Google Apps For Work 導入による Total Economic Impact™ (総合的

Forrester Total Economic
プロジェクトディレクター:
Impact™ 調査
Sean McCormick
委託元:
Reggie Lau
Google
Google Apps For Work
導入による Total Economic
Impact™ (総合的経済効果)
2015 年 6 月
目次
エグゼクティブサマリー .............................................................................. 3
情報開示 ........................................................................................................ 5
TEI の枠組みと方法 ...................................................................................... 6
分析結果 ........................................................................................................ 7
費用便益分析結果の要約 ............................................................................ 20
Google Apps For Work の概要 ................................................................. 21
付録 A:モデル組織について..................................................................... 24
付録 B:Total Economic Impact™ の概要 .............................................. 25
付録 C:用語解説 ....................................................................................... 26
FORRESTER CONSULTING について
Forrester Consulting は、組織からの委託により第三者機関として客観的な調査を
行い、これに基づくコンサルティングを提供することで事業の成功を支援してい
ます。短い戦略セッションからお客様のご要望に応じた個別プロジェクトまで、
専門知識と経験が豊富な Forrester Consulting のリサーチアナリストが直接お客様
に対応し、お客様の事業に関わる課題について専門的な知見を提供いたします。
詳細については、forrester.com/consulting をご覧ください。
© 2015, Forrester Research, Inc. All rights reserved. 無断複製厳禁。本報告書は、調査時に入手可能な最も
信頼できる情報に基づいて作成されました。本報告書の提案内容は調査時の判断に基づくものであり、変
更されることがあります。Forrester®、Technographics®、Forrester Wave、RoleView、TechRadar、および
Total Economic Impact は、Forrester Research, Inc. の商標です。その他の商標はすべて、それぞれの所有
者に帰属します。詳細については、www.forrester.com をご覧ください。
3
エグゼクティブサマリー
Forrester Consulting は Google の委託を受け、Google Apps for
Work の導入により組織にもたらされる投資対効果 (投資利益
率、ROI) に関する Total Economic Impact™ (総合的経済効果、
TEI) の調査を実施しました。本調査の目的は、Google Apps
for Work の導入によって組織にもたらされる経済効果を評価す
るための枠組みを提供することです。
Google Apps for Work によりコラボレーションと
コミュニケーションを促進し、モバイル端末の業
務利用を推進することでコスト削減につなげる。
ユーザー企業に対する面接調査の結果に基づいて
作成したモデル企業 (従業員 12,000 人) における
費用と便益
Google Apps for Work の導入による便益、費用、リスク等につ
• ソフトウェア利用料金:1 ユーザーあたり月額
いて十分に把握するために、Forrester は既に Google Apps for
10 ドル
Work を導入し、数年にわたって利用しているユーザー企業数
社に対して面接調査を実施しました。Google Apps for Work は
• 初期費用と保守費用:$1,163,395
Gmail、Google ドライブ (ファイルの保管と共有)、ハングアウ
• コスト削減額と便益額の総額:$17,083,603
ト (ビデオ会議とチャット)、ドキュメント、スプレッドシート、
プレゼンテーション (スライド作成)、フォーム、カレンダー、
サイト、そして情報セキュリティ対策や管理コンソール (アドミン) を含むアプリケーションスイートです。既に世界中の
多くの組織が Google Apps for Work を利用し、コラボレーションを促進し、顧客エンゲージメントと生産性を高めるため
に、業務改革の推進、顧客経験価値の向上、および業務プロセスの合理化に取り組んでいます。また、従業員がどこでも、
どんな端末からでも情報や業務環境にアクセスできるため、従業員エンゲージメントの向上にもつながります。
ユーザー企業では、Google Apps for Work 導入前にオンプレミスの電子メール、ストレージ、コミュニケーションツール
を使っていましたが、全社的なコミュニケーションとコラボレーションの環境を作り出すことができませんでした。従業
員にとっても離れた場所からドキュメントにアクセスできない、効果的なコラボレーションを実現できない等の問題があ
りました。このような限界があると、従来の IT システムでは費用がかさむ上に従業員のニーズに対応できず、従業員は不
満を募らせ、生産性も低下します。面接調査を実施した某組織では、国内のすべての従業員に HDD を送り、情報を連携
させなければなりませんでした。Google Apps for Work を利用することで、従業員は複数のステークホルダーからの情報
提供が必要なプロセスを合理化し、Google ドキュメントを使ったリアルタイムのコラボレーションが可能になり、どこか
らでも、どんな端末でも仕事ができるようになります。某企業の IT 部門の上級管理者は、「コストを削減でき、生産性が
飛躍的に向上したばかりでなく、企業文化がすっかり変わりました。実際、今までに考えたこともないような場所、他人
の 2 倍の速さで行かなければならない場所へ行くことができるようになりました。すべての人との、あらゆる場所からの
コラボレーションを実現する必要があります。こういうことすべてについて考え方が変わったのです」
GOOGLE APPS FOR WORK でコラボレーションとコミュニケーションを促進する
既存のユーザー企業 6 社に対して実施した面接調査、およびその後の費用便益分析の結果、モデル組織 (従業員 12,000 人、
Google Apps for Work ユーザー 10,000 人) を作成し、この組織における ROI と便益 (いずれもリスク調整後の値) を算定
しました (図 1 参照)。
モデル組織では、導入にかかる費用約 420 万ドルに対して便益は約 1,710 万ドル、便益の正味現在価値 (NPV) は約
1,290 万ドルとなります。また、この 3 年間の便益をユーザー 100 人あたりに換算すると 170,836 ドルになります。
Google Apps for Work を導入した組織では、特にハングアウトによりコミュニケーションのあり方や会議の進め方が大き
く変わりました。役職者はもはや従業員の研修、職務評価、指導等のために現場に足を運ぶ必要はありません。モデル組
織では役職者の年間の出張回数が 12 回減り、年に約 240 ドルの経費削減につながります。
4
図1
費用便益分析の結果 (3 年間、リスク調整後)
ROI:
304%
NPV
(ユーザー 100 人
あたり):
$128,513
総便益:
$17,083,603
コラボレーショ
ンの効率化:
約 $8,000,000
資料:Forrester Research, Inc.
