(3) 事故対策(右折分離ゼブラ帯)による効果評価方法の検討

(3) 事故対策(右折分離ゼブラ帯)による効果評価方法の検討
開発技建株式会社
交通計画部
- 26 -
調査課
矢吹 祐輔
氏
事故対策(右折分離ゼブラ帯)による
効果評価方法の検討
は せ が わ
ひろし
長谷川 寛 1
はら
・原
ひろゆき
弘行1
やぶき
・矢吹
ゆうすけ
祐輔1
さかにわ
・坂庭
ひろき
宏樹1
1開発技建株式会社(〒950-0914 新潟県新潟市中央区紫竹山7-13-16)
交通事故対策により効率的・効果的に事故を削減するには、PDCAマネジメントサイクルの概
念を持って対策検討から対策実施・評価を行うことが望まれる。評価にあたり、対策後の事故
データを取得するには数年が必要であることから、追加対策の必要性や類似箇所への反映を速
やかに検討するには対策後における車両の危険挙動による分析・評価が必要である。本検討で
は、事故発生要因とそれを踏まえた対策を十分理解した上で取り組んだ対策効果評価(事故危
険挙動分析)について報告するものである。
Key Words : 事故対策,効果評価,車両危険挙動調査,急ブレーキデータ,
1.はじめに
2.対象箇所および対策案決定の経緯
国土交通省では、公共事業の効率性及びその実施
過程の透明性の一層の向上を図るための取り組みと
して「成果を上げるマネジメント」を導入しており、
交通安全分野では「事故ゼロプラン(事故危険区間
解消作戦)」を展開している。
事故ゼロプランは、事故データのほか地方公共団
体や地域住民の意見を参考に交通事故の危険性が高
い区間を選定し、事故要因に即した対策を重点的・
集中的に講じることにより効率的・効果的な交通事
故対策を推進する施策である。対策完了後は、その
効果を計測・評価している。
交通事故対策は、抽出された対策箇所について現
地診断、原因分析を踏まえた対策案の策定(Plan)
→ 交 通 事 故 対 策 の 実 施 ( Do ) → 対 策 の 効 果 評 価
( Check ) → 追 加 対 策 ま た は 類 似 箇 所 へ の 反 映
(Action)のPDCAマネジメントサイクルに基づき実
施している。
特に「対策の効果評価(Check)」は、効果的に
事故を削減するために対策後速やかにかつ的確に行
うことが重要である。
しかし、対策後の事故件数取得には数年必要であ
り、対策後直ぐに事故データによる評価を行うこと
は困難である。
本検討は、対策後数年間の事故データの取得前に、
速やかに事故対策の効果を把握する方法として、車
両危険挙動調査や道路プローブデータの急ブレーキ
データを用いて安全性向上効果を評価した。
本稿では、その一事例について論述する。
(1) 対象箇所
対象箇所は、分離4車線道路のカーブ(R=600m)に
ある信号交差点であり日交通量20,600台/日(H22
道路交通センサス値)が利用する交差点である。
図-1 対象箇所
(2) 事故状況
当該交差点の事故は、追突事故(67%)と右折
事故(27%)で計94%を占めている。
(H20-H23年ITARDAデータ値)
このため、当該交差点における事故対策は、追
突事故、右折事故に着目し実施した。
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0%
20%
40%
60%
80%
出会い頭事故
(6.7%)
追突事故
(66.7%)
右折事故
(26.7%)
追突事故と右折事故に着目し対策を実施
図-2 事故類型割合
100%
(3) 事故要因と対策
a)追突事故
当該交差点で発生している追突事故は、主に交差
点流入部において発生していた。
事故要因は、警察から入手した事故状況データお
よび現地診断の結果より、速度超過した車両が黄・
赤信号で急減速・急停止を行い後続車がその対応に
遅れ追突しているものと推測された。
この結果より追突事故の対策は車両速度を抑制す
るドットラインの設置を行った。
なお、対策後に道路プローブデータによる急ブ
レーキ発生地点を調べた結果、追突事故多発箇所
(交差点流入部)において急ブレーキの発生が集中
し事故危険箇所であったことが明確になった。
追突事故が多発する箇所で
急ブレーキが多く発生
<160m(見通し距離)・・NG
〔凡 例〕
離
距
