新規希土類金属錯体触媒の開発と天然ゴムを超えるポリ

B-01
新規希土類金属錯体触媒の開発と天然ゴムを超えるポリイソプレンの創製
Development of Novel Rare Earth Metal Single-Site Catalysts and Creation of Polyisoprene
Superior to Natural Rubber
鈴木
俊彰 1,2、張
立新 1,2、侯
召民 1,2
Toshiaki Suzuki1,2, Lixin Zhang1,2, Zhaomin Hou1,2, 1Organometallic Chem. Lab., RIKEN; 2Ecomolecular
Science Research Group, RIKEN
1
351-0198 埼玉県和光市広沢 2-1, 理研・侯有機金属化学研究室;2 理研・環境分子科学研究グループ
Tel:048-467-9392, Fax:048-462-4665, E-mail:[email protected]
The Yttrium complex Y(CH2SiMe3)2(PNP)(thf), in combination with [PhMe2NH][B(C6F5)4], exhibits
extremely high cis-1,4 selectivity (> 99%), excellent living character, and high activity for the polymerization of
isoprene to produce polyisoprene with a very narrow molecular weight distribution (Mw/Mn < 1.1).
cis-1,4-ポリイソプレンは天然ゴム(NR)の主成
Ln(CH 2 SiMe 3 )3(thf)2
+
分として天然に存在し、合成ゴムであるポリイソ
SiMe4
プレンゴム(IR)とともに様々な用途に用いられ
ている。これらは微生物反応には抵抗性を示すが、
自動酸化によって劣化することが知られており、
Ph2 P
N
H
IR:98%程度)により大きく左右され、NRは結晶
性があり、引張強さ、弾性、耐摩耗性などの機械
的強度が優れているが、IRは結晶化度が小さく、
延伸結晶性も若干劣る。一方、NRは分子量が揃
っていないことや、樹液中に含まれる生体防御タ
ンパク質が混入しているためアレルギーを起こ
す原因となる可能性があることなどの問題を内
Ln
(thf)n
PPh 2
PPh2
CH 2SiMe3
CH 2 SiMe 3
Ln = Sc; n = 0
Ln = Y, Lu; n = 1
低環境負荷のポリマーである。ゴムとしての特性
は cis-1,4 構 造 の 含 有 率 (NR の 主 成 分 :100 % 、
N
Ph2P
ム錯体を[PhMe2NH][B(C6F5)4]などの活性化剤
と組み合わせてイソプレンの重合反応に用いる
と、cis-1,4 構造の含有率が 99%を超えるポリイ
ソプレンが得られた。リビング重合であるため、
ポリマーの分子量を任意に調節することが可能
であり、分子量分布は天然ゴムをしのぐ 1.1 以
下と極めて狭い。また、80℃という高い温度に
おいても高い cis-1,4 選択性は維持される。
在している。cis-1,4構造の割合が100%かつ分子量
N
の揃ったIRを合成できれば、NRを超える性能を
Ph 2P
Y
O
持ち、かつアレルギーの心配のない製品をつくる
PPh 2
CH 2SiMe 3
CH 2 SiMe 3
[PhMe2 NH][B(C 6 F5 )4 ]
ことができると考えられる。
n
cis-1,4 > 99%
M w/M n < 1.1
我々は、希土類金属を用いて、反応に関わる
部分が単一の性質を持つ「シングルサイト触媒」
今回得られたポリイソプレンは、NR をしの
を設計することにより、イソプレン同士の結合
ぐ高反発、高弾性、高強度でしかも耐摩耗性の
する位置や立体的な構造を制御することが可能
優れたゴムの開発につながる可能性がある。ま
な錯体触媒を開発した。トリアルキル希土類金
た、手術用手袋などの各種医療用具から歯科材
属錯体をビス(ホスフィン)アミンと反応させる
料、乳児のゴム乳首などの日用品と多岐にわた
ことにより、ビス(ホスフィン)アミド配位子を
って、天然ゴム製品によるアレルギーが問題と
有するジアルキル希土類金属錯体を容易に得る
なる分野においても使用することができる。
ことができた。これらの錯体、特にイットリウ
- 71 -
B-02
消去可能インク・トナーと消去装置システムの開発と実用化
Development & Practical Use of Decolrable Ink, Toner and Eraser System
佐野
Toshiba
R&D
健二、高山
暁
Center, Environmental
Technology Lab.
234-8765 川崎市幸区小向東芝町一丁目, 東芝研究開発センター
Tel:044-549-2346, Fax:044-520-1307, E-mail: kenji.sano @ toshiba.co.jp
. We have developed and commercialized a new system of erasable toner and ink that enable to make paper be
reusable for many times. The erasable toner and ink comprise of leuco dye and developer, and we have studied the
equilibrium of color formation and the reverse reaction to control the quality of the erasable toner.
and ink can be erased in the 500 sheets of paper at once by heat-eraser at 140℃ for 3 hours.
This toner
By using this
system, we can reduce more than 50% of the emission of carbon dioxide from office printing work and we can
save about 50% of plant resources.
紙は最も信頼性の高い、実績ある記録媒体であ
開発した。さらに2005年には e-blueTM のみが
り、再生可能資源であり、かつ生分解性であるが
完全に消去できる装置も開発し発表した。この一
原料が植物資源であるという一面もある。また製
連の研究で、これまで知られていた感熱紙などに
紙産業は最も成熟した産業の1つで原料のリサ
使用されるロイコ色素を電子写真用の樹脂トナ
イクル率も60%と群を抜いている。しかしオフ
ーに組み込むために種々な工夫を行い実用化に
ィスを中心とした現代社会の紙の使用方法には
成功したものである。
無駄が多く、コンピュータを使ったネットワーク
GSC では主として化学材料の反応プロセスな
社会では、現実に紙を減らすのと反対に使用量が
どでの収率や省エネや安全性の向上が高く評価
増えている。これは紙自身の問題ではなくインク
されてきたので、化学物質のライフサイクルの一
の問題なのである。インクが簡単に消去できれば
部分を取り上げて評価することが多かった。これ
紙透きまでのリサイクルをしなくても紙はまた
に対して本研究は化学物質が関わるライフサイ
使える。消去可能なインクやその他の画像材料が
クル全体と社会システム全体に大きな向上をも
できれば、植物資源の節約ができ、生産時の資源
たらすものであると考えられる。
エネルギーが減らせるとともに再生時の脱墨工
程の資源エネルギーも節約できる。さらに都市で
参考文献
は40%が紙ごみと言われているがゴミ問題も
1)日本化学会春季年会発表
減少できる。消去可能な画像材料の開発は一挙に
―消去可能トナーの顕色剤と発消色特性― 高山
多くの環境問題の低減につながるのである。
暁ら、第85会春季年会予稿集1H1-44*A
我々は上記のような背景の元にロイコ色素と
消去可能インク(8)
(2005)、消去可能インク(9)
-消去可能
顕色材の発色消色平衡の研究を重ね、より有利な
トナーの消えやすさに対する紙の影響、日本化学
条件で発色し、任意に消去可能な画像材料とこれ
会1H1-45*A(2005)、消去可能インク(1
を効率よく消去するシステムを開発した。200
0)
3 年 末 か らは プ リ ン ター 用 の 消 去可 能 ト ナ ー
化学会:3H6-17*A(2005)
e-blueTM
とこれにあわせて開発した熱消去装置
も商品化し、2004年からは複合機のトナーも
- 72 -
-溶液中のロイコ色素の平衡制御―、日本
B-03
新規な GSC 評価手法<i-Messe> (その1)
Proposal for a New Evaluation Method
for Green and Sustainable Chemistry (Part-1)
内藤
豊 1、後藤
建夫 1、北島
昌夫 1、安井
至2
Yutaka Naito1, Tateo Goto1, Masao Kitajima1, Japan Chemical Innovation Institute
Itaru Yasui2, United Nations University
1101-0051
東京都千代田区神田神保町 1-3-5、 (財)化学技術戦略推進機構
2150-8925
東京都渋谷区神宮前 5-53-70、国際連合大学
1Tel:03-5282-7272,
Fax:03-5282-0250, E-mail:[email protected]
The term GSC is recognized as “environmentally friendly chemical technologies,” and strongly conscious of the
limitation of the earth. To promote GSC further, a suitable evaluation method to express the degrees of the
improvements by GSC is very useful. We propose a new method, i-Messe, that is versatile for various evaluations in
the viewpoint of GSC and does not require a large amount of labor for evaluation. We expect that this new method
contributes the promotion of GSC by widely usage of i-Messe.