›
便益:モデル組織では以下のような便益 (面接調査を実施したユーザー企業に実際にもたらされた便益に基づいて算定、
リスク調整後) が期待できることが明らかになりました。
• コラボレーションの効率化により 8,013,311 ドルのコスト削減:Google ドキュメント、スプレッドシート、プレ
ゼンテーション (スライド作成) によりリアルタイムのコラボレーションを実現し、Google サイトにより社内プロ
ジェクトチーム専用のサイト (コラボレーションの場) を作成し、Google ドライブにより外出先からでも簡単に
ファイルにアクセスし、共有できます。この結果、組織全体にわたる業務プロセスの合理化とコラボレーション
の効率化により、従業員 1 人あたり 15 分から 2 時間の時間短縮につながります。
• モバイル端末の業務利用を推進することで出張旅費を 5,371,600 ドル削減:従業員がモバイル端末を使うことで、
どこにいてもその場で仕事ができます。出勤途中でも、取引先からでも迅速に対応でき、時間を有効に使うことが
できます。iPhone、iPad、Android 等の私物モバイル端末を業務に使うことで従業員エンゲージメントを高め、業
務全体の迅速化を図ることができます。また、従業員が自宅、本社や支社等の離れた場所、または外出先にいても
顔を合わせた会議ができるため、研修や年次の人事考課等のために現場に足を運ぶ必要がありません。要は、モバ
イル端末の業務利用を推進することで、従業員が物理的な場所に縛られることなく、一緒に仕事をし、意見を交換
し、イノベーションを図り、意思決定について評価し、企業業績の向上に貢献できる環境が生まれるのです。
• クラウド型ソリューションによりレガシーシステムにかかる費用を 502,979 ドル削減:Google のクラウド型スト
レージと電子メールソリューションにより、オンプレミスのレガシーシステム (サーバーやストレージ) にかかる
費用、特にサーバーの保守運用にかかる費用を削減し、IT 部門がより重要な活動に注力できるようになります。
• 従来型の電話・ビデオ会議サービスの代わりに新しいビデオ会議機能を利用することで、通信費を 3,195,713 ド
ル削減:Google のハングアウトはビデオ会議、電話等のコミュニケーションの基盤となるため、従来の電話サー
ビスやビデオ会議サービスにかかる費用を削減できます。
›
費用:モデル組織が負担する費用 (リスク調整後) は次のとおりです。
• 3 年間のソフトウェア利用料金 3,068,881 ドル (1 ユーザーあたり月額 10 ドル):Google Apps for Work のソフト
ウェア利用料金は月ごとに発生します。
• 専門サービス料金 231,000 ドル (1 ユーザーあたり 6 か月間に 23 ドル):Google Apps for Work を中規模・大規模
組織で導入・展開する場合は、サードパーティ統合サービスを利用することが推奨されます。
• サードパーティ チェンジ マネジメント サービス料金 231,818 ドル (1 ユーザーあたり 23 ドル):利用率を高め、最
大規模のコラボレーションを実現し、可能な限りの改善を図るためには、チェンジ マネジメントが極めて重要にな
ります。モデル組織では導入時に 5 か月にわたる移行作業中に、Google のサポートと併せてサードパーティ チェ
ンジ マネジメント サービスを利用します。
• 組織内研修にかかる費用 700,576 ドル (1 ユーザーあたり 3 年間で 70 ドル):多くの従業員が個人的に Google
Apps を利用しているため、組織規模で導入する場合も比較的簡単で、直感的に使いこなすことができます。ただ
し、最大規模のコラボレーションを実現し、生産性を最大限に高めるためには、組織内研修を行うことが推奨さ
れます。この費用は従業員が研修や e-ラーニングセッションに費やした時間に基づいて算定されます。
5
情報開示
本報告書を読むときには、次の事項に注意してください。
›
本調査は Google からの委託により、Forrester Consulting が実施しました。本調査は比較分析を目的としたものではあ
りません。
›
Forrester が本報告書で提供する ROI の予測値は、他の組織には一切適用されません。各組織は、本報告書で提供される
枠組みに基づいて独自に数値を予測し、Google Apps for Work への投資の妥当性を判断してください。
›
Google は本報告書の内容を確認し、Forrester にフィードバックを提供しましたが、本調査および調査結果については
Forrester がこれを編集・管理する権限を有し、調査結果と矛盾する変更や調査の趣旨が曖昧になるような変更は一切
行っておりません。
›
面接調査は Google が紹介するユーザー企業に対して行いましたが、Google は面接調査に一切関与していません。
6
TEI の枠組みと方法
概要
Forrester は面接調査により得られた情報に基づき、Google Apps for Work の導入による Total Economic Impact (総合的経
済効果、TEI) を評価するための枠組みを構築しました。枠組みの構築は、投資に関する意思決定に影響を与える、費用、
便益、柔軟性、およびリスクを明らかにすることで、各組織が特定の便益を確保し、費用を削減し、顧客獲得・維持、
顧客サービスの向上を含む企業の目標を達成するための一助となることを目的としています。
調査方法
Forrester は、Google Apps for Work の導入による経済効果を評価するために、次のような段階を踏んで調査を行いました
(図 2 参照)。
›
Google Apps for Work と Google Apps for Work 市場全体に関する情報を収集するため、Forrester のアナリストの協力を
得て、Google の営業担当者と製品開発担当者に対して面接調査を実施しました。
›
Google Apps for Work を導入した企業 6 社に対する面接調査では、費用、便益、およびリスクに関するデータを収集し
ました。
›
面接調査対象のユーザー企業の特性に基づいてモデル組織を作成しました (付録 A 参照)。
›
面接調査により収集したデータに基づき、TEI 法による財務モデルを構築しました。この財務モデルに、面接調査によ
り得られた費用と便益に関するデータを追加し、モデル組織に適用しました。
›
財務モデルでは、面接調査でユーザー企業が指摘した問題点や懸念事項に基づいてリスク調整を行いました。TEI 法で
はリスク調整が非常に重要になります。ユーザー企業には費用や便益の見積もりを出してもらいましたが、項目によっ
ては回答にばらつきがあり、結果に影響する外的要因も多いため、費用と便益の総額についてリスク調整を行う必要が
あります。リスク調整の詳細については各項で説明しています。
TEI 法による Google Apps for Work サービスの財務モデルは、「便益」、「費用」、「柔軟性」、「リスク」の 4 項目に
基づいて作成されました。
IT 投資の費用便益分析/ROI 分析については、企業内でも高度なテクニックを駆使するようになってきましたが、Forrester
の TEI 法は、導入の意思決定がどのような経済効果につながるかを総合的に把握することを目的とした、非常に有効な方
法です。TEI 法の詳細については、付録 B をご覧ください。
図2
TEI 法
デューディリ
ジェンスを
実施する
資料:Forrester Research, Inc.
ユーザー企業に
対する面接調査
を実施する
モデル組織を
作成する
TEI の枠組みに
よる財務モデル
を構築する
調査報告書を
作成する
7
分析結果
モデル組織
本調査の一環として、Google の顧客であるグローバル企業 6 社の担当責任者を対象とした面接調査を行いました。
›
従業員 1,400 人を擁するメディア関連のグローバル企業。デジタルメディアにより全世界で月に平均 2 億 7,500 万人の
消費者にリーチ。米国に本社を構え、英国や中国にも拠点を置く。
›
ロンドンに本社を置く Rentokil Initial 社。従業員 28,000 人のうち、Google Apps for Work ユーザーは 14,000 人。国内
外に多くの支店・営業所を構え、従業員の 80% が現場勤務。過去 5 年間に米国内で多くの企業を買収。この作業を進
める上で Google Apps for Work が非常に重要であった。Google Apps を利用して、買収した企業を迅速に統合し、共通
のコミュニケーション・コラボレーション基盤を構築。この結果、従業員間の意見交換や共同作業が迅速化され、買収
を成功裡に実行。
›
Imagination 社はロンドンに本社を置き、国内外に 22 の支店・営業所を構える、クリエイティブ専門の企業。世界
73 か国 1,150 都市に従業員を派遣。Google Apps for Work の利用率を高め、ユーザーは現在 1,200 人。コンテンツ管理
システムとして Google ドライブとサイトを活用し、画像処理、ビデオ、事例研究等のターゲットを絞ったプロジェク
トを 500,000 件以上もサポート。
›
欧州のオンライン旅行会社。従業員 1,900 人全員が Google Apps for Work ユーザー。
›
数十億ユーロ規模の化学製品製造業者。欧州とアジアの各地に支店・営業所、工場を構え、従業員 30,000 人のうち、
Google Apps for Work ユーザーは 20,000 人。
›
米国に拠点を置く製造業者で、Google Apps for Work ユーザーは 12,000 人。企業間取引 (B2B) の促進のため、英国、
中国、オーストラリアにも支店・営業所を設置。
面接調査の結果に基づいて TEI の枠組みとモデル組織を作成した後、費用便益分析/ROI 分析を行いました。これにより、
経済的に影響を受ける分野が明らかになります。このような結果に基づいて構築したモデル組織は、以下の特性を備えて
います。
›
国内外に支店・営業所を構える、B2B 多国籍企業。
›
従業員 12,000 人、うち Google Apps for Work ユーザーは 10,000 人。
›
年間売上高 40 億ドル。
›
従業員が多くの支店・営業所や現場に派遣されており、このような従業員を管理する役職者は 400 人。
モデル組織では提案依頼書 (RFP) やビジネスケース (投資対効果検討書) を数多く作成し、様々なベンダーについて検討し
た結果、Google を導入することになり、以下のとおり、導入の準備を進めました。
›
モデル組織の目標は、コラボレーションとコミュニケーションを促進すること、迅速な意思決定と意見交換のためにモ
バイル端末の業務利用を促進すること、業務の効率化を図ること、生産性を高めること、そして従業員エンゲージメン
トを高めることにより、企業業績の向上と顧客満足度の向上を図ること。
›
オンプレミスのレガシーシステムからクラウド環境へ移行することで、IT 費用、特にサーバーの購入や保守運用にかか
る費用を削減。
›
6 か月間にわたり、設計、試運転、実装を含むサードパーティ統合サービスを利用。
8
›
Google Apps for Work は従業員 10,000 人全員が使用。ただし、
実際に Google Apps を業務に利用する従業員の割合を「利用率」
として 3 年間で段階的に増やす (1 年目に 60%、2 年目に 75%、
3 年目に 100%)。
›
