JIS R 3106/ISO 9050 に準拠した遮熱ガラスの評価

UV application data
新しい紫外可視分析情報
Date 2015/02/20
190-UV-0032
JIS R 3106/ISO 9050 に準拠した遮熱ガラスの評価
近年、地球温暖化防止や省エネルギーの観点から建築用エコ素材として遮熱ガラスが注
目を集めています。JIS R 3106 や ISO 9050 では板ガラス類の可視光に対する透過率・反
射率、日射に対する透過率・反射率・吸収率や日射熱取得率などを求める試験方法が規定
されており、遮熱ガラスの評価に使用されています。
ここでは、[日射透過率・反射率測定] プログラムを用いて、紫外可視近赤外分光光度計
で遮熱ガラスの透過率と反射率スペクトルを測定し、可視光透過率・反射率や日射透過
率・反射率などを計算し、さらに FTIR で測定した反射率スペクトルから日遮熱取得率や
熱貫流率を計算し、 JIS R 3106 および ISO 9050 で規定されている遮熱ガラスの日射に対
する性能を総合的に評価した例をご紹介します。
<Keyword> JIS R 3106、ISO 9050、遮熱ガラス、日射透過率・反射率・吸収率、可視光
透過率・反射率
測定システム
V-770
ISN-923
FT/IR-4600
RF-81S
VWST-964
紫外可視近赤外分光光度計
積分球ユニット
フーリエ変換赤外分光光度計
正反射測定装置
[日射透過率・反射率測定] プログ
ラム
図 1. [日射透過率・反射率測定] プログラム
用語の意味
可視光透過率、可視光反射率
意味:太陽光の下で窓ガラスを見たと
きの明るさを表す指標です。
規格:JIS R 3106:1998
ISO 9050:2003
図 2. 可視光透過率・反射率のイメージ図
日射透過率、日射反射率、日射吸収率
意味:窓ガラスを太陽光が透過、反射、
吸収する光の量を表す指標です。
規格:JIS R 3106:1998
ISO 9050:2003
図 3.日射透過率・反射率・吸収率のイメージ図
本社・工場 192-8537 東京都八王子市石川町 2967-5 TEL 042(646)4111 代表 FAX 042(646)4120
東京 03(3294)0341/北海道 011(741)5285/北日本 022(748)1040/西東京 042(646)7001/筑波 029(857)5721/
神奈川 045(989)1711/名古屋 052(452)2671/大阪 06(6312)9173/広島 082(238)4011/九州 092(588)1931
熱貫流率
意味:室内と室外の空気温度差が 1 ℃のとき、
面積 1 m2 あたり 1 時間に通過する熱量を
示しており、熱の伝えやすさを表す指標
です。
規格:JIS R 3106:1998
※) 熱貫流率の計算には FTIR で得られる反射率スペクトルが必
要です。
図 4. 熱貫流率のイメージ図
日射熱取得率
意味:太陽光の熱が窓ガラスを通
して屋内に入る熱量を示
しており、室内への熱の
伝えやすさを表す指標で
す。
規格:JIS R 3106:1998
ISO 9050:2003
※) 日射熱取得率の計算には FTIR で得られ
る反射率スペクトルが必要です。
図 5. 日射熱取得率のイメージ図
紫外線透過率
意味:太陽光の紫外線 (UVA および
UVB) が窓ガラスを透過する光
の量を表す指標です。
規格:ISO 9050:2003
図 6. 紫外線透過率のイメージ図
CIE damage factor
意味:太陽光が窓ガラスを透過
して、物質の色を変色
させる程度を表す指標
です。
規格:ISO 9050:2003
図 7.CIE damage factor のイメージ図
Skin damage factor
意味:太陽光が窓ガラスを透過して、
肌にダメージを与える程度を
表す指標です。
規格:ISO 9050:2003
図 8. Skin damage factor のイメージ図
平均演色評価数
意味:太陽光が窓ガラスを透過して
見える物質の色と、窓ガラ
スを通さずに見える物質の
色との違いを表す指標です。
規格:ISO 9050:2003
図 9.平均演色評価数のイメージ図
試料
Low-E ガラス(Low Emissivity Glass:低放射ガラス)
測定結果
紫外可視近赤外分光光度計の測定結果を図 10 に、FTIR の測定結果を図 11 に示します。
― 透過率スペクトル
― 反射率スペクトル
― 金属コートなし
― 金属コート面
図 10. UV-VIS-NIR 分光光度計のスペクトル
測定条件
紫外可視近赤外分光光度計
UV/Vis バンド幅
5.0 nm
走査速度
400 nm/min
データ取込間隔
0.5 nm
FTIR
分解
4 cm-1
図 11.FTIR の反射率スペクトル
NIR バンド幅
レスポンス
20.0 nm
0.24 sec
積算
:64 回
解析結果
解析結果を表 1、2 に示します。このように [日射透過率・反射率測定] プログラムは、
遮熱ガラスの様々な性能を数値で表示できるため、製品間の比較や品質管理に有効です。
また、JIS R 3106 や ISO 9050 の他に、JIS K 5602 (塗膜)、JIS K 5675 (塗料)、JIS A
5759 (建築窓ガラス)、ISO 13837 (車両の安全グレージング材料)、ASTM E 903(材料全
般)、ASTM E 424 (シート材料) といった様々な規格にも対応しています。
可視光
透過率 [%]
可視光
反射率 [%]
76.5
8.8
可視光
透過率 [%]
可視光
反射率 [%]
76.5
8.8
表 1. JIS R 3106 の解析結果
日射
日射
日射
透過率
反射率
吸収率
[%]
[%]
[%]
43.1
30.9
26.0
日射熱
取得率 [%]
熱貫流率
[%]
53.6
4.1
表 2. ISO 9050 の解析結果
日射
日射
日射
透過率 [%]
反射率 [%]
吸収率 [%]
45.1
29.0
26.0
紫外線透過率 [%]
CIE damage factor [%]
Skin damage factor [%]
24.8
55.8
7.8
日射熱
取得率 [%]
49.4
平均演色評価数
[%]
98.0