GSCは「環境にやさしい化学技術」であり、地
球の限界を強く意識したものである。具体的には、
安全性、社会性・経済性などの多様な要素について
評価出来ることが不可欠である。
製品設計、原料選択、製造方法、使用方法、リサイ
これらの観点のもとに検討を進め、今回新規なG
クルなど製品の全ライフサイクルを見通した技術革
S C 評 価 手 法 と し て i-Messe(impact Metrics of
新により、人と環境の健康・安全、省資源・省エネ
environmental, safety and socio-economic)を提案
ルギーなどを実現する革新的な化学技術を指す。G
する。i-Messe は、旧来技術と新規技術を相対比較
SCは、環境負荷の削減と経済性の両立が図られ、
することで、GSCの観点・尺度ならびに比較結果
持続可能な発展に貢献する将来を見通した技術と位
を表現するものである。
置づけられ、今後一層の普及・推進が図られている。
i-Messe を用いることで、化学的手段・対策により
GSCが普及・推進する上で、GSCによる製造
革新的に改善された製造プロセスや製品に関する技
方法や製品の改善の度合いを判りやすく表わすこと
術を、環境負荷、安全性、社会性・経済性の要素に
は、非常に有用である。このため、既に幾つかのG
ついて比較評価が可能となる。i-Messe の結果は、
SC評価手法が国内外で提案されているが、いずれ
技術に携わる者のみならず全ての人々が、共通の見
も一長一短で広く利用されるに至っていない。
方でGSCによる革新的な改善度合いを評価・理解
そこで、算出に多大な労力を必要とせず、汎用性
できる。
i-Messe を広く活用して頂くことで、GSCの普
が高く、専門家のみならず多くの人々が理解と納得
及・推進に貢献することを期待する。
出来る評価手法の開発に着手した。
GSCに関する技術は、個別の環境対応だけでは
なく、製造プロセスにおける生産から製品の使用・
廃棄に至る全ての工程において、社会的影響などを
下記の方々からご協力・ご助言・ご支援を頂きま
含め人間の生活に関わる全てで持続可能な発展を実
した。深く感謝の意を表わします。海野洋様、佐野
現しうるものでなければならない。このため、求め
健二様、戸村健司様、前原広様、経済産業省、日本
られるGSC評価手法は、環境負荷だけではなく、
規格協会、Fraunhofer IZM、SRI Consulting。
- 73 -
B-04
新規な GSC 評価手法<i-Messe> (その 2)
Proposal for a New Evaluation Method for Green and Sustainable Chemistry (Part-2)
後藤
建夫 1、内藤
豊 1、北島
昌夫 1、安井
至2
Tateo Goto1, Yutaka Naito1, Masao Kitajima1, Japan Chemical Innovation Institute
Itaru Yasui2, United Nations University
1101-0051
東京都千代田区神田神保町 1-3-5、 (財)化学技術戦略推進機構
2150-8925
東京都渋谷区神宮前 5-53-70、国際連合大学
1Tel:03-5282-7276,
Fax:03-5282-0250, E-mail:[email protected]
As described in Part-1, i-Messe is a GSC evaluation method by relative comparison between existing technologies
and improved ones from the viewpoints of Environmental, Safety and Socio-Economic Impact. In Part-2, we
illustrate this method by some case studies. The results show that i-Messe is a simple and easy way to evaluate GSC
technologies. We do expect this evaluation method will contribute strongly to promote GSC.
i-Messe (impact Metrics of environmental,
2. 安全性
safety and socio-economic)は、Part-1 で示した
使用原料の健康安全性、使用原料の災害安
ように、製造方法や製品について環境負荷、安全
全性、製造時・使用時の健康安全性、製造
性、社会性・経済性をGSCの観点から評価する
時・使用時の災害安全性
3. 社会性・経済性
手法である。Part-2 では、いくつかの事例研究を
挙げ、i-Messe による評価の具体的方法とその結
地球的ロス 、社会的ロス、使用者デメリッ
果について報告する。
ト、製造者デメリット
i-Messe では、旧来技術と新規技術をGSCの観
今回の事例研究から、i-Messe がGSCの評価
点として挙げた下記の項目について4軸で相対
において、いろいろな事例に対して比較的少ない
比較する。
労力で分かりやすい結果が得られるものと位置
1. 環境負荷
付けることが出来た。
エネルギー使用量、環境への排出量、資源
今後更に事例研究を内外に投げかけ、より充実
使用量、廃棄物処理量
したものへと進める。
資源使用量
0.6
0.4
0.2
0
使用者デメリット
1
0.8
製造・使用時の災害安全性
◇既存・現行プロセス、◆GSCによる改善プロセス
- 74 -
0.6
0.4
0.2
0
社会的ロス
製造者デメリット
0
0.8
社会性・経済性
地球的ロス
0.2
環境への排出量
廃棄物処理量
0.4
1
使用原料の災害安全性
1
0.6
安全性
製造・使用時の健康安全性
エネルギー使用量
0.8
使用原料の健康安全性
環境負荷
B-05
光硬化型漆塗料の重合過程における規則的な相分離形成と塗膜表面の装飾
Phase separation in photo-curing of paint films containing Urushi, and ornament of
the paint films
田口
和宏、廣瀬
重雄、阿部
幸人
Taguchi Kazuhiro, Hirose Shigeo, Abe Yukihito, National Institute of Advanced Industrial Science
and Technology (AIST)
305-8565 つくば市東一丁目 1-1, 産総研環境化学技術研究部門
Tel:029-861-6399, Fax:029-861-4686, E-mail:[email protected]
To improve the manufacture of Urushi handicrafts photo-curing monomers were added to urushi. Sufficient
amount of light exposure gave cured paint films with smooth surfaces, and less amount of exposure gave
unexpected regular minute ripples on the surfaces owing to phase separation of urushi component through the
polymerization.
漆塗膜は高い耐久性、良好な質感などの優れた
(Figure (a))。漆成分が相分離し、塗膜に凹凸を
特徴を有する。漆塗膜の乾燥は化学反応に基づく
作るためであり、光マスクを利用すれば塗膜に光
もので、有機溶媒の揮発を伴わない乾燥であるた
沢の違いによる装飾が可能であった。また、数十
め環境化学の面からも魅力のある塗料である。し
μm の繰り返し模様をもつ格子マスクを利用する
かしながら、原料の入手、価格、乾燥速度などに
とヒダの方向を整えることができた(Figure (b))。
問題があり、漆塗料の適用範囲はもっぱら工芸品
塗膜表面のヒダの発生は、通常では塗装不良であ
に限定され、その製品の生産は手工業的で小規模
るが、その生成をうまく制御できるなら塗膜に新
にとどまっている。このような漆塗料の短所を解
たな付加価値を与えるとものと考えている。
決したり補填するために、漆と合成モノマーとの
複合化や、天然漆を模倣した合成漆などが検討さ
れてきた。本研究では、高級塗料としての商品価
値の低下を避けながら、漆塗装の作業性を改善し、
新たな付加価値をもつ漆複合塗料の調製を意図
(a)
した。
漆と光カチオン重合性モノマー(エポキシ、オ
キセタン、またはビニルエーテル)とから無溶媒
の複合塗料を調製した。漆のカチオン重合への影
響は比較的小さく、未精製の天然漆をかなりの高
(b)
濃度(60 重量%)で含ませても、重合は進行し、
平滑な硬化塗膜が得られた。漆の硬化成分(ウル
シオール)のみを塗料成分として用いると、漆成
分の含量を 70 重量%程度まで高めることができ、
また使用する光開始剤の含量を低減できた。照射
光量を少なめにすると、塗膜硬化の進行に伴って、
表面全体に渡り数十μm 程度の盛り上がりからな
Figures. Microphotographs of the cured paint films with
non-oriented minute ripples (a) and oriented (b). The paint
contained urushi (50 wt%), an epoxy monomer (45 wt%), and a
cationic photo-initiator (5 wt%).
る微少なヒダが生じ、光沢のない塗膜面が現れた
- 75 -
B-06
インクジェット法による液晶配向膜形成の実用化
Practical use of LCD Alignment-Layer formed by inkjet method
中島 俊貴、蛭間
敬、神山 信明、木村 勝己、岩井 雄一郎、矢崎 正幸
Toshiki Nakajima, Kei Hiruma, Nobuaki Kamiyama, Katsumi Kimura,
Yuichiro Iwai, Masayuki Yazaki,
SEIKO EPSON Corp.
392-0295 長野県諏訪郡富士見町富士見 1010, セイコーエプソン株式会社
Tel:0266-62-6813, Fax:0266-62-6826, E-mail:[email protected]
Novel inkjet-based mass-production technology for forming the alignment layer on LCD panels has been
developed. The inkjet process minimizes the amount of material used for forming alignment layers and reduces the
volume of cleaning solvent. We also developed original compact inkjet printing equipment. Thereby, we produce
high-quality LCD panels while consuming a quarter less resource and energy compared with conventional
flexographic method.
液晶パネル製造プロセスは多種多様な工程を有
晶パネルの高歩留まり生産を可能にした。
し、完成体になるまでに膨大なエネルギー、材料が
液晶表示パネル部 断面
投入・消費される。環境負荷を低減した製造プロセ
液晶
スの導入はますます重要になっており、その第1歩
薄膜ト ランジ スタ
(TF T)
として液晶配向膜(ポリイミド薄膜)形成プロセス
プロジ ェク タ用
TFT液晶
パネル
(0.5~1 inch)
の技術革新を実現、世界で初めて量産化に成功した。
配向膜形成はフレキソ印刷法が一般的であるが、
(1) 印刷版への転写塗布のため材料使用効率が低
Fig.1
く、貴重な配向膜材料のほとんどを捨てていた
配向膜
プロジェクタ用液晶パネル
配向材
(2) 印刷版の洗浄に多量の有機溶剤を使用する
・液晶を配列させる機能材料
・表示品質に影響大
ロール1
インクジェットヘッド
版胴
ロール2
といった問題点があり、環境および作業者に負荷が
大きいプロセスとなっていた。
インクジェット法 1)では、プログラム制御された
インクジェットノズルから材料を直接基板に吐出
a)従来:フレキソ印刷法
Fig.2
配向膜塗布方法
b)新規:インクジェット法
概要
し、任意パターンを非接触で塗布形成することが可
能である。そのため、
(1) 配向膜材料使用量削減(▲80%)、
(2) フレキソ印刷版の廃止により、洗浄溶剤の低減
(▲73%)を達成した。
また、専用の超小型インクジェット塗布装置を独
自開発することにより、プロセスの安定化、優れた
膜厚コントロール性能と共に、設置面積 1/5、空調
制御エリアの極小化を実現している。これにより、
(1) バージン資源使用量: 従来の 24%
Fig.3 独自開発したインクジェット塗布装置
Hiroshi Kiguchi, Proceedings of
(2) エネルギー使用量 : 従来の 25%
ref:
を達成し、かつ優れた膜厚均一性により高品位な液
Digital Fabrication 2005 p.113-118(2005)
- 76 -
1)
B-07
サルファーフリー自動車燃料製造技術の開発
Development for Sulfur-Free Fuel Production Technologies
畑中
重人、守田
英太郎、壱岐
英
Shigeto Hatanaka, Eitarou Morita, Hideshi Iki, Central Technical Research Laboratory
231-0815 横浜市中区千鳥町 8 番地, 新日本石油株式会社研究開発部門
中央技術研究所
Tel: 045-625-7198, Fax:045-625-7292, E-mail:[email protected]
Nippon Oil Corporation developed a new process and catalysts for the sulfur-free fuel production.
