紀北町における児童生徒の減少による学校配置構想(PDFファイル:約

紀北町における児童生徒の減少による
学校配置構想
平成27年3月
紀北町教育委員会
目
はじめに
1
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
P2
小中学校における児童生徒数の推移と指定校変更 及び
区域外就学状況
2
次
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
P3
公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関す る
国の動向と紀北町における学校教育の現状と課題
3
適正規模・適正配置の基本的な考え方
4
具体的な進め方
‥‥‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
(1)保 護 者 ・ 地 域 住 民 と 協 議 に 入 る 学 校 の 基 準 ・ 要 件
(2)喫 緊 の 課 題 へ の 対 応
…
P7
……………………………………
P7
P4・ P5
P6
P6・ P7・ P8
(3)今 後 、 学 校 の あ り 方 に つ い て
保護者等と協議を進める学校
(4)中 長 期 的 な 見 通 し
…………
P7
………………………………………
P8
【参考】
「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引」
( 平 成 27年 1 月 文 部 科 学 省 ) よ り 抜 粋
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
学校規模の適正化に関する基本的な考え方
【教育的な観点】
………………………………………………
【地域コミュニティの核としての性格への配慮】
-1-
…………
P9
P10
P9・ P10
はじめに
全 国 的 に 少 子 化 が 進 む 中 、紀 北 町 に お い て も 児 童 生 徒 数 の 減 少 に 伴 い 、小 中 学
校 の 小 規 模 化 が 進 行 し て お り 、児 童 生 徒 の 社 会 性 を 育 む 上 で の 教 育 環 境 や 学 校 運
営など様々な面においての影響が心配されます。
そ こ で 紀 北 町 教 育 委 員 会 で は 、よ り 良 い 教 育 環 境 を 作 る た め 、平 成 26年 2 月 に
学 識 経 験 者 や 保 護 者 、地 域 の 代 表 、学 校 関 係 者 な ど か ら な る「 紀 北 町 立 学 校 適 正
規 模・適 正 配 置 検 討 委 員 会 」を 組 織 し 、「 紀 北 町 立 学 校 の 適 正 規 模 及 び 適 正 配 置
に 関 す る こ と 」及 び「 そ の 他 学 校 環 境 の 整 備 に 関 し 必 要 な こ と 」に つ い て 諮 問 し
ました。
同 検 討 委 員 会 よ り 、平 成 26年 8 月 ま で に 7 回 の 会 議 を 開 催 し 、紀 北 町 の 小 中 学
校 の 児 童 生 徒 が 確 か な 学 力 を 身 に つ け 、集 団 の 中 で 豊 か な 人 間 関 係 を 育 む こ と が
できるような理想的な教育環境の中で育つべきであることを主眼において検討
を 重 ね 、 平 成 26年 8 月 に 「 紀 北 町 立 学 校 の 適 正 規 模 ・ 適 正 配 置 に 関 す る 答 申 書 」
(以下「答申」という)が出されました。
「 答 申 」で は 、全 町 的 な 学 校 の あ り 方 に つ い て 述 べ ら れ て い る と と も に 、特 に
児童生徒の減少が著しい赤羽中学校区における対策協議が喫緊の課題と してあ
げられていました。
ま た 全 国 的 に 、少 子 化 の 進 展 が 予 想 さ れ る 中 、平 成 27年 1 月 に 文 部 科 学 省 か ら
「 公 立 小 学 校・中 学 校 の 適 正 規 模・適 正 配 置 等 に 関 す る 手 引 」が 公 表 さ れ ま し た 。
当 教 育 委 員 会 で は 、こ の「 答 申 」や「 公 立 小 学 校・中 学 校 の 適 正 規 模・適 正 配
置 等 に 関 す る 手 引 」を 基 盤 に し て 部 内 で 協 議 し 、こ の 度「 紀 北 町 に お け る 児 童 生
徒の減少による学校配置構想」を策定しました。
-2-
1
小中学校における児童生徒数の推移と指定校変更及び区域外
就学状況
