海王杯フォアマストチームへ 明治維新後は、政府の指令で念願の渡 英。そのイギリス予備海軍系のウースタ ー号︵商船学校︶に学ぶ。卒業の遠洋航 海はハンプシャー号。アフリカの喜望峰 を廻ってオーストラリア。次は南アメリ カのホーン岬を通って本国︵イギリス︶ へ戻る。その間ずっとアッパーヤードの 張り切りマン。しかし、在英中腹ぺこに 悩んだ末の工夫もまた有名。 になった山本権兵衛少尉︵三尉または三 等航海士︶にやっかみの加わった形で、 部下達の前でマストの早登り競争を挑ま れる。結果は負け・・・だが、いざとい う時は東郷に期待。のちに連合艦隊のト ップ︵司令長官︶に起用される。 そして、国難をはね飛ばすほどの格段 の戦果にも関わらず、決して当人は誇ら ず、重傷の捕虜の敵将︵ロジェスト・ウ エ ン ス キ ー ︶ を 見 舞 い 、﹁ あ く ま で 勝 負 は時の運。貴官は充分祖国に尽くされま し た 。﹂ と 励 ま し た こ と で 、 こ と さ ら 、 花も実もある爽やかな人物として崇めら れ、ある国では肖像をラベルにした東郷 のビールさえ売られたほどの、もはや世 界のアドミラルとなった。 後日、懐かしのウースター号を訪れた 際には 、自ら︿寡黙の提督 ﹀の殻を破り 、 随 行 の 副 官 の 注 意 も 無 視 。締め括りは﹁ウ ー ス タ ー の 栄 光 、 永 遠 な れ 。﹂ で 結 ぶ 、 同期や後輩、恩師︵スミス大佐︶の未亡 人を前に、感激の雄弁を一席振ったとい うエピソードさえ残されております。 スキーツアーの 両面の商船海員教育の盛んな時期。予備 役海軍の将兵を創るという軍事的な国策 も併せたサポートで随分活気がありまし た。しかし、現代は永い平和。新しい形 で先を読んだ︹真の日本国︺を支える海 運 の 発 展 を 、 そ し て 、︹ 海 の 民 な ら 男 な ら︺といった気概の再来を、老人︵ロー トル︶は静かに念じ、眺めている昨今。 どうぞ若い人達。先人以上に二十一世 紀を素晴らしい日本にして下さるよう。 ︵ちなみに︶ 昔、当海王丸は、旧海軍の長期大演習 には、雑役補助艦として、たびたび給水 業務に参加したこともあったとのこと。 ︵平成8年シアトル遠航中、指導員 今井吉次氏の懐古談より 。 ︶ お知らせ ﹃海王丸ボランティア 打ち合わせ﹄ 参加者の皆様方と一度打ち合わせを開 きたいと思います。 何かとご多忙のことと存じますが、万 障繰り合わせのうえ、ご出席下さいます ようお願い申し上げます。 日時 場所 記 平 成 9 年 月 日︵祝︶ 時から 海王丸パーク内日本海交流セ ンター第3研修室 ︵当日、参加費26300円 を 合 わ せ て 徴 収 し ま す 。︶ なお、スキーツアー参加に多少の余裕 があります。ご希望の方はお早めに。 申込締切 月 日︵祝︶ 申込先 坂 橋 誠 電話 0 7 6 6 ︵84︶6329 水野 洋子 電話 0764 ︵91︶2540 山谷 実 電話 0766 ︵82︶3913 MARU KAIWO 去 る 月 3 日 ︵ 祝 ︶、 総 帆 展 帆 日 の 昼 休みに第3回ネプチュニヤード︵海王丸 運動会︶が開催されました。当日は天候 に恵まれ、短い時間ではありましたが多 数のボランティアの方々に参加していた だき、たいへん盛り上がりました。 成績は次のとおりです。 輪投げ 一 位 ミズンマスト 椰子の実運び 一位 フォアマスト 綱引き 一位 フォアマスト 総合 優勝 フォアマスト 二 位 メインマスト 三位 ミズンマスト 今回も雪辱を果たせなかったミズンマ ス ト チ ー ム 。来年こそは頑張りましょう 。 なお、運動会の後、臨海野鳥園にて植 樹を行いました。