小児期の夜尿の自立が遅れると、成人期の排尿トラブル(夜間頻尿、尿意切迫)が 若い年代からみられ、加齢とともに程度がひどくなります。 (子どもの夜尿症を治療する目的) 平成24年に外来患者さんのご家族のご協力により、ご両親、祖父母様を対象に夜尿歴と現在の排尿トラ ブル(夜間頻尿=(睡眠中に連日覚醒排尿する)、尿意切迫=(昼間急に尿意が生じ我慢できない)、オムツ パッドの使用状況)についてのアンケート調査をさせて頂きました。 ご協力いただいたご家族は863家族で、3804例のご両親、祖父母の方々(30-80歳)より貴重なご回答を いただきました。 ここにアンケート結果をお示ししますので、お子さんの診療の参考にしてください。 結果 1.小児期に夜尿歴のあった成人は夜尿歴のなかった成人と比較して、各年代で男女とも夜間頻尿、尿意 切迫いずれも頻度が有意に多く(約2倍)みられています(図1)。 2. 30-40歳代のご両親について夜尿自立年齢別に現在の夜間頻尿、尿意切迫の頻度をみると、夜尿自 立年齢が遅れるに従い夜間頻尿、尿意切迫いずれの頻度も高くなり、12歳以後(中学生)に夜尿が自立 すると、30-40歳代で男女とも約1/4が夜間頻尿となり、尿意切迫は女性では約1/3、男性では約1/10でみ られています(図2)。 3. 以上のアンケート結果をみますと、小学校入学後も夜尿がみられる場合には、できるだけ早い時期に 夜尿を自立させることが、成人以後の排尿トラブルを減らすのに大切であると考えられます。 新都心こどもクリニック 院長 赤司 俊二(平成25年 4月) (図1)夜尿歴別の年代別の夜間頻尿 尿意切迫の頻度 夜間頻尿 (睡眠中に連日覚醒排尿する) % % 100.0 尿意切迫 (昼間急に尿意が生じ我慢できない) 50.0 80.0 72.7 66.7 60.0 34.8 29.4 27.6 40.0 20.0 0.00.0 8.86.8 11.1 11.3 2.80.9 32.9 26.4 15.3 10.6 5.6 女 40.0 27.8 30.0 48.1 47.6 男 23.2 19.7 17.6 20.0 13.0 12.8 7.4 10.0 1.12.7 12.7 8.7 3.0 1.1 4.5 4.2 2.1 9.9 7.0 8.3 2.2 0.0 0.0 なし あり なし あり なし あり なし あり なし あり 夜尿歴 なし あり なし あり なし あり なし あり なし あり 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 30歳代 70歳代 40歳代 (図2)夜尿自立年齢別の夜間頻尿、尿意切迫の頻度 % 夜間頻尿 50.0 % 50.0 40.0 60歳代 70歳代 (30-40歳代成人) 尿意切迫 40.0 30.0 23.823.3 20.0 33.3 30.0 17.9 20.0 10.0 0.0 50歳代 1.8 0.2 6.3 4.7 6.5 8.3 8.3 10.0 1.1 2.4 3.4 11.9 5.6 0.0 6歳未満 6-8歳 9-11歳 12歳以上 6歳未満 夜尿自立年齢 6-8歳 9-11歳 12歳以上
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