最新の航空機ファイナンス市場予測 2015

ボーイング・キャピタル・コーポレーション
最新の航空機ファイナンス市場予測
2015
Copyright © 2014 Boeing. All rights reserved.
「2015 年
の航空機ファイナンス市場予
るのが、予想される旅客の伸びと、航空会社の空前の高
測」では、資金源のバランス
収益、そして全世界の航空機の大部分で燃料効率と性能
がとれ、資金提供者がかつてないほど多様化する中、主
効率を向上させるための入れ替えサイクルが続いている
な民間航空機ファイナンス・セクターが堅調を維持する
ことです。航空機の稼働率と有償座席利用率はともに、
と見込んでいます。航空機ファイナンスと航空機投資は、 引き続き過去最高を記録しています。堅調な旅客機市場
世界的な金融危機の間も終始安定したパフォーマンスを
に加え、航空貨物の需要も伸びています。ボーイングの
維持していたことを含め、予測可能で魅力的な何十年に 「最新の市場予測」にあるように、このセクターの輸送量
もわたるリターン、そして投資家の資産運用の多様化
は増え続けており、これは、航空貨物の取扱数量が今後
ニーズを受けて、非常に幅広い新規市場参加者を呼び込
回復して、過去の堅調な水準の伸びを示すサインと言え
んでいます。2015 年は、民間航空機ファイナンスが堅
るかもしれません。
調に推移することで、航空会社が効率的に資金を調達で
燃料価格、金利高騰、為替相場の変動、政治的不安、
き、従来に比べて輸出信用の利用が少なくなる見通しで
伝染病の流行といった懸念材料により、市場には不安感
す。また民間銀行からの借入と資本市場からの資金調達
もあります。しかし、こうした不確定要素が世界の経済成
がデリバリー・ファイナンスに占める割合は両者を合わ
長の足をひっぱらないかぎり、2015 年も新造航空機需
せて約 60% になると予想されます。銀行借入と資本市
要は現在の傾向を維持すると考えられます。そして、これ
場からの資金調達はレッサーが中心となり、
レッサーがデ
が下支えとなって、世界の航空機ファイナンス産業も引
リバリー全体の 40% ほどの資金を提供するとみられて
き続き均衡がとれ、堅調に推移していく見通しです。
います。
ワーキングトゥギャザー、この予測が全ての関係者の
デリバリーに必要な資金は、2015 年に 1,200 億ドル
ビジネス展開により良い結果をもたらすことを願ってい
を超え、将来的にはさらに増えることが予想され、航空
ます。
機ファイナンス市場参加者と投資家には大きなチャンス
ボーイング・キャピタル・コーポレーション
が広がっていますが、その一方で、この市場ならではの
2014 年 12 月
課題もいくつかあります。航空セクターでは現在、参入
して比較的日の浅い民間銀行が多く、まだ航空機ファイ
ナンスについての専門知識を高めている段階です。その
ため、規制強化が進められていることもあり、民間銀行
の新規融資を巡る争奪戦が世界トップクラスの航空会社
に集中して、中堅航空会社の間で航空機リースの需要が
ワーキングトゥギャザー
持続可能で効率的な
航空機ファイナンスのために
高まることが予想されます。その上、航空機を担保とし
た貸付に対する投資家需要が、供給を上回る状況が続
いています。果たして、このような航空機資産に対する
資本提供者
投資需要を満たすことができるのか。それは、グローバ
ルな航空会社が資本市場から効率的に資金を調達でき
るかどうかに加え、レッサーのポートフォリオにおけるセ
ルダウンの仕組みに革新を起こすことができるかどうか
顧客
にかかっています。投資家需要、そしてポートフォリオに
おけるセルダウンの仕組みを変革するイニシアチブは、
今後も中古機市場に関心と投資を呼ぶ後押しとなると考
えられます。
このように航空機ファイナンスが堅調に推移している
最大の要因は、健全で均衡のとれた、新造航空機に対す
る国際的な需要であり、そしてこの需要をけん引してい
Copyright © 2014 Boeing. All rights reserved.
