特性応答
により、標準的レベルの精度として、1.5%以下(最大標準偏差)が実現される。全てのアクテ
ィブマトリックスLCDディスプレイの元々の輝度応答は、人間の目の輝度応答と比較して緩慢で
ある。255(0-255 デジタル駆動レベル、8ビット)を超えたステップでは、255ステップのうち
の164ステップが、補正されたルックアップテーブルが無い場合のGSDFカーブ上から外れてし
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まう。医療用ディスプレイでは、特定の値で最大輝度を保持するため、バックライトの安定度に
従ったこの補正が組み込まれている。これは、診断用ディスプレイとして販売され、一般放射線
用途でFDA 510Kリストに登録されるディスプレイで必要とされる。
バックライトは、多くの場合民生用の照明グリッドとして使用される蛍光ランプである。それは、
最初の2000~3000時間以内に発生する10%程度の輝度減少という一般的な経年変化を伴う。経
年変化の速度はその後遅くなる。民生用ディスプレイでは、初期の経年変化に対して、数度の再
キャリブレーションを行い、徐々にその回数を減らしていくことが必要である。
リアルビジョンのFVT200のように、後付けで民生用ディスプレイにキャリブレーション機能を
提供することで、元々の輝度応答を補正し、グラフィック・カードに保持されるルックアップテ
ーブルを使用する医療用ディスプレイと同等か、それ以上の精度レベルを実現することが出来る。
GSDFの精度は方程式の一部に過ぎない。AAPM及びACR-NEMAに記載されている最低性能基
準は、イメージ表示(輝度比、別名コントラスト比)を行うための最大輝度、輝度比及び周囲寄
与が考慮されるよう適用すべきである。
3. 汎用ディスプレイのキャリブレーション結果
テストに使用したディスプレイは、アナログ及びデジタル入力を持ち、300カンデラで、1440×
900画素のカラーを表示することが可能な、19インチ・スクリーンの製品である。明確な評価を
行うため、このディスプレイは、貧弱な性能で低価格な民生用ディスプレイの代表的製品から選
ばれた。アナログ入力は、いずれの医療アプリケーションにも使用を推奨することは出来ない。
これはアナログ入力が、多様なグラフィックス・カードの出力や、処理のデジタル化のためLCD
ディスプレイ内で行われる変換の影響を受け易いためである。ディスプレイは、Windows XPが
動作しているPCのATI Radeon HD 4670グラフィックス・カードに接続されている。
FVT200では、P値を処理するためにデジタル入力が必要であり、ディスプレイ筐体内で補正が
行われる場合には、10ビット精度を保つために変換を行う。図1 に本システムにおけるFVT200
のセットアップ構成を示す。電源及びPCとの通信に関しては示されていないが、USB接続によ
り供給される。
図1.
初期テストは、民生用ディスプレイが、どの程度基準から外れているかを確かめるために実行さ
れた。民生用ディスプレイでは、輝度応答の遅れに加えて、グラフィック・カードの出力が、デ
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ジタル駆動レベル255(DDLは、P値からの変換で得られる)に達する前に、それらの最大出力
でピークに達することもある。これは、明るい周囲光の状態での使用を想定した、オフィス・オ
ートメーション用のディスプレイでは、一般的な輝度応答である。この場合に対象となるディス
プレイは、デジタル駆動レベルは、255以下にはならない。
テスト対象のディスプレイは、元々の輝度応答を持っており、GSDFに対する許容範囲が± 20%
以内を求められる、参照目的の医療アプリケーション(AAPMによる)では使用できない。図2a
に示された輝度応答では、1つだけ除いて全てが、デルタL/L対JNDインデックスを使用した、
診断で必要とされる10%の許容範囲外にある。20%の許容範囲では、さらに2ポイントが許容範
囲内に入ったが、医用画像の読影については、まだ受容できない状態であった。
註)JND : Just-Noticeable-Difference
LumiCal Advanced(リアルビジョン製)を使用するキャリブレーションの初期設定は、33デー
タ・ポイントでの補正を行うよう設定されているが、元々の輝度応答で、多くの不連続性を持つ
民生用ディスプレイでは十分ではない。より高品質な民生用ディスプレイでは、33データポイン
