地区医師会長連絡協議会報告 平成27年6月19日(金) 今期最後の会長連絡協議会が開催された。野中博会長の開会挨拶の中で「人の命」に関わること は医師として声を大にして発言すべきで、ジェネリック医薬品の質の点で正しい報道を期待する。こ の問題は日医の会長会でも取り上げ議論している。 〇新任の地区医師会会長の四名が紹介と自己紹介があった。荒川区・土屋譲会長、北多摩・今井 均会長、立川・香取公明会長、女子医科大学・檜垣祐子会長。 〇退任の地区医師会会長の紹介と挨拶あった。文京区・熊谷みどり先生、葛飾区・石川辰雄先生、 世田谷区・古畑正先生、玉川・武田忠浩先生、品川区・小路良先生、大森・金子則彦先生、三鷹 市・若林研司先生。 〇都医の今期退任役員、野中博会長、野津原崇理事、山口いづみ理事、内藤誠二理事から挨拶が あった。 ◎都医からの伝達事項 (1)中東呼吸器症候群(MERS)に関する対応について 国の通知に伴う東京都の対応が示された。 報告要件については、表 1 のとおりであり、該当する症例があった場合は、医療機 関を管轄する保健所へ連絡する。韓国から入国された方が該当するのは報告要件の(3) となる。 また、留意点(表 2)として、①MERS は、持続的なヒト‐ヒト感染はないと言わ れており、他疾患との鑑別を可能な限り行うこと②家族間や、医療機関における患者間、 患者‐医療従事者間など濃厚接触者間での感染は報告されているため、要件に該当する 患者の診療に当たっては、標準予防策及び飛沫感染予防対策を徹底し、他の患者との動 線を分離するなどの対応が求められていること③韓国の渡航歴があるだけでは報告要 件には満たないこと、などが挙げられている。 なお、MERS の疑い患者が発生した場合の暫定的対応フローは、当面、表 3 のとお りで、疑似症患者が発生した場合は、感染症指定医療機関に搬送となる。 ―次ページに、表1~表 3― 1/7 [表 1] 情報提供いただく症例(報告要件) 次の(1) 、(2)又は(3)のいずれかに該当する患者。ただし、他の感染症によること 又は他の病因が明らかな場合を除く。 (1)以下の要件を全て満たす場合 ア 発症前14日以内に対象地域(*)に渡航又は居住していた者 イ 38度以上の発熱及び咳を伴う急性呼吸器症状を呈する者 ウ 臨床的又は放射線学的に実質性肺病変(例:肺炎又は ARDS)が疑われる者 (2)以下の要件を全て満たす場合 ア 発熱を伴う急性呼吸器症状(軽症の場合を含む。 )を呈する者 イ 発症前14日以内に対象地域(*)において、医療機関を受診又は訪問した者、MERS であることが確定した者との接触歴がある者又はラクダとの濃厚接触歴(例:未殺菌乳 の喫食)がある者 (*)対象地域・・・アラビア半島又はその周辺諸国 患者発生国(輸入症例のみの国は除く)のことを指し、具体的には、アラブ首長国連 邦、イエメン、イラン、オマーン、カタール、クウェート、サウジアラビア、ヨルダン、 レバノン(2015 年 6 月 5 日現在) 。 なお、最新の状況は下記ホームページを参照のこと。 厚生労働省HP 中東呼吸器症候群(MERS)に関するQ&A(問2) http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/mers_qa.html ※上記以外の周辺国にかかる症例については、保健所に相談のこと。 (3)以下の要件を全て満たす場合 ア 発熱又は急性呼吸器症状(軽症の場合を含む。 )を呈する者 イ 発症前14日以内に、対象地域であるか否かを問わず(※1) 、MERS が疑われる患 者(※2)を診察、看護若しくは介護していた者(※3) 、MERS が疑われる患者と同 居(当該患者が入院する病室又は病棟に滞在した場合を含む。 )していた者又は MERS が疑われる患者の気道分泌液若しくは体液等の汚染物質に直接触れた者 ※1「対象地域であるか否かを問わず」とは、当分の間、「対象地域及び韓国」を対象にす る。 ※2「MERSが疑われる患者」とは、対象地域及び韓国においてMERSと診断された者及び MERSが疑われる有症状者とする。 ※3「診察、看護若しくは介護していた者」とは、医療従事者又は介護従事者等であって、 医療機関等において、診察、看護若しくは介護などで日常的に患者と接触する機会が ある者とする。この場合の「接触」とは、対面で会話することが可能な距離(2メー トルを目安とする。 )にいることをいい、単にすれ違うといった軽度の接触のみでは 対象とならない。なお、医療従事者等であっても標準的な感染防護具(サージカルマ スク(エアロゾル発生の可能性が考えられる場合は、N95 マスク) 、手袋、眼の防護 具、ガウン)を適切に着用していた者は、これに含まれない。 2/7 [表 2] 留 意 点 ○MERS は、季節性インフルエンザのように、次々にヒトからヒトに感染すること (持続的なヒト-ヒト感染)はないと言われています。MERS を疑う場合には、 インフルエンザ等、他疾患との鑑別を可能な限り行っていただきますようお願い します。 ○一方、家族間や、医療機関における患者間、患者-医療従事者間など、濃厚接触 者間での感染は報告されており、主に飛沫感染又は接触感染によるものと考えら れるため、上記要件に該当する患者の診療に当たっては、標準予防策及び飛沫感 染予防対策を徹底してください。また、受付、待合室、外来、病棟などにおいて、 他の患者との動線を分離するなどの対応をお願いします。 ○韓国への渡航歴があるだけでは、上記の要件を満たさず、情報提供いただく症例 には該当しません(上記(3)ア及びイを全て満たす必要があります) 。 3/7 [表 3] 4/7 (2)「学校での心臓突然死ゼロを目指して」について (日本循環器学会AED検討委員会からの資料) 学校内に AED が設置されるようになって数年経過したが、不測に生じた生徒の心 停止から救命される事例が増えつつある。その一方で、AED が設置されていたにも 拘わらず、それが適切に使われずに失われた命も少なくない。一般に若者ほど心停 止からの救命率が高いことが知られているが、 校内心停止の 97%が目撃されており、 周囲に人手も多い学校内においても、周到な準備、日ごろからの訓練、緊急時の連 携体制などの整備によってさらに高い救命率が期待できる。 各学校で適切に使えるよう訓練をお願いしたい。 (3)地域医療構想策定に係る「地域ごとの意見聴取の場」について 策定の段階から地域の医療関係者、保険者及び患者・住民の意見を聴く場を設けた。 本年度は、3 回開催予定、第 1 回目は説明会として、東京都医師会と東京都福祉保健 局の合同で都内の全病院を対象に地域ごとに 4 回に分けて同一内容で開催予定。地区 医師会の代表も参加してほしい。入院中心の医療体制から、在宅医療への転換を図るこ とから、病床数は東京都は 2013 年で 108,500 床であるが 2025 年推計では 5,000 床増加 になる。 (4)平成27年度第1回東京JMAT研修会の開催について 昨年度 2 回開催している。昨年度は、地区医師会災害担当理事等を対象に、災害時に おけるトリアージ業務及び検視・検案業務の普及、技能向上をはかることを目的として、指 導者研修会として位置付けて実施。本年度は、近隣の医師会との連携を重視して、災害 医療に携わる地域の多くの方々に参加してもらうよう、医師会ブロック単位でJMAT研修 会を開催することになった。第 1 回は北多摩西部医療圏を優先するが他地域の方々の参 加も可能。日時は 7 月 26 日(日)午前 9 時~午後 4 時 50 分 会場 都医会議室。 (5)医療事故調査制度に係る東京都医師会の支援概略について 医療事故調査制度ワーキンググループの川﨑委員長から、当該制度における東京都 医師会の支援概略について、これまでまとめたものの説明があった。この新医療法は平 成 27 年 10 月に施行される。 【東京都医師会(支援団体)院内調査支援相談窓口(平日 9 時半~17 時半 03-6256-0256、 24 時間 365 日対応 090-1617-5191 又は 090-2758-0513)◎よろず相談◎解剖斡旋◎Ai 紹介◎院内調査支援】 新医療法では、医療機関で医療行為に関連して起きた予期しなかった死亡事故が起 きた場合には、医療事故調査・支援センターに報告したうえで、医療機関で院内調査を実 施して、結果を遺族に報告しなければならないものとされた。