紀 北 町 の 児 童 生 徒 数 は 、 合 併 翌 年 の 平 成 18年 は 小 学 校 1,022人 、 中 学 校 502
人 で あ っ た が 、少 子 化 の 進 行 に よ り 平 成 27年 2月 28日 現 在 、小 学 校 678人 、中 学
校 432人 ま で 減 少 し て い ま す 。
こ の 傾 向 は 今 後 も 続 く と 予 想 さ れ て お り 、少 子 化 の 影 響 に よ る 学 校 の 小 規 模
化が進むことにより、学校教育に及ぼす様々な影響が心配されます 。
ま た 、 平 成 17年 の 「 学 校 選 択 制 等 就 学 校 指 定 に 係 る 制 度 の 弾 力 化 に つ い て 」
( 文 部 科 学 省 )に 伴 い 、紀 北 町 に お い て も 、家 庭 の 事 情 や 教 育 的 配 慮 等 の 理 由
に よ り 指 定 校 変 更 及 び 区 域 外 就 学 を 行 っ て い る 児 童 生 徒 が 平 成 25年 度 81名 、平
成 26年 度 78名 ( 両 年 度 約 7 % ) あ り ま し た 。
紀北町立小中学校 児童生徒数の推移
(平成27年2月28日現在)
*児童生徒数は住民基本台帳による(H31年度以降予測値)
年度
H18
H26
H27
H28
H29
H30
H31
H32
H33
学校名
三浦小
39
27
23
20
21
16
16
14
13
海野小
37
17
18
18
20
17
16
16
13
西 小
192
148
143
129
118
110
97
100
94
東 小
207
151
142
146
140
138
128
121
111
志子小
36
14
11
10
13
17
17
17
20
赤羽小
18
12
11
12
12
8
10
9
7
相賀小
265
208
195
180
171
153
135
120
109
引本小
58
40
34
29
28
22
21
18
21
矢口小
57
24
21
19
15
16
16
17
14
船津小
53
35
28
30
34
31
34
37
43
上里小
60
57
52
46
52
48
42
39
35
紀北町(小)合計
1022
733
678
639
624
576
532
508
480
紀北中
249
224
201
191
183
166
166
159
160
赤羽中
20
21
22
11
12
13
15
14
9
潮南中
177
163
156
158
138
134
136
134
116
三船中
56
48
53
53
49
43
43
43
37
紀北町(中)合計
502
456
432
413
382
356
360
350
322
-3-
2
公 立 小 学 校・中 学 校 の 適 正 規 模・適 正 配 置 等 に 関 す る 国 の 動 向 と
紀北町における学校教育の現状と課題
平 成 27 年 1 月 、 文 部 科 学 省 か ら 「 公 立 小 学 校 ・ 中 学 校 の 適 正 規 模 ・ 適 正 配
置等に関する手引」が公表されました。
こ の 手 引 で は 、望 ま し い 規 模 を 小 学 校 は 全 学 年 で ク ラ ス 替 え で き る「 1 学 年
2 学 級 以 上 」、 中 学 校 は 教 科 担 任 が 学 習 指 導 で き る 「 9 学 級 以 上 」 と し て い ま
す。
国 が 定 め る 標 準 は「 特 別 の 事 情 が あ る と き は こ の 限 り で な い 」と さ れ て い る
弾 力 的 な も の で あ り 、各 設 置 者 に お い て 、そ れ ぞ れ の 地 域 の 実 情 に 応 じ た 最 適
な学校教育の在り方や学校規模を主体的に検討することが求められています。
現 在 、紀 北 町 で は 小 学 校 8 校 に お い て 複 式 学 級 編 成 が 行 わ れ て お り 、そ の 特
色を活かして教育効果をあげ保護者からの信頼も得ています。
学 校 は 文 化 の 情 報 発 信 地 で あ り 、地 域 住 民 の 心 の 拠 り 所 で あ り 、地 域 の シ ン
ボ ル 的 存 在 で あ る と い う 認 識 の も と 、地 域 社 会 に 児 童 生 徒 が 存 在 す る 限 り 学 校
が 必 要 で あ る と い う 観 点 か ら 、極 小 規 模 校 に な り つ つ も 学 校 が 存 続 さ れ て き ま
した。
小 規 模 校・複 式 学 級 な ら で は の 問 題 が あ る の は 事 実 で す が 、各 学 校 に お い て
