2015/4/27 4・1.第三世界の結束とUNCTADの設立 (1)UNCTAD設立の経緯 国際連合の要請により, 1964年に国連貿易開発会議(UNCTAD)が設立 <設立を決定づけた4つの要素> ①南北問題解決の必要性の認識が高まる ・( )だけでは不十分 ・( )での譲歩も不可欠 ・1961年の第16回国連総会で貿易開発会議の開催に ついて検討 第3講 (テキスト第4章) 開発問題の歴史的展開 2 4・1.第三世界の結束とUNCTADの設立 4・1.第三世界の結束とUNCTADの設立 ②貿易と開発に関する先進国側の見解が定まらない ・一次産品貿易の貿易自由化 →英米 vs EEC(欧州経済共同体) ・途上国の一次産品への特恵制度適用 →アメリカ vs フランス vs イギリス ⇓ したがって, 先進国はUNCTAD設立に関する議論に( )の姿勢 3 ③現行の貿易体制の転換の必要性を途上国は認識した IMF=GATT体制は「( )」である →先進国を利するだけである ⇓ 1962年,「カイロ宣言」が採択される。 ④ソ連が積極的に動かなかった ・ソ連は( )の一角と見なされていた。 ・東西冷戦下で途上国と結びたかった。 ⇓ 自陣営に有利になるように静観した。 4 4・1.第三世界の結束とUNCTADの設立 4・1.第三世界の結束とUNCTADの設立 すなわち, ・先進国の( )の乱れ ・ソ連の( )な態度 ・発展途上国の強力な( ) という対照的な反応の結果として, ⇓ 1962年の第17回国連総会において貿易開発会議の開 催が決定される。 この決議では,貿易開発会議は国連の常設機関として 設置されることが記された。 (2)UNCTADの意義 <3つの意義> ①南北問題解決のための( )が設置された →国際社会が南北問題の解決の必要性を認めた ②UNCTADが南北問題解決のための( )となった →世界の目が注がれることで南北問題が重視される ③UNCTADが途上国の( )として機能した →事務局長人事,組織運営の点で途上国に有利 5 6 1 2015/4/27 4・2.プレビッシュ報告とUNCTAD総会 4・1.第三世界の結束とUNCTADの設立 ・初代事務局長(1964年から1969年) R. プレビッシュ(Prebisch) アルゼンチン出身 国連ラテンアメリカ経済社会委員会事務局長に就任 (1950年) The Economic Development of Latin America and its Principal Problems を出版(同年) →( )として知られる ・組織運営の特徴 UNCTADを運営する理事国が4つのカテゴリーに分け て選出された ⇓ Aリスト国とCリスト国が途上国グループを結成 →「77カ国グループ」 ⇓ ( )がつく 7 4・2.プレビッシュ報告とUNCTAD総会 8 4・2.プレビッシュ報告とUNCTAD総会 (1)プレビッシュ報告 <第1回UNCTAD総会> ・1964年3月から4月にかけてジュネーブで開催 ・121カ国が参加 ・基調講演「新しい貿易政策を求めて(プレビッシュ報告)」 が行われる ⇓ 総会での議論の方向性を示す <プレビッシュ報告の趣旨> 「経済発展には( )の推進と( が必要」という主張 →なぜ? ①( )が悪化している )の拡大 ・輸出物価指数/輸入物価指数 ・1950年から61年の間に26%↓ →貿易赤字 ・貿易赤字を借り入れで補う →債務の増加 9 4・2.プレビッシュ報告とUNCTAD総会 ②一次産品の( )が低い ・消費変化率/所得変化率 ・輸入先の所得が上がっても輸出増につながらない ③先進国が( )政策を採った ・GATTの自由化対象商品には農産物は含まれない ④一次産品の( )が開発された ・安定的な原料供給を確保するため ⑤先進国が工業製品輸入を制限した ⇓ IMF=GATT体制下で途上国は恩恵を受けられない 10 4・2.プレビッシュ報告とUNCTAD総会 11 →いかにして解決するか? ①一次産品問題について ・( )を結成する。 ・それにより,一次産品の価格支持や所得支持を実施する。 ②工業製品輸出について ・( )を設ける。 ・それにより,途上国の工業化と製品輸出を推進する。 ③資金供与について ・( )を設ける。 ・「国連開発の10年」の援助目標値が未達成である。 ・交易条件悪化に伴う借入で債務負担が増加している。 12 2 2015/4/27 4・2.プレビッシュ報告とUNCTAD総会 4・2.プレビッシュ報告とUNCTAD総会 ④東西貿易(途上国と社会主義圏との貿易)について ・社会主義国は社会主義圏内での貿易に限定。 ・途上国の輸出を吸収できる可能性がある。 ⑤貿易開発を扱う新たな機関の設立について ・GATTの交渉対象は工業製品のみ。 ・社会主義諸国の貿易は国家貿易であるためGATTの 交渉対象外。 ⇓ UNCTAD総会では, ①,②,③を「( )」として繰り返し議論される。 13 製品・半製品 第3委員会 援助・貿易外収支 第4委員会 機構 第5委員会 貿易原則・東西貿易・地域統合 →議論は終始平行線。強行採決の委員会も。 決裂を避けるため,ラ米・東南アが妥協案を模索。 ⇓ 14 <討議の成果> (第1回総会) ・一次産品は1969年末までに可能な限り自由化する。 ・国際商品協定に関する常設委員会の設置する。 ・特恵制度の必要性に関する特別委員会の設置する。 →問題の先送りという結果に... ・補償融資についてのみ妥結した。 →補償ではなく,補足に。 援助増大に読み替えて先進国は受け入れる。 15 (第2回総会) ・「三大要求」を繰り返し訴える。 ・途上国は特恵関税の供与を勝ち取る。 (第3回総会) ・ニクソン・ショックへの対応が新たな課題になる。 (第4回総会) ・国際商品協定の締結が決まる。 ジュネーブ,1964年 ニューデリー,1968年 サンチアゴ,1972年 ナイロビ,1976年 マニラ,1979年 一次産品 第2委員会 UNCTAD総会 の開催自体は 画期的 4・2.プレビッシュ報告とUNCTAD総会 第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 UNCTADは 途上国の 代弁者 検討事項 4・2.プレビッシュ報告とUNCTAD総会 4・2.プレビッシュ報告とUNCTAD総会 ⇓ 妥協案に基づいて作成された最終議定書に参加国は 署名した。 →議定書には勧告とともに,留保事項も収録。 署名しても法的拘束力は無かった。 多くの課題が,常設の検討委員会を設けることで先 送りされた。 ⇓ 南北問題の解決に有効であったかどうかははなはだ 疑わしい。政治的な意味はあった。 (2)UNCTAD総会での討議 <討議の方法> 委員会名 ・分科会方式で 第1委員会 課題ごとに討議 「三大要求」の実現に12年かかる。 17 しかし,その帰結は... 16 4・3.南北問題の展開における UNCTADの役割 (1)ニクソン・ショックへのUNCTADの対応 <金為替本位制の崩壊> ・西側の戦後復興のため大量のドル流出( ) ・国際貿易の拡大による米ドルの流出 ⇓ ・ドルと金との兌換の要求が,ドルの信用低下につながる。 ・金の市場取引価格の高騰 ⇓ 1971年8月,ドル防衛策( )を採る。 →金・ドル交換停止,輸入課徴金,賃金凍結 18 3 2015/4/27 4・3.南北問題の展開における UNCTADの役割 4・3.南北問題の展開における UNCTADの役割 <スミソニアン協定の締結(1971年12月)> 国際金融体制の崩壊を食い止める ⇓ ・協定の内容 金1オンス=38ドルに変更 対ドル相場の切り上げ(1ドル=( )円) ・1972年6月,イギリスが変動相場制へ移行 他国も追随 ・1973年に金為替本位制は崩壊 19 4・3.南北問題の展開における UNCTADの役割 20 4・3.南北問題の展開における UNCTADの役割 (2)対話から対立の場としてのUNCTAD <継続する膠着状態> ・UNCTADは途上国が先進国と( )に交渉できる場 ・先進国は交渉のテーブルに着く ⇓ ・「三大要求」が受け入れられるのは難しい ・ニクソン・ショックにより先進国は( )志向に転じる ⇓ 途上国は交渉姿勢を転換させる 21 4・3.南北問題の展開における UNCTADの役割 途上国は交渉姿勢を転換させる →従来の南北関係の転換を求める ⇓ ・1970年,非同盟諸国首脳会議(於:ルサカ) →自力での開発の手段として( )に訴える ことが決議される。 ・1973年,非同盟諸国首脳会議(於:アルジェ) →「アルジェ宣言」が採択される 天然資源,貿易制度,多国籍企業に関する南側諸国の 共通綱領(→( )宣言の下敷き) 22 4・3.南北問題の展開における UNCTADの役割 <新国際経済秩序採択後の世界経済> ・第6回国連特別総会(1974年)で,「新国際経済秩序 (NIEO, New International Economic Order)に関する宣 言」が採択される。 ①天然資源の恒久主権 国家が国内資源を所有・使用・処分する権利を有すること ②生産国カルテルに参加する権利 OPEC(石油輸出国機構)のような生産国同盟を結成する権利を有すること ③外国投資を国内法によって国有化する権限 多国籍企業に対して規制する権限を有すること ④国際商品協定の締結と拡充 ⑤一次産品価格のインデクセーション 発展途上国の輸入価格の変動にリンクさせて,輸出価格を調整する権利を有すること ⑥先進国市場へのアクセスの改善 ⑦一般特恵の拡大と恒久化 ⑧発展途上国の工業化の加速 世界の工業総生産に占める発展途上国の割合を25%に高めること ⑨資金援助と技術援助の積極的推進 <途上国に対する金為替本位制崩壊の影響> ①輸出収入の( ) →途上国はドル建てで貿易。米ドルの価値低下はそ のまま輸出収入の減少につながった。 ②外貨準備の( ) →途上国の外貨準備の70%がドル建て。ドル安は価 値の目減りにつながった。 ③輸入品価格の( ) →ドル安により米国以外からの輸入工業製品の価格 が上昇した。 23 →NIEOが採択されてどうなったか? ・1973年10月,第4次中東戦争(イスラエル対アラブ)が勃発。 ・それにより,アラブ産油国が原油の禁輸(対イスラエル支援国)・ 減産を決定。 ⇓ 1972年末時点で,世界の石油生産量3分の1,世界の石油輸出 量の半分強をOAPECが担っていた。 ⇓ 1973年末,石油危機が引き起こされる。 24 4 2015/4/27 4・3.南北問題の展開における UNCTADの役割 4・3.南北問題の展開における UNCTADの役割 先進国( vs 途上国( ・第1次石油危機(1973年) →10月:OPEC湾岸6ヶ国が$3.01/b→$5.12(バレル:約159リットル) 12月:湾岸産油国が$5.12→$11.65 ・第2次石油危機(1979年) →$34/bまで上昇 ⇓ 中東原油に依存する先進国に( )を与える ・インフレを引き起こす ・景気を悪化させる ・日本:石油を原料とする生活物資の買い占め, 省エネ対策としてネオンの早期消灯,深夜放送中止など 25 ) ) <対立の終結> 1976年,第7回国連特別総会が開催される →イデオロギー対立は何ら成果をもたらさない 先進国は, ・輸出所得安定化に理解を示す ・一般特恵制度の継続を決める ・援助目標の達成に努力を傾注する ⇓ NIEOから途上国が勝ち取ったものは何か →見るべき具体的成果なし。せいぜい追加援助のみ。26 4・3.南北問題の展開における UNCTADの役割 4・3.南北問題の展開における UNCTADの役割 (3)国際商品協定と一次産品問題の行方 1976年の第4回UNCTAD総会で一次産品総合プログラ ムの実施が決まる。 <国際商品協定とは> ・商品価格の反動幅を小さくする取り組み。 ・輸出国は安定的な輸出収入を確保できる。 →( )経済の途上国には死活問題 ・輸入国は商品価格の高騰を防ぐことができる。 →食糧,( )の大量確保には必須 <協定締結が認められた商品> ・商品協定は,1930年代からあった(小麦,砂糖,コー ヒー,すず)。 ・第4回総会では,対象商品の拡充が認められた。 分類 18品目 食糧 バナナ,ココア,コーヒー,砂糖,茶(紅茶),植物油,食肉 工業原料 ボーキサイト,銅,綿花・綿糸,硬質繊維,鉄鉱石,ジュー ト,マンガン,リン鉱石,天然ゴム,熱帯木材,すず 27 28 4・3.南北問題の展開における UNCTADの役割 4・3.南北問題の展開における UNCTADの役割 <協定の仕組み> ・国際商品協定を介した国際貿易 →緩衝在庫を介在する <国際商品協定の事例と帰結> ・国際商品協定は10年も継続しなかった。 輸出(生産)国 緩衝在庫 ・国際天然ゴム協定(1980年―1989年) ・国際砂糖協定(1978年―1982年) ・国際小麦協定(1979年―1981年) ・第5次国際すず協定(1976年―1981年) ・国際コーヒー協定(1976年―1982年) ・国際ココア協定(1976年―1980年) 輸入(消費)国 ・なぜか? ・豊作時には,在庫を多く抱えて,市況暴落を防ぐ。 ・不作時には,在庫を放出して,市況高騰を防ぐ。 ・緩衝在庫は( )機能を果たす。 ①望ましい価格の設定が困難であった ②緩衝在庫の規模,生産調整の合意に至るのが難しかった ③緩衝在庫が機能しなかった ④合成代用品が開発された 29 30 5 2015/4/27 4・3.南北問題の展開における UNCTADの役割 <まとめ> ・1960年代から70年代前半 →発展途上国は結束して,「三大要求」の実現を求 め,対話を継続した。 ・1970年代後半 →先進国からの譲歩を引き出せない。対決へと戦 略を転換。 ・1970年代末から80年代 →勝ち取った国際商品協定はうまく機能しない。 UNCTADでの対話と対決から得たものは乏しかった。 31 6
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