平成27年度事業計画書

平成27年度事業計画書
(自平成27年4月1日
Ⅰ
総論
1
はじめに
至平成28年3月31日)
我が国を取り巻く経済情勢は、「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」及び「民
間投資を喚起する成長戦略」のいわゆる「3本の矢」による一体的な政策効果により、
消費税増税により個人消費などにやや弱さが見られるものの、緩やかながら景気回復基
調が続いている。
今後、雇用、所得環境の改善傾向が続くことが見込まれる中で、原油価格の下落もあ
り、引き続き緩やかに回復していくことが期待されている。一方、世界経済の動向につ
いては、米国経済は好調なものの、中国が急速に成長鈍化するなど予断を許さない状況
となっている。
我が国の農業・畜産を取り巻く情勢は、TPP交渉の最大の懸案であった日米の関税
交渉が急速に合意に向けて進展しつつあり、年内決着の可能性が現実化しつつある。
また、安倍内閣による農業政策の抜本的な見直し・改革が進められる中で、牛肉、酪
農生産基盤の弱体化が顕在化しつつあり、今後の国内畜産の立て直しが急務となってい
る。
畜産副産物を取り巻く情勢については、BSE発生から13年を経過し、我が業界が
主体となって実施している飼料規制などが功を奏した結果、BSE清浄国として認定さ
れた。こうした情勢を受けて、長年続いてきたBSE規制についても、飼料及び肥料用
それぞれについて緩和が進み、ひとつの大きな節目を迎えているところであり、今後、
TPP交渉の対応と併せ、こうした新たな情勢の変化に的確に対応していくことが重要
となっている。
2
各分野における重点事項
(1)レンダリング業
食肉生産に伴う畜産副産物の資源循環を担うことにより、畜産のリサイクルを円滑
にすすめる重要なリサイクル産業であることを踏まえ、今年度においても引き続きB
SEの蔓延防止のため牛肉骨粉等の適正な処分を推進する。
一方で、健康牛由来の肉骨粉等について、肥料用が解禁となり、また、養魚用飼料
向けの利用が27年度から解禁となることから、農林水産省などと緊密な連携をとり
つつ、貴重な蛋白資源をいたずらに処分することなく、できる限り再利用できるよう
、消費者及び生産漁業者、農業者等の理解を得ながら、販売再開に向けて努力してい
く。
(2)原皮業
26年度は幸い口蹄疫の国内発生は認められなかったものの、高病原性鳥インフル
エンザについては佐賀、岡山、山口及び宮崎で発生した。周辺諸国では韓国をはじめ
として口蹄疫も含め依然として猛威をふるっており、さらに、新たなタイプの豚流行
性下痢(PED)が発生するなど、家畜伝染性疾病の侵入・発生が業界にとって最も
大きな脅威であることから、引き続き水際の防疫措置の徹底を農林水産省等に要請し
ていく。
また、家畜衛生条件の確認などを行いつつ輸出相手国の拡大に努め、リスクの分散
、経営の安定等に引き続き努力することとし、併せて、国内外の鞣し業者の構造的な
動向に的確に対処しながら、より一層の品質の向上、販売先の拡大等に努めていく。
(3)副生物業
平成24年7月から、食品衛生法に基づいて、牛のレバーを生食用として販売・提
供することが禁止されて以降、大きな経営問題となっている。さらに、BSEの輸入
月齢見直しにより、日豪EPAの発効等によりが今後海外からの輸入量も今後大きく
増加することが想定される。
このため、こうした諸情勢を踏まえた国内の副生物の需要動向の変化等をしっかり
と見極めつつ、低利用部位も含め新たな需要の開発など的確な対応を図っていくこと
が重要である。
牛レバーの生食再開に向けては、関係団体などと連携しつつ引き続き清浄化方策の
調査・研究を進めるとともに、放射線照射技術を利用した生食の早期実現のため、迅
速・的確に対応していく。
さらに、新たな食品表示制度に対応して、適正表示に努めるとともに、新たに導入
される機能性表示制度の活用を検討していく。
Ⅱ
各論
1
独立行政法人
農畜産業振興機構助成事業
(1)畜産副産物適正処分等推進事業(肉骨粉適正処分対策事業)
反すう動物由来の畜産残さのレンダリング処理とこれにより製造された肉骨粉等
の焼却処分の適正な推進並びに豚肉骨粉等の有効利用を促進するための協議会の開
催や指導等を行う。
助成限度額
6,116,839千円(対前年度 99.0%)
(2)畜産副産物適正処分等推進事業(畜産副産物需給安定推進事業)
畜産副産物の製造技術向上等のセミナー開催、需給状況調査分析、基盤強化のため
の検討会等の実施、情報提供及び需給拡大のためのイベント参加等に取り組む。
助成限度額
18,055千円(対前年度 99.9%)
(3)畜産副産物適正処分等推進事業(牛せき柱適正管理等推進事業)
牛せき柱を適正に管理し、記録した食肉事業者に「牛せき柱適正管理促進費
(150円/頭)」を助成する。
さらに、畜産残さを有効利用するため、牛と豚の分別を実施した食肉事業者には「
有効利用促進費(豚分別300円/頭)」を、牛以外の畜種を処理しなかった食肉事
業者には「有効利用促進費(牛専門150円/頭)をそれぞれ交付する。
助成限度額
431,595千円(対前年度 99.5%)
(4)畜産副産物適正処分等推進事業(牛肉骨粉利用促進事業)
飼肥料等の原料として利用が禁止され、肉骨粉適正処分対策事業により焼却処分を
している牛肉骨粉等に由来する焼却灰等を原料として肥料等に有効利用した事業者
に促進費(30円/kg)を助成する。
助成限度額
2
公益社団法人
27,510千円(対前年度 50.0%)
日本食肉協議会助成事業
食肉情報等普及・啓発事業
畜産副生物に関する情報等を普及・啓発するため、消費者等を対象としたイベ
ント等への参加、ポスターやパンフレットの作成・配布を実施する。
助成限度額
8,000千円(対前年度 61.5%)
3
全国中小企業団体中央会助成事業
活路開拓調査・実現化事業(研修事業)
協会会員企業の幹部等を対象とした研修会を実施する。
助成限度額
4
2,000千円(対前年度 100.0%)
協会独自事業
(1)生産物賠償責任共済制度等の加入促進等
PL法に対応するため、製造業者の製品に対する賠償責任共済制度について、農
林弘済サービス(株)及び損保ジャパン日本興亜(株)と提携し、会員に対して加
入の促進を行う。
また、中小企業団体中央会が実施する「業務災害補償制度」についても、会員の
加入を促進する。
さらに、(一財)畜産環境整備機構が実施する食肉リース事業を会員に対して斡
旋する。
(2)情報提供及び広報活動の強化
協会のHPを使い、会員への情報提供を行うとともに、消費者等の外部に対して
当業界の広報を行う。
(3)その他
国、(公社)日本食肉協議会、全国食肉公正取引協議会、(公財)日本食肉生産
技術開発センター等が主催する各種委員会等に委員等を派遣する。
また、各関係団体等の会合の場で、協会の抱えている問題等を提起し、畜産副産
物業界に対する認識を深めてもらうよう努める。
5
その他
(1)要望書の提出
各部会の意見をまとめ、その実現に向けて政府等に対して要望書を提出する。
(2)会員の加入
会員の加入を促進する。