ROK-Finer process is a new process for sulfur free gasoline production.
The
The developed hydrodesulfurization
catalysts and hydrocracking catalysts, which enable sulfur-free middle distillates production, were applied to
almost all the units in our refineries. Sulfur-free fuel can contribute to CO2 reduction.
近年、地球温暖化ガスである CO2 排出量削減の
するそれぞれの精製装置に関する技術開発を自
動が世界規模で進められています。特に輸送部門
社独自で行い、全ての技術を商業装置において実
の CO2 排出量削減対策は危急の課題となっており、
用化しています。
燃費に優れた直噴・リーンバーンガソリンエンジ
①分解ガソリンを従来の水素化脱硫技術で処理
ンや、ディーゼルエンジン用連続再生式ディーゼ
するとオクタン価の低下は避けられない問題で
ルパティキュレートフィルター装置の開発・普及
した。選択的水素化脱硫プロセス“ROK-Finer”
に向けて燃料の低硫黄化が実現の鍵を握る重要
は、オクタン価低下を抑えることができる国産唯
な役割を果たすものと考えられています。
一のガソリン脱硫技術 1)として開発され、(財)石
これら問題を解決するために、当社ではガソリ
油産業活性化センター技術開発事業として 2004
ンおよび軽油の硫黄分をサルファーフリーと呼
年より 20,000B/D 規模で実証化を開始し、順調に
ばれる極限のレベルまで低減する独自の製造技
サルファーフリーガソリンを製造しています。
術の開発をしました。
ナフサ
改質
灯油
蒸留
装置
②、③脱硫触媒開発では、触媒担体の構造を高
脱硫
脱硫
軽油
脱硫
脱硫
③
水素化分解
水素化分解
重油
(減圧軽油)
残渣油
図1
脱硫
脱硫
(間接脱硫)
(間接脱硫)
②
ガソリン
度に制御することにより高い表面積を付与する
灯油
とともに、活性金属の微細化に成功し、硫黄分5
軽油
00ppm軽油を製造する際に用いていた従来
④
触媒に比べて大幅な活性向上を達成しています 2)。
FCC
(流動接触分解)
④重油の水素化分解触媒では、従来より分解活
ROK-Finer
ROK-Finer
性は高いものの灯油・軽油留分の収率が低下する
①
サルファーフリー燃料製造フロー
といわれていたゼオライトに工夫を施ことによ
り、従来触媒に比べて高い分解活性を有しながら
ガソリン・軽油のサルファーフリー化は、ガソ
も、従来比で20%もの灯油・軽油留分の増産を
リンや軽油といった目的とする生成物ごとの低
可能にする触媒の開発に成功しています 3)。
硫黄化技術に加え、重油などのより重質な留分を
ref:
原料とし水素化分解することでサルファーフリ
1)
畑中重人, 化学と工業, 57, (1), 35 (2004)
2)
壱岐英,
ー燃料を得るなど、いくつかの技術の融合体から
なるものです。当社では図1に示す石油精製のフ
ローの中で、ガソリン(①,②)および軽油(③,
④)の硫黄分を除去(または重油を水素化分解)
- 77 -
石 油 学 会 第 48 回 年 会 予 稿 集 , p18
(2005)
3)
H.Okazaki
et
al,
Prepr.Pap.-Am.Chem.Soc.,
Div.Pet.Chem., 141, 48 (2003)
B-08
新規な分子変換法構築のためのハイドロサーマル電解機構の解明
Elucidation of Hydrothermal Electrolysis Mechanism
for Developing a Novel Molecular Conversion Method
佐々木 満*、山本佳奈、黒田卓、後藤元信
Mitsuru Sasaki, Kana Yamamoto, Taku Kuroda, and Motonobu Goto
Faculty of Engineering, Kumamoto University
〒860-8555 熊本市黒髪 2 丁目 39 番 1 号, 熊本大学工学部
Tel: 096-342-3666, Fax: 096-342-3679, E-mail: [email protected]
We have used a hydrothermal electrolysis method as one of effective means for solving some environmental
problems and examined any possibility zealously. In this study, we conducted hydrothermal electrolysis
experiments of 1-Butanol, a model material, with pressurized CO2 as well as KCl as electrolytes. Also, we report
the result that evaluated any possibility of pressurized CO2 as a new electrolyte for developing a novel
environmentally benign chemical reaction method.
0.045
有機物などを含む工業廃水は焼却処理がまだ簡
0.04
Hydrogen generation(mol)
単かつ迅速な処理法とされている。水熱法の代表
的例として湿式酸化がある。湿式酸化では低級脂
肪酸類やアンモニアなどを殆ど分解することが
できない。超臨界水酸化(温度 400~650℃、圧
3A
0.035
1A
0.03
0A
0.025
0.2A
0.02
0.015
0.01
0.005
力 20~30MPa の過酷条件下)であれば分解可能
0
0
であるとの報告があるものの、より低温で、安全
20
40
60
80
100
120
Electroysis time(min)
かつ経済性に優れた処理法が切望される。我々は、
図 1. H2 発生量の経時変化
水熱電解法をその課題解決の有効な手段として
ナールおよび酪酸であった。これらは KCl を用い
利用し、その可能性を鋭意検討している。本報で
た系と同じ生成物であったことより、電解質の差
は、1-BuOH をモデル物質とし電解質に KCl を用
異による反応の違いはないと考える。本反応によ
いた水熱電解実験に加え、系内に CO2 を圧入し、
り生成した水素の物質量を図 1 に示す。電流値 0、
水に溶解する炭酸イオンを電解質として用いた
1 および 3A は KCl を用いた従来データ、0.2A は
実験を行い、CO2 の電解質としての可能性を評価
CO2 を 2MPa 圧入した実験結果である。電解質は
した結果を報告する。
異なるものの水素発生量は電流値に比例するこ
実験にはオートクレーブ型水熱電解装置を用い
た。陽極に Ir、陰極に Ti を用い、試料として 0.266M
と、また、水素の発生により CO2 圧入により電解
反応が進行し得ることが確認できた。
1-BuOH 水溶液 250ml を用いた。反応器(Ti 製、
以上より、CO2 が水熱電解処理における新規電
内容積 500ml)に試料 250ml を仕込み、2 または
解質として利用できることが明らかとなり、環境
5MPa の CO2 を圧入した。反応条件は温度 250oC、
負荷低減型の分子変換・廃棄物処理の可能性が示
電圧 30.0V、反応時間 0~120 分とした。生成物
唆された。
の同定・定量は GC-TCD、GC-FID および GC-MS
【謝辞】
を用いて行った。
本研究は熊本大学 21 世紀 COE プログラム「衝撃
本実験の主生成物は、気体成分として H2 および
CO2、液体成分として未反応 1-BuOH のほかブタ
エネルギー科学の深化と応用」および NEDO の協
力を得ました。ここに感謝の意を表します。
- 78 -
B-09
Ru/Al2O3 触媒上での CO の選択酸化反応に対する水素の役割
The role of Hydrogen in the Selective Oxidation of Carbon Monoxide over Ru/Al2O3 Catalysts
南浦 良太・佐藤 康司・高根沢 豪紀・岩本 淳・宮尾 敏広・内藤 周弌
Minamiura Ryota, Sato Yasushi, Takanezawa Hidenori, Iwamoto Jun, Miyao Toshihiro, Naito Shuichi,
Department of Applied Chemistry, Kanagawa University
221-8686 横浜市神奈川区六角橋 3-27-1,神奈川大学工学部応用化学科
Tel:045-481-5661, Fax:045-413-9770, E-mail:[email protected]
The role of hydrogen in the Prox reaction was investigated over Ru/Al2O3 by changing the concentration of H2 in
CO-O2 reaction. Without hydrogen,100% CO conversion (T100%) was attained only at 180℃.However adding
hydrogen T100% temperature was lowered drastically and went to 80℃. This result suggests that adsorbed H2O may
play an important role in lowering the reaction temperature of Prox reaction over Ru/Al2O3 catalysts.
実用的なプロトン交換膜燃料電池(PEMFC)は
選択酸化反応における H2 の役割としては、
アノード電極で残存する CO 濃度を 10ppm 以下
Ru/Al2O3 触媒上に吸着した CO の酸化、もしくは
にしなければならない。その手段として現在注目
CO の不均化反応で生成した反応中間体の可能性
を浴びているのが CO の選択酸化(PROX)であ
がある炭酸塩と敏感に反応する H2O の生成であ
る。本研究では、Ru/Al2O3 触媒を用い、CO 選択
ることが示唆された。
100
酸化反応における H2 の役割について検討した。
触媒は前駆体としてルテニウム酸カリウムを使
1h 水素還元を行いた。反応は常圧固定床流通応装
置を用い、5%CO、5%H2、5%O2、100%H2 ガス
CO conversion/%
用し、Ru/Al2O3 を調製した。前処理は 473K で
80
をそれぞれ混合して用いた。分析は TCD ガスク
ロマトグラフィーを使用した。また触媒表面吸着
種の分析には FT-IR を用いた。
60
H2/CO=100
H2/CO=75
40
H2/CO=30
H2/CO=4
20
H2/CO=2
H2/CO=0
0
40
Fig.1 に 0.5wt%Ru/Al2O3 触媒での CO-O2 反応
80
Fig.1 Dependence of H2 partial pressure of
において各水素圧における温度依存性の結果を示
CO-O2 reaction over Ru/Al2O3
す。CO-O2 反応では転化率が 100%になる温度は
180℃であったが、水素を添加することで CO 酸
以上の水素の添加により 80℃まで低温化した。
次に水素の存在が CO の酸化反応においてどの
ような役割をしているのかを検討するために IR
測定をおこなった。Fig.2 に CO 吸着後に H2 もし
R.T.