は 、ゲ ス ト テ ィ ー チ ャ ー を 招 い て の 地 域 学 習 、他 校 と の 交 流 学 習 等 、学 校 の 創
意工夫により特色のある教育活動が積極的に行われてい ます。
小規模校・複式学級については、人数が少ないことから、教師にとっては、
児 童 個 々 の 学 習 状 況 が 把 握 し や す く 、個 の 学 習 実 態 に 応 じ た き め の 細 か い 指 導
が 可 能 で あ る こ と や 、学 校 行 事 等 に お い て 一 人 ひ と り の 個 別 の 活 動 機 会 を 設 定
しやすい等のメリットも多くあります。
し か し 、切 磋 琢 磨 の 機 会 や 場 面 が 非 常 に 少 な い こ と や 、少 人 数 で あ る と こ ろ
か ら 来 る 人 間 関 係 の 固 定 化 や 硬 直 化 に よ り 、本 来 身 に 付 け な け れ ば な ら な い 社
会性の発達を十分保障することが難しくなってきています。
近 年 の 児 童 生 徒 数 の 減 少 は 著 し い も の が あ り ま す 。特 に 赤 羽 中 学 校 区 に お い
-4-
て そ の 傾 向 が 顕 著 な も の と な っ て い ま す 。赤 羽 小 学 校 で は 平 成 26年 度 1 年 生 と
5 年 生 が 欠 学 年 と な り 、と び 複 式 を 含 む 2 ク ラ ス 編 成 と な り ま し た 。そ の 結 果
職 員 定 数 が 学 校 長 を 含 め て 3 名 と な り 、厳 し い 状 態 で の 学 校 運 営 を 強 い ら れ て
います。
ま た 、志 子 小 学 校・赤 羽 中 学 校 で も H 28年 度 に は 、転 校 や 指 定 校 変 更 を す る
生 徒 が あ っ た 場 合 に 10名 を 下 回 る 可 能 性 が あ る こ と か ら 、「 答 申 」に お い て 喫
緊 の 課 題 と さ れ 平 成 26年 2 月 か ら 保 護 者 ・ 地 域 と 協 議 を 重 ね て き ま し た 。
平 成 17年 の「 学 校 選 択 制 等 就 学 校 指 定 に 係 る 制 度 の 弾 力 化 に つ い て 」( 文 部
科 学 省 )に 伴 い 、平 成 25年 、平 成 26年 で は 約 7 % の 児 童 生 徒 が 、家 庭 の 事 情 や
教 育 的 配 慮 等 の 理 由 に よ り 指 定 校 変 更 及 び 区 域 外 就 学 を 行 っ て い ま す 。こ の こ
と に よ り 、指 定 さ れ た 学 校 へ 入 学 す る 児 童 生 徒 数 の 予 測 が 困 難 に な っ て き て い
ます。
施 設 設 備 の 面 で は 、耐 震 化 は 完 了 し て い る が 校 舎 の 老 朽 化 が 進 む 中 、改 修 や
設 備 の 取 り 替 え 等 が 必 要 と さ れ て い る 学 校 も あ り 、環 境 整 備 が 追 い つ い て い な
い面もあります。
さ ら に 、南 海 ト ラ フ 地 震 が 近 い 将 来 発 生 す る 可 能 性 が 極 め て 高 い 中 、今 後 適
正規模・適正配置を進めていく上においても、その対応が求められています。
-5-
3 適正規模・適正配置の基本的な考え方
学 校 の 適 正 規 模・適 正 配 置 化 を 進 め る に あ た っ て は 、児 童 生 徒 に お け る 学 習
権 の 保 障 を 第 一 に 考 え つ つ 、学 校 の 歴 史 と 伝 統 、地 域 社 会 の 交 流 の 拠 点 と し て
果たしてきた役割を十分に認識し、次の3点を基本的な考えと します。
( 1 )児 童 生 徒 が 全 学 年 合 わ せ て 30人 を 下 回 る こ と が 予 想 さ れ る 事 態 に な れ
ば 学 校 と し て の 機 能 を 維 持 し て い く こ と は 非 常 に 困 難 な 面 が あ り 、今 後
の学校のあり方について保護者・地域住民と早急に協議 を行う。
( 2 )通 常 の 複 式 編 成 が 困 難 な 状 況 が 生 じ る 場 合 は 、保 護 者 や 地 域 住 民 と 今
後の学校のあり方についての協議を行う。
( 3 )児 童 生 徒 数 に 関 わ ら ず 、父 母 の 教 育 要 求 と し て 統 廃 合 の 意 見 が 地 域 の
保護者や団体より出された場合、今後の学校のあり方について保護者・
地域住民と早急に協議を行う。
4 具体的な進め方