研修には e-ラーニングガイドを使用し、全従業員に対して実施。
各部署の「従業員チャンピオン」がリアルタイムで指導にあた
り、e-ラーニングを支援。
›
5 か月間にわたるチェンジ マネジメントにより利用率を高め、
コラボレーションを促進。
「Google サイトは思いがけな
い発見でした。既に社内プロ
ジェクトチーム専用のサイト
を 300 以上作成しました」
― 某メディア関連グローバル企業の上級管理者
面接調査の要点
「顧客の時代」と呼ばれる現代において、企業は競争力を維持しつつ、顧客ニーズに対応しなければならず、日々大きな
プレッシャーを感じています。適切なツールを備えた Google Apps for Work を利用することで、働き方 (ワークスタイル)
を変え、従業員エンゲージメントを高めることができます。また、従業員にとっては離れた場所にいながら意見交換や会
議ができ、これまでは難しかった内容領域専門家 (SME) との共同作業も可能になります。この結果、業務改革を推進し、
サービスの改善、顧客満足度の向上へとつなげることができます。また、多くの IT 部門がコスト削減を求めるプレッ
シャーを受けながら、最終的には収益の向上に結びつけていく必要があり、今回、面接調査を実施した某ユーザー企業の
IT 責任者も、特に IT の活用により IT 部門内のコラボレーションを推進し、従業員エンゲージメントを高めるという重要
な任務を負っていると話していました。
Google Apps for Work を導入する理由は組織によって異なりますが、共通点もあります。実際、面接調査を実施したユー
ザー企業のほとんどが、コラボレーション、モバイル端末の業務利用、そして業務改革を推進することで、組織全体の
ワークスタイルを変えたいと考えていました。このような理由に加え、通信システムも時代遅れになっていたため、
Google Apps for Work 導入の必要性が高まりました。モデル組織でもこのような状況を想定しています。
面接調査の結果、Google Apps for Work 導入により次のような便益がもたらされることが明らかになりました。
›
モバイル端末の業務利用:Google Apps for Work のアプリはモバイル端末 (iOS、Android) で利用できるため、どこから
でもファイルにアクセスでき、メールを送信する、ビデオ会議に参加する、一つのドキュメントを複数のユーザーが同
時に編集する等、リアルタイムのコラボレーションが可能にな
ります。このような機能により、イノベーションを図り、従業
員の意欲を高めることができるため、組織全体にわたる従業員
エンゲージメントの向上につながります。面接調査を実施した
「顔を合わせて話し合う必要
ユーザー企業では、多くの役職者が部署の職場環境に柔軟に対
があるときに Google ハングア
応できるようになったと話していました。具体的には、交通渋
滞を避けるために時間帯に応じて在宅勤務を許可する、本社や
ウトを使うと、お互いの画面
支社等の離れた場所への移動時間を短縮するために直接会って
会議をするよりハングアウト (ビデオ会議) を利用する等の対応
を見ながら作業ができます。
が可能になったのです。また、従来は会議のためにわざわざ足
新しい情報も同時に共有でき
を運んでいたのが、Google ハングアウトにより離れた場所にい
ても顔を合わせた会議が可能になったため、年次の人事考課や
ます。これはとてつもなく重
四半期ごとの研修等にかかる交通費 (役職者の出張旅費) が大幅
要なことです」
に削減されました。
― 某製造業グローバル企業の戦略的インフラ計
画策定担当者
9
›
コラボレーション:Google Apps for Work の大きな魅力は、リア
ルタイムのコラボレーション、バージョン管理、そして時間短縮
「ハングアウトを取り入れた
が可能になることです。従来はプレゼンテーションの準備に 1 週
間ほどかけ、多くの従業員が電子メールで連絡窓口にスライドを
ら、役職者の出張旅費を 40%
送り、連絡窓口でこれを整理・確認するという作業が必要でした
が、Google プレゼンテーション (スライド作成) を使うとこのよう
削減できました」
な作業がほんの数分で完了し、リアルタイムで確認できます。ま
― Keith Chisholm、Rentokil Initial 社プログラム
た、Google ハングアウトとドキュメントを使うと、ビデオ会議を
ディレクター
しながら共同で書類を編集できるので、会議にかかる時間を短縮
し、会議の回数を減らすことができ、組織全体にわたるコラボ
レーションの促進につながります。某 IT 責任者は、Google ド
キュメントを使って従業員 20 人と話し合いながら同時に作業を進
めたところ、会議にかかる時間が数時間から数分に短縮され、コ
ラボレーションの効果を身をもって体験することになったと話し
ていました。この会議はブレーンストーミングによる問題解決のために行われました。自由な発想によりアイディアを
引き出すという目標のためには作業や話し合いを効率的に進める必要があり、このために会議の進行役が一定のルール
や手順を定めました。また、別の組織では、Google ドキュメントを使うことで経営幹部・(中間) 管理職間の調整を図る
ことができ、30% の時間短縮につながりました。さらに、某企業では予測精度を高めるために著名な科学者に研究を委
託しました。これは大規模なプロジェクトで、全国 3 か所の研究拠点のコラボレーションが必要でした。これについて
IT 責任者は、「チームが全国に分散しているので、Google Apps なしでは実現できなかったと思います。ハングアウト
で何度もビデオ会議を行い、ドキュメントを共有できたからこそ実現したのです。(そして、コラボレーションを生む企
業文化がなければ、成功できなかっただろうと思います)」と話していました。
›
最新の電子メールソリューションでパワフルなコミュニケーション:クラウド型のコミュニケーション・コラボレー
ション基盤を取り入れることで、従来型の電子メールサーバーやストレージサーバーは不要になり、サーバーの保守運
用、容量拡張や交換にかかる費用を削減できます。また、クラウド環境ならスマートフォン、タブレット、またはノー
トパソコンでシームレスにドキュメント、メール、その他のファイルにアクセスできます。顧客やクライアントにより
迅速に対応できるため、最終的に顧客満足度の向上につながります。ハングアウトを使うことで、いつでも、どこでも、
同僚とのコミュニケーションが可能になり、外出先で問い合わせに応じることができ、ワークスタイルを変え、パワフ
ルなコミュニケーションを実現します。某企業の IT 責任者は、「(ハングアウトで) 私の生活が変わりました。もう電話
は使っていません」と話していました。
10
便益
本調査のモデル組織にもたらされる便益は以下のとおりです (定量的に評価した便益のみ)。
›
コラボレーションの効率化により、世界中の様々な場所にいながら意見を交換し、ドキュメント、スプレッドシート、
プレゼンテーションを共有できるため、製品の改善、業務プロセスの改善、生産性の向上につながる。
›
モバイル端末の業務利用により、職場環境における従業員の柔軟性が高まり、交通費を削減できる。従業員の意欲やエ
ンゲージメントが高まる。
›
新しいサーバーやストレージを購入する必要がないため、レガシーシステムにかかる費用を削減できる。
›
従来型の電話・ビデオ会議サービスの利用を控えることで通信費を削減できる。
コラボレーションの効率化
Google Apps for Work の導入によりモデル組織にもたらされる主な便益は、Google ドライブ、ドキュメント、
スプレッドシート、プレゼンテーション (スライド作成)、ハングアウト (ビデオ会議) を使用することで従業員
間のコラボレーションが促進されることです。複数の従業員が同じドキュメント、プレゼンテーション、また
はスプレッドシートで同時に仕事を進めることができます。また、ハングアウトを使うと地理的に離れた場所
にいる同僚とビデオ会議を行い、共同で作業を行うことができます。モデル組織では Google Apps for Work
ユーザーの約半数がこのようなコラボレーションに積極的に取り組み、コラボレーションツールを最大限に活
用していますが、この結果、様々な業務プロセスにおいて労働時間が 1 週間に 1 ~ 2 時間短縮されます。コラ
ボレーションツールをあまり使用しない残りの半数については、1 週間に 15 ~ 30 分 (25%) の短縮になります。
業務プロセスの改善について、以下に一例を挙げます。
›
会議開始時にドキュメントを最新の状態で共有できるので、全員が最新の情報を共有し、作業の効率化につ
ながる。
›
ビデオ会議により参加者が同時に作業を進めることで、会議終了後の作業やメールのやり取りを減らし、
ドキュメント完成までの時間が短縮される。
›
添付ファイルをスキャンし、自動的に整理される。
›
情報やドキュメントにどこからでもアクセスできるため、生産性の向上につながる。
モデル組織では Google Apps for Work 導入後の効率化により、労働時間が 32.5 時間短縮されます。年ごとの
利用率 (Google Apps を業務に利用する従業員の割合) は 1 年目に 60% で、3 年間で 100% に達するものとし
ます。この結果、1 年目に 39,000 時間、2 年目に 75,319 時間、3 年目に 137,917 時間短縮されます。Google
Apps ユーザー 1 人あたりの時間給を 45 ドルとして計算すると、コラボレーションの効率化による総便益は
3 年間で 9,427,425 ドル、ユーザー 1 人あたりでは 943 ドルとなります。
コラボレーションの効率化による便益については、様々な外的要因が影響するため、ユーザー企業によりかな
りの違いがありました。このような違いを考慮して、この便益についてはリスク調整率 15% で計算しました。
この結果、コラボレーションの効率化によるリスク調整後の総便益額は 3 年間で 8,013,311 ドル (1 ユーザー
あたり 801 ドル) に達します。詳細については、「リスク」の項をご覧ください。
11
表1
コラボレーションの効率化
参照
番号
評価項目
計算式
導入時
1 年目
2 年目
3 年目
10,000
10,300
10,609
60%
75%
100%
$45.00
$46.35
$47.74
A1
Google Apps for Work
ユーザー数
A2
利用率
A3
従業員 1 人につき 1 時
間あたり
A4
コラボレーションに積
極的に取り組む従業員
による年間の労働時間
短縮
週あたり 1 ~ 2 時間
52
78
104
A5
コラボレーションツー
ルをあまり使用しない
従業員による年間の労
働時間短縮
コラボレーションに積極的に取り組む
従業員による年間の労働時間短縮
の 25%
13.0
19.5
26.0
A6
Google Apps for Work
ユーザーのうち、コラ
ボレーションに積極的
に取り組む従業員の
割合
50%
50%
50%
A7
Google Apps for Work
ユーザーのうち、コラ
ボレーションツールを
あまり使用しない従業
員の割合
50%
50%
50%
A8
生産性に換算
20%
20%
20%
At
コラボレーションの効
率化
$0
$1,755,000
$3,491,024
$6,584,227
$0
$1,491,750
$2,967,370
$5,596,593
リスク調整
Atr
コラボレーションの効
率化 (リスク調整後)
資料:Forrester Research, Inc.
