やまがたゆきみらい推進機構 平成 27 年度記念講演会 「山形県における近年の雪氷災害と対策の課題」 国立研究開発法人防災科学技術研究所雪氷防災センター 雪氷環境実験室長 博士(理学) 小杉健二 氏 【被害者の推移】 平成 18 年度豪雪では、20 人以上の死亡者が出て社会的問題となった。 雪の量にほぼ応ずる形で、被害者の数も変動している。 最近5年間は大雪が続き、死亡者・負傷者・事故遭遇者ともに多い水準で推移している。 【直近5カ年の雪氷災害発生件数】 雪氷災害の発生件数は、直近5カ年ともに同じ傾向が見て取れる。 ・雪氷災害は、積雪量が多い冬は多く、積雪量に応じて件数が変動する傾向がある。 ・雪氷災害を原因別に見ると、屋根からの転落、交通事故の件数が多い。 人工物からの落雪や水路転落、除雪機事故は件数は少ないものの、命にかかわる事故 が多い。 ・高齢者の被害者が多い。 【直近5カ年の雪氷災害発生時期】 雪氷災害の発生時期は、直近5カ年ともに同じ傾向が見て取れる。 ・屋根からの転落 積雪量の増加とともに発生する傾向があり、例年、積雪深が最大になる1月下旬か ら2月上旬にかけて多く発生している。 ・交通事故 冬の初めから終わりまで、まんべんなく発生している。 ・人工物からの落雪 冬の前半にはあまり無く、一定程度積雪が増えた後半に集中している。 ・除雪機事故 積雪が増えていく時期に多く発生している。 ・水路転落 除雪作業中に転倒するなど、除雪作業が続く間に多く発生している。 ・建物倒壊 冬の前半には少なく、積雪がかなり増えた時期から後半にかけて発生している。 【最近の特徴的な災害の例】 1.屋根雪荷重による建物の倒壊 空き家問題と併せここ数年問題になって おり、道路にまで倒壊が及ぶ例も数件見ら れた。 空き家対策特別措置法により、管理不十 分な空き家に対して、是正勧告ができるよ うになった。調査は市町村が主体となるが、 雪の重みによる倒壊の危険性をどう判断す るかが重要。 2.雪崩 この冬は、周辺で多くの雪崩が発生した。 発生すると被害が大きくなるのが雪崩の 特徴。この冬は、幸い人的被害は無かった が、通行止めによる物流への影響など、社 会的被害が大きかった。 いろいろな対策が進められてきているが、 従来は雪崩が起きなかったところや、対策 の隙間をねらって発生している。 阿部 積雪の量や、樹木の変化・昆虫による食 害などが関係していると思われる。森林保全も雪崩防止に重要。 【防災科学技術研究所の取り組み】 ・現地調査により雪崩発生の危険性の点検、 雪処理方法の助言。 ・吹雪による視程(水平方向に見て、ものの 輪郭がはっきりと識別できる最大距離)障 害予測の研究 など、多岐に渡る雪氷防災研究に取り組んで いる。 (所在地:山形県新庄市十日町高壇 1400) やまがたゆきみらい推進機構 平 成 27 年 度 記 念 講 演 会 平成 27 年5月 27 日(水) 於:村山総合支庁北庁舎講堂 修氏 撮影
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