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特別授業報告書
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「こ こ は 、 ま さ に イ タ リ ア 最 後 の 楽 園 と 呼 ば れ た 地 で す ね J
イタリア国立アレッサンドロ・マンゾ一二小中学校(※チェリーノ・サン・
マルコ市内)の教室の一室で、 たくさんの中学校の生徒たちを前にして、満面
の 微 笑 み を 浮 か べ る 長 谷 川 栄 先 生 一一
ーその双の瞳には、春の陽射しに照らされ
0 日に星印が描かれたカ
て サ フ ァ イ ア の よ う に 輝 き を 放 つ オ リ ー ブ 畑 や 5月 3
レンダーが映;っています 。
そして、時計が?時 3
0分 に な る と 同 時 に 室 内 は 、 厳 か な 雰 囲 気 に 包 ま れ ま
し た 。 瞬 時 に 「あっ・・
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」 と感ロ莫の声を上げる長谷川栄先生と弊社代表の志矢口
正通
。
なんと 、 楽 器 を 手 に し た 生 徒 た ち が 日 本 の 国 歌 で あ る 『君 が 代 』 を 演 奏 し て
くれたのです 。
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特別授業報告書一 2
「本日は、日本でご活躍され ている 芸 術 家 の 皆 様 の 作 品 と 座 右 の 銘 が 収 録 さ
れた書籍・ 『日 伊 芸 術 家 人 生 諜 』 を 通 じ て 、 特 別 授 業 を 行 い ま す 。そ れ に 先 立
ちまして、我々の感謝の意を伝えるために本校の生徒たちによる日本の国歌で
ある『君が代』を演奏させていただきました。さらに今回は、“芸術"による
日 伊 の 文 化 交 流 を 行 うと い う こ と で 、 プ ー リ ア 川 の 教 育 長 で あ るメ リ ッ リ・ヴ
インチェンツォ氏を始め、ご父兄の皆様にもお越しいただき、心から感謝いた
します J
美 術 研 究 家 の マ ル テ ィー ナ - デ ィエ ゴ 先 生 に よ っ て 、 日 本 語 に 翻 訳 さ れ た カ
ル リ ー ノ ・ ロ ゼ ッ タ 校 長 先 生 の ご 挨 拶。 そ れ に 続いて、 『日 伊 芸 術 家 人 生 諜 』
を手にしたプーリア川の教育長であるメリッリ・ヴインチェンツォ氏が深くお
辞儀をし、志矢口 正 通が云いました。
「この度は、 パ ク ス ・ロマーナ 《ロ ー マ の 平 和 》を 実 現 し た ロ ー マ 初 代 皇 帝
であるアウグストゥスの精神に基づき、“芸術による教育"を理想、とした書籍
が無事に発行できたことは、誠に喜ばしい限りです。これもひとえに日本でご
活躍されている芸術家の皆様とイタリアの皆様のご理解とご協力の賜物だと思
います。本当にありがとうございました J
室 内 に 木 霊 す る 大 勢 の 拍 手 一 一 一 そ れ は 、 イ タ リ ア の 地 で 『君 が 代 』 を耳にし
て感動した志矢口正通の鼓動の如〈、いつまでも心に響いているようでした。
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※左から実行委員美術研究家マルティーナ・ディエゴ先生
プーリア州教育長メリッリ・ヴインチェンツォ氏
実行委員長美術評論家長谷川栄先生
アレッサンド口・マンゾーニ小中学校校長力ルリーノ・口ゼッタ先生
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特別授業報告書 3
やがて、授業に入ると、書籍の一ページ、一ページを聞く度に中学生たちの
感動に満ちた声が聞こえてきます。
「うわぁ 。 すごい・・・・・・」
「 ど う し た ら 、 こ ん な 素 敵 な 世 界 観 を 持 った 作 品 が で き るの か し ら ?J
その声に耳を傾け、生徒たちの質問に答えてゆくマルティーナ・ディエゴ先
生。 そ の 時 、 不 思 議 と 志 知 正 通 の 中 て ¥ 生 徒 た ち の 話 し て い るイタ リア語が日
本語のよ うに 聞 こ え 始 め ま し た 。
「この絵には、どんな想いが篭 っ て い る の か な ?J と 、 書 籍 と 向 き 合 う 少 女 。
「昔、僕 の パ パ は 仕 事 で 日 本 に 赴 任 し て い た こ と が あ る ん だ 。 だ か ら 、 そ の 時
に 手 に 入 れ た 書 道 で使う 立 派 な 筆 が 家 に あ るよ !J と 、 得 意 げ に な る少 年。
「私/;1、 日 本 の 工 芸 が 大 好 き ! J、「僕 は、絵画だな !J、
「俺は、書道 と 詩 歌 が 好 き ! J、「私は、こ の 『日伊芸
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術 家 人 生 課 』 に 掲 載 さ れ た 日 本 人 ア ー テ イストの 作
品 す べ て を 愛 し て い る わ J、「僕も! J、「私も! J
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一 一 そ れ は 、 書 籍 を 真 剣 な 眼 差 し で 見 つ め る生 徒 た
ちの表情などから直接、心へと伝わってきていたの
です。
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イタリアの中学生たちが初めて触れる日本の美術芸 術 の 世 界。
インターネットが普及する現代においては、作品
を目にする機会はあったとしても、その作品を制作
した作家の心情や座右の銘を矢口ることはできません。
ゆえに志矢口正通の双の瞳に映 る生 徒 た ち は 、 長 谷 ni.n .