「 公 立 小 学 校・中 学 校 の 適 正 規 模・適 正 配 置 等 に 関 す る 手 引 」で は 、複 式 学
級 の 解 消 を 勧 め て い る も の の「 地 域 と と も に あ る 学 校 づ く り 」の 視 点 を 踏 ま え
た丁寧な議論の必要性が述べられています。
ま た 、先 の「 答 申 」に も 、「 適 正 配 置 を 進 め て い く 上 に お い て は 、拙 速 を 避
け 、保 護 者 や 地 域 住 民 と 十 分 話 し 合 っ て 進 め る 必 要 が あ る 」と 述 べ ら れ て い ま
す。
ま ず は 、保 護 者 や 地 域 住 民 に 適 正 規 模・適 正 配 置 の 必 要 性 や 、そ の 学 校 の 将
来 的 な 展 望 を し っ か り と 説 明 し 、保 護 者 や 地 域 住 民 と 協 議 を 重 ね 、そ の 結 果 統
廃 合 と い う 結 論 に 至 っ た 時 点 で 、そ の 時 期 や 方 法 、具 体 的 な 条 件 等 に つ い て 協
議に入る必要があります。
ま た 、南 海 ト ラ フ 地 震 が 近 い 将 来 発 生 す る 可 能 性 が 極 め て 高 い 中 、児 童 生 徒
の 安 全 確 保 を 重 要 な 要 素 と し て 考 え 、学 校 規 模 や 利 便 性 も 考 慮 し 総 合 的 な 視 点
で、今後の学校配置を進めていく必要があります。
-6-
(1 )保 護 者 ・ 地 域 住 民 と 協 議 に 入 る 学 校 の 基 準 ・ 要 件
以 下 に 掲 げ る 基 準・要 件 の い ず れ か 一 つ に 該 当 し た と き 、今 後 の 学 校 の あ
り方について保護者・地域住民と早急に協議を行 います。
① 児 童 生 徒 が 全 学 年 合 わ せ て 30 人 を 下 回 る こ と が 予 想 さ れ る 場 合 。
②小学校、中学校ともに欠学年が生じることが予想される場合。
③同一学年の在籍児童生徒数が1名となることが予想される場合。
④学校施設の老朽化等により早急に児童生徒の安全を確保する必要が生じ
た場合。
⑤ 児 童 生 徒 数 に 関 わ ら ず 、父 母 の 教 育 要 求 と し て 統 廃 合 の 意 見 が 地 域 の 保 護
者や団体より出された場合。
(2 )喫 緊 の 課 題 へ の 対 応
「 答 申 」に お い て 喫 緊 の 課 題 と さ れ て い た 赤 羽 中 学 校 区 に お い て は 保 護 者
や地域住民との対策協議を重ねた結果、次のような措置を行います。
① 平 成 28年 度 当 初 に 志 子 小 学 校 を 赤 羽 小 学 校 に 統 合 す る 。
② 現 状 と し て は 赤 羽 中 学 校 を 存 続 し て い く 。た だ し 、平 成 28年 度 に 生 徒 数 が
大 幅 に 減 少 す る こ と か ら 、平 成 27年 度 以 降 も 保 護 者 と の 協 議 を 進 め て い く 。
(3 )今 後 、 学 校 の あ り 方 に つ い て 保 護 者 等 と 協 議 を 始 め る 学 校
○ 海 野 小 学 校 ・ ・ ・ 平 成 27年 度 当 初 の 児 童 数 見 込 み が 18名 で あ る 。
○ 三 浦 小 学 校 ・ ・ ・ 平 成 27年 度 当 初 の 児 童 数 見 込 み が 23名 で あ る 。
○ 矢 口 小 学 校 ・ ・ ・ 平 成 27年 度 当 初 の 児 童 数 見 込 み が 21名 で あ る 。
○ 船 津 小 学 校 ・ ・ ・ 平 成 27年 度 第 1 学 年 の 児 童 数 見 込 み が 1 名 で あ る 。
○ 引 本 小 学 校 ・ ・ ・ 平 成 27年 度 第 1 学 年 の 児 童 数 見 込 み が 1 名 で あ る 。
-7-
(4 )中 長 期 的 な 見 通 し
「検討すべき学校とする基準・要件」のいずれかに該当することが明らか
に な っ た 段 階 で 保 護 者・地 域 住 民 と の 協 議 に 入 り 、学 校 の あ り 方 に つ い て 検
討していきます。
ま た 、学 校 施 設 の 老 朽 化 等 に よ り 今 後 、校 舎 等 の 設 置 や 整 備 が 必 要 と な る
学校もあります。
平 成 27 年 度 か ら 始 ま る 総 合 教 育 会 議 に お い て 、 学 習 権 の 保 障 を 第 一 に 考
え 、学 校 規 模 や 利 便 性 も 考 慮 し つ つ 、児 童 生 徒 の 安 全 確 保 を 重 要 な 要 素 と し