1 - A6
(A1*A2*A3*A4*A6*A8)+
(A1*A2*A3*A5*(1-A6)*A8)
 15%
12
モバイル端末の業務利用を推進
モバイル端末の業務利用とは、従業員が Android、タブレット、iPhone、iPad、パソコン等の私物モバイル端
末を使って、どこからでも Google Apps for Work にアクセスできるということです。これにより、モデル組織
全体にわたり、従業員エンゲージメントが高まり、生産性の向上につながり、ひいては組織文化を変えること
ができるのです。VPN サービスを利用することなくファイルにアクセスする、メールにファイルを添付して離
れた場所へ送る、実際に足を運ぶことなく会議を行う等、要は国境を越えたワークスタイルが可能になります。
モデル組織では、ハングアウトを使うことで直接会って会議をする必要がないため、旅費規程を見直し、研修
や人事考課のための役職者の出張旅費を大幅に抑えることができます。モデル組織では役職者 400 人が年に
3 か所へそれぞれ 4 回 (計 12 回) 出張していたと仮定すると、組織全体の出張回数を年に 4,800 回減らすこと
ができます。1 回の出張にかかる旅費を 500 ドルで計算すると、年間 2,400,000 ドル (役職者 1 人あたり
6,000 ドル) の削減になります。
出張旅費をどの程度削減できるかについては、様々な内的・外的要因が影響するため、ユーザー企業によりか
なりの違いがありました。このような違いを考慮して、この便益についてはリスク調整率 10% で計算しまし
た。この結果、出張旅費の削減によるリスク調整後の総便益額は 3 年間で 5,371,600 ドル (役職者 1 人あたり
5,400 ドル) に達します。詳細については、「リスク」の項をご覧ください。
表2
モバイル端末の業務利用を推進 – 役職者の出張旅費の削減
参照
番号
評価項目
B1
出張する役職者の数 (年間)
B2
出張先の数 (役職者 1 人あたり)
B3
出張旅費 (平均)
B4
各出張先への出張回数 (年間)
Bt
モバイル端末の業務利用を推進 –
役職者の出張旅費の削減
リスク調整
Btr
計算式
B1*B2*B3*B4
1 年目
2 年目
3 年目
400
400
400
3
3
3
$500
$500
$500
4
4
4
$0
$2,400,000
$2,400,000
$2,400,000
$0
$2,160,000
$2,160,000
$2,160,000
導入時
 10%
モバイル端末の業務利用を推進 –
役職者の出張旅費の削減 (リスク
調整後)
資料:Forrester Research, Inc.
レガシーシステムにかかる費用の削減
モデル組織では Google Apps for Work 環境への移行に伴い、オンプレミスのレガシーサーバーを撤去するため、
サーバー 1 台につき約 3,000 ドルの費用が不要になります。また、サーバーの保守運用にかかる年ごとの費用
も 1 台につき 1,500 ドル削減されます。サーバーは 3 年間で 100 台撤去するため、計 558,866 ドルのコスト
削減になります。
13
ユーザー企業では主に社内事情により 1 年間に撤去するサーバーの数にかなりの違いがあるため、この便益に
ついてはリスク調整率 10% で計算しました。この結果、レガシーシステムにかかる費用の削減によるリスク
調整後の総便益額は 3 年間で 502,979 ドルになります。本 TEI 調査でこの便益を考慮しない場合は、3 年間の
ROI が 292%、NPV は 12,300,000 ドルになります。詳細については、「リスク」の項をご覧ください。
表3
レガシーシステムにかかる費用の削減
参照
番号
3 年目
100
100
100
60%
75%
100%
60
15
25
C2
利用率
C3
1 年間に撤去するサーバーの数
C4
サーバー 1 台あたりの費用
(平均)
$3,000
$3,090
$3,183
C5
サーバー 1 台あたりの保守運用に
かかる費用 (平均)
$1,500
$1,545
$1,591
Ct
レガシーシステムにかかる費用の
削減
$0
$270,000
$162,225
$238,703
$0
$243,000
$146,003
$214,832
Ctr
導入時
2 年目
C1
リスク調整
計算式
1 年目
評価項目
3 年間にわたって撤去するサーバー
の数
C1*C2 - 前年までの合計
C3*C4+(C3+前年までの
合計)*C5
 10%
レガシーシステムにかかる費用の
削減 (リスク調整後)
資料:Forrester Research, Inc.
従来型の電話・ビデオ会議サービスにかかる費用の削減
モデル企業では従来型の電話サービスやビデオ会議サービスの利用を控えることで通信費を削減できます。
まず、電話サービスについては、Google ハングアウトを使うことで、3 年間に 7,800 台の電話が不要になり、
3,378,590 ドル (現在価値) 削減できます。ビデオ会議サービスについては、従来型のビデオ会議の代わりに
Google ハングアウトを使うことで、3 年間で 616,051 ドル (現在価値) の削減になります (表 4 参照)。
このような通信費をどの程度削減できるかについては、様々な内的・外的要因が影響するため、ユーザー企業
によりかなりの違いがありました。このような違いを考慮して、この便益についてはリスク調整率 20% で計
算しました。この結果、従来型の電話・ビデオ会議サービスにかかる費用の削減によるリスク調整後の総便益
額は 3 年間で 3,195,713 ドルになります。詳細については、「リスク」の項をご覧ください。
14
表4
従来型の電話・ビデオ会議サービスにかかる費用の削減
参照
番号
評価項目
計算式
D1
3 年間で撤去する電話機の台数
3 年間で 7,800 台
D2
利用率
D3
1 年間に撤去する電話機の台数
D4
電話サービス料金 (1 台あた
り、年間)
D5
ビデオ会議サービス料金 (年間)
D6
ビデオ会議サービスにかかる費
用の削減
電話サービスにかかる費用の
削減
Dt
2 年目
3 年目
7,800
7,800
7,800
60%
75%
100%
4,680
5,850
7,800
$226
$226
$226
$321,429
$321,429
$321,429
$192,857
$241,071
$321,429
$0
$1,250,537
$1,563,171
$2,084,229
$0
$1,000,430
$1,250,537
$1,667,383
D1*D2
D5*D2
D3*D4+D6
 20%
リスク調整
Dtr
1 年目
導入時
電話・ビデオ会議サービスにか
かる費用の削減 (リスク調整後)
資料:Forrester Research, Inc.
