トップコミットメント 「トップノッチ経営」のもと、顧客の要望にいち早く 応える創造業への転換を推進していきます。 皆さまには平素より格別のご支援を賜り、誠にありがとうございます。 2015年3月期の当社グループの業績と、現在取り組んでいる施策、今後の経営方針などについて ご説明させていただきます。 3 統 合報告書 2 0 1 5 代表取締役社長 代表取締役会長 吉田茂雄 武田一平 その結果、売上高は107,294百万円(前期比2.5%増)、 2015年3月期について 自動車関連機器や インバータ機器向けが好調 営業利益3,877百万円 (前期比8.0%減)、 当期純利益2,258 2015年3月期のわが国の経済は消費税増税に伴う駆け 製品分野別にみると、 電子機器用は自動車関連機器向け 込み需要の反動減の影響もあって、個人消費が振るわな やインバータ機器向けなどの需要が堅調に推移したことに かったものの、 全体的には緩やかな回復基調で推移しました。 より増収になりました。回路製品は家庭用蓄電システム 海外においては、 米国経済の雇用情勢改善による個人消費 「ホーム・パワー・ステーション」 の需要が伸び悩んだことや 百万円 (前期比29.1%減) となりました。 の増加や企業業績の回復により概ね堅調に推移しました。 機能モジュールが低調に推移したことにより減収となりました。 一方、欧州経済は停滞感が強まり、 中国経済も成長の鈍化 電力・機器用コンデンサおよび応用関連機器は、電力用 傾向が続いたほか、 ロシアなどの資源国においても減速感 コンデンサ・装置や応用機器の売上が増加したことにより が強まりました。 増収となりました。 こうした状況の中、当社グループはコンデンサ・回路・ 海外ではアジア市場でインバータ機器向けの受注が インバータの技術を核としてデジタル&パワーエレクトロニクス 堅調に推移したことや、欧州市場で自動車関連機器向け 分野に力を注ぐとともに、高い成長が期待できる環境関連 の売上が増加したことにより、海外売上高は66,040百万円、 事業や医療関連事業を新たな経営の柱にすべく事業の 海外売上比率は61.6%となりました。今後とも海外市場での 拡大に取り組みました。 拡販に努め、 成長路線を描いてまいります。 トップノッチ経営と具体的施策 トップノッチ経営 「品質・コスト ・納期・サービス・技術」などあらゆる面で最上級を目指す コンデンサ事業本部 アルミ電解コンデンサ NECST事業本部 フィルムコンデンサ 回路製品/応用機器 7つのビジネスグループ アルミ電解/フィルム・装置/応用機器/分散型電源/車載・V2H・急速充電器/蓄電システム/一般電源 白物家電 産業用インバータ 自動車 車両 エネルギー 環境 医療 情報通信 統合報告書 2 0 1 5 4 トップコミットメント パワー・ステーション」 を燃料電池自動車「MIRAI」 と接続 可能にするなど対応車種を拡充。 さらに災害時の非常用 電源や電力ピークシフト節電対策として公共・産業用リチウム イオン蓄電システムなどの顧客ニーズに応えた新製品を 投入し拡販しています。 また、 当社グループは 「モノづくりからコトづくりへ」 「製造業 から創造業へ」 というスローガンを掲げて、顧客の要望を いち早く察知し、製品の開発段階から積極的に顧客に 関わり、当社グループから新製品や新技術を使って新しい 「モノづくりからコトづくり」 「製造業から創造業」へ 価値創造ができる提案型営業を推進しています。 今後の成長路線を描く体制づくりとしては、2014年1月に 当社グループは経営方針として「トップノッチ経営」 を NECST事業本部に開発センター、2015年4月にコンデンサ 掲げ、品質・コスト・納期・サービス・技術など、 あらゆる面で 事業本部に技術センターを新設。 これにより研究体制を トップノッチ (最上級) を目指しています。 その実現に向けて、 強化し、 新製品開発のスピードアップと基礎技術開発の強化 2013年11月からコンデンサ事業本部とNECST事業本部 を図っています。 また、 両事業本部に営業責任者を置き、 開発 の2事業本部制に再編し、7つのビジネスグループを統括。 から設計・生産・販売までを一気通貫で統括する体制を 2015年3月期は中期経営方針の経営ビジョンに沿って、 整え、 事業運営のスピード化を図っていく方針です。 