文科省指定の化合物ライブラリー拠点 北海道大学の創薬研究施設で

文科省指定の化合物ライブラリー拠点
北海道大学の創薬研究施設で電子実験ノートを活用
ケーススタディ:北海道大学 創薬科学研究教育センター
• 北海道大学の創薬科学研究教育センターで、外
部との共同研究におけるデータ共有の基盤構築
が急務に
• WEBベースで情報共有を実現でき、検索性、保
存性に優れたBIOVIA Notebook Cloudを導入
• 学内外の研究機関や企業とのスムーズな情報共
有により、医薬開発のスクリーニング工程をよ
り効率的に進めることが可能に
• 学生が記録した実験ノートを時間にとらわれ
ずチェック可能になったほか、実験記録の内
容そのもののクオリティも向上
情報共有と人材育成に欠かせなかった
実験データのデジタル化
北海道大学は、1876年(明治9年)に創設された札幌農学校
を母体とし、1918年(大正7年)に北海道帝国大学として設
立されました。
大学の主要拠点である札幌キャンパスは、南北1.5キロに渡
って延びるメインストリートを中心に、約177万m²、東京ド
ーム38個分という広大な敷地が広がっています。キャンパ
ス内に自生するエルム(楡)にちなんで、通称「エルムの
杜」と呼ばれるだけあって、四季の移り変わりを敏感に感じ
取ることができる、自然あふれる景観が魅力です。
ットに対する低分子化合物のスクリーニングを行っています。
センターを構成する参加メンバーは、世界的レベルで研究
を行い大きな成果をあげている生物、物理化学、有機、薬
剤系研究者などで、学内外の研究者間での共同研究の他、
企業を交えた多くの共同研究実績を重ねてきています。
また同時に、バイオテクノロジーを活用した最先端の治療
薬である抗体医薬やバイオ医薬の開発にも取り組んでお
り、低分子と高分子医薬の両面から有力新薬の候補となる
化合物を生み出し、臨床治験への橋渡しとなる様々な研究
も進めています。
一方で、こうして研究が学内外の組織を超えて進められるよ
うになると、研究成果を共有するために、従来のように紙の
ノートに記録したり、随時メールでやり取りしたりといった
方法では、本来必要とされる情報の共有を十分に行えないと
いった状況が散見されるようになっていました。
さらに、同センターは最先端のバイオ医薬を開発できる人材
の育成にも注力しており、学生の研究レポートをタイムリー
にチェックする作業も非常に重要なプロセスであるにも関わ
らず、時間的、場所的な制約が確認作業を遅らせるというこ
とも課題となっていました。
このキャンパスのほぼ中央東側に位置するのが、「創薬科学
研究教育センター」です。創薬というと、製薬企業が基礎研
究から製品化までを一貫して行うイメージを持っている方が
多いかもしれませんが、いまや先端の疾患研究は大学やバイ
オベンチャーに一任し、そこでスクリーニングされた有力な
ターゲットだけを候補として採用して、薬剤の開発を行って
いくという流れが主流になってきています。ところが、これ
に十分に応えられるだけのアカデミックな組織が日本にはま
だ整備されていないというのも実情です。
そこで北海道大学では、日本発の創薬を目標に、同大の薬学
研究院を中核とした「創薬科学研究教育センター」を2011
年4月に設置し、総合的な創薬拠点へと発展することを目指
して日々活動を続けています。
同センターは、文部科学省が選定した全国6カ所の「最先端研
究基盤事業 化合物ライブラリー拠点」のひとつに指定され、
多くの研究者が共用できるスクリーニング設備を備えた共同
研究教育施設として機能し、基礎研究から得られた疾患ターゲ
同センターで構造生物学グループに属し、疾患原因となるタ
ンパク質複合体の構造解析や化合物のスクリーニングに取り
組む、北海道大学大学院 創薬科学研究教育センター 特任准
教授、齊藤 貴士 氏は次のように語ります。
「私は大学院での講義のほかに、他の機関との共同研究も数
多く兼任しています。そのため、国内出張のみならず、海外
への長期出張なども増えてきていて、学生の実験ノートをチ
ェックする時間を確保しにくいこともしばしばでした。こう
した状況を打開するため、デジタル化によって情報の共有環
境を構築することが、急務の課題となっていたのです」
そこで、齊藤准教授の研究室では、実験ノートをデジタルに
移行することを決断し、ダッソー・システムズ・バイオビアの
『BIOVIA Notebook Cloud』を導入しました。
時間と場所を選ばず
どこからでも実験ノートにアクセス可能