総便益
表 5 に、上記の 4 つの便益の総額と 10% のリスク調整後の現在価値 (PV) を示します。3 年間にモデル企業にもたらされ
る総便益のリスク調整後の現在価値は 17,083,603 ドル (ユーザー 100 人あたり 170,836 ドル) になります。
表5
総便益 (リスク調整後)
参照
番号
Atr
Btr
Ctr
Dtr
便益の種類
導入時
1 年目
2 年目
3 年目
合計
現在価値
コラボレーションの効
率化
モバイル端末の業務利
用を推進 – 役職者の
出張旅費の削減
サーバーにかかる費用
の削減
電話サービスにかかる
費用の削減
$0
$1,491,750
$2,967,370
$5,596,593
$10,055,713
$8,013,311
$0
$2,160,000
$2,160,000
$2,160,000
$6,480,000
$5,371,600
$0
$243,000
$145,003
$214,832
$603,835
$502,979
$0
$1,000,430
$1,250,537
$1,667,383
$3,918,350
$3,195,713
総便益 (リスク調整後)
$0
$4,895,180
$6,523,910
$9,638,808
$21,057,897
$17,083,603
資料:Forrester Research, Inc.
15
費用
モデル組織では Google Apps for Work ソリューションの導入に伴い、様々な費用が発生します。
›
ソフトウェア利用料金
›
専門サービス料金
›
チェンジ マネジメント サービス料金
›
組織内研修にかかる費用
これらは、モデル組織において、本ソリューションに関する最初の計画策定、導入、および継続的な保守のために発生す
る内部費用と外部費用に相当します。
ソフトウェア利用料金
Google Apps for Work の料金体系は非常にシンプルです。モデル組織では 1 ユーザーあたり月額 10 ドルの料
金がかかります。1 年目のユーザー数は 10,000 人で、年ごとに 3% 増加すると、3 年間のソフトウェア利用料
金は計 3,068,881 ドル (ユーザー 100 人あたり約 12,000 ドル) になります。
表6
ソフトウェア利用料金
参照
番号
評価項目
E1
1 ユーザーあたりの利用料金 (年間)
E2
Google Apps for Work ユーザー数
Etr
ソフトウェア利用料金
計算式
導入時
$10/ユーザー/月
E1*E2
$0
1 年目
2 年目
3 年目
$120
$120
$120
10,000
10,300
10,609
$1,200,000
$1,236,000
$1,273,080
資料:Forrester Research, Inc.
専門サービス料金
モデル組織では Google Apps for Work の導入時に Google が推薦するサードパーティ統合サービスを利用しま
す。専門サービスの平均月額料金は 35,000 ドルで、6 か月かけて設計からデプロイまでの作業を行います。こ
の結果、モデル組織では最初の 6 か月間に 210,000 ドルを負担することになります。
導入時の作業は複雑であり、専門サービスの種類や日程も組織によって異なります。このような違いを考慮し
て、この費用についてはリスク調整率を最大 10% として計算しました。この結果、リスク調整後の専門サー
ビス料金は 3 年間で 231,000 ドルになります。詳細については、「リスク」の項をご覧ください。
16
表7
専門サービス料金
参照番号
評価項目
F1
デプロイにかかる時間 (月数)
F2
専門サービス料金 (月額)
Ft
専門サービス料金 (サードパー
ティ統合サービス)
リスク調整
Ftr
専門サービス料金 (サードパー
ティ統合サービス) (リスク調整後)
計算式
1 年目
2 年目
3 年目
$210,000
$0
$0
$0
$231,000
$0
$0
$0
導入時
6
$35,000
F1*F2
 10%
資料:Forrester Research, Inc.
チェンジ マネジメントにかかる費用
モデル組織内の従業員の利用率を高めるためには、チェンジ マネジメントが極めて重要になります。サード
パーティのチェンジ マネジメント サービスを利用すると、研修のためのウェビナー、e-ラーニングツール、講
習会等の準備、およびチェンジ マネジメントに関する連絡調整に役立ちます。併せて、組織内の各部署の「従
業員チャンピオン」が指導にあたり、Google のサポートを受けながらチェンジ マネジメントを進めることで、
Google Apps for Work 導入によりモデル組織にもたらされる価値を最大化することができます。チェンジ マネ
ジメント サービス料金は 5 か月で 212,500 ドルになります (詳細については、表 8 のチェンジ マネジメント
サービス料金を参照のこと)。
チェンジ マネジメントにかかる費用は、利用状況、予算、その他の内的・外的要因により、組織によって違い
があります。このような違いを考慮して、この費用についてはリスク調整率を最大 20% として計算しました。
この結果、チェンジ マネジメントにかかるリスク調整後の費用は 255,000 ドル (ユーザー 100 人あたり
2,550 ドル) になります (1 年目にのみ発生)。詳細については、「リスク」の項をご覧ください。
システム導入は組織全体に影響を及ぼすため、従業員に対する適切な研修が重要になります。既に多くの従業
員が個人的に Google ドライブ や Gmail を利用し、Google アプリケーションを組み合わせて使っているため、
Google Apps for Work について短期間で習得できることが一つのメリットになります。しかし、Google Apps
の導入による便益を最大化するためには、従業員全員が使い方を知っているわけではいと考え、研修を行うこ
とが重要になります。また、Google Apps を業務に利用する場合には、通常、生産性向上に役立つ機能 (Gmail
の「優先トレイ」や検索等) やサポートされる作業 (Google ドキュメントでファイルの共有範囲や共有相手ご
とに作業権限を設定できること等) について、一つひとつきちんと理解しておく必要があります。従業員が研
修会や e-ラーニングセッションに費やす時間に基づいて算定した費用を表 9 に示しています。
モデル組織では、コラボレーションに積極的に取り組むユーザーに対して 1 年目に 2 時間の研修を行うものと
します。2 年目には、コラボレーションに積極的に取り組むユーザーの半数に対してさらに 1 時間の自習時間
を与えます。3 年目には、同じくコラボレーションに積極的に取り組むユーザーの 10% に対してさらに 1 時間
の自習時間を与えます。一方、コラボレーションツールをあまり使用しないユーザーに対しては、1 年目に
1 時間の自習時間を与えます。この場合はウェビナーと e-ラーニングツールを利用します。研修費用は 1 時間
あたり平均 45 ドルで、年ごとに 3% 増加します。この結果、組織内研修にかかる費用は 636,888 ドル (現在価
値) になります (詳細については、表 9 の組織内研修にかかる時間と費用を参照のこと)。
組織内研修にかかる費用は、導入前に従業員がどの程度 Google Apps を利用しているかによって違いがあり、
また外的要因も影響するため、組織によって違いがあります。このような違いを考慮して、この費用について
はリスク調整率を最大 10% として計算しました。この結果、組織内研修にかかるリスク調整後の費用は 3 年
間で計 700,576 ドル (ユーザー 100 人あたり 7,006 ドル) になります。詳細については、「リスク」の項をご
覧ください。
17
表8
チェンジ マネジメント サービス料金
参照
番号
G1
G2
Gt
Gtr
評価項目
チェンジ マネジメントに必要
な時間 (月数)
チェンジ マネジメントにかか
る費用 (月額)
チェンジ マネジメント サービ
ス料金
計算式
リスク調整
 20%
G1*G2
チェンジ マネジメント サービ
ス料金 (リスク調整後)
1 年目
2 年目
3 年目
5
0
0
$42,500
$42,500
$42,500
$0
$212,500
$0
$0
$0
$255,000
$0
$0
導入時
1 年目
2 年目
3 年目
10,000
5,300
1,339
導入時
資料:Forrester Research, Inc.
表9
組織内研修にかかる費用
参照
番号
評価項目
計算式
ユーザー総数に基づい
H1
研修を受ける従業員の数
H2
従業員 1 人につき 1 時間あたり
$45
$46
$48
H3
コラボレーションに積極的に取り
組む従業員の研修時間
1.5
1.0
1.0
H4
コラボレーションツールをあまり
使用しない従業員の研修時間
1.0
0
0
H5
Google Apps for Work ユーザー
のうち、コラボレーションに積極
的に取り組む従業員の割合
50%
50%
50%
Ht
組織内研修にかかる費用
$0
$562,500
$122,828
$31,962
$0
$618,750
$135,110
$35,158
リスク調整
Htr
組織内研修にかかる費用 (リスク
調整後)
資料:Forrester Research, Inc.
