平成27年度事業計画 1 全 般 (1)平成27年度の特色(我が国を取り巻く安全保障環境) 世界の安全保障環境は、グローバル化や技術革新の急速な進展が、国家間の相互依存 関係の一層の拡大・深化をもたらし、一国・一地域で生じた混乱や安全保障上の問題が、 直ちに国際社会全体の課題や不安定要因に拡大するリスクが高まっている。 また、背景や態様が複雑で多様な地域紛争が依然として世界各地に存在しており、特 に「アラブの春」の混乱、テロ組織の拡大や拡散を背景に、中東やアフリカ諸国で紛争 が生起するなど、様々な課題や不安定要因がより顕在化・先鋭化する様相を示している。 わが国を取り巻く安全保障環境は、政治体制や経済の発展段階、民族、宗教など多様 性に富み、また、冷戦終結後も各国・地域の対立の構図が残っている。特に、安全保障 観、脅威認識も各国によって様々であることなどから、冷戦終結にともない欧州地域で みられたような安全保障環境の大きな変化はみられず、依然として領土問題や統一問題 といった従来からの問題も残されている。 ア 中 国 (ア)経済発展を裏づけとして、継続的に高水準で国防費を増加させ、軍事力を広範か つ急速に強化しており、自国周辺地域への他国の軍事力の接近・展開を阻止する とともに、軍事活動を阻害する能力強化に取り組んでいる。 (イ)東シナ海や南シナ海をはじめとする海空域などにおいて、活動を急速に拡大・活 発化させており、力を背景とした現状変更の試みなど、高圧的とも言える行動を 示している。 (ウ)わが国周辺海空域においても、中国公船や航空機によるわが国領海への断続的な 侵入や領空の侵犯のほか、海自護衛艦に対する火器管制レーダーの照射や戦闘機 による自衛隊機への異常な接近、独自の主張に基づく「東シナ海防空識別区」の 設定等、不測の事態を招きかねない危険な行為に及んでいる。 (エ)尖閣諸島周辺のみならず、小笠原諸島や伊豆諸島周辺の領海内おける漁船の操業 等、国際法を無視した行動にも及んでいる。 イ ロシア (ア)ルーブルの暴落はあるものの、豊かなロシアの建設を課題としつつ、新たな経済 力・文明力・軍事力を背景に、影響力ある大国になることを重視しており、国力 に応じた軍事態勢の整備を行っている。また核戦力も引き続き重視している。 (イ)近年、兵員の削減と機構面の改革、即応態勢の強化、新型装備の開発・導入を含 1 む軍の近代化の取組などが進められており、軍の活動が活発化している。 (ウ)ウクライナをめぐり、クリミア自治共和国にロシア軍とみられる武装勢力の活動 により介入し、同共和国を自国に「編入」するといった力を背景とした現状変更 を行ったことから、欧米諸国との関係が悪化している。 ウ 北朝鮮 (ア)金正恩(キム・ジョンウン)第 1 書記を指導者とする体制への移行後、13(平成 25)年 12 月には、張成沢(チャン・ソンテク)国防委員会副委員長が処刑され、 その後も唯一指導体制を堅持するために、軍や内閣の高官を中心に人事面で多くの 変化がみられており、国内が安定しているとは言い難い。 (イ)核兵器をはじめとする大量破壊兵器や弾道ミサイルの開発・配備、移転・拡散を 進行させるとともに、大規模な特殊部隊を保持するなど、わが国はもとより、地 域・国際社会の安全保障にとっても重大な不安定要因となっている。 (ウ)一方、国際社会からの各種制裁や国内の深刻な食糧不足、電力不足等大きな問題 を抱えており、これまで支えてきた中国との関係悪化も相まって、常に崩壊の危 機に瀕している。 エ 韓 国 (ア)基本的価値と利益を共有する重要な隣国であることは間違いないが、平成 25 年 2 月に朴大統領就任以降、反日感情が続く一方、中国とは関係を「戦略的協力パー トナーシップ」に格上げするなど、我が国とは一定の距離を置いた外交が続いて いる。 (イ)日韓の間には、我が国固有の領土である竹島の領土問題が依然として存在してい るが、未来に向けて重要なパートナーシップの構築を目指す必要があることに間 違いはなく、今後の動向が注目される。 オ 米 国 (ア)厳しい財政状況を抱えつつ、戦略の重点をよりアジア太平洋地域に置くことや同 地域における同盟国との関係強化および友好国との協力拡大といった方針(アジ ア太平洋地域へのリバランス)を打ち出しているが、中間選挙における民主党の 敗北は、政権運営を混迷させる一助となり得、その動向が注目される。 (イ)一方、米国の国際社会における相対的影響力は変化しているものの、軍事力や経 済力を基本に、依然として世界最大の総合的な国力を有しており、世界の平和と 安定のための役割を引き続き果たしている。 カ 日 本 (ア)安倍政権は、厳しい安全保障環境に適切に対応するため、日米同盟を基軸とする 施策を推し進めている。 2 特に、一つの地域で生じた危機が、世界に波及する危険性が一層高まっている時 代にあって、 「積極的平和主義」の旗を掲げ、世界の平和と安定に、これまで以上 に役割を果たし、あらゆる事態に切れ目なく対応するため、18年ぶりに「日米 防衛協力のための指針(いわゆるガイドライン) 」を再改定する等、その意思を示 している。 (イ)安倍首相は、過去に例を見ない多くの国々を歴訪するとともに、多国間の安全保 障対話等を通じて、我が国及び地域の安定を確保するため、重層的な取組を促進 している。 特に、中国の動向を強く懸念するとともに、現実に中国が、国際社会における 自らの責任を認識し、国際的な規範を共有・遵守するか否か強い関心を持って注 視している。 (ウ)防衛力の維持整備に関しては、「防衛計画の大綱」及び「中期防衛力整備計画」 の2年目として、財政事情の苦しい中27年度予算における防衛予算を確実に確 保し、国土防衛に対する国家意思を明示している。 (2)業務運営方針 全国自衛隊父兄会(以下、全自父という。)は、「自らの国は自ら守る。」という防 衛意識の普及・高揚を図るとともに、自衛隊の諸活動に対する協力を通じて、国民の生 命財産を守る自衛隊が誇りと自信をもって任務に邁進し得る環境を作る等防衛基盤の 確立・強化に寄与する。 この際、次の事項に留意する。 ア 陸上自衛隊の家族支援施策試行の全駐屯地拡大に連携した協力要領の具体化 イ 法人創立40周年事業及び40周年を目指した各施策検討の推進 ウ 各検討委員会の検討施策の普及・実行 2 主要事業 (1)防衛意識の普及・高揚事業(公1) ア 「防衛講演会」等の実施 全自父は、本部及び都道府県自衛隊父兄会(以下、県父兄会等という。)が計画・ 実施する防衛講演会や研修会等への多くの国民の参加を図るとともに、我が国の安全 保障にかかわる諸問題や自衛隊の国内外での活動状況とその意義等について、更なる 国民の理解の促進を図るため、次を実施する。 (ア)本部は、防衛講演会を2回計画し、実施担任は、道央(5.23 実施)及び京都府(10 月予定)父兄会とする。 細部は、別途通知する。 (イ)県父兄会等は、防衛講話を計画実施する。 その際、地方協力本部と密接に連携し、地域所在の自衛隊各級指揮官等を講師と して招聘し、国民への防衛問題や自衛隊への理解促進の場を提供する。 3 イ 防衛情報紙「おやばと」の発行及び拡販の推進 全自父は、防衛に関する諸問題や自衛隊員の国際平和協力活動での状況・意義等を、 父兄会会員のみならず、広く国民に普及するため、次を実施する。 (ア)本部は、防衛情報紙「おやばと」を毎月1回発行する。 