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平成27年 文化庁優秀映画鑑賞推進事業
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第71回 米子市秋の文化祭参加
また逢う 日ま で
一九 五〇年 東 宝
前作『米』 (1957)
の好成績を得て
製作会社 の東映が
再び今井正監督 と
組んで作 り上げた
戦後青春映画の
代表作。
1954年 3月 に
原作は、 ロマン・ ロランの小説 「ピエールとリュイス」
第五福竜丸が ビキニ環礁で死 の灰を浴び、 この頃、
であるがその映画化を今井正監督に勧めたのは、主役を
日本では改めて原水爆問題がクロース・ アップされていた。
演 じた岡田英次とのことである。脚本を担当したのは、
脚本の水木洋子 によればこの作品は同 じ今井監督で
当時注目されていた新進の水木洋子 とベテランの八住利雄
「戦争 と青春」を描いた『 また逢 う日まで』の姉妹篇
である。回想とナ レーションを巧みに用いつつ、甘国の
メロ ドラマにおちいりやすい題材を慎重に再構成し、ある
として 「戦後 と青春」を描 こうとするものであ つた。
青春の悲劇と して見事に立体化 してみせた。少女が描いた
焼け跡の中を懸命 に生きる不良少年 と少女の純愛物語に
青年の肖像画に重なる彼の声。防空壕で偶然出会 つた青年と
原爆後遺症 の問題が絡んで くるのも、 このよ うな社会的
少女。今も語 り草になつている「ガラス越 しの接吻」は、
背景を抜き に しては考えられまい。中原ひ とみの鼻から、
閉塞状況におかれた恋人たちの精神性を象徴するものであり、 流れ落ちる一 の血が
筋
伝えるものは、た,し かに原爆への
戦時下に青春を過ごした世代を越えて今日でも十分納得できる
怒 りである。だが、それは今井監督の静かな演出によつて、
ものがあろう。また演出にあたつた今井監督の主人公たちを
よ り深々と した印象を与えるものになつている。
とらえる静かな視線が、この作品を声高な反戦映画ではなく
に周 りの状況に押 しつぶ されそうにな りながら必死の
常
内面的な格調高いものに仕上げている。
の姿 はこの監督の作品に一する
抵抗を続ける恋人たち
「キネマ旬報」ベス トテン第 1位 。
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重要なモチ フである。
スタッフ 脚本/水 木洋子・八住利雄 監督/今 丼正
田島三郎/岡 田英次 小野蛍子 /久 我美子
出演者
二郎の父英作/滝 沢修二郎の次兄 二郎/河 野秋武
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ス タッフ
原作 /正 木 ひろ し
脚本 /橋 本忍
監督 /今 井 正
出演者
植村清治 /草 薙幸二 郎
小島武志 /松 山照夫
青木庄市 /矢 野宣
宮崎光男 /牧 田正嗣
青 い山脈
1951年 に山口県で実際 に起 きた強盗殺人事件
「八海 (や かい)事 件」 を題材 に、無実の罪を
着せ られた四人の若者 たちの悲劇 と彼等の無実
を信 じる弁護士の奮闘を描 いた社会派 ドラマ。
本作が封切 られた当時高等裁判所 で有罪を告げ
られた四人の若者が最高裁 へ 上告 していた時期 で
あ つたが、今井正は、脚本家 の橋本忍 と事件 に
関する綿密な調査を重ねた末 に四人 が無罪 である
とい うシナ リオで映画化 に臨んだ。 今井正 の 回想 に
よると、脚本が完成 した段階で、最高裁 か ら映画
製作 を中止するように圧 力がか け られた とい う。
しか し今井は、「万が一今後 四人が有罪にな つた ら
監督を辞め よう」 とい う強 い信念 の もとで、完成 に
こぎつ けた。実 際、封切 か ら 12年 後 の 1968年 に、
四人の無罪が正式に確定 し冤罪事件 であ つた ことが
証 明されたのである。 1956年 の「キネマ旬報」
日本映画 ベ ス トテン第 1位 。
一九 四九 年 藤 本プ ロ=東 宝
1956年 現代ポろだくしょん
スタッフ 脚本 /水 木洋子 監督 /今 井正
出演者
早川貴太郎 /江 原真二郎 宮 内ミツ子 /中 原ひ とみ
戦後間もな い時期に、そ の 明朗な雰囲気で大 ヒッ トし、
主題歌 と して歌われた「青 い山脈」 と「恋のア マ リリス」
歌謡史上で記憶 され るものである。転校 してきた女子
学生を こら しめるため、 いたず らで出 したラブ レターが
思わぬ事件 に発展 し封建的な因習が残 る地方の小都市は
大騒 ぎにな る。戦後民主主義の理念であ つた 自由恋愛や、
女性 の 自立・ 解放 といつた命題 が明朗で快活な ユー モアの
うちに描かれて いる。理想 に燃 える知的な女教師に原節子
が扮 し、俗物をきどる青年校 医に思わず平手打 ちを加 える
一 方、女子生徒の杉葉子は海岸で健康で伸びやかな肢体 を
見せ つつ、屈託な く男子学生に 自分 の恋愛感情 を叫んで
みせる。芸者 に扮 した木暮実千代も負け じとばか り地方
ボスに反逆 しまさ しく新時代の到来を告げるものであ つた。
:88』
この原作は、最新作 の『青 い 山脈
(1988)を 含めて
5回 映画化されて いる。「キネ マ旬報」 ベ ス トテン第 2位 。
スタッフ 原作 /石 坂洋次郎 脚色 /井 手俊郎
監督 /今井正
脚色。
島崎雪子 /原 節子 寺沢新子 /杉葉子
出演者
梅太郎 /木暮実千代 金谷六助 /池部良