H2O導入
Linear
CO
Absorbance / a.u.
化反応の低温化が見られ、CO の 75~100 倍モル
CO導入
R.T.
H2導入
くは H2O をそれぞれ導入した IR の結果を示す。
CO導入
観測された反応中間体の可能性のある炭酸塩のピ
ークは、H2 を導入してもほとんど変化しなかった
のに対し、H2O を導入すると室温にもかかわらず
炭酸塩のピークは消滅した。このことから、CO
- 79 -
200
120
160
Reaction temp./℃
Carbonate species
2200
1800
1400
Wave number / cm-1
1100
Fig.2 FT-IR spectra of adsorbed species
over Ru/Al2O3
B-10
Pt を内包した TiO2 ナノチューブ触媒上での CO-H2 反応
によるメタノール選択合成
Selective formation of methanol synthesis from synthesis gas over Pt-TiO2(nt) catalyst
沼尾
善行、小泉
真希子、宮尾
敏広、内藤
周弌
Yoshiyuki Numao, Makiko Koizumi, Toshihiro Miyao, Shuichu Naito
Department of Applied Chem., Kanagawa Univ.
221-8686 横浜市神奈川区六角橋三丁目 27-1, 神奈川大学工学部応用化学科
Tel:045-481-5661, Fax:045-413-9770, E-mail:[email protected]
Improved preparation procedure for Pt encapsulated TiO2 nanotube was developed at room temperature by
changing the Ti precursor. The CO-H2 reaction over Pt-TiO2(nt) was studied and compared with that over
impregnated Pt/TiO2 catalyst. Over the nanotube extremely high activity and selectivity for MeOH was
observed. (>95%) The nanotube catalyst was characterized by TEM, XRD, XPS and FT-IR, and the nature of
the active site for methanol formation was discussed.
近年、ナノスケールでの新規触媒の開発が注目され
その経時変化を Fig.2 に示すが、通常の含浸法触媒で
ており、当研究室においても、金属を内包したナノチ
は主生成物はメタンであるのに対して、ナノチューブ
ューブについて調製法や触媒特性について検討して
触媒ではメタノールが誘導期をもって生成し、選択率
1)
きた。 本研究では、Pt を内包した TiO2 ナノチュー
は 95.8%にも達した。さらに、焼成条件の違いによる
ブの合成法を検討し、Pt-TiO2(nt)を用いて、CO-H2 反応
活性変化についても調査した。
を行い、通常の含浸法で調製した Pt/TiO2 触媒との比較
検討を行った。さらに、赤外分光法による表面吸着種
また、
赤外分光法により、
表面吸着種の分析を行い、
反応中間体や反応機構に関しても考察した。
の観察を行った。
Pt-TiO2(nt)は[Pt(NH3)4](HCO3)2 の針状結晶を鋳型と
し、Titanium isopropoxide (TIPT)を結晶表面で選択的に
加水分解させ、500℃で焼成を行うことで、内部に 40%
強の Pt を内包した TiO2 ナノチューブの合成に成功し
た。生成したナノチューブは Pt のほとんどは TiO2 の
内壁および壁中に存在しており、XRD 測定より TiO2
50nm
Fig.1 TEM image of Pt-TiO2(nt)
は選択的にルチル型、XPS 測定からナノチューブ中の
80
Ti イオンは3 価に近い特異的な状態にあることが示唆
Methane
MeOH
70
された。また、化学吸着量測定より通常の含浸法触媒
60
では、H(a)/CO(a)は 0.27 であるのに対して、ナノチュ
50
ーブ触媒では 1.04 となり、Pt と TiO2 の相互作用の違
40
いが示唆された。
30
CO-H2 反応はパイレックスガラス製閉鎖循環系反応
20
装置を用いて行った。反応前処理として水素還元を
10
300℃で 3 時間行い、反応温度は 135℃~180℃におい
0
0
生成物はFIDガスクロマトグラフィー用いて測定した。
100
200
300
400
500
600
700
Reaction time / min
Fig.2 Time course of CO-H2(30:60) over Pt-TiO2(nt)
て全圧を 60~240Torr で様々な比において行なった。
ref:
- 80 -
1)
S.Naito et al, Chem.Comm.,12 1563, (2005)
B-11
種々の担持 8-10 族金属触媒によるメタノールの液相改質反応
Liquid Phase Reforming of Methanol with Water
over Various Supported Group 8-10 Metal Catalysts
宮尾
敏広、坂本
峻彦、菊地
恒、寺本
孔明、内藤
周弌
Toshihiro Miyao, Takehiko Sakamoto, Hisashi Kikuchi, Michiaki Teramoto and Shuichi Naito
Department of Applied Chemistry, Kanagawa University
221-8686 横浜市神奈川区六角橋三丁目 27-1, 神奈川大学工学部応用化学科
Tel:045-481-5661, Fax:045-491-7915, E-mail:[email protected]
Addition effect of transition metals upon the catalytic activity of liquid phase reforming of methanol with water
was investigated over various supported group 8-10 metal catalysts.
Addition of Mo, W, Re and Fe improved
both catalytic activity and selectivity of the reaction over TiO2 supported Pt and Ir catalysts.
The XRD, XPS,
FT-IR and XAFS measurements revealed that the synergetic effect between monolayer of additives and highly
dispersed 8-10 metals greatly enhances the catalytic activity and selectivity for the reforming reaction.
水素エネルギー社会への移行の観点から、近
年様々な水素製造・貯蔵法が検討されている。
メタノールの液相改質反応は水素製造プロセス
をコンパクト化できることから、オンサイト水
素製造法としても有望である。我々はこれまで、
温和な条件下におけるメタノール液相改質反応
に対して、種々の担持金属触媒の活性を検討し
てきた 1)。本発表では担持 8-10 族金属に対し遷
移金属元素を添加した触媒の構造と活性・選択
性について報告する。
メタノールの液相改質反応は、還元した触媒粉
末をメタノール水溶液中に懸濁し 100℃前後の
温和な反応条件下で行った。主生成物は H2 と CO2
で少量の CO が生成した。
種々の SiO2 担持 8-10 族金属触媒の活性を調べ
た結果、Pt が最も高活性を示すことが分かった。
Table 1 上段にこれらの 8-10 族金属に Re を添加
した触媒の反応温度 378 K における活性を示す。
これらはすべて Re 添加によって活性が著しく向
上し、Pt-Re は Pt 単独の 5 倍の TOF を示した。
次に TiO2 担持 Pt に種々の遷移金属元素を添加
し活性の向上を試みた。Table 1 の下段に反応温
度 348 K における結果を示す。Mo、W、Fe 等を添
加した場合活性は大きく向上し、特に Mo を添加
した触媒は従来最高活性を有する Pt-Ru/TiO2 の
5 倍の活性を示した。Mo と Fe の添加に対して Pt
と同時に添加する共含浸法(co)と先に添加物を
含浸し焼成した後に金属前駆体を加える逐次含
浸法(sc)を比較したところ、逐次含浸の方が高
活性を示すことから、担体上の添加物の分散性
が触媒活性に強く関係していることがわかった。
担体を被覆した添加物種によって CO2 への高い
選択性が発現し、添加物層上に高分散した Pt 種
が高活性発現に寄与しているものと考えられる。
- 81 -
Table 1 Addition effect of second elements
Formation rate
catalysts
(µmol・h-1・g-1cat.)
CO2
CO
H2
Pt-Re/SiO2
446.0 258.0
7.45
Rh-Re/SiO2
210.0 115.0
0.86
Ni-Re/SiO2
120.0
68.1
1.15
Ir-Re/SiO2
119.0
58.9
-
Ru-Re/SiO2
104.0
64.8
1.08
Pd-Re/SiO2
95.0
66.0
1.21
Os-Re/SiO2
86.5
35.4
3.02
Pt/SiO2
186.0 122.0
4.78
Pt-Ru/TiO2 (co)
205.8
66.0
6.6
Pt-Sn/TiO2 (co)
3.5
0.0
0.0
Pt-Fe/TiO2 (sc)
212.1
50.1
0.0
Pt-Co/TiO2 (co)
145.7
35.2
0.0
Pt-Ni/TiO2 (co)
78.4
18.9
2.5
Pt-Mo/TiO2 (sc)
927.6 352.6
15.6
Pt-Mo/TiO2 (co)
151.3
1.6
33.5
Pt-W/TiO2 (sc)
227.6
47.1
5.8
Pt /TiO2
61.2
19.6
0.0
TOF
10-4s-1
111.0
16.5
5.8
15.3
13.5
3.7
10.6
20.0
6.4
-
6.9
9.1
8.2
33.7
9.7
10.5
4.8
ref: 1) T.Miyao, S.Naito, et al., Appl.Catal.A
General, in press., Catal. Comm., 6, 113 (2005).,
Catalysis Today, 87, 227 (2003).
B-12
環境調和型軽油超深度脱硫触媒の開発とその実用化
Environmentally Friendly Catalyst for Ultra-deep Desulfurization of Diesel Fractions:
Its Development and Industrial Experience
藤川
貴志、木村
洋、中嶋
伸昌
Takashi Fujikawa, Hiroshi Kimura, Nobumasa Nakajima
Research and Development Center, Cosmo Oil Co., Ltd.
