Solas VI Regulation 2 改正に関するガイダンス

SOLAS VI
Regulation 2
実入りコンテナの総重量の証明を要求するSOLAS条約第VI章第2
規則改正の実施に関する重要な指針
UK P&I AND
TT club ARE
MANAGED
BY THOMAS
MILLER
はじめに
主な留意点
国際海事機関(IMO)は海上における人命の安全のため
の国際条約(SOLAS条約)を改正し、輸出用実入りコン
テナを船舶に積載する際、そのコンテナの総重量が証明
されていることを要件としました。荷送人は実入りコン
テナの総重量証明を入手し、海上運送人に申告する責任
があります。この要件は2016年7月1日から義務化さ
れ、世界中で適用されるようになります。同日以降、船舶
オペレーターやターミナル・オペレーターが実入りコン
テナの総重量証明を取得せずにコンテナを船上に積載
することはSOLAS条約違反となります。
実入りコンテナの総重量証明を必要とするこのSOLAS
条約改正の実施に伴い、さまざまな疑問点や問題点が出
てきますが、以下にそのいくつかを紹介します。
改正SOLAS条約では実入りコンテナの総重量を証明す
る二つの方法が規定されています。
1.「荷送人」とは誰か?
海上安全委員会(MSC)の回章1/Circ.1475では、荷送
人(「the shipper」)を「船荷証券、ウェイビルまたは
それに類する複合一貫輸送のための証券で荷送人とし
て名指しされ法人又は個人、および/あるいは、海運
会社と運送契約を締結した(あるいは海運会社とその
名義でまたは代理を介してして運送契約を締結した)
法人又は個人」と定義しています。
典型的な場合、荷送人は以下となります:
• 第
1は、貨物を詰んでからコンテナの重量計測を行う
方法です。
• 本船のstowage planの作成や税関手続きに要する情
報を含めて海上運送に必要な手配をするために船舶
オペレーター/運送人と直接連絡を取り合う者
• 第
2は、貨物などの中身をすべての重量計測を行い、そ
れをコンテナのドアに記載されたコンテナの自重に加
算する方法です。
見積りでの重量は許可されません。荷送人または荷送人
が手配した第三者が実入りコンテナまたはその中身を重
量計測を実施する責任があります。いずれの方法でも、重
量計測に使用する装置は国の認定・較正要件を満たさな
ければなりません。
コンテナ船オペレーターに関する主な要件
a.本船のstowage planには、船上に積載するすべての実
入りコンテナについて証明された重量を使用する必要
があります。
b.運送人は荷送人が署名した重量証明が正確であること
に依拠することができます。運送人は総重量に関する
荷送人の証明をチェックする必要はありません。しか
しながら、SOLAS条約に従い、荷送人の証明には署名
がなければならないという点は注意すべきです。つま
り、荷送人を代表する特定個人が書類上名指しされ、
その個人が荷送人の代理として重量申告の正確性を
証明したことになるのです。
c. ターミナルに提出される搬入された輸出用実入りコン
テナの総重量の証明がない場合、:
•船舶オペレーターとターミナルとの間で、そのような
コンテナの取り扱いについて合意する必要がありま
す。
•総重量の証明を取得し、それがstowage planに使用
されない限り船上への積載はできません。
• 海上運送人の発行する船荷証券または類似の証券上
で「荷主」
(「Merchant」)あるいはそれに類すると
名指しされた者
たがって、荷送人は貨物の売り手または買い手、フ
し
レートフォーワーダー、または顧客自身として海上運
送人と契約を締結する第三者である可能性がありま
す。
際貿易とロジスティクス・サプライチェーンはかなり
国
複雑であるため、海上運送人との契約締結に関与する
者は多種多様です。あるサプライチェーンに関与してい
る各当事者は、総重量証明がどのようにしてなされた
か、貨物の詰み込み作業を実施した場所で権限ある当
局の許可によりなされたのは、第1または第2のいずれ
の方法で総重量証明がなされたか、そしてどのように
その情報を運送契約に特定された荷送人から速やか
に海上運送人へ提供するのかを決めておく必要があり
ます。
2.どの情報が必要なのか?いつまでに連絡しなければ
ならないのか?