普段はなかなか近寄れ ませんが、またいつの日か成長した木々 に鳥たちが戯れる姿を目にすることがで きると思います。ご協力ありがとうござ いました。 ウエルデッキの甲羅干し こ れ を 見 て も、国籍を超え 、誰 も 彼 も 、 昔も今も、帆船教育の仲間同士は特別の 強い感銘で繋がれていることが良く判り ます。 戦前、戦中の日本では彼と同じように 23 23 ﹃︿ア ド ミ ラ ル ﹀ 東 郷 も ︵ 帆 走 ︶ 仲 間 ﹄ 404 辻田 豊 日本帰国後は、直ちに海軍中尉の資格 ︵ 二 尉 ま た は 二 等 航 海 士 に 相 当 ︶。 面 白 い の は の ち の 海 軍 大 臣︵今の防衛庁総督 ︶ 12 11 私共の初代海王丸の船内に教材用だっ たのでせうか。昔、飾られたらしい。忘 れた存在の︹東郷平八郎︺元帥の肖像画 が 残 っ て る 。・ ・ ・ と 小 耳 に 挟 ん だ こ と があります。 その人物は、遠い過去、明治時代に国 を救ったヒーロー。強大なロシア帝国の 黒海遠征艦隊を日本海で迎え討ち大勝す る 。 つ ま り 、 日 本 艦 隊 の ︹ 時 の 人 ︺。 そ の概略のあまり知られていない部分の素 顔を記録文書からピックアップしますと 、 少年期の幕末、今の鹿児島︵薩摩藩︶が 英国艦隊と戦った時のこと。従来の︹丸 玉︺と異なった形のアームストロング砲 の尖頭弾の威力に驚き、将来進んだ海軍 国のイギリスへの留学を決意する。 その後︹菊花︺旗のはためく官軍の船 に 乗 っ て 、︹ 日 の 丸 ︺ 旗 を 掲 げ た 幕 府 側 の榎本艦隊との内戦に参加。 12 12 舵輪 チョッサーからのお知らせ ①海王丸のドック工事見学会について 50 ④餅つき大会について 従来、ボランティア皆様の協力により 実施していた餅つき大会ですが、今年度 は海王丸が不在ということもあり、日程 を変更して 、3 月 日︵祝 ︶に行います 。 なお、この日は海王丸が検査工事等を終 え、公開を再開する日にあたります。新 たなるスタートに花を添えていただきま すよう、多数のボランティアの皆様のご 協力をお願いします。 ⑤Tシャツのデザイン募集について 前号でもご案内いたしましたが、ボラ ンティアのTシャツのデザインを募集し ております。我こそは!と思われる方は 市川までお寄せ下さい。締切は 月末日 とします。お忙しいとは思いますが、よ ろしくお願いします。 チョッサーの豆知識 ﹃船底﹄ 11 日頃見ることのできないドライアップ した海王丸の姿やドック施設の見学会を 左記のとおり実施します。 記 日(日時 時 ) ∼ 時 月分 日 場所 新日本海重工業㈱ドック ︵富山市西宮町1の1︶ 0764︵37︶1436 見学方法 係員が案内し、ドック施 設および工事の概要等に ついて説明します。 申込方法 ドックとの関係上、確実 な出欠を同封の官製はが きに明記して下さい。 なお、ご家族同伴の場合 は、一般見学でお申込下 さい。 月 日︵日︶ で付けられている魚の胸びれのような板 です。ビルジキールは船底両脇にあり、 船の横揺れを軽減させる役目があります 。 ③シーチェスト 海水の取り込み口です。シーチェスト は 機 関 室 の 下 に あ り 、機 関 を 冷 却 し た り 、 風呂の海水を取り込んだりするための穴 です。 ④音響測深機 音響測深機とは、船底から音波を出し て海の深さを測る航海計器です。音波を 発信したり、受信したりするスピーカの ようなものが、船橋下の船底に付けられ ています。 ⑤電磁ログ 電磁ログは、船底からセンサーを出し て船の速力を測る航海計器です。作動さ せるときは、船底から1m程のセンサー 付きの棒を出して測ります。音響測深機 と同様船橋下にあります。 ⑥保護亜鉛板 船体は鉄でできています。一方、プロ ペラは銅で造られています。そのため、 異種の金属が海水に入ると電気が流れ船 体が腐食︵電食︶します。保護亜鉛板は 船体を腐食させないために取り付けられ ているもので 、海 王 丸 に は 枚 あ り ま す 。 ⑦ボットムプラグ 船の底部には水タンクや油タンクがた くさん配置されています。これらタンク の底にある栓がボットムプラグです。入 渠中、タンクの水を抜くときは船底から このプラグを抜いて水を出します。 以上が、船底にある主なものです。 日の見学会を楽しみにして下さい。 あとがき ここ数日は天候も良く、アンベンディ ングセイルも順調に終わりました。平日 にも関わらずご協力いただいたボランテ ィアの皆様、本当にありがとうございま した。ドックへの回航もわずか4時間あ まりの航海でしたが、海王丸は生きてい る船だということが随所に感じられ、喜 んでいるのが伝わってきました。 1年間の総帆展帆の日程を、事故なく 無事終了することができ、ほっとすると ともに、皆様の多大なご協力に厚く御礼 申し上げます。冬季は十分休養し、また 来年度には全力で作業にあたれるようよ ろしくお願いします。 まだかなり早すぎるかもしれませんが 、 良いお年を。 ITTY MARU KAIWO 申込期限 ②ボランティアの集いについて 30 平成9年度帆船海王丸ボランティアの 集いを左記のとおり開催いたします。お 忙しいとは思いますが、多数のご参加を お待ちしています。なお、精勤賞の表彰 式をあわせて行う予定にしております。 月 展帆データ ◆月日◇天候◇参加者◇その他 12 15 記 日 時 土( ) 月6日 時 分∼ 時 分 場所 富山県職員会館203号室 ︵富山市新桜町1の2︶ 0764︵41︶4004 ③海王丸の整備作業について 83 15 20 37 ◆ / ◇曇時々雨◇ 名◇ポートタッ ク◇ガフトップスルを除く縦帆のみ展 帆 67 ◆ /3◇晴◇ 名◇ポートタックスク エアヤード◇第3回ネプチュニヤード ︵海王丸運動会︶および臨海野鳥園の 植樹実施 26 14 11 18 21 月7日︵金︶帆船海王丸は、定期検 査及び特別改修工事のため、富山市の新 日本海重工業︵株︶にドック入りしまし た。回航当日は、小春日和となり風も弱 く、タグボート3隻に曳航されて約4時 間の回航作業となりました。現在の状況 は、ドック内の水も排水し、船底の汚れ や錆を落とす作業が進められています。 さて、今回はドック工事見学会も予定 していることから、船底のお話しをしま しょう 。船 底 に は 、海 水 を 吸 い 込 ん だ り 、 排出したりする穴や、速力を測る航海計 器のセンサーなど色々なものが、取り付 けられています。どのようなものがある かと言うと、 ①バーキール キールとは船首から船尾までつながっ ている船の背骨に相当するものです。一 般船のキールは平板を使っていますが、 帆船には横流れを少なくするために高さ ㎝ほどの直方体のキールが付けられて います。 ②ビルジキール 船橋付近下からリーサイド室付近下ま 11 12 12 28 毎年、冬季にはセイル作製等の作業を ボランティア皆様の協力により実施して おりますが、今年度も同様によろしくお 願いします。期間は 月1日から2月 日までです。ドック内で工事中というこ ともあり、ご協力いただけるボランティ ア の 方 は 、事 前 に 市 川 ま で ご 連 絡 下 さ い 。 よろしくお願いします。 20 30 30 12 14 10 11 舵輪
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