この際、平成 26 年度に実施した「おやばと」読者アンケートの結果に基づき、 更なる紙面の刷新を図る。 (イ)県父兄会等は、「会員以外の読者の拡大」と「会員の購読率の向上」を狙いに、 平成25年度から開始した「おやばと拡販ステップ・アップ作戦」に基づき、ステ ップ1作戦最終年度として、目標達成に努める。また、じ後の検討の資を得るため、 8 月頃、再度「『おやばと』拡販実態調査」を実施する。 細部は、別紙第1「おやばと拡販計画」による。 ウ その他 (ア)ホームページの充実を図り、広く一般国民の防衛意識を高め、安全保障、防衛問 題に対する理解者の拡大に努める。 (イ)隊友会が主催する防衛セミナーに協賛する。 (2)自衛隊の諸活動に協力する事業(公2) ア 全自父は、県父兄会等及び地区協議会を中心として、自衛隊部隊等が実施する行事 等に積極的に参加し、その活動状況を表すとともに、陸上自衛隊が実施する家族支援 に具体的に協力するため、次を実施する。 (ア)県父兄会等及び地区協議会は、地域所在自衛隊部隊等の実施する行事等に積極的 に参加することにより、関係強化を図る。 (イ)県父兄会等及び地区協議会は、陸上自衛隊が実施する家族支援施策試行の全駐屯 地への拡大に連携した協力及び父兄会としての家族支援協力要領の具体化を図る。 (ウ)本部は、各幕僚監部と連携して、県父兄会等の家族支援協力の推進を支援すべく、 別紙第2「家族支援協力計画」に基づき、「家族支援協力の参考(第3版)」を 作成し、県父兄会等及び地区協議会を支援する。 イ 県父兄会等は、地方協力本部と密接な連携を維持しつつ、地方協力本部の行う広報、 募集、就職援護及び予備自衛官業務に積極的に協力するため、次を実施する。 (ア)県父兄会等は、組織的活動を通じて、地方協力本部に募集・援護情報の提供に努 める。 (イ)本部は、総合募集情報誌「DW(2016版)」(以下、「DW16」という。)を 作成・販売するとともに、県父兄会等は、DW16を活用して、国民・企業に対し自 衛隊の現状を紹介し、自衛隊後継者の募集に協力する。 (ウ)本部は、平成28年「父兄会カレンダー」を発行する。 (3)隊員等に対する慰問・激励事業(公3) 全自父は、平素から部隊・隊員の士気高揚を図るため、次を実施する。 4 ア 全自父は、国際平和協力法、国際緊急援助法及び海賊対処法等に基づく国際平和協 力活動等に派遣される部隊及び隊員に対し、「国際平和協力活動等支援基金」による 激励品を添えて激励する。 この際、本部は、「国際平和活動等支援基金」として、県父兄会等からの募金等を 受け付けるとともに、これを適切に管理・運用する。 イ 県父兄会等は、陸上自衛隊が実施する家族支援事業試行への協力・施策具体化を通 じて、関係部隊及び隊員を激励する。 ウ 県父兄会等は、殉職隊員の慰霊及び遺族に対する援護等の支援を行う。 エ 県父兄会等は、部隊の各種活動(国際平和協力活動及び災害派遣・演習・訓練・行 事等)に対して、地域毎に適時に慰問・激励する。 (4)国民運動への参加 全自父は、その目的に合致する国民運動等に積極的に参加する。 ア 北方領土返還要求署名活動 (ア)「北方領土返還要求署名活動」を実施する。 (イ)平成28年2月7日「北方領土の日」に開催される「北方領土返還要求全国大会」 を始め、全国各地で開催される同様の催しに積極的に参加する。 (ウ)「北方四島交流訪問事業」に参加するとともに、その成果を「おやばと」等を通 じて広報し、多くの国民の北方領土に対する理解・認識の向上に努める。 イ 憲法改正賛同者署名活動 「美しい日本の憲法をつくる国民の会」が実施する賛同者署名活動を行い、憲法 改正世論を喚起する啓発活動に協力する。 