その詳細はSOLAS条約にもMSC 1/Circ.1475にも規
定されていません。
当局(例えば英国)では、第2の方法を使用する荷送人
に対して「認定」制度を設立する動きがあります。国家
がこのSOLAS条約改正の国内法化をどのような形で
実施しても、船舶オペレーターはコンプライアンスを
推し進めるために荷送人の種別(第1の方法または第2
の方法)やほかの管理プロセスの詳細を取得する必要
があるかどうかを検討するべきです。
SOLAS条約では、荷送人がこの情報をstowage plan
の作成以前に余裕をもって連絡することを要求してい
るので、船舶オペレーターはそれぞれの港や航路にお
ける具体的な要件を特定し、荷送人への周知徹底を図
らなければなりません。
3.情報精度の許容範囲は?
SOLAS条約では、第1または第2いずれの方法におい
ても、総重量証明の取得に際して、重量計測装置が使
用される国における精度と基準と要件を満たす装置を
使用しなければならないと規定しています。したがっ
て、使用される重量計測装置の許容精度はその国の基
準と要件により決まります。
貨物によってはコンテナへの詰み込みと重量計測から
引渡しまでの間に、総重量が自然現象として微妙に変
化する(例えば、蒸発、湿度変化、氷詰め生鮮食料品
の融氷などにより)ことがあったり、コンテナの自重も
経年変化に伴ってドアに記載された自重とある程度違
ってくることがあるということは認識されています。し
かし、通常はこの程度の変化で現在懸念されているよ
うな安全上の問題が生ずるとは考えられません。
4.この改正は貿易円滑化にどのような影響を及ぼしう
るのか?
複数の国の当局は、改正SOLAS条約の国内法化と施
行に際して協調を求めており、この安全上の要件が貿
易実務の流れに悪影響を及ぼさないようにしていま
す。このような試みは国際海事機関のほか、UKクラブ
やTTクラブなどの保険者も奨励しています。
5.総重量の申告に誤りのあるコンテナを荷送人が運送
人に引渡した場合の罰則は?
基本的にはその国の法令に従い、当局および/または
ポートステートコントロール(PSC)により罰金やその
他の罰則が課されることになります。
しかし、法令違反となった場合、通常の運送契約の条
件ですでに荷送人から回収可能であることになっては
いますが、再詰み込み費用、書類の修正に伴う管理費、
コンテナ超過保管料を含む追加費用や料金が不可避
的に発生することについて、荷送人に注意喚起した方
が賢明でしょう。法令違反となったコンテナは船積み
予定された本船に積載されない可能性もあり、荷主側
関係者にとって営業上または契約上の追加リスクが生
ずることとなります。
主要な対応策
1.実施に当たりすべての要件の明文化を確実にす
るよう、主要な船積み港を持つ国で当局およ
び/またはポートステートコントロール(PSC)
に働きかける
2.コンプライアンス確保のために、自社内だけでな
く共同運航する船社やターミナル・オペレーター
においても、適切なシステムや手続きを準備する
3.国または船積み港の別を問わず、提出する情報
及び期限に関する自社の要求を荷送人に伝える
ための連絡体制を作る
詳細については下記のメールアドレスにてPeregrine
Storrs Fox リスクマネージメント部門にお問い合わ
せ下さい:
Email: [email protected]
もしくはUK P&Iクラブのロス・プリベンション部門ま
でお問い合わせ下さい:
[email protected]
Thomas Miller P&I Ltd – London
Tel: +44 20 7283 4646 Fax: +44 20 7283 5614
London
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New Jersey
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