『BIOVIA Notebook Cloud』を導入したことで、研究室での
実験データの管理共有方法は一変します。
まず、学生が記録した実験ノートをクラウド上で随時確認で
きるようになり、利便性は劇的に向上しました。
「私たち北海道大学の創薬科学研究教育センター
では、創薬の未来を担う人材の育成に注力するとと
もに、北海道の中心的なスクリーニングセンターと
しての役割を果たすため、高品質な基盤の整備を
進めてきました。お陰さまでさまざまな企業や研究
機関との協力のもと、数多くの先進的な共同研究プ
ロジェクトを推進するまでになっています。将来は
アカデミア発の創薬実現を目指して、さらなる研究
「海外に出張している時でも、出張先から日々ノートのチェ
ックが出来るので、帰国後にまとめて確認しなければならな
いということもなくなり、時間の有効活用を図れるようにな
ったことは非常に大きかったです。すでに同ソフトウェアを
活用している教授から推薦されたため、他の製品と比較する
こともせず、躊躇なく使い始めましたが、導入は正解だった
と思っています」(齊藤准教授)
しかも、電子実験ノート導入による思わぬ恩恵もありま
した。
「紙のノートの時代には、学生が何を書いているのか分かり
にくかったり、メモ書き程度の中身しかなかったりというこ
とも少なからずあったのですが、電子化したことで学生にも
しっかりまとめようという意識が高まった為でしょうか、内
容まで非常に充実して読みやすくなったのは、予想外の効用
でした」(齊藤准教授)
さらに、他の大学や企業の研究機関との様々な共同研究プロ
ジェクトが進む中、同センターで行った実験や測定の結果
を、電子情報で簡単に送れるようになりました。
以前は、メールを使い、紙の実験ノートから数値を書き写
し、実験条件などを付記した上で送信していました。しかし
『BIOVIA Notebook Cloud』を導入してからは、関係する研
究者の間で、実験条件なども含めたデータを一括してリアル
タイムに共有することが可能になり、ビジネス面での効率も
格段に高まりました。
齊藤准教授の研究室では、これからの新薬研究の中心となっ
ていくことが予想される抗体医薬の開発に携わる人材の育成
も行っていて、国際留学を実施したり、先端研究を行う海外
の講師を招聘して集中講義を行ったりと、様々なプログラム
を進めています。
一昨年からは、海外へのインターンシップにまで発展し、オッ
クスフォード大学との交流も始まっています。
アクセスの柔軟性が高まったクラウド型の電子実験ノート
で、研究室の活動はますます高度に活発化していくことが期
待されます。
紙の実験ノートでは実現不可能な
検索性と保存性の高さ
『BIOVIA Notebook Cloud』の導入により、実験データの検
索と保存という点でも大きなメリットがありました。
実験を重ねて、数年に渡って記録した紙のノートが何十冊、
何百冊と溜まってくると、その中から関連する結果を利用し
ようと思っても、どこに何が書いてあったかを記憶を頼りに
探し当てるのは相当に困難で、必要とするデータに り着く
ためには、膨大な時間を要することになります。
その点、『BIOVIA Notebook Cloud』なら、キーワードによ
る全文検索のみならず、反応式や構造式による検索が可能な
インフラの効率化を進めてまいります」
北海道大学大学院 創薬科学研究教育センター
特任准教授 齊藤 貴士 氏
ため、過去に行った関連する実験や同様のテーマを検索し
て、その結果を瞬時に表示することも簡単に行えます。
また、紙の実験ノートの場合、研究室の引っ越しなどで移動
を行ったりすると、記録の順番が正確に保てなかったり、場
合によっては一部が別の資料群に紛れ込んでしまったりとい
うこともあり、データ量が増えるほどに保存の難しさを実感
していました。
加えて、紙のノートに貼付けたプリントデータや画像、手書
きメモなどは、次第にノートが厚くなったり、糊でページが
くっ付いてしまうという不便さが付きまとうとともに、年月
が経過するごとに劣化して、該当ページから分離したり、紛
失したりといったことも起きていました。
しかし、実験ノートのデジタル化によって、こうした保存性
の問題は一掃されました。
もちろん、電子実験ノートの最大のメリットのひとつである
知財管理や、アクセス履歴管理による不正な改ざんの防止も
確実に図ることが可能になりました。
アカデミア発の創薬を目指して
創薬科学研究教育センターは、化合物ライブラリーのスクリ
ーニング拠点として、最先端の機器をはじめ、北海道全域の
