NPS ® 超 入 門 Net P r omot e r S core NPS®はエンゲージメント指標として有効 ネットプロモータースコア(以下、NPS®)は、 自社、あるいは自社製品・サービスに対する顧 客の総合的な評価を表す指標です。 「エンゲージメント」 の強さを端的に表すため、 「エンゲージメント指標」 と呼べるでしょう。 エンゲージメントとは、 わかりやすく言えば、 顧 客が製品、企業を積極的に応援してくれること です。 (具体的には再購入等につながるもの) NPS®は顧客の友人・知人に対する「推奨意向」についての回答結果から算出します。 あなたは、XXXという製品・サービスを 友人・知人に薦める可能性がどのくらいありますか *0点(勧めない) ∼ 10点 (勧める) の11段階で回答 総合的な評価を表す指標には、 NPS®以外に以下のようなものがあります。 総合満足度 総合的にみて、XXという製品・サービスに どの程度満足されていますか? *5点(満足している) ∼1 (満足していない)の5段階で回答 再購入意向 次回も、XXXという製品・サービスを 再購入したいと思いますか? *5点(そう思う) ∼1 (そう思わない) の5段階で回答 1 なぜNPS®は 使える 指標なのか? NPS®は、企業の業績との「相関性」が高いこ とがこれまでの実証研究から明らかになって います。 一方、既存の顧客満足度調査で聞かれてきた 「総合満足度」や「再購入意向」は、必ずしも実 際の再購入や購買金額の増加といった行動に つながらないことも明らかになっています。 このため、NPS®が「使える指標」として脚光 を浴びているのです。 NPS®が高い企業(製品)ほど業界において 高 UP 高い業績 を上げており、逆にNPS®が低い 企 業(製 品)は 低 業 績 に あ え い で います。 NPS®が業績との相関性が高い理由は、友 人・知人になんらかの商品を推奨する場合、 NPS® 本人に一定の責任が発生するからです。 もし推奨した製品をもし友人・知人が気に 低 DOWN 入らなかったら、本人の面目が立ちませ ん。したがって、そう簡単に推奨すること はできないわけです。 ですから、他者に推奨するかどうかは、製品をどれだけ本人が気に入っているかを的確に表 す指標となるのです。 2 NPS®はシンプルな計算で算出可能 NPS®は、顧客の友人・知人に対する「推奨意向」 についての回答結果から算出します。 すなわち、以下のような設問を顧客に投げかけます。 あなたは、XXXという製品・サービスを友人・知人に 薦める可能性がどのくらいありますか *0点(勧めない) ∼ 10点 (勧める) の11段階で回答 次に、回答者を次の3つのグループに分けます。 ★推奨者(Promoters:プロモーター) ★中立者(Passives :パッシブズ) 9点、 10点の回答者 7点、8点の回答者 ★批判者(Detractors:デトラクター ) 0点∼6点の回答者 批判者 0 1 2 3 4 5 6 中立者 推奨者 7 9 8 10 全体に占める推奨者の構成比から、批判者の構成比をマイナスしたものが 、すなわち「ネットプロモータースコア」です。 「NPS®」 推奨者の構成比(%)− 批判者の構成比(%) = NPS® 3 NPS®の算出例 NPS®は、次の簡単な計算で算出可能でした。 推奨者の構成比(%)− 批判者の構成比(%) = NPS® 以下の算出例では、製品AのNPS®が[20]と最も高く、一方、製品Cは[-25]と最も低くなっ ています。業績との相関を見ると、おそらく製品Aの業績が高いのに対して、製品Cは業績 が悪化していることでしょう。 製品BのNPS®は[0]ですね。推奨者と批判者の構成比が45%と同じのため、せっかくたく さんの推奨者を得ているにもかかわらず、彼らの効果が批判者の存在によって相殺される 形になっています。 高 業績 製品A 推奨者 40% 批判者 20% NPS®=20 製品B 推奨者 45% 批判者 45% NPS®=0 製品C 推奨者 20% 批判者 40% NPS®=-25 低 このように、NPS®は簡単な計算で製品ごと、あるいは事業・会社ごとの比較評価を行うこ とができます。 NPS®は大変シンプルでわかりやすいため、すべて の社員・スタッフが意識すべき数値、言 い換えると「共通言語」として用いて、現場での具体的な改善行動に結びつける ことができ ます。 