340-0193 幸手市権現堂 1134-2, コスモ石油(株)中央研究所
Tel: 0480-42-2213, Fax: 0480-42-3790, E-mail:[email protected]
Cosmo Oil Co., Ltd. has successfully developed a new CoMo HDS catalyst, C-606A, for the production of
ultra-low sulfur diesel fuels. C-606A has a three times higher HDS activity compared with the conventional
CoMoP/Al2O3 catalyst. Commercial operation with C-606A has successfully demonstrated high performance and
high stability. This catalyst has superior activity, which enables <10-ppm sulfur content in products using a
commercial diesel hydrotreater designed to produce 500-ppm sulfur diesel fuels.
大気環境改善のため、軽油の品質に関する規制
散化に成功していることが明らかになった 2)。こ
が世界的に厳しくなる傾向にある。特に軽油中の
の Co-Mo-S 相は、島根大学・岡本教授により開発
硫黄分はディーゼル車排気ガス対策として期待
された触媒キャラクタリゼーション法により、そ
されている後処理装置の負荷を低減するために
の状態の確認がなされている。
低硫黄化が要請されている。日本では 2005 年 1
C-606A はコスモ石油の全軽油脱硫装置で使用
月より石油元売り各社が世界に先駆けてサルフ
され、いずれの製油所でも設備増強することなく
ァーフリー(硫黄分 10ppm 以下)軽油の全国供給
(すなわち脱硫触媒の量を増やすことなく)サル
を開始した。コスモ石油は 1999 年 9 月から 2004
ファーフリー軽油の製造が可能となった 3)。
温和な運転条件でサルファーフリー軽油の生産
/石油産業活性化センターのプロジェクトに参
が可能となり、エネルギー節約による環境負荷低
画して軽油脱硫触媒の開発に取り組んだ。その結
減効果が極めて大きいことが分かった。
果、既存の 500ppm 対応用軽油脱硫装置でサルフ
ァーフリーを達成できる高性能 CoMo 系脱硫触媒
(C-606A)の開発に国内で唯一成功した。開発し
た触媒は、活性金属と同時にクエン酸とリン酸を
担体に含浸した後、焼成せずに乾燥で止めるとい
う新たな処方で調製された 1)。この触媒の脱硫活
性は従来の 500 ppm 対応触媒と比較して反応速度
で約 3 倍である。また、国内外より最新の市販軽
Required Temperature for 10 ppm/ oC
年 3 月まで新エネルギー・産業技術総合開発機構
400
390
CoMoP/Al2O3
380
370
360
C-606A
350
340
330
320
0
20
40
60
80
100
Time on stream /day
油超深度脱硫触媒を入手して活性評価を行い、こ
Fig. 1 Long-term stability test using the conventional
れらに比べ C-606A は格段に活性が高いことが確
CoMoP/Al2O3 and C-606A for HDS of light gas oil.
認された。さらに、本触媒は長期の運転において
Ref:
も初期の高活性が安定的に維持されることが分
1) T. Fujikawa et al., J. Jpn. Petrol. Inst., 48 106 (2005)
かった(Fig.1)。同触媒の活性点構造を調べた結
2) T. Fujikawa et al., J. Jpn. Petrol. Inst., 48 114 (2005)
果、高活性な活性点である Co-Mo-S Type II の高分
3) T. Fujikawa et al., Catal. Today, in press.
- 82 -
B-13
金属酸化物を併用した高温高圧水中でのバイオマスからの水素製造
Hydrogen production reaction with a metal oxide catalyst in hot-compressed water
渡邉
賢、相澤雄一、猪股
宏*
Masaru Watanabe, Yuichi Aizawa, Hiroshi Inomata, Res. Center of Supercrit. Fluid Tech., Tohoku Univ.
980 - 8579 仙台市青葉区荒巻字青葉 6 - 6 - 11 - 403, 東北大学工学研究科附属超臨界溶媒工学研究センター
Tel & Fax : 022 - 795 - 7282, * E - mail : [email protected]
Hydrogen production from biomass was attempted in hot-compressed water at 300 ˚C by adopting partial oxidation to
increase the yield of H2 via CO production in the presence of ZnO. The results revealed that an addition of H2O2 as
an oxidant to the reaction of glucose and sugarcane bagasse brought about the trend of increasing the yields of H2,
CO, and CO2.
However, the sensitivity of H2 yield on H2O2 amount was different from those of CO and CO2,
namely the excess amount of H2O2 tends to decrease the H2 yield with giving a maximum at a certain H2O2 amount.
These indicated that the controllability of partial oxidation would be a key factor for maximizing the H2 yield through
biomass conversion by partial oxidative gasification in hot-compressed water
バイオマスは循環型資源であり、持続可能な社会
反応管内に 0.1 g の試料(グルコースまたはサト
構築のためには、今後積極的に化石資源を代替もし
ウキビバガス)、1.0 g の水、0.1g の ZnO、および
くは一部補完するエネルギー・化学原料供給源とし
酸化剤(H2O2)を仕込んだ。管内を Ar で置換し
て利用しなくてはならない。しかし一般に含水率が
た後密閉し、300℃に設定した流動砂浴に投入す
高いため、エネルギー供給源として利用するには H2、
ることにより反応開始とし、90 秒後に反応管を冷
CH4 などの燃料ガスへと変換することが望ましい。
水浴に浸すことで反応を停止させた。気体生成物
特に H2 は燃料電池の普及に伴う今後のさらなる需要
は ガ ス サ ンプ ラ ー に 捕集 し 、 体 積を 測 定 後 、
の増加が見込まれることから、様々な状況に対応で
GC-TCD により組成を分析した。
生成ガスは H2、CO、CO2、および CH4 であっ
きる新規な H2 製造法の開発が求められる。
当研究室では高温高圧水中で耐環境性に優れ、か
た。CH4 収率は常に 0.1%以下であり、H2、CO、
つ安価な触媒である金属酸化物に注目し、これを用
および CO2 の収率はいずれも酸化剤を添加するこ
いた糖・バイオマスからの高選択的水素生成につい
とにより増加した。グルコース、バガスともに CO2
ての研究を行っており、これまでグルコースの反応
と CO の収率は酸化剤添加量増加にともない単調
において酸化亜鉛(ZnO)を添加することで H2 生成
に増加したものの、H2 の収率は極大値を示し、減
が促進されることを見出した。ZnO は水性ガスシフ
少した。
ト(WGS)反応の触媒であることは周知であること
酸化剤の添加量を増大させるほど水素収率が
から、グルコースから生成した CO が ZnO 上で WGS
減少した理由の一つとして、生成した H2 が酸化
反応により H2 に転換されたと仮定すると、部分酸化
剤により消費された可能性があり、このことから
により CO 収率を向上できれば H2 収率を向上できる
触媒に部分酸化を制御する機能を持たせるなど
可能性がある。そこで本研究では、グルコースおよ
の改善をする必要性が指摘された。
びサトウキビバガスを試料とした場合の ZnO 共存下
現在、従来の水蒸気改質触媒および WGS 触媒
でのガス化反応において、部分酸化反応の影響につ
などを参考に部分酸化機能と WGS 機能を兼ね備
いて、酸化剤添加量が H2 収率および選択率に与える
えた触媒について検討するとともに、グルコース
影響について検討した。
とバガスでの反応の違いについても検討を進め
実験は SS316 製の回分式反応装置を用いて行った。
ている。
- 83 -
B-14
家畜排泄物を原料とする超臨界水ガス化技術の開発
Development of Livestock Excreta Gasification Technology with Supercritical Water
中村昭史、清水嘉久、三浦健、清永英嗣(中国電力)、
野田洋二(東洋高圧)、松村幸彦(広島大学)、美濃輪智朗(産総研)
Akifumi Nakamura, The Chugoku Electric Power Co., Inc. Energia Economic & Technical Research Institute
739-0046 東広島市鏡山三丁目 9 番 1 号, 中国電力株式会社 エネルギア総合研究所
Tel:050-5521-3409, Fax:082-492-0242, E-mail:[email protected]
It is hoped to use the biomass including livestock excreta effectively as an energy resource. Supercritical water
gasification is expected to be one of the new livestock excreta treating process, because sludge is few and
wastewater is clean after this gasification process. This paper presents our project of conducting experimental
study of gasification process of livestock excreta with supercritical water in a demonstration plant.
