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物理化学III 演習問題(6月 29日)2015年度 前期
光電効果に関する問題
電磁波のエネルギーを表す E = hν は、光電効果の実験結果を解釈するために、Einstein によって
も仮定された。振動数 ν の電磁波を金属に当てたときに放出される電子のエネルギーは、
で表される。Wは、電子が原子核から自由になるために必要なエネルギーであり、下図のように
原子核の種類(電荷)に依存する。
飛び出す電子のエネルギー/eV
2.5
0
ナトリウム
鉄
ν0
ν/1014 Hz
5
10
15
20
-W
-2.5
問1 上図の金属ナトリウムの光電効果の実験結果において、グラフの傾きは何を表しているか。
また、その値をもとめよ。ヒント:上の式と照らし合わせて考えるとよい。
問2 上図の鉄の光電効果の実験結果において、W が4.14 eVだったとする。どのような振動数の
電磁波を当てると、光電効果によって電子が飛び出すか。
バルマー系列に関する問題
水素を放電させると、いろいろな電磁波が放射される(下図)。限られた波長の光しか放射され
ない理由は、水素原子のエネルギーがとびとびの値をもつからである。これを量子化されている、
という。もう少し詳しく説明すると、水素原子の中の電子がとびとびのエネルギー状態しかとら
ないことがわかっている。その電子が、放電管の中で電圧がかかることにより、低いエネルギー
状態(安定な状態)から高いエネルギー状態へと変化する。高いエネルギー状態は不安定なので、
電子はやがて低いエネルギー状態へ移動し、その際に光が放射される。
水素原子から放射される可視光線をバルマー系列という。同様に、とびとびの波長の紫外線(ラ
イマン系列)、近赤外線(パッシェン系列)、赤外線(ブラケット系列)なども放射される。こ
れらすべての放射される電磁波は、以下のたった一つの式で表すことができる。
この式において、R はリュードベリ定数である。また n と n は整数であり、それぞれの値と系列
との関係は以下の表に示した通りである。
系列名
電磁波の領域
n
n
ライマン
紫外線
1
2, 3, 4, …
バルマー
可視光線
2
3, 4, 5, …
パッシェン
近赤外線
3
4, 5, 6, …
ブラケット
赤外線
4
5, 6, 7, …
問3 バルマー系列の赤い光(656 nm)は、整数 n がいくつからいくつへ変化するときに放射さ
れるか。また、この波長からリュードベリ定数の値を計算せよ。
問4 バルマー系列で最も波長の短い電磁波の波長を計算せよ。ヒント:最短の波長は n が無限
大のときの電磁波である。
問5 ライマン系列で最も波長が長い電磁波のエネルギーをもとめよ。
ボーアの水素原子モデルに関する問題
問1 次の(ア)∼(カ)に当てはまる語句を書け。
ボーアの水素原子モデルでは、電子は(ア)運動することが仮定されている。電子が安定に運動
するためには、(イ)力と(ウ)力が釣り合うことが考えられる。しかし、電子が(ア)運動す
ることは(エ)が放射されることになり、電子のエネルギーが(オ)なる。電子はやがて原子核
と(カ)してしまう。これは実際の原子と矛盾する。
(ア)
(イ)
(ウ)
(エ)
(オ)
(カ)
問2 ボーアのモデルを用い、水素原子のイオン化エネルギーを計算せよ。
問3 ボーアのモデルを用い、水素原子の n=1 と n=2 の軌道半径を計算せよ。