校舎の新築も視野に入れて総合的な視点で検討を行います。
今 後 、保 護 者 や 地 域 住 民 の 意 向 や 児 童 生 徒 数 の 変 化 等 を 見 極 め た 上 で 、5
年 後 の 平 成 31 年 度 末 を 目 途 に 、 配 置 構 想 の 見 直 し を 進 め て い き ま す 。
総 合 教 育 会 議 と は ・ ・ ・ 平 成 27 年 度 に 設 置 さ れ る 、 首 長 と 教 育 委 員 会 で
構成し教育政策について検討を行う会議をいう
-8-
【参考】
「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引」
( 平 成 27 年 1 月 文 部 科 学 省 ) よ り 抜 粋
学校規模の適正化に関する基本的な考え方
【教育的な観点】
○
学 校 規 模 の 適 正 化 を 図 る 上 で は 、第 一 に 学 校 の 果 た す 役 割 を 再 確 認 す る 必 要
が あ り ま す 。義 務 教 育 段 階 の 学 校 は 、児 童 生 徒 の 能 力 を 伸 ば し つ つ 、社 会 的
自 立 の 基 礎 、国 家・社 会 の 形 成 者 と し て の 基 本 的 資 質 を 養 う こ と を 目 的 と し
て い ま す 。こ の た め 、学 校 で は 、単 に 教 科 等 の 知 識 や 技 能 を 習 得 さ せ る だ け
で は な く 、児 童 生 徒 が 集 団 の 中 で 、多 様 な 考 え に 触 れ 、認 め 合 い 、協 力 し 合
い 、切 磋 琢 磨 す る こ と を 通 じ て 思 考 力 や 表 現 力 、判 断 力 、問 題 解 決 能 力 な ど
を 育 み 、社 会 性 や 規 範 意 識 を 身 に つ け さ せ る こ と が 重 要 に な り ま す 。そ う し
た 教 育 を 十 全 に 行 う た め に は 、一 定 の 規 模 の 児 童 生 徒 集 団 が 確 保 さ れ て い る
こ と や 、経 験 年 数 、専 門 性 、男 女 比 等 に つ い て バ ラ ン ス の と れ た 教 職 員 集 団
が配置されていることが望ましいものと考えられます。このようなことか
ら、一定の学校規模を確保することが重要となります。
○
学 校 規 模 の 適 正 化 の 検 討 は 、様 々 な 要 素 が 絡 む 困 難 な 課 題 で す が 、あ く ま で
も 児 童 生 徒 の 教 育 条 件 の 改 善 の 観 点 を 中 心 に 据 え 、学 校 教 育 の 目 的 や 目 標 を
よ り よ く 実 現 す る た め に 行 う べ き も の で す 。各 市 町 村 に お い て は 、こ れ か ら
の時代に求められる教育内容や指導方法の改善の方向性も十分勘案しつつ、
現 在 の 学 級 数 や 児 童 生 徒 数 の 下 で 、具 体 的 に ど の よ う な 教 育 上 の 課 題 が あ る
か に つ い て 総 合 的 な 観 点 か ら 分 析 を 行 い 、保 護 者 や 地 域 住 民 と 共 通 理 解 を 図
りながら、学校統合の適否について考える必要があります。
-9-
【地域コミュニティの核としての性格への配慮】
○
同時に、小・中学校は児童生徒の教育のための施設であるだけでなく、各
地 域 の コ ミ ュ ニ テ ィ の 核 と し て の 性 格 を 有 す る こ と が 多 く 、防 災 、保 育 、地
域 の 交 流 の 場 等 、様 々 な 機 能 を 併 せ 持 っ て い ま す 。ま た 、学 校 教 育 は 地 域 の
未 来 の 担 い 手 で あ る 子 供 た ち を 育 む 営 み で も あ り 、ま ち づ く り の 在 り 方 と 密
接不可分であるという性格も持っています。
○
こ の た め 、学 校 規 模 の 適 正 化 や 適 正 配 置 の 具 体 的 な 検 討 に つ い て は 、行 政 が
一 方 的 に 進 め る 性 格 の も の で は な く 、上 記 の よ う な 学 校 が 持 つ 多 様 な 機 能 に
も 留 意 し 、保 護 者 や 地 域 住 民 の 十 分 な 理 解 と 協 力 を 得 る な ど「 地 域 と と も に
あ る 学 校 づ く り 」の 視 点 を 踏 ま え た 丁 寧 な 議 論 を 行 う 必 要 が あ る こ と は 言 う
までもありません。
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