トでのキャリブレーションを行うと、10%の許容範囲内に収まる。コンフォーマンス・テストの
初期状態では、検証が有効な18ポイントを利用した。しかし不連続性が観測され、64あるいはそ
れ以上のデータポイントでの再キャリブレーションを行った場合、最大255ポイントで低コント
ラストな対象が改善されるようになる。
LumiCal Advancedには、キャリブレーションとコンフォーマンス・テストのためのデータポイ
ント数を選択するためのセットアップ・ウインドウが用意されている。民生用ディスプレイのキ
ャリブレーションでは、最大値である255個のデータポイントを使用して、GSDFに最適なキャ
リブレーションを行うべきである。
図2a
図2b
図2bは、デジタル駆動レベル(DDL)に対して計測された輝度応答である。これは、キャリブ
レーション前の全てのアクティブ・マトリックスLCD ディスプレイで観測される、古典的な「S」
型応答に似ている。この軌道は元々の輝度応答を表しており、見ての通り、交差するポイントの
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みがGSDFのターゲット値(四角)上にある。
± 10%の許容範囲で主要なリードを行った場合、33データ・ポイントのキャリブレーション結果
を図3に示す(18ポイントのコンフォーマンス・テスト)。2ポイントは、まだ許容範囲の外側に
あり、3ポイントは境界線上にある。より多くのポイントでのコンフォーマンス・テストでは、
さらに多くの境界上での応答が見られた。5つの注目されたデータポイントの全てが、参照用(臨
床あるいは照会)としては、20%の許容範囲内に収まった。
最大の256ポイントでのキャリブレーションを選択した場合には、図4に示されるような最適な結
果が得られる。診断のためには、全てのデータポイントが±10%の許容範囲内に収まっていなけ
ればならない。前述のように、GSDFに対する輝度応答が、診断の品質を保証するものではない。
ディスプレイは、周囲条件を含めた、最小レベル輝度や輝度比を実現することも必要である。
図3.
図4.
4. AAPM及びACR-NEMAに対応するための最低の水準
AAPM 公開文章 (OR_3) 及び要旨では、より大きな表の一部として、以下のデータ-が示され
ている。GSDF応答との組み合わせで、精度と信頼性を得るよう、最適なイメージ品質を実現す
るため、3つの重要な要素を、参照レベル(診断及び臨床)に対して観測することが必要である。
受入基準パラメータ
診断時の読影
臨床時の読影
最大輝度(cd/m2)
L’max ≥ 170
L’max ≥ 170
輝度比 (LR’)
LR’ ≥ 250:1
LR’ ≥ 100:1
周囲のブラックレベル
Lmin ≥ 1.5×Lamb (ideal 4x)
Lmin ≥ 1.5×Lamb (ideal 4x)
註)輝度及び輝度比と関連する数値は、周囲の輝度レベルは、輝度測定の一部であることを示している。
診断時の読影では、ほとんどの市販カラー・ディスプレイで最大輝度170カンデラ以上が達成さ
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れている。一般的な最大輝度は、250~300カンデラに達している。ACR-NEMAでは、最低輝度
を250カンデラ以上となるよう推奨している。
250 : 1の輝度比を実現することは重要であり、170カンデラの周囲光は、描画領域外のピクセル
のLCD光の漏れよりも低い、0.68カンデラという僅かな値でなければならない。民生用ディスプ
レイの輝度性能の向上により、全体的な表示品質や耐用期間も改善され、すなわちAAPM及び
ACR-NEMA最低基準を満たせるようになった。250対1の輝度比は、人間の目のコントラスト範
囲である。ディスプレイは、全ての環境においての最低水準として、この輝度比を実現しなくて
はならない。周囲のブラックレベル(Lamb)は、ディスプレイ上「黒」が表示されている場合、
環境を示すために計測された周囲輝度に対して、1.5倍より低くてはいけない(理想的には4倍以
上)。さもなければ周囲光以下の輝度のピクセル値は見ることが出来ない。LumiCal Advanced
ソフトウエアにより、補正時に必要とされる、計測された周囲値や予測値を入手することが出来
る。
GSDFへのキャリブレーションは、結果として、キャリブレーションされていない状態からおお
よそ5~7%程度、最大輝度を低下させることになる。これは、元々の輝度応答をGSDFカーブに