ポリシー/
オピニオンリーダー
健全な航空機ファイナンス環境
2015 年は、航空機ファイナンス市場が多様な流動性
来年は、民間銀行や資本市場の新規参加者が多く、
を記録的な低価格で提供すると見込まれています。そし
これが、こうした資金源の多様化をさらに推し進めるこ
て、レッサーがやはり新規デリバリーの最大の資金提供
とになると思われます。一方、メーカーのサポートは相
者になると当社では予測しています。輸出信用を取り巻
変わらず、ごく一部の航空会社と、その国/地域特有の
く不安定要素の一つに政局の不確実性がありますが、 課題に限定されることが予想されます。
民間銀行や資本市場からの均衡のとれた資金提供がこ
れを補う見通しです。
問題なし
要注意
重大懸念あり
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015 年度
リース会社
資本市場
民間銀行
輸出信用機関
未公開株式/ヘッジファンド
タックス・エクイティ
新規資金源
機体/エンジンメーカー
航空機デリバリー・ファイナンスの需要増
( 億ドル)
$1,560
燃料効率の良い新造機に対する市場の需要が旺盛
となり、業界全体の民間航空機デリバリーが 2015 年
$1,410
は約 1,240 億ドルに上り、2010 年から倍増すると
$1,320
当社ではみています。さらに将来に目を転じると、今
後 5 年間は、航空機デリバリー・ファイナンスの需要
が、これまでと比べて鈍化するとはいえ、堅調な伸
びを示し、また 2019 年には 1,560 億ドルのデリバ
リー・ファイナンスが必要になることが予想されます。
$1,240 $1,250
$1,150
23%
24%
航空機ファイナンス産業は成長を遂げ、過去 5 年間に
急激に高まった需要を見事に満たしており、今後 5 年
間も良好な状況が続くと思われます。
輸出信用
資本市場
銀行借入
現金
タックス・エクイティ
Copyright © 2014 Boeing. All rights reserved.
28%
32%
31%
28%
15%
15%
2014
2015 年度
2016
2017
2018
2019
ボーイングのデリバリーの均衡のとれた資金調達
2015 年のボーイングのデリバリーの資金調達につ
デリバリーの資金調達が実現できると思われます。現在
いては、業界全体の傾向を反映して、過去に例を見ない
の好調な民間市場を反映して、輸出信用は利用が過去
流動性により、主な資金源で堅調に推移し、また多様化
最低の水準にまで落ち込む見通しです。業界全体で言
が進む見通しです。レバレッジ解消が続いていることと
えることですが、ボーイングのデリバリーのサポートで
航空会社の収益の回復力が、キャッシュ・エクイティの比
も、レッサーが非常に大きな役目を果たすことになると
率が比較的高い状況を支え、2015 年は、現金、民間銀
考えられます。
行借入、資本市場の 3 つのソースで概ね均衡がとれた、
輸出信用
現金
銀行借入
メーカー
資本市場
レッサーのファイナンス
25%
400 億ドル
33%
29%
13%
0
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015 年度
今回の主な変更点
当社は、翌年の新規民間航空機デリバリーの資金調達
ンディング」を、
「資本市場」のレッサーの項目にまとめ
ソースと、翌5年間の業界全体のデリバリー・ファイナン
て、予測の簡易化を図るとともに、デリバリーの資金調
ス需要の予測をお届けするために、
「最新の航空機ファ
達のための最終的なソースをより正確に反映するように
イナンス市場予測 (CAFMO)」を発行しました。有用性
しました。この思わぬ副産物として、
「資本市場」を航空
を高めるべく、毎年 CAFMO の内容の充実に取り組ん
会社とレッサー、2 つの項目に分けることで、資金調達
でいます。7 回目となる今年の年次予測は、これまでの
手段の種類がわかり、リース会社が資本市場の無担保取
過去/予測データの代わりに、実際の資金需要を記載
引に主に依存して、デリバリーの資金提供をしているこ
するなど、目立った変更をいくつか加えています。この
とが明らかになりました。
変更により、2012 年〜 2014 年 の 顕著な傾向が 2 つ
新規市場参加者の登場を受けて、当社の民間銀行債
浮き彫りとなりました。具体的には、銀行債務の流動性
務についての予測をより詳細化し、予想される銀行の提
が予想よりも高かったことと、輸出信用の利用が予想よ
供資金の金額を示す国に、米国とオーストラリアの 2 ヵ