て計算
(H1*H2*H3*H5)+
(H1*H2*H4*(1-H5))
 10%
18
総費用
表 10 に、総費用と現在価値 (割引率 10%) を示しています。3 年間にモデル組織が負担する総費用のリスク調整後の現在
価値は 4,200,000 ドル強 (ユーザー 100 人あたり 41,314 ドル) になります。
表 10
総費用 (リスク調整後)
参照
番号
費用の種類
導入時
1 年目
2 年目
3 年目
合計
現在価値
$0
$1,200,000
$1,236,000
$1,273,080
$3,709,080
$3,068,881
$231,000
$0
$0
$0
$231,000
$231,000
Etr
ソフトウェア利用料金
Ftr
専門サービス料金 (サード
パーティ統合サービス)
Gtr
チェンジ マネジメント
サービス料金
$0
$255,000
$0
$0
$255,000
$231,818
Htr
組織内研修にかかる費用
$0
$618,750
$135,110
$35,158
$789,019
$700,576
$231,000
$2,073,750
$1,371,110
$1,308,238
$4,984,099
$4,232,275
総費用 (リスク調整後)
資料:Forrester Research, Inc.
柔軟性
TEI 法における柔軟性とは、今後、特定の機能やツールが追加されると、これがさらなる業務上の便益につながる可能性
があるため、先行投資を検討する余地があるということです。組織は将来の取り組みに先行投資できる、または先行投資
の「妥当性」が確保できるものの、必ずしも先行投資する必要はありませんので、柔軟に対応できます。Google Apps for
Work を導入し、今後、活用事例や事業機会を拡大する場合には、いくつかのシナリオが考えられます。柔軟性は、特定
のプロジェクトの一部として定量的に評価することも可能です(詳細は付録 B で説明)。
Google Apps Marketplace では Google Apps for Work ソフトウェアに追加で組み込むことができる機能をすべて (または場
合により) 無償で提供しています。これらはサードパーティソフトウェアの機能で、Google Apps と組み合わせて使用す
るためにのみ開発されているため、柔軟性のオプションと見なされます。本調査では、サードパーティのアプリケーショ
ンマーケットプレイスの利用状況はユーザー企業によりかなりの違いがあったため、これを柔軟性のオプションとして検
討しないことにしました。
リスク
Forrester は本費用便益分析について 2 種類のリスクを想定しています。「導入に関するリスク」と「導入効果に関する
リスク」です。「導入に関するリスク」とは、Google Apps for Work への投資に伴うリスクであり、当初予想された投資
の枠組みから逸脱し、結果的に予想以上に費用がかかるリスクのことです。「導入効果に関するリスク」とは、Google
Apps for Work への投資により業務部門または IT 部門のニーズに対応できなかった場合に、結果的に総便益が減少するリ
スクのことです。このような不確かさが高いほど、費用と便益の見積りに対する影響範囲が大きくなります。
19
表 11
便益と費用のリスク調整
便益
リスク調整
コラボレーションの効率化
 15%
モバイル端末の業務利用を推進 – 役職者の出張旅費の削減
 10%
レガシーシステムにかかる費用の削減
 10%
電話・ビデオ会議サービスにかかる費用の削減
 20%
費用
リスク調整
専門サービス料金
 10%
チェンジ マネジメント サービス料金
 20%
組織内研修にかかる費用
 10%
資料:Forrester Research, Inc.
費用や便益の見積もりを直接調整することで「導入に関するリスク」と「導入効果に関するリスク」を定量的に評価する
と、より正確で実用的な見積もりになり、この結果、ROI をより正確に把握できます。一般に、リスクを当初より高めに
見積もると費用に影響し、低めに見積もると便益に影響します。リスク調整後の値はリスクを考慮した、現実的な予測値
と考えてください。
今回の分析で便益に影響する「導入効果に関するリスク」は次のとおりです。
›
コラボレーションの効率化:効率化の程度、コラボレーションツールの利用に伴うリスクの程度に応じて、リスク調整
率を 15% としました。
›
モバイル端末の業務利用を推進 – 役職者の出張旅費の削減:組織ごとに必要な出張の回数に応じて、リスク調整率を
10% としました。
›
レガシーシステムにかかる費用の削減:従来型の電子メールサーバーやストレージサーバーの台数は組織によって異な
るため、リスク調整率を 10% としました。
›
従来型の電話・ビデオ会議サービスにかかる費用の削減:電話機を交換する頻度やビデオ会議の回数は組織によって異
なるため、削減額にもばらつきが生じます。このような違いを考慮して、リスク調整率を 20% としました。
今回の分析で費用に影響する「導入に関するリスク」は次のとおりです。
›
専門サービス料金:組織によっては導入作業の複雑さや利用するサードパーティベンダーにより時間や費用が余計にか
かることがあります。このような違いを考慮して、リスク調整率を 10% としました。
›
チェンジ マネジメントにかかる費用:変更への取り組みや、新しいソフトウェアやベストプラクティスを取り入れるか
どうかについては、組織文化によってかなりの違いがあります。このため、チェンジ マネジメントにかかる費用につい
ては、リスク調整率を 20% としました。
›
組織内研修にかかる費用:学習速度は従業員によって異なるため、リスク調整率を 10% としました。
20
モデル組織では、導入に伴い、従来のソリューションが不要になります。たとえば、従来のドキュメントやスプレッド
シートのライセンス、バックアップ・災害復旧サービス、ファイル共有・監査管理ソリューション、機密文書の管理 (情
報セキュリティ) 等のソリューションですが、この便益についてはリスク調整を行っていません。また、面接調査を実施
したユーザー企業の一部においては、従来のサードパーティソリューションにかかる費用以外にも費用が発生していまし
たが、すべてのユーザー企業に共通する費用ではないため、本調査では検討していません。
表 11 に、リスク調整率を示しています。これは、モデル組織における費用と便益の見積もりの不確かさを反映させたも
のです。実際にリスク調整を加える場合は、費用と便益の見積もりがどの程度信頼できるかを判断したうえで、リスク範
囲を適用してください。
費用便益分析結果の要約
「便益」と「費用」の各項で計算した数値に基づき、モデル組織が Google Apps for Work を導入した場合の ROI、NPV、
および回収期間を算出しました。
表 12 に、リスク調整後の ROI、NPV、および回収期間を示しています。これらの値は、「費用」と「便益」の各項に示
すリスク未調整の値に、「リスク」の項の表 11 に示すリスク調整の割合を適用したものです。
図3
キャッシュフローチャート (リスク調整後)
キャッシュフロー
費用便益分析 (リスク調整後)
$20,000,000
$15,000,000
$10,000,000
$5,000,000
$0
($5,000,000)
Initial
導入時
Year
1
年目1
総費用costs
Total
Year
2 年目2
総便益benefits
Total
Year
3
3 年目
Cumulative
total
累計
資料:Forrester Research, Inc.
表 12
キャッシュフロー (リスク調整後)
導入時
1 年目
2 年目
総費用
($231,000)
($2,073,750)
($1,371,110)
($1,308,238)
($4,984,099)
($4,232,275)
総便益
$0
$4,895,180
$6,523,910
$9,638,808
$21,057,897
$17,083,603
($231,000)
$2,821,430
$5,152,800
$8,330,569
$16,073,799
$12,851,328
項目
合計
3 年目
合計
現在価値
ROI
304%
回収期間
1 か月
資料:Forrester Research, Inc.
