医薬部外品の規制・制度 医薬部外品の規制・制度 年次現状報告:進展 厚生労働省は、審査方針を明確化するため、2013年に通常の医薬部外品申請 書類のモデルテンプレート、2014年には医薬部外品についての化粧品基準及び 医薬部外品の製造販売承認申請に関する質疑応答集(Q&A)を公開した。 さらに厚労省は、すでに承認された添加物についての25の原料規格も公表した。 こうした措置は、医薬部外品審査制度の透明性を向上させる助けになった。 厚労省は、より多くの審査官の雇用を可能にするため、新規有効成分を含んだ 医薬部外品についてより高い審査手数料を請求する新しい手数料設定方針も発 表した。 こうした改善のお陰で、審査期間の短縮が期待できる。 医薬部外品の規制・制度 提案 厚労省は、医薬部外品審査制度の透明性を向上させるため、承認された有効成 分および添加物のリストの定期的な更新、ならびに添加物に関する原料規格の 拡大のためのより明確なプロセスを設けるべきである。 厚労省は、安全性に関する特記事項や各成分についての使用制限がない限り、 制限や限度なしに、化粧品における添加物の使用を許可するべきである。 厚労省は、都道府県によって審査される医薬部外品の数を増やすため、すべて の医薬部外品カテゴリーに関する承認基準を設けるべきである。これは、新製品 審査期間を短縮する助けになるだろう。EBCは、厚労省が基準を定期的に見直す 制度を設けることも提案する。 医薬部外品と化粧品の成分の 整合化 医薬部外品と化粧品の成分の整合化 年次現状報告:新たな問題 日本においてオーラルケア製品で認められているフッ化物濃度レベルは、ほかの 先進諸国で認められている一層高いレベルと整合していない。 日本は医薬部外品として販売される歯磨きでは最高1,000 ppmのフッ化物を認め ているが、欧州では最高1,500 ppmのフッ化物濃度が認められている。 欧米全土のドラッグストアやスーパーでは、フッ化物濃度226 ppmのマウスウォッ シュが売られているが、日本はマウスウォッシュ製品でのフッ化物の使用を認め ていない。 虫歯予防のためのフッ化物の使用は、世界中で行われてきた科学研究で有効か つ安全であることが証明されている。 さらに、EUと日本は化粧品に配合可能な成分について、それぞれネガティブリス トとポジティブリストで異なった規制を適用している。 医薬部外品と化粧品の成分の整合化 提案 日本は、薬用歯磨き承認基準を改定して、医薬部外品として販売される歯磨きで 認められるフッ化物濃度を1,500 ppm、医薬部外品として販売されるマウスウォッ シュでは226 ppmに引き上げるべきである。 日本は、すべての医薬部外品および化粧品成分に関するポジティブリストとネガ ティブリストの維持面の日欧間の不一致を解消すべきである。 薬剤師および一般開業医の セルフメディケーション・アドバイス の役割の推進 薬剤師および一般開業医の セルフメディケーション・アドバイスの 役割の推進 新たな問題 セルフメディケーションは、自覚された病気や症状を治療するための個人による医 薬品の選択と使用である。 これは、店頭で医薬部外品として販売される非処方箋薬を含む。 アドバイスを得るために一般開業医や薬剤師を訪れて、非処方箋薬や医薬部外 品を用いて軽微な健康問題に自分で対処する人が増えれば、主要病院の専門医 は、より深刻な病気の他の患者に集中する時間が増えることになる。 これは保健を向上させ、医療費全体を引き下げる助けになるだろう。 薬剤師および一般開業医の セルフメディケーション・アドバイスの 役割の推進 提案 日本は、患者や薬剤師にとってのインセンティブを設けることによって、安全かつ適 切である場合には、セルフメディケーションを推進すべきである。 化粧品及び医薬部外品の 効能範囲拡大について 化粧品及び医薬部外品の 効能範囲拡大について 年次現状報告:進展なし 化粧品の効能は、1961年の通知「薬事法の施行について」において類別に効能 を規定する仕組みが示され、2000年の通知「化粧品の効能の範囲の改正につ いて」において化粧品に該当する55の効能に改められた。 