とでガス化反応を促進させることが考えられる。
1.はじめに
国内のバイオマス利用可能量は、日本の1次エ
このプロセスを実用化するために、原料調整、
ネルギー供給の5%弱に相当する 1.1 EJ の量が
原料供給、熱交換、ガス化の各プロセスを組み合
あり、その半分が家畜排泄物、下水汚泥、食品廃
わせた実証装置の試作・運転による総合的な評価
棄物系などの含水系バイオマスである 1)。家畜排
を行う。実証試験装置のフローを Fig 1 に示す。
生成ガス + 触媒 + 灰分 + 水
泄物のエネルギー利用は、新エネルギーの導入に
家畜排泄物
熱交換器②
寄与することに加え、環境汚染を防止する観点か
高効率高温高圧
ガス化反応器
600℃、25MPa
らも求められている。
ヒータ
高圧
ポンプ
混合器・送給機
家畜排泄物のエネルギー利用は、メタン発酵が
既に実用化されているが、メタン発酵では発酵残
渣と排水処理のためにコストとエネルギーがか
かる問題があり普及するには至っていない。一方、
ガス
ホルダー
熱交換器①
生成ガス
加圧熱水
液状化反応器
分離器
排水 + 触媒 + 灰分
触媒
超臨界水ガス化は、有機分のほぼ完全なガス化が
Fig 1. Flow of demonstration plant
望め、メタン発酵にみられる問題点が少ないため
本年度に実証装置を試作し、次年度に実証運転
新しい家畜排泄物利用技術として期待できる。
を計画している。
このような背景から、我々は超臨界水ガス化技
3.おわりに
術の実用化に向けた開発を進めており、本稿では、
本技術が、中国地方発のバイオマス有効利用技
本開発の取り組みについて紹介する。
術として地域の発展に貢献できることを目指し
2. 実証試験
て今後の開発を進めていきたい。
超臨界水ガス化技術は、これまで国内外におい
なお、この家畜排泄物の超臨界水ガス化技術の
て研究が進められているが、実用化には至ってい
開発は、NEDO 平成17年度「バイオマスエネ
ない。これは、高圧の反応器へのバイオマス送給
ルギー転換要素技術開発」に係わる共同研究とし
の困難さ、そして、反応器での閉塞が主な原因で
て採択いただき、3年間で実用化に向けての実証
ある。これらの問題を解決する方法として、前者
試験を行うものであり、関係各位に感謝する。
に対してはバイオマスの液状化処理により原料
ref:
の流動性を高めること、後者に対しては触媒を原
料と混合しスラリーとして反応器に供給するこ
- 84 -
1)
「平成 14 年度新エネルギー等導入促進基礎調査
バイオマスエネルギー開発・利用戦略に関する
調査研究報告書」三菱総合研究所 (2002)
B-16
ビスアゾメチン J 会合体を用いた太陽電池の光電変換特性
Photovoltaic Properties of Bisazomethine J-aggregate Solar Cells
青山 哲也 1,2、細貝 拓也 3、松本 真哉 3、小林 隆史 1、中尾 愛子 1、和田 達夫 1,2
T. Aoyama1,2, T. Hosokai3, S. Matsumoto3, T. Kobayashi1, A. Nakao1 and T. Wada1,2,
1Supramolecular
Science Lab., RIKEN, 2Ecomolecular Science Research Group, RIKEN,
3Yokohama
Natl. Univ.
351-0198 埼玉県和光市広沢 2-1, 1 理研・和田超分子科学研究室, 2 理研・環境分子科学グループ
240-8501 横浜市保土ヶ谷区常盤台 79-2, 3 横浜国立大学 教育人間科学部
Tel:048-467-4571, Fax:048-467-9389, E-mail:[email protected]
A bisazomethine dye (DE2) is a non-ionic dye, which allows us to prepare easily homogeneous and stable
J-aggregate thin films by vacuum deposition.
Photovoltaic properties of Schottky-type (ITO/DE2/Al) and
hetero-junction (ITO/DE2/C60/Al) devices were examined.
IPCE efficiency for the Schottky-type device was
reached to 4.7 % which is comparable to that of the famous CuPc solar cell. We also observed the enhanced
IPCE of 20.8 % for the hetero-junction photovoltaic device.
クリーンで無尽蔵な太陽エネルギーを利用する
した。DE2 の膜厚が異なる素子で測定したところ、
太陽光発電に大きな期待が寄せられている。近年
膜厚 407 nm の素子で単色光の光電変換効率 IPCE
では、太陽電池の普及に向けて低コスト化が重要
は最大 4.7 %に到達し、よく知られるフタロシア
であるため、有機化合物による太陽電池が注目さ
ニンの太陽電池に比較して遜色ない性能を示し
れている。この有機太陽電池は製造に関わるエネ
た。さらに、C60 を積層したヘテロ接合型太陽電池
ルギーも低く抑えることができるため、環境負荷
では、IPCE が最大 20.8 %に向上した(Fig.1)。こ
の小さなエコシステムを可能とする。
れは、C60 の強いアクセプター性により、DE2/C60
われわれの有機太陽電池の開発に向けた取り組
界面での励起子の電荷分離が効率よく起きたた
みは、材料開発だけではなく、有機材料の特徴で
めと考えられる。なお、Al 電極側から照射した場
ある配向性、会合性などを利用した素子の構造化
合と ITO 電極側から照射した場合とで、IPCE スペ
による研究も行っている。シアニン色素などでよ
クトルの形状が異なるが、これは DE2 の結晶相の
く知られている J 会合体は、増感材として実用化
吸収に由来するフィルター効果が原因であるこ
されているだけでなく、非線形光学材料や光電変
とが、膜厚依存性などの実験結果から分かった。
換材料などへの応用を目指して研究されている。
30
性であるため、薄膜作製方法が限られる。一方、
20
/%
25
わ れ わ れ は 中 性 の ビ ス ア ゾ メ チ ン 色 素 (DE2,
こで、この DE2 蒸着膜の光電変換特性を検討した。
0
400
(ITO/DE2/C60/Al)を作製した。ハロゲンランプを
分光し、短絡光電流アクションスペクトルを測定
N
10
な J 会合体薄膜が得られることを見いだした。そ
真空蒸着によりショットキー型太陽電池
CN
NC
5
(ITO/DE2/Al) 、 お よ び ヘ テ ロ 接 合 型 太 陽 電 池
3
N
15
IPCE
Fig.1(inset))を真空蒸着することによって安定
NEt2
NEt2
500
600
WAVELENGTH
700
2
ABSORBANCE
しかし、通常の J 会合体を形成する色素はイオン
4
IPCE (from Al side)
IPCE (from ITO side)
ABSORBANCE
1
0
800
/nm
Fig.1 IPCE action spectrum for ITO/DE2/C60/Al sample and
absorption spectrum for DE2/C60 film. The inset shows the
chemical structure of DE2.
- 85 -
B-17
RuO2 担持 p 型 GaN 光触媒による水の完全分解反応
Water splitting by RuO2-dispersed p-type GaN photocatalyst
新井直樹、斉藤 信雄、西山 洋、堂免 一成†、佐藤 一則、井上 泰宣
Naoki Arai, Nobuo Saito, Hiroshi Nishiyama, Kazunari Domen†, Kazunori Sato, and Yasunobu Inoue
940-2188 新潟県長岡市上富岡町 1603-1, 長岡技術科学大学大学院工学研究科
Tel:0258-47-9832, Fax: 0258-47-9830, e-mail: [email protected]
†
113-8656 東京都文京区本郷 7-3-1, 東京大学大学院工学系研究科
For the splitting of water, we have developed p-block metal oxide photocatalysts with d10 electronic
configuration. In the present study, we have paid attention to gallium nitride with d10 configuration. The p-type
gallium nitrides obtained by doping of the divalent metal ions (Mg2+, Zn2+, Be2+) showed high photocatalytic
activities for the overall water splitting into H2 and O2 when combined with RuO2 as a promoter.
【 1. 緒 言 】 こ れ ま で に 、 d10 典 型 金 属 イ オ ン
3+
4+
3+
4+
5+
比で直線的に得られ、RuO2 を担持した p 型 GaN
(Ga ,Ge ,In ,Sn ,Sb )を含む酸化物に RuO2
が光触媒作用をもつことが示された。Zn および
を担持した光触媒が、水の光分解反応に対し活性
Be を添加した場合においても活性を示した。
10
であることを見出し、さらに d 電子状態の窒化
Fig.2 に GaN の発光スペクトルを示す。未ドープ
物 で あ る β -Ge3N4 や 窒 化 物 固 溶 体 で あ る
の GaN と比較して p 型化した GaN は発光が長波
(Ga1-xZnx)(N1-xOx)が高い活性を持つ光触媒となる
長側にシフトしていることが確認できる。このこ
10
ことを報告してきた。本研究において d 電子状
2+
態の窒化物である GaN に二価の金属イオン(Mg ,
2+
とから光照射による励起電荷の挙動が光触媒活
性に関連していることが示された。
2+
Zn , Be )を添加(ドーピング)し、p 型化した場
RuO2/GaN:Mg
2000
学量論比で発生させる光触媒となることを見出
し、その活性の発現機構について考察した。
【2.実験】p 型 GaN は NH3 気流下 1273K で高温焼
成することにより作製した。作製した p 型 GaN に
Amount of products /μmol
合に、RuO2 担持により水から水素と酸素をほぼ化
evac.
2nd
1st
1500
H2
5th
H2
H2
O2
O2
O2
500
evac.
O2
H2
O2
N2
N2
N2
N2
N2
0
0
水の光分解には内部照射型パイレックスガラス反
evac.
4th
H2
1000
Ru3(CO)12 を Ru 量 3.5wt%となるように THF 中で
含浸担持させ、623K で酸化処理し光触媒とした。
evac.
3rd
5
10
15
time/h
Fig. 1 RuO2/ GaN:Mgによる水の光分解反応の経時変化
160
応セルを組み込んだ閉鎖循環型反応装置を用いた。
生成物の定量にはガスクロマトグラフを用い、光
【3.結果と考察】RuO2 担持未ドープの GaN では
光触媒活性はみられなかった。Fig.1 に Mg ドー
プ GaN に RuO2 を担持した RuO2/GaN:Mg による
水の分解反応の経時変化を示す。反応初期には極
めて微量な窒素の生成が観察されたが、繰り返し
120
PL intensity / a.u.
源には 450W-Hg ランプを用いた。
Ex. λ = 330nm
GaN:Zn
80
GaN
GaN:Mg
40
0
350
400
450
500
550
600
Wavelength / nm
Fig. 2 GaNの発光スペクトル
の反応により窒素は完全に停止し、4 回目以降の
反応において水素と酸素の生成がほぼ化学量論
- 86 -
本研究は CREST および SORST の助成により行われた。
B-18
光とメタンの有効利用:Ce-Ti 共担持光触媒による直接メタンカップリング反応
Utilization of methane and light energy: Doubly loaded cerium and titanium oxides
on silica as photocatalyst for direct methane coupling
レニ ユリアティ 1・伊藤秀章 2・吉田寿雄 2
Leny Yuliati1, Hideaki Itoh2, Hisao Yoshida2
1
Graduate School of Engineering, Nagoya University, 2EcoTopia Science Institute, Nagoya University
〒464-8603 名古屋市千種区不老町, 1 名古屋大学大学院工学研究科, 2 名古屋大学エコトピア科学研究所
Tel: 052-789-5859, Fax: 052-789-5859, E-mail: [email protected]
Introduction
Direct methane coupling to produce mainly ethane
and hydrogen, 2CH4 → C2H6 + H2, has been reported
to proceed photocatalytically at room temperature.