ウ その他 (ア)竹島の不法占拠への抗議活動や中国等が領有権を主張し、領海・領空侵犯等不法 行動を活発化させている尖閣諸島を守る運動等に積極的に参加する。 (イ)国の安全保障・防衛問題に関する国政等への陳情・請願等の活動に参加する。 (5)会勢の充実及び組織の活性化 ア 会勢の充実 別紙第3「会勢の充実計画」に基づき、次を実施する。 (ア)全自父は、会員の減少を阻止し拡大を目指すため、新たな会員獲得目標を設置す るとともに、各県父兄会等が活動しやすいように努める。 また、陸海空幕僚監部が発出した「父兄会加入促進通知」を踏まえるとともに家 族支援協力事業の新たな機会を活用し、会員の獲得に努める。 (イ)県父兄会等は、所在部隊長等との交流を促進し、父兄会の現状と課題について理 解を得るとともに、あらゆる機会、特に入隊・入校激励会を最大限に活用して新会 員の獲得を図る。 この際、現役隊員父兄の未加入者の掘り起こしに努める。 5 イ 組織の活性化 県父兄会等は、組織の中核となる人材を発掘し、後継者の育成に努めるとともに、 新旧役員の交代等による組織活性化及び女性会員の活躍の場の拡充等により、組織態 勢の強化に努める。 (6)法人創立40周年に向けた施策の検討 自衛隊及び父兄会を取り巻く環境の変化を考慮し、法人創立40周年の節目を機に、 公益法人として今後の父兄会のあり方を広く検討し、新たな父兄会に向けた改善の具体 的な資を得る。 細部は、別紙第4「法人創立40周年に向けた施策の検討」による。 3 管理事項等 (1)計画する会議等 ア 定期総会 定款第24条の定めることにより、平成27年6月23日(火)に開催する。(主 要議題は、平成26年度事業報告・決算の承認、平成27年度事業計画・予算書の報 告、役員選任等) イ 理事会 定款第24条の定めることにより、以下の理事会を開催する。 ・ 第1回 5月下旬 (書面決議:平成26年度事業報告・決算) ・ 第2回 6月23日(県父兄会会長等の承認、定期報告事項) ・ 第3回 12月初旬(書面決議:平成28年度事業計画の骨子) ・ 第4回 平成28年3月中旬(平成28年度事業計画・予算書、総会の議題) ウ 中央研修会 平成27年9月29日(火)に中央研修会を開催する。 細部は、別途通知する。(40周年事業及び40周年施策検討の周知等) エ 「国際平和活動等支援基金」管理委員会 基金の適正な管理・運用を図るとともに、当面する具体的支援活動決定等のため、 平成28年2月及び必要に応じて開催する。 オ 地域協議会 各地域内の各県父兄会等との意見交換及び本部との意見調整・意思統一を図る等 のため、本部との密接な事前調整の下、平成27年7月~11月頃の間、地域ごとに 地区協議会を開催する。 この際、本部は地域担当委員等を派遣する。 カ 運営委員会 理事会を補佐し、理事会から委託を受けた事項等を協議するため、通常毎月1回 開催する。 6 キ 検討委員会等 「会員拡大」、「家族支援協力」及び「おやばと拡販」について継続検討する。各 検討委員会は、毎月1回を基準に開催する。 また、法人創立40周年を目指した具体的施策を検討するため、必要のつど検討 会を開催する。 ク 業務執行理事会同 業務運営を円滑に遂行するため、各四半期に1回を基準として開催する。 (2)各県父兄会会長が本部に報告する事項及び期限等 別紙第5「報告事項及び期限等一覧表」のとおり。 (3)主要行事予定 別紙第6「平成27年度 主要行事等予定表」のとおり。 (4)その他 平成28年1月20日(水)において実施される「協力3団体共催賀詞交歓会」を 担任する。 7
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