21
Google Apps For Work の概要
以下の情報は Google により提供されたものであり、Forrester はいかなる申し立ても一切受け付けず、また、Google また
は同社の製品を推薦しているわけでもありません。
Google Apps for Work は Gmail、Google ドライブ (ファイルの保管と共有)、ハングアウト (ビデオ会議とチャット)、ド
キュメント、スプレッドシート、プレゼンテーション (スライド作成)、フォーム、カレンダー、サイト、そして管理コン
ソール (アドミン) を含む、企業向けのアプリケーションスイートです。Google のアプリケーションは Web ブラウザ上で
実行されます。追加のソフトウェアをインストールする必要はなく、iPhone、iPad、および Android のモバイル端末とタ
ブレットでも利用できます。また、Google は、拡張性、信頼性、および安全性が高いデータセンターでバックエンドイン
フラストラクチャを管理しているため、顧客がサーバーの購入、構成、パッチ適用、継続的なアップグレード等を行う必
要はありません。
GOOGLE APPS FOR WORK には、以下のツールが含まれています。
›
Gmail (ビジネスメール) は、高精度な迷惑メールフィルタ、瞬時のメール検索、テキスト、音声、複数のユーザーによ
るビデオ会議やチャットを組み合わせた機能のほか、「優先トレイ」等の生産性向上に役立つ機能も備えています。
Gmail は標準的な電子メールソフトでどんなモバイル端末からもアクセスできるほか、iOS や Android 端末向けの専用
アプリケーションも用意されています。
›
Google ドライブ はファイルの同期・共有サービスであり、どこでも、どんな端末からでも最新のファイルにアクセス
できます。パソコンはもちろん、スマートフォンやタブレットにも対応しています。ドライブの保存容量は最大 5TB で、
Web ブラウザ上でも、モバイル端末でも、ドキュメント、PDF、画像ファイル、そして HD ビデオを含む一般的な形式
のファイルが即座に閲覧できます。チームメンバーや取引先とのファイルやフォルダの共有も簡単で、ファイルごとに
「閲覧のみ」「コメント可」「編集可」等のアクセス権限を指定するだけです。Google ドライブの容量は無制限で、
iOS や Android 端末向けの専用アプリケーションも用意されているほか、Windows や Mac のパソコンに Google ドライ
ブをダウンロードすると、パソコンと Web のファイルを同期することもできます。
›
Google ハングアウト は、最大 15 人までのオンラインビデオ会議が可能です。ノートパソコン、タブレット、電話、会
議室の機器で参加でき、HD 動画を送受信できます。また、お互いの画面を見ながら共同作業を進めることができ、迅
速な連絡にはボイスメールやテキストメッセージが役立ちます。iOS や Android 端末向けの専用アプリケーションも用
意されています。
›
Google ドキュメント は、リアルタイムのコラボレーションを可能にする文書作成ツールです。複数のチームが一つの
文書で同時に作業ができ、プロジェクトをより短期間に完了させることができます。Google ドキュメントでは、画像、
表、計算式、図、リンクなどを使用して文書を作成できます。また、コメント機能により、権限を割り当てた相手から
フィードバックや承認を迅速に受けることができます。他の主な文書作成ソフトで作成した文書を Google ドキュメン
トで編集したり、Google ドライブにアップロードした .doc、.docx、.rtf 等の一般的な形式のファイルを Google ドキュメ
ント形式に変換したりすることも可能です。Google ドキュメントの一部の作業はインターネットに接続していなくても
実行できます。iOS や Android 端末向けの専用アプリケーションも用意されています。
›
Google スプレッドシートは、パワフルな表計算ツールで、複数のユーザーが同時に編集することができます。高度な
数式、埋め込みグラフ、フィルタ、ピボットテーブルなどのツールを使用して、データを様々な視点から検討できます。
また、スプレッドシートエディタでリスト共有、プロジェクト管理、データ分析と結果の追跡を行うことができます。
他の主な表計算ソフトで作成した文書を Google スプレッドシートで編集したり、Google ドライブにアップロードした
xls、.xlsx、.csv 等の一般的な形式のファイルを Google スプレッドシート形式に変換したりすることも可能です。
Google スプレッドシートの一部の作業はインターネットに接続していなくても実行できます。iOS や Android 端末向け
の専用アプリケーションも用意されています。
22
›
Google プレゼンテーションでは、複数のチームが同時にプレゼンテーション資料を作成できます。プレゼンテーショ
ンエディタでは、動画の埋め込み、アニメーション、動的なスライド切り替え等がサポートされています。プレゼン
テーション資料は顧客向けに Web 上で公開することも、同僚や取引先のみに限定して共有することもできます。他の主
なプレゼンテーションソフトで作成した文書を Google プレゼンテーションで編集したり、Google ドライブにアップ
ロードした .ppt、.pptx 等の一般的な形式のファイルを Google プレゼンテーション形式に変換したりすることも可能で
す。Google プレゼンテーションの一部の作業はインターネットに接続していなくても実行できます。iOS や Android 端
末向けの専用アプリケーションも用意されています。
›
Google フォームでは、アンケート等の入力フォームを文書作成と同じように簡単に作成し、Web 上で公開することが
できます。Google フォームは、メールやソーシャルメディアで共有したり、Web サイトに埋め込んだりすることがで
きます。フォームを他のユーザーへ送信し、収集した回答を Google スプレッドシートで直接分析できます。
›
Google カレンダーでは、従業員が個人のスケジュールを管理するだけでなく、プロジェクトごとに同僚と共有のカレ
ンダーを作成することで、スケジュールを調整し、会議室等をリソースとして登録することもできます。また、 複数の
従業員のスケジュールをまとめて表示する場合は、複数のカレンダーを重ねるだけで瞬時に表示できます。Google カレ
ンダーは標準的なカレンダーソフトに対応し、どんなモバイル端末からもアクセスできるほか、iOS や Android 端末向
けの専用アプリケーションも用意されています。
›
Google サイトでは、プロジェクトの Web サイトやイントラネットを作成および共有できます。プログラミングやテク
ニカルサポートは一切必要ありません。Google サイトを使うと、チームの書類、カレンダー、動画等を簡単に 1 つの場
所にまとめて共有できるため、全員が「文字通り」同じ画面で作業をすることになります。また、スマートフォンやタ
ブレットに表示する場合も、ごく簡単な操作でサイトを最適化できます。
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Google Apps Vault は Google Apps 上のデータの保持、アーカイブ、および e-ディスカバリ機能であり、IT 管理者が
業務上重要な情報を管理し、訴訟や従業員の離職等の不測の事態に備えることができます。また、法律に基づく情報開
示請求、監査、内部調査等への対応にかかる時間を短縮し、コストを削減できます。さらに、従業員の離職時にも、従
業員が担当していたプロジェクトや連絡について進捗状況を確認するのに役立ちます。
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Google Apps Marketplace から入手できる数百ものサードパーティ製アプリケーションにより、Google Apps の機能が
強化され、CRM (顧客関係管理)、プロジェクト管理、会計・経理、営業 (販売・マーケティング) 等のツールも追加され
ました。これらは、簡単にアクセスできるシングルサインオン (SSO) 等により Google Apps とシームレスに連携されて
います。
最先端のセキュリティ
Google のインフラストラクチャは非常に重要な企業情報を安全に保存できるため、何百万もの組織 (Google Inc. を含む)
に信頼されています。Google データセンターは、安全性、信頼性、冗長性を確保するためにネットワークを構築し、世界
屈指の情報セキュリティ専門家がこれをサポートしています。Google のデータセンターでは物理的なセキュリティとして、
独自にカスタマイズされた電子カードアクセス制御システム、警報システム、車両侵入防止機構、敷地の境界フェンス、
金属探知機、生体認証を含む多層セキュリティモデルを採用しています。データセンターの床にはレーザーによる侵入検
知システムを使用しています。Google のデータセンターは、侵入者を検知して追跡できる高解像度の屋内カメラと屋外カ
メラにより 24 時間 365 日監視されています。インシデントが発生した場合には、アクセスログ、アクティビティ記録、
カメラの録画データを使って対応します。また、データセンターでは、厳正な身元調査とトレーニングを受けた経験豊富
な警備員が定期的にパトロールを行っています。Google は、情報セキュリティチームとして、ソフトウェアエンジニアリ
ングとオペレーション担当部門に情報セキュリティとプライバシーを専門とする 500 名以上の常勤社員を配置し、ネット
ワークとアプリケーションを監視し、脅威に対応しています。
23
Google はセキュリティ対策について独立した第三者による監査を受けています。また、業界のセキュリティ基準に準拠
