肥満と肝がん:腸内細菌と 細胞老化の関与について

腎臓内科・検査部合同セミナー
はら
え い じ
原 英二 先生
演者:
(大阪大学微生物病研究所・教授)
演題
「肥満と肝がん:腸内細菌と
細胞老化の関与について」
日時:2015 年 9 月 4 日(金)18:00~19:30
場所:金大病院 CPD センター
ご略歴
1987 年
1993 年
1993 年
1995 年
1998 年
2003 年
2008 年
2015 年
東京理科大学理工学部応用生物科学科 卒業
同 大学大学院博士課程 修了(理学博士)
(米)University of California, Berkeley 博士研究員
(英)Imperial Cancer Research Fund Laboratories 博士研究員
(英)Cancer Research UK, Paterson Institute 研究室長
徳島大学ゲノム機能研究センター (大学院医学研究科) 教授
公益財団法人がん研究会がん研究所 部長
大阪大学微生物病研究所 教授
講演内容
様々な疫学調査により、肥満は糖尿病や心筋梗塞のリスクを高めるだけでなく、
がんの発症率を高めることも明らかになってきている。しかし、肥満すると何故、
がんの発症率が高くなるのかについてはあまりよく分かっていない。最近、我々は
マウスを用いた実験により、肥満によって増えた腸内細菌の代謝産物が肝臓に運ば
れ、肝星細胞に細胞老化を起こすことを見出した。細胞老化を起こした肝星細胞は
炎症性サイトカイン等様々な分泌因子を高発現する Senescence-associated
secretory phenotype(SASP)と呼ばれる現象を起こすことで、周囲に存在する肝実
質細胞のがん化を促進することを明らかにした。本講演では肥満に伴う腸内細菌叢
の変化が引き起こす細胞老化と発がんとの関連について紹介する。
連絡先:金沢大学附属病院検査部(内線:7153)