行
走 m
車 28
折 ≒
右 S‘
※急ブレーキ発生箇所図
(H24年4月~12月のデータ)
〔見通し距離の算出方法〕1)
①右折車が右折完了するために必要な時間:t’
t’= t+T
t2=2×S’/a
t=7.483sec
・右折車の走行距離:S’=28m
・右折所要時間:t ・加速度:a=1.0m/sec
t’= 7.483+2.0=9.483sec
・T:反応時間:2.0秒1)
②右折を完了までに対向直進車が移動する距離
L=V/3.6×(t+T)
L=60/3.6×9.483=158.1≒160m
V:一般道の標準最高速度 60km/h
一方で、現状の見通し距離は図上確認の結果L≒
50mであり見通し距離(L=160m)が確保されていな
いことが分かった。
視認距離:L≒50m
:追突事故
:急ブレーキ発生箇所
図-3 事故多発箇所と急ブレーキ発生箇所図
b)右折事故
当該交差点で発生していた右折事故は、右折車と
対向直進車との事故であり、特に上り線側から右折
した車両の事故が多いことから道路構造に起因して
いるものと推測した。(右折事故全体の約75%)
このため、本検討では上り線側からの右折に着目
し、事故原因を分析した。
現地診断の結果、上り線の右折車にとって対向右
折車(下り線)が視認の障害(以下、「視覚バリ
ア」という。)となり対向直進車が視認しづらく、
接近に気づかず無理に右折を行い事故に繋がってい
ると推測した。
右折車から
対向直進車が
見えづらい
視 線
図-5 図上による見通し距離のチェック
以上を踏まえ対策案は、右折車の視覚バリア解消
による見通し距離の確保を目的に右折車線と直進車
線の間にゼブラ帯を設置することにより右折車の視
認性を向上させる「右折分離ゼブラ帯」を実施した。
右折分離ゼブラ帯の設置により、対向する右折車
相互が重ならずに停止するため、対向直進車が視認
しやすくなり、余裕を持って右折することができる。
右折分離ゼブラ帯を設置
対向直進車が
見えやすい
→上り
余裕を持って
右折できる
図-6 右折分離ゼブラ帯の対策概念図
←下り
本線上り線からの
右折事故が多発
(右折事故全体の75%)
右折車線と直進車線の間に設置するゼブラ帯は、
見通し距離(L=160m)以上を確保でき、できるだけ安
全性を向上させるため現況道路敷地内で整備できる
図-4 上下線別右折事故割合
最大幅(W=4.5m)とした。
この結果、対向直進車の視認距離はL=180m(>
この推測を根拠づけるため、図上にて右折待機線
160m)となり見通し距離を確保することができた。
から視認できる対向直進車の位置や距離を計測した。
対策後
対策前
計測方法は、右折車が安全に右折するために必要
な対向直進車の視認距離(以下、「見通し距離」と
右折車線
右折車線
↓
↓
いう。)を算出し、現状の見通し距離と対比した。
見通し距離は、「道路構造令の解説と運用」の算
定式よりL=160m必要である。
視覚バリア
図-7 右折車の視線
- 28 -
右折行動開始時における
対向直進車までの距離
3.対策効果評価における問題と解決策
事故対策による効果評価は、対策前後の事故デー
タ実績により定量的に把握する必要がある。
事故危険箇所の抽出・分析は、4年間の事故デー
タを用いている。
そのため、効果評価年数は、対策完了後も的確に
対策を評価するために4年間の事故データを使用す
べきとある2)。
4年後の効果評価とした場合、データ蓄積期間中
も事故が発生する懸念があるため、対策後速やかに
効果評価を行い対策の有効性を確認することが望ま
れる。
しかし、その具体的かつ統一的な手法は確立され
ていない。
本検討では、右折事故対策(右折分離ゼブラ帯)
に着目し、事故データの蓄積を待つことなく対策後
速やかに効果評価が分析できる方法を検討し、対策
案である右折分離ゼブラ帯が有効に機能し交差点の
安全性向上に寄与しているか、以下の①~②の2手
法を用いて評価を行うこととした。
① 車両危険挙動調査による効果評価
② 急ブレーキ件数による効果評価
右折行動
開始時の地点
図-8 右折ギャップ距離の測定範囲
b)対向直進車への走行阻害台数の調査
本調査は、右折車が右折待機線をはみ出し、対
向直進車のスムーズな走行を阻害した右折車台数
を計測した。(図-9参照)