研究シーズを一同に集めて、低分子化合物のスクリーニング
を進めています。
スクリーニングのために集結された機器は、サンプルの前
処理からサンプルアッセイまでの過程を全自動で処理する
スクリーニング装置や、タンパク質の結合パラメータを測
定する完全に自動化された高感度型のカロリーメーター、
あるいはリアルタイムに生体分子相互作用の特異性や熱力
学パラメータを測定する装置などで、こうした20にも及ぶ
高機能なスクリーニング機器を同じ場所で利用可能にして
いるアカデミック施設は、日本でも非常に稀です。
今後、齊藤准教授の研究室では、こうした優れた性能を備え
た機器の数々を基盤にして、アカデミア発の創薬を実現する
ことを目指しています。
「いまや低分子医薬の開発においては、スクリーニングをよ
り効率的かつ確実に進めていくことが大変重要なプロセスと
なっています。同時に、がん治療を始めとする様々な分野で
抗体医薬に対する期待が高まり、新薬開発における主役はバ
イオ医薬へと比重を移しつつあります。私たちは、北海道の
中核となるスクリーニング拠点として研究機関や企業のニー
ズに応えていくと同時に、学術機関として次世代の高分子医
薬を生み出すことを現実のものとすべく、これからも努力を
続けていきたいと考えています」(齊藤准教授)
さらに、創薬科学研究教育センターが目指すもうひとつの大
きな目的である人材の輩出も着実に進めていく予定です。齊
藤准教授の研究室にも創薬開発を目指す学生が在籍していま
すが、この人数も将来はさらに増やしていくことを計画して
います。
「バイオ医薬の分野は今後ますます注目を集めるようにな
り、創薬開発における専門化もさらに進んでいくでしょ
う。そこで重要になるのが高度な能力を有した人材の育成
です。当センターでは、現在与えられた豊かな環境を最大
限に活用して、次世代へとつながる優秀な人材を途切れな
く送り出していきたいと考えています。そのプロセスにおい
て、BIOVIA Notebook Cloudは今後も不可欠なクラウド
ツールになるでしょう。ダッソー・システムズ・バイオビ
アには、さらに機能強化とパフォーマンスの向上を図って
いってほしいと希望しています。今は私の研究室で利用し
ているに過ぎませんが、これだけの効率性を提供してくれる
電子実験ノートですから、将来的には当センター全体、さら
には薬学部をはじめ他の学部にも活用が広がっていくことが
大いに期待できると思っています」
北海道大学大学院 薬学研究院 創薬科学研究教育センターについて
北海道大学内の橋渡し研究の拠点である探索医療教育センター
内は勿論のこと、他研究機関、企業等にも門戸を開放し、北海道
を中核とした「北海道大学 創薬科学研究教育センター」が設置
果たすことを目的としています。
の協力のもと、文部科学省の助成を受け、2011年に薬学研究院
されました。
本センターは、創薬スクリーニング運用部門、創薬科学研究教
育部門(低分子医薬学研究室、バイオ医薬学研究室)、創薬ス
クリーニング管理・運用部門の3つの部門より構成され、北大
の創薬研究の中心となるスクリーニングセンターとしての機能を
さらに、最先端の基礎疾患研究の成果を実用化できる次世代の
創薬研究を担う人材の育成および学士・大学院教育にも取り組
み、総合的な創薬拠点へと発展することを目指しています。
ttp://japanese-apricot.pharm.hokudai.ac.
ダッソー・システムズの3Dエクスペリエンス・プラットフォームでは、12の業界を
対象に各ブランド製品を強力に統合し、各業界で必要とされるさまざまなインダス
トリー・ソリューション・エクスペリエンスを提供しています。
ダッソー・システムズは、3Dエクスペリエンス企業として、企業や個人にバーチャル・ユニバースを提供することで、持続可能な
イノベーションを提唱します。世界をリードするダッソー・システムズのソリューション群は製品設計、生産、保守に変革をもたら
しています。
ダッソー・システムズのコラボレーティブ・ソリューションはソーシャル・イノベーションを促進し、
現実世界をより良い
ものとするためにバーチャル世界の可能性を押し広げています。
ダッソー・システムズ・グループは140カ国以上、あらゆる規
模、業種の約19万社のお客様に価値を提供しています。
より詳細な情報は、www.3ds.com(英語)
、www.3ds.com/ja (日本語)
を
ご参照ください。
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