号外 - 横浜環状道路(圏央道)

連協道路ニュース
発行 横浜環状道路(圏央道)対策連絡協議会 事務局
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号外
(創刊 1988 .12.14)
2015.03.15.
「危険道路」南線計画は撤回せよ
最近、私達は情報公開により南線の釜利谷トンネルと日野ずい道と交差する部
分の詳細な資料を入手したが、これによると両トンネルが異常に接近した極めて
危険な構造であることが明らかになった。
日野ずい道は横浜市が 50 年前に施工した幅 4 メートル、高さ 4.6 メートルの馬
蹄形トンネルで、この中に敷設された直径 1 メートルの導水管を通して市民に飲
料水等を供給している。南線はずい道の僅か 6 メートル上に高速 4 車線とランプ 4
車線、計 8 車線を敷設し、そこを物流のための大型車中心に1日 5 万 9 千 4 百台
の車が走る計画である。市民の命の水の供給線の僅か6メートル上を、1日5万
台を超える大型車が走る無謀な計画など信じ難いことであるが、添付のイラスト
(資料1-3)を見ればその恐ろしさがはっきり実感できるはずである。さらに
地質学及び地震学専門の研究者の意見からもこの計画がいかに無謀で危険なもの
であるかがよくわかる(裏面参照)。
実際、築 50 年を経て老朽化したずい道の僅か 6 メートル上を 1 日 6 万台を超え
る大型車中心の車が走れば、振動による弛みで地盤の落下する事故の可能性は大
きく、ましてや大地震発生時にどのような悲惨な状況になるかは想像を絶するも
のがある。なお南線と導水管が交叉する所は他に2ケ所あり、夫々導水管の下 10
メートルと 15 メートルに6車線の高速道路が敷設される。
南線は大変な公害道路であり、私達は 1988 年以来 20 年以上にわたり計画の抜
本的見直しを求めてきたが、今回これは道路公害を超えた危険な道路計画である
ことが分かった。政治と行政の第一の任務は国民の生命を守り安心・安全な生活
を保障することである。南線はこれに真っ向から反する危険な計画として直ちに
撤回すべきであり、横浜市は起業者及び関係住民と住民が推薦する専門家を入れ
た協議会を早急に設置し、国民の命と生活を守れる確認が得られるまでは横環南
の計画をいったん撤回または凍結することを強く求める。
(会長 比留間)
専門家の意見の要旨
柴崎直明 福島大学教授
地質学 福島市
日野隧道と横環南線の交差付近の地質は野島層凝灰質砂岩が分布しており、そこには全漏水す
るような透水性の高い亀裂も存在する。このような地層に敷設された築 50 年を経て老朽化した
日野隧道の直上 6m に位置する 4 本の高速道路に 1 日当たり 5 万台もの自動車が通行すると振
動や経年的な岩盤の劣化により水道や道路トンネルの変形、最悪の場合には送水管の破損や道路
陥没等の重大な危険が発生することも考えられる。
以上のように、南線の釜利谷トンネルと日野隋道の交差箇所は両者が 6~13mと近接しており、
地質条件にも問題があるので、危険性があると判断される。NEXCO 東日本が計画している日野
隧道交差部の約 140m区間についての補強対策工事だけではこの危険性を排除することはでき
ず、道路計画そのものを見直す必要があると思われる。
立石雅昭 新潟大学名誉教授
地震地質学
新潟市
日野隧道と南線の交差部の危険性:南線と日野隋道との交差箇所の補強工事に当たり、南線の
工事の影響及び完成後の供用による日野隧道への影響、とくに供用後、隧道の真上 6mに敷設さ
れた 4 本の高速道路を 1 日当たり 5 万台余の車が走行することによる隧道への影響の見積もり
や補強工事による効果の算定が全く明らかでない。
地震対策の不備:今後 30 年間に南線沿線、とりわけ南線と日野隋道との交差付近では震度 6
強の揺れが襲う確率は高く、気象庁の周期及び加速度と震度の関係図によると、これは兵庫県南
部地震の加速度 400~800 ガルで阪神高速道路など大きな被害が発生したのに匹敵する。
しかるに、事業者は未だに南線および日野隧道の個々の設備や壁がどういう固有周期をもつか
についての説明は一切なく、このような中で本件事業を進めるべきでないことは当然である。
本田瑛美 理学修士 地質学 鉱物学 元日本応用地質学会会員
横浜市
南線との交差部の日野隧道の危険性:日野隧道の存在する地質は野島層であり、凝灰質砂岩か
ら成り、これは一般に強度の低い堆積軟岩の中でもさらに低い。このような弱い地層の中の築
50 年を経て老朽化した日野隧道の僅か 6mの直上に高速道路 4 本を通して大型車中心の車を走
行させる計画は危険である。
地震対策の説明がない:政府の地震調査委員会が地震発生の確率が高くなっている可能性があ
ると判断した 5 断層の一つに近接する三浦半島活断層が挙げられている。また、上記委員会の
発表によると、今後 30 年間に震度 6 弱以上の揺れが起こる確率がとくに横浜市は全国で最も高
くなっている。
以上のように、大地震が迫っている中、老朽化した日野隧道の直上に高速 4 車線、ランプ 4
車線総計 8 車線を敷設する計画は余りにもリスクが大きく抜本的に見直すべきである。
以上
(意見書の全文(A4 版 11 枚)が必要な方は事務局へご連絡下さい。)
資料
1
庄戸三、五丁目付近平面図。ずい道は、栄-金沢区境界付近を北東から南西へ走る。
資料
2
釜利谷側上空から西方を望む。
資料
3
釜利谷側下方から、日野ずい道と南線を見上げる。両者の最短距離は、6.2m しかない。
横環南撤回へスタート!
この危険道路の計画を撤回すべく 3 月 10 日に横浜市長を訪問し、前掲の 3 先生の詳細な意見
書を添付した要請書を提出した。また同文を国交大臣と NEXCO 東日本社長に同日郵送した。
この計画は横浜市民の生命に関わる問題であることを共有して頂くため、横浜市議会議長を訪
問し市議会での徹底した審議を要請し同時に 84 名の市議会議員全員に送付した。13 日に予定さ
れていた建築・都市整備・道路委員会の 10 名の委員の夫々の会派を訪問し、委員会での討議を
要請した。その結果委員会では協議会の設置などの問題が早速討議された模様である。
なお横浜市選出国会議員 20 名に
も前記の横浜市長への要請書を送
付し注意喚起し、一部の議員には国
会を訪問して協議会設置の協力を
要請したので今後に注目したい。
(比留間)
詳細は別途連協道路ニュースで
報告する。
3/12 日 記者会見の模様
(左から、本田氏、比留間会長、高村氏、大橋氏)