また、対向直進車が右折車の影響を受け減速し
た台数(ブレーキ点灯台数)を計測し対策前後の
比較を行った。(図-10参照)
右折待機線
右折車が対向直進車線に
はみ出した台数を確認
表-1 対策後速やかに実施できる効果評価方法
① 車両危険挙動調査
による効果評価
図-9 対向直進車への走行阻害車概念図
② 急ブレーキ件数
による効果評価
・道路プローブデータによる
取得
・現地調査による車両挙動 車両速度データや急ブレー
データ
キデータ
右折車
対向直進車
評価
方法
評価
可能
時期
・対策対象とした事故と対
策内容を踏まえて、対策実 ・対策前後の急ブレーキ発
施により変化が生じると考 生件数を集計し、比較評価
えられる車の危険挙動を を行う。
検討・設定し調査を行う。
指標:急ブレーキ件数減少
指標:車両危険挙動減少 評価:安全性向上
評価:安全性向上
・対策実施直後
4.対策効果評価方法
・対策実施から対策後デー
タ期間(月数)+データ処
理期間2ヶ月程度
ブレーキランプが点灯
図-10 対向直進車が右折車の影響を受け減速
(2) 急ブレーキ件数による効果評価
急ブレーキ件数による効果評価は、道路プローブ
データの急ブレーキデータを用いて、交差点内で発
生した1日あたりの急ブレーキ件数(推計値)を算
出し対策前後の比較を行った。
5.対策効果評価結果
(1) 車両危険挙動調査による効果評価
車両危険挙動調査は、交通状況をビデオ撮影し、
(1) 車両危険挙動調査による効果評価
以下の調査を行った。
a)右折ギャップ距離
3)
a)右折ギャップ 距離の調査
対策前の平均右折ギャップ距離はL=129.5mに対
本調査は、右折車から対向直進車の視認性が向
して、対策後はL=144.0mと約14m増加した。
上したことにより、右折車がより安全な右折行動
(図-11参照)
を実施できるか検証するため、右折行動開始時に
また、対策前は右折ギャップ距離が100~125mの
おける対向直進車との距離(以下、「右折ギャッ
位置で右折する車両が多かったのに対して、対策
プ距離」という。)を計測し比較を行った。(図後は125~150mで右折する車両が多い結果となった。
8参照)
(図-12参照)
- 29 -
この結果、対策後の右折車は、対向直進車との距
離が遠い位置にある時に右折していることが分かり、
より安全な右折行動を選択できるようになったもの
と考えられる。
(2) 急ブレーキ件数による効果評価
交差点内で発生する1日あたりの急ブレーキ件
数(推計値)は、対策前70件/日に対して、対策
後55件/日と約2割減少した。
この結果より交差点内の安全性が向上したと考
えられる。(図-16参照)
平均右折ギャップ距離
L≒129.5m
対策前
交差点内の急ブレーキ
件数を1日あたりの件
数に換算し評価
右折待機線をはみ出し
対向直進車を視認
右折車は、対向直進車
が視認しづらいため
無理な右折を誘発
約14m
増加
※対策後の急ブレーキ発生箇所図
(H25年4月~12月のデータ)
〔凡 例〕
平均右折ギャップ距離
L≒144.0m
対策後
:急ブレーキ発生箇所
図-15 急ブレーキ発生箇所図
(件/日)
100
70
80
約2割減
55
60
右折車から対向直進車が
視認しやすくなり、
より安全な右折行動を選択
図-11
40
20
平均右折ギャップ距離
0
20
右 15
折
車
10
台
数
対策前
対策前
(台/3h)
対策後
対策前
100~125mで右折
する台数が最も
多い。
対策後
※データ
対策前:H24年4月~12月
対策後:H25年4月~12月
図-16 急ブレーキ件数比較
対策後
125~150mで右折
する台数が最も
多い。
6.結
論
当該交差点は、右折分離ゼブラ帯を設置したこと
により、右折ギャップ距離の増加や対向直進車への
0
(m)
走行阻害および交差点内の急ブレーキ件数の減少が
確認できた。
右折ギャップ距離
このため、当該交差点における右折分離ゼブラ帯
図-12 右折ギャップ距離別の右折車台数
の対策は有効に機能しており、交差点の安全性は向
上したものと考えられる。
b)対向直進車への走行阻害車両台数
今後は、対策後の事故の発生件数を蓄積し車両挙
右折車が対向直進車線にはみ出し停止した車両は、 動調査や急ブレーキ件数による評価の有効性を検証