The highly dispersed metal oxides on silica support
have been proposed as suitable photocatalysts for the
reaction.1-4 However, it is difficult to obtain highly
dispersed system with high loading amount due to the
aggregation of the loaded metal oxides. In the
present study, we prepared a new photocatalyst, i.e.,
two kinds of metal oxides coexisting on silica support,
and tested its photoactivity for the reaction.
Experimental
Ce(x)/SiO2 and Ti(x)/SiO2 samples were prepared
by impregnation method, followed by calcination in a
flow of air at 773 K for 5 h. Number in parentheses
shows Ce or Ti content in the sample (mol %). The
sample
was
prepared
by
Ce(x)/Ti(y)/SiO2
impregnation of Ti(y)/SiO2 with an aqueous solution
of Ce(NO3)3, followed by another calcination in a
flow of air at 773 K for 5 h.
The photoreactions were performed similarly to the
previous studies.1-4 The sample was pretreated with
O2 for 1 h, followed by evacuation for 1 h at 1073 K.
Results and discussion
Ce(0.1)/Ti(0.1)/SiO2 showed two absorption bands
around 220 nm and 265 nm due to the presence of
highly dispersed tetrahedral titanium oxide species
and highly dispersed cerium oxide on silica support,
respectively (Fig.1). This result was in agreement
with XANES spectra that confirmed the presence of
tetrahedral Ti(IV) species and highly dispersed
Ce(III) as the main species.
Kubelka-Munk function
A new design of photocatalyst, doubly loaded cerium and titanium oxides on silica, was performed. In the
present method, both highly dispersed cerium and titanium oxides species were obtained on silica. The
photoactivity of the present sample was almost close to the sum of photoactivities over each supported metal
oxide of equivalent loading amount, suggesting that both highly dispersed metal oxide on silica would act as
photoactive sites for the direct methane coupling.
(a)
2
(b)
(c)
1
0
200
300
400
500
Wavelength / nm
Fig. 1 DR UV-Vis spectra of (a) Ti(0,1)/SiO2, (b)
Ce(0.1)/SiO2, and (c) Ce(0.1)/Ti(0.1)/SiO2 samples.
As shown in Table 1 the activity of Ce(0.2)/SiO2
was slightly lower than Ce(0.1)/SiO2 (entry 1 and 2),
suggesting that the higher loading did not result in the
higher photoactivity. The Ce(0.1)/Ti(0.1)/SiO2
showed higher activity than Ce(0.1)/SiO2 and
Ti(0.1)/SiO2, almost close to the sum of activities
over Ce(0.1)/SiO2 and Ti(0.1)/SiO2 as shown in Table
1 (entry 1,3, and 4). This shows that the present
method enabled the formation of each highly
dispersed metal oxide on silica support that acted as
photoactive sites for the reaction.
Table 1 Results of photocatalytically direct methane coupling
Total yield
Entry
Sample
H2 (exp)/
H2 (theory)a
/ 10-2 C%
1
Ce(0.1)/SiO2
7.5
2.0
2
Ce(0.2)/SiO2
7.0
1.3
3
Ti(0.1)/SiO2
5.3
1.2
4
Ce(0.1)/Ti(0.1)/SiO2
11.7
1.1
a
H2 calculated from hydrocarbons products.
Ref:
1) H. Yoshida, et al., Phys. Chem. Chem. Phys., 4, 2459,
(2002).
2) H. Yoshida, et al., J. Photochem. Photobiol. A, 160, 47,
(2003).
3) L. Yuliati, et al., Phys. Chem. Chem. Phys., 7, 195, (2005).
4) L. Yuliati, et al., Chem. Commun., 4824, (2005).
- 87 -
B-19
光と水からの水素製造:光触媒による水とメタンからの水素生成反応
Hydrogen production by light and water:
Photocatalytic hydrogen production from water and methane
吉田 寿雄 1、平尾 和久 2、加藤 悟 2、西本 純一 2、服部 忠 2
YOSHIDA Hisao1, HIRAO Kazuhisa2, KATO Satoru2, NISHIMOTO Jun-ichi2, HATTORI Tadashi2
1
EcoTopia Science Institute, Nagoya University, 2 Graduate School of Engineering, Nagoya University
464-8603 名古屋市千種区不老町, 1 名古屋大学エコトピア科学研究所、2 名古屋大学大学院工学研究科
Tel: 052-789-4609, Fax: 052-789-5849, E-mail: [email protected]
Photocatalytic reaction for hydrogen production from H2O and CH4, i.e., 2 H2O + CH4 → 4 H2 + CO2, was
revealed over Pt/TiO2 and Pt/La0.02Na0.98TaO3 (Pt/LNT) in a flow-type reactor around room temperature. This is
an uphill reaction with positive change in Gibbs free energy, which could convert photoenergy to hydrogen as a
clean energy along with the consumption of methane, i.e., a renewable resource. The Pt/LNT photocatalyst showed
the best performance at present: the apparent quantum yield was estimated at 30% in the light of 240–270 nm.
反応実験は流通型反応装置で行った。Table 1 に
太陽エネルギーを利用した水素製造を目的とし、
光触媒による水の分解反応(H2O → H2 + 1/2 O2)が
定 常 状 態 で の 水 素 生 成 速 度 を 示 す 。 Pt/TiO2 、
盛んに研究されている。Pt/TiO2 光触媒では MeOH
Pt/LNT では水のみでは水素は全く生成しないが
などの犠牲還元剤を加えると逆反応(H2 + 1/2 O2
メタンを共存させることで水素が生成し、生成し
→ H2O)が抑制され効率的に水素が得られること
た水素の約 1/4 の二酸化炭素の生成が確認された。
1)
が報告されている 。しかし、実用化を考えると、
一方、水の完全分解に高活性を示す NiO/LNT3)で
犠牲還元剤は消費されるため再生可能な資源で
はメタンを共存させても水素生成速度はほとん
あることが必要となる。
ど変わらず、二酸化炭素の生成も確認されなかっ
我々は犠牲還元剤としてメタンに着目した。メ
た。このことは、水分解に活性な光触媒が必ずし
タンはバイオガスの主成分であることから、消費
も本反応に高活性というわけではなく、水とメタ
され二酸化炭素に変換されても、太陽エネルギー
ン両者の活性化が重要であることを示唆する。ま
を用いた植物の光合成によりバイオマスに再生
た、Pt/LNT において 255 nm 付近の見かけの量子
できる。水とメタンから光触媒反応により水素を
収率はある条件で 30%と算出された。
得られれば以下のサイクル(Fig. 1.)より、メタンを
Table 1. Photocatalytic H2 production ratea
媒介とした光と水からの水素製造が可能となる。
hν
O2
H2O
biomass
technology
CH4
Photosynthesis
Photocatalyst
hν
H2
Photocatalysis
H2O
CO2
Figure 1. Hydrogen production system by light and water
using methane as intermediary.
Catalyst
weight / g
H2 production rate / µmol min
Reaction gas
H2O
H2O + CH4
0.00
0.74
0.00
1.5
0.16
0.18
0.1 wt% Pt/TiO2
0.6
1.0
0.1 wt% Pt/LNT
1.0
0.2 wt% NiO/LNT
a
Feed gas was H2O (1%) with Ar carrier or a mixture of H2O
(1%) and CH4 (50%) with Ar carrier. Photoirradiation area:
12 cm2, light intensity measured at the range of 220-300 nm:
14 mW cm-2, total flow rate: 50 ml min-1.
我々は光触媒として Pt/TiO2、Pt/La0.02Na0.98TaO3 (以
下 Pt/LNT と表記)を用いると水とメタンから常温
1) T. Kawai, T. Sakata, J.C.S. Chem. Comm., 15 694, (1980).
で水素が生成する(eq. 1)ことを見出した 2)。
2) 吉田ら, 第 96 回触媒討論会 B, 1A04, (2005).
-1
2 H2O + CH4 → 4 H2 + CO2 (∆G = 113 kJ mol )
(1)
3) H. Kato et al, J. Am. Chem. Soc., 125 3082, (2003).
- 88 -
-1
B-20
ペロブスカイト型酸化物を担体とした Ni 触媒を用いた
メタン水蒸気改質反応による水素製造
Steam reforming of methane over Ni catalysts supported on perovskite-type oxides
浦崎
浩平、伊藤
亜紀子、目黒
潤、関根
泰、菊地
英一、松方
正彦
Masahiko Matsukata, Department of Applied Chemistry, School of Science and Engineering,
Waseda Univ.
169-8555 東京都新宿区大久保 3-4-1、 早稲田大学理工学術院
Tel: 03-5286-3850, Fax: 03-5286-3850, E-mail:[email protected]
We examined the redox properties of Ni/LaAlO3 and Ni/SrTiO3 catalysts for steam reforming of methane and
the reactivity of lattice oxygen in perovskites. TPR measurements revealed that the lattice oxygen in perovskites
was released by H2 reduction and recovered by H2O during reaction. We found that most of all the recovered
lattice oxygen could be utilized for the oxidation of CH4. The lattice oxygen in perovskite is considered to play a
positive role in both promoting the oxidation of CHx adsorbed on metallic Ni and in hindering carbon deposition.
