衛生的な作業や製品/原材料 作業者や環境にも配慮した設計 食品工場

Ⅱ
3 施設の仕様
衛生・品質水準の確保
■施設において問題となるポイント
1 施設の仕様:全般
◎ 施設は敷地の中の適切な位置にあり、使用目的に適した大きさ及び構造である。
○ 保守や清掃・洗浄が容易で、消毒が可能な構造である。
○ 耐久性のある資材で建てる。
昆虫等や
ネズミが
カビや
昆虫等が
入ってくる
発生する
暗くて
設備を
検品しづらい
洗いにくい
………
○ 清掃・洗浄に耐え得る材質である。
○ 製造・加工工程の特性及び製品への悪影響の可能性に応じて、設計・建設・保守する。
◎ 施設内に適切な洗浄設備を設置する。
◎ 印は食品衛生法を始め食品衛生に係る関連規定等を遵守するために事業者が実施すべき事項。○ 印は実施することが望ましい事項です。
食品工場
作業動線や作業効率の適切性を考慮した施設の仕様は、作業環境の衛生状態を左右します。
製品の衛生・品質水準を確保するためには、管理が容易な施設の仕様が望まれます。
施設仕様に起因する課題
管理が容易な施設
◦整理整頓が容易で、不要なものがない状態になるような施設のレイアウト
◦清掃や洗浄が容易となるように、壁から一定距離で離して設置された機器のレイアウト
製造・加工の施設・環境
衛生・保守面からの施設
◦清掃、洗浄、消毒、保守の容易性
◦食品との接触面における製品への衛生・品質的な影響
◦食品との接触面の清掃に対する影響および耐久性
具体的には
◦取り扱う製品の特性に応じた建材を選定します。
特に、粉製品と液状、固形物では壁・床の材質が異なります。
◦作業効率が良く、交差汚染を防止する配置が望まれます。
特に、製品が暴露される工程で、人の移動や資材・製品の移動などは十分考慮します。
老朽化
増改築
◦手洗い場と機械・器具洗浄場所は区分して設置します。
衛生的な作業や製品/原材料
作業者や環境にも配慮した設計
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Ⅱ
2 施設の仕様:特定箇所
■排水溝の構造(例)
[①]
衛生・品質水準の確保
■床の構造(例)
◎ 施設内の食品を取り扱う場所の周囲は、清掃しやすい構造で、適度な勾配を有するなど適切に排水できる。
グレーチング
○ バルク等の原材料の受入れラインの搬入口は、種類ごとに識別され、蓋をして施錠する。
床材(耐水性のあるエポキシ樹脂系など)
○ 窓は、清掃・洗浄しやすく、埃がたまりにくい。
プライマー
(床材と素地の付 着性をよくする)
○ 窓は、必要な場合は締め切りとするか、取外しかつ洗浄可能な防虫網戸を取り付ける。
○ドアは、表面が滑らかで水分を吸収せず、清掃・洗浄が容易であり、必要な場合は消毒ができる。
○ 床は、適切に排水できる。
◎ 壁・床の表面は、食品等を取り扱う際に悪影響を及ぼさないものであり、表面が滑らかで、清掃・洗浄が
床の勾配
2
程度
100
可能である。また、必要に応じて、不浸透性の資材で作られている場合を除き、床面から少なくとも 1 メー
Rをつける
20cm以上
トルまで不浸透材料で腰張りする。
○ 壁と床の接合部及び隅は、
清掃・洗浄が容易にできる。製造・加工区域においては、
必要な場合は丸みがある。
排水溝の勾配
○ 天井や頭上の固定具は、埃・結露水がたまりにくく拡散しにくい。
2〜4
程度
100
素地(モルタル)
◎ 印は食品衛生法を始め食品衛生に係る関連規定等を遵守するために事業者が実施すべき事項。○ 印は実施することが望ましい事項です。
製品を取り扱う場所で壁、床、天井など特定箇所は、清掃不良や微生物汚染があれば、製造・
加工従事者の手指が触れたり、ホコリなどが落下したりして、製品を汚染する可能性がありま
■床・壁・窓の設置(例)
[②]
■機器の設置(例)
す。
食品加工機器
特定箇所の仕様例
しない構造で、掃除しやすい位置に設置します。
網戸
製造・加工の施設・環境
◦パイプライン及び電気・空気ダクト等を設置する場合は、上部にチリや昆虫等の死骸が堆積
窓
◦電気・空気ダクト等は天井裏に設置し、配線やダクトを取り出す場合にはホコリがたまらな
60cm以上
いよう水平ではなく鉛直に引き出します。
45°以上
◦窓ガラス、照明器具等は飛散防止対策を施したものを使用します。
1m以上
◦床・壁・天井建材は、使用する原材料や資材の腐食性を考慮して選定します。
腰板
半径5cm以上
20cm以上
[管理ポイントの例]
◦床:施設内の食品を取り扱う場所では、適度な勾配(1/100 ~ 2/100 の勾配)を有する等、
適切に排水できる構造である。(醤油製品、パン、清涼飲料水、一般菓子、洋生菓子、漬物、
■自動開閉式のドア ペダル式
■自動開閉式のドア センサー式(非接触)
炊飯製品、そうざい、乳及び乳製品)
[①]
◦壁:必要に応じて、床面から少なくとも 1 メートル(乳及び乳製品は 1.2 メートル)まで不
浸透材料で腰張りする。(洋生菓子、生めん類、大量調理施設、味噌、乳及び乳製品)
[②]
◦壁、床 : 表面は、食品等を取り扱う際に悪影響を及ぼさないものであり、表面が滑らかで、清掃・
洗浄が可能である。(洋生菓子、生めん類、大量調理施設、乳及び乳製品)
◦天井:清掃が容易で、塵埃が溜まりにくい構造である。
(学校給食)
◦ドア:手動で開閉すると食品を汚染するおそれがある場合(冷凍・冷蔵設備のドアを除く)
、
自動開閉式である。(学校給食)
◦倉庫:工場総建坪の 10%(製品用倉庫、約 10 ~ 20%)の広さを確保する。(洋生菓子、炊飯
製品、そうざい)
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