対策前21台/3hに対して、対策後は0台/3hであった。 したい。
(図-13参照)
また、対向直進車が右折車の影響を受け減速した
台数(ブレーキ点灯台数)は、対策前:7台/3hに対
謝辞:本論文を作成するにあたり、国土交通省北陸
して、対策後:1台/3hと減少した。(図-14参照)
地方整備局富山河川国道事務所交通対策課より受注
この結果より対向直進車への影響が少なくなった
した業務成果の一部を活用して作成したものであり、
と考えられる。
同課職員の皆様に厚く御礼申し上げます。ここに感
(台/3h)
(台/3h)
25
21
対向直進車線に
はみ出す車両なし
20
8
7
200~
175~200
150~175
125~150
100~125
75~100
50~75
25~50
~25
5
謝の意を表します。
右折車の影響に
より減速した車両
の台数が減少
6
15
参考文献
4
10
5
0
0
対策前
対策後
図-13 対向直進車線に
はみ出した右折車台数
1
2
0
対策前
対策後
図-14 右折車の影響に
対向直進車が減速した台数
1) 社団法人:日本道路協会:道路構造令の解説と運用P489
2) 財団法人:交通事故総合分析センター:交通事故対策・
評価マニュアルおよび交通事故対策事例集P27
3) 一般社団法人:交通工学研究会:道路交通技術必携:P125
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目
次
1.はじめに
2.対象箇所および対策内容決定の経緯
3.対策効果評価
4.結
長谷川 寛
開発技建株式会社
原 弘行 矢吹 祐輔
論
坂庭 宏樹
- 31 -
1. はじめに
1. はじめに
交通事故対策の実施方法
交通事故対策による効果評価方法
●交通事故対策の効果評価方法
・対策前後の事故件数による評価が基本
・交通事故対策は、PDCAマネジメントサイクルに基づき実施
交通事故危険箇所の抽
出や原因分析・対策案
の策定
● 対策効果評価の問題点
・対策後の事故データ取得には数年必要
追加対策または
類似箇所への反映
・対策後速やかに事故件数による評価を行うことは困難
対策前
対策実施
H22~H25
H26
対策前の
事故データ
交通事故対策
の実施
対策後
H27
工事・施工
H28
H29
H30
H27年の
事故データ取得
H28年の
事故データ取得
事故データは、2年後に取得可能
対策の効果評価
● 問題を解決するための対応策
・対策後、速やかに事故対策の効果を評価する方法を検討
1
① 車両危険挙動調査による効果評価
② 急ブレーキ件数による効果評価
安全性向上効果を評価
2
2. 対象箇所および対策内容決定の経緯
2. 対象箇所および対策内容決定の経緯
事故状況
対象箇所の道路・交通状況
・追突事故と右折事故の発生
・分離4車線道路のカーブ区間(R=600m)
0%
・信号交差点
20%
40%
60%
80%
100%
出会い頭事故
(6.7%)
・日交通量20,600台/日
追突事故
(66.7%)
信号交差点
N=15件
右折事故
(26.7%)
H20~H23年
(4年間)の合計件数
計94%
交差点流入部で
追突事故が多い
R=600m
本線上り線からの
右折事故が多い
(右折事故全体の約75%)
上り
下り
3
追突事故と右折事故に着目し対策を実施
4
- 32 -
2. 対象箇所および対策内容決定の経緯
2. 対象箇所および対策内容決定の経緯
追突事故の要因と対策
参考 事故発生地点と追突事故発生地点
●追突事故の要因
・交差点手前での速度超過
・急ブレーキ発生地点と追突事故発生地点が同じ
↓
・前方車両の減速・停止に
追突事故が多発する箇所で
急ブレーキが多く発生
対する後続車の対応遅れ
●対策内容
・交差点手前の車両の速度を
抑制させる対策を実施
(ドットラインの設置)
〔凡 例〕
:追突事故
:急ブレーキ発生箇所
※急ブレーキ発生箇所図
(平成24年4月~12月のデータ)
ドットライン設置
5
6
2. 対象箇所および対策内容決定の経緯
2. 対象箇所および対策内容決定の経緯
右折事故の要因
対策前の視認距離
・右折車が対向直進車との距離を見誤り、無理に右折を行い衝突
右折車から
対向直進車が
視認しづらい
・対策前の視認距離は、見通し距離が確保されていない