りも早いペースで落ち込んだことです。
国を新たに加えました。
また、これまで親会社を活用したデリバリーの資金調
達を把握するために用いていた「レッサーのセルフ・ファ
レッサー
レッサーは航空機ファイナンスの目覚ましい革新
現金
をけん引しながら、2015 年も中心になってデリバ
資本市場
リーに資金提供をすることが予想されます。リース会
銀行借入
社は過去 3 年間にわたり、レバレッジの大部分を民間
輸出信用
銀行借入から、より効率的な資本市場における資金
6%
21%
20%
2015 年度
調達へとシフトさせました。こうして増加した資本市
場における流動性が、新規機関投資家を呼び込み、
航空機ポートフォリオ証券化の仕組みの構築と進化
に対する関心を高めているのです。
ボーイングのデリバリー
に対するレッサーのファイ
ナンスの資金源
53%
資本市場
投資家基盤の拡大、担保付き資金提供と無担保資金
新規デリバリーについては、グローバルな航空会社が、
提供の間の適正な均衡、革新的なファイナンス構造、そ
担保付きと無担保、両方の社債発行に依存する一方、
して私募市場の成長が、航空機ファイナンスにおける資
レッサーが主に無担保社債を発行すると考えられます。
本市場の拡大推進に一役かっています。2015 年は、新
借り換えの動きが引き続き活発で、航空会社、レッサー
規デリバリーの 3 分の1近くが、資本市場から、担保付き
ともに、担保付き社債の仕組みが多様化すると当社では
と無担保、両方の資金調達をすると予想されます。資本
予想しています。
市場は、多くの航空会社と公開市場とのパイプ役を担う
レッサーのレバレッジの主たるソースとなる見通しです。
民間銀行債務
中国
20%
22%
2015 年度
8%
16%
8%
10%
16%
2015 年も、民間銀行債務が新規デリバリーの第 2 位
の資金源の座を守ることが予想されます。既存の貸し手
ドイツ
に加え、米国とオーストラリアの銀行を中心とした新規
日本
参加者の増加により、銀行市場では 2015 年、均衡と多
フランス
様化、そして好調が維持される見通しです。トップクラス
米国
の航空会社とレッサーが引き続き、銀行間の熾烈な競争
オーストラリア
の恩恵を主に受けることになると考えられます。
その他
輸出信用
好調な民間市場と手数料の高騰、そして 2011 年の
場の参加者、レッサーの新規の足がかり、既存の航空会
「航空機セクター理解 (ASU)」が規定する資本条件によ
社の多角化に必要な少額の資金提供に限定される可能
り、2015 年も輸出信用の利用が過去最低の水準にと
どまることが予想されます。輸出信用の利用は、新興市
性が高いと思われます。
ボーイング・キャピタル・コーポレーション
最新の航空機ファイナンス市場予測
98124-2207 ワシントン州シアトル 私書箱 3707 MC 6Y3-16
www.boeingcapital.com/cafmo
最新の航空機ファイナンス市場予測
2014 年 12 月発行(2015 年 4 月改版)
本文の記述内容は、1995 年証券個人訴訟改正法に基づく
「将来予想に関する記述」が含まれており、
「とみられる」
、
「と思われる」
、
「と見込まれる」
、
「と考
えられる」
、
「と予想される」
、
「の見通しである」
、
「とみている」
、
「と言えるかもしれない」などの表現は、
「将来予想に関する記述」であることを明確に示すた
めに使用しています。
「将来予想に関する記述」の例としては、当社の今後の財務状況と業績にかかわる記述、その他の過去または現在の事実に直接関係
していない記述などが挙げられます。
「将来予想に関する記述」は、当社の現在の予測、前提に基づくものであり、正確ではない可能性もあります。これら
の表現は保証されたものではなく、予想不可能なリスクや不確実性、環境変化にさらされる可能性があります。そのため、これらの記述は作成された時点
でのことのみを記したものであり、法で規定されるもの以外、当社はいかなる「将来予想に関する記述」も更新したり修正したりする責任を負いません。実
際の実績は、米国の、および世界的な経済環境が及ぼす影響、当社および当社の顧客に影響を及ぼす可能性のある業界の一般的な動向、民間顧客、米国
政府系顧客、サプライヤーと全世界の市場への当社の依存、証券取引委員会に既に開示、または今後適宜開示するボーイング社の資料に記載されている、
その他の重要な要素などにより、
「将来予想に関する記述」と大きく異なる結果となる可能性があります。
Copyright © 2013 Boeing. All rights reserved.