商品記号論 ユーザインタフェースデザイン論 第2学年 後期 選択 講義 2単位 國澤好衛 第2学年 後期 選択 講義 2単位 尾田雅文 授業の概要およびテーマ 消費の対象としての商品が使用的価値を超えて記号的価値(商品の背後に潜 む意味的な価値)に基づいて消費されるようになると、商品にはモダンデザ インが求めていた物的機能や環境的機能を超えて、使用者とのコミュニケー ションを企図する記号的な機能が求められるようになる。 そこでは、デザイナーは審美的な価値を高めるためだけでなく、かたちや色 といった非言語を操作してユーザーにわかりやすさや親しみやすさを伝える ことが重要となる。 それは、商品のコミュニケーション機能(意味)をデザインすることであ り、意味を設計し可視化することである。 本講義では、記号論の基礎を学ぶと同時に、主に消費財のデザイン(プロダ クトデザイン)を対象に、 "Design is making sense of things. "(デザインは意味を与えることである) を主題にして、記号的視点からデザインの本来的な役割や、人とデザインの 関係を考察することを学んでいく。 達成目標 ・デザインについて記号的解釈ができる ・製品意味論を理解し、意味のデザインの手法を修得する ・デザイン表現の記号論的分類ができる(C. S. パースの分類) ・感性品質の定義について理解し、イメージボードが制作できる 授業計画 1:オリエンテーション(学習の背景講義の進め方) 2:デザインの記号論的解釈(モダンデザイン以降のデザイン) 3:プロダクトセマンティックス(形態の象徴的性格) 4:デザインと記号I(記号論の基礎) 5:デザインと記号II(記号論の基礎) 6:視覚伝達デザインと記号I(視覚伝達デザインの記号性) 7:視覚伝達デザインと記号II(視覚伝達デザインの記号性) 8:デザインテーストの記号性I(記号内容としてのテースト) 9:デザインテーストチャートI(デザインテースト分類) 10:デザインテーストチャートII(デザインテースト分類) 11:デザイン表現の分類I-記号表現と意味からの分類 12:デザイン表現の分類II-記号表現と意味からの分類 13:ブランドの記号性I(ブランドの持つ記号性について) 14:ブランドの記号性II(ブランドの持つ記号性について) 15:商品記号論からの展開(新たなデザインの創造、まとめ) 16:試験 学生に対する成績評価基準 3分の2以上の出席を前提に、レポートと試験の結果で評価する テキスト オリジナルテキストを配付する 参考書・参考資料等 『意味論的転回』(クラウスクリッペンドルフ、共訳、エスアイビーアクセス) 『企業における形態意味論の実践』(自著、インダストリアルデザイン 139、140合併号、JIDA) 『記号論への招待』(池上嘉彦、岩波新書) 『記号論』(P・コプリー、吉田成行訳、現代書館) 『記号としての芸術 講座・記号論3』(川本茂雄他編、勁総書房) 『一般記号学』(エリザベート・ヴァルター、向井周太郎他訳、勁総書房) 『生きのびるためのデザイン』(ヴィクターパパネック、阿部公正訳、晶文社) 『誰のためのデザイン?』(D. A. ノーマン、野島久雄訳、新曜社刊) 『エモーショナル・デザイン』(D. A. ノーマン、岡本 明 他 訳、新曜社) 『未来のモノのデザイン』(D. A. ノーマン、安村通晃 他 訳、新曜社) 他 履修希望者への要望・事前準備 「デザインは構成されるものであり、計画されるものであるが、完全に規定 されるものでなく美性という不確かさによって性格付けられている」とエリ ザベート・ヴァルターは述べている。 本講義では、この不確かさを「人とデザインとの関係に潜む不確かさ」とし て捉え、この不確かさを解く糸口を探っていく。 履修生にはこの講義を通じて、デザインのひとつの研究領域である記号論を理 解しながら、デザインの鍵を握る「不確かさ」のヒントをつかんで欲しい。 なお、講義にあたっては、配布したテキストを事前学習すること。 授業の概要およびテーマ 機器や製品の扱いにおいて、主に「わかりやすさ・使いやすさ」に 関するデザインの考え方を学習する。このために、適切なヒューマ ンインタフェース、人間の認知特性とデザインなどの理解、さらに は、社会的課題としてのユニバーサルデザイン(UD)についても 取り扱う。 達成目標 デザイン要件としての「わかりやすさ・使いやすさ」を理解し、 「ユーザーの立場に立ったデザイン」を自ら発想できるデザイナー としての基礎的素養、能力の向上を図る。 授業計画 1 ユーザインタフェースとは 2 ユーザインタフェースデザインの背景と関連分野 3 人間の特性 -視覚4 人間の特性 -聴覚5 人間の特性 -体性感覚6 人間の特性 -高齢者・障碍者7 入出力機器としくみ 8 インタラクションデザイン 9 GUIデザイン 10 ユーザインタフェースの設計 11 情報の可視化 12 ユーザインタフェースの評価 13 ユニバーサルデザイン -高齢者対応14 ユニバーサルデザイン -障碍者対応15 ユーザインタフェースの展開 学生に対する成績評価基準 ●原則として、2/3以上の出席を満たす受講者に対してのみ単位 付与可否検討対象とする。 ●成績は、報告書・課題等60%程度、質問に対しての口頭回答等授 業姿勢40%程度として総合評価します。遅刻は、3回で1回の欠 席扱い。 テキスト ●講義資料を毎回配付する 参考書・参考資料等 ・「誰のためのデザイン?」D. A. ノーマン 新曜社 3,465円 ・「福祉工学」依田光正 理工図書 2,800円 履修希望者への要望・事前準備 授業で実施する簡単な演習は能力を試すテストではなく、理解の促 進、定着を図るものです。自ら考えまじめに取組むことが大切で す。また日常的には、「生活用具や環境」と「人」のかかわりに関 心を持ち、ユーザーの視点からデザインを考える力をつけて欲し い。 207
© Copyright 2024 ExpyDoc