2011年には、「乾燥による小ジワを目立たなくする」の効能が追加された。 しかしながら、日本における効能表現の範囲は、諸外国に比べ未だに狭く、最 新の研究と技術に基づいた輸入化粧品の日本の市場への参入を阻む要因とも なりかねない。 化粧品及び医薬部外品の 効能範囲拡大について 提案 日本は、「紫外線による肌の光老化を防ぐ」という効能表現を含め、化粧品及び医 薬部外品(薬用化粧品)の積極的な効能の範囲を拡大し、EUと整合化すべきであ る。 EU規制との整合化のため、厚労省は効能範囲表を廃止して、検証可能なデータに 基づく化粧品の定義内で製品の効能を伝えることを企業に認めるべきである。 化粧品と医薬部外品に関する 電子届出 化粧品と医薬部外品に関する電子届出 年次現状報告:新たな問題 化粧品や医薬部外品を輸入することを目指す外国の化粧品会社は、情報が著し く重複した2種類の届出を提出しなければならない。 日本国外で製造される化粧品を日本に輸入し販売をするには、国内での製造販 売に必要な化粧品製造販売届の都道府県への提出に加え、国内製造品には求 められない輸入届を管轄の厚生局(関東厚生局あるいは近畿厚生局)に書面で 提出することが必要になる。 輸入届の内容は詳細であり、また既に提出した化粧品製造販売届の内容と重複 したものである。 ほかの多くの国々では、企業は電子届出システムを利用することが認められてい る。 化粧品と医薬部外品に関する電子届出 提案 輸入届出プロセスのための電子システムを設けることによって、外国製化粧品およ び医薬部外品を輸入するための輸入届出手続を簡素化すべきである。これは厚生 労働省が管理する医薬品等申請審査システムに蓄積されている電子的製品データ をそのまま輸入届出プロセスに活用すべきである。 化粧品及び医薬部外品の 輸入非関税障壁の緩和 化粧品及び医薬部外品の 輸入非関税障壁の緩和 年次現状報告:進展なし 化粧品や医薬部外品に関して一部変更申請が一旦承認されると、一部変更前の 製品は税関検査を受けて市場に出すことが認められない。 一部変更の承認が下りる時期や出荷時期を予測することは困難であるため、一部 変更承認申請をして船便で貨物を輸入する企業は安定供給を確保するため日本 国内に現行在庫を大量に抱えなければならない。 こうした余計なコストを避けるため、多くの輸入会社は一部変更申請を避けている。 化粧品及び医薬部外品の 輸入非関税障壁の緩和 年次現状報告:進展なし 代わりに、まったく別の製品に関するものであるかのように一部変更の承認を申請 する。 これは、エンドユーザーには同一のものに見える製品について複数の承認を維持 することを輸入会社に強いている。 化粧品及び医薬部外品の 輸入非関税障壁の緩和 提案 一部変更承認が下りた後、一部変更前の製品でも税関検査を受けて販売を行える 猶予期間を設けるべきである。 動物実験代替法 動物実験代替法 年次現状報告:進展なし 日本では、化粧品および医薬部外品メーカーは依然、動物実験に基づいて安全 性データを提出することを求められ、有効な代替法は制限されている。 2011年2月、厚生労働省からの事務連絡により公式に代替法利用の促進が示さ れた。 経済協力開発機構(OECD)ガイドライン442Aおよび442Bに対応する、皮膚感作性 試験代替法に関する厚労省のガイダンスが2013年5月に発効された。 日本は、化粧品規制協力国際会議における代替試験法国際協力の活動に参加 している。 動物実験代替法 提案 日本は、EUで使用されているものと整合した安全性エンドポイントに基づく、成分お よび製品の動物実験の有効な代替法の確立を急ぐべきである。 日本は、ヒトや環境を守るためのさらなる国際協調に取り組むべきである。
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