栄養ニュース 第 190 号 平成27年7月 福西会病院 栄養管理科 今年も早くも半ばを過ぎ、夏空がまぶしい季節がやってきます。 いよいよ夏本番。今月は≪熱中症対策≫についてお話したいと思います。 ☆熱中症とは・・・気温が高い状態が長く続くと、発汗し体内の水分や塩分が失われてしま い、また湿度が高いと、汗が蒸発せず熱がこもったままの状態になり、体内の熱が放出され なくなってしまう状態です。 ☆熱中症の症状・・・めまい、失神、高体温、筋肉痛、筋肉の硬直、大量の発汗、頭痛、吐 き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感、意識障害、痙攣、手足の運動障害などです。 急に暑くなった日は屋外での活動は要注意ですが、就寝中など室内でも熱中症を発症する ことがあります。 特に高齢者は暑さや水分不足に対する感覚機能が低下しており、暑さに対する体の調整機能 も低下しているので、周囲の人の気配りや声掛けが大切になってきます。 また、慢性疾患を持ってる人、糖尿病では一般的に尿の量が多くなりがちで脱水状態になり やすく、自律神経障害などがあると発汗機能が低下しているので、熱中症の大きな危険因子 となります。 高血圧の人は塩分の摂り過ぎが血圧に悪いと、塩分を控えている場合は、発汗の増加で塩分 がさらに失われ体内のミネラルバランスが崩れ脱水症状から熱中症に至ることもあるので 注意が必要です。 簡易経口補水液の作り方 ・水 1リットル ※スポーツドリンクは水分と塩分を同時に ・砂糖 大さじ4 補えて効果的ですが、糖質(果糖など)が多 ・塩 小さじ1/2 く含まれるものもあり、多量に摂取すると ・レモン汁 大さじ2 高血糖になるおそれがあります。 ☆熱中症を防止する7か条 1、暑さを避ける・・・日傘や帽子の使用、扇風機やエアコンを適切に使用する。 2、服装の工夫・・・吸水性の優れた素材の服の着用。 3、こまめに水分補給をする・・・水分と共に塩分も補給する。 4、急に暑くなる日に注意する・・・暑さに体が慣れていないときは要注意。 5、暑さに備えた体作り・・・日頃からウォーキングなど汗をかく習慣を身に付けておく。 6、個人の条件を考慮する・・・高齢者や子供、発熱してる人や下痢をしている人、慢性疾 患の人や、前の晩に深酒をしたり、朝食を抜いた状態で暑い環境に行くのは避ける。 7、集団活動の場ではお互いに配慮する・・・暑い場所での作業や運動はこまめに休憩する。 ☆熱中症対策に効果的な食べ物 *カリウムを摂取する・・・汗をかくと塩分と同時にカリウムも失われます。カリウ ムは細胞内に多く含まれていて、カリウムを失うことで細胞自体が脱水症状をおこ します。細胞の脱水症状は熱中症を発症した時、重要臓器の機能障害を引き起こす可 能性があります。 普段からカリウムを摂取することで、筋肉の収縮を助ける働きが強まり、熱中症にな った時の回復の手助けとなります。 ・カリウムを多く含む食べ物 じゃが芋、里芋、サツマイモ、山芋、南瓜、ホウレン草、小豆、きのこ類、バナナ、 オレンジ、キウイ、レーズン、黒糖、納豆など *ビタミンB1を摂取する・・・ビタミンB1が不足すると糖質を分解することがで きずに疲労物質(乳酸など)がたまり、疲れやすくなります。 ・ビタミンB1を多く含む食べ物 豚肉、ウナギ、グリンピース、大豆、きな粉、オレンジなど ※豚肉は牛肉の約10倍のビタミンB1を含んでおり、同時に多くのタンパク質 を摂取することができます。疲労回復はもちろん、夏バテ防止にも役立ちます。 *クエン酸を摂取する・・・クエン酸は酸味主成分で、疲労の原因となる乳酸の発生 を防ぎ疲労回復に特に効果を発揮します。また、老化防止にも効果があると言われて おり、若返りのビタミン、パロチンの代謝を活性化させます。 ・クエン酸を多く含む食べ物 梅干し、レモン、グレープフルーツ、オレンジ、酢など ※レモンはクエン酸以外でも、疲労回復に役立つビタミンC、ポリフェノールを多 く含んでいます。レモンの爽やかな風味は食欲がなくなった時におススメです。 *抗酸化成分を摂取する・・・紫外線の強い夏では、体の中で活性酸素が発生しやす くなり、疲れがたまる原因となります。抗酸化成分はその活性酸素から体を守ってく れる成分です。 ・抗酸化力の強い食べ物 プルーン、レーズン、ケール、いちご、ホウレン草、ブロッコリーなど 夏の暑さで、どうしても食が進まないこともありますが、 夏バテをしない、熱中症に強い体を作る為に 普段の食事からバランスを考えて食べ、 今年の夏を乗り切りましょう!
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