近年我々は、ペロブスカイト型酸化物を担体と
した Ni 触媒用いた CH4 水蒸気改質について検討
1)
のみによるメタン酸化実験を行った。その結果、
反応後の Ni/perovskite 触媒にメタンを供給すると、
してきた 。本研究では、特に活性、耐炭素析出
格子酸素によるメタン酸化反応が進行し、CO、
安定性に優れていた Ni/SrTiO3、Ni/LaAlO3 につい
CO2 が生成することが分かった。このときの CO、
て、担体の還元性および格子酸素の反応性につい
CO2 生成量から算出した、メタン酸化に利用され
て検討を行った。
た格子酸素量および TPR 測定によって求めた反
LaAlO3 はクエン酸錯体重合法にて、SrTiO3 は
応中に再生される格子酸素量を Table 1 に示す。
SrCO3 と TiO2 を前駆体として固相法にて合成し、
いずれの触媒においても両者の値が比較的近い
Ni が 10 wt%になるように含浸担持した。活性試
値であったことから、反応中に再生される全ての
験は固定床常圧流通式反応器を用い、反応前に
格子酸素は、高い反応性を有し、メタン酸化に寄
H2 流通下 1073 K にて 1 h 還元処理を行った。反応
与しうることが分かった。以上の結果から、
温度は 1073 K または 923 K とし、原料ガスの組成
Ni/perovskite 触媒を用いることで、ペロブスカイ
をモル比で H2O/CH4 = 2/1 とした。
ト担体中の格子酸素が反応中に、Ni 上に解離吸着
反応前後の Ni/LaAlO3、Ni/SrTiO3 を用いて TPR
して生成した CHx 種の酸化に寄与することで、
測定を行ったところ、いずれの触媒も水素還元処
CHx の重合による析出炭素の生成を抑制し、高い
理によって、NiO とともにペロブスカイト担体も
耐炭素析出安定性を有するものと考えられる。
還元され、担体中の格子酸素を放出することが分
Table 1
かった。また、反応後の触媒についても同様に
Catalyst
Amounts of consumed lattice oxygen.
Consumed lattice oxygen
mg g-cat
TPR 測定を行ったところ、水素還元により放出さ
-1
a
ΔW
mg g-cat-1
れた格子酸素の一部が反応中に水蒸気から再生
Ni/LaAlO3
7.4
8.4
されることが分かった。
Ni/SrTiO3
12.1
14.5
a
次に格子酸素の反応性について検討を行うた
Amounts of lattice oxygen released from used
Ni/perovskite catalyst
め、反応温度 923 K にて反応を行い、続いて He
パージした後、メタンのみを供給したときの出口
ref:
ガスを質量分析計にて測定することで、格子酸素
(2005)
- 89 -
1)
K. Urasaki et al, Appl. Catal. A., 266 239,
B-21
1kW 家庭用燃料電池コジェネ「ライフエル」の開発と市場導入
1kW Fuel Cell CHP Introduced into Residential Market
山田
豊
Yutaka Yamada, Tokyo Gas Co., Ltd
105-0023 東京都港区芝浦 1-16-25, 東京ガス(株)技術開発部
Tel: 03-5484-4814, Fax: 03-5484-4193, E-mail:[email protected]
Two models of polymer electrolyte fuel cell (PEFC) CHP systems were commercially introduced for the first
time into the residential market in Tokyo metropolitan area, after a pile of the efforts to ensure the durability and
reliability. Although PEFCs have been widely recognized as a key technology to reduce the GHG emissions, they
had been hardly available for residential use because of their vulnerability. This paper describes what had been
conducted to launch the world’s first PEFC co-generation systems, “LIFUEL,” and what have been obtained
through the experiences of hundreds of installations of them.
固体高分子型燃料電池(PEFC)は出力密度が高
次に市場導入により得られた実物件での運転結
く小型化が可能なうえ動作温度が低いため家庭
果を報告する。約半年間で得られた 100 を超える
用機器への展開が期待されて来た。しかし PEFC
実物件での実運転データでは、幅広い熱電比のお
の高分子電解質膜(一般にはパーフルオロスルホ
客様先で省エネルギー効果が確認された。
ン酸系樹脂)はその劣化機構すら明らかになって
おらず、その耐久性はせいぜい試験室レベル(数
百~数千時間)でしか立証されてこなかった。
また、燃料電池の作動燃料である水素は一般家
庭に供給されていない。このため、化石燃料中も
っとも水素/炭素比率の高いメタンを主成分と
し供給網も整っている都市ガスを改質して水素
を取り出す技術が世界中で研究されてきたが、家
庭での実使用に耐えうる改質器は実用化されて
Fig. 3: Example of installation into actual house
こなかった。
本報告では、世界初となる家庭用 PEFC コジェ
ネレーションシステム『ライフエル』を市場導入
するまでの取り組みをまず報告する。頻繁な起動
停止が可能な小型・高効率な改質器を開発し、1
さらに 4 万時間 10 年相当の耐久性を有する次
期モデルの商品化に向けた取り組みについて報
告する。
『ライフエル』は荏原バラード殿、松下電器産
業殿それぞれと弊社の共同開発の成果である。
万時間を越える耐久性と高い省エネ性を実現す
る学習制御を備える PEFC システムを実現した。
Efficiency (LHV%)
90
80
70
60
50
40%
80%
Load factor
Fig. 2: Exterior and performance of reformer
120%
Fig. 1: World's first stationary FC CHP "LIFUEL"
- 90 -
B-22
コバルト触媒を用いたバイオマスエタノールの水蒸気改質反応
Steam reforming of biomass-derived ethanol over Co catalysts
石川
清宏、山城
庸平、福田
佳恵、浦崎
浩平、関根
泰、菊地
英一、松方
正彦
Ishikawa Kiyohiro, Yamashiro Yohei, Fukuda Yoshie, Sekine Yasushi,
Kikuchi Eiichi, Matsukata Masahiko
Department of Applied Chemistry, School of Science and Engineering, Waseda Univ.
169-8555 東京都新宿区大久保 3-4-1、 早稲田大学理工学部
Tel: 03-5286-3850, Fax: 03-5286-3850, E-mail:[email protected]
Steam reforming of biomass-derived ethanol for the purpose of H2 production was performed using
Co/perovskite catalysts. Co/LaAlO3 and Co/SrTiO3 showed higher catalytic activities and longer-term stabilities
than conventional Co/MgO.
and Co/SrTiO3.
Deposition of carbon formed in case of Co/MgO were inhibited over Co/LaAlO3
Co/BaTiO3 showed lower catalytic activities and coking resistance. The particle size of Co over
BaTiO3 was larger than that over SrTiO3.
We consider that the lattice oxygen in perovskites may play positive
roles in hindering coking and Co/SrTiO3 has more frequent participation of lattice oxygen in ethanol steam
reforming reactions in comparison with Co/BaTiO3.
バイオマス発酵により得られる、エタノールの
となる析出炭素量が極めて少ないことが分かっ
有効利用法として、エタノールの水蒸気改質反応
た。これは、ペロブスカイト担体中の格子酸素に
による水素製造が提案されている。含水エタノー
より、エタノールが Co 上に解離吸着して生成し
ルの利用が可能であるため、精留が不要であるな
た反応中間体の酸化および析出炭素の酸化除去
ど、効率、コストの面でのメリットは大きい。近
に利用されたためであると考える。
年、我々はエタノールの水蒸気改質反応用 Co 触
一方、Co/BaTiO3 は活性、安定性ともに低かっ
媒担体に SrTiO3 等のペロブスカイト型酸化物を
た。TEM 観察を行い Co 粒子径測定を行ったとこ
適用することで、活性および耐炭素析出安定性が
ろ、Co/SrTiO3、Co/BaTiO3 では Co 粒子径が大き
1)
大きく向上することを見出した 。本研究では、
く異なり、それぞれ、39 nm および 79 nm であっ
種々のペロブスカイト型酸化物を用いた Co 触媒
た。このことから Co/perovskite 触媒では Co 粒子
を調製し、エタノール水蒸気改質活性および耐炭
サ イ ズ が 重 要 で あ り 、 Co 粒 子 径 が 大 き い
素析出安定性について検討を行うとともに、活性
Co/BaTiO3 では、Co 粒子と担体の界面が少ないた
に影響を与える因子について検討した。
め、担体中の格子酸素が有効に使われず、その結
LaAlO3、SrTiO3、BaTiO3 を担体とした Co 触媒
を調製し、反応温度 823 K、H2O/C2H5OH = 5/1(モ
ル比)でエタノールの水蒸気改質反応を行い、
果活性、安定性ともに低下したものと考察した。
Table 1 Ethanol conversion, product yield and
amounts of deposited carbon
Catalyst
Co/MgO と比較した結果を Table 1 に示す。全ての
触媒は、反応前に 1 h 水素還元処理を行った。
Co/MgO が反応開始後大きく活性が低下したのに
Co/MgO
Co/SrTiO3
対し、Co/SrTiO3、Co/LaAlO3 では、初期活性が高
く、また活性が低下することなく高いエタノール
転化率を維持し、高い安定性を有することが分か
Co/LaAlO3
Co/BaTiO3
った。また、Co/MgO と比べて、活性低下の原因
ref:
- 91 -
1)
TOS
a
Conv.
Yield / %
Wc
/ min
/%
CO
CO2
CH4
H2
15
54.0
16.7
31.9
5.5
19.5
300
30.1
11.1
15.7
3.2
10.5
15
60.9
27.3
24.2
9.4
19.8
300
67.7
21.0
38.2
8.5
23.9
15
58.3
16.3
36.7
5.3
22.5
300
56.0
15.7
34.9
5.5
20.7
15
39.9
22.1
12.4
5.4
18.1
300
24.8
12.2
9.2
3.4
9.3
/
wt%
45.0
9.0
11.0
29.0
K. Urasaki et al, Chem. Lett., 34 668, (2005)