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れ る 日 本 の 歴 史 一 一 古 代 か ら 始 ま り 、 近 ・ 現 代 へと
それに合わせるよう(こして一一
る処で上がります。長谷川栄先生、マルティーナ ・
デ ィ エ ゴ 先 生 に 日 本 の芸 術 家 の 先 生 方 への質問を 投
げ か け 、 答 え を も ら う 度 に 笑 顔 に な る 生 徒 た ち 。そ
の貴重なひとときの終了を告げるチャイムの音色。
一一一「 あ り が と う ご ざ い ま し た ! J
教室いっぱいに響き渡る盛大な拍手の中、深々と
お辞儀をしながら生徒たちが解き放った言葉。それ
は
、 『日伊芸 術 家 人 生 諜 』 に ご 発 表 い た だ い た 日 本 の
芸 術 家 の 先 生 方 へ向 け ら れ た も の で し た 。
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上げられました。
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特別授業報告書
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特別授業報告書
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その翌日、 6月 3
1 日。
チェリーノ・サン・マルコ市の隣町であるサン・ドーナチ市のダンテ・アリ
ギエーリ中学校にて、『日伊芸術家人生課』を用いての授業が行われました 。
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0時 3
0分 に な り 、 春 の 陽 気 に 包 ま れ た 教 室 に 澄 み 渡 る カ ル リ ー ノ ・ ロ ゼ ッ
タ 校 長 先 生 ( ※ 1)の声 。 そ れ に 続 き 、 ご 挨 拶 を し て い た だ い た の い は 、 サ ン ・
ドーナチ市長のフィナ・ドメーニコ氏でした 。
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・・・・・カルリーノ・ロゼ y タ校長先生は、 ア レ ッ サ ン ド ロ ・ マ ン ゾ ー ニ 小 中
学校とダンテ・アリギエーリ中学校の校長先生を兼任されています。
市 長 の フ ィ ナ ・ ド メ ー ニ コ 氏 が 挨 拶 を 終 え 、 教 壇 に 立 つ 志 知 正 通。
マ ル テ ィ ー ナ ・ デ ィ エ ゴ 先 生 の 通 訳 に よ っ て、志矢口正通の言葉が日本語から
イ タ リ ア 語 へ と 変 換 さ れ 、 生 徒 た ち の 表 情 が み る み る 笑 顔 へ と 変 わ って ゆ き ま す 。
そ の 後 、 長 谷 川 栄 先 生 が 書 籍 を 手 に し て 、 本 格 的 な 授 業 へ と 入 って 入 っ て ゆ
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心地よい緊張感に包まれた教室で、長谷川栄先生が話す日本語とマルティー
ナ・ディエゴ先生が話すイタリア語が交互に聞こえてきます。教室正面のホワ
イ ト ボ ー ド に ペ ン を 走 ら せ 、 生 徒 た ち の反 応 を 見 な が ら 、 授 業 を 進 行 し て ゆ く
長 谷 川 栄 先 生 と マ ル テ ィー ナ ・ デ ィエ ゴ 先 生 。 耳 を 澄 ま せ ば 、 生 徒 た ち が 書 籍
の ペ ー ジ を め く る 音 や ノ ー ト に メ モ を 取 る音 さ え 聞 こ え て き そ う で す 。
一一一「何か質問は、ありますか ?J
生 徒 た ち に 問 L、 か け る と 、 室 内 の 至 る 処 で 自 然 と 手 が 上 が り ま し た 。
その質問に対する答えを書籍に収録された作品や座右の銘を例に交えて、巧
み に 導 き だ す 長 谷 川 栄 先 生 と マ ル テ ィー ナ ・ デ ィエ ゴ 先 生 o
納得のゆく答えをもらい 満 面 の 笑 み を 浮 … 生 徒 た ち 。
モ う や っ て 、 次 か ら 次 へ とテ ンポよ く質 疑 応 答 の 時 間 が 続 い て ゆ き ま す 。
そ の 様 子 を 終 始 、 双 の 瞳 に 映 し て い た 志 知 正 通 が 俄 か に 感 じ た 感 覚一一 そ れ
は 、 生 徒 た ち の 笑 顔 が キ ラ キ ラ と 虹 の よ う に 輝 い て い る 光 景 で し た 。 きっと、
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献 に 残 った 生 向 問 の い 長 引 │ 栄 先 生 と マ / レ テ ィ ー ナ
生から告げられ、ま るでタイミ ング を 計 っ た か の よ う に チ ャ イ ム が 鳴 り ま し た 。
その瞬間、生徒たちは一斉に起立して、深々とお辞儀をしながら云いました 。
「ありがとうござました」と 。
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特別授業報告書 6
※左から実行委員長美術評論家長谷川栄先生
サン・ドーナチ市長フィナ・ドメーニコ氏
実行委員美術研究家マルティーナ・ディエゴ先生
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特別授業報告書
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かつて、ローマには人類史上でもっとも平和な時代を築いた英雄がいました。
彼の名前は、アウグストゥス《尊厳ある者》一ーその名前とともに今、“平和
への指南書"とも云える美術書籍が新たな時代を築いてゆくイタリアの子ども
たちの手に;度りました。
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一一一 『日 伊 芸 術 家 人 生 諜 』。
その書籍は、午後の陽射しを浴びて、子どもたちの手の中で宝物のように燦
然ときらめいていました。イタリア最後の楽園と呼ばれるプーリア州の翠に包
まれながら。
文 /v
.ゆ ね り あ
撮 影 / 遠 山 高虞