その際、医療機関は調査等 について支援団体(都内であれば東京都医師会等)の支援を受けるものとされている。 医療機関または地区医師会からの支援要請等は、東京都医師会(支援団体)院内調査 支援相談窓口に連絡することになる。相談窓口では、当該死亡事故が医療事故調査対象 事案かどうかなどの相談を受けたり、必要であれば遺体の搬送からAiや解剖についての 5/7 相談も受けることになる。 <東京都医師会への相談例について。> ・病院等でおこなった医療につき、死亡事例が発生し、何をしていいか見当がつかな いとき。 ・病院等で行った医療につき、死亡事例が「医療事故調査制度」の対象になるものな のか、「警察届け」の対象になるものか迷うとき。 ・一旦ご遺体を安全な場所に移すことをしたいのだが、その遺体の搬送、保管などに ついて支援を求めたい。 ・死亡事例が「医療事故調査制度」の対象と判断され、院内調査へ進むことになったの で、そのことについて助言や調査支援を求めたいとき。 <関連質問> ・在宅をしている場合は在宅を実施している医療機関。 ・警察がはいってしまった場合 警察の方が優先される。 ◎地区医師会からの報告 (1)中央ブロック (2)城東ブロック (3)城西ブロック (4)城南ブロック (5)城北ブロック (6)多摩ブロック ① 臨床検査事業者より「真空採血管の無償提供行為に対する切り替え」について (多摩市医師会) 医療機関に真空採血管の無償提供の禁止等、規約の遵守を促す資料が衛生検査所 業者内の協議会から業者の各会員に配布された。あたかも正当な理由で配布の禁止を 促し、医療機関と交渉のための資料である。医師会会員に注意が促された。 ②医師法第 19 条第 1 項(応召義務)に係る医事紛争の判決について (多摩市医師会) 一月の会長連絡協議会で紹介した事例の事後報告。患者側が控訴し、控訴審で控 訴棄却となった事例である。患者側は上告を断念した。内容は、精神科を受診した 患者が担当医に対し、仔細な言動へのクレームを繰り返し、貴方はきちんと勉強し ているのかなどと不満を述べ続けた。 担当医は貴方とは信頼関係を構築することが困難なのでこれ以上の診察はできな いと伝えたところ、患者は応召義務違反等を理由に 150 万円の損害賠償請求訴訟を 提起したものである。 小林理事から追加発言があり、医師と患者との信頼関係が破綻しているような場 合、診療を断っても応召義務違反にならないケースもある。クレーマーに対して診 療拒否できる場合もある。ただし、こういう理由であるからこれ以上診療ができな 6/7 いと患者に説明したと、詳細にカルテに記載しておくことは必須である。この裁判 の結果は、これからの診療実務にとって大きな意味を持つものと思われる。地区医 師会の先生方がこのような事態に遭った場合、一人で悩むのではなく都医に是非相 談して欲しいと述べた。 (7)大学ブロック ◎出席者による意見交換 ◎その他 1.第135回日本医師会定例代議員会における代表質問・個人質問について ・代表質問/尾崎治夫代議員 「法医・病理に携わる医師の育成および待遇改善について」 ・個人質問/角田徹代議員 「新興・再興感染症等に関する日本医師会の対応を問う」 <行事予定> (1) 第284回東京都医師会(定時)代議員会(平成26年度決算・役員等改選) 日 時:平成27年6月21日(日)午前10時(予定) 場 所:ベルサール飯田橋駅前 (2) 第135回日本医師会定例代議員会 日 時:平成27年6月28日(日)午前9時30分 場 所:日本医師会 (3) 7月の地区医師会長連絡協議会 日 時:平成27年7月17日(金)午後2時 場 所:東京都医師会(住友商事竹橋ビル13階) (4) 8月の地区医師会長連絡協議会 休 会 (5) 9月の地区医師会長連絡協議会 日 時:平成27年9月18日(金)午後2時 場 所:東京都医師会(住友商事竹橋ビル13階) (6) 10月の地区医師会長連絡協議会 日 時:平成27年10月16日(金)午後2時 場 所:東京都医師会(住友商事竹橋ビル13階) 7/7
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