し、コンプライアンスを実現するために、ISO 27001 の認証を取得し、SOC 2、SOC 3 Type II の監査を受けています。
Google Apps はお客様の米国 HIPAA (医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律) への準拠をサポートしています。
Google はまた、米国と EU 間のセーフハーバーフレームワークの原則を遵守し、EU データ保護指令の要件に準拠する手
段としてのモデル契約条項を採用しています。
信頼性、稼働率保証、サポート
Google のサービス レベル契約 (SLA) では、Google Apps について 99.9% の稼働率を保証しており、実際、これまでの稼
働率はこのしきい値をはるかに上回っています。Google は、顧客企業向けのサポートはもちろん、管理上の重大な問題に
ついては電話により 24 時間 365 日サポートいたします。
Google Apps for Work の詳細については、google.com/apps をご覧ください。
24
付録 A:モデル組織について
本 TEI 調査ではモデル組織を想定し、この組織が Google Apps for Work を導入した場合の、定量的な評価が可能な便益と
費用を見積もりました。モデル組織は面接調査を実施したユーザー企業の特性に基づいて作成され、年間売上高 40 億ド
ルの B2B 多国籍企業という想定です。従業員は 12,000 人で、国内外の多くの支店・営業所や現場に派遣されています。
モデル組織ではコラボレーションとイノベーションの促進に重点的に取り組んでおり、全従業員が一丸となって製品の改
善と顧客経験価値の向上に努める必要があります。モデル組織における Google Apps for Work ユーザー数は 10,000 人
です。
モデル組織が Google Apps for Work の導入を決定した理由は以下のとおりです。
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組織内のコラボレーションとコミュニケーションを促進する。
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モバイル端末の業務利用を促進し、従業員の生産性を高める。
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IT コストを削減する。
本調査では、現在オンプレミスのレガシーシステムで電子メールサーバーとストレージサーバーを計 100 台使用していま
すが、Google Apps のクラウド環境への移行に伴い、これらのサーバーを撤去します。また、モデル組織では役職者
400 人が出張で電車を利用していると想定し、人件費削減についても検討しました。
枠組み構築の前提条件
表 13 に、Forrester が今回の分析に使用したモデルの前提条件を示しています。
現在価値 (PV) 及び正味現在価値 (NPV) の計算に適用される割引率は 10%、検討期間は 3 年として財務モデルを作成しま
した。組織は通常、現時点の事業環境に基づき、割引率を 8 ~ 16% の範囲で設定しています。これを適用する場合は、
各組織の経理部と相談の上、組織内で使用する適正な割引率を設定することをお勧めします。
表 13
モデルの前提条件
参照
番号
評価項目
計算式
値
I1
出張する役職者の数
400
I2
電子メールサーバーとストレージサーバーの
台数
100
I3
撤去する電話機の台数
7,800
I4
電話サービス料金 (1 台あたり、年平均)
$226
I5
Google App ユーザーの平均年収
I6
時間給
資料:Forrester Research, Inc.
$93,600
$45
25
付録 B:Total Economic Impact™ の概要
Total Economic Impact (TEI) 法は、Forrester Research が開発した評価方法です。組織の意思決定プロセスの構築に役立
ち、ベンダーは、評価結果に基づいて自社の製品やサービスの価値を顧客に紹介することができます。また、TEI 手法を
使用することで、経営陣や重要な利害関係者に対して IT プロジェクトの実質的な価値を実証、正当化、および実現するこ
とができます。TEI 法は、IT ベンダーによる顧客獲得・維持、および顧客サービスの向上に役立ちます。
TEI 法では、「便益」、「費用」、「リスク」、「柔軟性」の 4 項目により投資対効果を評価します。
便益
便益とは、提案された製品やプロジェクトによってユーザー組織 (IT 部門や業務部門) にもたらされる価値のことです。通
常、製品やプロジェクトの価値を評価するときには、IT 関連の経費や経費削減のみが強調されがちで、IT 投資が組織全体
に与える影響の分析は後回しにされてしまいます。TEI 法および調査結果に基づいて作成される財務モデルでは、便益の
測定と費用の測定に同じ重みを与えることで、IT 投資が組織全体に与える影響を徹底的に評価することができます。また、
便益を分析する前に、ユーザー組織と率直な話し合いを行い、実際にどのような価値創出につながるのかを理解する必要
があります。さらに、Forrester では、プロジェクト完了後の便益の見積もりに関する説明責任と見積もりの根拠に関する
説明責任を明確に区別しています。これにより、便益の見積もりを直接最終的な収益へとつなげることができるのです。
費用
費用とは、提案されたプロジェクトから価値 (便益) を得るために必要な投資のことです。IT 部門や業務部門は、人件費、
材料費、外注費等の経費を「費用」として実質的に負担することになります。提案された価値を実現するために必要な投
資と経費すべてが「費用」として考慮されます。さらに、TEI 法の費用区分では、ソリューションに関連して既存の環境
で継続的に発生する追加費用もすべて考慮されます。費用はすべて、プロジェクトから得られる便益に結びつくはずです。
柔軟性
TEI 法では、直接的な便益は投資価値の一部にすぎません。一般に、プロジェクトを正当化するためには直接的な便益が
非常に重要になりますが、Forrester は、企業は投資の戦略的価値も測定する必要があると考えています。柔軟性とは、既
に行われた初期投資に加えて、今後予定している投資を前倒しで行ったときに得られる価値のことです。たとえば、オ
フィス製品一式を企業全体でアップグレードするための投資を行った場合、標準化の推進 (効率性の向上) とライセンス料
の削減につながる可能性があります。一方、組み込みのコラボレーション機能を使用すると、従業員の生産性向上につな
がる可能性がありますが、この機能を実際に使用できるようになるのは、将来のある時点で社員研修に追加投資をした後
のことです。しかし、このような便益が得られるという可能性自体に、見積もり可能な現在価値があるのです。TEI 法の
柔軟性とは、このような価値を把握することです。
リスク
リスクとは、投資における便益と費用の見積もりの不確かさを測定したものです。不確かさを測定するときには、1) 便益
と費用の見積もりが当初の期待値に一致する可能性、および 2) 見積もりを長期間にわたって確認し、追跡できる可能性を
検討します。TEI 法では入力値に「三角分布」の確率密度関数を適用します。各費用および便益のリスクを見積もるとき
には、少なくとも 3 つの値を計算します。
26
付録 C:用語解説
回収期間:投資金額が回収され、損益分岐点に到達するまでの期間。損益分岐点とは、純便益 (便益から費用を差し引い
た値) が初期投資金額に等しくなる時点のことです。
割引率:キャッシュフロー分析で、貨幣の時間的価値を考慮するために使用する利率。各組織は、通常、自社の事業環境
や投資環境に基づいて独自の割引率を設定します。Forrester はこの分析において、年間割引率を 10% に設定しています。
組織は通常、現時点の事業環境に基づき、割引率を 8 ~ 16% の範囲で設定しています。これを適用する場合は、各組織
の経理部と相談の上、組織内で使用する適正な割引率を設定することをお勧めします。
現在価値 (PV):利率 (割引率) が設定されている場合の (割引後の) 見積もり費用および便益の現時点での価値。費用およ
び便益の現在価値からキャッシュフローの正味現在価値の合計を計算します。
正味現在価値 (NPV):利率 (割引率) が設定されている場合の (割引後の) 将来の正味キャッシュフローの現時点での価値。
あるプロジェクトの正味現在価値が正であれば、通常は、投資すべきであることを意味します。ただし、他のプロジェク
トの正味現在価値の方が高い場合は別です。
投資利益率 (ROI):プロジェクトに投資した金額に対する、期待される利益の割合。ROI は、正味利益 (利用価値から費用
を引いた値) を費用で割ることによって求められます。
キャッシュフロー表に関する注意事項
本調査で使用したキャッシュフロー表に関する注意事項を以下に示します (以下のサンプル表を参照)。初期投資の欄には、
「時間 0 (導入時)」または 1 年目の開始時に発生した費用が記載されます。この費用には割引率が適用されません。1 年
目から 3 年目までのキャッシュフローはすべて、各年の末日における割引率が適用されます (「枠組み構築の前提条件」
参照)。見積もりの総費用および総便益の各値について現在価値 (PV) を計算しています。正味現在価値 (NPV) は、初期投
資と各年の割引後キャッシュフローの現在価値の合計であり、要約表にのみ記載されます。
「総便益」、「総費用」、「キャッシュフロー」の各表の合計金額及び現在価値については、四捨五入のため合計値が合
わないことがあります。
表 (サンプル)
サンプル表
参照
番号
評価項目
資料:Forrester Research, Inc.
計算式
1 年目
2 年目
3 年目