「マンション標準管理規約」改正 - NPO法人全国マンション管理組合連合会

「 マ ン シ ョ ン 管 理 適 正 化 指 針 」及 び「 マ ン シ ョ ン 標 準 管 理 規 約 」改 正( 案 )へ の
パブリックコメント
平成27年11月16日
特定非営利活動法人
全国マンション管理組合連合会
会長 山本 育三
パブリックコメント用(別添意見提出様式)の「ご意見欄」指定に沿って記載する。
1 .( 対 象 部 分 :「 標 準 管 理 規 約 」 全 般 及 び 「 適 正 化 指 針 」 と の 整 合 性 に つ い て )
(意見)
これまで必要に応じて改正された「標準管理規約」とは大幅に異なり、①全体を通じ
て マ ン シ ョ ン 管 理 行 為 を 限 定 さ れ た 範 囲 、「 管 理 組 合 = 財 産 管 理 団 体 」 の み を 強 調 し て
い る 、 ② 「 管 理 規 約 改 正 ( 案 )」 に 伴 う 「 コ メ ン ト 改 正 ( 案 )」 を 含 め て 、 指 導 的 、 極 論
的 記 述 が 多 す ぎ 、「 参 考 」 と 言 い な が ら 「 枠 を は め た 規 約 基 準 」 的 に な っ て い る 。 ③ 今
回 新 た に「 適 正 化 指 針 」も 改 定 し た 中 で「 コ ミ ュ ニ テ ィ ー 条 項 」へ の 記 載 が あ る 一 方 で 、
管理組合業務・管理費で「コミュニティー条項」を削除することは両者の整合性を損な
うことになる。これらを改め、現行の「標準管理規約」の枠組みを尊重した上での「必
要最小限改定」にし、かつコメントもこれまでのように「解説」にとどめ、適正化指針
との整合性を重視すべきである。④国土交通省は、次回改正に際しては、マンション管
理に造詣の深い委員たちによる検討と、時代のニーズに合った標準管理規約改正を提案
すべきと考える。
(理由)
① 管 理 組 合 が 財 産 管 理 団 体 で あ る こ と は 必 要 条 件 で あ っ て 、十 分 条 件 で は な い 。大 事 な
役 割 と し て 、「 集 合 し て 住 む 共 同 体 」 と し て の 役 割 が あ り 、 こ れ は 必 ず し も 自 治 会 や
町 内 会 の み の 役 割 で は な い 。 こ の こ と は 今 回 同 時 に 改 正 さ れ た 「 管 理 指 針 」 の 、「 一
適 正 化 の 基 本 的 方 向 性 3 」で「 良 好 な コ ミ ュ ニ テ ィ ー の 形 成 に 積 極 的 に 取 り 組 む こ と
が望ましい」事項が追加されていることからも当然の帰結である。 特に「合意形成」
に よ っ て の み 主 要 な 事 項 が 決 定 さ れ る 管 理 組 合 だ か ら こ そ「 財 産 管 理 団 体 」は 必 要 条
件 で あ り 、 十 分 条 件 で は な い 、「 共 同 体 」 と し て の 役 割 が あ る 。
② 「 標 準 管 理 規 約 」は 当 初 、マ ン シ ョ ン 販 売 の 不 動 産 業 に 対 す る 管 理 の 適 正 化 へ の 規 定
に 始 ま り 、管 理 規 約 の 参 考 と し て「 標 準 」に 位 置 づ け し 、先 行 的 な 管 理 実 態 に 整 合 す
べ く 改 定 さ れ た 経 緯 が あ る 。こ れ は 、マ ン シ ョ ン が 一 般 化 し 、標 準 管 理 規 約 も ま さ に
「 標 準 的 役 割 」と し て 機 能 し て き た こ と を 意 味 し て い る 。こ こ へ き て こ れ を 著 し く 指
導 的 な 役 割 に 変 更 す る こ と は 、時 代 の 流 れ に 逆 行 す る 由 々 し い こ と で あ る 。特 に コ メ
ン ト で 随 所 に「 … 適 切 で な い 」、「 ・・・ す べ き で あ る 」の 表 現 が あ り 、高 度 に 発 達 し
た 市 民 社 会 で は 、 そ う し た 指 摘 は ま さ に 「 適 切 で は な い 」。
③ 「 適 正 化 指 針 」は「 適 正 化 法 」の 内 容 を よ り 具 体 化 す る ま さ に「 指 針 」で あ り 、か つ
「 標 準 管 理 規 約 」は こ の「 指 針 」に 沿 っ て 構 成 さ れ る べ き も の で あ る 。さ ら に 、指 針
は 一 般 の 区 分 所 有 者 の 目 に 留 ま り や す い も で は な く 、管 理 規 約 が 最 も 身 近 な 管 理 の 規
範 で あ る 。 し が っ て 、 指 針 で 「 コ ミ ュ ニ テ ィ ー が 重 要 」 と 記 載 し て も 、「 標 準 管 理 規
約 」で 削 除 す れ ば 、区 分 所 有 者 に は そ の 重 要 性 が 知 ら れ な い こ と と な る 。
「 適 正 化 法 」、
「 指 針 」、「 標 準 管 理 既 約 」 間 に 整 合 性 を 図 る べ き で あ る 。
④ 高 経 年 化 す る マ ン シ ョ ン で 、管 理 組 合 は 配 管 の 更 新 等 、建 て 替 え で な い 選 択 を す る 中