視認距離:L≒50m<160m(見通し距離)・・NG
対向直進車との
距離を見誤り右折
対向右折車線
↓
対向右折車により生じる死角で
対向直進車が視認しづらい
見通し距離: 右折車が安全に右折するために必要な対向直進車との距離
視 認 距 離: 右折待機線から視認できる対向直進車との距離
7
8
- 33 -
2. 対象箇所および対策内容決定の経緯
2. 対象箇所および対策内容決定の経緯
右折事故の対策
対策後の視認距離
・対向右折車による生じる死角を解消し、見通し距離を確保する対策を実施
・対策後の視認距離は、見通し距離以上を確保
(右折分離ゼブラ帯の設置)
右折車から
対向直進車が
視認しやすい
余裕を持って
右折できる
視認距離:L≒180m≧160m(見通し距離)・・OK
右折分離ゼブラ帯
対向右折車線
↓
対向右折車による死角が解消し
対向直進車が視認しやすい
9
10
2. 対象箇所および対策内容決定の経緯
3. 対策効果評価
対策前後の状況
効果評価方法
対策前
対策後
・対策後速やかに実施できる効果評価方法を提案
1 車両危険挙動調査による効果評価
① 右折ギャップ距離の評価
② 右折車による走行阻害状況の評価
・取得データ:現地調査による車両挙動
・評価可能時期:対策実施直後
対向右折車線
↓
対向右折車線
↓
2 急ブレーキ件数による効果評価
・取得データ:道路プローブによる急ブレーキデータ
・評価可能時期:1日あたりの急ブレーキ件数を算定し評価
11
12
- 34 -
3. 対策効果評価
3. 対策効果評価
1-① 右折ギャップ距離調査
1-② 右折車による走行阻害状況の調査
・右折開始地点から対向直進車までの距離(右折ギャップ距離)を計測
調査①
右折待機線から対向直進
車線にはみ出した右折車
台数を計測
右折ギャップ距離
右折待機線
右折開始地点
調査②
右折車の影響を受け、ブレーキを
点灯した対向直進車台数を計測
13
14
3. 対策効果評価
3. 対策効果評価
右折ギャップ距離別の右折車台数
右折ギャップ距離の調査結果
対策前
・右折ギャップ距離は対策後に延伸
平均右折ギャップ距離
L≓129.5m
→ 対策前に発生していた無理な右折が減少
→ 対向直進車が視認しやすいため、より安全なギャップ距離を選択
20
約14m延伸
対策後
右 15
折
車
10
台
数
平均右折ギャップ距離
L≓144.0m
対策前
(台/3h)
対策後
対策前
100~125mで右折する
台数が最も多い。
対策後
125~150mで右折する
台数が最も多い。
5
※右折待機線をはみ出した車両も計測
200~
175~200
150~175
125~150
100~125
75~100
50~75
25~50
~25
0
(m)
右折ギャップ距離
15
16
- 35 -
3. 対策効果評価
3. 対策効果評価
右折待機線はみ出し車両
対向直進車への走行阻害車台数
・対策後対向直進車線にはみ出した右折車はない
・右折車の影響によりブレーキを踏んだ対向直進車は、約8割減少
対策前の状況
対策前の状況
右折待機線
対策後
対向直進車線に
はみ出す車両なし
約8割減
右折車
対向直進車
ブレーキランプ点灯
右折待機線を
はみ出す車両
17
18
3. 対策効果評価
4. 結 論
2 急ブレーキによる効果評価
結
・交差点内の1日あたりの急ブレーキ件数が約2割減少
・本検討では、右折分離ゼブラ帯の設置効果として、車両危険挙動や
急ブレーキ件数の減少により交差点内の危険な状況が改善したこと
を確認できた。
・今回提案した評価方法は、事故対策の効果を速やかに把握する上で
有効な手法であると考えられる。
対策前の状況
交差点内の
急ブレーキ件数
を計測
論
約2割減
今後の課題
・本検討では、交差点内の危険挙動の改善を確認できたが、事故の削減
に繋がるか検証されていない。
・今後、速やかな事故対策効果評価を実現するためには、事故件数評価
との関連を分析し、危険挙動評価の有効性を確認する必要がある。
:急ブレーキ発生箇所
〔対象年月〕
・対策前:H24年4月~12月(9ヶ月間)
・対策後:H25年4月~12月(9ヶ月間)
※1日あたりの急ブレーキ件数の算定式
・1日あたりの急ブレーキ件数
=(急ブレーキ件数/道路プローブ走行台数)×日交通量
19
20
- 36 -