学習成績が伸びる子の動機 校長研修で、国立教育政策

No23
H27,6,5
立科小学校
学習成績が伸びる子の動機
校長研修で、国立教育政策研究所 統
括研究官 長田 徹先生のお話を聞きま
した。宮城県で中学の先生を長くされ、
子どもたちに社会で果たしたい具体的な
役割を夢として持たせるために、地域社
会とのつながりを提案し実践してきた先
生です。仙台市の9万人のデータから学
力テストと学習意欲の相関についてまず
述べられました。
国社算理の4教科の成績順は、次の結
果だそうです。最も平均点が高かった子
どもたちは「内発的意欲」は高く「外発
的意欲」は低いグループだったそうです。
「内発的な動機」とは、
「学習することが
楽しい」とか「もっと○○ができるよう
になりたい」など、その子自身の心の中
から起こってくる学習しようとする動機
です。外発的な動機とは、
「○○点取れた
ら、△△を買ってあげる」
「○○点取れな
ければ、□□は禁止」など外部からの報
奨や禁止などによる学習の動機です。
さて、2番目に平均点が高いグループ
は「内発的意欲」
「外発的意欲」とも高い
子どもたちです。3位のグループは、
「内
発的意欲」
「外発的意欲」とも低い子ども
たちです。そして、最も平均点の低いグ
ループは、
「外発的意欲」は高く「内発的
意欲」は低い子ども達だったそうです。
つまり、
「勉強しなさい」と外発的な動
機付けを一生懸命に保護者の方がすれば
するほど、成績の伸びない子どもになる
ということです。
「学ぶことは楽しい」と
実感させることが、学力向上の基本にな
校長
伴野
健
ります。
【詳しく
知りたい
方は、仙
台市ホー
ムページ
「教育」
から「学習意欲の科学的研究に関するプ
ロジェクト」をご覧ください。】
また、同調査は、成績の経年変化を見
ると、
「 将来の可能性を広げるために勉強
をがんばる」など具体的な目標を持つ子
の成績は伸びるのに対して、
「 夢や目標を
もっている。」といった抽象的な夢のまま
の子どもはのびないとも指摘しています。
そこで「低学年では大きな夢を、高学年
以上では将来や進路に関する具体的な知
識・技能を」と提案されています。
この提案内容を、
「なるほど」と本当に
実感します。佐久の中学校で職場体験学
習を最初に始めたのは私が勤務していた
学校でした。県教委の指定などなく、子
どもたちの様子から職場体験の期間を5
日間に伸ばしたのも教頭時代にお世話に
なっていた学校です。ある職業をされて
いる方を、具体的な憧れ・目標として知
り、そうなるためにどのような学習が必
要になるか理解した子ども達の学習への
取り組みの意欲は、非常に高まることを
経験してきました。しかし、同じように
職場体験をしても、将来の憧れに体験が
つながらず、学習への意欲に変化が見ら
れない子ども達もいました。この差は、
それまでにさまざまな大人の方と接して
回 覧
きた経験の差によるのではないかと推測
されました。仕事をしている大人との接
触が少ない子は、職場体験で接する大人
の方から感じとれる範囲が極めて少なか
ったのです。
こんな観点からみた時に、質問紙調査
で気になる項目があります。
っており、子ども達もその担い手の一人
として参加しています。地域の大人の皆
さんと知り合い斜めの関係を結ぶ得難い
機会です。他地域では、こうした場を創
るために学校支援本部などの組織を創り、
子どもと大人が関われる場を創ろうとし
ているのですから。また、美しい手技や
例年、同じような傾向が見られます。
93%のお子さんが、
「 住んでいる地域の行
事に参加」しています。非常に高い参加
率です。26 年度の調査では、全国 68%、
長野県 90%でした。しかし「地域や社会
で起こっている問題や出来事」への関心
は、72%になり、
「地域や社会をよくする
ために何をすべきかを考えることがある」
は、33.4%となってしまいます。26 年度
全国 52.5%と比べても低い数値となって
います。
先ほど述べましたように、
「 将来や進路
に関する具体的な知識・技能を」知らせ
ることが、子ども達の内発的な動機とな
り、学習成績を支えることになります。
そうした具体的な知識・技能を身につけ
る前提が、地域や社会に対する関心であ
り、よりよくしていこうとする問題意識
なのです。
立科町の各地域には、他地域では失わ
れてしまった素晴らしい伝統が数多く残
礼儀の伝統が立科には数多く残されてい
ます。家庭で手造りの味噌が作られてい
たり、「お世話になっています。」という
挨拶が自然に使われていたり、お祭りの
ためのわらじやわら細工が作られていた
り……。その中で、子ども達もそうした
ものにふれています。
この機会を活かして、子ども達の地域
や社会への関心を高め、関わっていける
役割に気が付けるように、学校でも、生
活科や総合、社会科等の学習場面で追究
の課題として設定し、子ども達の関心・
意欲を高める努力をいたしますが、御家
庭や地域で協力をいただけますようにお
願い申し上げます。
身近にあって当たり前のものの価値に
は、なかなか気がつきません。生きた年
数が少ない子どもはなおさらです。なぜ、
そこに田や畑が広がっているのか、その
行事がどんな困難を乗り越えて受け継が
れてきたのかなど、是非お話ください。