で 、標 準 管 理 規 約 の さ ら な る 改 正 が 早 晩 必 要 に な っ て く る 。今 回 の 改 正 案 を 直 ち に 改
め る と 同 時 に 、次 回 改 正 時 に は そ の 時 代 の 要 請 を 射 程 に 入 れ た「 標 準 管 理 規 約 」に し 、
社会から見直される存在になって頂きたい。
⑤ 今 回 の 改 正 案 に は 、 暴 力 団 の 排 除 規 程 ( 第 1 9 条 ) や 専 有 部 分 の 修 繕 ( 第 1 7 条 )、
災害等への対応(第54条第1項十、同条第2項)等、検討に値するものもあるが、
偏向的記述が多いため、それらがかすんでしまうことになりかねない。
2.標準管理規約(案)に対する個別項目について:以下、特に改めて頂きたい主要な項
目に限って記載する。
2.1
( 対 象 部 分 : 第 2 7 条 ( 管 理 費 ) 十 号 、 第 3 2 条 ( 業 務 ) 十 五 号 、「 コ ミ ュ ニ テ ィ ー 条
項」削除について)
(意見)現行標準管理規約を生かすべきこと
(理由)本条文は、阪神・淡路大震災の復興に際してコミュニティー活動の活発な管理
組合ほど建替え、修復、いずれの場合も合意形成が取りやすかった事実から、マンシ
ョン管理のうえで必要な条項として加えられた経緯がある。本条文がなかった時代か
ら取り入れていた管理組合が多々あったのである。自治会・町内会活動と一部混乱す
るからと言って、一旦入れた条文を削除し、しかもコメントで事細かに事例を挙げて
「 ・ ・ ・ 適 切 で な い 」、「 ・ ・ ・ す べ き で あ る 」 と す る こ と は 、 コ ミ ュ ニ テ ィ ー 条 項 が
入っていなかった時より、悪い結果を招き、管理の実態を知らない管理組合の業務で
ある合意形成のための絆を無視した論理である。適正化指針で必要性を加筆しながら、
規約上は削除するということは、それらの整合性も取れないことになる。
2.2
( 対 象 部 分 : 第 3 5 条 、「 外 部 専 門 家 を 理 事 と し て 選 任 ・ ・ ・ 」 の 場 合 の 4 項 「 ・ ・ ・
細 則 で 定 め る 」、 複 数 パ タ ー ン の 一 つ と し て 位 置 づ け 「 総 会 監 督 型 」 に つ い て )
(意見)外部専門家による管理者・総会監督型の別紙第3パターンは、これまで定着し
てきた総会・理事会型管理とは著しく異なる方式で、第4項の「選任する場合は細則
で 定 め る 」 範 囲 で は な い 。 上 記 総 会 ・ 理 事 会 型 が 標 準 管 理 規 約 で あ れ ば 、「 外 部 専 門
家委託型管理規約」として別建ての規約を設けるべきである。
(理由)上記意見でも述べた通り、これまで総会・理事会選任方式は、我が国のファミ
リー型マンション管理組合で広く定着してきた管理方式である。ただし、高経年・高
齢化の中で理事のなり手が出にくい状況は無視できない。これについては、別にそう
した背景に対して講ずべき体制を設ける必要はありうる。その場合、規約を別に設け
る必要はあろう。細則で組合員以外から理事、監事等を選任する方法で、特に別紙第
3のパターンによるものは、ワンルームマンションやリゾートマンションなど、ファ
ミリー型でない特殊なマンションである。決して大規模戸数のマンションにみられる
ものではない。標準管理規約でパラレルに記載されると、これまでの総会・理事選任
型が「ワンノブゼム」となりかねず、既存マンション管理組合に混乱を招く危険があ
る。
2.3
(対象部分:46条(総会)①代理人の範囲、②議決権のコメント(価値基準)
(意見)
① 総 会 の 代 理 出 席 や 議 決 権 行 使 は 、現 行 規 約 の 範 囲 で 十 分 で あ る 。理 事・監 事 の 選 任
と 合 わ せ 、「 管 理 組 合 の 実 情 に よ り 規 約 で 別 段 の 定 め 」 を コ メ ン ト で 述 べ て お け ば
よい。
② 価 値 基 準 に よ る 議 決 権 は 、コ メ ン ト に あ る だ け な の で 条 文 自 体 に は 当 面 影 響 し な い
が、コメントとはいえ加筆すべきことではない。
(理由)価値基準による議決権方式は、価値基準自体が変動制のあること、議決の権利
だけ主張し管理費等に連動しないこと、合意形成に寄与すべき標準管理規約が逆に区
分 所 有 者 間 を 分 断 し か ね な い こ と 等 か ら 、「 考 え 方 が あ る 」 か ら と 言 っ て 加 筆 す べ き
でない。
2.4
(対象部分:第41条(監事)第2項、第4項、第5項、第6項、第7項関連、 監事の
過剰業務)
(意見)現行の第3項「幹事は理事会に出席し、意見を述べることが出来る」に戻すべ
きである。
(理由)区分所有者以外の外部から監事を選任することを射程に入れた結果と想定され
るが、総会で理事と同様に監事が選任される場合には、各項にあるような義務は 過剰
であり、これでは監事のなり手が難しくなる危険がある。前記のように、外部から監
事を選任する場合は、別建ての規約によるべきである。
以上