北陸再生医療研究会 趣意書

一般社団法人 北陸再生医療協議ネットワーク
設立趣意書
第二次安倍政権の下、再生医療はその成長戦略に位置付けられ、2013 年 5 月 10 日に公
布された「再生医療を国民が迅速かつ安全に受けられるようにするための施策の総合的な推
進に関する法律」に基づき、2014 年 11 月より国際的にも類を見ない画期的な制度的枠組み
等の整備が実施され、本邦における再生医療の発展が大いに期待されています。
これまで医薬品と医療機器だけであった薬事法に、新たに「再生医療等製品」が分類され、
臨床試験に長期間を要するなどの特性を踏まえ、安全性が確認され、有効性が推定された製
品を早期に承認する「条件及び期限付き承認制度」が、薬事法改正により創設されました。
2015 年 9 月には新たな再生医療等製品が改正薬事法の下で承認されています。
加えて、「再生医療等の安全性の確保に関する法律(再生医療等安全性確保法)」が新た
に施行されています。この法律では、医療機関の責任で細胞を加工して行う再生医療の安全
性を確保するための枠組みを定めるとともに、その実態を把握し、情報を国民に提供するこ
とが定められています。
再生医療は、用いる細胞や培養方法などにより、想定される安全性リスクのレベルは大き
く異なるなど、個々の技術により異なる特性を示します。また、生きた細胞を用いるため長
時間の保管や輸送に向かないものや、疾患の希少性などから企業としての開発に向かない技
術もあります。今後はこれらの特性を踏まえて、新しい制度的枠組みを積極的に活用し、再
生医療を望む患者さんに対してできる限り早く、安全に届けられる取り組みが不可欠と言え
ます。
当ネットワークは、企業を中心とした有志により構成された「北陸再生医療研究会」が前
身となっています。再生医療の実態を把握するとともに、北陸地域の特性を生かした再生医
療の健全な普及発展と周辺産業の創出並びに育成を目的に 2014 年 12 月から活動を開始し、
課題抽出と解決策の検討を精力的に行ってきました。その結果、主な課題として以下が抽出
されました。
① 再生医療等安全性確保法に基づく手続きが複雑で運営にも多大な労力を要するため、実
施体制の構築と維持が困難な医療機関に対する支援サービスの提供が必要であること
② 企業やアカデミアにおいて研究開発された再生医療の出口のひとつとして、従来の薬事
法下での提供だけでなく、再生医療等安全性確保法下での提供も活用される必要がある
こと
③ 再生医療を望む患者が、医療機関を適切に選択できるようにするため、第三者的な立場
から継続的に安全性が評価され、透明性を確保するための仕組みが必要であること
④ 再生医療に対する医療関係者や一般の認知度や正しい理解の向上が必要であること
⑤ 地域特性を生かした産官学医商の連携する基盤整備が必要であること
当ネットワークは、これらの課題にいち早く取り組むことで再生医療の研究開発を促進し、
望む患者さんができるだけ早く安心して治療を受けられる環境を整備するとともに、継続し
てその環境を支える周辺産業の活性化と雇用創出、それらを担う高度な人材の育成などに寄
与したいと考えています。
再生医療に係る新しい制度的枠組みは、再生医療の安全性と迅速な実用化を、高い透明性
の下で確保することを求めたものといえます。当ネットワークでは、この趣旨に則った活動
を企業のみではなく、医療機関が参加する他に類を見ない新しいコンセプトに基づき実施し
て参ります。
我々の趣旨にご賛同をいただき、ご入会の上、積極的なご指導ならびにご協力を賜ります
よう、何卒よろしくお願い申し上げます。
2016 年 1 月
一般社団法人
北陸再生医療協議ネットワーク
理事長
古川 仭