合わせることによる結果である。民生用ディスプレイは、輝度を高めるためのより大きなバック
ライトの駆動を行うような十分なマージンを持ってはいないため、ユニフォーミティ補正を利用
することは推奨できない。ユニフォーミティ補正を行うと、9個の象限(3×3の配列になってい
る)に分割されたスクリーン上で発生される最低の輝度レベルに、最大輝度が制限されてしまう。
通常の参照は66cmの距離(手の長さ)で行われるが、平坦領域(1つの静的な輝度レベル)での
輝度では、目ではほとんどの変化を検出することは出来ない。
5. 主ディスプレイとサブディスプレイ(診断と臨床)の参照基準
4章で示された参照基準を別にすれば、AAPMテストパターンは、QC TG18 テストパターンと
呼ばれ、グレースケールの矩形領域内で低いコントラストを持ち、0%の輝度内の5%で始まり
100%の輝度内で95%で終わる中央部を囲む、1000及び2000ピクセルの形式から成る。連続する
それぞれの矩形領域は、個々に特定のDDLを持つ。それぞれの矩形領域内には、この矩形領域の
DDLと比較して、+4から-4ピクセル値に設定された対角線上の角に、より小さな矩形領域があ
る。比較的均等に画像を見ることが出来る、診断用ディスプレイでは、それらは見えるはずであ
る。「Quality Control」という文字が書かれた3つの矩形領域では、左側の黒い矩形領域では見
ることが困難な、「 I 」だけも見えるはずである。目のより明るい領域への適応が、この部分
の見えにくさの原因となっている。
添付のスクリーン・キャプチャーは、GSDF補正が「有効」の場合と「無効」の場合のQCテス
トパターンを示している。テストをしたディスプレイのイメージ応答は、全てのキーエリアで正
確であり、ダイナミック輝度レンジ全般において、良好なバランスを示していた。
6. 結論
FVT200は、民生用ディスプレイでGSDFの許容範囲内で診断を行うための、ソフトウエア及び
ハードウエアを併用した、優れたキャリブレーション・システムである。しかし、輝度の低い貧
弱な品質民生用ディスプレイを購入してはならない。キャリブレーションされた範囲において
FVT200 は、AAPM.AAPMで推奨されている最低性能基準を保持している。
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この評価のためにテストで使用したディスプレイは、300カンデラの輝度性能を持っていたが、
キャリブレーションを行わない状態での最大輝度は、223カンデラ以上にはならなかった。ソフ
トウエア機能として、ユニフォーミティ補正を試験し、評価したが、最大輝度の減少が発生する
ことから、推奨することは出来ない。試験に使用したディスプレイでは、補正された場合の最大
輝度は、イメージ品質に顕著な改善は無かったが、195カンデラに落ち込んだ。ユニフォーミテ
ィは、ユーザー・インタフェイスを介してオン・オフを切替えることができる。
QCテスト・パターンの評価では、低コントラストの対象イメージのほとんどにおいて、この民
生用ディスプレイのダイナミックレンジ全体にわたる良好なバランスの応答を示している。最大
輝度が300カンデラ近いと、FVT200の機能による平均JND/DDL(コントラストの閾値)の上昇
により、輝度応答は改善される。.
リアルビジョンのFVT200を使用することにより、民生用ディスプレイ上でGSDFの機能を実現
することができる。より小さなイメージデータを扱う特定のモダリティ(CT、MRI、PETなど)
において、それが診断用途に適しているかどうかは、ユーザーの決断次第である。対象となるデ
ィスプレイ上で必要とされるデータは、アーカイブに保存され、LumiCal Advancedにより、全
体的な品質管理の一部として、日ごとから月ごとの間隔での試験の選択が可能となる。データは
保存することが可能で、詳細な分析のために他のプログラムにエクスポートすることもできる。
ケン・コンプトン
Medical QC Images, LLC
[email protected]
注) この資料は、ケン・コンプトン氏の許可のもと、株式会社リアルビジョンで日本語版を作成し提供し
ています。内容に不明な点がある場合には、英語版の原本をご参照ください。同資料は、当社のウエ
ッブサイトのカタログセンターに掲載されています。
http://www.realvision.co.jp/catalogue_center/catalogue-1.html
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