4 「推奨者増加」と「批判者減少」 NPS®に基づく改善行動の主な目的は次の2つです。 →推奨者(Promoter)の増加 →批判者(Detractor)の減少 UP 推奨者 批判者 NPS® DOWN 推奨者を増加させること、それは、わかりやすく言えば自社ファンを増やすことにほかなり ません。 推奨者を増やすことで以下のような 「エンゲージメント行動」 が期待できます。 ●繰り返し自社製品・サービスを購入してくれる ●競合製品よりも高くても購入してくれる ●友人・知人に積極的に推奨してくれる ●既存製品改良、新製品開発のヒントとなるアイディアや意見などを積極的に伝 えてくれる(ポジティブ・フィードバック) 一方、 批判者を減少させることで、 以下のような効果が得られます。 ●友人・知人らに対するネガティブな口コミが減少する ●店頭スタッフやコールセンターのオペレーターなどに対する悪質なクレームが 減り、従業員のモチベーション維持が図れる 5 WOW Creation & Problem Solution 「推奨者増加」のためには、期待を超える驚きのサービスや仕掛け (思わずWOW !と言ってしまうようなこと)が有効です。すなわち、 「感動体験の創造」=WOW Creation に努めなければなりません。 一方、批判者減少のためには、 不満体験を生み出す「不満要因」の解決が必要です。 すなわち、 「問題の解決」= Problem Solution に注力することが求められます。 WOW Creation 推奨者 増加 WOWなサービス提供 感動体験 Problem Solution 批判者 減少 不満要因の解決 不満体験 「感動体験の創造」 、そして不満要因となっている「問題の解決」を通じて、企業はNPS®を向 上することができ、その結果として安定的な業績拡大・維持が可能となります。 6 輪を閉じよう (Close the Loop) NPS®は評価指標にすぎません。 NPS®が「なぜ高いのか」、あるいは 「なぜ低いのか」を明らかにする分析、すなわち 「根本原因分析」 (Root Cause Analysis) を行い、課題を抽出して、企業の改善行動につながる具体的な施策の立案と実行を確実に行 うことが重要です。 「NPS®」 による顧客の総合評価 根本原因分析 課題抽出 Close the Loop 課題達成のための施策立案と実行 改善行動検証のための調査 そして施策展開後に、再びNPS®を核とする調査を行い、改善行動が成果につながっている か、すなわちNPS®がどの程度向上しているかを検証します。 この一連の繰り返しを 「Close the Loop」 (輪を閉じる) と呼びます。 NPS®は、輪を閉じてこそ意義があるのです。 7 ケーススタディ American Express アメリカン・エキスプレス・インターナショナルでは、 「顧客感動体験」の創出により持続的 な業績向上を達成しています。 同社社長のロバート・サイデル氏は次のように述べています。 “お客様と特別なつながりを築くこと、 すなわち 「顧客エンゲージメント」 の強化が経営上の重要課題です。” 顧客エンゲージメント強化による経営的成果 ★顧客の解約率が4分の1 ★一人当たりの平均利用金額が10%増加 顧客 顧客 エンゲージメント強化 アメリカン・エキスプレス 顧客感動体験 「NPS®」 による 顧客の総合評価 根本原因分析 課題抽出 Close the Loop スピーチコンテスト 顧客サポート部門 課題達成のための 施策立案と実行 改善行動検証のための調査 会員向け 建仁寺 紅葉ツアー マーケティング部門 8 発行日: 2013 年 6 月 30 日 初版 2015 年 5 月 15 日 第 2 版 発行者: ( 株 ) トータル・エンゲージメント・グループ Web サイト http://total-engagement.jp エンゲージメント・フォーラム Web サイト http://www.engagement-forum.com Net Promoter(R)および、 NPS(R)は、 べイン・アンド・カンパニー、 フレッド・ライクヘルド、 サトメトリックス・システムズの登録商標です
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