命はぐくむ長尾川

2015年7月4日
1497号
次回発行は7月11日です
発行
カノコガ
無料
鹿の子の模様に似ているこ
とから名づけられた
「カノコ
ガ」
。羽に触れると、鱗粉の模
様がはんこを押したようにそ
のまま手に付くことから
「ハ
ンコチョウ」
とも呼ばれます。
コガネムシ
〒420-0858 静岡市葵区伝馬町16-3
☎054
1231
(255)
★価格は特記以外税込み
ここを
歩きました
長尾川アクセス:
しずてつジャスト
ライン竜爪線(瀬
名 和 経 由)
バスで
「瀬名新田」
下車
竜爪中学校
静岡北高校
アオスジアゲハ
西奈小学校
竜爪街道
長尾川
カワセミ
至清水
上面はコバルトブルー、下面はオレンジ
色の美しい鳥。
水中に飛び込み、
小魚やエビ
などを食べる。
清流に住むことから、
良好な
自然環境を象徴する鳥と言われています。
常葉大学
静清バイパス
至静岡
竜爪山からの清流
常葉学園
橘高校
瀬名I.C.
瀬名川西
交差点
北街道
東名高速道
路
静岡東高校
号
1
道
国
駅
薙
草 線
JR 海道
東
命はぐくむ長尾川
静岡市の市街地の北部、竜爪山を源流に持つ長尾川のほとりでは、
昆虫、植物、鳥…豊かな自然の中、さまざまな生き物に出合うことがで
きます。今回、昆虫研究家・農学博士の平井剛夫さんの案内で、編集部
が初夏の長尾川の岸部を歩きました。
(千賀由美子記者、
寺田美保記者)
ジャコウアゲハ
の幼虫
オキクムシ
→
ジャコウアゲハ
ゲンジボタル
コバンソウ
→
黒と白のマダラ模様で、太目のとげを持つジャコウアゲハの幼虫。サナギに
なった姿が「番町皿屋敷」という怪談話に登場する「お菊」に似ていることから「オ
キクムシ」
と言われています。サナギの状態に名前がついている珍しい例です。
カラムシ
昆虫研究家・農学博士の平井剛
夫(よしお)さんプロフィル/静
岡市生まれ。農林省の農業試験
場に勤務。国内外の職場で30
有余年、農作物の害虫の防除の
研究に携わる。定年後静岡に戻
り、長尾川のほとりに住む。地
元の子どもたちに昆虫のおもし
ろさを教えながら、地域の虫の
研究を行う
2面に続く
ラミーカミキリ
ラミーカミキリは、静岡では 20 年ほど前から生
息が確認されるようになりました。餌としている「カ
ラムシ」という植物は、弥生時代から衣服を作る際
に繊維(ラミー=麻)が利用されていました。
クワの実
夜に川辺で発光し、初夏の
風物詩として人気が高いホタ
ル。
「昔のようにホタルがた
くさん飛んでいた長尾川に戻
したい」と長尾川で活動する
「長尾川を愛する会」
(2 面参
照)
の人たちが、
幼虫の育成や
ホタルの生息に適した環境づ
くりに努め、
10 年ほど前から
川辺に成虫がともす光を確認
できるようになりました。
黒紫色に熟した実は、
甘酸っぱくておいしい。
ジャムや果実酒にして
も適しています。
竜爪山からの清流 命はぐくむ長尾川
長尾川ってどんな川?
◎ 1 面から続く
■巴川水系の支流の一つ
竜爪山の東斜面を源とする長尾川は、
長さ約13Km の二級河川で、巴川水系の
支流の一つです。下流で扇状地を作り、西
奈地区の南端で巴川と合流しています。
■天井川(てんじょうがわ)
上流では水量豊富な清流が、中流域の西奈
小学校あたりから水が細くなり、葵区瀬名の水梨橋付近で水が無くな
ります。そこから清水区の境界線にかけては、川床が住宅地より高い
天井川となっています。川床から地下に浸透した水は、伏流水となり、
瀬名や瀬名川平野の灌漑
(かんがい)用水や井戸の水源となって恵みを
与え、弁天池や川合の神名水にもなり湧出しています。
探してみよう!
魚の遡上
(そじょう)
を助ける「魚道」
長尾川に沿って歩いていると、コンクリートで作ら
れた階段状の流れや石で囲まれた水路のような場所を
見かけます。これは、産卵で川をさかのぼってくるア
ユなどの魚の遡上を助けるための「魚道」と呼ばれる
ものです。15 年ほど前、公共事業のモデルケースと
なり、長尾川にさまざまなタイプの「魚道」が作られ
ました。どんな形があるのか探してみましょう。
静岡の外来生物がわかる本
静 岡の自然を 知る
上 で 欠 か せ ない
「外
来 生 物 」の情 報 が、わ
かりや すく紹 介さ れ
て い る、し ず お か の
文 化 新 書5
「恐るべ
し!? 外 来 生 物 ∼し ず
おかに侵 攻する生 物
の実態∼」
。今回、長尾
川を案内してくれた平井剛夫さんが、
第6章
「 昆虫 」について書いています。
■問い合わせ:☎ 054
(270)
5266 創碧社
■発行:公益財団法人 静岡県文化財団
長尾川を愛する会
地元の人たちが中心となって設立
された「長尾川を愛する会」
。長尾川に
戻ってきたホタルの生息を維持する
活動を中心に、川底の清掃などを行っ
ています。
■問い合わせ:☎ 054(261)2244
(西奈自工 古林さん)