コンデンサ、回路 、 インバータなどのコア技 術を柱とした なお、2015年7月には電源装置や電子部品を開発・ デジタル&パワーエレクトロニクス分野に注力するとともに、 製造・販売する株式会社ユタカ電機製作所の事業を継承し、 高い成長力が期待できるエコ、EV/HV、 インバータ関連 体制の強化を図っています。 事業を新たな経営の柱にすべく力を注いだ結果、 各事業部 ともに今後の成長の足がかりができました。 コンデンサ事業では「エネルギー・環境・医療機器」 5 2015年4月以降の方針 「自動車・車両関連機器」 「白物家電・産業用インバータ機器」 自動車関連機器の 売上比率を拡大 「情報通信機器」 の4分野の市場別に積極的な営業活動 当社は2013年にトップノッチ経営を掲げ、 この2年間で を展開。特に自動車関連向けについては、電子化の進展で 研究開発や販売の体制強化に取り組んできました。その チップアルミ電解コンデンサ、 リード付きアルミ電解コンデンサ ひとつが中期経営方針の中核事業として位置づけている の採用が増加しました。 また、LED照明用や電源用途に 自動車関連事業です。 高圧・高容量のパワーエレクトロニクスの おいて、 ニーズに応えた新製品を投入しました。 車載向けコンデンサと急速充電器に力を注ぐとともに、車載 一方、NECST事業では家庭用蓄電システムの新製品 電装系の市場拡大が見込まれる国内、 欧州、米国に加えて セパレートタイプを市場に導入、 またV2Hシステム 「EV 中国での拡販を強化。 自動車関連事業の比率を、 一層大きく 統 合報告書 2 0 1 5 引き上げます。 自動車関連以外では、家庭用蓄電システム 「ホーム・パワー・ステーション」、分散型電源システムなどの 環境関連機器や、 粒子線がん治療装置用加速器電源など の医療関連機器の拡販に注力し、 中期的にNECST事業を コンデンサ事業と並ぶ大きな柱にしていきます。 これらの目標を達成するには人材の力が必要です。 当社 では、 これまで新卒や中途採用のほか、 日本で就職を希望 する留学生を採用し、現在では本社の役職者や出身国の 幹部として活躍してくれています。 また、中国・無錫の開発 センターで採用した人材を日本で勉強させるなど人材交流 という経営理念のもと、 全社員がベクトルを合わせて、 今やる も進めています。今後も人材の成長こそが企業の発展の べきことに集中的に取り組んでいきます。 鍵と考え、 人材育成に力を注ぎ、 競争が激化するグローバル 一方、 コンプライアンスの徹底を図るとともに、 業務の適正化 市場において優位性を発揮してまいります。 を図るための体制や財務報告の信頼性を確保する体制 こうした事業活動により2016年3月期の売上高は122,000 づくりを充実するなど、一層の内部統制の整備・強化を 百万円、 当期純利益3,600百万円を見込んでいます。 し、企業価値の向上に努めてまいります。 なお、 当社グループは株主の皆さまへの利益還元を経営 ステークホルダーの皆さまへのメッセージ の重要課題と認識し、企業価値の拡大と企業体質の強化 エネルギーの安定供給と 地球環境保全のために を図り、 配当の安定的増加に努めています。 この方針のもと、 当社は今年8月に創立65周年を迎えます。 これもひとえに いただきました。2016年3月期は創立65周年記念配当を ステークホルダーの皆さまのご支援の賜物と感謝しております。 加えて20円とする予定です。内部留保は、 コア事業の拡大 創立以来、主力のコンデンサ事業で電気を効率的にマネジ のための研究投資など、将来の企業価値を高めるための メントする独自技術を磨き、暮らしと産業の発展に貢献して 投資に活用してまいります。 きました。 そして、 その技術を活かして、エネルギー・環境・ 株主・投資家の皆さまをはじめ、各ステークホルダーの 医療関連機器を新たに市場投入し、次なる成長の柱として 方々には、 なお一層のご支援を賜りますよう、 お願い申し上 育成して、 エネルギーの安定供給と地球環境の両立を図って げます。 2015年3月期の年間配当金は1株当たり18円とさせて います。今後も京都という独創性に富んだ都市に本社が 2015年6月26日 あるというメリットを活かして、大学や他企業とも連携を図り、 持てる独自技術を育みながら新たな価値創造につなげて ニチコン株式会社 代表取締役会長 代表取締役社長 いきます。 また 「より良い地球環境の実現に努め、価値ある 製品を創造し、明るい未来社会づくりに貢献していくこと」 統合報告書 2 0 1 5 6
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